JP3321951B2 - 電気自動車の制動装置 - Google Patents

電気自動車の制動装置

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JP3321951B2
JP3321951B2 JP35465793A JP35465793A JP3321951B2 JP 3321951 B2 JP3321951 B2 JP 3321951B2 JP 35465793 A JP35465793 A JP 35465793A JP 35465793 A JP35465793 A JP 35465793A JP 3321951 B2 JP3321951 B2 JP 3321951B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気自動車の制動装置
および制動方法に関し、詳しくは車載のモータによる回
生を利用した制動と摩擦による制動とを併用する電気自
動車の制動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の電気自動車の制動装置と
しては、例えば特開昭64−43001号公報に記載さ
れているように、ブレーキペダルが操作された場合に
は、当初電気自動車の主モータによる回生を利用した制
動を行ない、回生により制動では制動力が不足する場合
に、ブレーキペダルの踏込により生じる油圧を用いた摩
擦制動力を利用する構成が用いられている(例えば、特
開平2−120165号公報)。
【0003】制動の初期には、回生による制動によって
必要な要求制動力を車輪に付与し得るので、回生制動の
みを用いてエネルギの回生効率を高め、回生による制動
では不足する状態となった後、初めて摩擦制動力を利用
するのである。ところで、こうした回生による最大制動
力は、バッテリの温度やバッテリがどの程度放電してい
るか等によってもを異なるため、回生による制動と摩擦
による制動を単純に組み合わせただけでは、満足な制動
性能を発揮できない場合があり、この点を改善しようと
する試みもなされていた。問題点とその改良について、
図を用いて説明する。
【0004】図21は、回生による制動と摩擦による制
動(油圧ブレーキ)とを組み合わせた場合の制動力の様
子を示す。回生による制動力は、回生する電力を制御す
ることで調整でき、最大制動力Eまでの間は、ブレーキ
ペダルの操作により発生するマスタシリンダ(M/C)
の油圧に比例するよう制御される。図21(A)に示す
ように、回生による制動は、エネルギの回収に上限が存
在するから、最大制動力Eに達すると、それ以上の制動
力を得ることはできない。このときのM/Cの油圧をP
0とし、M/Cの油圧がこれ以上となったとき、図21
(B)に示すように、摩擦による制動力を付与する。こ
の場合、両者を組み合わせた総合の制動力は、図21
(C)に示すように、ブレーキペダルの操作によるマス
タシリンダ(M/C)の油圧に比例することになり、運
転者の制動のフィーリングには、何等の違和感も生じな
い。
【0005】ところが、例えばバッテリがフル充電に近
いような場合には、回生による最大制動力は低下してし
まう。従って、回生による最大制動力がE′まで低下し
ていると、図21(D)に示すように、回生ブレーキと
油圧ブレーキとを組み合わせた総合の制動力は、M/C
の油圧に比例せず、制動力が不連続となって、運転者の
ブレーキフィーリングを損なってしまうことがあった。
この場合には、当然ブレーキの効きも甘くなり、制動距
離も長くなってしまう。かかる問題を回避するため、回
生による最大制動力を求め、要求制動力が最大回生制動
力を上回った時点から、油圧ブレーキを動作させる構成
が提案されている(例えば、特開平5−161210号
公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図21
(C)の特性が得られている場合でも、油圧ブレーキに
よる制動が働き始めた状態を考えてみると、回生ブレー
キは駆動輪(回生輪)のみに、油圧ブレーキは駆動輪お
よび遊動輪(非回生輪)に等しく働くから、駆動輪側の
制動力の割合が高くなり、両輪の制動力のバランスが理
想的な制動力の配分から大きく隔たってしまうという問
題があった。この問題に対し、制動の当初から油圧によ
る制動を非回生輪に付与しておくという対応が考えられ
はするが、それでは、エネルギの回収効率が低下してし
まう。
【0007】本発明の電気自動車の制動装置は、こうし
た問題を解決し、回生を利用した制動を効率よく行なっ
てエネルギの回収効率を高め、また好適な制動力の配分
を実現することを目的としてなされ、次の構成を採っ
た。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の電気自動
車の制動装置は要求制動力に基づいて、車両各車輪に
制動力を加える電気自動車の制動装置であって、車載の
モータによる回生を用いて車輪の少なくとも一つに回生
制動力を付与可能な回生制動力付与手段と、該回生によ
る制動を加える回生輪および回生による制動を加えない
非回生輪に、摩擦による制動力を独立に付与可能な摩擦
制動力付与手段と、要求制動力が前記回生制動力付与手
段により付与可能な最大制動力未満の場合には、前記回
生制動力付与手段により、前記要求制動力に応じた制動
力で前記回生輪を制動すると共に、前記要求制動力が前
記最大制動力を越えた場合には、前記回生による制動力
を前記最大制動力に保持する回生輪制動手段と、前記要
求制動力が前記最大制動力を越えた場合には、前記摩擦
制動力付与手段により、前記要求制動力の増加に伴って
前記非回生輪に摩擦による制動力を付与する第1の手段
と、前記要求制動力が、前記最大制動力より高い値とし
て設定された所定値を上回るまでは、前記回生輪に対し
て摩擦による制動力を付与せず、前記要求制動力が前記
所定値を上回ると、前記要求制動力の増加に伴って、前
記回生輪に摩擦による制動力を付与する第2の手段と
備えたことを要旨とする。また、本発明の第2の電気自
動車の制動装置は、図1に例示したように、要求制動力
に基づいて、車両各車輪に制動力を加える電気自動車の
制動装置であって、車載のモータMMによる回生を用い
て車輪の少なくとも一つに回生制動力を付与可能な回生
制動力付与手段M1と、該回生による制動を加える回生
輪W1および回生による制動を加えない非回生輪W2
に、摩擦による制動力を独立に付与可能な摩擦制動力付
与手段M2と、要求制動力が前記回生制動力付与手段M
1により付与可能な最大制動力未満の 場合には、前記回
生制動力付与手段M1により回生輪W1を制動する回生
輪制動手段M3と、前記要求制動力が前記最大制動力を
越えた場合には、前記回生による制動力を考慮して、前
記回生輪W1と前記非回生輪W2との制動力の配分比を
理想配分に近づけて決定する制動力配分比決定手段M4
と、該決定した配分比に基づいて、前記回生輪W1およ
び非回生輪W2に、摩擦による制動力を前記摩擦制動力
付与手段M2により付与する制動力制御手段M5とを備
え、更に前記制動力配分比決定手段M4は、前記要求制
動力が前記最大制動力を越えた時点で、制動力の不足分
を、摩擦による制動力として前記回生輪W1と前記非回
生輪W2とに配分するものとし、該回生輪W1と該非回
生輪W2との制動力の配分比が所定の割合となるまで該
非回生輪W2を優勢して配分比を決定する手段と、該制
動力の配分比が該所定の割合となった後は、理想配分に
従って配分比を決定する手段とを備えることを要旨とし
ている。
【0009】また、要求制動力に基づいて、車両各車輪
に制動力を加える本発明の第3の電気自動車の制動装置
は、車載のモータMMによる回生を用いて車輪の少なく
とも一つに回生制動力を付与可能な回生制動力付与手段
M1と、該回生による制動を加える回生輪W1および回
生による制動を加えない非回生輪W2に、摩擦による制
動力を独立に付与可能な摩擦制動力付与手段M2と、要
求制動力が前記回生制動力付与手段M1により付与可能
な最大制動力未満の場合には、前記回生制動力付与手段
M1により回生輪W1を制動する回生輪制動手段M3
と、前記要求制動力が前記最大制動力を越えた場合に
は、制動力の不足分を、前記摩擦制動力付与手段M2に
より、非回生輪W2に摩擦による制動力として付与する
と共に、該制動力の付与に遅れて、前記回生輪W1にも
摩擦による制動力を付与する制動力付与遅延手段M10
(図1に一点鎖線で示す)とを備えたことを要旨とす
る。
【0010】
【作用】以上のように構成された本発明の第1の電気自
動車の制動装置によれば、要求制動力が回生により付与
できる最大制動力未満の場合には、回生制動力付与手段
により、要求制動力に応じた制動力で回生輪を制動す
る。要求制動力が最大制動力を越えた場合には、回生に
よる制動力を最大制動力に保持し、要求制動力が最大制
動力を越えており、かつ最大制動力より大きな所定値よ
り小さい場合には、摩擦制動力付与手段により、要求制
動力の増加に伴って、非回生輪には、摩擦による制動力
を付与すると共に、非回生輪には、摩擦による制動力を
付与しない。更に、要求制動力が所定値を上回っている
場合には、要求制動力の増加に伴って、非回生輪に摩擦
による制動力を与えると共に、回生輪にも摩擦による制
動力を付与する。この結果、制動力が、回生による最大
制動力まで達すると、その後、回生輪の制動力を増加し
ないで非回生輪に摩擦による制動力を付与することで、
制動力の配分は、理想配分に短期間のうちに近づく。ま
た、本発明の第2の電気自動車の制動装置では、要求制
動力が回生制動力付与手段M1により付与可能な最大制
動力未満の場合には、回生輪制動手段M3が、車載のモ
ータMMによる回生を用いて車輪の少なくとも一つに回
生制動力を付与可能な回生制動力付与手段M1によっ
て、回生輪W1を制動する。一方、要求制動力が回生に
よる最大制動力を越えた場合には、制動力配分比決定手
段M4が、回生による制動力を考慮した上で、回生輪W
1と非回生輪W2との制動力の配分比を理想配分に近づ
けて決定する。制動力制御手段M5は、こうして決定さ
れた配分比に基づいて、回生輪W1および非回生輪W2
に、摩擦による制動力を摩擦制動力付与手段M2によっ
て付与する。
【0011】しかも、かかる第2の電気自動車の制動装
置では、制動力配分比決定手段Mは、要求制動力が最
大制動力を越えた時点で、制動力の不足分を、摩擦によ
る制動力として回生輪W1と非回生輪W2とに配分する
ものとし、回生輪W1と非回生輪W2との制動力の配分
比が所定の割合となるまで非回生輪W2を優先して配分
比を決定し、制動力の配分比が該所定の割合となった後
は、理想配分に従って配分比を決定する。
【0012】また、本発明の第3の電気自動車の制動装
置は、要求制動力が回生による最大制動力未満の場合
に、回生輪制動手段M3より回生輪W1を制動するとこ
ろまでは、第1発明の制動装置と同一であるが、要求制
動力が最大制動力を越えた場合には、制動力の不足分
を、制動力付与遅延手段M10が、摩擦制動力付与手段
M2によって回生輪W1に摩擦による制動力として付与
すると共に、この制動力の付与に遅れて、回生輪W1に
も摩擦による制動力を付与する。従って、非回生輪W2
側の制動力が回生輪W1に比較して優先的に増加し、制
動力の配分のアンバランスは改善される。
【0013】ここで、制動力付与遅延手段としては、種
々のものを考えることができる。例えば、非回生輪W2
への摩擦による制動力が所定値以上となった後に回生輪
W1にも摩擦による制動力を付与したり、要求制動力が
回生により付与し得る最大制動力より大きな判定値以上
となった後に回生輪W1にも摩擦による制動力を付与し
たり、回生輪W1に付与されている最大制動力と非回生
輪W2への摩擦による制動力との比率が理想配分比とな
った後に回生輪W1にも摩擦による制動力を付与すると
いった対応が可能である。
【0014】なお、発明において、回生制動力付与手
段M1とは、運転時に回生輪W1を駆動しているモータ
MMやその他の車載モータMMを、制動時には発電機と
して使用することにより、エネルギの回収を行なうこと
で回生輪W1に制動力を付与する手段である。また、摩
擦制動力付与手段M2とは、回生輪W1,非回生輪W2
に摩擦による制動力を付与する手段であり、そのままで
はエネルギの回収を伴わない制動手段である。こうした
手段としては、ブレーキペダルの操作により発生した油
圧の伝達を受けて動作するディスクブレーキ等の摩擦ブ
レーキが一般的であるが、油圧を増圧するパワーブレー
キの構成を付加的に備えるものであっても良いし、油圧
以外の伝達手段を用いるものであっても差し支えない。
摩擦による制動とは、広義の概念であり、機械的な手段
で制動を付与するものであれば、含まれることは勿論で
ある。
【0015】本発明の制動装置における回生輪制動手段
M3,制動力配分比決定手段M4,制動力制御手段M5
あるいは第2の制動装置における制動力付与遅延手段M
10は、各々ディスクリートな回路構成により実現して
も良いが、1チップマイクロコンピュータなどの算術論
理演算回路によりソフトウェアにより実現しても差し支
えない。また、モータMMの駆動や発電を制御する回
路、バッテリをコントロールする回路、回生制動を制御
する回路などは、各々別体のコンピュータとそのソフト
ウェアにより実現しても良いし、総てのあるいは複合的
な処理を同一のコンピュータで実行する構成としても差
し支えない。
【0016】
【実施例】以上説明した本発明の構成・作用を一層明ら
かにするために、以下本発明の好適な実施例について説
明する。図2は、第1実施例としての電気自動車の制動
装置40の概略構成図である。実施例の電気自動車は、
前輪駆動車(FF車)であり、前輪42,44にこれを
駆動するモータ46がギヤを介して結合されている。ま
た、この電気自動車は、大規模なバッテリ48を搭載し
ており、インバータ50を介して、このバッテリ48に
充電された電気エネルギを唯一の動力源として走行す
る。
【0017】この電気自動車の制動を司る油圧系につい
て説明する。実施例の制動装置40には、図2に示すよ
うに、ブレーキペダル52を操作することにより制動の
ための油圧を発生するブレーキマスタシリンダ54、そ
の油圧のリザーバ56、ブレーキペダル52の踏込の感
覚を通常のブレーキシステムに合わせるためのブレーキ
シュミレータ58、マスタシリンダ54により発生した
油圧Pを検出する油圧センサ60、前輪42,44に対
して摩擦による制動力を加えるフロントホイールシリン
ダ62,64、フロントホイールシリンダ62,64と
マスタシリンダ54との間の油圧配管68に設けられた
油圧バルブ70、後輪72,74に対して摩擦による制
動力を加えるリアホイールシリンダ82,84、リアホ
イールシリンダ82,84とマスタシリンダ54との間
の油圧配管78に直列に設けられた油圧バルブ71およ
び圧力バルブ(いわゆるPバルブ)80等が設けられて
いる。
【0018】なお、ブレーキシュミレータ58は、運転
者のブレーキフィーリングの改善のために用いられる。
後述するように、モータ46を用いた回生によって制動
がなされていて、ブレーキマスタシリンダ54で発生さ
れた油圧が前輪42,44の制動に用いられないときに
は、ブレーキペダル52の踏み込み量が制動力に比例し
ないという現象が生じる。ブレーキシュミレータ58
は、ブレーキマスタシリンダ54で生じた油圧を受けて
その体積が変化し、ブレーキマスタシリンダ54の油圧
が前輪の制動に用いられていない時にも、ブレーキペダ
ル52の踏込代を確保して、油圧を用いた制動が行なわ
れる場合と等しいブレーキフィーリングを実現してい
る。
【0019】油圧バルブ70の構成と働きついては後述
するが、このバルブが通常の圧力バルブ80であれば、
前輪42,44、後輪72,74に加えられる制動力
は、ブレーキペダル52の踏込に応じてブレーキマスタ
シリンダ54に発生する圧力に比例する。実施例では、
駆動輪である前輪42,44については、回生ブレーキ
(モータ46を発電機として利用するブレーキ)による
制動力を利用するので、油圧バルブ70を用い、前輪4
2,44に付与される摩擦による制動力を制御してい
る。また、制動力の配分比を適正にするため、後輪7
2,74については、もう一つの油圧バルブ71を用
い、後輪72,74に付与する摩擦による制動力を制御
している。
【0020】図2に示した実施例の制動装置40には、
モータ46による回生を制御する回生ECU90、イン
バータ50を制御してモータ46の駆動を制御するモー
タECU92、バッテリ48の充電状態などを管理する
バッテリECU94等が搭載されている。各ECU9
0,92,94には、制御全体を司るCPU90a,9
2a,94a、制御プログラムを格納したROM90
b,92b,94b、ワークエリアとしてのRAM90
c,92c,94c、外部との入出力のインタフェース
を司る入出力I/F90d,92d,94d等が備えら
れている。
【0021】回生ECU90には、油圧センサ60から
の検出信号の他、モータECU92からの駆動情報およ
びバッテリECU94からの充電状態に関する情報が、
入出力I/F90dを介して入力されている。回生EC
U90は、油圧センサ60により検出した油圧によりブ
レーキペダル52が操作されたか否かを知ることがで
き、その意味でこの油圧センサ60は、通常のブレーキ
システムのブレーキスイッチと等価である。また、回生
ECU90は、入出力I/F90dを介して、油圧バル
ブ70を駆動する。
【0022】モータECU92は、油圧センサ60が検
出した油圧信号が回生ECU90を介して入力されてお
り、マスタシリンダ54の油圧を知ることができる。モ
ータECU92は、インバータ50と信号をやり取り
し、モータ46の駆動トルクや回生量(回生トルク)を
制御する。
【0023】バッテリECU94は、入出力I/F94
dを介してバッテリ48に接続されており、バッテリ4
8の状態を管理する。バッテリ48の充電量などの情報
は、最大回生量などを把握するために必要とされる。
【0024】次に油圧バルブ70,71の構造と働きに
ついて説明する。図3は、油圧バルブ70の詳細な構成
を示す説明図である。この油圧バルブ70には、マスタ
シリンダ54と油圧配管68により連結されたマスタシ
リンダポート100、サブポート102、ホイールシリ
ンダ62,64と連結されるホイールシリンダポート1
04を備える。このサブポート102とホイールシリン
ダポート104とを、共にホイールシリンダ62,64
に油圧配管により連結すると、マスタシリンダ54とホ
イールシリンダ62,64との間に、ポペット弁を2つ
並列に接続した構造となる(図2参照)。一方のポペッ
ト弁は、増圧開始の圧力を制御可能な増圧側ポペット弁
110であり、他方は、作動圧力が固定の減圧側ポペッ
ト弁112である。両者は、油圧を逆止する方向が互い
に逆向きとなっている。
【0025】増圧側ポペット弁110は、ボール114
を備え、これをシャフト116で弁座に押しつけて閉状
態を保っている。本体に組み込まれたソレノイドコイル
118に通電すると、ソレノイドのプランジャ119に
より、シャフト116を介してボール114を弁座側に
押しつける力が作用する。従って、ソレノイドコイル1
18への通電量を制御することで、ボール114を弁座
に押しつける力を自由に制御することができる。マスタ
シリンダポート100から分岐した流路117に設けら
れた減圧側ポペット弁112は、マスタシリンダ54が
発生する油圧(以下、マスタシリンダ油圧と呼び、必要
に応じてM/C油圧と略記する)により、ボール120
が弁座に押しつけられ、閉状態となっているから、M/
C油圧によりボール114に作用する力がソレノイドコ
イル118による吸引力を上回るまで、増圧側ポペット
弁110も閉状態に保たれる。
【0026】以上の構成を有する油圧バルブ70の増圧
側ポペット弁110の動作原理を模式的に示したのが、
図4である。図示するように、増圧側ポペット弁110
のボール114には、これを開く方向にマスタシリンダ
54の油圧PM/C が加わっており、他方シャフト116
を介して、反対方向に力Fが加えられている。ボール1
14が全閉状態の時に弁座に当接した外周線の内側の断
面積をAとすると、 F>A・PM/C となっている場合には、この弁は全閉状態に保たれる。
【0027】ブレーキペダル52を踏み込むことによ
り、マスタシリンダ54が発生するM/C油圧が上昇
し、 F≦A/PM/C となると、ボール114は、徐々に開側に移動し、油圧
バルブ70からは、マスタシリンダ54のM/C油圧か
ら力Fに対応する圧力だけ減じた圧力がフロントホイー
ルシリンダ62,64に加えられる。詳しくは後述する
が、実際には、図5に示すように、回生により可能な最
大制動エネルギEに対応した圧力P0 に対して、 F=A・P0 となるようソレノイドコイル118への通電が制御され
ている。
【0028】ブレーキペダル52を強く踏んでM/C油
圧が所定圧P0 を越えた後、ブレーキペダル52を戻し
て行くと、フロントホイールシリンダ62,64側の圧
力の方がブレーキマスタシリンダ54側の圧力より高く
なるから、増圧側ポペット弁110は閉じ、減圧側ポペ
ット弁112が開く。従って、ホイールシリンダ62,
64の油圧、ひいては制動力は、ブレーキペダル52の
操作に応じて低下して行く。
【0029】他方、後輪72,74側の油圧系統に設け
られた油圧バルブ71は、前輪42,44用の油圧バル
ブ70と同一の構造を有するが、回生ECU90からの
制御が異なるので、その開始圧力は油圧バルブ70とは
異なったものとなる。また、油圧バルブ71の下流側に
は、圧力バルブ80が設けられており、M/C油圧が開
始圧力を越えた後のホイールシリンダに付与される圧力
を、M/C油圧に対して所定の割合としている。油圧バ
ルブ71を油圧バルブ70と同一の圧力で開くよう制御
すると、図5に示すように、後輪72,74の制動力を
決定するリアホイールシリンダ82,84には、油圧バ
ルブ71および圧力バルブ80により、M/C油圧がP
0 となった後、所定の割合で増加する油圧が加わる。
【0030】次に本発明の第1実施例における制動力の
制御について、図6のフローチャートに基づいて説明す
る。なお、図6は、回生ECU90単独の処理を示した
ものではなく、回生ECU90およびモータECU92
が油圧バルブ70,71と一体となって、実現する制御
を示している。
【0031】この制動装置40は、まずM/C油圧が値
0か否かの判断を行ない(ステップS180)、M/C
油圧が値0の場合には、回生ブレーキをオフにする処理
を行なう(ステップS181)。実際には、回生ECU
90からの指令を受けて、モータECU92が、インバ
ータ50を介してモータ46により行なう電力の回生を
中止するのである。
【0032】一方、M/C油圧が値0でない場合には、
ブレーキペダル52が操作され、制動が要求されている
と判断し、回生ブレーキをオンにする処理を行なう(ス
テップS182)。即ち、モータECU92によりイン
バータ50を介した電力の回生制御を行ない、モータ4
6により発電した電力をバッテリ48に充電するのであ
る。更に、M/C油圧が所定値PR より大きいか否かの
判断を行なう(ステップS183)。
【0033】ここで、所定値PR は、図7に示すよう
に、回生による最大制動力Eに対応したブレーキマスタ
シリンダ54のM/C油圧に対応した値である。回生に
よる制動力は、モータ46を発電機として作動させるこ
とにより前輪42,44に付与される制動力であり、発
電する電力に比例する。しかし、発電する電力には、シ
ステム上の上限が存在するから、モータECU92がイ
ンバータ50を制御して徐々に発電量を増加して行く
と、所定の発電量で頭打ちとなる。これが図7に制動の
エネルギの最大値として示した値Eである。この発電可
能な最大電力は、インバータ50を介して接続されたバ
ッテリ48の充電状態によっても左右される。例えば、
バッテリ48がフル充電状態であれば、大量に発電して
もバッテリ48が受け入れられないので、発電の必要性
が低くなり、回生による制動を小さくせざる得ない。回
生により付与可能な制動力以上の制動力が必要となった
ときには、ブレーキマスタシリンダ54により生じた制
動油圧を用いて各輪を制動する必要が生じる。そこで、
バッテリ48の状態などから演算して求めた最大制動力
Eと比較するのである。
【0034】M/C油圧が所定値PR より大きい場合に
は、後輪72,74用の油圧系統に設置された油圧バル
ブ71を開く処理を行なう(ステップS184)。即
ち、最大制動力Eに対応する制動力まで摩擦制動力が作
用するのを阻止するようにソレノイドコイル118への
通電量を設定するのである。この結果、ブレーキペダル
52が踏み込まれてブレーキマスタシリンダ54の油圧
が所定値PR より大きな値となると、初めて後輪72,
74のリアホイールシリンダ82,84に制動のための
油圧が供給される。この時点では、前輪42,44のフ
ロントホイールシリンダ62,64には未だ油圧が供給
されていない。
【0035】そこで、次にM/C油圧が所定値PR より
大きな第2の所定値Pfより大きな値になったか否かの
判断を行ない(ステップS185)、ブレーキペダル5
2が更に踏み込まれてM/C油圧が第2の所定値Pfを
越えた場合には、前輪42,44側の油圧系統に設置さ
れた油圧バルブ70を開く処理を行なう(ステップS1
86)。第2の所定値Pfは、図7に示すように、前輪
42,44への油圧による制動が後輪72,74への油
圧による制動より遅れて開始されるように設定された値
である。従って、この油圧以上で油圧バルブ70が開状
態となるように、油圧バルブ70のソレノイドコイル1
18への通電を制御するのである。この結果、ブレーキ
ペダル52が踏み込まれてブレーキマスタシリンダ54
の油圧が所定値Pfより大きな値となると、初めて前輪
42,44のフロントホイールシリンダ62,64に制
動のための油圧が供給される。この時点では、後輪7
2,74のリアホイールシリンダ82,84には既に油
圧が供給されており、車両における全制動力は、「回生
による制動力」+「後輪72,74への油圧による摩擦
制動力」+「前輪42,44への油圧による摩擦制動
力」となっている。
【0036】以上のように構成された第1実施例の制動
装置160では、ブレーキペダル52によって要求され
た制動力が回生により得られる最大制動力Eを越える
と、まず非駆動輪である後輪72,74側に摩擦による
制動力をM/C油圧を利用して加えるので、駆動輪であ
る前輪42,44と後輪72,74との制動力のバラン
スが良好になるという利点が得られる。この結果、スリ
ップが生じにくく、制動距離も短くなるという効果が得
られる。更に、この実施例では、制動の要求が存在する
にもかかわらず回生を禁止するということがなく、かつ
制動力が所定値以下(M/C油圧≦PR )では、回生に
よる制動のみ利用しており、エネルギの無駄を生じるこ
とがない。従って、一充電走行距離も改善される。
【0037】次に本発明の第2の実施例について説明す
る。この実施例は、第1実施例と同一のハード構成によ
り実現されるものであり、第1実施例と同様、前輪4
2,44と後輪72,74との制動力の按分の適正化を
意図したものである。第2実施例の制動装置40は図8
に示す処理ルーチンを実行する。この処理は、回生EC
U90により実行される。
【0038】この処理を開始すると、油圧センサ60に
より検出したM/C油圧に基づいてブレーキスイッチが
オンとなっているか否かの判断を行なう(ステップS2
00)。ブレーキスイッチがオフの場合には、制動力の
制御を行なう必要がないことから、後輪72,74の摩
擦による制動力の初期値Gint をセットする処理を行な
い(ステップS202)、そのまま何も行なわないで、
処理を終了する。
【0039】一方、ブレーキスイッチがオンであると判
断された場合には、バッテリ48の充電状態を読み込む
処理を行ない(ステップS204)、バッテリ48の充
電状態から車両の駆動輪である前輪42,44の最大回
生制動力Gmax を算出する処理を行なう(ステップS2
06)。最大回生制動力Gmax とは、駆動輪である前輪
42,44が回生によりなし得る制動の最大値に相当
し、バッテリ48充電状態その他によって定まる値であ
る。換言するならば、最大回生制動力Gmax 以上の制動
力は、駆動輪である前輪42,44に回生によっては付
与し得ないといえる。次に、モータECU92を介して
ブレーキマスタシリンダ54のM/C油圧Pを読み込む
処理を行ない(ステップS208)、このM/C油圧P
に基づいて、全体制動力を演算する処理を行なう(ステ
ップS210)。全体制動力は、図9の直線J1に従っ
て演算される。即ち、ブレーキペダル52の踏込に応じ
てブレーキマスタシリンダ54に発生する油圧に比例し
た制動力を求めるのである。M/C油圧を、ブレーキペ
ダル52の操作に対応した圧力という意味で、以下ブレ
ーキ踏力と呼ぶ。
【0040】次に、こうして求めた全体制動力が先に
(ステップS206)求めた最大回生制動力Gmax 以上
か否かの判断を行なう(ステップS212)。全体制動
力が最大回生制動力Gmax を以上でなければ、モータE
CU92に制御信号を送り、回生による制動トルクTB
がステップS210で演算した全体制動力となるようモ
ータECU92を介してインバータ50を制御する(ス
テップS214)。全体制動力が、回生による制動で間
に合う場合には、油圧による摩擦制動力は必要ないか
ら、前輪42,44のフロントホイールシリンダ62,
64にM/C油圧が供給されないよう油圧バルブ70
を、後輪72,74のリアホイールシリンダ82,84
にM/C油圧が供給されないよう油圧バルブ71を、各
々閉状態に保持し(ステップS216)、「END」に
抜けて本処理ルーチンを終了する。なお、両バルブを区
別しやすくするため、以下、油圧バルブ70をFrブレ
ーキ油圧バルブと呼び、油圧バルブ71をRrブレーキ
油圧バルブと呼ぶものとする。
【0041】一方、ステップS212で、全体制動力が
最大回生制動力Gmax 以上であると判断された場合に
は、まず回生制動トルクTBを最大回生制動力Gmax に
制御し(ステップS220)、回生によって得られる最
大の制動力を前輪42,44に付与する。その後、不足
分の制動力を油圧により補うものとして、遊動輪である
後輪72,74の油圧制動力(以下、Rr油圧制動力と
言う)を初期値Gint にセットする処理を行なう(ステ
ップS222)。その後、Rr油圧制動力を、その初期
値Gint にブレーキペダル52の踏力に応じた摩擦力を
加えた値とするように設定する(ステップS224)。
ブレーキペダル52の踏力に応じた摩擦力とは、図9の
直線J2に示したように、ブレーキ踏力に比例して増加
するよう予め定められた値である。この結果、後輪7
2,74に付与される制動力は、図9に「Rr摩擦」と
して示したように、全体制動力が最大回生制動力Gmax
を越えたとき、初期値Gint に設定され、後はブレーキ
踏力(M/C油圧)に比例して増大する。
【0042】次に、前輪42,44側の油圧制動力(以
下、Fr油圧制動力と言う)をブレーキ踏力に応じた摩
擦力として設定する処理を行なう(ステップS22
6)。即ち、Fr油圧制動力は、図9に「Fr摩擦」
(直線J3)として示したように、全体制動力が最大回
生制動力Gmax を越えると、ブレーキ踏力に比例して増
大する制動力として定められている。後輪72,74、
前輪42,44について、以上説明したように、各々油
圧制動力の設定を行なった後、前輪42,44および後
輪72,74の制動力がRr油圧制動力、Fr油圧制動
力となるよう各油圧バルブ70,71を制御する(ステ
ップS228)。その後、「END」に抜けて、本処理
ルーチンを終了する。
【0043】なお、上記説明では、理解の便を図るた
め、ステップS228で直接油圧バルブ70,油圧バル
ブ71を制御してRr,Fr制動力を制御するとしてい
るが、実際には、油圧バルブ70,油圧バルブ71のソ
レノイドコイル118への通電電流を最大回生制動力G
max に応じて決定するだけで、Fr油圧制動力,Rr油
圧制動力が立ち上がるブレーキ踏力は決定されている。
また、ブレーキ踏力に対する油圧制動力の増加の割合
(直線J2,J3の傾き)は、油圧バルブ70,油圧バ
ルブ71の圧力損失と、圧力バルブ80の設定値により
定まる。従って、ブレーキ踏力に対する油圧制動力の増
加の割合は予め定められており、制動時に行なう実際の
制御は、ステップS202でRr油圧制動力の初期値を
セットすると共に(即ち、ソレノイドコイル118の付
勢力を初期値Gint に対応する油圧分減じると共に)、
ステップS206で求めた最大回生制動力Gmax に応じ
て油圧バルブ70,油圧バルブ71のソレノイドコイル
118の通電電流を決定することだけである。こうした
関係は、以下の他の実施例でも同様である。
【0044】以上説明した本実施例では、ブレーキペダ
ル52の操作量(ブレーキ踏力)に応じて定まる全体制
動力(M/C油圧に比例して必要とされる要求制動力)
が駆動輪である前輪42,44にモータ46の回生によ
り付与し得る制動力の最大値Gmax を越えるまで、回生
により前輪42,44に制動力を付与し、全体制動力が
回生最大制動力Gmax を越えると、まずRr油圧制動力
を初期値Gint まで素早く上昇させ、その後、Rr油圧
制動力,Fr油圧制動力も共に、ブレーキ踏力に比例し
て増加させる。この結果、制動力は、図9に「全体」と
して示したように、M/C油圧が回生最大制動力Gmax
に対応した所定圧P0 を越えると短期間に上昇し、その
前後ではブレーキ踏力に応じて上昇する。
【0045】従って、図10に示すように、Fr油圧制
動力とRr油圧制動力との比率は、後者が、回生最大制
動力Gmax の点の前後で大きく変化することで変化し、
前輪(駆動輪)42,44と後輪(遊動輪)72,74
への制動力の配分は、理想的な配分に近づくことにな
る。前後輪への制動力の理想的な配分を、図10に、符
号F0で示した。回生による制動力を優先しないモード
(通常モード)F1では、前輪42,44および後輪7
2,74への制動力を、この理想的な配分にできるだけ
近づけるような制御が可能である。一方、回生最大制動
力Gmax までは回生制動のみを使用し、その後Fr制動
力とRr制動力とを付与する従来の構成では、図10符
号F3のように、制動力の配分比は、理想配分からほど
遠いものとなってしまう。これに対して、本実施例で
は、符号F2で示したように、理想配分に近い制動力の
配分が実現されている。
【0046】このように、本実施例によれば、回生制動
を100パーセント利用してエネルギの回収を効率良く
行なうと共に、制動力の配分比も改善することができ
る。この結果、一充電走行距離が延ばし、更に制動距離
の短縮、制動特性の改善を図ることができる。
【0047】次に、本発明の第3の実施例について説明
する。図11は、第3実施例としての制動力制御装置に
おける処理の概要を示すフローチャートである。この制
動装置は、第2実施例と同一のハード構成により実現さ
れるものであり、第1実施例と同様、前輪42,44と
後輪72,74との制動力の按分の適正化を意図し、加
えて第2実施例の制御を更に改良したものである。この
処理は、回生ECU90により実行される。
【0048】この実施例におけるステップS240、S
244ないしS260は、第2実施例におけるステップ
S200、S204ないしS220と同一である。従っ
て、本実施例では、これらのステップについては説明を
省略する。なお、この実施例では、第2実施例における
ステップS202(Rr油圧制動力の初期値の設定)に
対応するステップは存在しない。
【0049】本実施例において、ステップS252で、
全体制動力が回生最大制動力Gmax以上であると判断さ
れると、まず、駆動輪のモータ46の回生トルクTBを
最大回生制動力に制御し(ステップS260)、回生制
動力だけでは不足している制動力を油圧により摩擦制動
力の形で付与するものとし、これを前輪および後輪に配
分する。配分の手法は、次の通りである。まず、そのR
r制動力とFr制動力との比(Rr制動力/Fr制動
力)が所定の制動力配分比以下となっているか否かを判
断する(ステップS261)。ブレーキペダル52が踏
み込まれて全体制動力が上昇し最大回生制動力Gmax を
越えた直後には、後輪には制動力はほとんど配分されて
いないから、Rr制動力/Fr制動力は所定値以下とな
っている。この場合には、まず後輪72,74に優先的
に制動力を配分するものとし、まずFrブレーキ油圧バ
ルブ70を閉状態に保持し、前輪42,44側に油圧に
よる制動が作用しないよう制御する(ステップS27
0)。
【0050】次に、Rr油圧制動力を、全体制動力から
回生最大制動力を引いた値として求め(ステップS27
2)、Rr油圧制動力がこの値となるようRrブレーキ
油圧バルブ71を制御する(ステップS274)。実際
には、油圧バルブ71のソレノイドコイル118への通
電電流を制御することは、上述した他の実施例と同様で
ある。以上の処理により、図12に示すように、ブレー
キ踏力に対して全体制動力K1が要求制動力であるとし
て、ブレーキ踏力が最大回生制動力Gmax に対応した圧
力P0 となったとき、後輪72,74の制動用油圧を、
全体制動力K1と等しい傾きで増大させる(図12に示
した「Rr摩擦」)。
【0051】一方、ステップS261において、Rr制
動力/Fr制動力が所定値以下ではないと判断された場
合には、次の条件式を満たすようFr油圧制動力,Rr
油圧制動力を演算する(ステップS262)。
【0052】全体制動力=前輪側制動力+後輪制動力 =(Fr油圧制動力+最大回生制動力)+Rr油圧制動
力 … (1) Rr制動力/Fr制動力=所定値 … (2)
【0053】Rr制動力/Fr制動力が所定値より大き
い場合には、上式(1)(2)を満たすRr制動力,F
r制動力が見いだされるからこれを求め、求めた制動力
となるようRrブレーキの油圧バルブ71、Frブレー
キの油圧バルブ70を各々制御する(ステップS26
4)。この結果、図12に示すように、Fr制動力は、
Rr制動力が増大して、最大回生制動力に対して所定の
割合となったときから増加し始め(図12「Fr摩
擦」)、と同時にRr制動力の増加の割合は破線K2の
傾きに低減される(同図「Rr摩擦」)。
【0054】以上説明した第3実施例の制動力制御装置
によれば、第2実施例同様、前輪42,44と後輪7
2,74との制動力の配分を理想配分に少しでも近づ
け、配分のバランスを良好にすることができるが、第2
実施例と較べて、更にブレーキ踏力による全体制動力が
最大回生制動力Gmax を越えたときの後輪72,74の
制動力の増加が、要求制動力に沿って行なわれるため、
車両全体の制動力の変化が滑らかで、車両運転上違和感
がない。
【0055】次に本発明の第4の実施例について説明す
る。第4実施例の制動力制御装置は、第3実施例と較べ
て、その処理(図13)は大部分同一である。即ち、第
3実施例のステップS240ないしS260と、本実施
例のステップS300ないしS320は同一であり、更
に第3実施例のステップS270ないしS274と本実
施例のステップS330ないし334は各々同一である
(3桁の符号が60番異なる)。従って、本実施例に独
自の構成は、図13に示すステップS322およびステ
ップ340ないしS344である。
【0056】本実施例では、全体制動力が最大回生制動
力Gmax 以上と判断された時(ステップS312)、モ
ータ46の回生トルクTBを最大回生制動力Gmax に制
御し(ステップS320)、その後、ブレーキ踏力が所
定値BO2以上か否かの判断を行なう(ステップS32
2)。この所定値BO2は、図14に示すように、最大回
生制動力Gmax に対応した所定値BO1より大きな所定の
値として定められている。ブレーキ踏力が最大回生制動
力Gmax を越えてから更に所定の大きさだけ増加するま
では、ステップS330ないしステップS334の処
理、即ち前輪42,44側の油圧バルブ70を閉じ、前
輪42,44側に油圧による制動が作用しないよう制御
し(ステップS330)、Rr油圧制動力を、全体制動
力から回生最大制動力を引いた値として求め(ステップ
S332)、Rr油圧制動力がこの値となるようRrブ
レーキ油圧バルブ71を制御する(ステップS334)
のである。この結果、図13にブレーキ踏力がBO1から
BO2までの間として示したように、前輪42,44の制
動力は最大回生制動力Gmax に保たれる。一方、遊動輪
である後輪72,74の制動力は、図中「Rr摩擦」と
して示したように、この区間では要求制動力の不足分を
補うように増加する。
【0057】他方、ブレーキ踏力が所定値BO2より大き
くなった場合には(ステップS322)、まずFr制動
力としてブレーキ踏力に応じた摩擦力を付与する(ステ
ップS340)。ブレーキ踏力に応じた摩擦力は、図1
4に示す直線L2に従って求められる。更に、後輪7
2,74の摩擦制動力を、全体制動力に対する不足分と
して求める処理を行なう(ステップS342)。即ち、
上述した式(1) 全体制動力=前輪側制動力+後輪制動力 =(Fr油圧制動力+最大回生制動力)+Rr油圧制動
力 … (1) に従って、Rr油圧制動力を求めるのである。
【0058】その後、求めた各輪の油圧制動力を実現す
るように、油圧バルブ70,油圧バルブ71を制御する
(ステップS344)。この結果、ブレーキ踏力がBO2
以上となった場合には、前輪42,44の制動力は、最
大回生制動力Gmax から直線L2として設定した傾きで
増加し、更に後輪72,74の制動力は、全体制動力が
直線L1となるよう増加する。
【0059】以上説明した第4実施例の制動装置は、ブ
レーキ踏力が増加してゆくとき、全体制動力が最大回生
制動力Gmax を越えると、あたかも前輪42,44の制
動力の増加が、後輪72,74の制動力の増加に対して
所定時間遅れて始まるように制動力を制御する。従っ
て、全体制動力の増加は滑らかに行なわれ、制動感を損
なうことがなく、しかも前輪42,44と後輪72,7
4の制動力のアンバランスを改善することができる。こ
の実施例では、前輪42,44と後輪72,74の制動
力比を理想配分に近づけるように特別な処理を行なう訳
ではないが、前輪42,44の制動油圧の増加を後輪7
2,74の制動油圧の増加に対して遅らせることで、結
果的に、両輪の制動力の配分は適正な配分に近づけられ
る。
【0060】次に本発明の第5の実施例について説明す
る。第5実施例の制動装置は、第4実施例と較べて、ほ
ぼ同一の処理(図15)を行なう。即ち、第4実施例の
ステップS300ないしS320と、本実施例のステッ
プS350ないしS370は同一であり、更に第4実施
例のステップS330ないしS334と、本実施例のス
テップS380ないしS384も同一である(3桁の符
号が50番異なる)。従って、本実施例に独自の構成
は、図15に示すステップS373およびステップS3
90ないしS394である。
【0061】本実施例では、全体制動力が最大回生制動
力Gmax 以上と判断された時(ステップS362)、モ
ータ46の回生トルクTBを最大回生制動力Gmax に制
御し(ステップS370)、その後、全体制動力が所定
値G2以上か否かの判断を行なう(ステップS37
3)。この所定値G2は、図16に示すように、最大回
生制動力Gmax より大きな所定の値として定められてい
る。全体制動力が最大回生制動力Gmax を越えて所定値
まで増加する間は、ステップS380ないしステップS
384の処理、即ち前輪42,44側の油圧バルブ70
を閉じ、前輪42,44側に油圧による制動が作用しな
いよう制御し(ステップS380)、Rr油圧制動力
を、全体制動力から回生最大制動力を引いた値として求
め(ステップS382)、Rr油圧制動力がこの値とな
るようRrブレーキ油圧バルブ71を制御する(ステッ
プS384)のである。この結果、図16に制動力が最
大回生制動力Gmax までの間として示したように、前輪
42,44の制動力は最大回生制動力Gmax に保たれ
る。一方、遊動輪である後輪72,74の制動力は、図
中「Rr摩擦」として示したように(直線N2)、一定
の割合で増加する。従って、この区間では全体制動力の
不足分は、後輪72,74の制動力によっては補い切れ
ず、制動力の特性は緩やかになる。
【0062】他方、全体制動力が所定値G2より大きく
なった場合には(ステップS373)、まずFr制動力
としてブレーキ踏力に応じた摩擦力を付与する(ステッ
プS390)。ブレーキ踏力に応じた摩擦力は、図16
示す直線N3に従って求められる。更に、後輪72,7
4の摩擦制動力を、先に用いた特性(直線N2)をその
まま用いて求める処理を行なう(ステップS392)。
【0063】その後、求めた各輪の油圧制動力を実現す
るように、油圧バルブ70,油圧バルブ71を制御する
(ステップS394)。この結果、全体制動力が所定値
G2以上となった場合には、前輪42,44の制動力
は、最大回生制動力Gmax から直線N3として設定した
傾きで増加する。この実施例では、全体制動力が最大回
生制動力Gmax 以上となった場合、後輪72,74の制
動力を、不足する制動力を補うものとして求めるのでは
なく、所定の特性(直線N2)で求めるだけなので、こ
の領域では、全体制動力は全体として緩やかな特性を示
す。
【0064】以上説明した第5実施例の制動装置は、ブ
レーキ踏力が増加してゆくとき、全体制動力が最大回生
制動力Gmax を越えると、第4実施例と同様、あたかも
前輪42,44の制動力の増加が、後輪72,74の制
動力の増加に対して所定時間遅れて始まるように制動力
を制御する。従って、前輪42,44と後輪72,74
の制動力のアンバランスを改善することができる。この
実施例では、前輪42,44と後輪72,74の制動力
比を理想配分に近づけるように特別な処理を行なう訳で
はないが、前輪42,44の制動油圧の増加を後輪7
2,74の制動油圧の増加に対して遅らせることで、結
果的に、両輪の制動力の配分は適正な配分に近づけられ
る。
【0065】次に本発明の第6の実施例について説明す
る。以下に説明する制動装置は、車輪のロックを検出し
て適正な制動力の配分を行なおうとするものであり、第
6実施例の制動装置は、特に第3実施例のステップS2
50以下を変更したものである。その処理を図17に示
した。即ち、第6実施例の制動装置は、全体制動力を図
12に示す直線K1に基づいて演算した後(ステップS
250)、車輪にロックが発生したか否かの判断を行な
う(ステップS400)。車輪のロックは、図示しない
車輪速度センサの検出結果から、例えばその微分値が所
定値未満となったか否か等の簡易な判定により検出する
ことができる。
【0066】車輪のロックが発生していない場合には、
処理は、ステップS252(図11)に進み、前述した
処理(図11参照)を実行する。この時、制動力の制御
特性は、図12に示した回生優先モードと同一になる。
一方、車輪ロックが発生していると判断した場合には、
Rrブレーキ油圧バルブ71を強制的に開き(ステップ
S402)、後輪72,74に摩擦による制動力を付与
するとして、Rr油圧制動力を図18に示す通常モード
に従い、直線L4に基づいた摩擦力に設定する処理を行
なう(ステップS404)。続くステップS406で
は、油圧バルブ71を制御して、実際の制動力をこれに
一致させる処理を行なう。
【0067】この結果、図18に示したように、全体制
動力が最大回生制動力Gmax 以下の領域でも、車輪にロ
ックが発生すれば、後輪72,74への油圧を用いた制
動力が付与され、後輪72,74の制動力が増えた分、
全体の制動力も増加する(×印から●印まで)。Rr摩
擦制動力は、回生最大制動力Gmax 未満では、本来付与
されないが、ロック発生時には、制動力の配分比を適正
に保つため、直線L4に従って、後輪72,74に付与
されるのである。この結果、前輪42,44および後輪
72,74の配分は理想配分に強制的に近づけられ、駆
動輪である前輪42,44のロックは回避される。
【0068】その後、全体制動力が所定値G3以上であ
るか否かの判断を行なう(ステップS408)。ロック
発生時の全体制動力は、図18に示すように、回生制動
力(図示Fr回生)にRr摩擦制動力を付与したものと
なっている。前輪42,44への回生による制動力は、
回生最大制動力Gmax 以上には増えないから、全体制動
力から、前輪42,44に油圧を用いた摩擦制動力の付
与を開始するポイントを、所定値G3に基づいて見いだ
すのである。全体制動力がこの所定値G3より小さい場
合には、Frブレーキ油圧バルブ70閉状態に保持し
(ステップS420)、次式(3)に従って、全体の制
動力を求める処理を行なう(ステップS422)。 全体制動力=L6に基づいた駆動輪回生制動力+Rr油
圧制動力 … (3)
【0069】即ち、全体制動力が所定値G3未満でロッ
クが発生したと判断されると、車両の制動力は、回生に
よる前輪42,44への制動力とブレーキマスタシリン
ダ54に発生した油圧を配分することによる後輪72,
74に付与される摩擦制動力との和となる。他方、全体
制動力が所定値G3以上となると(ステップS40
8)、はじめて前輪42,44への摩擦制動力を用いる
ものとし、回生トルクTBを最大回生制動力Gmax に制
御する処理を行なう(ステップS410)。その後、車
両の制動力を、最大回生制動力Gmax ,Rr油圧制動力
(直線L4に従う)および直線L5に従って求められた
Fr制動力の総和として制御する処理を行なう(ステッ
プS412)。その後、「END」に抜け本処理ルーチ
ンを終了する。
【0070】以上説明した第6実施例によれば、車輪に
ロックが発生した場合の制動力の制御モードとロックが
発生していない場合の制動力の制御モードとを備え、車
輪にロックが発生した場合には、全体制動力がたとえ最
大回生制動力Gmax 未満でも後輪72,74に摩擦制動
力を付与する。従って、前輪42,44および後輪7
2,74に制動が掛けられることになり、制動力の配分
比が理想配分に近づけられることになる。両輪の制動力
の配分がロックを起こしにくい理想配分に近づくので、
ロックが解除され、スリップなどの発生が未然に防止さ
れるのである。
【0071】なお、ロックの発生を検出して後輪72,
74に油圧による摩擦制動力を付与する場合、図17の
フローチャートでは、制動力を徐々に増加する処理は示
していないが、実際の制御では、いわゆるなまし処理を
行ない、制動力を徐々に増加し、制動力の割合の急激な
変化を回避している。従って、制動力の割合が急変して
何らかの不具合を生じるといったことはない。
【0072】次に本発明の第7の実施例について説明す
る。第7実施例の制動装置580は、図19に示すよう
に、第1実施例として説明したハードウェアの構成(図
2参照)に、アンチロックブレーキシステム(以下、A
BSと略称する)を加えたものであり、新たな構成とし
て、ABSECU96とABSアクチュエータ98を備
える。ABSECU96は、回生ECU90と情報のや
り取りを行ないつつABSアクチュエータ98を制御す
る制御装置であり、他のECU同様、CPU,ROM,
RAM,入出力I/Fを備える。また、ABSアクチュ
エータ98は、前輪42,44および後輪72,74へ
の油圧系統において、油圧バルブ70,油圧バルブ71
とフロントホイールシリンダ62,64およびリアホイ
ールシリンダ82,84との間に設けられたものであ
り、ブレーキマスタシリンダ54から油圧バルブ70,
油圧バルブ71を介してフロントホイールシリンダ6
2,64およびリアホイールシリンダ82,84に付与
される油圧を制御するアクチュエータである。
【0073】本実施例においてABSECU96は、各
輪に設けられた車輪速度センサ99aないし99dから
の信号を読み込んで、車輪がロックしたと判断した場合
には、ABSアクチュエータ98を制御して、フロント
ホイールシリンダ62,64、リアホイールシリンダ8
2,84に加えられる油圧を一時的に低下させ、車輪の
ロックが解除されれば、再度油圧を上昇させるといった
周知のアンチロック制御を独立に行なっている。ABS
ECU96は、前輪42,44の車輪速度センサ99
a,99bからの信号を回生ECU90に出力すると共
に、アンチロック制御の実施状態については、ABSが
作動した場合、これを回生ECU90に報知する。
【0074】回生ECU90が実施する処理について、
図20に従い説明する。この制動処理が開始されると、
まず初期化の処理を行ない(ステップS600)、次に
ブレーキスイッチがオンしたか否かを判断する(ステッ
プS602)。ブレーキスイッチのオン/オフの判定
は、上述した他の実施例同様、ブレーキマスタシリンダ
54の油圧の上昇を検出することにより行なわれる。ブ
レーキスイッチがオフであれば、制動すべき要求は存在
しないから、フロント,リヤの油圧バルブ70,油圧バ
ルブ71を閉状態に保持し、車輪に対する一切の制動を
行なわない(ステップS604)。
【0075】一方、ブレーキスイッチがオンと判定され
た場合には(ステップS602)、現在の回生トルクを
計算すると共に(ステップS606)、前輪42,44
がロックしているか否かの判定を行なう(ステップS6
08)。前輪42,44のロックは、ABSECU96
から受け取った前輪42,44の車輪速度に基づいて回
生ECU90が判定する。ここで言う前輪42,44の
ロックは、ABSECU96によりアンチロック制御が
動作するようなロック、即ち看過し難いスリップが生じ
た状態を意味するのではなく、回生による制動が前輪4
2,44にのみ付与される結果生じる前輪42,44の
ロック傾向を意味する。前輪42,44がロックしてい
ないと判断された場合には、ステップS609に移行
し、通常の制動力制御を行なう。通常の制動力制御とし
ては、第1ないし第6実施例として説明した制御のいず
れか、あるいは同様の制御を採用することができる。
【0076】前輪42,44がロックしていると判断さ
れた場合には、後輪72,74側の油圧バルブ71を開
き、後輪72,74のリアホイールシリンダ82,84
にM/C油圧を供給して摩擦による制動力を付与する処
理を行なう(ステップS610)。摩擦制動力の大きさ
は、上述した各実施例に示した考え方を適用することが
できる。続いて、ABSアクチュエータ98を動作させ
る必要が生じたか否かの判断を行なう(ステップS61
4)。ABSを作動させる必要が生じている場合には、
回生トルクを減少すると同時にABSECU96に指令
を出してABSアクチュエータ98を駆動しABSの動
作を行なわせる処理を行なう(ステップS616)。な
お、ここで言う回生トルクを減少する処理とは、回生ト
ルクを0とする処理も含む。
【0077】その後、ABSECU96から受け取った
前輪42,44の車輪速度センサ99a,99bの信号
に基づいて現在の車輪速度を演算し(ステップS62
0)、再度ステップS602から、上述した処理を繰り
返す。
【0078】以上説明した本実施例によれば、ブレーキ
踏力が小さい領域では、総ての制動力を回生により賄う
が、低μ路等で前輪42,44のロックが生じ易い場
合、これを検出して後輪72,74にM/C油圧による
摩擦制動力を付与すると共に、回生による前輪42,4
4の制動力を低下させる。従って、回生による制動を優
先させていても、路面条件などにより車輪のロックが生
じ易い条件下では、制動力を前後輪に配分し、車輪ロッ
クの回避、制動距離の短縮化を図ることができる。その
後、更にブレーキ踏力が増大し、ABSECU96が車
輪のスリップを検出してABSアクチュエータ98を動
作させ、M/C油圧による車輪の制動を規制する場合に
は、前輪42,44について回生トルクを減少すると共
に油圧による摩擦制動力を増大するから、ABSECU
96によりアンチブレーキを効果的に作用させ、車両の
スリップを防止することができる。この結果、ABSの
信頼性が高まると共に、従来のABSをそのまま利用し
て回生制動によるエネルギの回収も効果的に行なうこと
ができるという利点が得られる。
【0079】以上本発明のいくつかの実施例について説
明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるも
のではなく、例えば後輪駆動車両に適用した構成、駆動
源としてモータと共に内燃機関を併用したいわゆるハイ
ブリッド車に適用した構成、あるいは4輪駆動車に適用
した構成など、本発明の要旨を逸脱しない範囲内におい
て、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0080】
【発明の効果】以上説明したように本発明の電気自動車
の制動装置によれば、要求制動力が回生により回生輪に
付与可能な最大制動力を越えたとき、回生輪と非回生輪
との制動力の配分を適正な配分に近づけることができる
という優れた効果を奏する。従って、車両の制動特性が
改善され、制動距離の短縮などにも資することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電気自動車の制動装置の基本的構成を
例示するブロック図である。
【図2】本発明の第1実施例としての制動装置40の概
略構成図である。
【図3】油圧バルブ70の構成を油圧系統と共に示す説
明図である。
【図4】油圧バルブ70の動作原理を示す説明図であ
る。
【図5】車両における制動力の配分を示すグラフであ
る。
【図6】第1実施例における制動力制御処理ルーチンを
示すフローチャートである。
【図7】第1実施例における制動力の配分を示すグラフ
である。
【図8】第2実施例としての制動力制御ルーチンを示す
フローチャートである。
【図9】同じくその場合の制動力の配分を示すグラフで
ある。
【図10】同じくその場合のFr制動力とRr制動力の
関係を例示するグラフである。
【図11】第3実施例としての制動力制御ルーチンを示
すフローチャートである。
【図12】同じくその場合の制動力の配分を示すグラフ
である。
【図13】第4実施例としての制動力制御ルーチンを示
すフローチャートである。
【図14】同じくその場合の制動力の配分を示すグラフ
である。
【図15】第5実施例としての制動力制御ルーチンを示
すフローチャートである。
【図16】同じくその場合の制動力の配分を示すグラフ
である。
【図17】第6実施例としての制動力制御ルーチンの要
部を示すフローチャートである。
【図18】同じくその場合の制動力の配分を示すグラフ
である。
【図19】本発明の第7実施例の制動装置580の概略
構成図である。
【図20】同じくその制動力制御ルーチンを示すフロー
チャートである。
【図21】従来の制動力制御における制動の状況を示す
説明図である。
【符号の説明】
40…制動装置 42,44…前輪 46…モータ 48…バッテリ 50…インバータ 52…ブレーキペダル 54…ブレーキマスタシリンダ 56…リザーバ 58…ブレーキシュミレータ 60…油圧センサ 62,64…フロントホイールシリンダ 68…油圧配管 70…Frブレーキ(フロント)油圧バルブ 71…Rrブレーキ油圧バルブ 72,74…後輪 72,74…他方後輪 78…油圧配管 80…圧力バルブ 82,84…リアホイールシリンダ 90,92,94…ECU 90…回生ECU 90a,92a,94a…CPU 90b,92b,94b…ROM 90c,92c,94c…RAM 90d,92d,94d…入出力I/F 92…モータECU 94…バッテリECU 96…ABSECU 98…ABSアクチュエータ 99a〜99d…車輪速度センサ 100…マスタシリンダポート 102…サブポート 104…ホイールシリンダポート 110…増圧側ポペット弁 112…減圧側ポペット弁 114…ボール 116…シャフト 117…流路 118…ソレノイドコイル 119…プランジャ 120…ボール 580…制動装置 M1…回生制動力付与手段 M2…摩擦制動力付与手段 M3…回生輪制動手段 M4…制動力配分比決定手段 M5…制動力制御手段 M10制動力付与遅延手段 MM…モータ W1…回生輪 W2…非回生輪
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 政司 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−161210(JP,A) 特開 平6−253406(JP,A) 特開 平7−163008(JP,A) 特開 平6−335105(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60L 7/00 - 7/28 F16D 61/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 要求制動力に基づいて、車両各車輪に制
    動力を加える電気自動車の制動装置であって、 車載のモータによる回生を用いて車輪の少なくとも一つ
    に回生制動力を付与可能な回生制動力付与手段と、 該回生による制動を加える回生輪および回生による制動
    を加えない非回生輪に、摩擦による制動力を独立に付与
    可能な摩擦制動力付与手段と、 要求制動力が前記回生制動力付与手段により付与可能な
    最大制動力未満の場合には、前記回生制動力付与手段に
    より、前記要求制動力に応じた制動力で前記回生輪を制
    動すると共に、前記要求制動力が前記最大制動力を越え
    た場合には、前記回生による制動力を前記最大制動力に
    保持する回生輪制動手段と、 前記要求制動力が前記最大制動力を越えた場合には、前
    記摩擦制動力付与手段により、前記要求制動力の増加に
    伴って前記非回生輪に摩擦による制動力を付与する第1
    の手段と、 前記要求制動力が、前記最大制動力より高い値として設
    定された所定値を上回るまでは、前記回生輪に対して摩
    擦による制動力を付与せず、前記要求制動力が前記所定
    値を上回ると、前記要求制動力の増加に伴って、前記回
    生輪に摩擦による制動力を付与する第2の手段と を備え
    た電気自動車の制動装置。
  2. 【請求項2】 要求制動力に基づいて、車両各車輪に制
    動力を加える電気自動車の制動装置であって、 車載のモータによる回生を用いて車輪の少なくとも一つ
    に回生制動力を付与可能な回生制動力付与手段と、 該回生による制動を加える回生輪および回生による制動
    を加えない非回生輪に、摩擦による制動力を独立に付与
    可能な摩擦制動力付与手段と、 要求制動力が前記回生制動力付与手段により付与可能な
    最大制動力未満の場合には、前記回生制動力付与手段に
    より回生輪を制動する回生輪制動手段と、 前記要求制動力が前記最大制動力を越えた場合には、前
    記回生による制動力を考慮して、前記回生輪と前記非回
    生輪との制動力の配分比を理想配分に近づけて決定する
    制動力配分比決定手段と、 該決定した配分比に基づいて、前記回生輪および非回生
    輪に、摩擦による制動力を前記摩擦制動力付与手段によ
    り付与する制動力制御手段とを備え、更に 前記制動力配
    分比決定手段は、 前記要求制動力が前記最大制動力を越えた時点で、制動
    力の不足分を、摩擦による制動力として前記回生輪と前
    記非回生輪とに配分するものとし、該回生輪と該非回生
    輪との制動力の配分比が所定の割合となるまで該非回生
    輪を優勢して配分比を決定する手段と、 該制動力の配分比が該所定の割合となった後は、理想配
    分に従って配分比を決定する手段とを有する電気自動車
    の制動装置。
  3. 【請求項3】 要求制動力に基づいて、車両各車輪に制
    動力を加える電気自動車の制動装置であって、 車載のモータによる回生を用いて車輪の少なくとも一つ
    に回生制動力を付与可能な回生制動力付与手段と、 該回生による制動を加える回生輪および回生による制動
    を加えない非回生輪に、摩擦による制動力を独立に付与
    可能な摩擦制動力付与手段と、 要求制動力が前記回生制動力付与手段により付与可能な
    最大制動力未満の場合には、前記回生制動力付与手段に
    より回生輪を制動する回生輪制動手段と、 前記要求制動力が前記最大制動力を越えた場合には、制
    動力の不足分を、前記摩擦制動力付与手段により、非回
    生輪に摩擦による制動力として付与すると共に、該制動
    力の付与に遅れて、前記回生輪にも摩擦による制動力を
    付与する制動力付与遅延手段とを備えた電気自動車の制
    動装置。
  4. 【請求項4】 前記制動力付与遅延手段は、前記非回生
    輪への摩擦による制動力が所定値以上となった後、前記
    回生輪にも摩擦による制動力を付与する手段である請求
    項3記載の電気自動車の制動装置。
  5. 【請求項5】 前記制動力付与遅延手段は、前記要求制
    動力が前記最大制動力より大きな判定値以上となった
    後、前記回生輪にも摩擦による制動力を付与する手段で
    ある請求項3記載の電気自動車の制動装置。
  6. 【請求項6】 前記制動力付与遅延手段は、前記回生輪
    に付与されている最大制動力と前記非回生輪への摩擦に
    よる制動力との比率が理想配分比となった後、前記回生
    輪にも摩擦による制動力を付与する手段である請求項3
    記載の電気自動車の制動装置。
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