JP5039212B2 - 印刷物品の製造方法、印刷用版、およびペースト - Google Patents
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Description
しかし近時、前記フォトリソグラフ法に代えて印刷法を利用することが普及しつつある。前記印刷法によれば、フォトリソグラフ法と比べてできるだけ工程数を少なく、消費エネルギーを小さく、使用する材料の無駄を少なく、そして短時間で生産性良くパターン形成をすることが可能である。また印刷法によれば、フォトリソグラフ法では形成するのが容易でなかった厚み0.5μm以上といった厚みのあるパターンを形成することも可能である。
このうち凹版オフセット印刷法では、前記画線部に対応した凹部を有する凹版を用意し、前記凹部に選択的にペースト(導電パターンでは、銀ペースト等の導電性ペースト)を充填した状態で、前記凹版の表面に、少なくとも表面をシリコーンゴム等で形成した印刷用ブランケットの前記表面を接触させたのち剥離することにより、前記凹部内のペーストを印刷用ブランケットの表面に転写させて、前記印刷用ブランケットの表面に、前記凹部に対応したペーストのパターンを形成する。
かかる凹版オフセット印刷法において、凹版の凹部に選択的にペーストを充填する際には、前記凹版上に供給したペーストを、ドクターブレードを用いてドクタリングするのが一般的である。前記ドクタリングにより、凹版の表面の、凹部間の凸部上のペーストを除去しながら、前記凹部にのみ選択的にペーストを充填できる。
剥離印刷法では、画線部に対応する撥樹脂性の領域と、非画線部に対応する親樹脂性の領域とを同一平面上に形成した平面状の版を用意し、前記版の、前記両領域を形成した表面の略全面にペーストを塗布した状態で、前記表面に印刷用ブランケットを接触させたのち剥離することにより、前記撥樹脂性の領域のペーストを印刷用ブランケットの表面に選択的に転写させて、前記印刷用ブランケットの表面に、前記領域に対応したペーストのパターンを形成する。
ところが前記各種の印刷法では、例えば基板等の被印刷体の表面に、その幅がおよそ100μm以下程度という幅の狭い一定幅の非画線部を隔てて複数の画線部が配列され、なおかつ前記画線部の厚みが例えば0.5μm以上といった厚みのある印刷物品を、精度良く連続的に製造するのは困難である。
そこで、ドクタリングの際に凹版の表面に圧接させるドクターブレードの圧接力を高めることが考えられる。
その結果、前記ペーストを基板の表面に転写して形成される画線部の厚みが面方向にばらついたり、厚みが小さくなりすぎて画線部にかすれや欠けを生じたりするといった別の問題を生じる。
しかし、基本的に凹版オフセット印刷法で用いる凹版と同じ版を用いるため、前記版の凸部が印刷用ブランケットの表面に食い込んで前記表面を傷つけたりしやすいという問題を解決することはできない。
かかるマイクロコンタクトプリント法では、その表面に、画線部に対応する凸部と、非画線部に対応する凹部とを形成した版を用意し、前記版の表面の略全面に前記液体を塗布したのち、前記版の表面に基板を接触させる。そうすると、前記版のうち凸部上の液体が選択的に基板の表面に転写されて、前記基板の表面にパターンが形成される。
しかし印刷物品の製造とマイクロコンタクトプリント法では、印刷するペーストと液体の粘度が違いすぎる上、基板の表面に形成する画線部の厚みも違いすぎるため、単純にマイクロコンタクトプリント法を転用することは技術的に不可能であった。
すなわち本発明は、被印刷体の表面に、複数の画線部を、それぞれ一定幅の非画線部を隔てて配列してなる印刷物品を製造するための製造方法であって、
前記画線部に対応する複数の凸部、および前記凸部間に前記非画線部に対応する一定幅の凹溝を備えるとともに、少なくとも前記凸部の表面がシリコーンゴムからなり、隣り合う凸部間の間隔である凹溝の幅が3μm以上、80μm以下、前記凸部の表面と凹溝の底面との高低差が3μm以上、20μm以下で、かつ隣り合う凹溝間の間隔である凸部の幅が15μm以上である印刷用版の表面の略全面に、
E型粘度計を用いて、温度25℃、せん断速度1(1/s)の条件で測定した粘度η 1 が18.6Pa・s以上、374Pa・s以下で、かつ温度25℃、せん断速度10(1/s)の条件で測定した粘度η 10 と、前記粘度η 1 とから、式(1):
TI=η 1 /η 10 (1)
で求められるチキソインデックス値TIが1.8以上、8.6以下であるペーストを塗布する工程と、
前記ペーストを半乾燥させる工程と、
前記ペーストを塗布した印刷用版の表面に前記被印刷体を圧接させることで、前記印刷用版の表面のうち凸部上のペーストのみを選択的に、前記被印刷体の表面に転写させる工程と、
を含むことを特徴とする。
例えば凸部表面のペーストを被印刷体に転写後の印刷用版の表面に、樹脂のフィルムまたはシートを、前記被印刷体よりも高い圧接力で圧接させたのち剥離することで、前記凹溝内に残留するペーストを、前記樹脂のフィルムまたはシートの表面に転写させて除去することができる。
したがって溶剤を用いることによる、前記溶剤の管理、洗浄後の廃液の処理、環境への配慮等に要する労力を大幅に軽減することができる。
なお印刷物品として、非画線部が格子状に配列され、前記画線部が、前記格子状の非画線部を隔てて矩形状に形成されてなるものを製造する場合、前記印刷用版としては、前記画線部に対応する複数の凸部、および前記凸部間に前記非画線部に対応する格子状の凹溝を備えるとともに、隣り合う凸部間の間隔である凹溝の幅が3μm以上、80μm以下、前記凸部の表面と凹溝の底面との高低差が3μm以上、20μm以下で、かつ凸部の幅である矩形の一辺の長さが15μm以上であるものを使用すればよい。
またJIS A硬さを15以上とすることにより、前記印刷用版の表面に被印刷体を圧接させた際の、前記凸部の過剰な変形を抑制して、印刷形状の精度を向上できる。
またJIS A硬さを80以下とすることにより、前記圧接時に、前記凸部を弾性変形させて被印刷体の表面に隙間なく密着させた状態で、凸部上のペーストを被印刷体の表面に転写させることができ、印刷形状の精度を向上できる。また被印刷体の表面に傷がついたりするのを防ぐこともできる。
すなわち本発明は、被印刷体の表面に、複数の画線部を、それぞれ前記非画線部を隔てて配列してなる印刷物品を、前記本発明の印刷物品の製造方法によって製造するための製造方法に用いる前記ペーストであって、
E型粘度計を用いて、温度25℃、せん断速度1(1/s)の条件で測定した粘度η1が18.6Pa・s以上、374Pa・s以下で、かつ温度25℃、せん断速度10(1/s)の条件で測定した粘度η10と、前記粘度η1とから、式(1):
TI=η1/η10 (1)
で求められるチキソインデックス値TIが1.8以上、8.6以下であることを特徴とする。
しかし粘度η1、およびチキソインデックス値TIが前記範囲内に調整された本発明のペーストは流動性が適度に制御されており、前記流れ込みが抑制されるため、塗布時に形成された、凹部におけるペーストの凹みを転写まで維持することができる。
したがって、非画線部を挟んで隣り合う画線部同士が接触(各画線部が導電性ペーストからなる導電部である場合は短絡)するのを防止することができる。
図1は、本発明の製造方法によって製造される印刷物品の一例において、被印刷体の表面に形成される格子状の非画線部、および矩形状の画線部の一部を拡大して示す平面図である。また図2は、前記図1の例の印刷物品の製造に使用する、本発明の印刷用版の、実施の形態の一例の一部を拡大して示す斜視図である。
図1を参照して、本発明の製造方法によれば、基板等の被印刷体の表面に、格子状の非画線部1を隔てて複数の矩形状の画線部2を配列してなる印刷物品3を製造することができる。なお図では画線部2を矩形のうち正方形に形成しているが、前記画線部2は長方形であってもよい。
前記印刷用版6は、少なくとも前記凸部4の表面がシリコーンゴムによって形成される。これにより、前記凸部4上に塗布されるペーストが、被印刷体の表面に転写される分と、凸部4上に残る分とに分離する、いわゆるなき別れが生じるのを防止できる。そして凸部4上のペーストの全量を被印刷体の表面に転写させて、前記被印刷体の表面に、十分な厚みを有し、かつ厚みが一定である上、エッジの形状等にも乱れのない良好な画線部2を形成できる。
またJIS A硬さを15以上とすることにより、前記印刷用版の表面に被印刷体を圧接させた際の、前記凸部の過剰な変形を抑制して、印刷形状の精度を向上できる。
なおこれらの効果をより一層向上することを考慮すると、前記シリコーンゴムのJIS
A硬さは、前記範囲内でも28以上であるのが好ましい。
前記印刷用版6の、隣り合う凸部4間の間隔である凹溝5の幅W1は、格子の縦横いずれの方向においても、3μm以上、80μm以下である必要がある。
前記凹溝5の深さ、すなわち印刷用版6の表面である凸部4の表面と、凹溝5の底面との高低差D1は、3μm以上、20μm以下である必要がある。
前記高低差D1を3μm以上とすることにより、前記凸部4上に塗布されたペーストと、凹溝5内に塗布されたペーストとを、半乾燥工程で半乾燥させるまでの間に、前記凸部4の表面と凹溝5の底面との間の段差に基づいて良好に分離させるとともに、被印刷体との圧接時に印刷用版6の変形等によって前記凹溝5の底面のペーストが被印刷体の表面に接触する底付きを防止することもできる。そのため、非画線部1を挟んで隣り合う画線部2同士が接触するのを防止できる。また、一定であるはずの非画線部1の幅W2が不規則にばらついたり、画線部2のエッジが乱れたりするのを防止して、印刷形状の精度も向上できる。
なおこれらの効果をより一層向上することを考慮すると、前記高低差D1は、前記範囲内でも4μm以上であるのが好ましく、15μm以下であるのが好ましい。
凹溝5の断面形状は、図に示すように印刷用版6の表面の開口から底面まで同じ幅の略矩形状であるのが好ましい。これにより、凸部4上に塗布されたペーストと、凹溝5内に塗布されたペーストとを、半乾燥工程で半乾燥させるまでの間に、前記凸部4の表面と凹溝5の底面との間の段差に基づいて良好に分離させることができる。
前記長さを15μm以上とすることにより、前記印刷用版6の表面に被印刷体を圧接させた際の、前記凸部4の変形を抑制して、印刷形状の精度を向上できる。
なお前記長さの上限は、製造する印刷物品における、画線部2の一辺の長さL2に応じて任意に設定できる。
かかる製造方法では、例えばフォトリソグラフ法等によるパターニングを利用したエッチングにより、ニッケル板等の金属板やガラス板等の板材の表面に、前記凹溝5に対応する格子状の溝をパターン形成して印刷用版6のもとになるマスタを作製し、前記マスタを電鋳して凹凸が逆転したスタンパを作製する。
スタンパは複数の印刷用版6の製造に使用できる。またマスタは複数のスタンパの製造に使用できる。そのため前記製造方法によれば、同一形状でかつ同一精度の印刷用版を多数製造できる。
塗布したシリコーンゴムの表面が硬化する前に、先に説明した樹脂や金属等のフィルムやシートを重ねたのち、前記シリコーンゴムを硬化させることにより、前記フィルムやシートを補強層として貼り合せることができる。
前記二液付加反応型のシリコーンゴムは、硬化反応に際して副生成物(脱水縮合反応による水等)を生じないため印刷用版の寸法精度を向上し、かつ前記副生成物に基づく気泡等を含まない均一な印刷用版を形成できる。
これらの図を参照して、本発明の製造方法においては、まず前記凸部4と凹溝5とが形成された印刷用版6の表面に所定量のペースト7を供給し、前記ペースト7を、例えばドクターブレード8を用いてドクタリングする、すなわち前記ドクターブレード8を、印刷用版6の表面に所定の圧接力で圧接させながら、前記表面上で図中に実線の矢印で示す方向に一定速度で移動させる等してその略全面に塗布する〔図3(a)〕。
なお、本発明でいう半乾燥状態とは、ペースト7が完全に乾燥して被印刷体に対する転写性を失う前の状態であって、なおかつペースト7に含まれる全溶剤量の10%以上が大気中に蒸発および印刷用版6中に拡散した状態を指すこととする。
このあとペースト7aを乾燥させ、さらに必要に応じて焼成することにより、図1に示すように、前記基板9の表面に格子状の非画線部1を隔てて複数の矩形状の画線部2を配列してなる印刷物品3を製造することができる。
前記フィルムまたはシート10としては、例えば基板9と同様の樹脂のフィルムやシートを使用し、前記フィルムまたはシート10を、基板9よりも高い圧接力で印刷用版6の表面に圧接させたのち剥離するか、または印刷用版6の表面に接触する表面に粘着性を付与した粘着シートを用いる。
なお前者の場合に、クリーニング用のフィルムまたはシート10を、基板9に比べてどの程度高い圧接力で圧接させるかは特に限定されないが、例えば印刷用版6と基板9、または印刷用版6とフィルムまたはシート10の接触位置から印刷用版の厚み方向への押し込み量(μm)で表して、後者を前者のおよそ2〜5倍程度に設定するのが好ましい。
本発明の製造方法によって製造される印刷物品としては、例えば電子ペーパーの電極基板等が挙げられる。
なお本発明の構成は、以上で説明した実施の形態には限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更を施すことができる。
例えば本発明の製造方法によって製造する印刷物品は、以上で説明した、格子状の非画線部を隔てて複数の矩形状の画線部が配列されたものには限定されない。
図5を参照して、本発明の製造方法によれば、基板等の被印刷体の表面に、それぞれ直線状の非画線部1を隔てて複数の画線部2をストライプ状に配列してなる印刷物品3を製造することもできる。
前記印刷用版6は、少なくとも前記凸部4の表面、好ましくはその全体をシリコーンゴム、特にJIS A硬さ(23±1℃)が15以上、80以下、中でも28以上であるシリコーンゴムによって形成するのが好ましい。
また凹溝5の深さ、すなわち印刷用版6の表面である凸部4の表面と、凹溝5の底面との高低差D1は3μm以上、20μm以下である必要があり、4μm以上、15μm以下であるのが好ましい。
これらの理由は、いずれも先に説明したとおりである。
かかる印刷用版6を用いて、図3(a)〜(d)、図4(a)(b)に示す工程を経ることにより、基板等の被印刷体の表面に、それぞれ直線状の非画線部1を隔てて複数の画線部2をストライプ状に配列してなる印刷物品3を、精度良く連続的に製造することができる。
ペーストとしては、E型粘度計を用いて、温度25℃、せん断速度1(1/s)の条件で測定した粘度η1が18.6Pa・s以上、374Pa・s以下で、かつ温度25℃、せん断速度10(1/s)の条件で測定した粘度η10と、前記粘度η1とから、式(1):
TI=η1/η10 (1)
で求められるチキソインデックス値TIが1.8以上、8.6以下である本発明のペーストを用いる。
しかし粘度η1、およびチキソインデックス値TIが前記範囲内に調整された本発明のペーストは流動性が適度に制御されており、前記流れ込みが抑制されるため、塗布時に形成された、凹部におけるペーストの凹みを転写まで維持することができる。
したがって、非画線部を挟んで隣り合う画線部同士が接触(各画線部が導電性ペーストからなる導電部である場合は短絡)するのを防止することができる。
例えば画線部2が導電部である場合、前記ペーストとしては、導電性粉末を、バインダ樹脂や溶剤等と配合した導電性ペーストが使用される。
前記のうち導電性粉末としては、例えば金、銀、銅、白金、ニッケル、アルミニウム、鉄、パラジウム、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、コバルト等の金属の粉末や前記金属の2種以上の合金の粉末、銀メッキ銅等のメッキ複合体の粉末、酸化銀、酸化コバルト、酸化鉄、酸化ルテニウム等の金属酸化物の粉末などの1種または2種以上が挙げられる。中でも高い導電性を有する上、高絶縁性の酸化物を生成しにくい耐酸化性に優れるため導電性に優れた導電パターンを形成できる銀粉末が好ましい。
バインダ樹脂としては、例えばポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エチルセルロース、ポリビニルブチラール、ポリエステル−メラミン系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ−メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ樹脂等の1種または2種以上が挙げられる。
溶剤としては、前記バインダ樹脂を溶解するとともに導電性粉末を分散しうる種々の溶剤が使用可能である。
導電性ペーストには、前記の各成分に加えて、例えばレベリング剤、分散剤、チキソトロピック粘性付与剤、消泡剤、充填剤、硬化触媒等の種々の添加剤を任意の割合で添加することもできる。
導電性ペーストは、前記各成分を所定の割合で配合し、3本ロール、ボールミル、アトライタ、サンドミル等を用いて混合して調製される。処理条件は特に限定されず、常法に従って処理すればよい。
〈実施例1〉
(印刷用版の作製)
ニッケル平板の表面に、フォトリソグラフ法によってレジスト層をパターン形成したのちエッチングして、前記表面に、画線部に対応する複数の正方形状の凸部、および前記凸部間に前記非画線部に対応する格子状の凹溝を形成して、印刷用版のもとになるマスタを作製し、前記マスタを電鋳して凹凸が逆転したスタンパを作製した。
また、室温硬化型でかつ二液付加反応型の液状ジメチルシリコーンゴム〔モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のTSE3455T〕の主剤100質量部と硬化剤10質量部とを混合したのち脱泡して、印刷用版のもとになる塗布液を調製した。
前記印刷用版の各部の寸法は、マスタの各部の寸法と一致しており、凹溝5の幅W1は、格子の縦横いずれの方向においても9μm、凸部4の表面と凹溝5の底面との高低差D1は3μm、前記凸部4の一辺の長さL1は、格子の縦横いずれの方向においても141μmであった。
(銀ペーストの調製)
市販の銀ペースト〔住友電気工業(株)製のAGES−102X〕にブチルカルビトールアセテートを加えて粘度η1を32.6Pa・sに調整した。なお粘度η1は、E型粘度計を用いて、温度25℃、せん断速度1(1/s)で測定した値である。
前記銀ペーストの、前記E型粘度計を用いて、温度25℃、せん断速度10(1/s)で測定した粘度η10は14.2Pa・s、前記両粘度η1、η10から前記式(1)によって求めたチキソインデックス値TIは2.3であった。
前記印刷用版の、表面の略全面に銀ペーストを塗布して10秒間静置後、前記表面に、被印刷体としてのPETフィルムを接触させ、さらに接触位置から印刷用版の厚み方向に50μm押し込むように圧接させたのち剥離することで、前記印刷用版の表面のうち凸部上の銀ペーストのみを選択的に、前記PETフィルムの表面に転写させた後、乾燥、焼成の工程を経て印刷物品を製造した。
〈実施例2〜16、比較例1〜6〉
マスタの形状を変更することにより、凹溝5の幅W1(格子の縦横両方向で同じ)、凸部4の表面と凹溝5の底面との高低差D1、および凸部4の一辺の長さL1(格子の縦横両方向で同じ)を、それぞれ表1〜表3に示す値とした印刷用版を作製し、前記印刷用版を用いたこと以外は実施例1と同様にして印刷物品を製造するとともに、転写後の印刷用版をクリーニングした。印刷用版のJIS A硬さ(JIS K−6253)は37であった。
実施例、比較例でPETフィルムに転写後、乾燥、焼成前のペーストの厚みを測定した。
〈印刷性の評価〉
実施例、比較例で製造した印刷物品の、画線部および非画線部の形状を観察して、下記の基準で印刷性を評価した。
○:僅かに形状の乱れはあるものの、隣り合う画線部間で短絡は見られなかった。印刷性良好。
◎:形状の乱れも短絡も見られなかった。印刷性極めて良好。
クリーニング後の印刷用版を観察して、下記の基準でクリーニング性を評価した。
×:凹溝内の4割未満のペーストしか除去されなかった。クリーニング性不良。
○:凹溝内の4割以上、8割未満のペーストが除去された。クリーニング性良好。
◎:凹溝内の8割以上のペーストが除去された。クリーニング性極めて良好。
印刷用版のもとになる塗布液(液状シリコーンゴム)として下記のものを用いることにより、JIS A硬さ(JIS K−6253)を、それぞれ表4に示す値とした前記印刷用版を作製し、前記印刷用版を用いたこと以外は実施例4と同様にして印刷物品を製造するとともに、転写後の印刷用版をクリーニングした。
実施例18:信越化学工業(株)製のKE1603の主剤50質量部と硬化剤50質量部との混合物(硬化後のJIS A硬さ:28)。
実施例20:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のTSE3466の主剤100質量部と硬化剤10質量部との混合物(硬化後のJIS A硬さ:56)。
印刷用版の各部の寸法は実施例4と同じ、すなわち凹溝5の幅W1は、格子の縦横いずれの方向においても17μm、凸部4の表面と凹溝5の底面との高低差D1は6μm、前記凸部4の一辺の長さL1は、格子の縦横いずれの方向においても132μmとした。
(銀粉末)
銀粉末としては、下記3種のうちの1種または2種を用いた。
(a) (株)徳力本店製のTC−38S〔形状:フレーク状、比表面積:2.27m2/g、タップ密度:4.00g/cm3、50%平均粒径D50:1.02μm〕
(b) 三井金属鉱業(株)製のSPQ03R〔形状:球状ないし粒状、湿式反応プロセス、タップ密度:4.35g/cm3、比表面積:1.51m2/g、粒度分布:D10=0.35μm、D50=0.6μm、D90=1.2μm〕
(バインダ樹脂)
バインダ樹脂としては、下記3種のうちの1種または2種を用いた。
(i) 三菱化学(株)製のjER(登録商標)1001〔エポキシ樹脂、固形タイプ、エポキシ当量:450〜500、軟化点(環球法):64℃、比重(25℃):1.19、分子量:約900〕
(iii) 住友ゴム工業(株)製のV1.5(ポリエステル・メラミン樹脂)
前記エポキシ樹脂の硬化剤としては、アミンアダクト系潜在性硬化剤・硬化促進剤〔味の素ファインテクノ(株)製のアミキュア(登録商標)PN−40〕を用いた。
〈粘度測定〉
前記銀ペーストの、温度25℃、せん断速度1(1/s)での粘度η1〔Pa・s〕、および温度25℃、せん断速度10(1/s)での粘度η10〔Pa・s〕を、E型粘度計を用いて測定した。
〈印刷性の評価〉
(印刷用版の作製)
ニッケル平板の表面に、フォトリソグラフ法によってレジスト層をパターン形成したのちエッチングして、前記表面に、画線部に対応する複数の正方形状の凸部、および前記凸部間に前記非画線部に対応する格子状の凹溝を形成して、印刷用版のもとになるマスタを作製し、前記マスタを電鋳して凹凸が逆転したスタンパを作製した。
また、室温硬化型でかつ二液付加反応型の液状ジメチルシリコーンゴム〔モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のTSE3455T〕の主剤100質量部と硬化剤10質量部とを混合したのち脱泡して、印刷用版のもとになる塗布液を調製した。
前記印刷用版の各部の寸法は、マスタの各部の寸法と一致しており、凹溝5の幅W1は、格子の縦横いずれの方向においても10μm、凸部4の表面と凹溝5の底面との高低差D1は8μm、前記凸部4の一辺の長さL1は、格子の縦横いずれの方向においても140μmであった。
(印刷物品の製造)
前記印刷用版の、表面の略全面に、前記実施例22〜26、比較例7〜10で調製した銀ペーストを塗布して10秒間静置後、前記表面に、被印刷体としてのPETフィルムを接触させ、さらに接触位置から印刷用版の厚み方向に50μm押し込むように圧接させたのち剥離することで、前記印刷用版の表面のうち凸部上の銀ペーストのみを選択的に、前記PETフィルムの表面に転写させた後、乾燥、焼成の工程を経て印刷物品を製造した。
(評価)
製造した印刷物品の、画線部および非画線部の形状を観察して、下記の基準で印刷性を評価した。
○:隣り合う画線部間で短絡は見られなかった。印刷性良好。
以上の結果を表5、表6に示す。
2 画線部
3 印刷物品
4 凸部
5 凹溝
6 印刷用版
7、7a、7b ペースト
8 ドクターブレード
9 基板
10 シート
W1、W2 幅
D1 高低差
L1、L2 長さ
Claims (8)
- 被印刷体の表面に、複数の画線部を、それぞれ一定幅の非画線部を隔てて配列してなる印刷物品を製造するための製造方法であって、
前記画線部に対応する複数の凸部、および前記凸部間に前記非画線部に対応する一定幅の凹溝を備えるとともに、少なくとも前記凸部の表面がシリコーンゴムからなり、隣り合う凸部間の間隔である凹溝の幅が3μm以上、80μm以下、前記凸部の表面と凹溝の底面との高低差が3μm以上、20μm以下で、かつ隣り合う凹溝間の間隔である凸部の幅が15μm以上である印刷用版の表面の略全面に、
E型粘度計を用いて、温度25℃、せん断速度1(1/s)の条件で測定した粘度η 1 が18.6Pa・s以上、374Pa・s以下で、かつ温度25℃、せん断速度10(1/s)の条件で測定した粘度η 10 と、前記粘度η 1 とから、式(1):
TI=η 1 /η 10 (1)
で求められるチキソインデックス値TIが1.8以上、8.6以下であるペーストを塗布する工程と、
前記ペーストを半乾燥させる工程と、
前記ペーストを塗布した印刷用版の表面に前記被印刷体を圧接させることで、前記印刷用版の表面のうち凸部上のペーストのみを選択的に、前記被印刷体の表面に転写させる工程と、
を含むことを特徴とする印刷物品の製造方法。 - 前記印刷物品は、格子状の非画線部を隔てて複数の矩形状の画線部が配列されてなるものであり、前記印刷用版は、前記画線部に対応する複数の矩形状の凸部、および前記凸部間に前記非画線部に対応する格子状の凹溝を備えるとともに、隣り合う凸部間の間隔である凹溝の幅が3μm以上、80μm以下、前記凸部の表面と凹溝の底面との高低差が3μm以上、20μm以下で、かつ凸部の幅である矩形の一辺の長さが15μm以上である請求項1に記載の印刷物品の製造方法。
- 前記転写後の印刷用版の表面に、樹脂のフィルムまたはシートを、被印刷体よりも高い圧接力で圧接させたのち剥離することで、前記凹溝内に残留するペーストを、前記樹脂のフィルムまたはシートの表面に転写させて除去する工程をも含む請求項1または2に記載の印刷物品の製造方法。
- 前記転写後の印刷用版の表面に、粘着シートを圧接させたのち剥離することで、前記凹溝内に残留するペーストを、前記粘着シートの表面に転写させて除去する工程をも含む請求項1ないし3のいずれか1項に記載の印刷物品の製造方法。
- 被印刷体の表面に、複数の画線部を、それぞれ一定幅の非画線部を隔てて配列してなる印刷物品を、前記請求項1ないし4のいずれか1項に記載の製造方法によって製造するために用いる印刷用版であって、前記画線部に対応する複数の凸部、および前記凸部間に前記非画線部に対応する一定幅の凹溝を備えるとともに、少なくとも前記凸部の表面がシリコーンゴムからなり、隣り合う凸部間の間隔である凹溝の幅が3μm以上、80μm以下、前記凸部の表面と凹溝の底面との高低差が3μm以上、20μm以下で、かつ隣り合う凹溝間の間隔である凸部の幅が15μm以上であることを特徴とする印刷用版。
- 格子状の非画線部を隔てて複数の矩形状の画線部が配列されてなる印刷物品の製造に使用され、前記画線部に対応する複数の矩形状の凸部、および前記凸部間に前記非画線部に対応する格子状の凹溝を備えるとともに、隣り合う凸部間の間隔である凹溝の幅が3μm以上、80μm以下、前記凸部の表面と凹溝の底面との高低差が3μm以上、20μm以下で、かつ凸部の幅である矩形の一辺の長さが15μm以上である請求項5に記載の印刷用版。
- 全体が、JIS A硬さ15以上、80以下のシリコーンゴムによって一体に形成されている請求項5または6に記載の印刷用版。
- 被印刷体の表面に、複数の画線部を、それぞれ一定幅の非画線部を隔てて配列してなる印刷物品を、前記請求項1ないし4のいずれか1項に記載の製造方法によって製造するために用いるペーストであって、
E型粘度計を用いて、温度25℃、せん断速度1(1/s)の条件で測定した粘度η1が18.6Pa・s以上、374Pa・s以下で、かつ温度25℃、せん断速度10(1/s)の条件で測定した粘度η10と、前記粘度η1とから、式(1):
TI=η1/η10 (1)
で求められるチキソインデックス値TIが1.8以上、8.6以下であることを特徴とするペースト。
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