JP4249975B2 - 回路の製造方法および該回路を備えた回路板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、回路の製造方法および該回路を備えた回路板に関し、詳しくは、電気機器からの電磁波シールド等として用いられ、微細で高精度な印刷パターンを有する回路を、良好な導電性を実現しながら容易に製造可能とするものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、回路パターンを形成する方法として、パターンを形成する際に感光性のレジストを用いて露光を行うフォトリソ法が挙げられる。フォトリソ法には、以下に示すように、サブトラクティブ法とアディティブ法の2種類に分けられる。
【0003】
サブトラクティブ法では導電性層を予め作成する。通常、導電性層には銅箔を用いる場合が多いが、無電解銅メッキや電解銅メッキにより作成しても良い。次に、感光性のレジスト(フォトレジスト)を導電性の層の上に形成し、フォトマスクを通して所定のパターンのみに感光性レジストを感光させる。さらに、現像で未感光部分のフォトレジストを洗浄し、硬化させた後に導電性の層をエッチング液(塩化第二鉄等)に浸漬させることで未感光部の導電性層のむきだしになっている部分のみを腐食(エッチング)させる。最後にフォトレジストをアルカリ(KOH)で剥離させれば所定のパターンのみの回路が形成可能となる。
【0004】
アディティブ法は、サブトラクティブ法とは反対で予め基板の上に感光性レジストの層を形成し、フォトマスクを通じて所定のパターンのみに感光性レジストを感光させる。現像で未感光部分のフォトレジストを洗浄し、露光された部分のみの感光性レジストのパターンを形成する。次に、無電解銅メッキを全面に形成し、さらに電解メッキを全面に形成する。最後にフォトレジストを剥離すると所定の露光されていない部分のパターンの回路が形成できる。
【0005】
一方、アディティブ法と同様な方法として印刷法が挙げられる。印刷法は、導電性のインキを用いて所定のパターンに印刷することで回路を形成するため、材料コストも少なく、製造設備も安いために安価なプロセスとして期待されている。
【0006】
また、このような回路は、従来、ディスプレー装置前面等に設置される電磁波シールド材等に用いられており、優れた電磁波シールド性の他に、視認性、透視性に優れ、かつ視野角が広いことが要求されている。この要求を満たす電磁波シールド材として、特開平10−163673号では、透明フィルムの少なくとも一方の面にメッキ触媒を含む透明樹脂塗膜を形成し、無電解メッキにより銅箔層を形成しレジストをその上に形成した後、選択的にエッチングして電磁波シールドパネルを形成することが提案されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平10−163673号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、サブトラクティブ法の最大の問題点はエッチングに用いた多量の有害な廃液が発生することである。この廃液は金属を多量に含んでおり廃液処理にコストがかかり、環境にも良くない。また、導電性層は高価な層であり、余分な部分も捨てることは非常に無駄が多い。フォトマスクを通じて露光させる装置も非常に高価であるためコストがかかる点が問題である。また、エッチングは導電性層を厚み方向のみではなく、平面方向にも腐食するため、導電性層の厚みが厚い場合にはサイドエッチングが進み、線幅が所定のパターンよりも細くなり、極端な場合には断線することもある。
【0009】
また、アディティブ法の問題点は無電解銅メッキ、電解銅メッキともに材料が高価でありプロセスが増えるためにコストが上がることである。さらに、露光プロセスを伴うのでサブトラクティブ法と同じで非常に高価な装置が必要である。
【0010】
一方、印刷法は、導電性インキとして導電性金属が樹脂中に分散されたものを用いるが特に被印刷体が樹脂等の場合には高い温度をかけることができず、その結果、導電性が悪く、用途が限定される点が大きな問題である。また、導電性を向上させるために、導電性金属粉末を多量にインキに添加すると印刷性が著しく悪くなり、電解銅メッキ等を印刷したパターンに施すと工程が増えコスト増を招くこととなる。
【0011】
上記特開平10−163673号では、選択的にエッチングするが透過率と電磁波シールド性を考慮するとせっかくメッキにより形成された銅箔層の大部分をエッチングにより削除してしまうことになり、無駄であり、かつ廃液処理の費用もかかるため、低コストで電磁波シールドを作成するには限界がある。
【0012】
本発明は上記した問題に鑑みてなされたものであり、簡易な工程で、材料の無駄を低減し、導電性の極めて良好な回路を容易に形成する回路の製造方法を提供することを課題としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、基板上に回路パターンで印刷されたインキ樹脂の表面に、平均粒子径が1nm〜10nmの導電性ナノ金属粉末をふるい加振して振りかけ、上記回路パターン以外に振りかけられた導電性ナノ金属粉末は真空吸引法で除去または超音波加振して除去し、
ついで、上記回路パターンのインキ樹脂表面の導電性ナノ金属粉末に、非粘着性あるいは離型性を有する材料を介して、非加熱状態で、ロール加圧あるいは平面プレスにより、0.5kg/cm2〜50kg/cm2の圧力を加圧しながら上記インキ樹脂の表面に広げ、該インキ樹脂の表面積の80〜100%を上記導電性ナノ金属粉末で覆い、該導電性ナノ金属粉末同士を密着させていると共に一部の導電性ナノ金属粉末を上記インキ樹脂中に埋設し、
ついで、上記導電性ナノ金属粉末及び上記インキ樹脂を100〜250℃で加熱して、導電性ナノ金属粉末を融着し、加熱硬化させる上記インキ樹脂の表面に導電性金属被膜を形成していることを特徴とする回路の製造方法を提供している。
【0014】
このように、予め印刷されたパターン状のインキ樹脂の表面に導電性の良好な粒子径の非常に細かなナノ粒子径の金属粉末を均一に付着させ、次に、導電性ナノ金属粉末に圧力を加え、導電性ナノ金属粉末同士を圧着して密な間隔で接触させる。その後、導電性ナノ金属粉末及びインキ樹脂を加熱することで、接触する導電性ナノ金属粉末同士が互いに融着してインキ樹脂の表面に導電性金属被膜が形成されると共に、インキ樹脂も合わせて硬化し、導電性ナノ金属粉末とインキ樹脂とを密着することができる。よって、導電性の極めて良好な回路を容易に形成することができる。
【0015】
即ち、本発明は、本発明者が鋭意研究の結果、導電性金属粉末の粒子径を1nm〜10nm程度に小さくすることで、非常に金属表面の活性が高くなり、金属の融着温度が著しく低下し、金属粉末同士が低温で融着可能となることを見出したことに基づくものである。例えば、銀の場合、バルクの融点が963℃であるが、1nm〜10nm程度のナノ銀粉末とすると融着温度が200℃程度と著しく低下することを見出した。
【0016】
また、導電性ナノ金属粉末はお互いが溶融して金属被膜化することで非常に低抵抗とすることができると共に、導電性ナノ金属粉末の融着温度でインキ樹脂も硬化させることができる。よって、導電性ナノ金属粉末とインキ樹脂の界面部分を強固に接着することができ、被印刷体からインキ樹脂や金属被膜が外れる等の問題も発生しない。
【0017】
さらに、従来のフォトリソ法に比べ必要な部分にのみインキを形成するので捨てる部分がなく材料の消費量も少ない上に、現像等の工程がないため廃液の流出が全くなく環境への影響を心配する必要もない。また、印刷法によりパターン状のインキ樹脂を印刷しているため、フォトリソ法に比べ装置の構造が簡単で比較的安価である。
【0018】
導電性ナノ金属粉末の粒子径は融着温度に大きく影響を及ぼす重要なファクターであり、種々検討を行った結果、導電性ナノ金属粉末の平均粒子径を1nm〜10nmとしている。これは、1nmより小さいと、常温でも非常に活性が高くなり、導電性ナノ金属粉末同士で一部凝集等が発生すると共に、表面の酸化も多くなり金属酸化膜が形成されてしまうためである。一方、10nmより大きいと、融着温度が低下せず、低温での金属被膜形成を行えないためである。
【0019】
また、導電性ナノ金属粉末の硬化後の被膜の厚みは、1μm〜15μmが好ましい。1μmより薄いと断線が発生しやすく、また導電性も良くない。一方、15μmより厚くても導電性は十分満たしており材料コストがかかり無駄となる他、表面の平坦性が悪くなる。
【0020】
導電性ナノ金属粉末は印刷されたインキ樹脂表面にふりかけて付着させており、具体的には、ブロアー(吹き付け)法や超音波加振された金属粉末中に基板をつける方法等から選択される方法で上記インキ樹脂の表面に付着させることができる。その他、できるだけパターン状のインキ樹脂の表面のみに均一に金属粉末を付着できる方法等を用いることができる。
【0021】
導電性ナノ金属粉末は、パターン状のインキ樹脂の表面にのみ付着させることが好ましいが、粒子の飛散等によりパターン状のインキ樹脂の表面以外に付着した導電性ナノ金属粉末は除去し、除去後にインキ樹脂表面の導電性ナノ金属粉末に圧力を加えている。また、導電性ナノ金属粉末を加熱前に吸引除去することで、吸引した導電性ナノ金属粉末を再度使用することもできる。
【0022】
導電性ナノ金属粉末は金、銀、銅、白金、パラジウムのいずれかまたはこれらの混合物からなることが好ましい。これらの金属は、ある程度の導電性を有する上に、ナノ粒子とすることができる。特にコスト面と導電性の面から銀が好ましい。金属粉末の形状は、球状、楕円球状、柱状、鱗片状、繊維状等の種々の形状とすることができる。
【0023】
加熱温度は100℃〜250℃であることが好ましい。100℃より低いと金属粉末が溶融せず金属被膜を形成しにくいためである。一方、250℃より高いインキ樹脂の分解や基板の熱劣化を生じる恐れがある。より好ましくは150℃〜250℃である。なお、金属被膜の形成とインキ樹脂の硬化を十分に行えるように加熱温度、加熱時間を適宜設定することができる。加熱時間は5分〜120分、さらには10分〜60分が好ましい。
【0024】
インキ樹脂は非導電性樹脂あるいは導電度が低い樹脂とすることができる。本発明の製造方法によれば、このような非導電性あるいは導電度が低い樹脂を用いた場合でも回路に良好な導電性を付与することができる。なお、インキ樹脂として導電性樹脂を用いることもでき、このような導電性を有するインキ樹脂の表面に金属被膜を形成することで、よりいっそう導電性を高めることができる。
【0025】
導電性ナノ金属粉末は、非粘着性あるいは離型性に優れた材料を介して、ロール加圧あるいは平面プレス、その他、2本ロール間を通す等により均一な圧力で圧接され、導電性ナノ金属粉末同士を密着させていると共に一部の導電性ナノ金属粉末をインキ樹脂中に埋設している。これにより、導電性ナノ金属粉末がインキ樹脂の表面から剥がれ落ちないようにしながら、導電性ナノ金属粉末をインキ樹脂の表面に均等に広げることができる。具体的には、上記のように、インキ樹脂の表面積の80%以上、好ましくは100%を導電性ナノ金属粉末で覆われるようにしている。
【0026】
単に導電性ナノ金属粉末を吹き付け等により付着しただけでは、粉末間に空隙があり細密充填にはならないことがある。このため導電性ナノ金属粉末同士を細密充填するように圧力を加えることが有効である。また、導電性ナノ金属粉末とインキ樹脂との境界部分が一部未硬化のインキ樹脂中に埋もれて基板との接着を向上させるためにも圧力を加えることが有効である。
【0027】
圧接時の圧力は0.5kg/cm2〜50kg/cm2としている。上記圧力より小さいと十分な圧接力が得られず金属粉末同士を効率良く接触させにくいためである。一方、上記圧力より大きいと印刷したパターン状の未硬化のインキ樹脂が押しつぶされパターンの形状を損なう恐れがあると共に、ナノ金属粉末が未硬化のインキ樹脂中に埋もれてナノ金属粉末の間隙に樹脂が入り込み、金属被膜の導電性が急激に劣化することがあるためである。
【0028】
上記基板表面にインキ樹脂からなる回路パターンの印刷法として、凹版からブランケットへインキ樹脂を一旦転写させた後に、上記ブランケットから上記基板へ上記インキ樹脂を転写させる凹版オフセット印刷法を用いていることが好ましい。また、平板オフセット印刷、凸版印刷等の従来公知の印刷法を用いることもできる。
【0029】
版に凹版を用いる凹版オフセット印刷は凹版の深さを変えることで自由にインキ厚みを制御することが可能であり比較的厚みのある印刷が可能である。また、凹版の解像度は非常に高く10μm前後の非常に微細なパターンも忠実に印刷で再現することが可能である。
【0030】
上記ブランケットの表面ゴムはシリコンゴムからなり、上記凹版はガラスからなると共に、上記インキ樹脂は、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、熱可塑性樹脂から選択される1種以上の樹脂とし、上記インキ樹脂には上記ブランケットに対する膨潤度が小さい溶剤が含まれていることが好ましい。
【0031】
凹版オフセット印刷において、特に、ブランケットの表面ゴムにシリコンゴムを用いると凹版からブランケットに移ったインキを100%基板に移転させることが可能であり、1回で十分にインキ厚みの厚い印刷を行うことも可能である。しかも、インキの分断が1回しか起こらないために印刷物形状が非常に良好であり、約10μmの非常に微細な形状も印刷で再現可能である。例えば、深さが10μmの凹版を用いたブランケットとしてシリコンゴムを表面ゴムに用いると約5μmの印刷が1回で可能である。
【0032】
また、凹版は金属やガラスをフォトリソ法でエッチングすると非常に形状に良好な凹版を形成することが可能であるので平滑で転移性の良好なブランケットを組み合わせれば非常に形状の良好な印刷を行うことが可能となる。ナノ金属粉末を用いた本発明において凹版オフセット印刷は非常に適した印刷方式であることが判明した。
【0033】
凹版について検討を行った結果、表面の平滑性が非常に重要であることが判明した。表面の平滑性が悪いとインキをドクターする際に凹版表面にインキのかき残りが起こり非画線部分の汚れ(地汚れ)が発生する。もっとも安価に表面平滑性の良好な凹版を作るにはガラスを用いエッチングすることである。ガラスはソーダガラスやノンアルカリガラス共に使用可能であるが、ノンアルカリガラスは非常に高価であるために高度な寸法精度を要求されない分野ではソーダガラスで十分である。また、金属材料をエッチングにより凹版を作成することも可能である。金属材料としては各種材料が使用可能であるが、特にエッチング性の良好なステンレスや42合金(Fe−Ni合金(Ni42%))、銅、真鍮、アンバー材等の材料が使用可能である。これらの金属を用いた凹版の場合には表面を鏡面加工にラッピング研磨を行うことで平滑性を上げる必要がある。また、金属表面の機械強度を向上させるために最表面に硬質クロムメッキ等の表面強化処理を行うことも考えられる。凹版の深さは目的のインキ膜厚みに応じて設計する必要があるが、通常は1〜50μm程度が良い。凹版の深さの約半分の量のインキがブランケットに転移し、シリコンゴムのブランケットを用いるとほぼ100%が被印刷体に印刷される。
【0034】
ブランケットの表面ゴム硬度が高いとゴムが変形せずに版のインキを十分に転移させることが難しい。また、硬度が低いとゴムの変形が大きくなり精度良く印刷を行うことが難しい。よって、上記の面からブランケットのゴム硬度はJIS−A硬度で70〜20、より好ましくは60〜30である。また、ブランケットの表面形状は特に印刷パターンが微細になるほど印刷形状に大きく影響を及ぼす。ライン幅20μm程度の微細なパターン形成には表面粗度として10点平均粗さで1.0μm以下が好ましく、より好ましくは0.5μm以下の平滑な表面が望ましい。材料としてシリコンゴムを用いるとインキの転移が良好であり1回の印刷で膜厚みの厚いものを印刷することが可能である。
【0035】
インキに含まれる溶剤はオフセット印刷で印刷適正を支配する重要な因子である。特に印刷時にはインキ中の溶剤が常にブランケットに接触するためにブランケットの表面ゴムは溶剤にて膨潤し表面の濡れ特性は変化する。一般には膨潤の少ない溶剤を用いればブランケットの表面濡れ性は変化が少なく安定した印刷が可能であるがブランケットとの受理性を考慮すると若干膨潤する溶剤を選定する方が良好である。ただし、連続印刷すると膨潤のため表面の濡れ性の変化が大きく、安定した印刷ができなくなる。表面濡れ性が増加し印刷の線幅が広がる、版表面の微少な汚れを転写する、被印刷体への転写が悪くなる等の問題が発生してくる。表面ゴム中の溶剤は表面ゴムを加熱することで蒸発、乾燥し、元の表面状態に完全に戻すことが可能である。よって、蒸発乾燥のし易さは加熱温度、溶剤の沸点やゴム厚みが関係してくるが加熱温度40℃〜200℃であれば十分効果的に乾燥させることが可能である。加熱乾燥はブランケット胴を直接加温することが有効であるが、特に限定されたものではなく、ブランケット外部から熱風を吹きつけて乾燥させることも可能である。また、乾燥は常時加温させることも可能であるが不定期的に加温、冷却を繰り返すような使用も可能である。
【0036】
乾燥後はブランケットの表面温度が高いと版と接触するために版が熱により膨潤し印刷精度が悪くなるといった問題がある。そのため、版の表面温度を通常±1℃以内に保つ必要があり、もちろんクリーンルーム内の室温もそれ以内に保つことが前提であるが、ブランケット表面の温度は+5℃以内に収める必要がある。版の表面温度よりもばらつきが大きいのはブランケットが接触して転がる際に凹版に熱が逃げるためで+5℃以上であると凹版の温度を+1℃以上になり印刷精度への悪影響が出てくる。ブランケットの表面温度を+5℃以上にする手法としてブランケットの表面を冷風で強制的に冷却することが一番効果的であり、ブランケットシリンダーも金属で熱容量が大きいために効果的に冷却が可能である。また、金属定盤上を転がすことでブランケット表面温度を急激に冷却することも可能である。その他、特に限定されることはなく、各種手法が可能である。
【0037】
インキ樹脂については、熱硬化性、紫外線硬化性等の各種使用可能である。熱硬化性樹脂としてポリエステル−メラミン樹脂、メラミン樹脂、エポキシ−メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂等が可能である。紫外線硬化型樹脂としてアクリル樹脂が挙げられる。また、これらの樹脂の混合も可能であり、印刷適正に合わせ配慮する必要がある。
【0038】
上記基板は透明性を有する樹脂とし、上記インキ樹脂は、線幅5〜40μm、線間隔50〜500μmのメッシュ状パターンで印刷されていることが好ましい。これにより、特に透明性電磁波シールドとして好適な回路を形成することができる。インキ樹脂の印刷は、基板の片面のみでも良いし、両面に印刷しても良い。
【0039】
透明性を有する樹脂としてはロール状に連続処理できるものが好ましい。透明性が高く、耐熱性が高いものが好ましいが、ポリエチレンテレフタレート(PET)に代表されるポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン類、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン等のビニル類、ポリエーテルサルフォン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂等が挙げられる。この中でも非常に透過性が良好で安価なPETフィルムが一番望ましい。
【0040】
印刷パターンについて特に1〜1000MHzでの電磁波シールド性能を向上させるには、できるだけ細かいパターンを印刷し形成することが重要であることが判った。鋭意研究を進めた結果、線幅は5〜40μmであれば良好であることが判明した。線幅が40μmを超えると開口率を向上させることができず透過率が下がる。また、インキ樹脂パターンの幾何学模様が肉眼で確認され視認性が劣る。また、線幅が5μmより小さいと電磁波シールド効果が衰えると共にパターンを形成する際に断線が発生しやすくなり、良品を安定して生産することは非常に難しい。またPDP(プラズマ・ディスプレイ・パネル)用途を考慮すると、電磁波シールド特性として1〜1000MHzでの電界成分を十分にカットする必要がある。また、線間隔は50〜500μmであれば透明性と電磁波シールド性の両立が可能である。線間隔が50μmより小さくなると透過率が急激に小さくなる。また、500μmより大きい場合には電磁波シールド性が悪くなる。
【0041】
他の印刷法としてはフォトリソ法同等の高い印刷精度が得られる方が用途が広がり好ましい。スクリーン印刷ではライン幅が100μmより小さいと忠実に版の形状を再現しにくりことがある。また、原理上スクリーン紗はスクリーンの中央部分と周辺部分ではかかる力が異なり伸び量が異なる。このため中央部分と周辺部分でパターンの印刷精度が悪くなることがある。
【0042】
また、凸版印刷(またはフレキソ印刷)では1回のインキ膜厚み0.1μm〜1.0μmと薄くなり、版自身の解像度がやや低い。インキの膜厚みが薄い場合には付着させるナノ金属粉末をしっかりと固定させにくいことがあり、ある程度のインキの膜厚みが必要である。また、凸版ではパターンの周辺にインキが広がるマージナルゾーンと呼ばれる現象があり、同じくパターンを忠実に再現しにくいことがある。
【0043】
平版を用いた平版オフセット印刷および最近では版として非画線部分にシリコンゴムを用いた水なし平版(東レ製の商品名TAN)が多く使用されるようになってきている。水ありのPS版を用いるよりも解像度が高く、好ましいが印刷試験を行った結果、1回のインキの膜厚みが0.5μm〜1.0μmと薄いためにナノ金属粉末を固定化するには1〜3μmある方が好ましい。また、50μmよりも微細なパターンは版形状を忠実に再現しにくいことがある。
【0044】
本発明におけるパターン状印刷の幾何学模様とは格子状模様や三角形、四角形、N角形の円や楕円などの模様の単独または複数の繰り返しとすることができる。例えば、透過率やモアレ現象(画面のピッチとの関係で光干渉縞が発生する)と電磁波シールド特性に応じて設計することが可能である。また、本発明で規定している線幅とピッチ間隔であるが、線幅は幾何学模様を形成する1ユニット(格子や三角形、四角形、N角形、円、楕円など)の線幅でありピッチ間隔はそのユニットとユニットの間の距離である。ピッチ間隔が算出しにくい場合はユニット面積の平方根(ユニットを正方形に換算したときの1辺の長さ)をピッチ間隔と定義する。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の回路の製造方法の第1実施形態を図面を参照して説明する。
まず、印刷法により、基板の表面上にインキ樹脂を印刷する。印刷法は、図1(A)(B)(C)(D)に示すように、平台型凹版オフセット印刷機10を使用し、凹版11からブランケット12へインキ樹脂13を一旦転写させた後に、ブランケット12から基板14へインキ樹脂13を転写させる凹版オフセット印刷としている。
【0046】
ブランケット12の表面12aはシリコーンゴム(ゴム硬度JIS−A 40、常温硬化型シリコーンゴム付加型、ゴム厚み360μm)とし、表面粗度は10点平均粗さで0.1μmとしている。凹版11はソーダライムガラスからなるガラス製凹版としている。
【0047】
基板14は厚み100μmのポリイミドフィルムとし、インキ樹脂13は非導電性の熱硬化性樹脂であるポリエステル樹脂を、ブランケット12に対する膨潤度が小さい溶剤(酢酸ブチルカルビトール)にて粘度を50〜100Pに調整したものを用いている。
【0048】
平台型凹版オフセット印刷機10は、基板14へ10枚分の印刷を終えると、加熱装置15の送風口15aからブランケット12へ熱風を当てブランケット12を加熱している。ブランケット12の表面温度が80℃となるように調整して5分間行っている。なお、印刷機が設置されているクリーンルーム内の温度は23℃±1℃に制御されており凹版11の表面温度も23℃±1℃に調整している。このように10枚印刷毎に表面に熱風を当て乾燥を行っている。
【0049】
乾燥後は、冷却装置16の送風口16aからブランケット12に冷風をあてて5分間冷却を行っている。冷却後のブランケット表面温度は面内で室温+3℃以内に調整している。
【0050】
このような方法で基板14の表面14aへインキ樹脂13を印刷しており、印刷パターンは線幅W1が20μm、線間隔W2が360μm、未硬化状態での膜厚みが3μmのストライプパターンとしている。ブランケット12上で転移したインキ樹脂13は100%完全に基板14へ転移し、パターン形状は非常に良好で膜厚みも安定したものを得ている。
【0051】
次に、図2に示すように、凹版オフセット印刷にて予め基板14上に印刷したパターン状のインキ樹脂13の表面13aに、略球形状で平均粒子径が10nmであり銀からなる導電性ナノ金属粉末20を付着させる。
【0052】
具体的には、導電性ナノ金属粉末20は、導電性ナノ金属粉末20を入れたパットを超音波で加振させながら導電性ナノ金属粉末20の表面付近に印刷された基板をふれるように設置する方法で未硬化のインキ樹脂13の表面13aの全面に渡って均一に付着させ、基板14の表面14a上において、できるだけインキ樹脂13の表面13aのみに導電性ナノ金属粉末20が付着するようにしている。例えば、超音波を加振しているためインキ樹脂13以外の部分の導電性ナノ金属粉末20は付着してもすぐ剥離してインキ樹脂13部分にのみ選択的に付着させることができる。
【0053】
その後、基板14の表面14a上で、印刷されたパターン状のインキ樹脂13の表面13a以外の部分に付着した場合には、余分な導電性ナノ金属粉末20は、真空吸引法で除去するか、基板を垂直に立てこの基板を超音波加振することで下方へ金属粉末を剥離して除去する方法で吸引除去している。
【0054】
その後、図3に示すように、導電性ナノ金属粉末20は、ロール24を用いて加圧される。ロール24の表面には、非粘着性を有し離型性に優れたフッ素樹脂層24a(PTFE)を有している。具体的には、基板14においてインキ樹脂13が付着された表面14a側で、ロール24を回転させながらロール加圧により5kg/cm2の圧力で導電性ナノ金属粉末20及びインキ樹脂13を全面に渡って均一に圧接し、インキ樹脂13の表面積のほぼ100%が導電性ナノ金属粉末20で覆われるようにしている。圧接により、インキ樹脂13の表面に付着した導電性ナノ金属粉末20同士が密な間隔で接触されていると共に、導電性ナノ金属粉末20とインキ樹脂13との境界部分において、導電性ナノ金属粉末20の一部がインキ樹脂13中に埋もれた状態となっている。
【0055】
加圧後、図4に示すように、導電性ナノ金属粉末20及びインキ樹脂13を200℃で1時間加熱し、導電性ナノ金属粉末20を融着してインキ樹脂13の表面に銀からなる導電性金属被膜21を形成すると共に、インキ樹脂13を硬化させる。これにより、基板14上にパターン状に印刷されたインキ樹脂13と、インキ樹脂13の表面13aに導電性金属被膜21を有する回路板30を形成する。
【0056】
このように、10nmと非常に粒子径を小さくした導電性ナノ金属粉末20をインキ樹脂13の表面13aに付着後、加熱している。粒子径を小さくすることで、非常に導電性ナノ金属粉末20の表面活性が高くなり、金属の融着温度が著しく低下し、導電性ナノ金属粉末20同士が低温で融着可能となる。
【0057】
よって、200℃で加熱することにより、導電性ナノ金属粉末20が融着し導電性金属被膜21が形成されると共に、インキ樹脂13も硬化させることができる。よって、非常に低抵抗とすることができると共に、導電性金属被膜21とインキ樹脂13の界面部分を強固に接着することができ、基板14とインキ樹脂13や導電性金属被膜21との密着性も高めることができる。従って、簡易な工程で、材料の無駄を低減し、容易に回路を形成することができる。
【0058】
図5(A)(B)は第2実施形態を示し、上記第1実施形態と同様の方法で製造された回路板30’からなる透光性電磁波シールドである。基板14’は透明性を有する樹脂であるPETフィルムとし、インキ樹脂13’は、線幅W1’が20μm、線間隔W2’が200μmの正方形メッシュ状パターンで印刷されており、インキ樹脂13’の表面13a’には導電性金属被膜21’を有している。
【0059】
上記実施形態以外にも、導電性ナノ金属粉末としては、金、銅、白金、パラジウムのいずれかまたはこれらの混合物等を用いることができる。インキ樹脂は、非導電性あるいは導電度が低い樹脂以外にも、導電性樹脂を用いることができ、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂から選択される1種以上の樹脂を用いることができ、平版印刷等の他の印刷法により印刷することもできる。
【0060】
また、導電性ナノ金属粉末は、その他の上述した方法でインキ樹脂の表面に付着させても良い。なお、導電性ナノ金属粉末の加圧は、ロール加圧以外にも、平面プレス等の種々の加圧方法により行うことができ、非粘着性あるいは離型性に優れた材料、例えばフッ素樹脂等のシートを介して加圧を行うこともできる。
【0061】
基板34上に印刷されるインキ樹脂33の印刷パターン形状としては、図6(A)に示すように円形模様パター−ン、図6(B)に示すようにひし形模様パターン、図6(C)に示すように正六角形模様パターン、図6(D)に示すように三角形模様パターン、その他、種々の形状のパターン、複数のパターンの組み合わせ等とすることもできる。
【0062】
以下、本発明の回路の製造方法の実施例、比較例について詳述する。
【0063】
(実施例1)
基板である厚み100μmのポリイミドフィルム(DuPont社製、商品名カプトン)の表面上に、非導電性樹脂である熱硬化性ポリエステル樹脂(住友ゴム社製)を溶剤(酢酸ブチルカルビトール)にて粘度を50〜100Pに調整したインキ樹脂を、凹版オフセット印刷法にて印刷した。印刷にはガラス製凹版を用い、印刷パターンは線幅20μm、線間隔360μmのストライプパターンとした。
【0064】
シリコーンゴム(ゴム硬度JIS−A 40、常温硬化型シリコーンゴム付加型(信越化学工業(株)製:KE1600)、ゴム厚み360μm)を表面ゴムにもつブランケット(表面粗度 10点平均粗さ 0.1μm)を作成し、10枚印刷毎に表面に熱風を当て80℃×5分間乾燥を行った。クリーンルームは室温23℃±1℃に制御されており凹版の表面温度も23℃±1℃に調整した。乾燥後は強制的にブランケット表面に冷風をあてて5分間冷却を行った。冷却後のブランケット表面温度は面内で室温+3℃以内に調整した。
【0065】
その後、連続印刷を行ったが凹版の表面温度はほとんど変化なく、印刷精度への影響は見られなかった。ブランケット上で転移したインキは100%完全にガラス基板へ転移したのでパターン形状は非常に良好で膜厚みも安定したものが得られた。印刷されたパターンは線幅で20μm、膜厚み(未硬化)で3μmとした。インキ樹脂の印刷後に、導電性ナノ金属粉末として平均粒子径が10nmの銀粉末(住友電工社製)を500メッシュの金属ふるいを加振して、基板全面にふりかける方法により吹き付けて、インキ樹脂以外の部分の導電性ナノ金属粉末は超音波加振により剥離させてインキ樹脂の部分にのみ選択的に付着させた。吹き付け量としては面平均厚みで約3μmになるようにした。
【0066】
さらに、表面にフッ素樹脂(PTFE)加工された金属ロールで5kg/cm2の圧力で銀粉末を圧着し、インキ樹脂の表面積のほぼ100%を銀粉末で覆うようにした。印刷されたパターンの表面以外の部分に付着した銀粉末は基板を垂直に立て超音波加振させ、下部に金属を回収できるように容器を設置する方法により吸引して再利用できるようにした。その後、200℃×1時間加熱し、銀粉末は完全に融着してインキ樹脂の表面に厚さ1μmの銀の被膜を形成すると共に、インキ樹脂を硬化させた。体積抵抗で3×10−6Ω・cmと非常に良好な導電性を発現した。
【0067】
(比較例1)
厚み100μmのポリイミドフィルムに厚み16μmの銅箔を貼り付けたものに感光性のフォトレジストフィルム(ドライフィルム)を真空密着しフォトマスクを通じて露光、現像して30μmのレジストパターンを形成した。次に、エッチング液でエッチングを行い、最後にアルカリでレジストを剥離して線幅20μmの銅箔パターンを形成した。
【0068】
導電性は実施例1とほとんど同じ(1.8×10−6Ω・cm)で良好であったが、線幅が非常に細いために部分的に断線が生じる問題が発生した。また、エッチング時に非常に多量の廃液が発生するために廃液の処理費にコストがかかった。さらにフォトリソ工程(露光、現像、乾燥)では高額な製造設備を必要とするため設備償却費が加わるために製造コストは実施例1を1とすると5〜10のコストがかかった。
【0069】
(比較例2)
厚み100μmのポリイミドフィルムに導電性銀ペーストを用いスクリーン印刷にて線幅20μm、線間隔360μmの印刷を行った。印刷物は200℃×1時間硬化させ回路板を製造した。
【0070】
廃液や製造設備費用は実施例1と同様で非常に低コストで製造可能であったが20μmの線幅は安定してスクリーン印刷で形成することができず、断線等が多く、また印刷精度が非常に悪い。また、導電性は6×10−4Ω・cmと非常に悪く、実用化は難しいことが判明した。
【0071】
実施例1及び比較例1、2から、本発明により非常に良好な回路パターンを印刷のみで形成することができ、しかも廃液が全く発生せず、高価な製造設備も不要なために極めて安価で抵抗も安定した回路板を製造可能であることが確認できた。
【0072】
(実施例2)
基板として透明フィルムである厚み100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製、商品名ルミラー)の表面上に、ポリエステル−メラミン樹脂を溶剤(酢酸ブチルカルビトール)にて粘度を50〜100Pに調整したインキ樹脂を、凹版オフセット印刷法にて印刷した。凹版はステンレスを焼き入れ処理し表面を鏡面に研磨加工したものを用いた。印刷パターンは線幅20μm、線間隔200μmの格子状で正方形をユニットに持つものとした。
【0073】
上記同様シリコーンゴム(ゴム硬度JIS−A 40、常温硬化型シリコーンゴム付加型、ゴム厚み360μm)を表面ゴムにもつブランケット(表面粗度 10点平均粗さ 0.1μm)を作成し、連続印刷を行った。
【0074】
印刷されたパターンは線幅で20μm、膜厚み(未硬化時)で2μmとした。パターン形状は非常に良好で膜厚みも安定したものが得られた。インキ樹脂の印刷後に導電性ナノ金属粉末として平均粒子径10nmの上記同様の銀粉末をインキ樹脂の表面全面に500メッシュの金属ふるいを通してふりかける方法により吹き付けて付着させた。吹き付け量としては面平均厚みで約3μmになるようにした。
【0075】
さらに、表面にフッ素樹脂(PTFE)加工された金属ロールで5kg/cm2の圧力で銀粉末を圧着し、インキ樹脂の表面積のほぼ100%を銀粉末で覆うようにした。印刷されたパターンの表面以外の部分に付着した銀粉末は基板を垂直に立てかけて基板自身を超音波にて加振させ、下部に金属粉末の回収容器を配置させ回収する方法により吸引して再利用できるようにした。その後、200℃×1時間加熱し、銀粉末は完全に融着してインキ樹脂の表面に厚さ1μmの銀の被膜を形成すると共に、インキ樹脂を硬化させた。体積抵抗で3×10−6Ω・cmと非常に良好な導電性を発現した。また、形成された回路を備えた電磁波シールドは1〜1000MHzにおいて50dB以上の良好な電磁波シールド特性を示し、また透過率も90%以上と非常に良好な特性を示した。
【0076】
(比較例3)
透明フィルムとして厚み100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの上に16μmの銅箔を貼り付けたものに感光性のフォトレジストフィルム(ドライフィルム)を真空密着しフォトマスクを通じて露光、現像して線幅30μm、線間隔200μmのレジストパターンを形成した。次に、エッチング液でエッチングを行い、最後にアルカリでレジストを剥離して線幅20μm、線間隔200μmの銅箔パターンをPETフィルムの上に形成した。導電性は実施例2とほとんど同じ(1.8×10−6Ω・cm)で良好で、良好な電磁波シールド特性を示したが、エッチング時に非常に多量の廃液が発生するために廃液の処理費にコストがかかった。さらにフォトリソ工程(露光、現像、乾燥)では高額な製造設備を必要とするため設備償却費が加わるために製造コストは実施例2を1とすると5〜10のコストがかかった。
【0077】
(比較例4)
透明フィルムとして厚み100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの上に導電性銀ペーストを用い凹版オフセット印刷で線幅20μm、線間隔200μmの印刷を行った。200℃×1時間硬化させ電磁波シールドを製造した。廃液や製造設備費用は実施例2と同様で非常に低コストで製造可能であったが、導電性は6×10−4Ω・cmと悪く、電磁波シールド特性が非常に悪く実用化は難しいことが判明した。
【0078】
実施例2及び比較例3、4から、本発明により廃液の発生もなく、高価な製造設備も不要なために安価でシールド特性、透過率ともに良好な電磁波シールドを形成可能であることが確認できた。
【0079】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明によれば、導電性ナノ金属粉末の粒子径を1nm〜10nm程度に小さくしているため、導電性ナノ金属粉末の表面活性が非常に高くなり、金属の融着温度が著しく低下し、金属粉末同士が低温で融着可能となる。よって、インキ樹脂の硬化と共に、インキ樹脂の表面に金属被膜を形成することができ、導電性の極めて良好な回路を簡易な工程で容易に製造することができる。
【0080】
また、従来のフォトリソ法に比べ必要な部分にのみインキを形成するので捨てる部分がなく材料の消費量も少ない上に、現像等の工程がないため廃液の流出が全くなく環境への影響を心配する必要もない。また、印刷法によりパターン状のインキ樹脂を印刷しているため、フォトリソ法に比べ装置の構造が簡単で比較的安価である。
【0081】
よって、本発明の製造方法により製造される回路を備えた回路板は、CRT(ブラウン管)、PDP(プラズマ・ディスプレイ・パネル)等の電子機器から照射される電磁波を遮蔽する電磁波シールド等として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (A)(B)(C)(D)は、凹版オフセット印刷による印刷工程の説明図である。
【図2】 導電性ナノ金属粉末の付着状況の説明図である。
【図3】 ロール加圧による導電性ナノ粉末の圧接方法を示す図である。
【図4】 回路の構成を示す図である。
【図5】 (A)(B)は正方形格子状パターンを示す図である。
【図6】 (A)は円形状パターン、(B)はひし形状パターン、(C)は正六角形状パターン、(D)は三角形状パターンを示す図である。
【符号の説明】
11 凹版
12 ブランケット
13 インキ樹脂
14 基板
20 導電性ナノ金属粉末
21 導電性金属被膜
30 回路板
Claims (5)
- 基板上に回路パターンで印刷されたインキ樹脂の表面に、平均粒子径が1nm〜10nmの導電性ナノ金属粉末をふるい加振して振りかけ、上記回路パターン以外に振りかけられた導電性ナノ金属粉末は真空吸引法で除去または超音波加振して除去し、
ついで、上記回路パターンのインキ樹脂表面の導電性ナノ金属粉末に、非粘着性あるいは離型性を有する材料を介して、非加熱状態で、ロール加圧あるいは平面プレスにより、0.5kg/cm2〜50kg/cm2の圧力を加圧しながら上記インキ樹脂の表面に広げ、該インキ樹脂の表面積の80〜100%を上記導電性ナノ金属粉末で覆い、該導電性ナノ金属粉末同士を密着させていると共に一部の導電性ナノ金属粉末を上記インキ樹脂中に埋設し、
ついで、上記導電性ナノ金属粉末及び上記インキ樹脂を100〜250℃で加熱して、導電性ナノ金属粉末を融着し、加熱硬化させる上記インキ樹脂の表面に導電性金属被膜を形成していることを特徴とする回路の製造方法。 - 上記基板表面にインキ樹脂からなる回路パターンの印刷法として、凹版からブランケットへインキ樹脂を一旦転写させた後に、上記ブランケットから上記基板へ上記インキ樹脂を転写させる凹版オフセット印刷法を用いている請求項1に記載の回路の製造方法。
- 上記ブランケットの表面ゴムはシリコンゴムからなり、上記凹版はガラスからなると共に、上記インキ樹脂は、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂から選択される1種以上の樹脂とし、上記インキ樹脂には上記ブランケットに対する膨潤度が小さい溶剤を含めている請求項2に記載の回路の製造方法。
- 上記基板は透明性を有する樹脂とし、上記インキ樹脂は、線幅5〜40μm、線間隔50〜500μmのメッシュ状のパターンで印刷している請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の回路の製造方法。
- 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載された製造方法で製造され、基板上に印刷されたパターンの回路を備えた回路板。
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