本発明の実施の形態を図1ないし図6に基づいて説明する。本実施の形態の商品販売データ処理装置は、スーパーマーケットに導入されて店舗の会計場所に設置されたチェックアウトシステム1への適用例である。
図1は、チェックアウトシステム1を示す斜視図である。チェックアウトシステム1は、オペレータによって使用されるPOS端末11を備える。POS端末11は、レジ台51上のドロワ21上面に載置されている。ドロワ21は、POS端末11によって開放動作の制御を受ける。POS端末11の上面には、オペレータによって押下操作されるキーボード22が配置されている。キーボード22は、数字を入力するためのテンキー22d、「小計」という文字が表示された仮締めキー22e、「合計」という文字が表示された締めキー22f等を含む(いずれも図3参照)。キーボード22を操作するオペレータから見てキーボード22よりも奥側には、オペレータに向けて情報を表示する表示デバイス23が設けられている。表示デバイス23の表示面には、タッチパネル26が積層されている。表示デバイス23よりもさらに奥側には、顧客用表示デバイス24が回転自在に立設されている。なお、図1に示す顧客用表示デバイス24は、その表示面を図1中手前側に向けている。しかし、顧客用表示デバイス24を回転させることによって、顧客用表示デバイス24は顧客に向けて情報を表示する。キーボード22を操作するオペレータから見て表示デバイス23に左隣には、レシート(図示せず)を印字発行するレシートプリンタ27が配置されている。レシートプリンタ27は、開閉自在なカバー27aを有する。カバー27aを開くことによって、ロール状のレシート用紙(図示せず)を補充することができる。
POS端末11が載置されているレジ台51と共にL字を形成するようにして、横長テーブル状のチェックアウトカウンタ151が配置されている。チェックアウトカウンタ151の上面には、平坦な荷受面152が形成されている。荷受面152には、買物カゴ153が載置される。買物カゴ153は、バーコード502が付された複数個の商品501を収納する。
チェックアウトカウンタ151には、略中央に位置させて、POS端末11とデータ送受信自在に接続されたスキャナ101が設置されている。スキャナ101は、薄型矩形形状のハウジング102を備える。ハウジング102の正面には読取窓103が配置されている。ハウジング102の上部には、操作部104が取り付けられている。操作部104には、タッチパネル105が表面に積層された表示デバイス106が設けられている。表示デバイス106の右隣にはキーボード107が配設されている。キーボード107は、数字を入力するためのテンキーを含む。キーボード107の右隣には、図示しないカードリーダのカード読取溝108が設けられている。オペレータ側(図1中手前側)から見て操作部104の裏面左側には、オペレータによるチェックアウトを受けている最中の顧客に対して情報を提供するための顧客用第1表示デバイス109が設置されている。さらに、オペレータ側から見てハウジング102の裏面右側にも、顧客に対して情報を表示するための顧客用第2表示デバイス110が設けられている。顧客用第2表示デバイス110は、一例として、LCDである。ここで図1中には、顧客の流れを黒線矢印で示している。顧客用第2表示デバイス110の表示面は、顧客の流れの上流側に向けられている。
チェックアウトカウンタ151には、オペレータ側から見てスキャナ101の右側に位置させて、縦長の凹部151aがチェックアウトカウンタ151を削るようにして設けられている。凹部151aには、凹部151aと略同じ高さを有する計量装置301が嵌め込まれている。計量装置301は、直方体状のハウジング302を有する。ハウジング302の上部には、平坦な上面を有する載置台305が配置されている。載置台305の上面は、買物カゴ153の底面形状よりもわずかに大きい。つまり、図1に示すように、載置台305の大きさ及び形状は、買物カゴ153を一つだけ載置することができるように定められている。計量装置301が凹部151aに嵌め込まれた状態で、載置台305の上面は、チェックアウトカウンタ151の荷受面152と同じ高さに位置付けられる。以下の説明では、載置台305の上面をも含むチェックアウトカウンタ151の上面を、荷受面152と呼ぶことがある。
図2は、計量装置301のハードウェア構成を示す模式図である。計量装置301は、ロードセルユニット314を有する。ロードセルユニット314は、構造及び形状をロードセル(図示せず)の一端側をベース315に固定し、他端側に荷重受け部316を有する。荷重受け部316には秤フレーム317が固定されている。秤フレーム317は、図2では図示しないが、上面から見てX字形状をしており、四隅に秤皿としての載置台305を載置する。ロードセルユニット314の出力信号は、アンプ318で増幅され、アナログデジタル変換器(AD/C)319でデジタル信号に変換され、演算部320で解析される。演算部320では、ロードセルユニット314の出力信号に基づく重量解析がなされる。演算部320は、一例として、動作シーケンスが書き込まれた半導体チップ構成を有する。演算部320は、解析結果である重量データを送信部321に送信し、送信部321は、この重量データを外部に出力する。出力された重量データは、後述するように、POS端末11に入力される。このような重量データの出力は、一定周期で実行される。
図1の説明に戻る。オペレータ側から見てスキャナ101の右側に位置する荷受面152上の領域をスキャン前領域152aと呼び、オペレータ側から見てスキャナ101の左側に位置する荷受面152上の領域をスキャン後領域152bと呼ぶ。チェックアウトにおいては、オペレータによって、スキャン前領域152aに位置付けられた買物カゴ153から商品501が取り出され、スキャン後領域152bに位置付けられた買物カゴ153へと移動される。この移動過程では、商品501に付されたバーコード502がスキャナ101の読取窓103に向けられる。この際、読取窓103の奥側に配置されたスキャナ部164(図3参照)は、バーコード502を光学的に読み取って商品コードにデコードして外部に出力する。
図3は、チェックアウトシステム1のハードウェア構成を示すブロック図である。POS端末11は、各種演算処理を実行し各部を制御するCPU61を有する。CPU61には、ROM62とRAM63とがバス接続されて構成されている。POS端末11のCPU61には、前述したドロワ21、キーボード22、表示デバイス23、タッチパネル26、顧客用表示デバイス24、レシートプリンタ27がいずれも各種の入出力回路(いずれも図示せず)を介して接続されている。さらに、POS端末11のCPU61には、スキャナ101に設置されている顧客用第2表示デバイス110が入出力回路(図示せず)を介して接続されている。これらは、POS端末11のCPU61による制御を受ける。
POS端末11のCPU61には、HDD64が接続されている。HDD64には、コンピュータプログラム52や各種ファイルが記憶されている。ファイルの一例は、商品コードに対応付けて商品情報(商品名、単価等)を記憶するPLUファイル53である。HDD64に記憶されているコンピュータプログラム52や各種ファイルは、POS端末11の起動時に、その全部又は一部がRAM63にコピーされて使用される。また、POS端末11には、店舗のバックヤードに設置されたストアコンピュータSCとデータ通信を実行するための通信インターフェース25が設けられている。
POS端末11には、さらに、スキャナ101との間でデータ送受信を可能にする接続インターフェース65が設けられている。スキャナ101には、POS端末11との間でデータ送受信を可能にする接続インターフェース175が接続されている。スキャナ101のスキャナ部164によって読み取りデコードされた商品コードは、接続インターフェース175を介して出力され、接続インターフェース65を介してPOS端末11に入力される。なお、スキャナ101にCPU、ROM、RAMが設けて、このCPUが、操作部104やスキャナ部164を制御するようにしても良い。
また、POS端末11には、計量装置301との間でデータ送受信を可能にする接続インターフェース66が設けられている。計量装置301のハードウェア構成については上述したので(図2参照)、ここでは説明を省略する。計量装置301の送信部321(図1参照)から出力された重量データは、接続インターフェース66を介してPOS端末11に入力される。
POS端末11のCPU61は、コンピュータプログラム52に従い、商品販売データ処理を実行する。ここで、チェックアウトの流れと共に商品販売データ処理について概略的に説明する。
一人の顧客がチェックアウトの終了によりチェックアウトカウンタ151を離れると、この顧客の後ろに並んでチェックアウトの終了を待っていた別の顧客(図1において位置P2に位置している)に対するチェックアウトが開始される。この顧客の後ろにも別の顧客が自身のチェックアウトに待機して並んでいる。
チェックアウトの開始に際して、顧客は、チェックアウトカウンタ151に持ち寄った買物カゴ153(この顧客が購入を希望する商品501が収納されている)を、荷受面152のスキャン前領域152aに載置させる。そして、この顧客はスキャナ101と対面する位置(位置P1)までチェックアウトカウンタ151に沿って移動する。そのため、この顧客の後ろに並んでいた別の顧客は、位置P2へと移動する。位置P2に位置する顧客にとって、表示面が顧客の流れの上流側に向けられている顧客用第2表示デバイス110は、非常に見易い。
オペレータは、位置P1に移動した顧客に買物カゴ153の数量を尋ねる。顧客はこのオペレータに対してチェックアウトカウンタ151に持ち寄った買物カゴ153の数量を回答することになる。オペレータは、顧客からの回答(つまり、買物カゴ153の数量)に対応する数字を、テンキー22dの押下操作によってPOS端末11に入力する。なお、スキャナ101のキーボード107によって入力しても良い。
次に、オペレータは、スキャン前領域152aに位置付けられた買物カゴ153を載置台305に載置させる。顧客が持ち寄った買物カゴ153の数量が「1」であれば、その一つの買物カゴ153を載置台305に載置させる。これに対して、顧客が持ち寄った買物カゴ153の数量が「2以上」であれば、2以上の買物カゴ153のうちのまず一つを載置台305に載置させる。スキャン後領域152bには、空の買物カゴ153が位置付けられている。そして、オペレータは、載置台305に載置された買物カゴ153から商品501を取り出してスキャン後領域152bの買物カゴ153に収納する過程で、この商品501に付されたバーコード502をスキャナ101のスキャナ部164に読み取らせる作業(以下、スキャン作業と呼ぶ)を行う。すると、POS端末11には商品コードが入力される。そこで、POS端末11のCPU61は、この商品コードに対応する商品情報をPLUファイル53から取得してRAM63に記憶する処理を実行する。この処理は、オペレータによって仮締めキー22eが押下されるまで実行される。なお、スキャナ101のキーボード107によって入力しても良い。
POS端末11のCPU61は、仮締めキー22eの押下を判定すると、RAM63に記憶された商品情報に含まれる単価に基づいて合計金額を算出してRAM63に記憶する。このとき、POS端末11のCPU61は、テンキー22dの押下によって入力される預り金額もRAM63に記憶する。そして、POS端末11のCPU61は、締めキー22fの押下を判定すると、RAM63に記憶されている預り金額と合計金額とに基づいて釣銭金額を算出してRAM63に記憶する。さらに、POS端末11のCPU61は、ドロワ21を開放させ、レシートプリンタ27を駆動制御してRAM63に記憶された商品情報や金額等が印刷されたレシートを発行させる。こうして、商品販売データ処理が終了する。なお、商品販売データ処理装置の実行中、POS端末11のCPU61は、表示デバイス23、顧客用表示デバイス24、顧客用第1表示デバイス109に、商品情報や金額等の必要な情報を適宜表示させている。
オペレータは、開放されたドロワ21から釣銭金額に相当する貨幣を取り出し、取り出した貨幣とレシートプリンタ27から発行されたレシートとを、位置P1に位置する顧客に手渡す。貨幣とレシートとが手渡された顧客は、スキャン後領域152bに位置付けられている買物カゴ153(バーコード502が読み取られた後の商品501が収納されている)を持ち上げて、位置P1から離れてサッカー台(図示せず)に赴き、商品501の袋詰めを行う。こうして、一人の顧客に対するチェックアウトが終了する。
ところで、チェックアウト中のオペレータは、仮締めキー22eを押下する前に、全ての買物カゴ153に収納された全ての商品501についてスキャン作業を行うことになる。ここで、顧客が持ち寄った買物カゴ153が一つである場合について説明する。この場合、載置台305に載置されたこの買物カゴ153が収納する商品501についてのみスキャン作業を行うことになる。スキャン作業の後、載置台305に載置された買物カゴ153は空になるので、オペレータは、この空になった買物カゴ153をスキャン後領域152bに移動させる。
これに対して、顧客が持ち寄った買物カゴ153が2以上である場合について説明する。この場合、オペレータは、まず、載置台305に載置された最初の一つの買物カゴ153について、この買物カゴ153に収納された商品501の商品コードを読み取るスキャン作業を行う。このスキャン作業の後、載置台305に載置された最初の一つの買物カゴ153は空になるので、オペレータは、この空になった買物カゴ153をスキャン後領域152bに移動させる。そして、残りの買物カゴ153を載置台305に載置させて、同様にしてスキャン作業を行う。このような作業の繰り返しを、顧客が持ち寄った全ての買物カゴ153について行う。
次に、コンピュータプログラム52に従って、上記の商品販売データ処理と並列的にPOS端末11のCPU61が実行する処理について説明する。
図4は、POS端末11で実行される処理の流れを顧客用第2表示デバイス110の画面例と共に示すフローチャートである。商品販売データ処理が開始されると、POS端末11のCPU61は、顧客用第2表示デバイス110を制御して、その表示面に、「登録中」というメッセージM1とインジケータM2とを表示する(ステップS101)。インジケータM2の上方領域には「待ち時間」という文字列が表示されている。そのため、顧客用第2表示デバイス110を見易い位置P2にいる顧客は、インジケータM2が自身のチェックアウトまでの待ち時間を示すものであると認識することができる。ここで、インジケータM2は、4本のバーによって構成されており、待ち時間を4段階で示している。インジケータM2のバーとしては、塗り潰されたバーと枠のみのバーとの2種類がある。塗り潰されたバーが多いほど、インジケータM2は、待ち時間が長いことを示す。ステップS101では、4本とも塗り潰されたバーがインジケータM2として表示される。このようなインジケータM2を見た位置P2で待機する顧客は、自身のチェックアウトの順番までに待つ時間が長いと認識することができる。
次に、POS端末11のCPU61は、買物カゴ153の数量(N)入力に待機する(ステップS102)。前述したように、オペレータは、位置P1に位置する顧客の持ち寄った買物カゴ153の数量を、テンキー22d等を操作して入力する。POS端末11のCPU61は、買物カゴ153の数量が入力されたことを判定したならば(ステップS102のY)、これをRAM63に記憶する。そして、RAM63に記憶された買物カゴ153の数量(N)が「1」であるか「2以上」であるかを判定する(ステップS103)。
買物カゴ153の数量が「2以上」である場合(ステップS103のY)、POS端末11のCPU61は、計量処理を実行する(ステップS104)。計量処理は、POS端末11のCPU61が、計量装置301から一定周期で出力される重量データの受信に待機して、重量データを受信したならば、この重量データに基づく重量を、載置台305に載置された買物カゴ153の重量(W)として、RAM63に一時記憶する処理である。ここでは、買物カゴ153の数量は「2以上」であるので、その内の一つの買物カゴ153が載置台305に載置されており、この載置台305に載置された買物カゴ153の重量がRAM63に記憶される。スキャン作業が進むに従って、載置台305に載置された買物カゴ153からは次々と商品501が取り出されていく。そのため、買物カゴ153の重量は、次第に減少していく。このような過程で、POS端末11のCPU61は、計量処理(ステップS104)を、載置台305に載置された買物カゴ153の重量(W)がゼロになったと判定するまで(ステップS105)、実行する。前述したように、載置台305に載置された買物カゴ153に収納された商品501についてスキャン作業が終了すると、この買物カゴ153は載置台305から取り除かれてスキャン後領域152bに移動されるため、買物カゴ153の重量(W)はゼロになるのである。
POS端末11のCPU61は、買物カゴ153の重量(W)が未だゼロになっていないと何度も繰り返し判定しては(ステップS105のN)、再び、計量処理を実行することになる(ステップS104)。一つの買物カゴ153について、スキャン作業が瞬時に終了することはないためである。そして、買物カゴ153の重量(W)がゼロではないと判定した場合には(ステップS105のN)、POS端末11のCPU61は、顧客用第2表示デバイス110の表示内容を維持したままにする(ステップS107)。つまり、顧客用第2表示デバイス110の表示面には、「登録中」というメッセージM1と共に4本とも塗り潰されたバーがインジケータM2として表示されている。
そして、POS端末11のCPU61は、載置台305に載置された買物カゴ153の重量(W)がゼロになったと判定したならば(ステップS105のY)、ひとまず計量処理を終了して、RAM63に記憶された買物カゴ153の数量(N)から「1」を減じた数(N−1)が「1」であるか否かを判定する(ステップS106)。こうして、いま計量処理を終えた買物カゴ153以外の買物カゴ153の残数が「1」であるか否かを判定するのである。買物カゴ153の残数が「1」であれば(ステップS106のY)、次に、買物カゴ153の数量(N)が「1」であると判定された場合(ステップS103のN)と同様の処理が引き続き実行される。これに対して、買物カゴ153の残数が「1」でなければ(ステップS106のN)、まだ、2以上の買物カゴ153が残っていることになる。この場合、POS端末11のCPU61は、RAM63に記憶された買物カゴ153の数量(N)から「1」を減じた数(N−1)を、新たに買物カゴ153の数量(N)としてRAM63を更新する(ステップS108)。そして、買物カゴ153の残数(N−1)が「1」となるまで(ステップS106のY)、一つずつ買物カゴ153の計量処理を繰り返す。
図5は、図4のフローチャートの続きである。POS端末11のCPU61は、RAM63に記憶された買物カゴ153の数量(N)が「1」であると判定すると(図4のステップS103のN)、載置台305に載置された一つの買物カゴ153についての計量処理を実行する(ステップS201)。ここで、「一つ」とは、顧客が持ち寄った買物カゴ153が「一つ」の場合もあるし、前述のように、2以上の買物カゴ153の内の残りの「一つ」である場合もある。計量処理の処理内容ついては、図4のステップS104と同様であるので説明を省略する。POS端末11のCPU61は、計量処理により受信した重量データに基づく買物カゴ153の重量を、基準重量(Wb)としてRAM63に記憶保存する(ステップS202)。その後、載置台305に載置された買物カゴ153が収納する商品501についてスキャン作業がオペレータによって行われる。スキャン作業により、この買物カゴ153の重量は減少していく。
POS端末11のCPU61は、買物カゴ153の重量が減少する過程で計量処理を実行し(ステップS203)、計量処理によりRAM63に一時記憶される買物カゴ153の重量(Wc)の判定を行う(ステップS204、ステップS205)。POS端末11のCPU61は、このような計量処理(ステップS203)及び判定(ステップS204、ステップS205)は、スキャン作業の過程で、買物カゴ153の重量(Wc)が空の買物カゴ153の重量と等しくなったと判定されるまで(ステップS206のY)、行われる。空の買物カゴ153の重量は、ROM62に予め記憶されている。なお、載置台305に載置された買物カゴ153の重量(W)と空の買物カゴ153の重量とが等しい場合とは、厳密に両者の重量が一致することを要するものではなく、ある程度の測定誤差が設けられている。
このとき、POS端末11のCPU61が、載置台305に載置された買物カゴ153の重量(Wc)が基準重量(Wb)の3分の2以上であると判定した場合(ステップS204のY)について説明する。この場合、POS端末11のCPU61は、顧客用第2表示デバイス110の表示内容を維持したままにする(ステップS208)。つまり、顧客用第2表示デバイス110には、4本の塗り潰されたバーがインジケータM2として表示されたままとなる。このようなインジケータM2を見た位置P2にいる顧客は、自身のチェックアウトが行われるまで待つ時間に変化はない(長時間待つ)と認識する。
POS端末11のCPU61が、載置台305に載置された買物カゴ153の重量(Wc)が基準重量(Wb)の3分の2未満であって3分の1以上であると判定した場合(ステップS204のN、ステップS205のY)について説明する。この場合、POS端末11のCPU61は、顧客用第2表示デバイス110を制御して、「登録中」というメッセージM1はそのままに、インジケータM2を構成する4本のバーのうち、一番上のバーのみを枠のバーとする(ステップS209)。このようなインジケータM2を見た位置P2にいる顧客は、自身のチェックアウトが行われるまで待つ時間がわずかに減ったことを認識する。
POS端末11のCPU61が、載置台305に載置された買物カゴ153の重量(Wc)が基準重量(Wb)の3分の1未満であるものの(ステップS205のN)、まだ、空の買物カゴ153の重量と等しくないと判定した場合(ステップS206のN)について説明する。この場合、POS端末11のCPU61は、顧客用第2表示デバイス110を制御して、「登録中」というメッセージM1はそのままに、インジケータM2を構成する4本のバーのうち、上の2本のバーを枠のバーとする(ステップS210)。このようなインジケータM2を見た位置P2にいる顧客は、自身のチェックアウトが行われるまで待つ時間が相当減ったことを認識する。
そして、POS端末11のCPU61は、載置台305に載置された買物カゴ153の重量(Wc)が空の買物カゴ153の重量と等しくなったと判定した場合には(ステップS206のY)、次に、仮締めキー22eの押下に待機する(ステップS207)。前述したように、オペレータは、位置P1にいる顧客について、全ての買物カゴ153に収納された全ての商品501についてスキャン作業を行った後、仮締めキー22eを押下する。POS端末11のCPU61は、オペレータの操作による仮締めキー22eの押下を判定したならば(ステップS207のY)、また計量処理を実行して(ステップS211)、載置台305に載置された買物カゴ153の重量(Wc)が空の買物カゴ153の重量と等しいか否かを判定する(ステップS212)。
ここで、POS端末11のCPU61が、載置台305に載置された買物カゴ153の重量(Wc)が空の買物カゴ153の重量と等しくないと判定した場合(ステップS212のN)、表示デバイス23に警告を表示する(ステップS213)。警告は、一例として、「注意!! カゴ内に未登録の商品があります。」という文字列である。ここで、オペレータが、載置台305に載置された買物カゴ153に収納された全ての商品501についてスキャン作業を済ませる前に、仮締めキー22eを押下してしまったとする。この場合、載置台305に載置された買物カゴ153には商品501が残っているため、その重量(Wc)は空の買物カゴ153と等しくなく(ステップS212のN)、表示デバイス23には警告が表示される(ステップS213)。これにより、このオペレータに対して、スキャン済みでない商品501がこの買物カゴ153に残っていることを報知できる。このような報知を締めキー22fの押下(ステップS215)の前にオペレータに行うことにより、「オペレータが釣銭やレシートを顧客に手渡した後に、まだスキャンすべき商品501が残っていることに気付き、再びこの顧客に対してチェックアウト作業を行う」といった煩雑なトラブルの発生を回避することができる。
POS端末11のCPU61は、載置台305に載置された買物カゴ153の重量(Wc)が空の買物カゴ153の重量と等しいと判定した場合には(ステップS212のY)、顧客用第2表示デバイス110の表示を変化させる(ステップS214)。ステップS214では、POS端末11のCPU61は、インジケータM2を構成する4本のバーのうち、上の3本のバーを枠のバーとする。さらに、メッセージM1を「会計中」という文字列にする。このようなメッセージM1及びインジケータM2を見た位置P2にいる顧客は、自身のチェックアウトが行われるまでの時間があとわずかであると認識する。
そして、POS端末11のCPU61は、オペレータの操作によって締めキー22fが押下されたことを判定すると(ステップS215のY)、メッセージM1を「お待たせしました。」という文字列にすると共に、インジケータM2を構成する4本全てのバーを枠のバーとして(ステップS216)、処理を終了する。このようなメッセージM1及びインジケータM2を見た位置P2にいる顧客は、位置P1にいる顧客のチェックアウトが終了して、自身のチェックアウトが開始されることを認識する。
以上のように、本実施の形態では、顧客の流れの上流側に向いている顧客用第2表示デバイス110に表示されるメッセージM1とインジケータM2とが変化することにより、位置P2いる顧客や位置P2よりも顧客の流れの上流側にいる顧客に対して、チェックアウトまでの待ち時間を認識させることができる。この待ち時間(インジケータM2)は、チェックアウトのスキャン作業の進行に応じて減少するものであるため、状況を的確に反映したものである。このため、チェックアウトカウンタ151に並んでいる顧客は「いつまで待たされるのか分からない」というストレスを感じることが無くなる。また、顧客は、待ち時間に応じて、買物カゴ153に入れ忘れていた商品501を売場に取りに行ったり、別のチェックアウトカウンタ151に並びなおしたりすることもできる。
なお、買物カゴ153の数量を入力するためのキーは、例えば顧客用第2表示デバイス110に設けられていても良い。この場合、顧客は自ら買物カゴ153の数量を入力することが可能となり、オペレータの作業負担が軽減される。
また、顧客が持ち寄る買物カゴ153の数量は「1」である場合がほとんどであると考えられる。そのため、買物カゴ153の数量が2以上である場合だけオペレータが数量入力をするようにしても良い。この場合、例えば、載置台305に買物カゴ153が載置されたならば計量装置301が所定の信号を出力する。そして、POS端末11のCPU61がこれを受信し、受信後一定時間数量入力がなされなければ、買物カゴ153の数量(N)を「1」として、ステップS201の計量処理を実行するようにする。
次に、POS端末11の各種モードについて説明する。例えば、商品販売データ処理を実行可能なモードは「登録モード」である。通常、POS端末11のCPU61は「登録モード」を設定している。「登録モード」と対になるのが「休止中モード」である。所定の操作によって「休止中モード」が設定されると、RAM63に記憶されているデータはHDD64に退避され、POS端末11の電源はオフになる。この場合、POS端末11のCPU61は、商品販売データ処理を実行することはできない。そして、再び電源がオンにされることで、HDD64に退避されたデータがロードされ、POS端末11は、元の状態、つまり「登録モード」へと復帰する。また、POS端末11のCPU61は、レシートプリンタ27のレシート用紙が補充中である場合には、「補充中モード」を設定する。レシートプリンタ27は、レシート用紙の補充のためにカバー27aが開かれると、カバー27aの開状態を検知して出力する。この出力に応じてCPU61は、「補充中モード」を設定する。また、レシートプリンタ27は、レシート用紙の補充が終了してカバー27aが閉じられると、カバー27aの閉状態を検知して出力する。この出力に応じてCPU61は、「補充中モード」を解除して再び「登録モード」を設定する。さらに、POS端末11のCPU61は、その他のエラーの発生に応じて「エラーモード」を設定する。「エラーモード」は、CPU61に接続された各部が出力するエラー信号に応じて、CPU61が設定するモードである。「補充中モード」又は「エラーモード」が設定されている場合、POS端末11のCPU61は、商品販売データ処理を実行することができない。
このようなPOS端末11のCPU61がコンピュータプログラム52に従って実行する処理であって、図4及び図5に基づいて説明した処理とは別の処理について説明する。
図6は、POS端末11で実行される別の処理の流れを顧客用第2表示デバイス110の画面例と共に示すフローチャートである。POS端末11のCPU61は、「休止中モード」の設定に応じて(ステップS301のN)、顧客用第2表示デバイス110を制御する。そして、メッセージM1として「休止中 他のレーンをご利用下さい。」という文字列を表示する。さらに、インジケータM2を構成する4本全てのバーを塗り潰されたバーとする(ステップS304)。このようなインジケータM2を見た顧客は、チェックアウトが開始されるまでに、長時間待つと考える。
「登録モード」に設定されている(ステップS301のY)POS端末11が、「補充中モード」が設定された場合(ステップS302のY)について説明する。この場合、POS端末11のCPU61は、顧客用第2表示デバイス110のメッセージM1を「補充中 お待たせして申し訳ありません。」という文字列にする。そして、インジケータM2を構成するバーのうち、上の3つを枠のバーにして、下の1つを塗り潰されたバーにする(ステップS305)。このようなインジケータM2を見た顧客は、チェックアウトが開始されるまでの時間が残り僅かであると考える。
POS端末11が「補充中モード」ではなく(ステップS302のN)、「エラーモード」に設定された場合(ステップS303のY)について説明する。この場合、POS端末11のCPU61は、顧客用第2表示デバイス110のメッセージM1を「調整中 お待たせして申し訳ありません。」という文字列にする。そして、インジケータM2を構成するバーのうち、上の2つを枠のバーにして、下の2つを塗り潰されたバーにする(ステップS306)。このようなインジケータM2を見た顧客は、チェックアウトが開始されるまでの時間が「補充中モード」よりは長いと考える。
そして、「補充中モード」や「エラーモード」が解消されたならば(ステップS303のN)、「登録モード」が設定されているPOS端末11のCPU61は、メッセージM1を「お待たせしました。」という文字列にすると共にインジケータM2を構成する全てのバーを枠のバーにする(ステップS307)。そして、POS端末11のCPU61は、商品販売データ処理の実行に備える。
以上のように、本実施の形態では、商品販売データ処理が実行不可となるモードが設定されると、登録モード設定までに要する時間がインジケータM2として顧客用第2表示デバイス110に表示される。インジケータM2の表示内容(塗り潰されたバー及び枠のバーの本数)は、モード毎に予め定められているので、顧客は、「長時間待たなくてはいけないのか」とか「少しだけ待てば良いのか」等、状況に応じた待ち時間を的確に把握することが可能となる。したがって、顧客は、どれぐらい待てば良いのか分からないというような余計なストレスを感じることがなくなる。
11…POS端末(商品販売データ処理装置)、52…コンピュータプログラム、61…CPU(情報処理部)、101…スキャナ(商品コード読取部)、110…顧客用第2表示デバイス(表示部)、153…買物カゴ、301…計量装置(計量部)、305…載置台(載置部)、501…商品、M2…インジケータ(時間表示)