JP5038197B2 - 多板クラッチ - Google Patents

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Description

本発明は、自動変速機などに用いられる多板クラッチに関し、特に、クラッチ締結時に発生する衝撃や騒音を緩和することができる多板クラッチに関する。
自動変速機などに用いられる多板クラッチ(ブレーキを含む、以下同じ。)は、例えば、特許文献1に示すように、有底円筒状のクラッチドラムと、クラッチドラムの内周に係合する複数のクラッチプレートと、クラッチドラムと同心状に配置されたクラッチハブと、クラッチハブの外周に係合すると共にクラッチプレートと交互に重ねて配置された複数のクラッチディスクと、を備えている。また、クラッチプレートおよびクラッチディスクを軸方向に移動させるためのピストン機構を備えている。このような多板クラッチは、ピストン機構でクラッチプレートとクラッチディスクを圧着・離間させてクラッチを締結・解除し、クラッチドラムとクラッチハブ間の回転動力の伝達状態を切り換えるようになっている。
上記の多板クラッチでは、クラッチプレートのクラッチドラムへの固定、あるいはクラッチディスクのクラッチハブへの固定は、クラッチプレートあるいはクラッチディスクに設けた歯部をクラッチドラムあるいはクラッチハブに設けた軸方向の溝部(スプライン)に係合させることで行われている。これにより、クラッチプレートとクラッチディスクは、それぞれクラッチドラムとクラッチハブに対して軸方向に摺動可能かつ円周方向には相対回転不能に係合している。
ところで、このような多板クラッチでは、クラッチの締結時にクラッチプレートやクラッチディスクの摩擦面でスティック・スリップ(衝撃)が発生すると、この衝撃が上記の溝部と歯部の係合部分を介してクラッチドラムやクラッチハブにダイレクトに伝わるため、振動や騒音の原因になるという問題があった。また、部品の加工精度上、上記の溝部と歯部の円周方向の端面間に、微小な隙間ができる場合がある。そうすると、クラッチドラムの回転数が変動する際に該端面同士が衝突し、そのことも振動や騒音の原因となっていた。
また、上記のようなクラッチプレートあるいはクラッチディスクでは、その機能上、トルク伝達ポイントが主に2〜3箇所の歯部だけになっているため、その部分の接触圧が高くなり、フリクション(摩擦)の発生が懸念される。そのため、十分な潤滑油の供給や、プレートやディスクの形状の厳密な精度管理が必要となる。これにより、多板クラッチの構造の複雑化やコスト高につながるという問題があった。
また、上記のような多板クラッチでは、クラッチの締結を解除している間、クラッチプレートやクラッチディスクの隙間にある潤滑油の粘性抵抗などによって、クラッチプレートやクラッチディスクが傾いたり、戻りストローク不良が生じたりする。これにより、隣接するクラッチプレートとクラッチディスクが不必要に接触し、クラッチに摩擦や引き摺りが発生するという問題があった。
これらの問題に対処するため、特許文献2及び特許文献3の多板クラッチは、クラッチプレート歯部とクラッチドラム溝部の円周方向の端面間に弾性体やばね部材などの緩衝材を介在させており、それにより、クラッチ締結時にクラッチプレートからクラッチドラムに伝達される衝撃を緩和するようにしている。しかしながらこの対策は、クラッチプレートに別部品を付加するものであるため、多板クラッチの部品点数が増加し、コスト高につながる。また、多板クラッチの組立効率の低下につながるおそれもある。一方、特許文献2及び特許文献3の従来技術は、クラッチプレートとクラッチディスク間のクリアランス確保には関係しないため、クラッチ非締結時の摩擦や引き摺りを防止することはできない。
特開2000−230574号公報 特開平9−119449号公報 特開平10−238565号公報
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、クラッチ締結時に生じる衝撃や騒音を効果的に緩和することができ、かつ、クラッチ非締結時のクラッチプレートとクラッチディスクのクリアランスを確保して、クラッチの摩擦や引き摺りを防止できる多板クラッチを提供することにある。
上記課題を解決するため本発明にかかる多板クラッチ(1)は、クラッチドラム(10)に対して軸方向に摺動可能かつ円周方向に相対回転不能に係合する複数の歯部(14a)を有してなるクラッチプレート(14)と、クラッチハブ(20)に対して軸方向に摺動可能かつ円周方向に相対回転不能に係合する複数の歯部(24a)を有するとともに、クラッチプレート(14)と交互に重ね合わせて配列されたクラッチディスク(24)と、を備え、クラッチプレート(14)あるいはクラッチディスク(24)の少なくとも一方は、少なくともその一部の歯部(14a)が円周方向において複数の分割片(16)に分割されており、かつ、隣接するクラッチプレート(14)同士またはクラッチディスク(24)同士の同位相の分割片(16)が互いに相手側に向かって突出するように、該分割片(16)が軸方向へ互い違いに突出していることを特徴とする。なお、ここでの括弧内の符号は、後述する実施形態の対応する構成要素の符号を本発明の一例として示したものである。
本発明の多板クラッチによれば、クラッチプレートあるいはクラッチディスクの歯部を円周方向において複数の分割片に分割したので、該歯部を円周方向に弾性変形させることが可能となる。これにより、多板クラッチの部品点数を増加させることなく、クラッチプレートからクラッチドラムに伝わる衝撃、あるいはクラッチディスクからクラッチハブに伝わる衝撃を緩和する緩衝作用を得ることができる。したがって、クラッチ締結時にクラッチプレートやクラッチディスクの摩擦で発生したスティック・スリップ(衝撃)がダイレクトにクラッチドラムやクラッチハブに伝わることを防止できる。また、歯部の弾性変形によって、クラッチプレートあるいはクラッチディスクのトルク伝達ポイントが増加するので、接触面圧の低減が図れる。したがって、トルク伝達ポイントでの摩擦の発生を抑制できる。さらに、隣接するクラッチプレート同士あるいはクラッチディスク同士の同位相の分割片が互いに相手側に向かって突出するようにしたので、クラッチ非締結時にクラッチプレートとクラッチディスクのクリアランスを安定的に確保できる。したがって、クラッチ非締結時の摩擦や引き摺りを効果的に防止できる。
上記構成の多板クラッチでは、クラッチプレート(クラッチディスク)の分割された歯部は、円周方向で隣接するものが同一の形状となるように形成するとよい。その場合、クラッチプレート(クラッチディスク)をクラッチドラム(クラッチハブ)に組み付ける際、同位相の分割片の軸方向への突出が互いに逆向きとなるように加工された2種類のクラッチプレート(クラッチディスク)を用意し、この2種類のクラッチプレート(クラッチディスク)を同位相で交互に重ね合わせれば、隣接するクラッチプレート(クラッチディスク)の分割片が互いに相手側に向かって突出した状態となる。これにより、本発明の多板クラッチを構成することが簡単に行える。
あるいは、クラッチプレート(クラッチディスク)の分割された歯部は、クラッチプレート(クラッチディスク)の円周方向で隣接する歯部が対称な形状となるように形成してもよい。その場合、クラッチプレート(クラッチディスク)をクラッチドラム(クラッチハブ)に組み付ける際、各クラッチプレート(クラッチディスク)を分割された歯部の位相分だけ円周方向にずらして順次に重ね合わせれば、隣接するクラッチプレート(クラッチディスク)の分割片が互いに相手側に向かって突出した状態となる。これによっても、本発明の多板クラッチを構成することが簡単に行える。
本発明にかかる多板クラッチによれば、クラッチ締結時にクラッチプレートやクラッチディスクの摩擦により生じる衝撃や騒音を効果的に緩和でき、かつ、クラッチ非締結時のクラッチプレートとクラッチディスクのクリアランスを確保して、クラッチの摩擦や引き摺りを効果的に防止できる。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる多板クラッチ(湿式多板クラッチ)1の側断面図である。多板クラッチ1は、有底円筒状のクラッチドラム10と、クラッチドラム10の内周に係合する円形環状の平板からなる複数のクラッチプレート14と、クラッチドラム10に対して同心状に配置されて相対回転可能なクラッチハブ20と、クラッチハブ20の外周に係合する円形環状の平板からなる複数のクラッチディスク24とを備え、クラッチプレート14とクラッチディスク24が軸方向で交互に重ね合わされて配列されている。
クラッチドラム10は、回転軸4の外周の溝部8に取り付けた環状のフランジ6に固着されている。回転軸4内には、軸方向に延びる油路5が形成されている。回転軸4と同心上には、変速用のギヤ18が設置されている。ギヤ18は、クラッチハブ20と一体的に形成されている。
クラッチドラム10の内周面には、軸方向に延びる複数の溝部(スプライン)12が円周方向に所定間隔で形成されており、クラッチプレート14の外周には、溝部12と同数の突起状の歯部14aが形成されている。そして、クラッチドラム10の溝部12にクラッチプレート14の歯部14aが軸方向へ摺動可能かつ相対回転不能に係合している。また、クラッチハブ20の外周面には、軸方向に延びる複数の溝部(スプライン)22が円周方向に所定間隔で形成されており、クラッチディスク24の内周には、溝部22と同数の突起状の歯部24aが形成されている。そして、クラッチハブ20の溝部22にクラッチディスク24の歯部24aが軸方向へ摺動可能かつ相対回転不能に係合している。
クラッチドラム10内には、円板状のクラッチピストン26が収容されている。クラッチピストン26とクラッチドラム10の隙間には、シリンダ室28が画成されている。シリンダ室28と回転軸4の油路5とは、回転軸4に形成した油路30、フランジ6に形成した油路32,34及びクラッチドラム10に形成した油路36を介して連通している。さらに、回転軸4に形成した油路42を介して溝部8が潤滑されるようになっている。クラッチドラム10には、環状のスプリング受部44が取り付けられており、スプリング受部44とクラッチピストン26との間にリターンスプリング46が介装されている。
上記構成の多板クラッチ1では、油路30,32,34,36を介してシリンダ室28に作動油が供給されると、リターンスプリング46の付勢力に抗してクラッチピストン26が図1の左方に移動する。すると、クラッチプレート14が左方に押圧され、クラッチプレート14とクラッチディスク24が相互に圧着される。これにより、クラッチが締結し、回転軸4とギヤ18の間で回転伝達が可能な状態となる。一方、シリンダ室28から作動油が排出されると、リターンスプリング46の付勢力によりクラッチピストン26が右方に移動し、クラッチプレート14とクラッチディスク24の圧着が解除され、クラッチの締結が解除される。
次に、クラッチプレート14の構成を詳細に説明する。なお、ここではクラッチプレート14を例に挙げているが、以下で説明する本発明にかかる構成は、クラッチディスク24にも適用することが可能である。
図2は、クラッチプレート14を示す図で、(a)は側面図、(b)は、(a)のX部分の拡大図、(c)は、(b)のC矢視図、(d)は、(b)のD矢視図、(e)は、後述する切り込み15の変形例を示す図である。なお、(d)では、説明のため隣接する他のクラッチプレート14とクラッチディスク24も図示している。クラッチプレート14は、同図(b)に示すように、所定の歯部14aに切り込み15を設けることで、該歯部14aを円周方向で複数の分割片16に分割している。これにより、歯部14aが円周方向に弾性変形可能となる。切り込み15は、歯部14aの外周端面からクラッチプレート14の中心方向(径方向)に直線状に設けられている。なお、同図(e)に示すように、切り込み15の根元部分に、応力集中を避けるための窪み部15aを設けるとよい。窪み部15aは、図示のような断面が円形の溝状とすることが望ましいが、応力を分散可能な形状であれば、他の形状であってもよい。図2に示す例では、1本の切り込み15で歯部14aを2個の分割片16に分割している。分割する歯部14aはすべての歯部14aのうち、等間隔の複数個とすることが望ましく、その具体的な個数は、後述するように、少なくとも4個(90度間隔)以上が望ましいが、どのような個数でもよい。
さらに、図2(c)に示すように、各分割片16は、回転軸方向へ互い違いに突出するように若干折り曲げられている。そして、図2(d)に示すように、隣接するクラッチプレート14の同位相の分割片16が互いに相手側に向かって突出するように、各クラッチプレート14が重ね合わされている。これにより、クラッチ非締結時に、隣接するクラッチプレート14の分割片16同士が接触することで、クラッチプレート14間に所定のクリアランスを確保できる。なお、クラッチが締結される際には、分割片16の弾性変形によりクラッチプレート14の間隔が狭まり、クラッチプレート14がクラッチディスク24に圧着される。
ここで、複数のクラッチプレート14を重ね合わせてクラッチドラム10に組み付ける手順を説明する。図3は、その手順を説明するための図である。ここでは、2つの分割片16に分割された歯部14aを等間隔の4箇所に設けた場合を説明する。なお、同図では、説明のため、分割片16のうち軸方向で同じ向きに突出しているものを黒塗りで示している。クラッチプレート14の重ね合わせには、図3(a),(b)にそれぞれ示す二通りの手順がある。図3(a)に示す第1の手順では、まず、クラッチプレート14−1の歯部14aを分割する際、1つの歯部14aに属する2個の分割片16が軸方向で互いに逆向きに突出するように加工し、かつ、隣接する分割された歯部14aの形状(突出する向き)が互いに対称となるように加工する。このように加工した複数のクラッチプレート14−1を分割された歯部14aの位相分(この場合は90度)ずらして必要な枚数を重ね合わせる。
図3(b)に示す第2の手順では、クラッチプレート14−2の歯部14aを分割する際、1つの歯部14aに属する2個の分割片16が軸方向で互いに逆向きに突出するように加工し、かつ、隣接する分割された歯部14aの形状が互いに同一となるように加工する。さらに、このクラッチプレート14−2に対して、各分割片16が軸方向で逆向きに突出するように加工した他のクラッチプレート14−3を用意する。そして、これら2種類のクラッチプレート14を同位相で必要な枚数交互に重ね合わせる。
上記いずれの手順によっても、図3(c)に示すように、隣接するクラッチプレート14の同位相の分割片16が互いに相手側に向かって突出した状態で各クラッチプレート14が重ね合わせられる。
以上説明したように、本実施形態の多板クラッチ1では、クラッチプレート14の歯部14aを複数の分割片16に分割したことにより、歯部14aが円周方向に弾性変形するようになる。これにより、多板クラッチ1の部品点数を増加させることなく、クラッチプレート14からクラッチドラム10に伝わる衝撃を緩和する緩衝作用を持たせることができる。したがって、クラッチ締結時にクラッチプレート14の摩擦面で発生したスティック・スリップ(衝撃)がダイレクトにクラッチドラム10に伝わることを防止できる。なお、この分割片16による緩衝作用は、クラッチプレート14の回転が加速する際および減速する際の両方で発揮され得る。
また、クラッチドラム10の溝部12の円周方向の端面によって押圧された分割片16が弾性変形することにより、クラッチプレート14のトルク伝達ポイントが増加するので、接触面圧の低減が図れる。したがって、トルク伝達ポイントでの摩擦の発生を抑制できる。これにより、クラッチプレート14への潤滑油の供給やクラッチプレート14の形状の精度管理などの要求が緩和されるようになり、多板クラッチ1の構成の簡素化、製作の容易化を図ることができる。
さらに、この多板クラッチ1では、隣接するクラッチプレート14の同位相の分割片16を互いに相手側に向かって突出させたことで、該分割片16によりクラッチプレート14とクラッチディスク24のクリアランスを安定的に確保できる。したがって、クラッチ非締結時のクラッチプレート14とクラッチディスク24の不必要な接触を効果的に回避でき、摩擦の発生やクラッチの引きずりを防止できる。また、クラッチプレート14とクラッチディスク24を離間させるために通常使用される弾発部品が不要になるので、多板クラッチ1の部品点数の削減が可能となる。さらに、クラッチプレート14の歯部14aに切り込み15を設けたことにより、クラッチプレート14の表面積が増加するので、クラッチプレート14の冷却効率の向上も期待できる。
図4は、分割された歯部14aの数や形状の具体例を示す図である。分割された歯部14aは、同図(a)に示すように、90度間隔の4個とするほか、同図(b)に示すように、1個おきとしてもよいし、同図(c)に示すように、すべての歯部14aを分割してもよい。また、図示は省略するが、2個以上おきの歯部14aを分割してもよい。分割された歯部14aの数を変更すれば、クラッチドラム10に対する緩衝作用、および隣接するクラッチプレート14間のクリアランス量を任意に調節できる。さらに、分割された歯部14aは、すべて同じ大きさに形成する以外にも、例えば、同図(d)に示すように、突出寸法(高さ寸法)を規則的(この場合は1個おき)に異ならせてもよい。こうすれば、複数のクラッチプレート14を重ね合わせる際、その順序や位相を間違えて重ね合わせることを防止でき、誤組立を確実に防止できるようになる。
図5は、分割片16の他の構成例を示す図である。分割片16の形状、個数を変えることによっても、クラッチドラム10に対する緩衝作用、および隣接するクラッチプレート14間のクリアランス量を任意に調節できる。同図(a)では、切り込み15を設ける位置、あるいは数を調節する例を示している。切り込み15を設ける円周方向の位置を変更すれば、分割片16の弾性力を任意に調節できる。すなわち、分割片16の円周方向の幅寸法Pを小さくすれば、分割片16の弾性力が減少し、幅寸法Pを大きくすれば、分割片16の弾性力が増加する。
この場合、1つの歯部14aに1本の切り込み15を入れる以外にも、2本以上の切り込み15を入れ、1つの歯部14aを3個以上の分割片16に分割することも可能である。例えば、図5(a)に示すように、歯部14aを3個の分割片16に分割すれば、両側の分割片16の幅を任意に設定できるので、分割片16の弾性力の調節がより簡単に行えるようになる。なおこの場合、同図に示すように、両側の分割片16を軸方向に互い違いに突出させる一方、中央の分割片16は、軸方向には突出させずそのままの形状とする。なお、ここでは、切り込み15を直線状に入れた場合を示したが、切り込み15は、直線状以外にも、S字状などの曲線状や屈曲線状に入れることも可能である。
また、クラッチプレート14の板厚を変えることでも、分割片16の弾性力を調節できる。図5(a)に示す板厚Qを薄くすれば、分割片16による円周方向および軸方向の弾性力が減少して、クラッチドラム10に対する緩衝作用、および隣接するクラッチプレート14間のクリアランスが小さくなり、板厚Qを厚くすれば、分割片16の弾性力が増加して、これら緩衝作用やクリアランスが大きくなる。
図5(b)では、切り込み15の角度を調節する例を示している。切り込み15をクラッチプレート14の中心方向に対して角度Rを付けた状態(傾斜した状態)で設ければ、分割片16による円周方向の弾性力が変化して、緩衝作用が変わる。また、図5(c)では、分割片16の軸方向の突出寸法を調節する例を示している。分割片16の軸方向の突出寸法Sを大きくすれば、クラッチの非締結時におけるクラッチプレート14間のクリアランスが大きくなり、突出寸法Sを小さくすれば、クリアランスが小さくなる。
図5(d)では、分割片16の形状を変えて、円周方向あるいは軸方向の幅寸法を調節する例を示している。分割片16の軸方向の端面にくぼみ17aを設けて軸方向の幅寸法Tを小さくすれば、分割片16による軸方向の弾性力が減少し、隣接するクラッチプレート14間のクリアランスが小さくなる。また、分割片16の円周方向の端面にくぼみ17bを設けて円周方向の幅寸法Uを小さくすれば、分割片16による円周方向の弾性力が減少し、クラッチドラム10に対する緩衝作用が小さくなる。さらに、歯部14aの材質を適宜に選択することによっても、分割片16の弾性力を任意に調節することができる。
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの形状・構造・材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。
本発明にかかる歯部14aを複数の分割片16に分割する構造は、既述したように、クラッチドラム10に固定されるクラッチプレート14のみならず、クラッチハブ20に固定されるクラッチディスク24にも適用できる。クラッチディスク24に適用する場合は、図示は省略するが、クラッチディスク24の内周に形成された歯部24aを複数に分割する。また、本発明は、湿式多板クラッチだけでなく、湿式多板ブレーキにも適用できる。さらに、乾式多板クラッチやブレーキにも適用が可能である。
本発明の一実施形態にかかる多板クラッチを示す側断面図である。 クラッチプレートを示す図で、(a)は側面図、(b)は(a)のX部分の拡大図、(c)は(b)のC矢視図、(d)は(b)のD矢視図、(e)は、切り込みの変形例を示す図である。 複数のクラッチプレートを重ね合わせる手順を説明するための図である。 分割された歯部の配列や形状などの具体例を示す図である。 分割片の他の構成例を示す図である。
符号の説明
1 多板クラッチ
4 回転軸
5 油路
6 フランジ
8 溝部
10 クラッチドラム
12 溝部(スプライン)
14 クラッチプレート
14a 歯部
16 分割片
18 ギヤ
20 クラッチハブ
22 溝部(スプライン)
24 クラッチディスク
24a 歯部
26 クラッチピストン
28 シリンダ室
30,32,34,36 油路
42 油路
44 スプリング受部
46 リターンスプリング

Claims (2)

  1. クラッチドラムに対して軸方向に摺動可能かつ円周方向に相対回転不能に係合する複数の歯部を有してなるクラッチプレートと、
    クラッチハブに対して軸方向に摺動可能かつ円周方向に相対回転不能に係合する複数の歯部を有するとともに、前記クラッチプレートと交互に重ね合わせて配列されたクラッチディスクと、を備え、
    前記クラッチプレートあるいはクラッチディスクの少なくとも一方は、少なくともその一部の歯部に切り込みを設けることで、該歯部が該切り込みによって円周方向において複数の分割片に分割された歯部になっており、
    隣接するクラッチプレート同士またはクラッチディスク同士の同位相の前記分割片が互いに相手側に向かって突出するように、該分割片が軸方向へ互い違いに突出していることで、非締結時に隣接する前記クラッチプレート又は前記クラッチディスクの前記分割片同士が接触して、前記クラッチプレート又は前記クラッチディスク間に所定のクリアランスが確保され
    前記分割された歯部は、円周方向で隣接するものが同一の形状に形成されている
    ことを特徴とする多板クラッチ。
  2. 前記切り込みは、前記歯部の外周端面から前記クラッチプレート又は前記クラッチディスクの径方向に沿って設けられており、
    該切り込みの根元部分には、応力集中を避けるための窪み部が形成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の多板クラッチ。
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