JP5037301B2 - 既存建造物に対する免震構造施工方法および免震機構 - Google Patents

既存建造物に対する免震構造施工方法および免震機構 Download PDF

Info

Publication number
JP5037301B2
JP5037301B2 JP2007286169A JP2007286169A JP5037301B2 JP 5037301 B2 JP5037301 B2 JP 5037301B2 JP 2007286169 A JP2007286169 A JP 2007286169A JP 2007286169 A JP2007286169 A JP 2007286169A JP 5037301 B2 JP5037301 B2 JP 5037301B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
floating body
tank
building
ground
seismic isolation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2007286169A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009114659A (ja
Inventor
孝師 西岡
Original Assignee
孝師 西岡
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 孝師 西岡 filed Critical 孝師 西岡
Priority to JP2007286169A priority Critical patent/JP5037301B2/ja
Publication of JP2009114659A publication Critical patent/JP2009114659A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5037301B2 publication Critical patent/JP5037301B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、既存建造物に対する免震構造施工方法および免震機構に関する。さらに詳しくは、地震による振動が建造物に対して加わることを抑制する免震機構を既存建造物と地盤との間に設置する免震構造施工方法および免震機構に関する。
従来から、建造物と基礎との間に免震機構を設けることにより、地震等の振動を免震機構に吸収させて、建造物に加わる揺れを抑える技術が開発されている。
免震機構として、積層ゴムやローラベアリング等がよく使用されているが、水等の液体を利用した免震機構も開発されている(例えば、特許文献1〜4)。
液体を利用した免震機構は、液体を収容する槽と、この槽内の液体に浮かべられる浮体とから構成され、浮体上に建造物が配置される。かかる免震機構を設けると、地震等の振動は槽内の液体を介して建造物に伝達されるため、建造物に振動が直接加わらない。しかも、液体によって振動が吸収されるので、建造物の揺れを抑えることができる。
しかるに、液体を利用した免震機構は、浮体を浮かべる液体を収容する槽が必要であり、また、浮体の上に建造物を設けなければならない。このため、新しく建てられる建造物において液体を利用した免震機構を採用することは可能であるが、既存の建造物に設けることは困難である。そして、現在のところ、既存の建造物に対して液体を利用した免震機構を設置する工法も開発されていない。
特開平9−151623号 特開2002−121929号 特開2002−242990号 特開2003−21192号
本発明は上記事情に鑑み、既存の建造物であっても液体を利用した免震構造に改築できる既存建造物に対する免震構造施工方法および免震機構を提供することを目的とする。
第1発明の既存建造物に対する免震構造施工方法は、建造物の周囲の地盤に溝を形成する溝形成工程と、形成された溝内から、前記建造物下方に浮体を設置する浮体形成工程と、前記浮体の下方に空間を形成し、かつ、該浮体の下端と該浮体より下方の地盤との間の空間に該浮体を支持する支持体を配置する支持体設置工程と、前記浮体より下方の地盤上面および前記溝における反建造物側の側面を内面とする液密な槽を形成する槽形成工程とを順に行うことを特徴とする。
第2発明の既存建造物に対する免震構造施工方法は、第1発明において、前記浮体が、複数本の棒状部材によって形成されており、前記溝内から前記建造物下方の地面に前記複数本の棒状部材を突入させることによって該浮体を、形成していることを特徴とする。
第3発明の免震機構は、建造物と地盤との間に設けられる免震機構であって、液体を収容する槽と、該槽内の液体に浮かべられた、その上面に前記建造物が設けられる浮体と、該浮体と前記槽内面との間に設けられた緩衝装置とからなり、前記浮体が、複数本の棒状部材を組み合わせて形成されたものであることを特徴とする。
第4発明の免震機構は、第3発明において、基端が前記建造物に連結され先端が前記槽外の地面まで延びた基体と、該基体と前記槽外の地面との間を固定解放可能に連結する連結部とを有する延長部とを備えており、前記浮体は、前記連結部によって前記槽外の地面との連結が解放されたときに、前記基体が前記地面により上方に位置する程度の浮力を有していることを特徴とする。
第5発明の免震機構は、第3または第4発明において、前記延長部と前記槽との間に、前記建造物の移動を案内する案内部材が設けられていることを特徴とする。
第6発明の免震機構は、第3、第4または第5発明において、前記浮体の下端と前記槽内底面との間に前記緩衝装置が設けられており、該緩衝装置が、前記槽内の液体が存在しない状態において、該槽の内底面から前記浮体を離間させた状態で保持する機能を有するものであることを特徴とする。
第1発明によれば、建造物を移動させることなく、槽および浮体を設けることができるので、迅速かつ安価に既存の建造物に液体を利用した免震機構を設けることができる。
第2発明によれば、建造物の下方の地盤に棒状部材を突入させているだけであるから、地盤に建造物を固定したまま、建造物の下方に浮体を設置できる。よって、浮体設置中において、建造物を安定した状態に維持しておくことができる。
第3発明によれば、地震等の振動は槽内の液体を介して建造物に伝達されるため、振動が建造物に直接加わらない。しかも、液体によって振動が吸収されるので、建造物の揺れを抑えることができる。また、浮体は棒状部材を組み合わせているだけであるから、浮体の構造が単純化できる。そして、棒状部材の本数や材質を変えるだけで、浮体の発生する浮力を変えることができるので、浮体の浮力調整が容易になる。
第4発明によれば、地震発生時以外は延長部によって建造物と地盤とを連結しておくことができるので、日常生活において、住民が液体の上で生活していることを感じない。よって、液体を利用した免震機構を採用しても、住民の生活の質が低下することを防ぐことができる。しかも、延長部と地盤との連結が解放されれば、基体が地盤より上方に位置するから、液体内で建造物等が揺れ動いても、基体と地盤等とが干渉せず基体の損傷を防ぐことができる。
第5発明によれば、案内部材により建造物の移動が案内されるから、建造物が必要以上に移動することを防ぐことができ、建造物を安定した状態で移動させることができる。
第6発明によれば、緩衝装置によって槽の内底面から浮体を離間させた状態で保持すれば、槽から液体を排出した状態で浮体や槽等の点検を行うことができる。よって、浮体や槽等のメンテナンスが容易になり、かつ、メンテナンスを正確かつ短時間で行うことができる。
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1は本実施形態の免震機構を備えた建造物Sの概略説明図である。同図において、符号Bは建造物Sの基礎を示している。この基礎Bは、本実施形態の免震機構を構成する部材である浮体10の上面に設けられている。
浮体10は、建造物Sの下方の地盤Gに形成された槽1内に配設されている。この浮体10は、例えば、水やベントナイト液、塩水(海水)等の槽1内に収容されている液体Lに浸漬すると、液体L中に浮かんだ状態となるように形成されたものである。
なお、槽1に収容される液体Lは、浮体10等の物体を入れたときに、浮体10等に浮力が発生するものであればよく、とくに限定されない。
図2(A)は浮体10の概略斜視図であり、(B)は上下の棒状部材11同士を連結する構造の一例である。図2に示すように、浮体10は複数本の棒状部材11を組み合わせて形成されたものである。この棒状部材11は、例えば、鉄管やコンクリートパイル等の中空な管状の部材である。この棒状部材11の両端は、その内部に液体Lが入らないように両端部が液密に閉じられている。
かかる棒状部材11を組み合わせた構造とすることにより、浮体10はその構造を単純化できるし、また、棒状部材11の本数や材質を変えるだけで、浮体10の発生する浮力を変えることができるので、浮体10の浮力調整が容易になる。
なお、浮体10は、後述する延長部30と槽1や地盤Gとの連結が解放されると、前記基礎Bが地面より300〜900mm程度上方に位置する程度の浮力を発生するように調整されているが、その理由は後述する。
さらになお、棒状部材11内に液体Lが入ることを防ぐ方法として、棒状部材11内部に充填材11aを充填してもよい。充填材11aは、棒状部材11よりも密度が低くかつ液体Lが浸透しにくい材料であればとくに限定されず、例えば、発泡ウレタン等を使用することができる。
さらになお、図2では、隣接する棒状部材11が接触した状態で配設された浮体10を示しているが、浮体10において、隣接する棒状部材11をある程度離した状態で配設してもよい。この場合には、隣接する棒状部材11間に、棒状部材11よりも大きな浮力を発生させることができる、例えば、発泡ウレタン等の材料を設けることも可能である。すると、棒状部材11のみで浮体10を形成するよりも浮体10の浮力を大きくできるので、好適である。
さらになお、浮体10を構成する棒状部材11同士は、例えば、クランプ器具や溶接等によって連結することができるが、棒状部材11同士を連結する方法はとくに限定されない。そして、上下に隣接する棒状部材11の軸方向が互いに交差するように配設されている場合であれば、棒状部材11の側面において浮体10を構成したときに上下に位置する部分に、その軸方向に沿って立設された壁状部材11bを設け、この壁状部材11bに切り欠き11hを設けておく。すると、例えば、上方に位置する棒状部材11の壁状部材11bにおける切り欠き11hに、下方に位置する棒状部材11の壁状部材11bが係合するようにしておけば、上下の棒状部材11の位置ズレを防ぐことができる(図2(B))。
図1に示すように、浮体10の下端と槽1の内底面との間には複数の緩衝装置20が設けられている。各緩衝装置20は、例えば、エアサスペンションや油圧サスペンション等であり、槽1の内底面から浮体10に加わる力を吸収する緩衝機能を有するとともに、槽1の内底面に対して、浮体10が急激に移動することを防ぎつつその移動を徐々に減衰させる減衰機能を有している。
なお、緩衝装置20として、上記のごとき緩衝・減衰機能に加えて槽1内の液体Lが存在しない状態において、槽1の内底面から浮体10を離間させた状態で浮体10等の荷重を支持できる機能を有するものを使用することが好ましい。この場合、緩衝装置20によって浮体10を支持させておけば、槽1から液体Lを排出して浮体10や槽1等の点検を行うことができるから、免震機構のメンテナンスが容易になるし、メンテナンスを正確かつ短時間で行うことができるので好適である。
また、前記緩衝装置20は、その上端は浮体10に対して相対的に移動できないように固定されているが、その下端にはボールキャスタ等を備えており、このボールキャスタ等は槽1の内底面上を転動できるように構成されている。かかる構成とする理由は後述する。
なお、緩衝装置20と浮体10との相対的な移動を固定する方法はとくに限定されず、公知のクランプ器具や溶接などの公知の連結方法によって固定することができる。
さらになお、緩衝装置20の下端は槽1の内底面上を移動できるように構成されていればよく、とくに限定されない。
さらになお、緩衝装置20の下端を槽1の内底面に固定し、上端にボールキャスタ等を設けてもよい。この場合には、浮体10の下端に鉄板などの平坦面を有する部材を設けておけば、ボールキャスタ等の上で浮体10を移動させることができる。
図1に示すように、基礎Bの周囲には、延長部30が設けられている。この延長部30は、基端が基礎Bに固定され、先端が槽1の外方の地面まで延びた基体31を備えている。この基体31は、例えば、コンクリートによって形成された板状のブロックを採用することができるが、金属製のプレート等によって形成してもよい。
図1および図6に示すように、延長部30の基体31は、連結部35によって槽1の内面に設けられた突起部1aと連結されている。この連結部35は、基体31の下面に立設された案内壁36と、この案内壁36に基端が取り付けられたフック37とを備えている。このフック37は、この基端を支点として揺動可能に設けられており、突起部1aに対して接近離間するように揺動させると、その先端が突起部1aに係合解放できるようになっている。そして、フック37の先端が突起部1aに係合した状態において基体31の先端下面が地面と接する程度の高さとなるように、フック37は案内壁36に配設されている。
なお、フック37は、地震を感知するセンサを備えた揺動制御機構によりその揺動方向や揺動タイミングを制御するようにしてもよい。例えば、揺動制御機構として、フック37の先端を突起部1aに向かって揺動した状態で保持するバネなどの付勢手段を有する固定装置と、センサが地震の発生を感知するとフック37の先端を突起部1aから離間する方向に揺動させるシリンダ等を有する解放装置とを備えたものを採用し、センサが地震を感知すると、解放装置を作動するようにすることができる。
さらになお、揺動制御機構は、上述したような構造を有するものに限られず、通常はフック37を突起部1aに係合させておき、地震発生時にフック37と突起部1aとの係合を解放することができる構成であればよい。
さらになお、基体31と槽1とを連結する連結部の構成は、上記構成に限られず、通常は基体31と槽1または地盤Gとを連結しておき、地震発生時に、基体31を槽1および地盤Gから相対的に移動可能とできるのであれば、とくに限定されない。
また、基体31の下面には、案内部材32が設けられている。この案内部材32は、その下端にローラが設けられており、このローラが槽1の突起部1a上面を転動できるようになっている。しかも、この案内部材32は軸方向(図6では上下方向)伸縮可能である。具体的には、案内部材32は、フック37が突起1aに係合した状態では案内部材32は収縮した状態に保たれ、フック37の係合が外れると伸長するようになっている。しかも、案内部材32は、フック37の係合が外れた状態でも、ローラが突起部1aの上面に接触した状態を維持できる長さに調整されている。
また、基体31の案内壁36と槽1の内側面との間にも案内部材33が設けられている。この案内部材33も軸方向(図6では左右方向)伸縮可能であり、その先端にはローラ設けられており、このローラが案内壁36の側面を転動できるようになっている。
以上のごとき構成であるから、本実施形態の免震機構を備えた建造部Sでは、地震発生時以外は連結部35によって延長部30の基体31、つまり、建造部Sの基礎Bと地盤Gとを連結しておくことができる。すると、日常生活において、住民が浮体10上で生活していること、つまり、液体Lの上で生活していることを感じない。よって、液体Lを利用した免震機構を採用しても、建造部Sで生活する住民の生活の質が低下することを防ぐことができる。
なお、地震発生時以外は、案内壁36と槽1の内側面との距離が変化しないように、案内部材33を伸長させた状態で伸縮しないようにしておけば、建造部Sが水平面内で移動することを防ぐことができる。
さらになお、地震発生時以外は、基体31と突起部1aとの距離が変化しないように、案内部材32を伸長させた状態で伸縮しないようにしておけば、フック37と槽1の突起部1aとをより確実に係合させておくことができる。
そして、地震等が発生したときに、以下のように機能して建造物Sに加わる振動を抑えることができる。
まず、地震の発生をセンサ等が検知すると、連結部35のフック37と槽1の突起部1aの係合が外れるので、浮体10の浮力によって建造物Sの基礎Bは地面より上方まで浮上する。すると、延長部30の基体31も地面より上方まで浮上するから、建造物Sおよび基礎Bは、地盤Gと直接接触しない状態になる(図6(B)参照)。
かかる状態となると、地震等の振動は建造物Sに直接加わらず、槽1内の液体Lと緩衝装置20を介して建造物Sに伝わることになる。つまり、地震等の振動は槽1内の液体Lや緩衝装置20によってその振動エネルギが吸収されてから建造物Sに伝達されるようになるから、地震等の振動が直接建造物Sに加わる場合に比べて、建造物Sの揺れを抑えることができる。
また、連結部35のフック37と槽1の突起部1aとの連結が解放されれば、浮体10の浮力によって基体31は地面より上方に位置するまで上昇する。すると、地震等の振動による液体Lの運動等によって建造物Sは液体L上で浮遊することになるが、その場合でも基体31と槽1や地盤Gとが干渉しないから、基体31が槽1等と接触して損傷を防ぐことができる。
しかも、建造物Sは液体L上で浮遊するときに、案内部材32,33によって建造物Sの移動が案内されるから、建造物Sが必要以上に移動することを防ぐことができ、建造物Sを安定した状態で移動させることができる。
なお、複数の緩衝装置20および複数の案内部材32,33はそれぞれ独立してその伸縮が制御されていてもよいが、図示しない制御装置によって、各緩衝装置20および各案内部材32,33の伸縮を集中制御されていてもよい。制御装置によって集中制御すれば、各緩衝装置20等の伸縮量や伸縮量の変化割合等を検出できるから、これらの検出結果を比較解析することによって建造物Sの位置や傾き、動き等を把握することができる。すると、地震時でも、建造物Sが大きく傾いたり槽1内における位置が所定の位置から大きくずれたりすることを防ぐことができるから、建造物Sの安定性を高めることができる。
さらになお、上記例では、延長部30と槽1や地盤Gとの連結が解放されると、前記基礎Bが地面より上方に位置するように浮体10の浮力が調整されているが、浮体10を、それ自身の浮力だけでは地面より上方に延長部30を位置させることができないようにしてもよい。この場合、建造物Sや基礎B、浮体10等の自重によって基体31が地面に押し付けられた状態となるので、連結部35にフック37を設けなくても、建造部Sの基礎Bと地盤Gとを連結した場合と同等の状態にしておくことができる。ただし、かかる構成をとる場合には、地震の発生をセンサ等が検知したときに、緩衝装置20や案内部材32を作動させて、建造物Sの基礎Bが地面より上方に位置するまで押し上げる制御機構を設ける必要がある。
さらになお、上記例では、緩衝装置20と案内部材32の両方が緩衝・減衰機能を有しているが、案内部材32が緩衝機能を有している場合には、必ずしも緩衝装置20を設けなくてもよい。とくに、新築される建造物Sの場合であれば、後述するような支持体15を用いなくても免震機構を設置することができるから、案内部材32だけで緩衝・減衰機能を発揮させてもよい。
つぎに、上述したような免震機構を既存の建造物Sに施工する施工方法を説明する。
なお、以下では、棒状部材11が複数の中空なピース12から形成されている場合を説明するが、棒状部材11は一本の中空な棒状の材料から形成されている場合でも、同様の方法で施工できるのはいうまでもない。
図3(A)に示すように、まず、免震機構を設置する建造物Sの周囲の地盤Gに溝gを形成する(溝形成工程S1)。
溝gは、例えばパワーショベル等により形成することができるが、どのような方法で形成してもよい。また、溝gの深さは、最終的に形成される槽1の深さと同等、つまり、液体Lに浮かんだ状態における浮体10と地盤との間に緩衝装置20が設置できる程度の深さであればよい。さらに、溝gの幅は、後述するピース12(又は棒状部材11)を建造物Sの下方の地盤G1に対して水平に突入させることができる程度の幅があればよく、具体的には、ピース12(又は棒状部材11)の長さより長ければよい。
溝gを形成すると、この溝g内から建造物Sの下方の地盤G1に対して、水平にピース12を突入させていく(浮体形成工程S2、図3(B)、(C))。このピース12を地盤G1に突入させる方法は、例えば、ピース12の先端に掘進機DMを取り付けて、掘削しつつピース12を押し込む方法、いわゆる推進工法を採用することができる。
そして、ピース12を、例えば、ネジ結合やクランプ部材による結合、ピンによる結合等の公知の結合方法によって順次連結しながら掘削を進めていくと、やがて先頭のピース12が地盤G1を貫通する。すると、複数のピース12が結合された状態の棒状部材11を建造物Sの下方の地盤G1に設置することができる。
この作業を繰り返せば、複数の棒状部材11が建造物Sの下方の地盤G1に配置されるので、棒状部材11同士を連結し、基礎Bと浮体10とを連結する。すると、複数の棒状部材11からなる浮体10が建造物Sの下方に設置された状態とすることができる(図4(D))。
なお、複数の棒状部材11同士の連結は、全ての棒状部材11が地盤G1に配置されてから連結してもよいし、地盤G1に配置された棒状部材11を順次連結してもよい。このとき、棒状部材11同士の間には土砂が存在するので、水等によって洗浄し土砂を除去する。
さらになお、隣接する棒状部材11をある程度離した状態で配設した場合には、土砂を除去した後、棒状部材11同士の間に発泡ウレタン等を配設する作業を行う。
浮体10が形成されると、浮体10より下方の地盤と浮体10との間に油圧ジャッキ等の支持体15を設置する(支持体設置工程S3、図4(E))。具体的には、浮体10より下方の地盤G1を除去し、地盤G1が除去された部分に支持体15を設置する作業を、浮体10の下方の地盤が完全に除去されるまで繰り返す。換言すれば、浮体10の上方に空間が形成され、浮体10が複数の支持体15でのみ支持された状況となるようにする(図4(F))。
なお、支持体15を設置中において、浮体10を安定した状態に保つために、浮体10の側面と溝gにおける反建造物S側の側面との間に移動固定部材等を配置してもよい。
そして、浮体10が複数の支持体15でのみ支持されるようになると、浮体10を囲む地盤Gの表面(溝gにおける反建造物S側の側面および内底面)にコンクリートを打設し、槽1を形成する(槽形成工程S4、図5(G))。このとき、槽1はその内部が液密になるように形成する。
槽1内部を液密に保つ方法としては、公知の方法が採用できる。例えば、槽1の側面と底面との連結部分に止水板を設置したり、槽1内にピッチ防水やシート防水等の防水施工を行ったりすることにより、槽1内部を液密に保つことができる。
なお、緩衝装置20として支持体15と異なる装置を使用する場合には、槽1が形成された後、緩衝装置20を支持体15に代えて設置する。
さらになお、槽1の内側面は事前に(例えば、浮体形成工程S2の前に)設置してもよい。すると、後述するように、槽1の内側面を、土止め板や推進工法で施工するときの足場として機能させることもできる。
つぎに、基礎Bの周囲に延長部30の基体31を設ける(図5(H))。基体31はどのような方法で設置してもよいが、例えば、別な場所で形成された基体31を基礎Bの周囲に配置して延長部30の基体31を基礎Bに固定することもできるし、また、延長部30の基体31を現場で基礎Bの周囲に形成することも可能である。
なお、連結部35の案内壁36は、基体31を形成するときに基体31とともに形成しておく。
そして、基体31が設置されれば、連結部35のフック37や案内部材32,33を設置し、連結部35のフック37と槽1の突起部1aとの間を係合した状態として、槽1内に水等の液体Lを入れる。すると、浮体10には浮力が発生し、免震機構の設置が終了する(図1(A)参照)。
上記工法の場合、建造物Sを移動させることなく、槽1および浮体10を設けることができるので、迅速かつ安価に既存の建造物Sに液体Lを利用した免震機構を設けることができる。
なお、連結部35は必ずしも槽1内に設ける必要はなく、図7に示すように、槽1の外方の地盤Gに空間Ghを設け、その空間Ghに設置してもよいのは、いうまでもない。
また、コンクリートを打設して槽1を形成するときに、支持体15の下端がコンクリートに埋設固定されてしまう可能性があるが、支持体15が緩衝装置20としてそのまま使用できる場合であれば、槽1の内底面を形成するコンクリートを打設するときに、支持体15の下端をコンクリートにそのまま埋設固定してしまえばよい。
一方、緩衝装置20の下端が槽1の内底面上を移動できるようにする場合であって支持体15が緩衝装置20としてそのまま使用できる場合、また、支持体15を緩衝装置20に置換する場合には、支持体15の下端をコンクリートに埋設固定されることを防がなければならない。そのためには、支持体15を設置するときに、支持体15の下端と地盤G1との間に、槽1内底面厚さと同程度の厚さを有する鉄板やコンクリート等のスペーサを配置する。すると、コンクリートを打設しても、コンクリートにはスペーサしか埋設固定されないので、コンクリートが固化すれば、支持体15(緩衝装置20)の下端が槽1の内底面上を移動できるし、支持体15を取り外して緩衝装置20と交換することができる。
なお、支持体15(緩衝装置20)の下端にローラが設けられている場合には、槽1の内底面においてローラが転動する範囲、つまり、地震発生時において建造物Sが移動可能な範囲に、ローラが転動しやすい表面や、ローラがスムースに転動できる表面を有する部材(例えば、鉄板等)を配置してもよい。すると、ローラが転動がスムースになり、地震発生時における建造物Sの移動もスムースになるので、好適である。
また、建造物Sの下方の地盤G1に棒状部材11を突き刺していくときに、地盤G1が弱い場合、地盤G1が崩れて建造物Sが傾いたり倒壊する可能性がある。そこで、地盤G1の周囲に、コンクリートなどによって地盤G1の崩壊を防止する土止め板等を施工しておけば、かかる問題を防ぐことができる。そして、溝gにおける反建造物Sの内側面に、土止め板等や槽1の内側面を形成しておけば、溝gが崩れることを防ぐことができるし、土止め板等を推進工法で施工するときの足場に利用することができるので好適である。
本発明の免震構造施工方法は、住居や工場、倉庫、橋桁等における単独柱脚等の既存の建造物に対して、液体を利用する免震機構を設置する工法として適している。
本実施形態の免震機構を備えた建造物Sの概略説明図である。 (A)は浮体10の概略斜視図であり、(B)は上下の棒状部材11同士を連結する構造の一例である。 本実施形態の免震機構を既存の建造物に設置する作業の説明図である。 本実施形態の免震機構を既存の建造物に設置する作業の説明図である。 本実施形態の免震機構を既存の建造物に設置する作業の説明図である。 延長部30の概略説明図である。 他の実施形態の延長部30の概略説明図である。
符号の説明
1 槽
10 浮体
11 棒状部材
15 支持体
20 緩衝装置
30 延長部
31 基体
35 連結部
32 案内部材
33 案内部材
S 建造物
G 地盤
g 溝
L 液体

Claims (6)

  1. 建造物の周囲の地盤に溝を形成する溝形成工程と、
    形成された溝内から、前記建造物下方に浮体を設置する浮体形成工程と、
    前記浮体の下方に空間を形成し、かつ、該浮体の下端と該浮体より下方の地盤との間の空間に該浮体を支持する支持体を配置する支持体設置工程と、
    前記浮体より下方の地盤上面および前記溝における反建造物側の側面を内面とする液密な槽を形成する槽形成工程とを順に行う
    ことを特徴とする既存建造物に対する免震構造施工方法。
  2. 前記浮体が、
    複数本の棒状部材によって形成されており、
    前記溝内から前記建造物下方の地面に前記複数本の棒状部材を突入させることによって該浮体を、形成している
    ことを特徴とする請求項1記載の既存建造物に対する免震構造施工方法。
  3. 建造物と地盤との間に設けられる免震機構であって、
    液体を収容する槽と、
    該槽内の液体に浮かべられた、その上面に前記建造物が設けられる浮体と、
    該浮体と前記槽内面との間に設けられた緩衝装置とからなり、
    前記浮体が、
    複数本の棒状部材を組み合わせて形成されたものである
    ことを特徴とする免震機構。
  4. 基端が前記建造物に連結され先端が前記槽外の地面まで延びた基体と、該基体と前記槽外の地面との間を固定解放可能に連結する連結部とを有する延長部とを備えており、
    前記浮体は、
    前記連結部によって前記槽外の地面との連結が解放されたときに、前記基体が前記地面により上方に位置する程度の浮力を有している
    ことを特徴とする請求項3記載の免震機構。
  5. 前記延長部と前記槽との間に、前記建造物の移動を案内する案内部材が設けられている
    ことを特徴とする請求項3または4記載の免震機構。
  6. 前記浮体の下端と前記槽内底面との間に前記緩衝装置が設けられており、
    該緩衝装置が、
    前記槽内の液体が存在しない状態において、該槽の内底面から前記浮体を離間させた状態で保持する機能を有するものである
    ことを特徴とする請求項3、4または5記載の免震機構。
JP2007286169A 2007-11-02 2007-11-02 既存建造物に対する免震構造施工方法および免震機構 Expired - Fee Related JP5037301B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007286169A JP5037301B2 (ja) 2007-11-02 2007-11-02 既存建造物に対する免震構造施工方法および免震機構

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007286169A JP5037301B2 (ja) 2007-11-02 2007-11-02 既存建造物に対する免震構造施工方法および免震機構

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009114659A JP2009114659A (ja) 2009-05-28
JP5037301B2 true JP5037301B2 (ja) 2012-09-26

Family

ID=40782103

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007286169A Expired - Fee Related JP5037301B2 (ja) 2007-11-02 2007-11-02 既存建造物に対する免震構造施工方法および免震機構

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5037301B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104074370A (zh) * 2014-07-14 2014-10-01 江苏南方城建设计咨询有限公司 一种砖混结构建筑物整体过河平移方法及其专用托换装置

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102979317B (zh) * 2012-12-19 2015-04-15 山东建筑大学 具有双向滚轴隔震支座的建筑物移位就位方法
CN110629887B (zh) * 2019-10-07 2021-04-02 江苏鸿升建设集团有限公司 连体结构抗震转动多向滑动支座
CN113187090A (zh) * 2021-05-07 2021-07-30 中国建筑西北设计研究院有限公司 一种滑动连接架空连接体防脱落装置及方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104074370A (zh) * 2014-07-14 2014-10-01 江苏南方城建设计咨询有限公司 一种砖混结构建筑物整体过河平移方法及其专用托换装置
CN104074370B (zh) * 2014-07-14 2016-05-18 陈�胜 一种砖混结构建筑物整体过河平移方法及其专用托换装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009114659A (ja) 2009-05-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5037301B2 (ja) 既存建造物に対する免震構造施工方法および免震機構
JP6792240B2 (ja) 鋼管杭の自沈防止装置、自沈防止構造及び自沈防止工法
JP2008144546A (ja) 山留め支保工の施工法及びその構造
KR102248621B1 (ko) 부유이송 해상지지구조물 및 이의 시공방법
CN106812067A (zh) 一种用于桥梁建设的可移动施工平台
JP5630929B2 (ja) 水力工学設備用のアンカー要素
KR200389266Y1 (ko) 슬라이드 레일식 흙막이 장치
CN105604061A (zh) 一种用于水中钢管桩入岩安装的浮式装置及其施工方法
JP4544476B2 (ja) 免震構造体及び免震基礎杭
JP4283085B2 (ja) レベル自動調整式浮体装置
CN211143822U (zh) 一种建筑隔震加固的托换结构
JP2007327302A (ja) 杭式海上構造物用仮設足場
JP2010275803A (ja) 免震構造物及び建物
JP3502310B2 (ja) 免振水上浮設構造物
JP5015885B2 (ja) 構造物の不同沈下制御構造
JP2007092454A (ja) 海洋空間に建造するハイブリッド方式人工地盤とその建造方法
JP6792239B2 (ja) 鋼管杭の自沈防止装置及び自沈防止工法
JP2017036652A (ja) 浮体免震構造及び飽和砂制御システム
CN219951928U (zh) 一种地下室抗浮锚杆
KR102535841B1 (ko) 부유식 pc 하우스를 이용한 수상 교각 기초 시공 방법
JP2005083018A (ja) 浮遊式免震構造
KR101361842B1 (ko) 경사파일 시공장치 및 이를 이용한 경사파일 시공방법
JP7364105B2 (ja) 位置調整装置及び構真柱の位置調整方法
US5582491A (en) System to increase the tension capacity of pipe piles driven into the ocean floor
CN115262613B (zh) 一种附着于承台的0号块落地支架悬臂式减振混凝土基础

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100716

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120419

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120619

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120704

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150713

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5037301

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees