JP5037063B2 - 車両用電動機 - Google Patents

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Description

この発明は、ハイブリッド車や電動車両の駆動源等に用いられる車両用電動機に関するものである。
電動機として、夫々個別に永久磁石を備える内周側回転子と外周側回転子が同軸に配設され、この両回転子を周方向に相対的に回動させる(両回転子の相対的な位相を変更する)ことにより、回転子全体としての界磁特性を変更できるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
この電動機では、電動機の回転速度に応じて両回転子における相対的な位相を変更する場合には、遠心力の作用により径方向に沿って変位する部材によって、外周側回転子と内周側回転子の何れか一方を他方に対して周方向に回動させる。また、固定子に発生する回転磁界の速度に応じて両回転子における相対的な位相を変更する場合には、各回転子が慣性により回転速度を維持する状態で固定子巻線に制御電流を通電して回転磁界速度を変更することによって、外周側回転子及び内周側回転子の周方向の相対位置を変更する。
この電動機においては、外周側回転子と内周側回転子の永久磁石を互いに異極同士で対向させる(同極配置にする)ことで、回転子全体の界磁を強めて誘起電圧を増大させ、逆に、外周側回転子と内周側回転子の永久磁石を互いに同極同士で対向させる(対極配置にする)ことで、回転子全体の界磁を弱めて誘起電圧を減少させる。
特開2002−204541号公報 特開2000−27992号公報
しかし、この従来の電動機の場合、外周側回転子と内周側回転子の相対位相を変更できる条件が限られており、電動機の運転停止時や任意の回転時に自由に相対位相を変更することができない。特に、ハイブリッド車や電動車両の駆動用として用いる場合には、車両の運転状況に応じて瞬時に所望の電動機特性に変更することが望まれ、この要望に応えるためにも相対位相の変更制御の自由度を高めることが重要となる。このため、本出願人は、車両用電動機に油圧を用いる位相変更手段を組み込むことを発案し、現在、その油圧供給のための効率的なシステムの開発を進めている。
具体的には、現在、油圧供給源として電動オイルポンプを用い、電動オイルポンプから吐出された作動油を制御弁で高圧系油路と低圧系油路とに振り分け、高圧系油路の作動油を車両用電動機の位相変更手段に供給するとともに、低圧系油路の作動油を機器の冷却や潤滑に用いることを検討している。
しかし、この技術の場合、電動オイルポンプの一つのポンプ機構部で高圧系油路と低圧系油路とに作動油の供給を行っているため、高圧系油路で必要とする最高圧と両油路で必要とする最大流量が得られるようにポンプ機構部の仕様を決めなければならない。このため、不要なポンプ仕事量が多くなり、電動オイルポンプの消費電力が増大する。
つまり、上記従来の技術においては、高圧系油路の必要吐出圧が得られるように電動オイルポンプのポンプ機構部が設計されているため、ポンプ機構部の吐出圧は常に一旦高圧に昇圧され、低圧系油路に供給される分に関して不要なポンプ仕事量が多くなる。そして、車両の油圧システムにおいては、一般に、以下の説明のように吐出圧の方が吐出流量よりもポンプ仕事量(電動オイルポンプの消費電力)に与える影響が大きくなる。
AT油圧、CVT油圧等に用いる高圧系油路と、潤滑、クーラー等に用いる低圧系油路との圧力の比は、一般的に、
高圧:低圧=5〜10:1となる。
また、電動オイルポンプでの吐出流量はモータ回転数で決まり、流量大と流量小とのモータ回転数の比は、一般的に、
大流量:小流量=4〜6:1となる。
以上のことから、ポンプ仕事量(吐出圧×吐出流量)については、一般に、吐出圧の高低の方が吐出流量の大小よりも影響が大きくなる。
そこで、この出願の発明は、電動オイルポンプの消費電力の増大を招くことなく、位相変更制御の自由度の向上と、位相変更時の作動応答性の向上を図ることのできる車両用電動機を提供しようとするものである。
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、円周方向に沿うように永久磁石(例えば、後述の実施形態における永久磁石9)が配設された内周側回転子(例えば、後述の実施形態における内周側回転子6)と、この内周側回転子の外周側に同軸にかつ相対回動可能に配設されるとともに、円周方向に沿うように永久磁石(例えば、後述の実施形態における永久磁石9)が配設された外周側回転子(例えば、後述の実施形態における外周側回転子5)と、油圧によって前記内周側回転子と外周側回転子を相対回動させて両者の相対的な位相を変更する位相変更手段(例えば、後述の実施形態における位相変更手段12)と、を備えた車両用電動機にあって、前記位相変更手段を油圧アクチュエータ(例えば、後述の実施形態における回動操作機構11)によって構成する一方、共通の電動モータ(例えば、後述の実施形態における電動モータ52)で同時に駆動される高圧ポンプ機構部(例えば、後述の実施形態における高圧ポンプ機構部50)と低圧ポンプ機構部(例えば、後述の実施形態における低圧ポンプ機構部51)を備えた電動オイルポンプ(例えば、後述の実施形態における電動オイルポンプ32)を設け、この電動オイルポンプの前記高圧ポンプ機構部を、前記油圧アクチュエータに油圧を供給するライン圧通路(例えば、後述の実施形態におけるライン圧通路33)に接続するとともに、前記低圧ポンプ機構部を、前記車両用電動機内の冷却部に作動油を冷却液として供給する低圧油供給通路(例えば、後述の実施形態における潤滑・冷却通路34)に接続するようにした。
これにより、電動オイルポンプの電動モータが駆動すると、高圧ポンプ機構部から吐出された高圧の作動油がライン圧通路を介して位相変更手段の油圧アクチュエータに供給され、低圧ポンプ機構部から吐出された低圧の作動油が車両用電動機内の冷却用の低圧油供給通路に供給される。この場合、低圧油供給通路に供給される作動油が必要以上に高圧に昇圧されるのが抑制される。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用電動機において、前記高圧ポンプ機構部と前記ライン圧通路との間には、前記ライン圧通路への供給圧を調圧するレギュレータバルブが介装されており、前記レギュレータバルブは、作動油の余剰分を低圧油供給通路へ排出するドレン通路を備えるようにした。
請求項1に記載の発明によれば、位相変更手段を油圧アクチュエータによって構成したため、回転子の位相を任意のタイミングで迅速に、かつ自由に変更することが可能になり、しかも、電動オイルポンプの高圧ポンプ機構部から位相変更手段に高圧の作動油を供給し、低圧ポンプ機構部から車両用電動機内の冷却用の低圧油供給通路に低圧の作動油を供給するようにしたことから、低圧油供給通路に供給される作動油が必要以上に高圧に昇圧されるのが抑制され、その結果、電動オイルポンプでの消費電力を抑制することが可能になる。
以下、この発明の一実施形態を図1〜図6に基づいて説明する。
この実施形態の車両用電動機1(以下、「電動機1」と呼ぶ)は、図1〜図4に示すように円環状の固定子2の内周側に回転子ユニット3が配置されたインナロータ型のブラシレスモータであり、例えばハイブリッド車や電動車両等の走行駆動源として用いられる。固定子2は複数相の固定子巻線2aを有し、回転子ユニット3は軸芯部に回転軸4を有している。車両の走行駆動源として用いる場合には、電動機1の回転力はトランスミッション(図示せず)を介して車輪の駆動軸(図示せず)に伝達される。この場合、電動機1は車両の減速時に発電機として機能させれば、回生エネルギーとして蓄電器に回収することもできる。また、ハイブリッド車においては、電動機1の回転軸4をさらに内燃機関のクランクシャフト(図示せず)に連結することにより、内燃機関による発電にも利用することができる。
回転子ユニット3は、円環状の外周側回転子5と、この外周側回転子5の内側に同軸に配置される円環状の内周側回転子6を備え、外周側回転子5と内周側回転子6が設定角度の範囲で回動可能とされている。
外周側回転子5と内周側回転子6は、回転子本体である円環状のロータ鉄心7,8が例えば焼結金属によって形成され、その各ロータ鉄心7,8の外周側に偏寄した位置に、複数の磁石装着スロット7a,8aが円周方向等間隔に形成されている。各磁石装着スロット7a,8aには、厚み方向に磁化された2つの平板状の永久磁石9,9が並列に並んで装着されている。同じ磁石装着スロット7a,8a内に装着される2つの永久磁石9,9は同方向に磁化され、各隣接する磁石装着スロット7a,7a、及び、8a,8aに装着される永久磁石9の対同士は磁極の向きが逆向きになるように設定されている。即ち、各回転子5,6においては、外周側がN極とされた永久磁石9の対と、S極とされた永久磁石9の対が円周方向に交互に並んで配置されている。なお、各回転子5,6の外周面の隣接する磁石装着スロット7a,7a、及び、8a,8aの各間には、永久磁石9の磁束の流れを制御するための切欠き部10が回転子5,6の軸方向に沿って形成されている。
外周側回転子5と内周側回転子6の磁石装着スロット7a,8aは夫々同数設けられ、両回転子5,6の永久磁石9…が夫々1対1で対応するようになっている。したがって、外周側回転子5と内周側回転子6の各磁石装着スロット7a,8a内の永久磁石9の対を互いに同極同士で対向させる(異極配置にする)ことにより、回転子ユニット3全体の界磁が最も弱められる弱め界磁の状態(図4,図5(b)参照)を得ることができるとともに、外周側回転子5と内周側回転子6の各磁石装着スロット7a,8a内の永久磁石9の対を互いに異極同士で対向させる(同極配置にする)ことにより、回転子ユニット3全体の界磁が最も強められる強め界磁の状態(図2,図5(a)参照)を得ることができる。
また、回転子ユニット3は、外周側回転子5と内周側回転子6を相対回動させるための回動操作機構11を備えている。この回動操作機構11は、両回転子5,6の相対位相を任意に変更するための位相変更手段12の一部を構成するものであり、非圧縮性の作動流体である作動油の圧力によって操作される油圧アクチュエータ(駆動機構)を成している。位相変更手段12は、上記の回動操作機構11と、この回動操作機構11に供給する作動油の圧力を制御する図6に示す油圧制御装置13と、を主要な要素として構成されている。
回動操作機構11は、図1〜図4に示すように回転軸4の外周に一体回転可能にスプライン嵌合されるベーンロータ14と、ベーンロータ14の外周側に相対回動可能に配置される環状ハウジング15とを備え、この環状ハウジング15が内周側回転子6の内周面に一体に嵌合固定されるとともに、ベーンロータ14が、環状ハウジング15と内周側回転子6の両側の側端部を跨ぐ円板状の一対のドライブプレート16,16を介して外周側回転子5に一体に結合されている。したがって、ベーンロータ14は回転軸4と外周側回転子5に一体化され、環状ハウジング15は内周側回転子6に一体化されている。
ベーンロータ14は、回転軸4にスプライン嵌合される円筒状のボス部17の外周に、径方向外側に突出する複数のベーン18が円周方向等間隔に設けられている。一方、環状ハウジング15は、内周面に円周方向等間隔に複数の凹部19が設けられ、この各凹部19にベーンロータ14の対応するベーン18が収容配置されるようになっている。各凹部19は、ベーン18の先端部の回転軌道にほぼ合致する円弧面を有する底壁20と、隣接する凹部19,19同士を隔成する略三角形状の仕切壁21によって構成され、ベーンロータ14と環状ハウジング15の相対回動時に、ベーン18が一方の仕切壁21と他方の仕切壁21の間を変位し得るようになっている。この実施形態の場合、仕切壁21はベーン18と当接することにより、ベーンロータ14と環状ハウジング15の相対回動を規制するストッパとしても機能する。なお、各ベーン18の先端部と仕切壁21の先端部には、軸方向に沿うようにシール部材22が設けられ、これらのシール部材22によってベーン18と凹部19の底壁20、仕切壁21とボス部17の外周面の各間が液密にシールされている。
また、内周側回転子6に固定される環状ハウジング15のベース15a部は一定厚みの円筒状に形成されるとともに、図1に示すように内周側回転子6や仕切壁21に対して軸方向外側に突出している。このベース部15aの外側に突出した各端部は、ドライブプレート16に形成された環状のガイド溝16aに摺動自在に保持され、環状ハウジング15と内周側回転子6が、外周側回転子5や回転軸4にフローティング状態で支持されるようになっている。
外周側回転子5とベーンロータ14を連結する両側のドライブプレート16,16は、環状ハウジング15の両側面(軸方向の両端面)に摺動自在に密接し、環状ハウジング15の各凹部19の側方を夫々閉塞する。したがって、各凹部19は、ベーンロータ14のボス部17と両側のドライブプレート16,16によって夫々独立した空間部を形成し、この空間部は、作動油が導入される導入空間23となっている。各導入空間23内は、ベーンロータ14の対応する各ベーン18によって夫々2室に隔成され、一方の部屋が進角側作動室24、他方の部屋が遅角側作動室25とされている。進角側作動室24は、内部に導入された作動油の圧力によって内周側回転子6を外周側回転子5に対して進角方向に相対回動させ、遅角側作動室25は、内部に導入された作動油の圧力によって内周側回転子6を外周側回転子5に対して遅角方向に相対回動させる。この場合、「進角」とは、内周側回転子6を外周側回転子5に対して、図2,図4中の矢印Rで示す電動機1の回転方向に進めることを言い、「遅角」とは、内周側回転子6を外周側回転子5に対して、電動機1の回転方向Rと逆側に進めることを言うものとする。
また、各進角側作動室24と遅角側作動室25に対する作動油の給排は回転軸4を通して行われるようになっている。具体的には、進角側作動室24は、図6に示す油圧制御装置13の進角側給排通路26に接続され、遅角側作動室25は同油圧制御装置13の遅角側給排通路27に接続されているが、進角側給排通路26と遅角側給排通路27の一部は、図1に示すように、夫々回転軸4に軸方向に沿って形成させた通路孔26a,27aによって構成されている。そして、各通路孔26a,27aの端部は、回転軸4の外周面の軸方向にオフセットした位置に形成された環状溝26b,27bに接続され、その各環状溝26b,27bは、ベーンロータ14のボス部17に略半径方向に沿って形成された複数の導通孔26c…,27c…に接続されている。進角側給排通路26の各導通孔26cは環状溝26bと各進角側作動室24とを接続し、遅角側給排通路27の各導通孔27cは環状溝27bと各遅角側作動室25とを接続している。
ここで、この実施形態の電動機1の場合、内周側回転子6が外周側回転子5に対して最遅角位置にあるときに、外周側回転子5と内周側回転子6の永久磁石9が異極同士で対向して強め界磁の状態(図2,図5(a)参照)になり、内周側回転子6が外周側回転子5に対して最進角位置にあるときに、外周側回転子5と内周側回転子6の永久磁石9が同極同士で対向して弱め界磁の状態(図4,図5(b)参照)になるように設定されている。
なお、この電動機1は、進角側作動室24と遅角側作動室25に対する作動油の給排制御によって、強め界磁の状態と弱め界磁の状態を任意に変更し得るものであるが、こうして磁界の強さが変更されると、それに伴って誘起電圧定数が変化し、その結果、電動機1の特性が変更される。即ち、強め界磁によって誘起電圧定数が大きくなると、電動機1として運転可能な許容回転速度は低下するものの、出力可能な最大トルクは増大し、逆に、弱め界磁によって誘起電圧定数が小さくなると、電動機1の出力可能な最大トルクは減少するものの、運転可能な許容回転速度は上昇する。
一方、油圧制御装置13は、図6に示すように、油圧供給源として電動オイルポンプ32を備え、この電動オイルポンプ32から吐出された作動油が高圧系油路と低圧系油路とに供給されるようになっている。電動オイルポンプ32は高圧ポンプ機構部50と低圧ポンプ機構部51を備え、これらのポンプ機構部50,51が共通の電動モータ52の出力軸によって回転駆動されるようになっている。高圧ポンプ機構部50は高圧系油路であるライン圧通路33に接続され、低圧ポンプ機構部51は低圧系油路である潤滑・冷却通路34(低圧油供給通路)に接続されている。各ポンプ機構部50,51は、オイルタンク31から吸い上げた作動油を対応する油路に吐出する。
高圧ポンプ機構部50とライン圧通路33の間には、ライン圧通路33への供給圧を調圧するギュレータバルブ35が介装されており、レギュレータバルブ35で余剰分として排出される作動油はドレン通路53を通して潤滑・冷却通路34に供給されるようになっている。
ライン圧通路33には、スプール式の流路切換弁37を介して電動機1の回動操作機構11の進角側給排通路26と遅角側給排通路27が接続されるとともに、電磁弁54を介して車両駆動系の動力断接用のクラッチ55が接続されている。流路切換弁37は、ライン圧通路33に導入された作動油を進角側給排通路26と遅角側給排通路27に振り分けるとともに、進角側給排通路26と遅角側給排通路27で不要な作動油をドレン通路36に排出するものであり、油圧操作されるスプールの位置に応じてこれらの操作が行われる。そして、流路切換弁37の操作圧はライン圧通路33の圧力を基に電磁式の調圧弁39によって作られ、この調圧弁39が図示しないコントローラによって制御されるようになっている。したがって、位相変更手段12による回転子ユニット3の位相制御はコントローラによる調圧弁39の制御を通して行われる。
また、低圧ポンプ機構部51に接続された潤滑・冷却通路34は、電動機1や周囲の動力伝達系機器等を潤滑する潤滑通路51Aと、電動機1内の冷却部1aや周囲の機器に作動油を冷却液として供給する冷却通路51Bとに分岐し、冷却通路51Bへの作動油の供給が制御弁56によって適宜コントロールされるようになっている。なお、図6中57は、オイルクーラー圧制御弁であり、58は、オイル冷却装置(オイルクーラー)である。
とろこで、油圧制御装置13のライン圧通路33と潤滑・冷却通路34に夫々作動油を吐出する電動オイルポンプ32の各ポンプ機構部50,51は、以下の条件(1)を満たす理論吐出量と容積効率となるように作られている。
0<(Qh´−Qh)<(1−Pl/Ph)×Ql …(1)
Ph:高圧ポンプ機構部50の吐出圧
Qh:ライン圧通路33(高圧系油路)での必要流量
Pl:低圧ポンプ機構部51の吐出圧
Ql:潤滑・冷却通路34(低圧系油路)での必要流量
Qh´:低圧ポンプ機構部51で必要流量Qlが得られるように電動モータ52を回転させたときの高圧ポンプ機構部50の吐出流量
上記の条件式(1)は、図7に示すように一つのポンプ機構部100を有する電動オイルポンプ101によってライン圧通路33と潤滑・冷却通路34の作動油供給を賄う比較例を想定し、この比較例の油圧制御装置113よりも電動オイルポンプ32のポンプ仕事量が少なくなり、かつ、ライン圧通路33で作動油の不足が生じないときに満たされる。
つまり、潤滑・冷却通路34で必要流量Qlが得られるようにこの実施形態の電動オイルポンプ32を運転した場合のポンプ全体の仕事量は、高圧ポンプ機構部50での仕事量(Ph×Qh´)と低圧ポンプ機構部51での仕事量(Pl×Ql)を加えたものであり、このポンプ全体の仕事量が、単一のポンプ機構部100で高圧Phの作動油をライン圧通路33と潤滑・冷却通路34に必要流量(Qh+Ql)吐出する比較例のポンプ仕事量〔Ph×(Qh+Ql)〕よりも少ないならば
(Ph×Qh´)+(Pl×Ql)<Ph×(Qh+Ql) …(2)
の条件を満たす。
このため、式(2)を変形した以下の式(2´)を満たすことになる。
(Qh´−Qh)<(1−Pl/Ph)×Ql (2´)
また、潤滑・冷却通路34で必要流量Qlが得られるように電動オイルポンプ32を運転した場合に、ライン圧通路33において作動油の不足が生じないということは、
0<(Qh´−Qh) …(3)
の条件を満たすことになる。
なお、図7に示す比較例において、この実施形態と同一部分には同一符号を付すものとする。
以上のように、この実施形態の電動機1においては、内周側回転子6と外周側回転子5の回転位相を変更する位相変更手段12が油圧によって操作されるため、両回転子6,5の位相を任意のタイミングで迅速に、かつ自由に変更することができる。
そして、この電動機1で用いる油圧制御装置13の場合、高圧ポンプ機構部50と低圧ポンプ機構部51を有する電動オイルポンプ32を油圧駆動源とし、高圧ポンプ機構部50から吐出された高圧の作動油を位相変更手段12の回動操作機構11とクラッチ55に供給する一方で、低圧ポンプ機構部51から吐出された低圧の作動油を潤滑・冷却通路34に供給するようになっているため、潤滑・冷却通路34に供給する作動油が必要外に高圧に昇圧されるのを抑制して、電動オイルポンプ32のポンプ仕事量を少なくすることができる。
さらに、この実施形態で採用する電動オイルポンプ32の場合、共通の電動モータ52で駆動される高圧ポンプ機構部50と低圧ポンプ機構部51が上記の条件(1)を満たす理論吐出量と容積効率になるように作られているため、潤滑・冷却通路34で必要流量が得られるように電動モータ52を駆動する場合には、ライン圧通路33側で作動油の不足を招くことなく、単一のポンプ機構部100を有する図7に示す電動オイルポンプ101に比較してポンプ仕事量を確実に少なくすることができる。
ここで、この実施形態の電動オイルポンプのポンプ仕事量と比較例のポンプ仕事量を、ライン圧通路33側と潤滑・冷却通路34側の供給流量が大の場合と小の場合に分けて比較すると、以下のようになる。
(a)ライン圧通路33側の供給流量…大、潤滑・冷却通路34側の供給流量…大
実施形態のポンプ仕事量=(高圧+低圧)×流量大
比較例のポンプ仕事量=高圧×(流量大+流量大)
したがって、(実施形態のポンプ仕事量)<(比較例のポンプ仕事量)
(b)ライン圧通路33側の供給流量…小、潤滑・冷却通路34側の供給流量…大
実施形態のポンプ仕事量=(高圧+低圧)×流量大
比較例のポンプ仕事量=高圧×(流量小+流量大)
したがって、(実施形態のポンプ仕事量)≦(比較例のポンプ仕事量)
(c)ライン圧通路33側の供給流量…大、潤滑・冷却通路34側の供給流量…小
実施形態のポンプ仕事量=(高圧+低圧)×流量大
比較例のポンプ仕事量=高圧×(流量大+流量小)
したがって、(実施形態のポンプ仕事量)≦(比較例のポンプ仕事量)
(d)ライン圧通路33側の供給流量…小、潤滑・冷却通路34側の供給流量…小
実施形態のポンプ仕事量=(高圧+低圧)×流量小
比較例のポンプ仕事量=高圧×(流量小+流量小)
したがって、(実施形態のポンプ仕事量)<(比較例のポンプ仕事量)
よって、高圧ポンプ機構部50と低圧ポンプ機構部51を備えた電動オイルポンプ32を採用した場合には、不必要なポンプ仕事量を低減して電量消費を低減することができる。
また、この実施形態においては、レギュレータバルブ35から排出される作動油を潤滑・冷却通路34に流す構造となっているため、レギュレータバルブ35から排出される作動油をオイルタンク31にそのまま戻す場合と異なり、一旦昇圧された作動油のエネルギーを有効利用することができ、ポンプ作動の無駄をより一層少なくすることができる。
ただし、レギュレータバルブ35から排出される作動油をそのままオイルタンク31に戻す構造であっても、ポンプ仕事量は図7に示す電動オイルポンプ101よりも少なくなるため、電力消費は低減される。
そして、この実施形態の電動オイルポンプ32においては、以上のように不要なポンプ仕事量を抑えることができるため、電動オイルポンプ32を駆動する電動モータ52を小型・低出力化して、製造コストの低減と電動オイルポンプ32全体の小型化を図ることが可能である。
また、この電動オイルポンプ32は、共通の電動モータ52で高圧ポンプ機構部50と低圧ポンプ機構部51を駆動するものであるため、各ポンプ機構部を別の電動モータで駆動する場合に比較して部品点数が少なく、製造コストの低減と小型化を図るうえでより有利となる。
なお、この発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
この発明の第1の実施形態の電動機の要部断面図。 同実施形態の電動機の最遅角位置に制御されている回転子ユニットの一部部品を省略した側面図。 同実施形態の電動機の回転子ユニットの分解斜視図。 同実施形態の電動機の最進角位置に制御されている回転子ユニットの一部部品を省略した側面図。 内周側回転子の永久磁石と外周側回転子の永久磁石とが同極配置された強め界磁状態を模式的に示す図(a)と、内周側回転子の永久磁石と外周側回転子の永久磁石とが異極配置された弱め界磁状態を模式的に示す図(b)を併せて記載した図。 同実施形態の油圧制御装置の油圧回路図。 比較例の油圧制御装置の油圧回路図。
符号の説明
1…車両用電動機
5…外周側回転子
6…内周側回転子
9…永久磁石
11…回動操作機構(油圧アクチュエータ)
12…位相変更手段
32…電動オイルポンプ
33…ライン圧通路(高圧系油路)
33…潤滑・冷却通路(低圧油供給通路、低圧系油路)
50…高圧ポンプ機構部
51…低圧ポンプ機構部
52…電動モータ

Claims (2)

  1. 円周方向に沿うように永久磁石が配設された内周側回転子と、
    この内周側回転子の外周側に同軸にかつ相対回動可能に配設されるとともに、円周方向に沿うように永久磁石が配設された外周側回転子と、
    油圧によって前記内周側回転子と外周側回転子を相対回動させて両者の相対的な位相を変更する位相変更手段と、を備えた車両用電動機にあって、
    前記位相変更手段を油圧アクチュエータによって構成する一方、
    共通の電動モータで同時に駆動される高圧ポンプ機構部と低圧ポンプ機構部を備えた電動オイルポンプを設け、
    この電動オイルポンプの前記高圧ポンプ機構部を、前記油圧アクチュエータに油圧を供給するライン圧通路に接続するとともに、
    前記低圧ポンプ機構部を、前記車両用電動機内の冷却部に作動油を冷却液として供給する低圧油供給通路に接続したことを特徴とする車両用電動機。
  2. 前記高圧ポンプ機構部と前記ライン圧通路との間には、前記ライン圧通路への供給圧を調圧するレギュレータバルブが介装されており、
    前記レギュレータバルブは、作動油の余剰分を低圧油供給通路へ排出するドレン通路を備えていることを特徴とする請求項1に記載の車両用電動機。
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