以下、図面に基づいて、本発明にかかる空気調和装置および冷媒量判定方法の実施形態について説明する。
(第1実施形態)
(1)空気調和装置の構成
図1は、本発明の第1実施形態にかかる空気調和装置1の概略構成図である。空気調和装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって、ビル等の室内の冷暖房に使用される装置である。空気調和装置1は、主として、1台の熱源ユニットとしての室外ユニット2と、それに並列に接続された複数台(本実施形態では、2台)の利用ユニットとしての室内ユニット4、5と、室外ユニット2と室内ユニット4、5とを接続する冷媒連絡配管としての液冷媒連絡配管6およびガス冷媒連絡配管7とを備えている。すなわち、本実施形態の空気調和装置1の蒸気圧縮式の冷媒回路10は、室外ユニット2と、室内ユニット4、5と、液冷媒連絡配管6およびガス冷媒連絡配管7とが接続されることによって構成されている。
<室内ユニット>
室内ユニット4、5は、ビル等の室内の天井に埋め込みや吊り下げ等により、または、室内の壁面に壁掛け等により設置されている。室内ユニット4、5は、液冷媒連絡配管6およびガス冷媒連絡配管7を介して室外ユニット2に接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。
次に、室内ユニット4、5の構成について説明する。なお、室内ユニット4と室内ユニット5とは同様の構成であるため、ここでは、室内ユニット4の構成のみ説明し、室内ユニット5の構成については、それぞれ、室内ユニット4の各部を示す40番台の符号の代わりに50番台の符号を付して、各部の説明を省略する。
室内ユニット4は、主として、冷媒回路10の一部を構成する室内側冷媒回路10a(室内ユニット5では、室内側冷媒回路10b)を有している。この室内側冷媒回路10aは、主として、利用側膨張機構としての室内膨張弁41と、利用側熱交換器としての室内熱交換器42とを有している。
本実施形態において、室内膨張弁41は、室内側冷媒回路10a内を流れる冷媒の流量の調節等を行うために、室内熱交換器42の液側に接続された電動膨張弁であり、冷媒の通過を遮断することも可能である。
本実施形態において、室内熱交換器42は、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であり、冷房運転時には冷媒の蒸発器として機能して室内空気を冷却し、暖房運転時には冷媒の凝縮器として機能して室内空気を加熱する熱交換器である。なお、本実施形態において、室内熱交換器42は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であるが、これに限定されず、他の型式の熱交換器であってもよい。
本実施形態において、室内ユニット4は、ユニット内に室内空気を吸入して、室内熱交換器42において冷媒と熱交換させた後に、供給空気として室内に供給するための送風ファンとしての室内ファン43を有している。室内ファン43は、室内熱交換器42に供給する空気の風量を可変することが可能なファンであり、本実施形態において、DCファンモータ等からなるモータ43mによって駆動される遠心ファンや多翼ファン等である。
また、室内ユニット4には、各種のセンサが設けられている。室内熱交換器42の液側には、冷媒の温度(すなわち、暖房運転時における凝縮温度または冷房運転時における蒸発温度に対応する冷媒温度)を検出する液側温度センサ44が設けられている。室内熱交換器42のガス側には、冷媒の温度を検出するガス側温度センサ45が設けられている。室内ユニット4の室内空気の吸入口側には、ユニット内に流入する室内空気の温度(すなわち、室内温度)を検出する室内温度センサ46が設けられている。本実施形態において、液側温度センサ44、ガス側温度センサ45および室内温度センサ46は、サーミスタからなる。また、室内ユニット4は、室内ユニット4を構成する各部の動作を制御する室内側制御部47を有している。そして、室内側制御部47は、室内ユニット4の制御を行うために設けられたマイクロコンピュータやメモリ等を有しており、室内ユニット4を個別に操作するためのリモコン(図示せず)との間で制御信号等のやりとりを行ったり、室外ユニット2との間で伝送線8aを介して制御信号等のやりとりを行ったりすることができるようになっている。
<室外ユニット>
室外ユニット2は、ビル等の室外に設置されており、液冷媒連絡配管6およびガス冷媒連絡配管7を介して室内ユニット4、5に接続されており、室内ユニット4、5とともに冷媒回路10を構成している。
次に、室外ユニット2の構成について説明する。室外ユニット2は、主として、冷媒回路10の一部を構成する室外側冷媒回路10cを有している。この室外側冷媒回路10cは、主として、圧縮機21と、四路切換弁22と、熱源側熱交換器としての室外熱交換器23と、膨張機構としての室外膨張弁38と、アキュムレータ24と、温度調節機構としての過冷却器25と、液側閉鎖弁26と、ガス側閉鎖弁27とを有している。
圧縮機21は、運転容量を可変することが可能な圧縮機であり、本実施形態において、インバータにより回転数が制御されるモータ21mによって駆動される容積式圧縮機である。なお、本実施形態において、圧縮機21は、1台のみであるが、これに限定されず、室内ユニットの接続台数等に応じて、2台以上の圧縮機が並列に接続されていてもよい。
四路切換弁22は、冷媒の流れの方向を切り換えるための弁であり、冷房運転時には、室外熱交換器23を圧縮機21によって圧縮される冷媒の凝縮器として、かつ、室内熱交換器42、52を室外熱交換器23において凝縮される冷媒の蒸発器として機能させるために、圧縮機21の吐出側と室外熱交換器23のガス側とを接続するとともに圧縮機21の吸入側(具体的には、アキュムレータ24)とガス冷媒連絡配管7側とを接続し(冷房運転状態:図1の四路切換弁22の実線を参照)、暖房運転時には、室内熱交換器42、52を圧縮機21によって圧縮される冷媒の凝縮器として、かつ、室外熱交換器23を室内熱交換器42、52において凝縮される冷媒の蒸発器として機能させるために、圧縮機21の吐出側とガス冷媒連絡配管7側とを接続するとともに圧縮機21の吸入側と室外熱交換器23のガス側とを接続することが可能である(暖房運転状態:図1の四路切換弁22の破線を参照)。
本実施形態において、室外熱交換器23は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であり、図2に示されるように、主として、伝熱管と多数のフィンとから構成される熱交換器本体23aと、熱交換器本体23aのガス側に接続されるヘッダ23bと、熱交換器本体23aの液側に接続される分流器23cとを有している。ここで、図2は、室外熱交換器23の概略図である。室外熱交換器23は、冷房運転時には冷媒の凝縮器として機能し、暖房運転時には冷媒の蒸発器として機能する熱交換器である。室外熱交換器23は、そのガス側が四路切換弁22に入口管23dを介して接続され、その液側が室外膨張弁38に出口管23eを介して接続されている。なお、入口管23dおよび出口管23eは、室外熱交換器23の上下動を可能とするフレキシブルチューブからなる。また、室外熱交換器23の底面には、図2に示されるように、室外熱交換器23の重量を検知することにより室外熱交換器23に存在する冷媒の重量を検知する冷媒重量検知手段としての冷媒重量検知機構39が設けられている。冷媒重量検知機構39は、物体の重量を検知可能な重量検知センサ39aと、室外熱交換器23の重量を検知可能な位置に重量検知センサ39aを上昇させる昇降台39bと、室外熱交換器23を支える支持台39cとからなる。なお、重量検知センサ39aは、昇降台39bの上に設置されている。ここで、冷房運転の場合において、圧縮機21から吐出される高温・高圧のガス冷媒は、室外熱交換器23内において、室外ファン28により供給される空気によって冷却されて凝縮し、高圧の液冷媒となる。すなわち、冷媒重量検知機構39は、室外熱交換器23に溜まった冷媒の重量を、昇降台39bを上昇させて室外熱交換器23の重量を重量検知センサ39aに検知させることにより、検出するものである。なお、通常運転時には、室外熱交換器23が支持台39cのみで支えられるように、昇降台39bは、冷媒重量検知センサ39aに室外熱交換器23の重量が検知されないように、冷媒重量検知センサ39aの高さが支持台39cの高さよりも低い位置にある。なお、本実施形態において、室外熱交換器23は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であるが、これに限定されず、他の型式の熱交換器であってもよい。また、本実施形態において、ヘッダ23bは熱交換器本体23aの一端に設けられ、分流器23cは熱交換器本体23aの他端に設けられているが、これに限定されず、ヘッダ23bおよび分流器23cが熱交換器本体23aの同じ端部に設けられていてもよい。
本実施形態において、室外膨張弁38は、室外側冷媒回路10c内を流れる冷媒の圧力や流量等の調節を行うために、冷房運転を行う際の冷媒回路10における冷媒の流れ方向において室外熱交換器23の下流側であって過冷却器25の上流側に配置された(本実施形態においては、室外熱交換器23の液側に接続されている)電動膨張弁であり、冷媒の通過を遮断することも可能である。
本実施形態において、室外ユニット2は、ユニット内に室外空気を吸入して、室外熱交換器23において冷媒と熱交換させた後に、室外に排出するための送風ファンとしての室外ファン28を有している。この室外ファン28は、室外熱交換器23に供給する空気の風量を可変することが可能なファンであり、本実施形態において、DCファンモータ等からなるモータ28mによって駆動されるプロペラファン等である。
アキュムレータ24は、四路切換弁22と圧縮機21との間に接続されており、室内ユニット4、5の運転負荷の変動等に応じて冷媒回路10内に発生する余剰冷媒を溜めることが可能な容器である。
過冷却器25は、本実施形態において、2重管式の熱交換器や、熱源側熱交換器において凝縮された冷媒が流れる冷媒管と後述のバイパス冷媒配管61とを接触させることによって構成された配管熱交換器であり、室外熱交換器23において凝縮された後に、室内膨張弁41、51に送られる冷媒を冷却するために、室外熱交換器23と液冷媒連絡配管6との間に設けられている。より具体的には、過冷却器25は、室外膨張弁38と液側閉鎖弁26との間に接続されている。
本実施形態においては、過冷却器25の冷却源としてのバイパス冷媒配管61が設けられている。なお、以下の説明では、冷媒回路10からバイパス冷媒配管61を除いた部分を、便宜上、主冷媒回路と呼ぶことにする。バイパス冷媒配管61は、室外熱交換器23から室内膨張弁41、51へ送られる冷媒の一部を主冷媒回路から分岐させて、分岐された冷媒を減圧した後に、過冷却器25に導入して、室外熱交換器23から液冷媒連絡配管6を通じて室内膨張弁41、51に送られる冷媒と熱交換させた後に、圧縮機21の吸入側に戻すように主冷媒回路に接続されている。具体的には、バイパス冷媒配管61は、室外膨張弁38から室内膨張弁41、51に送られる冷媒の一部を室外熱交換器23と過冷却器25との間の位置から分岐させるように接続された分岐管64と、過冷却器25のバイパス冷媒配管側の出口から圧縮機21の吸入側に戻すように圧縮機21の吸入側に接続された合流管65と、バイパス冷媒配管61を流れる冷媒の流量を調節するための連通管膨張機構としてのバイパス膨張弁62とを有している。ここで、バイパス膨張弁62は、電動膨張弁からなる。これにより、室外熱交換器23から室内膨張弁41、51に送られる冷媒は、過冷却器25において、バイパス膨張弁62によって減圧された後のバイパス冷媒配管61を流れる冷媒によって冷却される。すなわち、過冷却器25は、バイパス膨張弁62の開度調節によって能力制御が行われることになる。また、バイパス冷媒配管61は、後述のように、冷媒回路10のうち液側閉鎖弁26と室外膨張弁38との間の部分と圧縮機21の吸入側の部分とを接続する連通管としても機能するようになっている。なお、バイパス冷媒配管61は、本実施形態において、室外膨張弁38と過冷却器25との間の位置から冷媒を分岐させるように設けられているが、これに限定されず、室外膨張弁38と液側閉鎖弁26との間の位置から冷媒を分岐させるように設けられていればよい。
液側閉鎖弁26およびガス側閉鎖弁27は、外部の機器・配管(具体的には、液冷媒連絡配管6およびガス冷媒連絡配管7)との接続口に設けられた弁である。液側閉鎖弁26は、冷房運転を行う際の冷媒回路10における冷媒の流れ方向において室外膨張弁38の下流側であって液冷媒連絡配管6の上流側に配置されており(本実施形態においては、過冷却器25に接続されている)、冷媒の通過を遮断することが可能である。ガス側閉鎖弁27は、四路切換弁22に接続されている。
また、室外ユニット2には、上述した重量検知センサ39a以外にも、各種のセンサが設けられている。具体的には、室外ユニット2には、圧縮機21の吸入圧力を検出する吸入圧力センサ29と、圧縮機21の吐出圧力を検出する吐出圧力センサ30と、圧縮機21の吸入温度を検出する吸入温度センサ31と、圧縮機21の吐出温度を検出する吐出温度センサ32とが設けられている。過冷却器25の主冷媒回路側の出口には、冷媒の温度(すなわち、液管温度)を検出する液管温度センサ35が設けられている。バイパス冷媒配管61の合流管65には、過冷却器25のバイパス冷媒配管側の出口を流れる冷媒の温度を検出するためのバイパス温度センサ63が設けられている。室外ユニット2の室外空気の吸入口側には、ユニット内に流入する室外空気の温度(すなわち、室外温度)を検出する室外温度センサ36が設けられている。本実施形態において、吸入温度センサ31、吐出温度センサ32、液管温度センサ35、室外温度センサ36およびバイパス温度センサ63は、サーミスタからなる。また、室外ユニット2は、室外ユニット2を構成する各部の動作を制御する室外側制御部37を有している。そして、室外側制御部37は、室外ユニット2の制御を行うために設けられたマイクロコンピュータ、メモリやモータ21mを制御するインバータ回路等を有しており、室内ユニット4、5の室内側制御部47、57との間で伝送線8aを介して制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。すなわち、室内側制御部47、57と室外側制御部37と制御部37、47、57間を接続する伝送線8aとによって、空気調和装置1全体の運転制御を行う制御部8が構成されている。
制御部8は、図3に示されるように、各種センサ29〜32、35、36、39、44〜46、54〜56、63の検出信号を受けることができるように接続されるとともに、これらの検出信号等に基づいて各種機器および弁21、22、28、38、41、43、51、53、62を制御することができるように接続されている。また、制御部8を構成するメモリには、各種データが格納されており、例えば、建物に施工された後の配管長さ等が考慮された物件毎における空気調和装置1の冷媒回路10の適正冷媒量データ等が格納されている。そして、制御部8は、後述の冷媒自動充填運転や冷媒漏洩検知運転を行う際に、これらのデータを読み出して、冷媒回路10に適正な量だけの冷媒を充填したり、この適正冷媒量データとの比較によって冷媒漏洩の有無を判断したりするようになっている。また、制御部8のメモリには、この適正冷媒量データ(適正冷媒量Z)とは別に、液管確定冷媒量データ(液管確定冷媒量Y)と、室外熱交収集冷媒量データ(室外熱交収集冷媒量X)とが格納されており、Z=X+Yの関係が満たされるようになっている。ここで、液管確定冷媒量Yは、後述の室外熱交換器23の下流側から室外膨張弁38、過冷却器25、および液冷媒連絡配管6を介して室内膨張弁41、51に至るまでの部分を一定温度の液冷媒によってシールさせる運転を行った場合に、この部分に固定される冷媒量である。また、室外熱交収集冷媒量Xは、適正冷媒量Zから、液管確定冷媒量Yを差し引いて得られる冷媒量である。さらに、制御部8のメモリには、室外熱交換器23の液面のデータに基づいて、室外膨張弁38から室外熱交換器23にかけて溜まった冷媒量を算出できる関係式が格納されている。ここで、図3は、空気調和装置1の制御ブロック図である。
<冷媒連絡配管>
冷媒連絡配管6、7は、空気調和装置1をビル等の設置場所に設置する際に、現地にて施工される冷媒配管であり、設置場所や室外ユニットと室内ユニットとの組み合わせ等の設置条件に応じて種々の長さや管径を有するものが使用される。このため、例えば、新規に空気調和装置を設置する場合には、空気調和装置1に対して、冷媒連絡配管6、7の長さや管径等の設置条件に応じた適正な量の冷媒を充填する必要がある。
以上のように、室内側冷媒回路10a、10bと、室外側冷媒回路10cと、冷媒連絡配管6、7とが接続されて、空気調和装置1の冷媒回路10が構成されている。そして、本実施形態の空気調和装置1は、室内側制御部47、57と室外側制御部37とから構成される制御部8によって、四路切換弁22により冷房運転および暖房運転を切り換えて運転を行うとともに、各室内ユニット4、5の運転負荷に応じて、室外ユニット2および室内ユニット4、5の各機器の制御を行うようになっている。
(2)空気調和装置の動作
次に、本実施形態の空気調和装置1の動作について説明する。
本実施形態の空気調和装置1の運転モードとしては、各室内ユニット4、5の運転負荷に応じて室外ユニット2および室内ユニット4、5の構成機器の制御を行う通常運転モードと、空気調和装置1の構成機器の設置後等に試運転を行う際において冷媒回路10に対して適正量の冷媒を充填する冷媒自動充填運転モードと、このような冷媒自動充填運転を含む試運転を終了して通常運転を開始した後において冷媒回路10からの冷媒の漏洩の有無を判定する冷媒漏洩検知運転モードとがある。
以下、空気調和装置1の各運転モードにおける動作について説明する。
<通常運転モード>
まず、通常運転モードにおける冷房運転について、図1を用いて説明する。
冷房運転時は、四路切換弁22が図1の実線で示される状態(冷房運転状態)、すなわち、圧縮機21の吐出側が室外熱交換器23のガス側に接続され、かつ、圧縮機21の吸入側がガス側閉鎖弁27およびガス冷媒連絡配管7を介して室内熱交換器42、52のガス側に接続された状態となっている。ここで、室外膨張弁38およびバイパス膨張弁62は、全開状態にされ、液側閉鎖弁26およびガス側閉鎖弁27も開状態にされている。
この冷媒回路10の状態で、圧縮機21、室外ファン28および室内ファン43、53を運転すると、低圧のガス冷媒は、圧縮機21に吸入されて圧縮されて高圧のガス冷媒となる。その後、高圧のガス冷媒は、四路切換弁22を経由して室外熱交換器23に送られて、室外ファン28によって供給される室外空気と熱交換を行って凝縮して高圧の液冷媒となる。そして、この高圧の液冷媒は、室外膨張弁38を通過して、過冷却器25に流入し、バイパス冷媒配管61を流れる冷媒と熱交換を行ってさらに冷却されて過冷却状態になる。このとき、室外熱交換器23において凝縮した高圧の液冷媒の一部は、バイパス冷媒配管61に分岐され、バイパス膨張弁62によって減圧された後に、圧縮機21の吸入側に戻される。ここで、バイパス膨張弁62を通過する冷媒は、圧縮機21の吸入圧力近くまで減圧されることで、その一部が蒸発する。そして、バイパス冷媒配管61のバイパス膨張弁62の出口から圧縮機21の吸入側に向かって流れる冷媒は、過冷却器25を通過して、主冷媒回路側の室外熱交換器23から室内ユニット4、5へ送られる高圧の液冷媒と熱交換を行う。
そして、過冷却状態になった高圧の液冷媒は、液側閉鎖弁26および液冷媒連絡配管6を経由して、室内ユニット4、5に送られる。
この室内ユニット4、5に送られた高圧の液冷媒は、室内膨張弁41、51によって圧縮機21の吸入圧力近くまで減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となって室内熱交換器42、52に送られ、室内熱交換器42、52において室内空気と熱交換を行って蒸発して低圧のガス冷媒となる。
この低圧のガス冷媒は、ガス冷媒連絡配管7を経由して室外ユニット2に送られ、ガス側閉鎖弁27および四路切換弁22を経由して、アキュムレータ24に流入する。そして、アキュムレータ24に流入した低圧のガス冷媒は、再び、圧縮機21に吸入される。このように、空気調和装置1では、室外熱交換器23を圧縮機21において圧縮される冷媒の凝縮器として、かつ、室内熱交換器42、52を室外熱交換器23において凝縮された後に液冷媒連絡配管6および室内膨張弁41、51を通じて送られる冷媒の蒸発器として機能させる冷房運転を少なくとも行うことが可能である。
ここで、通常運転モードの冷房運転を行っている際における冷媒回路10の冷媒の分布状態は、図4に示されるように、冷媒が、液状態(図4における塗りつぶしのハッチング部分)、気液二相状態(図4における格子状のハッチング部分)、ガス状態(図4における斜線のハッチング部分)の各状態をとって分布している。具体的には、室外膨張弁38を介して室外熱交換器23の出口付近の部分から、過冷却器25の主冷媒回路側の部分および液冷媒連絡配管6を介して、室内膨張弁41、51に至るまでの部分、および、バイパス冷媒配管61のバイパス膨張弁62上流側の部分は、液状態の冷媒で満たされている。そして、室外熱交換器23の中間の部分、バイパス冷媒配管61のバイパス膨張弁62上流側の部分、過冷却器25のバイパス冷媒配管側の部分であって入口付近の部分、および、室内熱交換器42、52の入口付近の部分は、気液二相状態の冷媒で満たされている。また、ガス冷媒連絡配管7および圧縮機21を介して室内熱交換器42、52の中間の部分から室外熱交換器23の入口に至るまでの部分、室外熱交換器23の入口付近の部分、および、過冷却器25のバイパス冷媒配管側の部分であって中間の部分からバイパス冷媒配管61の圧縮機21の吸入側に合流するまでの部分は、ガス状態の冷媒で満たされている。ここで、図4は、冷房運転における冷媒回路10内を流れる冷媒の状態を示す模式図である。
なお、通常運転モードの冷房運転においては、冷媒はこのような分布で冷媒回路10内に分布しているが、後述する冷媒自動充填運転モードおよび冷媒漏洩検知運転モードの冷媒量判定運転においては、液冷媒連絡配管6と室外熱交換器23に液冷媒が集められた分布となる(図6参照)。
次に、通常運転モードにおける暖房運転について説明する。
暖房運転時は、四路切換弁22が図1の破線で示される状態(暖房運転状態)、すなわち、圧縮機21の吐出側がガス側閉鎖弁27およびガス冷媒連絡配管7を介して室内熱交換器42、52のガス側に接続され、かつ、圧縮機21の吸入側が室外熱交換器23のガス側に接続された状態となっている。室外膨張弁38は、室外熱交換器23に流入する冷媒を室外熱交換器23において蒸発させることが可能な圧力(すなわち、蒸発圧力)まで減圧するために開度調節されるようになっている。また、液側閉鎖弁26およびガス側閉鎖弁27は、開状態にされている。室内膨張弁41、51は、室内熱交換器42、52の出口における冷媒の過冷却度が過冷却度目標値で一定になるように開度調節されるようになっている。本実施形態において、室内熱交換器42、52の出口における冷媒の過冷却度は、吐出圧力センサ30により検出される圧縮機21の吐出圧力を凝縮温度に対応する飽和温度値に換算し、この冷媒の飽和温度値から液側温度センサ44、54により検出される冷媒温度値を差し引くことによって検出される。なお、本実施形態では採用していないが、各室内熱交換器42、52内を流れる冷媒の温度を検出する温度センサを設けて、この温度センサにより検出される凝縮温度に対応する冷媒温度値を、液側温度センサ44、54により検出される冷媒温度値から差し引くことによって室内熱交換器42、52の出口における冷媒の過冷却度を検出するようにしてもよい。また、バイパス膨張弁62は、閉止されている。
この冷媒回路10の状態で、圧縮機21、室外ファン28および室内ファン43、53を運転すると、低圧のガス冷媒は、圧縮機21に吸入されて圧縮されて高圧のガス冷媒となり、四路切換弁22、ガス側閉鎖弁27およびガス冷媒連絡配管7を経由して、室内ユニット4、5に送られる。
そして、室内ユニット4、5に送られた高圧のガス冷媒は、室外熱交換器42、52において、室内空気と熱交換を行って凝縮して高圧の液冷媒となった後、室内膨張弁41、51を通過する際に、室内膨張弁41、51の弁開度に応じて減圧される。
この室内膨張弁41、51を通過した冷媒は、液冷媒連絡配管6を経由して室外ユニット2に送られ、液側閉鎖弁26、過冷却器25および室外膨張弁38を経由してさらに減圧された後に、室外熱交換器23に流入する。そして、室外熱交換器23に流入した低圧の気液二相状態の冷媒は、室外ファン28によって供給される室外空気と熱交換を行って蒸発して低圧のガス冷媒となり、四路切換弁22を経由してアキュムレータ24に流入する。そして、アキュムレータ24に流入した低圧のガス冷媒は、再び、圧縮機21に吸入される。
以上のような通常運転モードにおける運転制御は、冷房運転および暖房運転を含む通常運転を行う運転制御手段として機能する制御部8(より具体的には、室内側制御部47、57と室外側制御部37と制御部37、47、57間を接続する伝送線8a)によって行われる。
<冷媒自動充填運転モード>
次に、試運転の際に行われる冷媒自動充填運転モードについて、図5〜図7を用いて説明する。ここで、図5は、冷媒量判定運転のフローチャートである。図6は、冷媒量判定運転における冷媒回路10内を流れる冷媒の状態を示す模式図である。図7は、冷媒重量検知機構39の後述するステップS4における動作を示した図である。
冷媒自動充填運転モードは、空気調和装置1の構成機器の設置後等における試運転の際に行われる運転モードであり、液冷媒連絡配管6およびガス冷媒連絡配管7の容積に応じた適正な冷媒量を冷媒回路10に対して自動で充填するものである。
まず、室外ユニット2の液側閉鎖弁26およびガス側閉鎖弁27を開けて、室外ユニット2に予め充填されている冷媒を冷媒回路10内に充満させる。
次に、冷媒自動充填運転を行う作業者が、追加充填用の冷媒ボンベを冷媒回路10(例えば、圧縮機21の吸入側等)に接続して充填を開始する。
そして、作業者が、制御部8に対して直接にまたはリモコン(図示せず)等によって冷媒自動充填運転を開始する指令を出すと、制御部8によって、図5に示されるステップS1〜ステップS5の処理を伴うが行われる。
まず、ステップS1では、冷房運転状態において液温一定制御が行われ、基本的には、上述の通常運転モードの冷房運転と同様の運転を行うように機器制御が行われる。ただし、液温一定制御を行う点が通常運転モードの冷房運転とは異なる。この液温一定制御では、凝縮圧力制御と液管温度制御とが行われる。凝縮圧力制御では、室外熱交換器23における冷媒の凝縮圧力が一定になるように、室外ファン28によって室外熱交換器23に供給される室外空気の風量を制御する。凝縮器における冷媒の凝縮圧力は、室外温度の影響より大きく変化するため、モータ28mによって室外ファン28から室外熱交換器23に供給される室内空気の風量を制御する。これにより、室外熱交換器23における冷媒の凝縮圧力が一定となり、凝縮器内を流れる冷媒の状態が安定化することになる。そして、室外熱交換器23から室内膨張弁41、51の間において、室外膨張弁38、過冷却器25の主冷媒回路側の部分、液冷媒連絡配管6を含む流路、および室外熱交換器23から第1バイパス冷媒配管61のバイパス膨張弁62までの流路には、高圧の液冷媒が流れる状態となる。よって、室外熱交換器23から室内膨張弁41、51およびバイパス膨張弁62までの部分における冷媒の圧力も安定する。本実施形態の凝縮圧力制御では、吐出圧力センサ30によって検出される圧縮機21の吐出圧力が凝縮圧力として用いられている。なお、本実施形態では採用していないが、室外熱交換器23内を流れる冷媒の温度を検出する温度センサを設けて、この温度センサにより検出される凝縮温度に対応する冷媒温度値を凝縮圧力に換算して凝縮圧力制御に用いても良い。液管温度制御では、上述の通常運転モードの冷房運転における過熱度制御とは異なり、過冷却器25から室内膨張弁41、51に送られる冷媒の温度が一定になるように過冷却器25の能力を制御する。より具体的には、液管温度制御では、過冷却器25の主冷媒回路側の出口に設けられた液管温度センサ35によって検出される冷媒の温度が液管温度目標値で一定になるように、第1バイパス冷媒配管61のバイパス膨張弁62を開度調節する。これにより、過冷却器25の主冷媒回路側の出口から室内膨張弁41、51に至る液冷媒連絡配管6を含む冷媒管内における冷媒密度が安定化する。
そして、ステップS2では、ステップS1の液温一定制御を行うことにより、液温が一定に達しているか否かを判断する。ここで、液温が一定になっていると判断されると、ステップS3に移行し、液温がまだ一定になっていないと判断されると、ステップS1の液温一定制御が継続されることになる。そして、液温一定制御により液温が一定に制御されると、図4における塗りつぶしのハッチング部分のうち過冷却器25の主冷媒回路側の出口から室内膨張弁41、51に至る液冷媒連絡配管6を含む冷媒管内が一定温度の液冷媒によって安定的にシールされることになる。
これにより、後述のステップS3において、室内膨張弁41、51および室外膨張弁38が冷媒回路10のうち液冷媒連絡配管6を含む室内膨張弁41、51と室外膨張弁38との間の部分に液冷媒を封じ込める前に、室外熱交換器23から液冷媒連絡配管6を通じて室内膨張弁41、51に送られる冷媒の温度が過冷却器25によって一定に調節され、液冷媒配管部分に固定される冷媒量である液管確定冷媒量Yが保たれた状態となる。
次に、ステップS3では、室内膨張弁41、51を全閉状態にし、バイパス膨張弁62を全閉状態にし、そして、室外膨張弁38を全閉状態にすることで、冷媒回路10のうち液冷媒連絡配管6を含む室内膨張弁41、51と室外膨張弁38との間の部分に液冷媒を封じ込める(液管閉鎖制御)。これにより、液管確定冷媒量Yの冷媒量が保たれたままで、冷媒の循環を途絶えさせて、冷媒の温度も考慮された正確な液管確定冷媒量Yの液冷媒を、冷媒回路10のうち液冷媒連絡配管6を含む室内膨張弁41、51と室外膨張弁38との間の部分に封じ込めることができる。なお、各膨張弁38、41、51を全閉状態にした後も、圧縮機21、室外ファン28の運転を継続する。これにより、図6に示されるように、凝縮器として機能する室外熱交換器23において凝縮された冷媒は、室外膨張弁38によって冷媒回路10内における冷媒の循環が途絶えているために、室外熱交換器23において、室外ファン28によって供給される室外空気によって冷却されて凝縮されて、室外熱交換器23のような冷媒回路10のうち室外膨張弁38の上流側で、かつ、圧縮機21の下流側の部分に徐々に溜まっていくことになる。これにより、冷媒回路10内の冷媒は、冷媒回路10のうち室外膨張弁38の上流側で、かつ、圧縮機21の下流側の部分に集中的に集められることになる。より具体的には、図7に示されるように、凝縮されて液状態になった冷媒が、室外膨張弁38の上流側から室外熱交換器23内にかけて溜まっていくことになる。なお、上述のように、冷媒回路10のうち液冷媒連絡配管6を含む室内膨張弁41、51と室外膨張弁38との間の部分に液冷媒を封じ込めるようにしているため、通常運転モードの冷房運転において室外膨張弁38の上流側から室外熱交換器23内にかけて溜まる液冷媒の量が過大にならないようになっている。
次に、ステップS4では、重量検知センサ39aによって室外熱交換器23に溜まっている冷媒の重量を検知する。具体的には、昇降台39bが、冷媒重量検知センサ39aの高さが支持台39cの高さよりも高い位置になるように上昇する(図7参照)。ここで、重量検知センサ39aは室外熱交換器23と室外熱交換器23に溜まっている冷媒との重量を検出する。これにより、冷媒重量検知センサ39aによって得られる室外熱交換器23内部の冷媒の重量wを、制御部8のメモリに格納されている関係式に代入することで、室外膨張弁38から室外熱交換器23にかけて溜まった冷媒量を演算する。
次に、ステップS5では、上述のステップS4において演算された冷媒量が、制御部8のメモリに格納されている室外熱交収集冷媒量Xに達したか否かを判断する。ここで、室外熱交収集冷媒量Xに達していない場合には、ステップS4の処理に戻り、冷媒回路10への冷媒の充填を継続し、室外熱交収集冷媒量Xに達していると判断した場合には、冷媒回路10への冷媒の充填を終了する。これにより、冷媒重量検知センサ39aによって、冷媒回路10のうち室外膨張弁38の上流側で、かつ、圧縮機21の下流側の部分に集められた冷媒量に関する状態量を検知でき、適正な冷媒量の判定を行うことができ、冷媒量に関する判定を行うための条件を簡易なものとしつつ、適正な冷媒量の判定を行うことが可能になっている。
このように、空気調和装置1では、上述のように、ステップS1によって液温一定制御が行われ、その後にステップS3によって液管閉鎖制御が行われ、圧縮機21において圧縮される冷媒を室外熱交換器23において凝縮させて室外熱交換器23を含む室外膨張弁38の上流側の部分に溜める液冷媒貯留制御が行われる。そして、上述のステップS4、S5の処理によって、室外膨張弁38の上流側に存在する冷媒量に関する状態量を検知し、冷媒量判定運転において冷媒重量検知センサ39aが検知した冷媒の重量に基づいて、冷媒回路10内の冷媒量の適否を判定することができるようになっている。
これらの制御等の処理は、冷媒量判定運転を行う運転制御手段、および、冷媒回路10内の冷媒量の適否を判定する冷媒量判定手段として機能する制御部8(より具体的には、室内側制御部47、57と室外側制御部37と制御部37、47、57間を接続する伝送線8a)によって行われる。
なお、本実施形態においては、液温一定制御(特に、液管温度制御)を行うことによって、冷媒回路10のうち液冷媒連絡配管6を含む利用側膨張機構と遮断機構との間の部分に、常に一定量の冷媒を封じ込めるようにしているため、冷媒回路10を構成する液冷媒連絡配管6の長さが長く、ステップS3の処理によって、液冷媒連絡配管6に封じ込められる冷媒量が比較的多い場合であっても、液冷媒連絡配管6に正確な量の冷媒を封じ込めることができ、これにより、冷媒回路10のうち室外膨張弁38の上流側で、かつ、圧縮機21の下流側の部分における冷媒量に対する影響を抑えて、冷媒重量検知センサ39aによる冷媒の重量の安定した検知を行うことができるようになっているが、冷媒回路10を構成する液冷媒連絡配管6の長さが短く、ステップS3の処理によって、液冷媒連絡配管6に封じ込められる冷媒量が少ない場合には、冷媒回路10のうち室外膨張弁38の上流側で、かつ、圧縮機21の下流側の部分における冷媒量に対する影響が小さいため、必ずしも液温一定制御(特に、液管温度制御)を行う必要はなく、ステップS3の処理を省略してもよい。
<冷媒漏洩検知運転モード>
次に、冷媒漏洩検知運転モードについて説明する。
冷媒漏洩検知運転モードは、冷媒充填作業を伴う点を除いては、冷媒自動充填運転モードとほぼ同様であるため、相違点のみ説明する。
本実施形態において、冷媒漏洩検知運転モードは、例えば、定期的(休日や深夜等で空調を行う必要がない時間帯等)に、不測の原因により冷媒回路10から冷媒が外部に漏洩していないかどうかを検知する場合に行われる運転である。
冷媒漏洩検知運転では、上述の冷媒自動充填運転のフローチャートと同じ処理が行われる。
すなわち、冷媒回路10において冷房運転状態または暖房運転状態において液温一定制御を行い、液温が一定となった後に、室内膨張弁41、51および液側閉鎖弁26を全閉状態にし、液管確定冷媒量Yを確定させる(ステップS1〜ステップS3参照)。また、室内膨張弁41、51や液側閉鎖弁26の操作とともに、バイパス膨張弁62を全開状態にし、室外膨張弁38を全閉状態にして、冷房運転を持続させることで、室外熱交換器23に液冷媒を溜める冷媒量判定運転が行われる。
ここで、冷媒重量検知センサ39aによる冷媒の重量wが、所定時間の間変わらないまま維持されると、その時の冷媒の重量wを制御部8のメモリに格納されている関係式に代入して、室外膨張弁38から室外熱交換器23にかけて溜まっている判定液冷媒量X’を演算する。ここで、算出された判定液冷媒量X’に、液管確定冷媒量Yを加えて、適正冷媒量Zになるか否かによって、冷媒回路10における冷媒の漏洩の有無を判断する。
なお、所定時間の間冷媒重量wが変わらず冷媒重量wのデータを取得した後は、速やかに圧縮機21の運転を停止する。これにより、冷媒漏洩検知運転を終了する。
また、冷媒漏洩検知の判定としては、上述の判定液冷媒量X’を算出する方法に限られず、例えば、予め最適冷媒量に対応する基準冷媒重量Wを演算しておき、この値を制御部8のメモリに格納しておくことで、上述の判定液冷媒量X’の演算を行う必要なく、検知される検知冷媒重量wを指標となる基準冷媒重量Wと直接比較することで、冷媒漏洩検知を行うようにしもよい。
(3)空気調和装置の特徴
本実施形態の空気調和装置1には、以下のような特徴がある。
(4)変形例1
第1実施形態の空気調和装置1では、冷媒重量検知手段39は、昇降台39bの上に冷媒重量検知センサ39aを設置しているが、これに限らずに、支持台39cの上に冷媒重量検知センサを設置するようにしても構わない(図8参照)。この場合には、通常運転時には、昇降台39bの高さが支持台39cの高さよりも高い状態にあり、第1実施形態のステップS4のように室外熱交換器23の重量を検知する際に、昇降台39bの高さが支持台39cの高さよりも低くなるように昇降台39bを下降させて、室外熱交換器23の重量を支持台39cの上に設けられた冷媒重量検知センサ39aが検知できるようにすることになる。
(5)変形例2
第1実施形態の空気調和装置1では、冷媒量の判定を行う冷媒自動充填運転モードおよび冷媒漏洩検知運転モードの際のみに冷媒重量検知センサ39aが利用できるように昇降台39bを昇降させているが、室外熱交換器23の重量を常に検出できるように昇降台39aを設けずに支持台39cの上に冷媒重量検知センサ39aを設けるようにしても構わない。
(6)変形例3
第1実施形態の空気調和装置1では、室外熱交換器23の重量を検出することにより冷媒量の判定を行っているが、これに限らず、室外ユニット2の重量を検出することにより冷媒量の判定を行っても構わない。なお、この場合には、重量を検知可能な重量検知センサ39aを室外ユニット2の下部に設けることになる。
(7)変形例4
第1実施形態の空気調和装置1では、冷媒重量検知センサ39aを室外ユニット2に搭載しているが、これに限らず、昇降台39bおよび支持台39cのみを設けるようにして冷媒重量検知センサ39aを後から挿入して室外熱交換器23の重量を検出できるようにしても構わない。なお、この場合には、昇降台39bの高さを支持台39cの高さよりも低くなるように昇降台39bを下降させて冷媒重量検知センサ39aが挿入できる隙間を空けてから、重量検知センサ39aを昇降台39bの上に挿入して、重量検知センサ39aが室外熱交換器23の重量を検出できる高さ(すなわち支持台39cの高さよりも高い位置)に昇降台39bを上昇させることになる(図9参照)。また、昇降台39bの高さを支持台39cの高さよりも高くなるように昇降台39bを上昇させて冷媒重量検知センサ39aが挿入できる隙間を空けてから、冷媒重量検知センサ39aを支持台39cの上に挿入して、重量検知センサ39aが室外熱交換器23の重量を検出できる高さ(すなわち支持台39cの高さよりも低い位置)に昇降台39bを下降させることになる(図10参照)。
(第2実施形態)
上述の第1実施形態およびその変形例における空気調和装置1では、室外ユニットが1台である場合を例に挙げたが、これに限定されるものではなく、例えば、図9に示される本実施形態の空気調和装置101のように、複数台(本実施形態では、2台)の室外ユニット2を並列に備えた構成としてもよい。ここで、室外ユニット2および室内ユニット4、5については、上述の第1実施形態における室外ユニット2および室内ユニット4、5と同じ構成であるため、ここでは説明を省略する。
本実施形態の空気調和装置101では、冷媒自動充填運転や冷媒漏洩検知運転において、冷媒重量検知センサ39aによる検知が、各室外ユニット2において個別に行われ、そして、室外熱交収集冷媒量Xが溜まったか否かの判断が、すべての室外ユニット2を合わせた冷媒回路110内の冷媒量に対して行われる点は異なるが、基本的には、上述の第1実施形態における冷媒回路10内の冷媒量の適否の判定と同様である。また、本実施形態の空気調和装置101においても、上述の第1実施形態の変形例1〜3と同様の構成を適用してもよい。
(第3実施形態)
上述の第1、2実施形態およびその変形例における空気調和装置1、101では、冷房運転および暖房運転が切り換え可能な構成に対して本発明を適用した場合を例に挙げたが、これに限定されるものではなく、例えば、図10に示される本実施形態の空気調和装置201のように、例えば、ある空調空間については冷房運転を行いつつ他の空調空間については暖房運転を行う等のように、室内ユニット4、5が設置される屋内の各空調空間の要求に応じて、冷暖同時運転が可能な構成に対して本発明を適用してもよい。
本実施形態の空気調和装置201は、主として、複数台(ここでは、2台)の利用ユニットとしての室内ユニット4、5と、熱源ユニットとしての室外ユニット202と、冷媒連絡配管6、7a、7bとを備えている。
室外ユニット4、5は、液冷媒連絡配管6、ガス冷媒連絡配管としての吸入ガス冷媒連絡配管7aおよび吐出ガス冷媒連絡配管7b、および、接続ユニット204、205を介して、室外ユニット202に接続されており、室外ユニット202との間で冷媒回路210を構成している。なお、室内ユニット4、5は、上述の第1実施形態における室内ユニット4、5と同じ構成であるため、ここでは説明を省略する。
室外ユニット202は、主として、冷媒回路210の一部を構成しており、室外側冷媒回路210cを備えている。室外側冷媒回路210cは、主として、圧縮機21と、三方切換弁222と、熱源側熱交換器としての室外熱交換器23と、冷媒検知機構としての冷媒重量検知センサ39aと、第2遮断機構または熱源側膨張機構としての室外膨張弁38と、アキュムレータ24と、温度調節機構としての過冷却器25と、過冷却器25の冷却源および連通管としてのバイパス冷媒配管61と、第1遮断機構としての液側閉鎖弁26と、吸入ガス側閉鎖弁27aと、吐出ガス側閉鎖弁27bと、高低圧連通管233と、高圧遮断弁234と、室外ファン28とを有している。ここで、三方切換弁222、吸入ガス側閉鎖弁27a、吐出ガス側閉鎖弁27b、高低圧連通管233、および、高圧遮断弁234を除く他の機器・弁類は、上述の第1実施形態における室外ユニット2の機器・弁類と同様の構成であるため、説明を省略する。
三方切換弁222は、室外熱交換器23を凝縮器として機能させる際(以下、凝縮運転状態とする)には圧縮機21の吐出側と室外熱交換器23のガス側とを接続し、室外熱交換器23を蒸発器として機能させる際(以下、蒸発運転状態とする)には圧縮機21の吸入側と室外熱交換器23のガス側とを接続するように、室外側冷媒回路210c内における冷媒の流路を切り換えるための弁である。また、圧縮機21の吐出側と三方切換弁222との間には、吐出ガス側閉鎖弁27bを介して吐出ガス冷媒連絡配管7bが接続されている。これにより、圧縮機21において圧縮・吐出された高圧のガス冷媒を三方切換弁222の切り換え動作に関係なく、室内ユニット4、5に供給できるようになっている。また、圧縮機21の吸入側には、吸入ガス側閉鎖弁27aを介して吸入ガス冷媒連絡配管7aが接続されている。これにより、室内ユニット4、5から戻る低圧のガス冷媒を三方切換弁222の切り換え動作に関係なく、圧縮機21の吸入側に戻すことができるようになっている。また、高低圧連通管233は、圧縮機21の吐出側と三方切換弁222との間の位置と吐出ガス冷媒連絡配管7bとの間を結ぶ冷媒管と、圧縮機21の吸入側と吸入ガス冷媒連絡配管7aとの間を結ぶ冷媒管とを連通させる冷媒管であり、冷媒の通過を遮断することが可能な高低圧連通弁233aを有している。これにより、必要に応じて、吸入ガス冷媒連絡配管7aと吐出ガス冷媒連絡配管7bとを互いに連通させた状態にすることができるようになっている。また、高圧遮断弁234は、圧縮機21の吐出側と三方切換弁222との間の位置と吐出ガス冷媒連絡配管7bとの間を結ぶ冷媒管に設けられており、必要に応じて、圧縮機21から吐出された高圧のガス冷媒を吐出ガス冷媒連絡配管7bに送るのを遮断することを可能にしている。本実施形態において、高圧遮断弁234は、圧縮機21の吐出側と三方切換弁222との間の位置と吐出ガス冷媒連絡配管7bとの間を結ぶ冷媒管に高低圧連通管233が接続された位置よりも圧縮機21の吐出側に配置されている。本実施形態において、高低圧連通弁233aおよび高圧遮断弁234は、電磁弁である。なお、本実施形態においては、凝縮運転状態と蒸発運転状態とを切り換えるための機構として、三方切換弁222を使用しているが、これに限定されるものではなく、四路切換弁や複数の電磁弁等で構成したものを使用してもよい。
また、室外ユニット202には、各種のセンサと室外側制御部37が設けられているが、これらについても、上述の第1実施形態における室外ユニット2の各種のセンサと室外側制御部37の構成と同様であるため、説明を省略する。
また、室内ユニット4、5は、室内熱交換器42、52のガス側が接続ユニット204、205を介して吸入ガス冷媒連絡配管7aおよび吐出ガス冷媒連絡配管7bに切り換え可能に接続されている。接続ユニット204、205は、主として、冷暖切換弁204a、205aを備えている。冷暖切換弁204a、205aは、室内ユニット4、5が冷房運転を行う場合には室内ユニット4、5の室内熱交換器42、52のガス側と吸入ガス冷媒連絡配管7aとを接続する状態(以下、冷房運転状態とする)と、室内ユニット4、5が暖房運転を行う場合には室内ユニット4、5の室内熱交換器42、52のガス側と吐出ガス冷媒連絡配管7bとを接続する状態(以下、暖房運転状態とする)との切り換えを行う切換機構として機能する弁である。なお、本実施形態においては、冷房運転状態と暖房運転状態とを切り換えるための機構として、三方切換弁からなる冷暖切換弁204a、205aを使用しているが、これに限定されるものではなく、四路切換弁や複数の電磁弁等で構成したものを使用してもよい。
このような空気調和装置201の構成により、室内ユニット4、5は、例えば、室内ユニット4を冷房運転しつつ、室内ユニット5を暖房運転する等の、いわゆる、冷暖同時運転を行うことが可能になっている。
そして、この冷暖同時運転可能な空気調和装置201においては、三方切換弁222を凝縮運転状態にして室外熱交換器23を冷媒の凝縮器として機能させ、冷暖切換弁204a、205aを冷房運転状態にして室内熱交換器42、52を冷媒の蒸発器として機能させることにより、上述の第1実施形態における空気調和装置1と同様の冷媒量判定運転および冷媒量の適否の判定を行うことができる。
ただし、本実施形態の空気調和装置201では、ガス冷媒連絡配管7として吸入ガス冷媒連絡配管7aおよび吐出ガス冷媒連絡配管7bを有していることから、通常運転モードにおける冷房運転のように、高低圧連通弁233aを全閉状態にし、かつ、高圧遮断弁234を全開状態にすることによって、吸入ガス冷媒連絡配管7aと吐出ガス冷媒連絡配管7bとが連通しておらず、かつ、圧縮機21から吐出された高圧のガス冷媒を吐出ガス冷媒連絡配管7bに送ることが可能な状態にしていると、吐出ガス冷媒連絡配管7bに溜まった高圧のガス冷媒を室外熱交換器23において凝縮させて室外熱交換器23を含む室外膨張弁38の上流側の部分に溜めることができなくなり、冷媒回路10内の冷媒量の適否の判定精度に悪影響を及ぼすおそれがあることから、冷媒量判定運転においては、高低圧連通弁233aを全閉状態にし、かつ、高圧遮断弁234を全開状態にすることによって、吸入ガス冷媒連絡配管7aと吐出ガス冷媒連絡配管7bとを連通させるとともに、圧縮機21から吐出された高圧のガス冷媒を吐出ガス冷媒連絡配管7bに送るのを遮断するようにしている。これにより、吐出ガス冷媒連絡配管7b内の冷媒の圧力を吸入ガス冷媒連絡配管7a内の冷媒の圧力と同じになり、吐出ガス冷媒連絡配管7bに冷媒が溜まらない状態になるため、吐出ガス冷媒連絡配管7bに溜まった高圧のガス冷媒を室外熱交換器23において凝縮させて室外熱交換器23を含む室外膨張弁38の上流側の部分に溜めることができるようになり、冷媒回路10内の冷媒量の適否の判定精度に悪影響を及ぼしにくくなる。
このように、本実施形態の空気調和装置201では、冷媒量判定運転において、高低圧連通弁233aを全閉状態にし、かつ、高圧遮断弁234を全開状態にすることによって、吸入ガス冷媒連絡配管7aと吐出ガス冷媒連絡配管7bとを連通させるとともに、圧縮機21から吐出された高圧のガス冷媒を吐出ガス冷媒連絡配管7bに送るのを遮断する操作を行う点が、上述の第1実施形態における空気調和装置1と異なるが、基本的には、上述の第1実施形態における冷媒回路10内の冷媒量の適否の判定と同様である。また、本実施形態の空気調和装置201においても、上述の第1実施形態の変形例1〜3と同様の構成を適用してもよいし、また、第2実施形態の空気調和装置101のように、室外ユニット202が複数台接続された構成にしてもよい。
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態およびその変形例について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態およびその変形例に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、冷房運転と暖房運転とが切り換え可能な空気調和装置1、101や冷房運転と暖房運転とを同時に運転可能な空気調和装置201ではなく、冷房運転専用の空気調和装置にも本発明を適用可能である。