JP5033673B2 - パイプ接続部品の製造方法およびケーシング構成部材の製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、たとえば半導体素子などの電子部品からなる発熱体を冷却する液冷式冷却装置に用いられるパイプ接続部品の製造方法およびケーシング構成部材の製造方法に関する。
従来、電子部品の液冷式冷却装置として、頂壁、底壁および周壁からなるケーシングと、ケーシング内に配置されたチューブと、ケーシングの周壁に接続された入口パイプおよび出口パイプとを備えており、ケーシングが、上方に開口しかつ底壁および周壁を形成する箱状の本体と、本体の開口を閉鎖する蓋とからなり、本体の周壁に貫通穴が形成され、貫通穴内に入口パイプおよび出口パイプの端部が挿入されて周壁にろう付されたものが知られている(特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1記載の液冷式冷却装置においては、ケーシングの本体の形成が困難であるという問題がある。そこで、このような問題を解決するために、頂壁、底壁および周壁からなり、かつ内部を流体が流れるケーシング本体と、ケーシング本体に設けられ、かつケーシング本体に連なった基部および基部の先端に連なった筒状のパイプ接続部からなる流体通過部とを備えたケーシング、ならびにケーシングのパイプ接続部に挿入されてパイプ挿入部にろう付された流体流通パイプよりなる液冷式冷却装置が考えられている。当該液冷式冷却装置のケーシングは、ケーシング本体の頂壁、ケーシング本体の周壁の上半部、流体通過部の基部の上半部、流体通過部のパイプ接続部の上半部を形成する上構成部材と、ケーシング本体の底壁、ケーシング本体の周壁の下半部、流体通過部の基部の下半部および流体通過部のパイプ接続部の下半部を形成する下構成部材とからなる。
上述した上構成部材は、ケーシング本体の頂壁を形成する頂壁形成部と、ケーシング本体の周壁の上半部を形成する周壁形成部と、流体通過部の基部の上半部を形成する基部形成部と、流体通過部のパイプ接続部の上半部を形成する半筒状の接続部形成部と、周壁形成部、基部形成部および接続部形成部の下端に形成された外向きフランジを有している。一方、上述した下構成部材は、ケーシング本体の底壁を形成する底壁形成部と、ケーシング本体の周壁の下半部を形成する周壁形成部と、流体通過部の基部の下半部を形成する基部形成部と、流体通過部のパイプ接続部の下半部を形成する半筒状の接続部形成部と、周壁形成部、基部形成部および接続部形成部の上端に形成された外向きフランジを有している。そして、両構成部材の外向きフランジどうしが接合されることにより、ケーシングが形成され、流入パイプおよび流出パイプは、両構成部材の外向きフランジどうしのろう付と同時に、両構成部材の接続部形成部により形成されるパイプ接続部内に挿入された状態でパイプ接続部にろう付される。なお、両構成部材の外向きフランジにおける接続部形成部の両側に存在する部分は、それぞれ同一水平面上に位置する水平平坦部となっている。
通常、上述した上構成部材および下構成部材は、最終形状の下構成部材に対応する形状を有する2つの金型を用いて金属素板にプレス加工を施すことにより製造されるが、この場合、次のような問題が生じるおそれがある。すなわち、上述した方法で上下両構成部材を製造した場合、図7に示すように、上下両構成部材(41)(42)の接続部形成部(43)(44)の内周面と、接続部形成部(43)(44)の両側縁に形成される水平平坦部(45)(46)における他方の構成部材(42)(41)側を向いた面との連接部に丸み(47)(48)が生じることは避け得ない。したがって、両構成部材(41)(42)を合わせた際に、両構成部材(41)(42)の接続部形成部(43)(44)および平坦部(45)(46)により形成される円筒状のパイプ接続部(49)の内周面と、流体流通パイプ(51)の外周面との間に比較的大きな隙間(52)が発生し、当該隙間(52)がろう材によって埋められず、製造された液冷式冷却装置においてはケーシングからの冷却液の洩れが発生するおそれがある。
特開2005−274120号公報
この発明の目的は、上記問題を解決し、流体の洩れを防止しうるパイプ接続部品の製造方法およびケーシング構成部材の製造方法を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
1)パイプの外周面の半部に密着する半筒状部と、半筒状部の両側縁に一体に形成されるとともに同一平面上に位置する平坦部とを有しており、かつ半筒状部の内周面と平坦部における半筒状部が開口した側を向いた面との間の連接部にエッジ部が形成されているパイプ接続部品を製造する方法であって、
最終形状の金属部品に対応する形状を有する2つの金型を用いて金属素板にプレス加工を施すことによって、半筒状部と、半筒状部の両側縁に一体に形成されるとともに同一平面上に位置する平坦部とを有しており、かつ半筒状部の内周面と平坦部における半筒状部が開口した側を向いた面との間の連接部に丸みが形成されている第1の中間加工品をつくる第1工程と、
第1中間加工品の平坦部を、半筒状部が開口した側に移動させるように変形させて、第1中間加工品に比べて半筒状部の屈曲深さが大きくなるとともに平坦部の幅が小さくなった第2の中間加工品をつくる第2工程と、
第2中間加工品の両平坦部における半筒状部側の部分を、半筒状部の両側壁に対して鋭角をなすとともに、両平坦部の外側部分と鈍角をなすように曲げることにより、半筒状部、半筒状部の両側壁に連なった傾斜平坦部部、および両傾斜平坦部の先端縁に連なり、かつ同一平面上に位置するとともに第2中間加工品の平坦部よりも幅狭となった幅狭平坦部を有する第3の中間加工品をつくる第3工程と、
第3中間加工品の幅狭平坦部の先端縁部を拘束した状態で、両傾斜平坦部を半筒状部の側壁側に向かって半筒状部の底部から離れる方向に押圧することにより、傾斜部平坦部と半筒状部の側壁との連接部に材料を集めて第4の中間加工品をつくる第4工程と、
第4中間加工品の半筒状部の側壁の開口側部分、傾斜平坦部および幅狭平坦部を上下から加圧することにより、最終形状の金属部品と同一深さの半筒状部と、半筒状部の両側壁に連なりかつ最終形状の金属部品と形状および寸法が同一である平坦部とを有するとともに、半筒状部の両側壁の開口端部に半筒状部の内方に突出したばりが形成された第5の中間加工品をつくる第5工程と、
第5中間加工品のばりを除去することにより、パイプの外周面の半部に密着する半筒状部と、半筒状部の両側縁に一体に形成されるとともに同一平面上に位置する平坦部とを有しており、かつ半筒状部の内周面と平坦部における半筒状部が開口した側を向いた面との間の連接部にエッジ部を形成する第6工程とを含むパイプ接続部品の製造方法。
2)第4工程における両傾斜平坦部に対する押圧方向が、両幅狭平坦部が位置する平面に対して5〜20度傾斜している上記1)記載のパイプ接続部品の製造方法。
3)頂壁、底壁および周壁からなり、かつ内部を流体が流れるケーシング本体と、ケーシング本体に設けられ、かつケーシング本体の内部に通じる基部および基部の先端に連なった筒状のパイプ接続部からなる流体通過部とを備えており、ケーシング本体の頂壁、ケーシング本体の周壁の上半部、流体通過部の基部の上半部、および流体通過部のパイプ接続部の上半部を形成する上構成部材と、ケーシング本体の底壁、ケーシング本体の周壁の下半部、流体通過部の基部の下半部および流体通過部のパイプ接続部の下半部を形成する下構成部材とからなるケーシングに用いられる上下両構成部材を製造する方法であって、
最終形状の上構成部材に対応する形状を有する2つの金型を用いて金属素板にプレス加工を施すことによって、ケーシング本体の頂壁を形成する頂壁形成部と、ケーシング本体の周壁の上半部を形成する周壁形成部と、流体通過部の基部の上半部を形成する基部形成部と、流体通過部のパイプ接続部の上半部を形成する半筒状の接続部形成部と、接続部形成部の両側縁に一体に形成されるとともに同一平面上に位置する平坦部とを有しており、かつ接続部形成部の内周面と平坦部における接続部形成部が開口した側を向いた面との間の連接部に丸みが形成されている上構成部材用の第1の中間加工品をつくる第1工程と、
最終形状の下構成部材に対応する形状を有する2つの金型を用いて金属素板にプレス加工を施すことによって、ケーシング本体の底壁を形成する底壁形成部と、ケーシング本体の周壁の下半部を形成する周壁形成部と、流体通過部の基部の下半部を形成する基部形成部と、流体通過部のパイプ接続部の下半部を形成する半筒状の接続部形成部と、接続部形成部の両側縁に一体に形成されるとともに同一平面上に位置する平坦部とを有しており、かつ接続部形成部の内周面と平坦部における接続部形成部が開口した側を向いた面との間の連接部に丸みが形成されている下構成部材用の第1の中間加工品をつくる第2工程と、
両第1中間加工品の平坦部を、接続部形成部が開口した側に移動させるように変形させて、両第1中間加工品に比べて接続部形成部の屈曲深さが大きくなるとともに平坦部の幅が小さくなった上構成部材用および下構成部材用の第2の中間加工品をつくる第2工程と、
両第2中間加工品の両平坦部における接続部形成部側の部分を、接続部形成部の両側壁に対して鋭角をなすとともに、両平坦部の外側部分と鈍角をなすように曲げることにより、接続部形成部、接続部形成部の両側壁に連なった傾斜平坦部、および両傾斜平坦部の先端縁に連なり、かつ同一平面上に位置するとともに第2中間加工品の平坦部よりも幅狭となった幅狭平坦部を有する上構成部材用および下構成部材用の第3の中間加工品をつくる第3工程と、
両第3中間加工品の幅狭平坦部の先端縁部を拘束した状態で、両傾斜平坦部を接続部形成部の側壁側に向かって接続部形成部の底部から離れる方向に押圧することにより、傾斜部平坦部と接続部形成部の側壁との連接部に材料を集めて上構成部材用および下構成部材用の第4の中間加工品をつくる第4工程と、
両第4中間加工品の接続部形成部の側壁の開口側部分、傾斜平坦部および幅狭平坦部を上下から加圧することにより、最終形状の上下両構成部材と同一深さの接続部形成部と、接続部形成部の両側壁に連なりかつ最終形状の上下両構成部材と形状および寸法が同一である平坦部とを有するとともに、接続部形成部の両側壁の開口端部に接続部形成部の内方に突出したばりが形成された上構成部材用および下構成部材用の第5の中間加工品をつくる第5工程と、
両第5中間加工品のばりを除去することにより、パイプの外周面の半部に密着する接続部形成部と、接続部形成部の両側縁に一体に形成されるとともに同一平面上に位置する平坦部とを有しており、かつ接続部形成部の内周面と平坦部における接続部形成部が開口した側を向いた面との間の連接部にエッジ部を形成する第6工程とを含むケーシング構成部材の製造方法。
4)第4工程における両傾斜平坦部に対する押圧方向が、両幅狭平坦部が位置する平面に対して5〜20度傾斜している上記3)記載のケーシング構成部材の製造方法。
上記1)の方法によれば、パイプの外周面の半部に密着する半筒状部と、半筒状部の両側縁に一体に形成されるとともに同一平面上に位置する平坦部とを有しており、かつ半筒状部の内周面と平坦部における半筒状部が開口した側を向いた面との間の連接部に丸みが存在せず、エッジ部が形成されているパイプ接続部品を製造することができる。したがって、この方法で製造されたパイプ接続部品を2つ用意し、半筒状部の開口が向かい合うように両部品を合わせた際に、両半筒状部により形成される筒状部の内周面と、当該筒状部内に挿入されるパイプの外周面との間に比較的大きな隙間が発生することを防止することができる。その結果、2つのパイプ接続部品により形成された製品からの流体の洩れを防止することができる。
上記2)の方法によれば、上記1)の方法の第5工程においてつくられる第5中間加工品のばりの大きさを、同じく第6工程においてばりを除去することによって、半筒状部の内周面と平坦部における半筒状部が開口した側を向いた面との間の連接部に確実にエッジ部を形成することができる大きさで、かつ除去する材料の量を最小としうる大きさにすることができる。
上記3)の方法によれば、ケーシング本体の頂壁を形成する頂壁形成部と、ケーシング本体の周壁の上半部を形成する周壁形成部と、流体通過部の基部の上半部を形成する基部形成部と、流体通過部のパイプ接続部の上半部を形成する半筒状の接続部形成部と、接続部形成部の両側縁に一体に形成されるとともに同一平面上に位置する平坦部とを有しており、かつ接続部形成部の内周面と平坦部における接続部形成部が開口した側を向いた面との間の連接部に丸みが存在せず、エッジ部が形成されている上構成部材を製造することができる。また、ケーシング本体の底壁を形成する底壁形成部と、ケーシング本体の周壁の下半部を形成する周壁形成部と、流体通過部の基部の下半部を形成する基部形成部と、流体通過部のパイプ接続部の下半部を形成する半筒状の接続部形成部と、接続部形成部の両側縁に一体に形成されるとともに同一平面上に位置する平坦部とを有しており、かつ接続部形成部の内周面と平坦部における接続部形成部が開口した側を向いた面との間の連接部に丸みが存在せず、エッジ部が形成されている下構成部材を製造することができる。したがって、この方法で製造された上下両構成部材を用意し、接続部形成部の開口が向かい合うように両構成部材を合わせた際に、両接続部形成部により形成されるパイプ接続部の内周面と、当該パイプ接続部内に挿入されるパイプの外周面との間に比較的大きな隙間が発生することを防止することができる。その結果、上下両構成部材により形成されたケーシングからの流体の洩れを防止することができる。
上記4)の方法によれば、上記3)の方法の第5工程においてつくられる第5中間加工品のばりの大きさを、同じく第6工程においてばりを除去することによって、接続部形成部の内周面と平坦部における接続部形成部が開口した側を向いた面との間の連接部に確実にエッジ部を形成することができる大きさで、かつ除去する材料の量を最小としうる大きさにすることができる。
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。この実施形態は、この発明の方法を、液冷式冷却装置のケーシング構成部材の製造に適用したものである。
なお、図1〜図4に基づく液冷式冷却装置に関する説明において、図2の下側を前、上側を後というものとし、図3の上下、左右を上下、左右というものとする。
また、以下の説明において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。
図1〜図4はこの発明の方法で製造された構成部材からなるケーシングを備えた液冷式冷却装置を示し、図5〜図6はケーシング用の構成部材の製造方法を示す。
図1〜図3において、液冷式冷却装置(1)は、中空状のケーシング(2)と、ケーシング(2)に接続されてケーシング(2)内に冷却液を流入させる丸パイプからなる流入パイプ(3)と、ケーシング(2)に接続されてケーシング(2)内から冷却液を流出させる丸パイプからなる流出パイプ(4)とを備えている。
ケーシング(2)は、頂壁(6)、底壁(7)および周壁(8)からなりかつ内部を冷却液が流れる扁平直方体状のケーシング本体(5)と、ケーシング本体(5)の右側縁の後端部に右方突出状に一体に形成され、かつケーシング本体(5)内に通じる冷却液流入部(9)(流体通過部)と、ケーシング本体(5)の右側縁の前端部に右方突出状に一体に形成され、かつケーシング本体(5)内に通じる冷却液流出部(11)(流体通過部)とを備えている。
ケーシング本体(5)の周壁(8)は、左右方向にのびる垂直状の前側壁部(8a)、左右方向にのびるとともに前側壁部(8a)と対向する垂直状の後側壁部(8b)、前後方向にのびかつ前側壁部(8a)および後側壁部(8b)の左端部どうしを連結する垂直状の左側壁部(8c)、ならびに前後方向にのびるとともに左側壁部(8c)と対向する垂直状の右側壁部(8d)よりなる。冷却液流入部(9)は、ケーシング本体(5)に連なって設けられ、かつケーシング本体(5)と同一高さを有する角筒状の基部(12)と、基部(12)の右端部に連なって設けられ、かつ基部(12)外面の前後方向の幅と同一の外径を有する円筒状のパイプ接続部(13)とよりなる。冷却液流入部(9)の基部(12)の上面はケーシング本体(5)の頂壁(6)の上面に、下面は底壁(7)の下面に、後面は周壁(8)の後側壁部(8b)の後面にそれぞれ面一となっている。また、基部(12)の前面は周壁(8)の右側壁部(8d)の右面と直角をなしている。冷却液流出部(11)は、ケーシング本体(5)に連なって設けられ、かつケーシング本体(5)と同一高さを有する角筒状の基部(14)と、基部(14)の右端部に連なって設けられ、かつ基部(14)外面の前後方向の幅と同一の外径を有する円筒状のパイプ接続部(15)とよりなる。冷却液流出部(11)の基部(14)の上面はケーシング本体(5)の頂壁(6)の上面に、下面は底壁(7)の下面に、前面は周壁(8)の前側壁部(8a)の前面にそれぞれ面一となっている。また、基部(12)の後面は周壁(8)の右側壁部(8d)の右面と直角をなしている。
ケーシング本体(5)、冷却液流入部(9)および冷却液流出部(11)からなるケーシング(2)は、ケーシング本体(5)の頂壁(6)を形成する頂壁形成部(16a)、ケーシング本体(5)の周壁(8)の上半部を形成する周壁形成部(16b)、冷却液流入部(9)および冷却液流出部(11)の基部(12)(14)の上半部を形成する基部形成部(16c)、ならびに冷却液流入部(9)および冷却液流出部(11)のパイプ接続部(13)(15)の上半部を形成する接続部形成部(16d)(半筒状部)からなるアルミニウム製上構成部材(16)(ケーシング構成部材)と、ケーシング本体(5)の底壁(7)を形成する底壁形成部(17a)、ケーシング本体(5)の周壁(8)の下半部を形成する周壁形成部(17b)、冷却液流入部(9)および冷却液流出部(11)の基部(12)(14)の下半部を形成する基部形成部(17c)、ならびに冷却液流入部(9)および冷却液流出部(11)のパイプ接続部(13)(15)の下半部を形成する接続部形成部(17d)(半筒状部)からなり、かつ上構成部材(16)と上下対称形のアルミニウム製下構成部材(17)(ケーシング構成部材)とよりなる。上下両構成部材(16)(17)の基部形成部(16c)(17c)は互いに他方の構成部材(17)(16)側に開口した半角筒状である。上下両構成部材(16)(17)の接続部形成部(16d)(17d)は互いに他方の構成部材(17)(16)側に開口した半円筒状である。
上構成部材(16)の下端、すなわち周壁形成部(16b)の下端から基部形成部(16c)および接続部形成部(16d)の下端にかけて水平平坦状の外向きフランジ(18)が一体に形成されている。また、下構成部材(17)の上端、すなわち周壁形成部(17b)の上端から基部形成部(17c)および接続部形成部(17d)の上端にかけて水平平坦状の外向きフランジ(19)が一体に形成されている。そして、両構成部材(16)(17)の外向きフランジ(18)(19)どうしがろう付されることにより、ケーシング(2)が形成されている。上構成部材(16)の外向きフランジ(18)における接続部形成部(16d)の前後両側縁に存在する部分が、接続部形成部(16d)の両側縁に一体に形成されかつ同一平面上に位置する水平平坦部(21)となっている。また、下構成部材(17)の外向きフランジ(19)における接続部形成部(17d)の前後両側縁に存在する部分が、接続部形成部(17d)の両側縁に一体に形成されかつ同一平面上に位置する水平平坦部(22)となっている。そして、図4に示すように、上下両構成部材(16)(17)の接続部形成部(16d)(17d)の内周面と、上構成部材(16)の平坦部(21)の下面(平坦部(21)における接続部形成部(16d)が開口した側を向いた面)および下構成部材(17)の平坦部(22)の上面(平坦部(22)における接続部形成部(17d)が開口した側を向いた面)との連接部に、それぞれエッジ部(20)が形成されている。したがって、上下両構成部材(16)(17)の接続部形成部(16d)(17d)により形成されるパイプ接続部(13)(15)の内周面と、流入パイプ(3)および流出パイプ(4)との間に比較的大きな隙間が発生することを防止することができる。その結果、上下両構成部材(16)(17)により形成されたケーシング(2)からの冷却液の洩れを防止することができる。
ケーシング本体(5)内における左側壁部(8c)と右側壁部(8d)との間でかつ冷却液流入部(9)と冷却液流出部(11)との間の部分に、波頂部、波底部および波頂部と波底部とを連結する垂直状連結部からなるアルミニウム製のコルゲートフィン(23)が配置されており、波頂部がケーシング本体(5)の頂壁(6)に、波底部がケーシング本体(5)の底壁(7)にそれぞれろう付されている。そして、コルゲートフィン(23)によって、前後方向にのびかつ冷却液が前後方向に流れる複数の流路(24)が左右方向に並んで形成されており、これにより複数の流路(24)からなる並列流路部分(25)が設けられている。ケーシング本体(5)内における並列流路部分(25)よりも上流側(後側)の部分が冷却液流入部(9)に通じる入口ヘッダ部(26)となされるとともに、並列流路部分(25)よりも下流側(前側)の部分が冷却液流出部(11)に通じる出口ヘッダ部(27)となされている。
上記構成の液冷式冷却装置(1)において、発熱体である半導体素子(P)は、板状絶縁部材(I)を介してケーシング本体(5)の頂壁(6)外面に接合されている。そして、図示しない冷却液供給用配管から流入パイプ(3)内に送り込まれた冷却液は、冷却液流入部(9)を通ってケーシング本体(5)内の入口ヘッダ部(26)内に流入する。入口ヘッダ部(26)内に流入した冷却液は、入口ヘッダ部(26)において並列流路部分(25)の全流路(24)に分流し、全流路(24)内を前方に流れる。
並列流路部分(25)の流路(24)内を前方に流れた冷却液は、出口ヘッダ部(27)内に入って出口ヘッダ部(27)内を右方に流れ、冷却液流出部(11)を通って流出パイプ(4)内に流入する。流出パイプ(4)内に流入した冷却液は、図示しない冷却液排出用配管内に送り込まれる。
そして、半導体素子(P)から発せられる熱は、絶縁部材(I)、ケーシング本体(5)の頂壁(6)およびコルゲートフィン(23)を経て流路(24)内を流れる冷却液に伝わり、半導体素子(P)が冷却される。
以下、ケーシング(2)の上下両構成部材(16)(17)の製造方法について、図5および図6を参照して説明する。なお、ケーシング(2)の上下両構成部材(16)(17)の製造方法に関する以下の説明において、図5の上下、左右を上下、左右というものとする。また、上下両構成部材(16)(17)は上下対称形であって同一形状であり、両構成部材(16)(17)は同様な方法で製造されるから、上構成部材(16)の製造方法についてのみ説明する。
まず、上面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートからなる金属素板に、最終形状の上構成部材(16)に対応する形状を有する2つの金型(図示略)を用いてプレス加工を施すことによって、ケーシング本体(5)の頂壁(6)を形成する頂壁形成部(16a)と、ケーシング本体(5)の周壁(8)の上半部を形成する周壁形成部(16b)と、冷却液流入部(9)および冷却液流出部(11)の基部(12)(14)の上半部を形成する基部形成部(16c)と、冷却液流入部(9)および冷却液流出部(11)のパイプ接続部(13)(15)の上半部を形成する半円筒状の接続部形成部(16d)と、周壁形成部(16b)の下端から基部形成部(16c)および接続部形成部(16d)の下端にかけて一体に形成され、かつ同一平面上に位置する水平平坦状の外向きフランジ(18)とを有する上構成部材(16)用の第1中間加工品(31)をつくる。第1中間加工品(31)においては、周壁形成部(16b)の内周面、基部形成部(16c)の内周面および接続部形成部(16d)の内周面と、外向きフランジ(18)(接続部形成部(16d)においては水平平坦部(21))の上面(接続部形成部(16d)が開口した側を向いた面)との間の連接部に丸み(32)が形成されている(図5(a)参照)。
ついで、第1中間加工品(31)の外向きフランジ(18)における接続部形成部(16d)の両側縁部に存在する平坦部(21)を、上方(接続部形成部(16d)が開口した側)に移動させるように変形させて、第1中間加工品(31)に比べて接続部形成部(16d)の屈曲深さが大きくなるとともに水平平坦部(21)の幅が小さくなった第2中間加工品(33)をつくる(図5(b)参照)。
ついで、第2中間加工品(33)の両水平平坦部(21)における左右方向内側(接続部形成部(16d)側)の部分を、接続部形成部(16d)の両側壁に対して鋭角をなすとともに、両水平平坦部(21)の左右方向外側部分と鈍角をなすように曲げて傾斜平坦部(34)を形成することにより、接続部形成部(16d)、接続部形成部(16d)の両側壁に連なった傾斜平坦部(34)、および両傾斜平坦部(34)の先端縁に連なり、かつ同一平面上に位置するとともに第2中間加工品(33)の水平平坦部(21)よりも幅狭となった水平幅狭平坦部(35)よりなる第3中間加工品(36)をつくる(図5(c)参照)。
ついで、第3中間加工品(36)の両水平幅狭平坦部(35)の先端縁部を左右両側から拘束した状態で、両傾斜平坦部(34)を左右方向内方に向かって上方(接続部形成部(16d)の側壁側に向かって接続部形成部(16d)の底部から離れる方向)に押圧することにより、傾斜部平坦部(34)と接続部形成部(16d)の側壁との連接部に材料を集めて第4中間加工品(37)をつくる(図5参照(d)参照)。第4中間加工品(37)をつくる工程における両傾斜平坦部(34)に対する押圧方向の両水平幅狭平坦部(35)が位置する平面に対する傾斜角度αは5〜20度であることが好ましい。
ついで、第4中間加工品(37)の接続部形成部(16d)の側壁の上側部分(開口側部分)、傾斜平坦部(34)および水平幅狭平坦部(35)を上下から加圧することにより、最終形状の上構成部材(16)と同一深さの接続部形成部(16d)と、接続部形成部(16d)の両側壁に連なりかつ最終形状の上構成部材(16)と形状および寸法が同一である水平平坦部(21)とを有するとともに、接続部形成部(16d)の両側壁の上端部に接続部形成部(16d)の内方に突出したばり(38)が形成された第5中間加工品(39)をつくる(図5(e)および図6参照)。ばり(38)は、傾斜平坦部(34)および水平幅狭平坦部(35)から材料が流れてくることにより形成される。
その後、第5中間加工品(39)のばり(38)を除去することにより、流入パイプ(3)および流出パイプ(4)の外周面の半部に密着する接続部形成部(16d)と、接続部形成部(16d)の両側縁に一体に形成されるとともに同一平面上に位置する水平平坦部(21)とを有しており、かつ接続部形成部(16d)の内周面と平坦部(21)における接続部形成部(16d)が開口側を向いた面との間の連接部にエッジ部(20)が形成されている上構成部材(16)をつくる(図5(f)参照)。
上述した実施形態においては、流入パイプ(3)および流出パイプ(4)が丸パイプからなるので、ケーシング(2)の冷却液流入部(9)および冷媒流出部(11)のパイプ接続部(13)(15)が円筒状であり、かつ上下両構成部材(16)(17)の接続部形成部(16d)(17d)が半円筒状であるが、これに限定されるものではなく、流入パイプ(3)および流出パイプ(4)の横断面形状は、だ円形、長円形、多角形などに適宜変更可能であり、ケーシング(2)の冷却液流入部(9)および冷媒流出部(11)のパイプ接続部(13)(15)の形状、およびかつ上下両構成部材(16)(17)の接続部形成部(16d)(17d)の形状も、流入パイプ(3)および流出パイプ(4)の横断面形状に合わせて適宜変更される。
また、上述した実施形態においては、液冷式冷却装置(1)のケーシング(2)の上下両構成部材(16)(17)の製造方法について説明したが、この発明による方法は、パイプの外周面の半部に密着する半筒状部と、半筒状部の両側縁に一体に形成されるとともに同一平面上に位置する平坦部とを有しており、かつ半筒状部の内周面と平坦部における半筒状部が開口した側を向いた面との間の連接部にエッジ部が形成されているパイプ接続部品の製造にも適用される。
この発明の方法で製造された構成部材からなるケーシングを備えた液冷式冷却装置の全体構成を示す斜視図である。 図1の液冷式冷却装置の水平断面図である。 図2のA−A線断面図である。 図2のB−B線拡大断面図である。 図1の液冷式冷却装置のケーシングにおける上構成部材の製造方法を工程順に示す接続部形成部の部分の拡大断面図である。 図5(e)の要部を拡大して示す図である。 従来の方法で製造された構成部材からなるケーシングを備えた液冷式冷却装置の問題点を示す図4相当の断面図である。
符号の説明
(1):液冷式冷却装置
(2):ケーシング
(5):ケーシング本体
(6):頂壁
(7):底壁
(8):周壁
(9):冷却液流入部(流体通過部)
(11):冷却液流出部(流体通過部)
(12)(14):基部
(13)(15):パイプ接続部
(16):上構成部材
(16a):頂壁形成部
(16b):周壁形成部
(16c):基部形成部
(16d):接続部形成部
(17):下構成部材
(17a):底壁形成部
(17b):周壁形成部
(17c):基部形成部
(17d):接続部形成部
(21)(22):平坦部
(31):第1中間加工品
(32):丸み
(33):第2中間加工品
(34):傾斜平坦部
(35):水平幅狭平坦部
(36):第3中間加工品
(37):第4中間加工品
(38):ばり
(39):第5中間加工品

Claims (4)

  1. パイプの外周面の半部に密着する半筒状部と、半筒状部の両側縁に一体に形成されるとともに同一平面上に位置する平坦部とを有しており、かつ半筒状部の内周面と平坦部における半筒状部が開口した側を向いた面との間の連接部にエッジ部が形成されているパイプ接続部品を製造する方法であって、
    最終形状の金属部品に対応する形状を有する2つの金型を用いて金属素板にプレス加工を施すことによって、半筒状部と、半筒状部の両側縁に一体に形成されるとともに同一平面上に位置する平坦部とを有しており、かつ半筒状部の内周面と平坦部における半筒状部が開口した側を向いた面との間の連接部に丸みが形成されている第1の中間加工品をつくる第1工程と、
    第1中間加工品の平坦部を、半筒状部が開口した側に移動させるように変形させて、第1中間加工品に比べて半筒状部の屈曲深さが大きくなるとともに平坦部の幅が小さくなった第2の中間加工品をつくる第2工程と、
    第2中間加工品の両平坦部における半筒状部側の部分を、半筒状部の両側壁に対して鋭角をなすとともに、両平坦部の外側部分と鈍角をなすように曲げることにより、半筒状部、半筒状部の両側壁に連なった傾斜平坦部部、および両傾斜平坦部の先端縁に連なり、かつ同一平面上に位置するとともに第2中間加工品の平坦部よりも幅狭となった幅狭平坦部を有する第3の中間加工品をつくる第3工程と、
    第3中間加工品の幅狭平坦部の先端縁部を拘束した状態で、両傾斜平坦部を半筒状部の側壁側に向かって半筒状部の底部から離れる方向に押圧することにより、傾斜部平坦部と半筒状部の側壁との連接部に材料を集めて第4の中間加工品をつくる第4工程と、
    第4中間加工品の半筒状部の側壁の開口側部分、傾斜平坦部および幅狭平坦部を上下から加圧することにより、最終形状の金属部品と同一深さの半筒状部と、半筒状部の両側壁に連なりかつ最終形状の金属部品と形状および寸法が同一である平坦部とを有するとともに、半筒状部の両側壁の開口端部に半筒状部の内方に突出したばりが形成された第5の中間加工品をつくる第5工程と、
    第5中間加工品のばりを除去することにより、パイプの外周面の半部に密着する半筒状部と、半筒状部の両側縁に一体に形成されるとともに同一平面上に位置する平坦部とを有しており、かつ半筒状部の内周面と平坦部における半筒状部が開口した側を向いた面との間の連接部にエッジ部を形成する第6工程とを含むパイプ接続部品の製造方法。
  2. 第4工程における両傾斜平坦部に対する押圧方向が、両幅狭平坦部が位置する平面に対して5〜20度傾斜している請求項1記載のパイプ接続部品の製造方法。
  3. 頂壁、底壁および周壁からなり、かつ内部を流体が流れるケーシング本体と、ケーシング本体に設けられ、かつケーシング本体の内部に通じる基部および基部の先端に連なった筒状のパイプ接続部からなる流体通過部とを備えており、ケーシング本体の頂壁、ケーシング本体の周壁の上半部、流体通過部の基部の上半部、および流体通過部のパイプ接続部の上半部を形成する上構成部材と、ケーシング本体の底壁、ケーシング本体の周壁の下半部、流体通過部の基部の下半部および流体通過部のパイプ接続部の下半部を形成する下構成部材とからなるケーシングに用いられる上下両構成部材を製造する方法であって、
    最終形状の上構成部材に対応する形状を有する2つの金型を用いて金属素板にプレス加工を施すことによって、ケーシング本体の頂壁を形成する頂壁形成部と、ケーシング本体の周壁の上半部を形成する周壁形成部と、流体通過部の基部の上半部を形成する基部形成部と、流体通過部のパイプ接続部の上半部を形成する半筒状の接続部形成部と、接続部形成部の両側縁に一体に形成されるとともに同一平面上に位置する平坦部とを有しており、かつ接続部形成部の内周面と平坦部における接続部形成部が開口した側を向いた面との間の連接部に丸みが形成されている上構成部材用の第1の中間加工品をつくる第1工程と、
    最終形状の下構成部材に対応する形状を有する2つの金型を用いて金属素板にプレス加工を施すことによって、ケーシング本体の底壁を形成する底壁形成部と、ケーシング本体の周壁の下半部を形成する周壁形成部と、流体通過部の基部の下半部を形成する基部形成部と、流体通過部のパイプ接続部の下半部を形成する半筒状の接続部形成部と、接続部形成部の両側縁に一体に形成されるとともに同一平面上に位置する平坦部とを有しており、かつ接続部形成部の内周面と平坦部における接続部形成部が開口した側を向いた面との間の連接部に丸みが形成されている下構成部材用の第1の中間加工品をつくる第2工程と、
    両第1中間加工品の平坦部を、接続部形成部が開口した側に移動させるように変形させて、両第1中間加工品に比べて接続部形成部の屈曲深さが大きくなるとともに平坦部の幅が小さくなった上構成部材用および下構成部材用の第2の中間加工品をつくる第2工程と、
    両第2中間加工品の両平坦部における接続部形成部側の部分を、接続部形成部の両側壁に対して鋭角をなすとともに、両平坦部の外側部分と鈍角をなすように曲げることにより、接続部形成部、接続部形成部の両側壁に連なった傾斜平坦部、および両傾斜平坦部の先端縁に連なり、かつ同一平面上に位置するとともに第2中間加工品の平坦部よりも幅狭となった幅狭平坦部を有する上構成部材用および下構成部材用の第3の中間加工品をつくる第3工程と、
    両第3中間加工品の幅狭平坦部の先端縁部を拘束した状態で、両傾斜平坦部を接続部形成部の側壁側に向かって接続部形成部の底部から離れる方向に押圧することにより、傾斜部平坦部と接続部形成部の側壁との連接部に材料を集めて上構成部材用および下構成部材用の第4の中間加工品をつくる第4工程と、
    両第4中間加工品の接続部形成部の側壁の開口側部分、傾斜平坦部および幅狭平坦部を上下から加圧することにより、最終形状の上下両構成部材と同一深さの接続部形成部と、接続部形成部の両側壁に連なりかつ最終形状の上下両構成部材と形状および寸法が同一である平坦部とを有するとともに、接続部形成部の両側壁の開口端部に接続部形成部の内方に突出したばりが形成された上構成部材用および下構成部材用の第5の中間加工品をつくる第5工程と、
    両第5中間加工品のばりを除去することにより、パイプの外周面の半部に密着する接続部形成部と、接続部形成部の両側縁に一体に形成されるとともに同一平面上に位置する平坦部とを有しており、かつ接続部形成部の内周面と平坦部における接続部形成部が開口した側を向いた面との間の連接部にエッジ部を形成する第6工程とを含むケーシング構成部材の製造方法。
  4. 第4工程における両傾斜平坦部に対する押圧方向が、両幅狭平坦部が位置する平面に対して5〜20度傾斜している請求項3記載のケーシング構成部材の製造方法。
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