JP5032631B2 - ホウフッ化リチウムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ホウフッ化リチウムの製造方法に関するものである。
製造量が増大しているリチウム電池において、ホウフッ化リチウムは、電解質として用いられている有用な化合物である。特許文献1には、フッ化リチウムを分散させた有機溶媒に三フッ化ホウ素を作用させる非水溶液法、炭酸リチウムと三フッ化ホウ素を高温で作用させる気相法、及び、ホウ酸にフッ化水素水溶液と炭酸リチウムを作用させる水溶液法が、ホウフッ化リチウムの製造方法として記載されている。
特開昭58−190820号公報
上記の通り、様々なホウフッ化リチウムの製造方法が知られているところである。しかしながら、リチウム電池の製造量増大に伴ってホウフッ化リチウムの増産が望まれ、新規なホウフッ化リチウムの製造方法の提供が望まれる。
本発明は、上記事情に鑑み、新規なホウフッ化リチウムの製造方法の提供を目的とする。
本発明に係るホウフッ化リチウムの製造方法は、フッ化水素である無機酸I、フッ素原子及びホウ素原子を構成原子として有さない無機酸から選択された無機酸II、並びにホウ素源化合物が混合された酸性の水溶液にリチウム源化合物を添加するリチウム源添加工程と、リチウム源添加工程後の前記水溶液をホウフッ化リチウムの分解温度以下の温度で加熱し、無機酸I及び無機酸IIを蒸発させる酸蒸発工程と、酸蒸発工程後にホウフッ化リチウムを回収する回収工程と、を備えることを特徴とする。
前記ホウ素源化合物は、例えば、ホウフッ化水素酸及び/又はその塩である。
前記リチウム源添加工程における水溶液において、硫酸が前記無機酸IIとして混合されても良い。硫酸の沸点(290℃程度)はホウフッ化リチウムの分解温度(200℃程度)を超えるものの、本発明に係る製造方法の酸蒸発工程ではその分解温度以下の温度に設定されるから、ホウフッ化リチウムを収率良く製造でき、その純度も向上する。
本発明に係るホウフッ化リチウムの製造方法は、陰イオン交換膜を透過した無機酸I(フッ化水素)、無機酸II及びホウ素源化合物が混合された酸性の水溶液を、前記リチウム源添加工程で使用する水溶液として得る透析工程を備えることが好ましい。本工程によって、リチウム源添加工程で用いられる水溶液における金属及び/又はそのイオンが低減されるから、ホウフッ化リチウムの純度を高めることが可能となる。
前記リチウム源添加工程における水溶液が、ガラス表面のエッチングに用いられたエッチング液に含まれていた無機酸I(フッ化水素)、無機酸II及びホウ素源化合物が混合されたものであっても良い。このようなエッチング液由来の無機酸I等をホウフッ化リチウムの製造原料として有効利用すれば、環境への配慮が可能となる。
前記酸蒸発工程における水溶液を、当該水溶液に析出物が生じてからは150℃以下で加熱すると良い。このような加熱であれば、ホウフッ化リチウムが高純度化する。
前記回収工程において、ホウフッ化リチウムに低級アルコールを加えた後、固液分離手段により固体部を除去すると良い。このような固体部の除去を行えば、ホウフッ化リチウムの純度を高めることができる。
前記回収工程の後、ホウフッ化リチウムをフッ素系不活性液体と混合し、この混合後の不活性液体を蒸発させる含水率低下工程を備えることが好ましい。この含水率低下工程を設けることで、ホウフッ化リチウムをより低含水率にできる。
所定の水溶液にリチウム源化合物を添加し、ホウフッ化リチウムの分解温度以下の温度で加熱して無機酸を蒸発させる本発明によれば、ホウフッ化リチウムを製造することができる。
本発明の実施形態に係る透析工程の一例としての拡散透析を説明するための図である。
本発明を、本実施形態に基づき以下に説明する。本実施形態に係るホウフッ化リチウムの製造方法は、陰イオン交換膜を透過した所定の化合物が混合された酸性水溶液を得るための透析工程と、透析工程で得られた酸性水溶液にリチウム源化合物を添加するリチウム源添加工程と、リチウム源化合物添加後の酸性水溶液を加熱する酸蒸発工程と、ホウフッ化リチウムを回収する回収工程と、ホウフッ化リチウムの含水率を低下させる含水率低下工程と、を備える。各工程を以下に説明する。
(透析工程)
透析工程では、無機酸I(フッ化水素)、フッ素原子及びホウ素原子を構成原子として有さない無機酸から選択された無機酸II、並びにホウ素源化合物が混合された酸性の透析対象液を陰イオン交換膜を使用した公知の透析方法により透析し、陰イオン交換膜を透過したフッ化水素、無機酸II及びホウ素源化合物が混合された酸性水溶液を回収する。なお、本工程を設けなくてもホウフッ化リチウムを製造可能であるが、本工程を設けることで金属及び/又はそのイオンが低減され、その結果として、高純度のホウフッ化リチウムの製造が可能となる。また、本透析工程での処理を行うことで、後の酸蒸発工程で蒸発させるフッ化水素及び無機酸IIの総量を低減できる。
透析対象液は、上記の通り、フッ化水素、無機酸II及びホウ素源化合物が混合されたものである。無機酸IIとしては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸及びリン酸が挙げられる。また、ホウ素源化合物としては、例えば、ホウフッ化水素酸、ホウフッ化水素酸の塩(ホウフッ化ナトリウム、ホウフッ化カリウム等)が挙げられる。
ガラス表面のエッチングに用いられたエッチング液を、透析対象液とすることができる。この透析対象液は、フッ化水素、無機酸IIから選択された一種又は二種以上、及びホウ素源化合物から選択された一種又は二種以上が混合された酸性水溶液である。
表面エッチング対象となるガラスは、SiOを主成分とするガラスであれば特に限定されない。そのガラスとしては、例えば、ホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラスが挙げられる。また、ガラス組成の例を挙げれば、SiOが50〜65重量%、Alが16〜18重量%、Bが7〜10重量%である。なお、ガラス成分にBが含まれている場合、この成分部がエッチングされたものがホウ素源化合物の一種となる。
表面エッチングに用いられるエッチング液は、フッ化水素を1〜45質量%混合した水溶液であると良い。このエッチング液には、フッ化アンモニウム、フッ化カリウム及びフッ化ナトリウム等から選択された一種又は二種以上のフッ化物塩を混合しても良い。また、エッチング液には、硫酸、塩酸、硝酸及びリン酸等の無機酸IIから選択された一種又は二種以上が混合される。エッチング液には、スルホン酸塩系界面活性剤等の陰イオン系界面活性剤、及びアミン系界面活性剤等の両性界面活性剤から選択された一種又は二種以上の界面活性剤を更に混合しても良い。
ガラス表面のエッチングは、ガラスをエッチング液に浸漬、ガラス表面へのエッチング液の噴射等、エッチング液をガラス表面に接触させることによって行う。このときのエッチング液の温度は、例えば、10〜50℃である。
本工程において採用できる透析方法は、例えば、陰イオン交換膜を設けた透析槽を使用する拡散透析、陽極及び陰極の間に陰イオン交換膜及び陽イオン交換膜を交互に設けた透析槽を使用する電気透析が挙げられる。
透析における化合物の駆動力に濃度差を使用する点で経済的な拡散透析について、更に説明する。図1は、透析工程における拡散透析の一例を説明するための図である。図に示す通り、透析槽DTの内部は、4級アンモニウム等の正電荷を帯びた官能基で表面修飾された陰イオン交換膜(例えば、AGCエンジニアリング社製「セレミオン」)により、透析対象液が導入される透析室1と、水が導入される回収室2とで区画されている。透析対象液は、透析槽DTの下方から透析室1に導入され、透析槽DTの上方に向けて透析液として放出されるようになっている。他方の水は、透析槽DTの上方から回収室2に導入され、透析槽DTの下方に向けて回収液として放出されるようになっており、透析槽DT内の透析対象液と水は、向流関係となっている。
透析室1内のフッ化水素及び無機酸IIに由来する陰イオンの濃度は回収室2内の陰イオン濃度よりも高いため、透析室1側から回収室2側に無機酸HAが拡散移動する。他方で、無機酸の金属塩MAは、陰イオン交換膜AMを透過し難いために、大部分が透析室1に残ることになる。このようにして、金属及び/又はそのイオンが低減された回収液が得られる。なお、透析対象液と水の向流関係によれば、透析対象液の下流であるほど同液の陰イオン濃度は低くなり、水の下流であるほど同水の陰イオン濃度が高くなることから、透析対象液が透析槽DTに導入されてから透析液として放出されるまで、安定した拡散透析が可能となる。
ガラス表面エッチングに使用したエッチング液を透析した一結果を、以下に示す。アルミノホウケイ酸ガラスを、フッ化水素10質量%、塩酸6質量%及び硫酸12質量%を水に混合したエッチング液でエッチングし、エッチング後のそのエッチング液を拡散透析することで、概ね3容量部の透析液と2容量部の回収液を得た。透析液と回収液に含まれているフッ化水素、塩酸、硫酸、ケイフッ化水素酸及びホウフッ化水素酸の濃度を分析した結果を、下記表1に示す。
Figure 0005032631
表1の結果は、以下(1)〜(2)を確認できるものである。(1)酸蒸発工程において蒸発させることが不可能なケイ素を、透析工程において除去できること(成分比率におけるケイフッ化水素酸は、回収液のものが透析前のものに比して大幅に低減。)、(2)酸蒸発工程において蒸発させることが困難な硫酸を、透析工程において除去できること(成分比率における硫酸は、回収液のものが透析前のものに比して大幅に低減。)。つまり、前記(1)は、ホウフッ化リチウム純度の向上を示すものであり、前記(2)は、ホウフッ化リチウムの純度向上と、酸蒸発工程において使用される熱量及びエネルギー量が低減可能であることを示すものである。
(リチウム源添加工程)
リチウム源添加工程では、フッ化水素、無機酸II及びホウ素源化合物が混合された酸性の水溶液にリチウム源化合物を添加する。本実施形態のリチウム源添加工程では、上記の透析工程で得られた回収液にリチウム源化合物を添加する。なお、本発明に係るホウフッ化リチウムの製造方法は、リチウム源添加工程、酸蒸発工程、及び回収工程を備えるものであり、本発明に係るホウフッ化リチウムの製造方法におけるリチウム源添加工程で使用する酸性水溶液は、フッ化水素、無機酸II及びホウ素源化合物が混合されたものであれば特に限定されず、例えば、フッ化水素、無機酸II及びホウ素源化合物から選択された一種又は二種以上を適宜鍍金処理後の液に混合したものであっても良い。
リチウム源化合物としては、酸性水溶液においてリチウムイオンを放出するものであれば特に限定されず、例えば、水酸化リチウム;窒化リチウム;フッ化リチウム、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、炭酸リチウム等の無機酸のリチウム塩;クエン酸リチウム、オロト酸リチウム等の有機酸のリチウム塩;が挙げられる。リチウム源化合物の添加量は、ホウフッ化リチウムを構成するホウ素原子とリチウム原子が1mol:1molの関係にあることから、例えば、酸性水溶液中におけるホウ素原子1molに対してリチウム原子が0.5〜2molとなる量である。
リチウム源化合物を添加した後、酸性水溶液中に固形分が存在する場合には、酸蒸発工程前に固液分離することが好ましい。また、陰イオン系界面活性剤、両性界面活性剤等の界面活性剤が酸性水溶液に含まれている場合には、活性炭フィルターによって界面活性剤を除去可能である。
(酸蒸発工程)
酸蒸発工程では、リチウム源添加工程後の酸性水溶液を加熱し、酸性水溶液中のフッ化水素及び無機酸IIを蒸発させる。なお、蒸発させたフッ化水素及び無機酸IIについては、回収した後に、ガラス表面エッチングのために使用するエッチング液原料等として再使用することも可能である。
酸性水溶液の加熱温度は、ホウフッ化リチウムの分解を抑制し且つホウフッ化リチウムを収率良く得るために、ホウフッ化リチウムの分解温度(概ね200℃)以下に設定される。この加熱温度は、酸性水溶液を加熱するための熱源の温度であり、その温度は、例えば大気圧下においては100〜200℃である。酸性水溶液を減圧下に置けば、加熱温度をより低い温度に設定できる。酸性水溶液の加熱は、当該溶液に含まれているフッ化水素及び無機酸IIが蒸発するまで行われると良い。
ホウフッ化リチウムの分解温度以上の沸点を有する無機酸II(例えば、硫酸)が混合された酸性水溶液を本工程での加熱対象とする場合、本実施形態に係るホウフッ化リチウムの製造方法は透析工程を備えているので、本工程の酸性水溶液におけるホウフッ化リチウムの分解温度以上の無機酸IIの濃度は低い。すなわち、高沸点の硫酸等の無機酸IIの除去を、ホウフッ化リチウムの分解温度以上の加熱を行わずとも容易に行うことが可能となるから、加熱のために要するエネルギー及び加熱コストを低減できる。
酸蒸発工程において好適な加熱としては、加熱温度を150℃超、好ましくは160℃以上、より好ましくは170℃以上、更に好ましくは180℃以上に設定することである。また、加熱によって酸性水溶液に析出物が生じてからは、ホウフッ化リチウムの分解をできる限り避けるためにも100℃に近い温度に下げて加熱することがホウフッ化リチウムの純度向上の観点から望ましく、加熱温度を150℃以下、好ましくは130℃以下、より好ましくは110℃以下、最適には100℃に設定することである。このように酸性水溶液に析出物が生じてからの温度を、前記の通りとすることで、ホウフッ化リチウムの純度を高めることができる。
なお、本酸蒸発工程では、上記の通り、フッ化水素及び無機酸IIの蒸発を熱源の温度設定により実行させるが、酸性水溶液中にホウフッ化リチウムの析出物が生じてからは、酸性水溶液自体の温度を管理し、かつ、加熱温度である熱源温度と酸性水溶液温度とを同調させることが好ましい。
(回収工程)
回収工程では、酸蒸発工程を経た後の上記水溶液からホウフッ化リチウムを回収する方法(回収方法A)、又は酸蒸発工程で得られた固体からホウフッ化リチウムを回収する方法(回収方法B)を選択する。
回収方法A:
回収方法Aを採用する場合、濃縮及び冷却等の公知の析出手段を適宜に組み合わせてホウフッ化リチウムを十分に析出させ(例えば、濃縮した後に冷却してホウフッ化リチウムを析出させ)、これを固液分離する手段を採用すると良い。
そして、固液分離して得られたホウフッ化リチウムを乾燥する必要が有る場合、熱乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥等の公知の乾燥手段を採用できる。ホウフッ化リチウムの水分量を低減できる好適な乾燥手段としては、ホウフッ化リチウムを低級アルコールに溶解して得られた溶液から、水をアルコールと共に蒸発させる手段が挙げられる。なお、必要に応じて、水とアルコールを蒸発させる前に、公知の固液分離手段により、フッ化リチウム等の不純物を含む固体部をホウフッ化リチウムの低級アルコール溶液から除去すると良い。この除去により、低級アルコールに対してホウフッ化リチウムよりも溶解度の低いフッ化リチウム等の不純物が除去されることになるから、ホウフッ化リチウムの純度を高めることができる。
ホウフッ化リチウムを溶解させる低級アルコールとしては、ホウフッ化リチウムの溶解力に優れ、かつ比較的低温で蒸発させることができる炭素数1〜4の一価アルコールが好ましい。メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールが、炭素数1〜4の一価アルコールとして挙げられる。
水と低級アルコールの蒸発は、ホウフッ化リチウムの分解温度以下の温度(例えば160℃以下)で行なわれる。また、この蒸発を減圧条件で行うことが、効率的な蒸発の観点から好ましい。
回収方法B:
酸蒸発工程で得られた固体から水を蒸発させたものをホウフッ化リチウムとして回収しても良いが、本回収方法Bでは、酸蒸発工程で得られた固体を低級アルコールに溶解し、水をアルコールと共に蒸発させる。回収方法Bで用いられる低級アルコール、及び水と低級アルコールの蒸発条件は、回収方法Aと同じである。また、回収方法Aと同じく回収方法Bにおいても、必要に応じて、水とアルコールを蒸発させる前に、フッ化リチウム等の不純物を含む固体部をホウフッ化リチウムの低級アルコール溶液から除去すると良い。この除去により、ホウフッ化リチウムの純度を高めることができる。
(含水率低下工程)
回収工程でもホウフッ化リチウムが得られることから、含水率低下工程は、任意工程となる。含水率低下工程では、フッ素系不活性液体を回収工程で得たホウフッ化リチウムと混合し、そのフッ素系不活性液体を蒸発させることを実行することにより、ホウフッ化リチウムの含水率を低下させる。
使用するフッ素系不活性液体としては、その蒸発と共に水を蒸発させることができるとの観点からは水の沸点より低いものでも良く、沸点が100℃以下のものであっても良い。他方で、使用するフッ素系不活性液体の沸点が高すぎると含水率低下工程に要する時間が長くなることと、加熱温度を高くする程、ホウフッ化リチウムの分解が懸念されることから、フッ素系不活性液体は、その沸点が200℃以下のものが良く、150℃以下のものが好ましく、130℃以下のものがより好ましく、110℃以下のものが更に好ましい。フッ素系不活性液体の具体例としては、住友スリーエム社製フッ素系不活性液体「フロリナーFC−3283(沸点128℃)」、同社製フッ素系液体「ノベック7300(沸点98℃)」が挙げられ、その他のフッ素系不活性液体は、特開平6−23209号公報に開示されている。
フッ素系不活性液体を蒸発させるときの加熱温度は、使用したフッ素系不活性液体の沸点に応じて設定することになるが、ホウフッ化リチウムの分解温度を考慮すると、150℃以下が良く、130℃以下が好ましく、110℃以下がより好ましい。
上記フッ素系不活性液体の蒸発により、水も蒸発することになる。両蒸発物を回収すると、水はフッ素系不活性液体と二層に分離することから、フッ素系不活性液体を回収し、この回収したフッ素系不活性液体を、ホウフッ化リチウムに再度加えることも可能である。
含水率低下工程での処理は、ホウフッ化リチウムの含水率を200ppm以下となるまで行うと良く、100ppm以下となるまで行うことが好ましい。
以下、本発明を実施例をもとに具体的に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下における「ppm」単位、「%」単位は、いずれも質量基準である。
実施例1
フッ化水素、塩酸及び硫酸が混合された水溶液をエッチング液として使用し、アルミノホウケイ酸ガラスの表面をエッチングした。このエッチングに使用した後のエッチング液(フッ化水素濃度11000ppm、塩酸濃度45000ppm、硫酸濃度90000ppm、ケイフッ化水素酸濃度210000ppm、ホウフッ化水素酸濃度30000ppm)を酸性水溶液とし、以下の透析工程、リチウム源添加工程、酸蒸発工程、及び回収工程による処理にて、ホウフッ化リチウムを製造した。
(透析工程)
陰イオン交換膜を挟んで酸性水溶液と水が向流関係となる拡散透析装置(AGCエンジニアリング社製拡散透析装置「T−0」、陰イオン交換膜「ASO」)により、酸性水溶液を処理した。この処理においては、温度25℃、水の流量350ml/hr.、酸性水溶液の流量346ml/hr.の条件とした。
この処理後の酸性水溶液におけるフッ化水素等の濃度を、下記表2に示す。表2の濃度分析においては、バリアンテクノロジーズジャパン社製ICP発光分光分析装置「710−ES」、及び東ソー社製カラム「TSKgel IC−Anion−PWXL PEEK」を内蔵した同社製イオンクロマトグラフ「IC−2001」を使用した。
Figure 0005032631
(リチウム源添加工程)
陰イオン交換膜を透過したフッ化水素等が混合された常温の酸性水溶液(上記表2における回収液)100cmに対して、リチウム源化合物として水酸化リチウム一水和物を0.522g添加し、1時間撹拌した。
(酸蒸発工程、回収工程)
リチウム源添加工程後の酸性水溶液を、マントルヒーターの温度を180℃に設定して加熱し、フッ化水素、塩酸、及び硫酸を蒸発させた。蒸発が確認されなくなるまで加熱を行い、ホウフッ化リチウム白色固形物を得た。この固形物の質量は、0.761gであった。ホウフッ化リチウムの収率は、59.4%であった。収率は、下記式に基づいて算出したものである。
収率=固形物の質量/理論値×10
理論値=ホウ素原子濃度×回収液量(L)/1000×1/ホウ素の原子量×ホウフッ化リチウムの式量
ホウ素原子濃度:IPC発光分析装置による分析値(mg/L)
ホウ素の原子量:10.81
ホウフッ化リチウムの式量:93.75
実施例2
(リチウム源添加工程)
実施例1と同様の透析工程を経て得られた回収液(表2に示すものと同じ)13.4Lに対し、同回収液のホウ素原子のモル量と等モル量の水酸化リチウム一水和物を添加し、1時間攪拌した。
(酸蒸発工程)
リチウム源添加工程後の酸性水溶液を、マントルヒーターの温度を190℃に設定して加熱し、フッ化水素、塩酸、及び硫酸を蒸発させた。酸性水溶液中に析出物が目視確認された後は、マントルヒーターの温度を100℃に変更して酸性水溶液からの蒸発を継続させた。蒸発が確認されなくなった後、得たホウフッ化リチウムの白色固形物は158gであった。
上記得られたホウフッ化リチウムの白色固形物158gにメタノール250mlを加え、ろ過分離により固体部を除去し、液体部を得た。この液体部を、120℃に設定したマントルヒーターで加熱し、その液体部に析出物が目視確認されてからは、マントルヒーターの温度を100℃に設定して加熱し、蒸発させた。その蒸発の結果物として、ホウフッ化リチウムの白色固形物116gを得た。
本蒸発工程での、メタノールを加える前のホウフッ化リチウム白色固形物、メタノールを加えた後に蒸発させて得られたホウフッ化リチウム白色固形物について、収率、純度、含水率を分析した(含水率については、アルコールを加える前のものは分析しなかった。)。ここで、収率は、実施例1と同様にして算出した。純度については、VARIAN社製ICP発光分析装置「VARIAN 710−ES」を使用したAl、B、Ca、Fe、K、Li、Mg、Na、Srの分析結果と、東ソー社製イオンクロマトグラフ「ION CHROMATOGRAPH IC−2001」を使用したF、Cl、SO 2−の分析結果に基づいて算出した。含水率は、三菱アナリック社製水分測定装置「CA−200」を使用して分析した。
下表3に、上記純度算出のために用いたICP発光分析装置による分析結果及びイオンクロマトグラフ分析結果(いずれも、蒸発工程後の分析サンプル100mgに対する結果)を示し、表4に、表3の結果に基づいた濃度を示す。
Figure 0005032631
Figure 0005032631
ホウフッ化リチウムについて、上記収率、純度、含水率の結果を下記表5に示す。表5に示す通り、低級アルコール(メタノール)を加えて蒸発させた後の方が、ホウフッ化リチウムの純度が高いことを確認できる。下記表5におけるホウフッ化リチウムの純度は、次式により算出したものである。
ホウフッ化リチウムの純度=100−(表4におけるK、Na、及びFの総濃度)
Figure 0005032631
実施例3
(含水率低下工程)
実施例2の酸蒸発工程後のホウフッ化リチウム白色固形物2gに、50mlの住友スリーエム社製フッ素系不活性液体「フロリナートFC−3283」を加え、150℃に設定したマントルヒーターで加熱し、同フッ素系不活性液体を蒸発させた。蒸発した液体部については、フッ素系不活性液体のみを回収して再度ホウフッ化リチウムに加えた。150℃の総加熱時間を2時間(当該加熱時間中は、析出物は確認されなかった。)とし、更に、フッ素系不活性液体の蒸発を確認できなくなるまで150℃で加熱した。加熱後には、ホウフッ化リチウムの白色固形物が得られた。
上記本工程で得られたホウフッ化リチウムの含水率を、実施例2と同様にして分析した結果、88ppmであった。
DT 透析槽
AM 陰イオン交換膜

Claims (8)

  1. フッ化水素である無機酸I、フッ素原子及びホウ素原子を構成原子として有さない無機酸から選択された無機酸II、並びにホウ素源化合物が混合された酸性の水溶液にリチウム源化合物を添加するリチウム源添加工程と、
    リチウム源添加工程後の前記水溶液をホウフッ化リチウムの分解温度以下の温度で加熱し、無機酸I及び無機酸IIを蒸発させる酸蒸発工程と、
    酸蒸発工程後にホウフッ化リチウムを回収する回収工程と、
    を備えることを特徴とするホウフッ化リチウムの製造方法。
  2. 前記ホウ素源化合物が、ホウフッ化水素酸及び/又はその塩である請求項1に記載のホウフッ化リチウムの製造方法。
  3. 前記リチウム源添加工程における水溶液において、硫酸が前記無機酸IIとして混合された請求項1又は2に記載のホウフッ化リチウムの製造方法。
  4. 陰イオン交換膜を透過した無機酸I、無機酸II及びホウ素源化合物が混合された酸性の水溶液を、前記リチウム源添加工程で使用する水溶液として得る透析工程を備える請求項1〜3のいずれか1項に記載のホウフッ化リチウムの製造方法。
  5. 前記リチウム源添加工程における水溶液が、ガラス表面のエッチングに用いられたエッチング液に含まれていた無機酸I、無機酸II及びホウ素源化合物が混合されたものである請求項1〜4のいずれか1項に記載のホウフッ化リチウムの製造方法。
  6. 前記酸蒸発工程における水溶液を、当該水溶液に析出物が生じてからは150℃以下で加熱する請求項1〜5のいずれか1項に記載のホウフッ化リチウムの製造方法。
  7. 前記回収工程において、ホウフッ化リチウムに低級アルコールを加えた後、固液分離手段により固体部を除去する請求項1〜6のいずれか1項に記載のホウフッ化リチウムの製造方法。
  8. 前記回収工程の後、ホウフッ化リチウムをフッ素系不活性液体と混合し、この混合後の不活性液体を蒸発させる含水率低下工程を備える請求項1〜7のいずれか1項に記載のホウフッ化リチウムの製造方法。
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