JP5032369B2 - ねじ装置用交換式シール装置及びねじ装置の潤滑剤塗布方法 - Google Patents

ねじ装置用交換式シール装置及びねじ装置の潤滑剤塗布方法 Download PDF

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Description

本発明は、ナットの端部に装着されてナットとねじ軸との間のすきまをシールする交換式シール装置、及びねじ装置に適正量の潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布方法に関する。
ボールねじは、ねじ軸のねじ溝とナットのねじ溝とを同一位置に合わせ、これらのねじ溝間にボールを入れ、ボールが循環できるようにナットに戻し通路を設けたものである。ローラねじは、転動体としてボールの替わりにローラを用いたものである。ボールねじ、ローラねじ(ねじ装置)は、摩擦が小さく効率が良いので、工作機械、産業用ロボット、一般産業機械、精密機械、半導体・液晶製造装置、自動車のステアリング等の分野で多用されている。
ナットの軸線方向の端部には、シール装置が取り付けられることがある(例えば特許文献1参照)。シール装置は、ナットの軸線方向の両端部に設けられ、ナットとねじ軸との間のすきまをシールする。このシール装置は、ナットの内部に塵芥やクーラント等の異物が浸入するのを防止するという役割と、ナットの内部の潤滑剤が外部に漏れるのを防止するという役割を持つ。
また、ねじ装置を使用する際には、良好な潤滑、すなわち、ボール、ローラ等の転動体とねじ軸やナットの転動体転走溝との間に潤滑剤の膜を作り、金属と金属が直接接触するのを防ぐ必要がある。無給油のままで使用すると、転動体及び転動体転走溝の摩耗が増加し、早期寿命の原因となるからである。
ねじ装置に潤滑剤を供給する際には、まず、グリースガンやポンプを用いて潤滑剤をナットに設けた給油口に規定量封入する。潤滑剤は給油口から潤滑経路を経てナットの転動体循環経路に到達する。ナットに潤滑剤を封入した状態で、ナットをねじ軸に対して往復運動させると、ナットに封入されたグリースが転動体を介して、ナットの転動体転走溝及びねじ軸の転動体転走溝に塗布される。これによって、転動体と転動体転走溝との間に潤滑剤の膜を形成することができる。グリースガンやポンプを用いた潤滑剤の供給は、潤滑剤の膜が途切れないように定期的に行われる。
実公平5−43310号公報
しかし、ナットとねじ軸との間のすきまをシールするシール装置においては、シール部材の内周縁がねじ軸に接触する。長期間の使用によってシール部材の内周縁が摩耗すると、ねじ軸との接触を保てなくなくなるので、シール部材を交換する必要がある。しかし、従来のシール装置の交換作業は困難を伴うものであった。
そこで本発明は、ねじ軸に接触するシール部材の交換を容易にすることができる交換式シール装置を提供することを目的とする。
また、従来のグリースガンやポンプを用いた潤滑剤の供給方法にあっては、ナットに潤滑剤を規定量封入したとしても、ナットやねじ軸の転動体転走溝に供給する潤滑剤の量を調整するのが困難であり、ナットやねじ軸の転動体転走溝に過剰な潤滑剤が付着する傾向にある。過剰な潤滑剤が付着した状態でねじ軸を高速回転させると、遠心力によってねじ軸に付着した潤滑剤が飛散してしまうおそれがある。例えば、半導体製造装置にねじ装置が組み込まれたとき、飛散した潤滑剤がウェハに付着するおそれがあるし、食品製造装置にねじ装置が組み込まれたとき、飛散した潤滑剤が食品に付着するおそれがある。ねじ装置の試運転時に、ねじ軸を回転させながらタオル等で何回もねじ軸を拭くことで、ねじ軸に付着した過剰な潤滑剤を除去すると共に、高速回転させても飛散しない程度の適度な潤滑剤をねじ軸に残すことができる。しかし、この潤滑剤除去作業は人手による作業なので、たとえば1日程度の時間と労力が必要になる。
そこで本発明の他の目的は、ねじ軸やナットに付着した過剰な潤滑剤を除去する作業を容易にすることができるねじ装置の潤滑剤塗布方法を提供することにある。
以下、本発明について説明する。
上記課題を解決するために請求項1に記載の発明は、ナットの軸線方向の端部に設けられ、ねじ軸が貫通する貫通孔を有する連結部材と、ねじ軸の断面形状に対応した孔を有すると共に、内周縁から外周縁までに至る割れ目を有するシール部材と、複数のセグメントケースからなり、蝶番によって複数のセグメントケースが開いたり閉じたりするケース部材と、を備え、前記複数のセグメントケースを閉じて、前記複数のセグメントケースで前記連結部材を挟むことによって、前記シール部材が収納された前記ケース部材が前記連結部材に取り付けられる一方、前記複数のセグメントケースを開くことによって、前記ケース部材が前記連結部材から取り外されるねじ装置用交換式シール装置である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のねじ装置用交換式シール装置において、前記ケース部材を前記連結部材に取り付けたとき、前記シール部材の外周縁が前記ケース部材の周壁に囲まれると共に、前記シール部材が前記連結部材と前記ケース部材の端面壁との間に軸線方向に挟まれることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のねじ装置用交換式シール装置において、前記連結部材の外周面には、凸部又は凹部の一方が形成され、前記セグメントケースの内周面には、前記凸部又は前記凹部に係合する前記凸部又は前記凹部の他方が形成されることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載のねじ装置用交換式シール装置において、前記連結部材は、内周縁から外周縁まで至る割れ目によって複数に分割されると共に、ナットの軸線方向の端部に固定手段によって着脱可能に取り付けられることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、ねじ軸に付着した潤滑剤を拭き取り、又はかき取るためのシール装置を、ナットの軸線方向の端部に取り付けるシール装置取付け工程と、前記シール装置が取り付けられた前記ナットを、前記ねじ軸に対して相対的に往復運動させて、前記ねじ軸に付着した過剰な潤滑剤を前記ナットのストロークの端部の前記ねじ軸に集めると共に、前記ナットがストロークする部分のねじ軸に適正な量の潤滑剤を残すねじ軸過剰潤滑剤除去工程と、を備えるねじ装置の潤滑剤塗布方法において、前記シール装置として、請求項1ないし4のいずれかに記載のねじ装置用交換式シール装置を用いることを特徴とする
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のねじ装置の潤滑剤塗布方法のシール装置取付け工程において、前記シール装置はナットの軸線方向の一方の端部にのみ取り付けられることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項5又は6に記載のねじ装置の潤滑剤塗布方法において、前記シール装置取付け工程の前に、ナットに潤滑剤を封入する潤滑剤封入工程と、前記ナットを前記ねじ軸に対して相対的に往復運動させて、前記ナットに封入された過剰な潤滑剤を前記ねじ軸に排出するナット内過剰潤滑剤排出工程と、を備えることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項5ないし7のいずれかに記載のねじ装置の潤滑剤塗布方法において、前記ねじ軸過剰潤滑剤除去工程の後に、前記シール装置の、少なくともねじ軸に接触する部分を前記ナットから取り外すシール装置取り外し工程を備えることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、複数のセグメントケースを開いたり、閉じたりするだけで、シール部材を交換することができるので、シール部材の交換作業が容易になる。シール部材を交換する際に、ナットに端部に設けられる連結部材を基準として、ケース部材及びシール部材の位置決めをすることができるので、シール部材の位置決めも容易になる。
請求項2に記載の発明によれば、ケース部材がシール部材の半径方向への僅かな変位を許容するので、シール部材を交換した後でもシール部材の内周縁の周方向の全体を万遍なくねじ軸に接触させることができ、シール部材とねじ軸との当たりの調整が容易になる。
請求項3に記載の発明によれば、凹部と凸部との係合によって、連結部材からケース部材が軸線方向に抜けるのを防止することができる。
請求項4に記載の発明によれば、ねじ軸にナットを組み付けた状態でナットに連結部材を着脱することができる。
請求項5に記載の発明によれば、ねじ軸の端部(ストロークエンド)に集められた潤滑剤のみを除去すればいいので、ねじ軸に付着した過剰な潤滑剤を除去する作業が容易になる。また、ねじ装置が機械に取り付けられた状態であってもシール装置の交換が可能になる。そのため、定期的な潤滑剤の給油(たとえばグリースの給脂)毎にねじ装置を機械から取り外す必要がなく、容易に過剰な潤滑剤を除去できる。
請求項6に記載の発明によれば、ナットの軸線方向の一方の端部にのみシール装置を取り付けることで、ナットの軸線方向の他方の端部からナット内の過剰な潤滑剤を排出することが可能になる。これに対し、ナットの軸線方向の両端部にシール装置を取り付ける場合、ナットに付着した過剰な潤滑剤が排出されずに、ナット内に溜まってしまう。
請求項7に記載の発明によれば、ナットにシール装置を取り付ける前にナットに封入された潤滑剤をねじ軸に過剰に塗布するので、ねじ軸にナットのストロークの全長に渡って万遍なく潤滑剤をなじませることができる。
請求項8に記載の発明によれば、ねじ軸とシール装置との間に働く摩擦力によってねじ軸を回転するトルクが大きくなり、シール装置を介してナットが発熱するのを防止できる。
図1は本発明の一実施形態の交換式シール装置が取り付けられるねじ装置を示す。ねじ装置自体は、従来から知られているボールねじである。ボールねじは、外周面に転動体転走溝である螺旋状のボール転走溝1aが形成されたねじ軸1と、ねじ軸1に組み付けられるナット2と、を備える。ナット2の内周面には、ねじ軸1のボール転走溝1aに対向する負荷転動体転走溝として螺旋状の負荷ボール転走溝2a(図2参照)が形成される。ねじ軸1のボール転走溝1aとナット2の負荷ボール転走溝2aとの間には、転動体として複数のボール3(図2,3参照)が配列される。
ナット2の軸線方向の端部には、ナット2をテーブル等に取り付けるためのフランジ4が一体に形成される。ナット2の軸線方向の両端面には、ボール3を循環させるための一対の蓋部材5が取り付けられる。すなわちナット2は、フランジ4を有すると共に内周面に負荷ボール転走溝2aが形成されるナット本体6と、ナット本体6の端面に取付けられる蓋部材5とから構成される。蓋部材5は、ねじ7等の固定手段によってナット本体6の端面に結合される。
ねじ軸1の外周には、所定のリードを有する螺旋状のボール転走溝1aが形成される。ボール転走溝1aの条数は一条、二条、三条等様々に設定される。
図2及び図3は、蓋部材5の循環経路の詳細図を示す。図2はナット2の軸線方向から見た循環経路を示し、図3はナット2の側面方向からみた循環経路を示す。図3に示されるように、ナット本体6には、ナット本体6の軸線方向に伸びる貫通孔6aが形成される。貫通孔6aには循環経路の直線通路を構成するパイプ8が挿入される。蓋部材5には、ナット本体6の負荷ボール転走溝2aとパイプ8の直線通路を接続する方向転換路9が形成される。
ナット2に対してねじ軸1を相対的に回転させると、これらの間に介在されるボール3が、ねじ軸1のボール転走溝1aとナット2の負荷ボール転走溝2aとの間の螺旋状の負荷ボール転走路を転がる。負荷ボール転走路の一端まで転がったボール3は、方向転換路9内に掬い上げられる。方向転換路9内に掬い上げられたボールは、パイプ8の直線通路及び反対側の蓋部材5の方向転換路9を経由した後、再び負荷ボール転走路の他端に戻される。
図4は、本発明の一実施形態の交換式シール装置11の分解斜視図を示す。シール装置11は、ナット2の軸線方向の端部に取り付けられる連結部材12と、ねじ軸1に接触するシール部材13と、シール部材13が収納されるケース部材14と、を備える。
連結部材12は、ナット2の蓋部材5にねじ等の固定手段によって着脱可能に取り付けられる。連結部材12は、ねじ軸1が貫通する貫通孔を有するリング状に形成される。貫通孔の径はねじ軸1の径よりも大きく、連結部材12の内周縁はねじ軸1に接触することがない。連結部材12は、その内周縁から外周縁までに至る半径方向に伸びる割れ目12aによって、二分割される。連結部材12には、シール部材13側に突出し、シール部材13の外径と等しい外径のリング状の突出部12bが形成される。リング状の突出部12bの外周面には、周方向に伸びる凸部12cが形成される。
シール部材13は、ねじ軸1の断面形状(ねじ軸1の軸線に直交する断面形状)に合わせた孔16aを有する複数枚の薄板状のシール板16を重ね合わせてなる。シール板16の外周縁は、真円形状に形成される。シール板16の孔16aの形状は、ねじ軸1の軸直交断面の形状に合致した異形の円形状に形成される。ねじ軸1のボール転走溝1aに接触できるように、シール板16の内周縁にはねじ軸1に向かって突出する転走溝接触部16bが形成される。同形状の複数枚のシール板16は、軸線方向に複数枚重ね合わされる。複数枚のシール板16それぞれは、ねじ軸1のリードに合わせて周方向に少しずつ位相をずらせて重ね合わされる。これにより、複数枚のシール板16それぞれの内周縁は、その全領域がねじ軸1の外周部に接触する。シール板16とねじ軸1との間のすきまは、ゼロ、またはわずかなしめしろがあるように(シール板16の内周縁がねじ軸1の外径よりもわずかに小さく)設定される。
複数枚のシール板16の転走溝接触部16bもねじ軸1のリードの方向に位相がずれている。複数枚のシール板16を重ね合わせたとしても、複数枚のシール板16のそれぞれの転走溝接触部16bが露出するので、転走溝接触部16bで効率よくボール転走溝1aの潤滑剤を拭き取り、又はかき取ることができる。
複数枚のシール板16のそれぞれには、内周縁から外周縁にまで至る割れ目16cが形成される。シール板16は薄板であるので、割れ目16cを大きく開くことができる。このため、ねじ軸1にナット2を組み付けた状態で、シール板16の割れ目16cを開き、ねじ軸1の側方からシール板16を着脱することができる。シール性が悪くならないように複数枚のシール板16それぞれの割れ目16cの位置は周方向にずれている。
シール部材13には、連続する気泡を有する発泡ポリウレタン、連続する気泡を有する焼結樹脂、羊毛フェルト等の繊維交絡体であって、潤滑剤を含漬させたもの等を用いることができる。このほか、ゴムや合成樹脂に潤滑剤を混合した後、ゴムや合成樹脂を所定の形状に成形したものを用いてもよい。シール板16の枚数は二枚以上である。多ければ多いほどシール性が向上するが、摩擦係数が大きくなる。
ケース部材14は、蝶番17によって連結された一対のセグメントケース18からなる。ケース部材14は、シール部材13の外周縁を囲む周壁14aと、周壁14aから内側に向かって突出し、シール部材13の端面に対向する端面壁14bと、を有する。ケース部材14を閉じた状態において、周壁14aの内径はシール部材13の外径と等しく、端面壁14bの内径は連結部材12の突出部12bの内径と等しい。周壁14aの内周面には、周方向に伸びる凹部14cが形成される。
一対のセグメントケース18それぞれの周方向の端部には、ヒンジ軸17aが挿入される筒部が形成される。一対のセグメントケース18それぞれは、ヒンジ軸17aを支点として回転し、開いたり閉じたりする。一方のセグメントケース18の接合部には、止めねじ19が挿入される通し孔20が開けられ、他方のセグメントケース18の接合部には、止めねじ19が螺合する雌ねじ21が加工される。
シール装置11は以下のように組み立てられる。まず、連結部材12をナット2の蓋部材5に固定する。ナット本体6に対する蓋部材5の半径方向の位置がずれてしまうと、ボール3の循環が円滑にいかなくなる。連結部材12の蓋部材5への取り付けは、ナット本体6に対して蓋部材5が半径方向に位置ずれしないように慎重に行われる。また、蓋部材5に対する連結部材12の半径方向の位置がずれてしまうと、シール部材13とねじ軸1の接触に悪影響を及ぼす。このため、連結部材12の蓋部材5への取り付けは、蓋部材5に対して連結部材12が半径方向に位置ずれしないように慎重に行われる。
次に、割れ目16cを開いて複数枚のシール板16をねじ軸1に組み付け、重ね合わせた複数枚のシール板16を回しながら連結部材12側に寄せる。
次に、一対のセグメントケース18を閉じ、一対のセグメントケース18内にシール部材13を収納する。このとき、一対のセグメントケース18が連結部材12の突出部12bを挟み込み、ケース部材14の凹部14cが連結部材12の凸部12cに係合し、ケース部材14が連結部材12から軸線方向に抜けるのが防止される。
最後に、止めねじ19を通し孔20に通し、雌ねじ21に締め付けることで、ケース部材14の連結部材12への取り付けが完了する。
ケース部材14を連結部材12に取り付けた状態において、シール部材13の外周縁はケース部材14の周壁14aに囲まれ、また、シール部材13は連結部材12とケース部材14の端面壁14bとの間に軸線方向に挟まれる。シール部材13はケース部材14にねじ等で固定されておらず、その替わりに、シール部材13の外周縁がケース部材14の周壁14aに当接することで、シール部材13が半径方向に位置決めされる。ケース部材14がシール部材13の半径方向への僅かな変位を許容するので、シール部材13を交換した後でもシール部材13の内周縁の周方向の全体を万遍なくねじ軸1に接触させることができる。
シール装置11をナット2から取り外すときは、上記とは逆に、まず止めねじ19を緩めてケース部材14を開く。これにより、ケース部材14が連結部材12から取り外される。次に、シール板16の割れ目16cを開いてシール板16をねじ軸1から取り外す。最後に連結部材12のねじを緩めて、蓋部材5から連結部材12を取り外す。連結部材12は割れ目12aによって二分割されているので、ねじ軸1にナット2を組み付けたままねじ軸1の側方に連結部材12を取り外すことができる。
図5及び図6は、交換式シール装置11の他の例を示す。この例では、シール部材として、重ね合わされた複数枚の薄板状のシール板16の替わりに、二分割された厚肉の樹脂製のシールリング24を用いている。連結部材12、ケース部材14の構造は第一の実施形態のシール装置11と同一なので、同一の符号を附してその説明を省略する。
図7に示されるように、シールリング24はその厚み方向の全体がねじ軸1に接触するのではなく、厚み方向の一方の端部のみがねじ軸1に接触する。このため、ねじ軸1の軸線方向の一方に移動するときの除去性能が、他方に移動するときの除去性能よりも高くなる。シールリング24とねじ軸1との密着性を高めるために、シールリング24にばねを巻いてもよいし、シールリング24のかき取り性能を向上させるために、シールリング24の内周面に軸線方向に伸びる複数のスリットを形成してもよい。
図8は、ケース部材14のさらに他の例を示す。上記実施形態のケース部材14においては、止めねじ19を用いてケース部材14を閉じている。ボールねじがテーブルに取り付けられる場合、止めねじ19を用いた作業は困難を伴う。このため、この例のケース部材14においては、ケース部材14を閉じる作業をより容易にするために、一対のセグメントケース18間にねじりコイルばね25を架渡し、ねじりコイルばね25のばね力によって一対のセグメントケース18が自然に閉じるようにしている。
図9は、上記の交換式シール装置11を用いた潤滑剤塗布方法(エージング方法)の工程図を示す。まず、ナット2をストロークの端部に移動させ、グリース等の潤滑剤22を供給口からナット2内に規定量封入する(工程(1))。
次に、ねじ軸1を回転させ、ナット2をねじ軸1に対して必要な回数往復運動させ、ナット2内に封入された潤滑剤22をねじ軸1になじませる。これにより、ナット2内の過剰な潤滑剤22がねじ軸1に排出される(工程(2))。
ナット2内の潤滑剤をねじ軸1になじませた後、ナット2の軸線方向の一方の端部にのみシール装置11を取り付ける(工程(3))。この状態で、ナット2をねじ軸1に対して往復運動させると、シール装置11によってねじ軸1外周及びボール転走溝1aの過剰な潤滑剤22が拭き取られ、又はかき取られ、ナット2のストロークの端部に集められる。ナット2がストロークする部分では、過剰な潤滑剤22が拭き取られ、又はかき取られているので、適正な量の潤滑剤が残る。ナット2のストロークの端部に集められた過剰な潤滑剤22は、除去装置によって自動的に除去されるか、又はタオル等で拭き取られる。
この工程(3)において、シール装置11はナット2の片側にのみ取り付けられる。ナット2の軸線方向の両端部にシール装置11を取り付けると、ナット2に付着した過剰な潤滑剤22が排出されずに、ナット2内に溜まってしまうからである。
最後にシール装置11をナット2から取り外す(工程(4))。この状態では、ナット2及びねじ軸1の双方に適正の量の潤滑剤が塗布されている。シール装置11を取り外すことによって、ねじ軸1とシール装置11との間に働く摩擦力によってねじ軸1を回転するトルクが大きくなったり、シール装置11が発熱したりするのを防止できる。
ここで、ボールねじの購入者がボールねじをテーブル等に組み付けた後に上記工程(1)〜(4)の全てを行ってもよいし、ボールねじの販売者が上記工程(1)〜(2)を行い、ボールねじの購入者がボールねじをテーブル等に組み付けた後に上記工程(3)〜(4)を行ってもよい。後者の場合、ボールねじの販売者がシール装置11の連結部材12をあらかじめナット2に取り付けておくのが望ましい。購入者がシール部材13のねじ軸への当たりを調整するのは困難だからである。
図10は、工程(3)におけるナット2の往復運動時間とねじ軸1上のグリース残存量との関係を示すグラフである。ナット2を往復運動させると、ねじ軸1の表面に付着する潤滑剤の残存量(%)は、指数関数的に減少し、その後、一定の値X%に近付く。グリース残存量がねじ軸1を高速回転させても飛び散らない量以下になるまでの時間が、最適エージング時間である。ねじ軸1のグリースの残存量は、最適エージング時間や収束値X%を考慮して定められる。
ナットの軸線方向の端部に一枚のシール板が収容されるシール装置を取り付け、グリースの除去性能を確認した。シール板には三種類のサンプル((1)しめしろ0,(2)しめしろ0.1mm,(3)しめしろ0.2mm)を用意した。
そして、図11に示されるように、三種類のサンプル毎に、ナット2にグリースを封入し(工程(1))、ナット2を往復運動させてナット2内のグリースをねじ軸1になじませ(工程(2))、ナット2の片側にのみシール装置28を取り付け(工程(3))、ナット2を往復運動させた(工程(4))。
その結果、ナット2を一往復させただけで、ねじ軸1のボール転走溝1aに付着するグリースを除去することができた。しめしろの違いはグリースの除去にあまり影響を及ぼさなかった。図12は、ナット2を往復運動させたときに発生するトルクを示す。しめしろが大きくなるにしたがって、トルクも大きくなることがわかった。しめしろをゼロに近付けると、シールが無い場合とほぼ同じトルクになった。
なお、本発明は上記実施形態に限られることはなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々変更可能である。本実施形態のシール装置は、潤滑剤塗布方法(エージング方法)に用いられるのに限られない。ナットの内部に塵芥やクーラント等の異物が浸入するのを防止する目的で、ナットの軸線方向の両端部に設けられてもよい。
シール装置の連結部材はナットの蓋部材と別体でなく、一体であってもよい。蓋部材と一体にすると、連結部材と蓋部材との位置決めが不要になる。
ボールねじの循環方式は、ナット本体の両端部に蓋部材を設けたエンドキャップ方式に限られず、リターンパイプ方式やデフレクタ方式であってもよい。
ナットに少量の潤滑剤を長期に渡ってねじ軸に塗布し続ける潤滑剤供給装置を取り付けてもよい。潤滑剤供給装置は、グリースガンやポンプを用いた潤滑剤供給の補助に用いられる。潤滑剤供給装置を取り付けると、グリースガンやポンプを用いた潤滑剤の供給のインターバルを長くできる。
転動体には、ボールの他にローラを用いることもできる。
交換式シール装置が取り付けられるねじ装置の斜視図 ねじ装置の循環経路を示す図(ナットの軸線方向から見た循環経路の正面図) ねじ装置の循環経路を示す図(ナットの側方から見た循環経路の側面図) 本発明の一実施形態の交換式シール装置の分解斜視図 交換式シール装置の他の例を示す分解斜視図 交換式シール装置の他の例を示す斜視図 他の例の交換式シール装置のシールリングとねじ軸との接触状態を示す模式図 ケース部材の他の例を示す斜視図 本発明の一実施形態の潤滑剤塗布方法(エージング方法)の工程図 ナットの走行時間とねじ軸のグリース残存量との関係を示すグラフ 実施例の潤滑剤塗布方法(エージング方法)の工程図 ナットの走行距離と発生するトルクの関係を示すグラフ
符号の説明
1a…ボール転走溝(転動体転走溝)
1…ねじ軸
2…ナット
2a…負荷ボール転走溝(負荷転動体転走溝)
3…ボール(転動体)
5…蓋部材
11…交換式シール装置
12…連結部材
12a…割れ目
12b…突出部
12c…凸部
13…シール部材
14…ケース部材
14a…周壁
14b…端面壁
14c…凹部
16…シール板
16a…孔
16c…割れ目
17…蝶番
18…セグメントケース
22…潤滑剤
24…シールリング(シール部材)

Claims (8)

  1. ナットの軸線方向の端部に設けられ、ねじ軸が貫通する貫通孔を有する連結部材と、
    ねじ軸の断面形状に対応した孔を有すると共に、内周縁から外周縁までに至る割れ目を有するシール部材と、
    複数のセグメントケースからなり、蝶番によって複数のセグメントケースが開いたり閉じたりするケース部材と、を備え、
    前記複数のセグメントケースを閉じて、前記複数のセグメントケースで前記連結部材を挟むことによって、前記シール部材が収納された前記ケース部材が前記連結部材に取り付けられる一方、
    前記複数のセグメントケースを開くことによって、前記ケース部材が前記連結部材から取り外されるねじ装置用交換式シール装置。
  2. 前記ケース部材を前記連結部材に取り付けたとき、
    前記シール部材の外周縁が前記ケース部材の周壁に囲まれると共に、前記シール部材が前記連結部材と前記ケース部材の端面壁との間に軸線方向に挟まれることを特徴とする請求項1に記載のねじ装置用交換式シール装置。
  3. 前記連結部材の外周面には、凸部又は凹部の一方が形成され、
    前記セグメントケースの内周面には、前記凸部又は前記凹部に係合する前記凸部又は前記凹部の他方が形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のねじ装置用交換式シール装置。
  4. 前記連結部材は、内周縁から外周縁まで至る割れ目によって複数に分割されると共に、ナットの軸線方向の端部に固定手段によって着脱可能に取り付けられることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のねじ装置用交換式シール装置。
  5. ねじ軸に付着した潤滑剤を拭き取り、又はかき取るためのシール装置を、ナットの軸線方向の端部に取り付けるシール装置取付け工程と、
    前記シール装置が取り付けられた前記ナットを、前記ねじ軸に対して相対的に往復運動させて、前記ねじ軸に付着した過剰な潤滑剤を前記ナットのストロークの端部の前記ねじ軸に集めると共に、前記ナットがストロークする部分のねじ軸に適正な量の潤滑剤を残すねじ軸過剰潤滑剤除去工程と、を備えるねじ装置の潤滑剤塗布方法において、
    前記シール装置として、請求項1ないし4のいずれかに記載のねじ装置用交換式シール装置を用いることを特徴とするねじ装置の潤滑剤塗布方法。
  6. 前記シール装置取付け工程において、前記シール装置はナットの軸線方向の一方の端部にのみ取り付けられることを特徴とする請求項5に記載のねじ装置の潤滑剤塗布方法。
  7. 前記シール装置取付け工程の前に、
    ナットに潤滑剤を封入する潤滑剤封入工程と、
    前記ナットを前記ねじ軸に対して相対的に往復運動させて、前記ナットに封入された過剰な潤滑剤を前記ねじ軸に排出するナット内過剰潤滑剤排出工程と、を備えることを特徴とする請求項5又は6に記載のねじ装置の潤滑剤塗布方法。
  8. 前記ねじ軸過剰潤滑剤除去工程の後に、
    前記シール装置の、少なくともねじ軸に接触する部分を前記ナットから取り外すシール装置取り外し工程を備えることを特徴とする請求項5ないし7のいずれかに記載のねじ装置の潤滑剤塗布方法。
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