JP5031308B2 - 液体吐出装置の検査方法、製造方法およびインクジェット印刷装置 - Google Patents

液体吐出装置の検査方法、製造方法およびインクジェット印刷装置 Download PDF

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Description

本発明は、液体吐出装置の検査方法および製造方法と、前記検査方法を実施する機能を有するインクジェット印刷装置に関するものである。
液体が充填される圧力室を、基板の片面に、面方向に複数個、配列させて形成し、かつ、前記基板の反対面に、各圧力室ごとに対応させて、液体を、液滴として吐出させるためのノズルを形成すると共に、それぞれの圧力室とノズルとを、個別に、液体が充填される連通路で繋ぎ、さらに、基板の、圧力室を形成した片面側に、圧電素子を含む圧電アクチュエータを配設した液体吐出装置が、インクジェットプリンタやインクジェットプロッタ等の、インクジェット記録方式を利用したインクジェット印刷装置において、圧電インクジェットヘッドとして、広く用いられている。
前記液体吐出装置においては、圧力室と連通路に液体を充填した状態で、圧電素子に、駆動信号として、例えば、所定の周期で電圧の印加と停止とが繰り返される駆動電圧パルスを印加して、圧電アクチュエータを、電圧の印加によって厚み方向に撓み変形された状態と、印加の停止によって前記撓み変形が解除された状態とが繰り返されるように振動させて、圧力室の容積を増減させると、それに伴って生じる圧力変化によって、前記圧力室内の液体が振動し、前記振動が、連通路内の液体を通してノズルに伝えられて、前記ノズル内に形成される液体のメニスカスが振動し、この振動に伴って、メニスカスを形成する液体の一部が、液滴として分離されて、ノズルから吐出される。
そして、圧電インクジェットヘッドの場合は、ノズルから吐出された液滴(インク滴)が、前記ノズルと対向させて配設した紙面まで飛翔し、紙面に到達して、前記紙面に、ドットが形成され、前記ドットの、色、密度、および大きさ等の分布に基づいて、前記紙面に画像が印刷される。
前記各部を備えた液体吐出装置は、例えば、順に積層することで、圧力室や連通路、ノズル等となる通孔を有する複数種の板材を、前記順に、位置合わせしながら、接着剤によって接着する等して積層して一体化することで、基板を形成すると共に、前記基板の、圧力室を形成した側の面に、圧電アクチュエータを、位置合わせしながら、接着剤によって接着する等して積層して一体化することで、製造するのが一般的である。
ところが、前記各板材間や、基板と圧電アクチュエータとの間で接着不良が生じた場合には、先に説明した駆動電圧パルスを印加して圧電アクチュエータを振動させた際に、前記振動によって、圧力室内に充填された液体に加えられる圧力変化が、接着不良部分での液漏れによって吸収される、いわゆる圧力漏れが生じて、ノズル内の液体のメニスカスを、十分に振動させることができないという問題を生じる。液体吐出装置の使用中に、前記液体吐出装置が熱履歴を受けて、各部の熱膨張係数の差等に伴って、接着部分に剥離等が生じた場合も同様である。
また、液体吐出装置の使用中に、圧力室内や連通路内に気泡が混入すると、前記気泡が、圧電アクチュエータの振動によって生じる圧力変化を吸収する、いわゆるエアトラップとして機能するため、前記圧力漏れの場合と同様に、ノズル内の液体のメニスカスを、十分に振動させることができないという問題を生じる。
そして、これらの問題を生じた場合には、ノズルから吐出される液滴の吐出速度が不足したり、液滴が全く吐出されなかったりするため、圧電インクジェットヘッドの場合は、紙面の所定の位置にドットが形成されない、いわゆるドット抜けの不良を生じて、紙面に印刷される画像の画質が低下するという問題がある。
そのため、製造直後の液体吐出装置の、個々の圧力室と、それに連通する連通路について、圧力漏れが生じているか否かを検査したり、使用中の液体吐出装置の、前記個々の圧力室および連通路について、エアトラップを生じているか否かを検査したりするための、新たな検査方法についての開発が求められている。
特許文献1には、製造直後の液体吐出装置の圧電アクチュエータの、インピーダンスの周波数特性を、前記圧電アクチュエータの、個々の圧力室に対応して設定され、駆動電圧パルスの印加によって振動する領域(「圧電変形領域」とする)ごとに測定して、インピーダンスが極大となる周波数である反共振周波数Faと、インピーダンスが極小となる周波数である共振周波数Frとの差Fa−Frから、基板と圧電アクチュエータとの接着状態を検査することが記載されている。
また、特許文献2には、使用中の液体吐出装置の圧電アクチュエータの、個々の圧電変形領域に、ノズルからインク滴を吐出させない計測信号を印加して、前記圧電変形領域を自励発振させた際に、その発振波形、詳しくは発振周波数の、正常時からのずれの有無を求めて、インクの変質状態、すなわち、インクのゲル化や粘度上昇等を検査することが記載されている。
特開2005−225028号公報(請求項1、段落[0007]〜[0008]、段落[0058]、図10) 特開2005−319706号公報(請求項1、段落[0009]〜[0010]、段落[0015]〜[0016]、段落[0032]、図3)
特許文献1に記載された検査方法によれば、基板と圧電アクチュエータとの接着状態を検査することができるので、前記検査方法によって、両者の界面で接着不良が発生しているのを発見した場合には、前記接着不良が原因となって、前記界面で、圧力漏れが発生しているのではないかと推測することはできる。
しかし、前記検査方法では、本当に圧力漏れが発生しているか否かを、直接的に知ることはできない。また、基板と圧電アクチュエータとが接着不良を生じることなく、良好に接着されている場合には、特許文献1の検査方法では、基板を形成する板材間で、接着不良による圧力漏れが発生していても、それを発見することはできない。また、エアトラップを発見することもできない。
また、特許文献2に記載された検査方法では、自励発振、すなわち、圧電素子を含むノズルヘッド(液体吐出装置)の構造およびインクにより生じる全体的なシステム共振の発振周波数のずれから、前記液体吐出装置の構造に異状がないと仮定して、先に説明したように、インクの変質状態を検出している。そのため、インクが変質しない状態で、発振周波数にずれが生じているかどうかを調べることができれば、液体吐出装置の構造に異状があるか否かを検査できるのではないかと考えられる。
しかし、特許文献2で言うところの自励発振は、前記規定から解釈すると、液体吐出装置の、液体供給のための供給路と圧力室との間に設けられて、前記圧力室内の圧力変化が、供給路に伝わるのを防止するための絞り部から、圧力室、連通路を経由してノズルに至る各部内の液体の、体積速度の固有振動周期にほぼ一致すると考えられ、その場合、特に、平板状の圧電素子を含む平板状に形成され、前記圧電素子が、平板の面方向に伸縮することで、前記面方向と交差方向に撓み変形するように振動する、いわゆる横振動モードの圧電素子である圧電アクチュエータを備えた液体吐出装置においては、前記圧電アクチュエータの剛性が低く、コンプライアンスが大きいため、体積速度の固有振動に対する応答が不明瞭であり、構造に異状があっても、それを、特許文献2の検査方法で発見するのは困難である。
本発明の目的は、基板と圧電アクチュエータとの間や、基板を形成する板材の間での、接着不良による圧力漏れの発生の有無、あるいは圧力室内や連通路内でのエアトラップの発生の有無を、直接的かつ容易に検査することができる、液体吐出装置の検査方法を提供することにある。本発明の、他の目的は、圧力漏れのない、良好な液体吐出装置を製造することができる製造方法を提供することにある。本発明の、さらに他の目的は、エアトラップの発生の有無を自動的に検査すると共に、エアトラップが発生した場合には、それを自動的に解消する機能を有するため、エアトラップの発生に伴うドット抜けの不良のない、画質の良好な画像を、連続して印刷することができるインクジェット印刷装置を提供することにある。
発明者の検討によると、液体吐出装置の圧力室、および連通路に液体を充填した状態で、圧電アクチュエータに、圧力室と連通路内の液体に短周期振動を発生させることができる、式(I):
Figure 0005031308
〔式中、Maは前記圧電アクチュエータのイナータンス、Mcは前記圧力室のイナータンス、Mdは前記連通路のイナータンス、Caは前記圧電アクチュエータのコンプライアンス、Cdは前記連通路のコンプライアンスを示す。〕
で表される周期Tsの周波数を含む周波数帯域に亘る検査信号を印加して、前記検査信号の、周波数−電流値特性曲線を求めた結果から、基板と圧電アクチュエータとの間や、基板を形成する板材の間での、接着不良による圧力漏れの発生の有無、あるいは圧力室内や連通路内でのエアトラップの発生の有無を、直接的かつ容易に検査することが可能である。
すなわち、前記圧力室、または連通路に、先に説明した圧力漏れやエアトラップの異状が発生していない場合には、前記特性曲線のうち、前記式(I)で表される周期Tsの周波数位置に、共振に伴う電流値のピークを観察することができる。ところが、前記異状が発生している場合には、前記所定の周波数位置にピークが見られなかったり、ピークの周波数位置がずれたりする。
また、前記所定の周波数位置より低周波数側では、前記異状が発生していない場合には、特性曲線に、急激な変化は見られないが、異状が発生している場合には、不規則な電流の立ち上がりによるイレギュラーなピークが見られる場合もある。そのため、これらピークの発生状態を観察することで、圧力漏れやエアトラップの発生の有無を、直接的、かつ容易に検査することができる。
したがって、請求項1に記載の発明は、
(a) 液体が充填される圧力室、
(b) 液体を、液滴として吐出させるためのノズル、
(c) 前記圧力室と前記ノズルとを繋ぎ、液体が充填される連通路、および
(d) 平板状の圧電素子を含み、前記圧電素子の撓み変形によって振動して前記圧力室の容積を増減させることで、前記圧力室内の液体を振動させて、前記ノズルから液滴を吐出させるための圧電アクチュエータ、
を備えた液体吐出装置の検査方法であって、前記圧力室、および前記連通路に、液体を充填した状態で、前記圧電アクチュエータに、前記圧力室と前記連通路内の液体に短周期振動を発生させることができる、式(I):
Figure 0005031308
〔式中、Maは前記圧電アクチュエータのイナータンス、Mcは前記圧力室のイナータンス、Mdは前記連通路のイナータンス、Caは前記圧電アクチュエータのコンプライアンス、Cdは前記連通路のコンプライアンスを示す。〕
で表される周期Tsの周波数を含む周波数帯域に亘る検査信号を印加した際の、前記検査信号の、周波数−電流値特性曲線を求め、前記特性曲線中に、前記短周期振動に対応した電流値のピークが生じるか否か、およびピークが生じた場合は、その周波数位置を確認することで、前記圧力室と前記連通路における異状の有無を検査することを特徴とする液体吐出装置の検査方法である。
請求項に記載の発明は、
(a) 液体が充填される圧力室、
(b) 液体を、液滴として吐出させるためのノズル、
(c) 前記圧力室と前記ノズルとを繋ぎ、液体が充填される連通路、および
(d) 平板状の圧電素子を含み、前記圧電素子の撓み変形によって振動して前記圧力室の容積を増減させることで、前記圧力室内の液体を振動させて、前記ノズルから液滴を吐出させるための圧電アクチュエータ、
を備えた液体吐出装置を作製する工程と、
作製した前記液体吐出装置の、前記圧力室、および前記連通路に、液体を充填した状態で、前記圧電アクチュエータに、前記圧力室と前記連通路内の液体に短周期振動を発生させることができる、式(I):
Figure 0005031308
〔式中、Maは前記圧電アクチュエータのイナータンス、Mcは前記圧力室のイナータンス、Mdは前記連通路のイナータンス、Caは前記圧電アクチュエータのコンプライアンス、Cdは前記連通路のコンプライアンスを示す。〕
で表される周期Tsの周波数を含む周波数帯域に亘る検査信号を印加した際の、前記検査信号の、周波数−電流値特性曲線を求め、前記特性曲線中に、前記短周期振動に対応した電流値のピークが生じるか否か、およびピークが生じた場合は、その周波数位置を確認することで、前記圧力室と前記連通路における異状の有無を検査する工程と、
を含むことを特徴とする液体吐出装置の製造方法である。
請求項に記載の発明によれば、先に説明した本発明の検査方法によって、圧力漏れやエアトラップの発生の有無を、直接的、かつ容易に検査しながら、液体吐出装置を製造することができるため、圧力漏れのない、良好な液体吐出装置を製造することが可能となる。
請求項に記載の発明は、
(A) インクが充填される圧力室、
(B) インクを、インク滴として吐出させるためのノズル、
(C) 前記圧力室と前記ノズルとを繋ぎ、インクが充填される連通路、
(D) 平板状の圧電素子を含み、前記圧電素子の撓み変形によって振動して前記圧力室の容積を増減させることで、前記圧力室内のインクを振動させて、前記ノズルからインク滴を吐出させるための圧電アクチュエータ、
(E) 前記圧電アクチュエータに、前記ノズルからインク滴を吐出させるための駆動信号を印加するための駆動回路、および
(F) 前記駆動回路を作動させるための制御ユニット、
を備えると共に、前記制御ユニットが、前記駆動回路を作動させて、前記圧電アクチュエータに、前記圧力室と前記連通路内のインクに短周期振動を発生させることができる、式(I):
Figure 0005031308
〔式中、Maは前記圧電アクチュエータのイナータンス、Mcは前記圧力室のイナータンス、Mdは前記連通路のイナータンス、Caは前記圧電アクチュエータのコンプライアンス、Cdは前記連通路のコンプライアンスを示す。〕
で表される周期Tsの周波数を含む周波数帯域に亘る検査信号を印加させるための検査信号発生部と、印加させた前記検査信号の、周波数ごとの電流値を測定するための電流測定部と、前記電流測定部による測定結果をもとに、前記圧力室と前記連通路における異状の有無を判定する判定部と、前記判定部での判定の結果に基づいて、前記圧電アクチュエータを作動させて、前記ノズルからインクを排出させる操作を行うメンテナンス制御部とを有することを特徴とするインクジェット印刷装置である。
請求項に記載の発明においては、制御ユニットに含まれる前記各部が、例えば、印刷開始時や、印刷途中の任意の時点等において作動して、先に説明した本発明の検査方法によって、エアトラップの発生の有無を自動的に検査すると共に、前記検査によって、エアトラップが発生していることが確認された場合には、メンテナンス制御部が、圧電アクチュエータを作動させて、ノズルからインクを強制的に排出させる操作を行うことで、前記エアトラップを自動的に解消する機能を有している。そのため、請求項に記載の発明のインクジェット印刷装置によれば、エアトラップの発生に伴うドット抜けの不良のない、画質の良好な画像を、連続して印刷することが可能となる。
また、請求項に記載したように、前記インクジェット印刷装置が、ノズルを清掃する清掃部材を備えると共に、メンテナンス制御部が、判定部での判定の結果に基づいて、前記清掃部材を作動させてノズルを清掃する操作を行わせる機能をも有する場合には、エアトラップの発生を、より一層、確実に解消することができる。
本発明によれば、基板と圧電アクチュエータとの間や、基板を形成する板材の間での、接着不良による圧力漏れの発生の有無、あるいは圧力室内や連通路内でのエアトラップの発生の有無を、直接的かつ容易に検査することができる、液体吐出装置の検査方法を提供することができる。また、本発明によれば、圧力漏れのない、良好な液体吐出装置を製造することができる製造方法を提供することができる。
さらに、本発明によれば、エアトラップの発生の有無を自動的に検査すると共に、エアトラップが発生した場合には、それを自動的に解消する機能を有するため、エアトラップの発生に伴うドット抜けの不良のない、画質の良好な画像を、連続して印刷することができるインクジェット印刷装置を提供することができる。
《液体吐出装置》
図1は、本発明の検査方法が実施される液体吐出装置1を、インクジェット印刷装置に組み込んだ例を示す断面図である。図2は、図1の例のインクジェット印刷装置のうち、液体吐出装置1の、1つの圧力室2の部分での、図1と直交する方向の断面を示す断面図である。図1および図2を参照して、この例の液体吐出装置1は、両図において上面に、インクが充填される圧力室2が、複数個、面方向に配列させて形成され、下面に、各圧力室2に対応させて、液滴を吐出させるためのノズル3が、複数個、形成されていると共に、各圧力室2とノズル3とが、それぞれ別個に、インクが充填される連通路4によって繋がれた基板5と、前記基板5の、圧力室を形成した上面に積層された、圧電アクチュエータ6とを備えている。
また、基板5内には、液体供給のための共通の供給路7が形成されていると共に、前記供給路7と各圧力室2とが、それぞれ、個々の圧力室2内の圧力変化が供給路7に伝わるのを防止するための絞り部8を介して接続されている。なお、図2において符号9は、絞り部8と圧力室2とを繋ぐ小室である。前記小室9は、本発明の検査方法を実施する際には、圧力室2の一部として機能する。
圧電アクチュエータ6は、複数の圧力室2を覆う大きさを有する薄板状に形成された圧電セラミック層10と、前記圧電セラミック層10の、両図において上面に、各圧力室2ごとに個別に形成された個別電極11と、圧電セラミック層10の下面に積層された、いずれも複数の圧力室2を覆う大きさを有する共通電極12と振動板13とを備えた、いわゆるユニモルフ型の構成を有している。
前記ユニモルフ型の圧電アクチュエータ6は、個々の圧力室2に対応して設定された複数の圧電変形領域14と、前記圧電変形領域14を囲んで配設され、基板5に固定されることで変形が規制された拘束領域15とに区画されている。各個別電極11と、共通電極12とは、それぞれ別個に、駆動回路16に接続されており、駆動回路16は、制御ユニット17に接続されている。
前記各部のうち、基板5は、例えば供給路7、絞り部8、小室9、圧力室2、連通路4、およびノズル3となる通孔が形成された複数種の板材を、順に位置合わせしながら、接着剤によって接着する等して積層して一体化することで、図の断面形状に形成される。各板材としては、それぞれ、金属やセラミック、樹脂等によって、厚みが一定な平板状に形成されていると共に、例えば、フォトリソグラフ法を利用したエッチング等によって、前記各部となる、所定の平面形状を有する通孔が、所定の位置に形成されたものを用いることができる。板材を金属で形成する場合、前記金属としては、Fe−Cr系合金、Fe−Ni系合金、WC−TiC系合金等が挙げられ、特にインク等の液体に対する耐食性と、加工性とを考慮するとFe−Cr系合金が好ましい。
圧電セラミック層10は、例えばジルコン酸チタン酸鉛(PZT)や、前記PZTにランタン、バリウム、ニオブ、亜鉛、ニッケル、マンガン等の酸化物の1種または2種以上を添加したPLZT等の、PZT系の圧電セラミックによって、薄板状に形成することができる。また、圧電セラミック層10は、マグネシウムニオブ酸鉛(PMN)、ニッケルニオブ酸鉛(PNN)、亜鉛ニオブ酸鉛、マンガンニオブ酸鉛、アンチモンスズ酸鉛、チタン酸鉛、チタン酸バリウム等を主成分とする圧電セラミックによって形成することもできる。さらに、ビスマス層状化合物、タングステンブロンズ構造物、ニオブ酸アルカリ、チタン酸バリウム等のペロブスカイト型化合物等の、いわゆる非鉛系の材料によって形成することもできる。
振動板13は、例えばモリブデン、タングステン、タンタル、チタン、白金、鉄、ニッケル等の金属や、前記金属の合金、あるいはステンレス鋼等によって、所定の厚みを有する板状に形成できる他、圧電セラミック層10と同じ圧電セラミックによって形成することもできる。また、振動板13を、金、銀、白金、銅、アルミニウム等の、導電性に優れた金属によって形成して、共通電極12を省略することもできる。
個別電極11、共通電極12は、それぞれ金、銀、白金、銅、アルミニウム等の、導電性に優れた金属からなる箔、めっき被膜、真空蒸着被膜等によって形成できる他、前記各金属の微粒子を含む導電ペーストを塗布し、乾燥させた後、さらに必要に応じて焼成して形成することもできる。
個別電極11をパターン形成するためには、例えば、めっき被膜や真空蒸着被膜の場合は、圧電セラミック層10の表面の、個別電極11を形成する領域のみを選択的に露出させ、それ以外の領域をめっきマスクで被覆した状態で、前記露出させた領域に、選択的に被膜を形成する方法や、圧電セラミック層10の表面の全面に被膜を成膜後、前記被膜の、個別電極11に対応する領域のみをエッチングマスクで被覆し、それ以外の領域を露出させた状態で、前記露出させた領域の被膜を、選択的にエッチングして除去する方法等が採用される。また、導電ペーストからなる塗膜の場合は、前記導電ペーストを、スクリーン印刷等の印刷方法によって、圧電セラミック層10の表面に、直接にパターン形成すればよい。
圧電セラミックからなる圧電セラミック層10や振動板13は、焼成によって、先に説明した圧電セラミックとなる化合物を含むグリーンシートを、所定の平面形状に形成後、焼成して形成することができる。特に、圧電セラミック層10と振動板13が、共に、圧電セラミックによって形成される場合は、それぞれの層のもとになるグリーンシートの間に、焼成によって、共通電極12となる導電性ペーストの層を挟んだ積層体を作製し、前記積層体を一度に焼成することで、圧電セラミック層10と、共通電極12と、振動板13とが積層された積層体を得ることができる。
前記積層体の、圧電セラミック層10の表面に、先に説明した方法で、個別電極11をパターン形成すれば、圧電アクチュエータ6が形成される。そして圧電アクチュエータ6を、基板5の、圧力室2を形成した側の面上に、位置合わせしながら、接着剤によって接着する等して積層することで、液体吐出装置1が構成される。接着剤としては、液体吐出装置1に要求される耐熱性や、インク等の液体に対する耐性等を考慮すると、熱硬化温度が100〜250℃であるエポキシ樹脂系、フェノール樹脂系、ポリフェニレンエーテル樹脂系等の、熱硬化性樹脂系の接着剤が好ましい。
薄板状の圧電セラミック層10を、横振動モードとするためには、圧電セラミックの分極方向を、前記圧電セラミック層10の厚み方向、例えば、個別電極11から共通電極12に向かう方向に配向させる。そのためには、例えば、高温分極法、室温分極法、交流電界重畳法、電界冷却法等の分極方法が採用される。
図1、2の例の液体吐出装置1を、圧電インクジェットヘッドとして、インクジェット印刷装置に組み込んで使用する際には、まず、供給路7から、絞り部8および小室9を介して、各圧力室2内、および連通路4内に、液体としてのインクを充填すると共に、ノズル3内に、インクの表面張力によってインクメニスカスが形成された状態とする。
図9は、前記状態とされた液体吐出装置1を、いわゆる引き打ち式の駆動方法によって駆動させる際に、
・ 制御ユニット17からの指令に基づいて、圧電アクチュエータ6の圧電変形領域14に、駆動回路16から、個別電極11と共通電極12とを介して、駆動信号として印加される駆動電圧パルスにおける、駆動電圧VPの推移(駆動電圧パルスの波形、太線の一点鎖線で示す)の一例と、
・ 前記駆動電圧パルスが印加されて、前記圧電変形領域14が振動した際に発生する、ノズル3内における、インクの体積速度の変化〔太線の実線で示す、(+)がノズル3の先端側、つまりインク滴の吐出側、(−)が圧力室2側〕と、
の関係を簡略化して示すグラフである。
図1、図2、および図9を参照して、まず、図9中のt1より左側の、ノズル3からインク滴を吐出させない待機時には、駆動電圧VPをVHに維持(VP=VH)し続けることによって、圧電変形領域14を、圧力室2の方向に突出するように撓み変形させて、前記圧力室2の容積を減少させた状態を維持させており、この間、インクは静止状態、すなわち、ノズル3におけるインクの体積速度は0を維持し、前記ノズル3のインクメニスカスは静止している。
ノズル3からインク滴を吐出させるには、まず、その直前のt1の時点で、圧電変形領域14に印加していた駆動電圧VPを放電(VP=0)することによって、圧電変形領域14の撓み変形を解除させる。そうすると、圧力室2の容積が一定量だけ増加するため、ノズル3内のインクメニスカスは、その容積の増加分だけ、前記圧力室2の方向に引き込まれる。その際の、ノズル3内でのインクの体積速度は、図9のt1とt2との間の部分に示すように、一旦、(−)側に大きくなった後、徐々に小さくなって、やがて0に近づく。これは、太線の実線で示す、インクの体積速度の固有振動周期T1の、ほぼ半周期分に相当する。
次に、ノズル3でのインクの体積速度が限りなく0に近づいたt2の時点で、駆動電圧VPを、再びVHまで充電(VP=VH)して、圧電変形領域14を、圧力室2の方向に突出するように、再び撓み変形させる。そうすると、ノズル3内のインクは、インクメニスカスが圧力室2の側に最も大きく引き込まれた状態(t2の時点の、体積速度が0の状態)から、逆に、ノズル3の先端方向へ戻ろうとしているところに、圧電変形領域14を撓み変形させて、圧力室2の容積を減少させることによって、前記圧力室2から押し出されたインクの圧力が加わることになるため、ノズル3の先端側の方向へ加速されて、前記ノズル3の外方へ大きく突出する。
その際の、ノズル3内でのインクの体積速度は、図9のt2とt3との間の部分に示すように、一旦、(+)側に大きくなった後、徐々に小さくなって、やがて0に近づく。ノズル3の外方へ突出したインクが略円柱状に見えることから、この突出状態のインクを、一般に、インク柱と称する。
次に、ノズル3の外方に突出したインクの体積速度が限りなく0に近づいた時点(図9のt3の時点)で、駆動電圧VPを、再び、放電(VP=0)して、圧電変形領域14の撓み変形を解除させる。そうすると、インクが、ノズル3の外方に最も大きく突出した状態(t3の時点の、体積速度が0の状態)から、逆に、圧力室2の方向へ戻ろうとしているところに、圧電変形領域14の撓み変形を解除して、圧力室2の容積を再び増加させたことによる、マイナスの圧力が加わることによって、ノズル3の外方へ伸びきったインク柱が切り離されて、1滴目の液滴が生成される。
インク柱が切り離されたノズル3内のインクは、再び、圧力室2の方向に引き込まれる。その際の、ノズル3内でのインクの体積速度は、図9のt3とt4との間の部分に示すように、一旦、(−)側に大きくなった後、徐々に小さくなって、やがて0に近づく。これは、先に説明したように、インクの体積速度の固有振動周期T1の、ほぼ半周期分に相当する。
次に、ノズル3でのインクの体積速度が限りなく0に近づいたt4の時点で、駆動電圧VPを、再びVHまで充電(VP=VH)して、圧電変形領域14を、圧力室2の方向に突出するように、再び撓み変形させる。そうすると、先の、t2からt3の間でのインクの挙動と同じメカニズムによって、インクが、ノズル3の外方へ大きく突出して、インク柱が形成される。その際の、ノズル3内でのインクの体積速度は、図9のt4とt5との間の部分に示すように、一旦、(+)側に大きくなった後、徐々に小さくなって、やがて0に近づく。
そして、ノズル3でのインクの体積速度が0になった時点(図9のt5の時点)以降、インクの振動の速度が圧力室2の側に向かうことによって、ノズル3の外方へ伸びきったインク柱が切り離されて、2滴目の液滴が生成される。生成された1滴目および2滴目の液滴は、それぞれ、ノズル3の先端に対向させて配設した用紙の表面まで飛翔して、1つのドットを形成する。
前記一連の動作は、図9に太線の一点鎖線で示すように、パルス幅T2が固有振動周期T1の約1/2倍であるパルスを2回、含む波形を有する駆動電圧パルスを、圧電変形領域14に印加していることに相当する。1つのドットを、1滴のみの液滴で形成する場合は、前記パルスを、1回のみとすればよい。また、1つのドットを、3滴以上の液滴で形成する場合は、パルスを、液滴の数に応じた回数、発生させればよい。前記一連の動作を、ノズルと対向させて、その紙面を配設した用紙の搬送と交互に行うことで、前記紙面に、所定の画像を印刷することができる。
《液体吐出装置の検査方法》
本発明の検査方法は、製造直後、および使用途中の液体吐出装置1に対して実施することができる。本発明の検査方法を、先に説明した、液体吐出装置1が圧電インクジェットヘッドとして組み込まれたインクジェット印刷装置に対して行う場合を例にとって、以下に説明する。
前記例において、本発明の検査方法を実施するためには、まず、先に説明した印刷時と同様に、供給路7から、絞り部8および小室9を介して、各圧力室2内、および連通路4内に、液体としてのインクを充填すると共に、ノズル3内に、インクの表面張力によってインクメニスカスが形成された状態とする。
次に、駆動回路16から、あるいは別個に用意した検査回路から、圧電アクチュエータ6の圧電変形領域14に、例えば図3に示す台形波等の、任意の波形を有すると共に、小室9を含む圧力室2内と、連通路4内の液体に短周期振動を発生させることができる電圧値VEを有する検査信号を印加して、前記短周期振動を発生させる。
検査信号は、一定の周波数帯域、詳しくは、先に説明した、共振に伴う電流値のピークが発生すると予想される、前記式(I)で表される周期Tsの周波数や、不規則な電流の立ち上がりによるイレギュラーなピークが発生すると予測される周波数を含む、一定幅の周波数帯域に亘るように、図3中にTで示す波長を掃引しながら印加する。この波長の掃引において、図3に示す検査信号の、パルス波形のデューティー比は一定に保たれる。なお、図では、検査信号としてパルス波形を用いているが、検査信号は、サイン波形その他の波形を有していてもよい。そして、波長の逆数である周波数と、その周波数での電流値との関係を示す周波数−電流値特性曲線を求める。
そうすると、圧力漏れやエアトラップの異状が発生していない場合には、図4中に実線で示すように、あるいは、図5に拡大して示すように、前記特性曲線のうち、前記式(I)で表される周期Tsの周波数位置に、共振に伴う電流値のピークを観察することができるが、前記異状が発生している場合には、両図中に破線で示すように、前記所定の周波数位置にピークが見られなかったり、ピークの周波数位置がずれたりする。
また、前記異状が発生していない場合には、図4中に実線で示すように、あるいは図6に拡大して示すように、前記所定の周波数位置より低周波数側では、特性曲線に、急激な変化は見られないが、異状が発生している場合には、両図中に破線で示すように、不規則な電流の立ち上がりによるイレギュラーなピークが見られる。そのため、これらピークの発生状態を観察することで、圧力漏れやエアトラップの発生の有無を、直接的、かつ容易に検査することができる。
なお、絞り部8から、小室9、圧力室2、連通路4を経由してノズル3に至る各部で観測される、インクの、体積速度の固有振動の共振周波数は70〜80kHz近辺であるが、先に説明したように、横振動モードの圧電アクチュエータ6は剛性が低く、コンプライアンスが大きいため、応答が不明瞭であり、前記特性曲線上に、かかる固有振動がピークとして現れることはない。
検査信号の電圧値VEは、短周期振動を発生させることができる任意の値に設定することができるが、特に、圧電アクチュエータ6を作動させて、ノズルから液滴を吐出させるための駆動信号の電圧値(図9中のVH)の50%以上、特に50〜80%であるのが好ましい。
電圧値VEが前記範囲未満では、前記各ピークにおける電流値の変化量が小さく、したがってピーク高さが小さくなるため、ピークの発生状態を観察することで、圧力漏れやエアトラップの異状の有無を、直接的、かつ容易に検査するのが容易でなくなるおそれがある。また、電圧値が前記範囲を超える場合には、ノズル3からインクが溢れ出したり、溢れ出したインクに代わって、空気が、ノズル3を通して連通路4内や圧力室2内に侵入してエアトラップを生じたり、インクが吐出されてしまったりするおそれがある。
図7は、検査信号の電圧値VEを、図の上方から順に、駆動信号の電圧値VHの100%、90%、80%、70%、60%、50%、40%および30%に設定して測定した特性曲線を示すグラフである。図7からも、検査信号の電圧値VEを、駆動信号の電圧値VHの50%以上とするのが、ピークの発生状態の観察による、異状の有無の検査のために好ましいことが、明らかである。
なお、特性曲線を、図4に示す広い周波数帯域に亘って測定する代わりに、前記ピークが発生する可能性のある、図5や図6に示すような、狭い周波数帯域に限って測定してもよい。その場合には、測定の時間を短縮できるという利点がある。
《液体吐出装置の製造方法》
本発明の製造方法は、先に説明した各部を備えた液体吐出装置1を作製する工程と、作製した液体吐出装置1を、前記検査方法で検査する工程とを含むことを特徴とするものである。
図1、図2の例の液体吐出装置1を製造する場合を例にとって、本発明の製造方法を、具体的に説明すると、まず、先に説明したように、複数種の板材を順に、位置合わせしながら、接着剤によって接着する等して積層して一体化することで、基板5を形成すると共に、前記基板5の、圧力室2を形成した側の面に、圧電アクチュエータ6を、位置合わせしながら、接着剤によって接着する等して積層して一体化することで、液体吐出装置1を作製する。
次に、作製した液体吐出装置1の個別電極11、および共通電極12を、駆動回路16に接続する前に、別個に用意した検査回路に接続して、先に説明した本発明の検査方法を実施するか、あるいは、駆動回路16を接続した後に、前記駆動回路16を用いて、前記検査方法を実施することで、異状の有無を確認する。そうすると、異常が見られた液体吐出装置1を、あらかじめ、不良品として除外することができるため、圧力漏れのない、良好な液体吐出装置1を、歩留まり良く製造することができる。
《インクジェット印刷装置》
図1は、本発明のインクジェット印刷装置の、実施の形態の一例を示す断面図である。図1を参照して、この例のインクジェット印刷装置は、先に説明した各部を備えた液体吐出装置1と、駆動回路16と、制御ユニット17とを備えると共に、前記制御ユニット17が、本発明の検査方法を実施するための検査部18を備えることを特徴とするものである。また、この例では、制御ユニット17に、ノズルを清掃するための、例えばワイパ等の清掃部材19も接続されている。図8は、前記制御ユニット17の、内部構造の一例を示すブロック図である。図8を参照して、この例の制御ユニット17は、通常の画像形成のための画像形成制御部20と、前記検査部18とを備えている。
また、検査部18は、
・ 例えば、印刷開始時や、印刷途中の任意の時点等において、駆動回路16を作動させて、圧電アクチュエータ6の圧電変形領域14に、小室9を含む圧力室2内と、連通路4内のインクに短周期振動を発生させることができる電圧値VEを有する、一定の周波数帯域に亘る検査信号を印加させるための検査信号発生部21と、
・ 印加させた検査信号の、周波数ごとの電流値を測定するための電流測定部22と、
・ 前記電流測定部22による測定結果をもとに、小室9を含む圧力室2と連通路4におけるエアトラップの有無を判定する判定部23と、
・ 前記判定部23での判定の結果に基づいて、圧電アクチュエータ6の圧電変形領域14を作動させて、ノズル3からインクを強制的に排出させると共に、前記清掃部材19を作動させて、ノズル3を清掃することで、前記エアトラップを解消させる操作を行うメンテナンス制御部24と、
を備えている。
検査部18および画像形成制御部20の出力は、ドライバ25を介して、駆動回路16、および清掃部材19に入力される。また、制御ユニット17には、図示しないパーソナルコンピュータ(PC)等を接続して、形成画像のデータ信号や、検査開始のトリガ信号当を受信したり、前記PC等に、印刷終了、検査中等の、インクジェット印刷装置の現在の動作状態を知らせる信号を送信したりするためのI/Oポート26が設けられている。
前記例のインクジェット印刷装置によれば、本発明の検査方法による、エアトラップの発生の有無の検査と、前記検査の結果に基づくインクの排出動作、およびノズル3の清掃とを、例えば、印刷開始時や、印刷途中の任意の時点等において、随時、自動的に、あるいはPC等を操作してトリガ信号を入力することによって、手動で実施できるため、エアトラップの発生に伴うドット抜けの不良のない、画質の良好な画像を、連続して印刷することが可能となる。
例えば、インクジェット印刷装置の電源を投入した印刷開始時に、検査信号発生部21は、ドライバ25を介して駆動回路16を作動させて、圧電アクチュエータ6の圧電変形領域14に、小室9を含む圧力室2内と、連通路4内のインクに短周期振動を発生させることができる電圧値VEを有する、一定の周波数帯域に亘る検査信号を印加させる。
そうすると、電流測定部22が、印加させた検査信号の、周波数ごとの電流値を測定し、その測定結果から、判定部23が、小室9を含む圧力室2と連通路4におけるエアトラップの有無を判定する。詳しくは、先に説明した図5や図6のピークが発生しているか否かを計測し、図5のピークが所定の周波数位置に発生しているか、または図6のピークが発生していない場合には、エアトラップが発生していないと判断し、図5のピークが発生していなかったり、周波数位置がずれていたり、あるいは、図6のピークが発生している場合には、エアトラップが発生していると判断する。
そうすると、前記結果を受けて、メンテナンス制御部24が、ドライバ25を介して駆動回路16を作動させることで、圧電アクチュエータ6の、エアトラップが発生したと判断された圧力室2等に対応する圧電変形領域14を作動させて、ノズル3からインクを強制的に排出させると共に、清掃部材19を作動させて、ノズル3を清掃して、前記エアトラップを解消させることができる。
なお、本発明の構成は、以上で説明した各図の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で、種々の設計変更を施すことができる。
本発明の検査方法が実施される液体吐出装置1を、インクジェット印刷装置に組み込んだ例を示す断面図である。 図1の例のインクジェット印刷装置のうち、液体吐出装置1の、1つの圧力室2の部分での、図1と直交する方向の断面を示す断面図である。 本発明の検査方法を実施する際に、図1、図2の例の液体吐出装置の、圧電アクチュエータの圧電変形領域に印加する検査信号の、波形の一例を示すグラフである。 図3の検査信号を印加して得られる、周波数−電流値特性曲線の一例を示すグラフである。 図4の特性曲線のうち、共振に伴う電流値のピークが発生する周波数領域を拡大したグラフである。 図4の特性曲線のうち、図5のピークが発生する周波数領域より低周波数側の、不規則な電流の立ち上がりによるイレギュラーなピークが見られる周波数領域を拡大したグラフである。 検査信号の電圧値VEを変化させて測定した特性曲線を示すグラフである。 本発明のインクジェット印刷装置を構成する制御ユニットの、内部構造の一例を示すブロック図である。 図1、図2の例の液体吐出装置を、引き打ち式の駆動方法によって駆動させて液滴を吐出させる際に、圧電アクチュエータの圧電変形領域に印加する駆動電圧の波形の一例と、この駆動電圧が印加された際の、ノズル内における、インクの体積速度の変化との関係を簡略化して示すグラフである。
符号の説明
1 液体吐出装置
2 圧力室
3 ノズル
4 連通路
5 基板
6 圧電アクチュエータ
7 供給路
8 絞り部
9 小室
10 圧電セラミック層
11 個別電極
12 共通電極
13 振動板
14 圧電変形領域
15 拘束領域
16 駆動回路
17 制御ユニット
18 検査部
19 清掃部材
20 画像形成制御部
21 検査信号発生部
22 電流測定部
23 判定部
24 メンテナンス制御部
25 ドライバ
26 I/Oポート

Claims (4)

  1. (a) 液体が充填される圧力室、
    (b) 液体を、液滴として吐出させるためのノズル、
    (c) 前記圧力室と前記ノズルとを繋ぎ、液体が充填される連通路、および
    (d) 平板状の圧電素子を含み、前記圧電素子の撓み変形によって振動して前記圧力室の容積を増減させることで、前記圧力室内の液体を振動させて、前記ノズルから液滴を吐出させるための圧電アクチュエータ、
    を備えた液体吐出装置の検査方法であって、前記圧力室、および前記連通路に、液体を充填した状態で、前記圧電アクチュエータに、前記圧力室と前記連通路内の液体に短周期振動を発生させることができる、式(I):
    Figure 0005031308
    〔式中、Maは前記圧電アクチュエータのイナータンス、Mcは前記圧力室のイナータンス、Mdは前記連通路のイナータンス、Caは前記圧電アクチュエータのコンプライアンス、Cdは前記連通路のコンプライアンスを示す。〕
    で表される周期Tsの周波数を含む周波数帯域に亘る検査信号を印加した際の、前記検査信号の、周波数−電流値特性曲線を求め、前記特性曲線中に、前記短周期振動に対応した電流値のピークが生じるか否か、およびピークが生じた場合は、その周波数位置を確認することで、前記圧力室と前記連通路における異状の有無を検査することを特徴とする液体吐出装置の検査方法。
  2. (a) 液体が充填される圧力室、
    (b) 液体を、液滴として吐出させるためのノズル、
    (c) 前記圧力室と前記ノズルとを繋ぎ、液体が充填される連通路、および
    (d) 平板状の圧電素子を含み、前記圧電素子の撓み変形によって振動して前記圧力室の容積を増減させることで、前記圧力室内の液体を振動させて、前記ノズルから液滴を吐出させるための圧電アクチュエータ、
    を備えた液体吐出装置を作製する工程と、
    作製した前記液体吐出装置の、前記圧力室、および前記連通路に、液体を充填した状態で、前記圧電アクチュエータに、前記圧力室と前記連通路内の液体に短周期振動を発生させることができる、式(I):
    Figure 0005031308
    〔式中、Maは前記圧電アクチュエータのイナータンス、Mcは前記圧力室のイナータンス、Mdは前記連通路のイナータンス、Caは前記圧電アクチュエータのコンプライアンス、Cdは前記連通路のコンプライアンスを示す。〕
    で表される周期Tsの周波数を含む周波数帯域に亘る検査信号を印加した際の、前記検査信号の、周波数−電流値特性曲線を求め、前記特性曲線中に、前記短周期振動に対応した電流値のピークが生じるか否か、およびピークが生じた場合は、その周波数位置を確認することで、前記圧力室と前記連通路における異状の有無を検査する工程と、
    を含むことを特徴とする液体吐出装置の製造方法。
  3. (A) インクが充填される圧力室、
    (B) インクを、インク滴として吐出させるためのノズル、
    (C) 前記圧力室と前記ノズルとを繋ぎ、インクが充填される連通路、
    (D) 平板状の圧電素子を含み、前記圧電素子の撓み変形によって振動して前記圧力室の容積を増減させることで、前記圧力室内のインクを振動させて、前記ノズルからインク滴を吐出させるための圧電アクチュエータ、
    (E) 前記圧電アクチュエータに、前記ノズルからインク滴を吐出させるための駆動信号を印加するための駆動回路、および
    (F) 前記駆動回路を作動させるための制御ユニット、
    を備えると共に、前記制御ユニットが、前記駆動回路を作動させて、前記圧電アクチュエータに、前記圧力室と前記連通路内のインクに短周期振動を発生させることができる、式(I):
    Figure 0005031308
    〔式中、Maは前記圧電アクチュエータのイナータンス、Mcは前記圧力室のイナータンス、Mdは前記連通路のイナータンス、Caは前記圧電アクチュエータのコンプライアンス、Cdは前記連通路のコンプライアンスを示す。〕
    で表される周期Tsの周波数を含む周波数帯域に亘る検査信号を印加させるための検査信号発生部と、印加させた前記検査信号の、周波数ごとの電流値を測定するための電流測定部と、前記電流測定部による測定結果をもとに、前記圧力室と前記連通路における異状の有無を判定する判定部と、前記判定部での判定の結果に基づいて、前記圧電アクチュエータを作動させて、前記ノズルからインクを排出させる操作を行うメンテナンス制御部とを有することを特徴とするインクジェット印刷装置。
  4. (G) 前記ノズルを清掃する清掃部材を備え、前記メンテナンス制御部は、前記判定部での判定の結果に基づいて、前記清掃部材を作動させて前記ノズルを清掃する操作を行わせる請求項に記載のインクジェット印刷装置。
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