JP5031276B2 - 高分子発光材料、ならびに高分子発光材料を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子および表示装置 - Google Patents

高分子発光材料、ならびに高分子発光材料を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子および表示装置 Download PDF

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本発明は、高分子発光材料、該発光材料を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子、および該素子を用いた表示装置に関する。より詳しくは、本発明は、高輝度の赤色〜橙色光を高い効率で発光するイリジウム錯体から導かれる構造単位を有する(共)重合体からなる高分子発光材料、およびその用途に関する。
近年、有機エレクトロルミネッセンス素子(本明細書において、有機EL素子ともいう)の用途を拡大するために、素子の発光効率および耐久性の向上と共に、フルカラー表示、大面積化および量産に向けた材料開発が活発に行われている。
フルカラー表示を実現するためには、光の3原色(RGB)である赤色、緑色および青色の各単色光を発光する材料を用いる必要があるが、高輝度の赤色光を高い効率で発光する有機材料は得られていないという問題があった。
特許文献1には、赤色〜橙色光を発光する材料として、イリジウムとキノリン誘導体とから構成されるイリジウム錯体が開示されている。特許文献1では、このイリジウム錯体をホスト材料中に分散し、真空蒸着法により発光層を成膜することによって、有機EL素子を作製している。
しかしながら、真空蒸着法は、真空装置を必要とすると共に、大面積の素子の場合には膜厚が不均一になりやすいという問題があった。
このため、発光材料を含む有機溶剤または水の溶液を塗布することによって発光層を成膜できれば、有機EL素子の製造工程が簡略化されると共に、素子の大面積化が実現できる。この塗布法には、相分離または偏析を起こしやすい低分子発光材料は用いることができないため、このような欠点のない高分子発光材料を得る試みがされている。
また、発光性化合物上でホールと電子との再結合を効率よく起こし、発光効率の向上を図るために、発光性化合物と、ホール輸送性化合物および/または電子輸送性化合物とを共重合した高分子発光材料を得る試みもなされている。
たとえば、高分子発光材料として、イリジウム錯体、カルバゾール誘導体、およびオキサジアゾール誘導体から導かれる構造単位からなる共重合体を用いて、有機EL素子が作製されている。これらの素子においては、フェニルピリジン誘導体が配位したイリジウム錯体が用いられた場合は、緑色の発光が観察され(特許文献2参照)、また、キノリン誘導体と、重合体主鎖に結合しているアセチルアセトン誘導体とが配位したイリジウム錯体が用いられた場合は、赤色の発光が観察されている(特許文献3参照)。
しかしながら、高分子発光材料の実用化のためには、さらに、高輝度の赤色光を高い効率で発光できると共に、有機EL素子の製造工程が簡略化でき、耐久性のある高分子発光材料の開発が望まれていた。
国際公開2002−064700号パンフレット 特開2003−342325号公報 特開2004−27088号公報
本発明の目的は、高輝度の赤色〜橙色光を高い発光効率で得られる高分子発光材料を提供することにある。また、本発明の別の目的は、上記高分子発光材料を用いることによって、有機EL素子の製造工程が簡略化されると共に、耐久性に優れ、大面積化が実現できる有機EL素子および表示装置を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、
特定のイリジウム錯体から導かれる構造単位を有する(共)重合体からなる高分子発光材料により、高輝度の赤色〜橙色光を高い発光効率で得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の[1]〜[12]に関する。
[1]下記一般式(1)で表されるイリジウム錯体から導かれる構造単位を有する(共)重合体からなる高分子発光材料。
Figure 0005031276
(式中、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜10のアルキル基によって置換されていてもよいアミノ基、炭素数1〜10のアルコキシ基、およびシリル基からなる群より選ばれる原子または置換基を表し、X1は、重合性官能基を有する置換基を
表し、A1〜A3は、それぞれ独立に、環状構造を有する2価の置換基を表す。)
[2]上記A1〜A3が、それぞれ独立に、下記一般式(A1)〜(A7)で表される環状構造を有する2価の置換基からなる群より選ばれることを特徴とする上記[1]に記載の高分子発光材料。
Figure 0005031276
(式中、R3〜R9は、それぞれ上記式(1)中のR1と同義である。)
[3]下記一般式(2)で表されるイリジウム錯体から導かれる構造単位を有する(共)重合体からなる高分子発光材料。
Figure 0005031276
(式中、Dは、重合性官能基を有する、1価アニオンの2座配位子を表し、R10およびR11は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜10のアルキル基によって置換されていてもよいアミノ基、炭素数1〜10のアルコキシ基、およびシリル基からなる群より選ばれる原子または置換基を表し、A4およびA5は、それぞれ独立に、環状構造を有する2価の置換基を表す。)
[4]上記Dが、下記一般式(D1)で表される2座配位子であることを特徴とする上記[3]に記載の高分子発光材料。
Figure 0005031276
(式中、R12は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜10のアルキル基によって置換されていてもよいアミノ基、炭素数1〜10のアルコキシ基、およびシリル基からなる群より選ばれる原子または置換基を表し、X2は、重合性官能基を有する置換基を表す。)
[5]上記Dが、下記一般式(D2)で表される2座配位子であることを特徴とする上記[3]に記載の高分子発光材料。
Figure 0005031276
(式中、X3は、重合性官能基を有する置換基を表す。)
[6]上記Dが、下記一般式(D3)で表される2座配位子であることを特徴とする上記[3]に記載の高分子発光材料。
Figure 0005031276
(式中、X4は、重合性官能基を有する置換基を表す。)
[7]上記A4およびA5が、それぞれ独立に、下記一般式(A1)、(A2)、(A4)、(A5)および(A7)で表される環状構造を有する2価の置換基からなる群より選ばれることを特徴とする上記[3]〜[6]のいずれかに記載の高分子発光材料。
Figure 0005031276
(式中、R3、R4、R6、R7およびR9は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、
シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜10のアルキル基によって置換されていてもよいアミノ基、炭素数1〜10のアルコキシ基、およびシリル基からなる群より選ばれる原子または置換基を表す。)
[8]上記(共)重合体が、少なくとも1種以上のホール輸送性の重合性化合物から導かれる構造単位をさらに有することを特徴とする上記[1]〜[7]のいずれかに記載の高分子発光材料。
[9]上記(共)重合体が、少なくとも1種以上の電子輸送性の重合性化合物から導かれる構造単位をさらに有することを特徴とする上記[1]〜[8]のいずれかに記載の高分子発光材料。
[10]陽極と陰極とに挟まれた1層または2層以上の有機高分子層を含む有機エレクトロルミネッセンス素子において、上記有機高分子層の少なくとも1層に、上記[1]〜[9]のいずれかに記載の高分子発光材料を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
[11]上記[10]に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた画像表示装置。
[12]上記[10]に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた面発光光源。
本発明に係る高分子発光材料によれば、高輝度の赤色〜橙色光を高い発光効率で得られると共に、有機EL素子の製造工程が簡略化され、耐久性に優れ、大面積化が実現できる有機EL素子および表示装置を提供することができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
<イリジウム錯体から導かれる構造単位を有する(共)重合体>
本発明に係る高分子発光材料は、1種または2種以上のイリジウム錯体の単量体を(共)重合して得られる(共)重合体からなる。上記イリジウム錯体は、上記式(1)または(2)で表される。なお、本発明において、イリジウム錯体から導かれる構造単位を有する(共)重合体とは、上記イリジウム錯体の単独重合体、2種以上の上記イリジウム錯体の共重合体を表す。
上記高分子発光材料においては、上記イリジウム錯体の単量体を(共)重合しているため、イリジウム錯体の三重項励起状態を経由する発光が得られる。すなわち、上記高分子発光材料を有機EL素子の発光層に用いる場合は、通常は利用が困難な三重項励起状態からの発光を、高い効率で得ることができる。また、上記式(1)または(2)で表されるイリジウム錯体から導かれる構造単位を有する(共)重合体では、高輝度の赤色〜橙色光を高い発光効率で得られる。
上記式(1)中、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜10のアルキル基によって置換されていてもよいアミノ基、炭素数1〜10のアルコキシ基、およびシリル基からなる群より選ばれる原子または置換基を表す。
上記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子が挙げられる。
上記炭素数1〜10のアルキル基としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基などが挙げられる。
上記炭素数6〜10のアリール基としては、たとえば、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基などが挙げられる。
上記炭素数1〜10のアルキル基によって置換されていてもよいアミノ基としては、たとえば、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基などが挙げられる。
上記炭素数1〜10のアルコキシ基としては、たとえば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、デシルオキシ基などが挙げられる。
上記シリル基としては、たとえば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基などが挙げられる。
これらのうちで、イリジウム錯体の単量体の製造が容易であり、また、該錯体の溶剤への溶解性および発光波長の制御が容易であるため、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、トリル基、ジメチルアミノ基、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、イリジウム錯体の単量体の製造がとくに容易であるため、水素原子、フッ素原子、t−ブチル基、ジメチルアミノ基、メトキシ基がより好ましい。
上記式(1)中、X1は、重合性官能基を有する重合性置換基である。
上記重合性置換基は、上記重合性官能基を有することの他、特に制限されず、該重合性官能基は、ラジカル重合性、カチオン重合性、アニオン重合性、付加重合性、および縮合重合性の官能基のいずれであってもよい。これらのうちで、ラジカル重合性の官能基は、(共)重合体の製造が容易であるため好ましい。
上記重合性官能基としては、アリル基、アルケニル基、アクリレート基、メタクリレー
ト基、メタクリロイルオキシエチルカルバメート基等のウレタン(メタ)アクリレート基、ビニルアミド基およびそれらの誘導体などを挙げることができる。
上記重合性官能基がアルケニル基である場合、上記重合性置換基としては、下記一般式(E1)〜(E11)で表される置換基が好ましい。
Figure 0005031276
これらのうちで、上記式(E1)および(E5)で表される置換基は、上記イリジウム錯体に、重合性置換基が容易に導入できるためより好ましい。
上記式(1)中、A1〜A3は、それぞれ独立に、環状構造を有する2価の置換基を表す。
上記A1〜A3が、それぞれ独立に、上記式(A1)〜(A7)で表される環状構造を有
する2価の置換基であることは、上記イリジウム錯体の励起状態を安定化し、上記高分子発光材料の耐久性を向上させるため好ましい。これらのうちで、上記式(A4)で表される環状構造を有する2価の置換基は、上記安定化および上記耐久性にさらに優れるため、より好ましい。
上記式(A1)〜(A7)中、R3〜R9は、それぞれ上記式(1)中のR1と同義であ
り、好ましい範囲も同じである。
上記式(2)中、R10およびR11は、それぞれ上記式(1)中のR1と同義であり、好
ましい範囲も同じである。
上記式(2)中、Dは、重合性官能基を有する、1価アニオンの2座配位子を表す。
上記重合性官能基としては、X1が有する官能基と同様のものが挙げられる。
上記1価アニオンの2座配位子としては、たとえば、水素イオンが1つ脱離して、2つの配位座を含む共役構造が、全体として1価アニオン性となり得る構造を有する化合物から、水素イオンが1つ脱離し、1価のアニオンとなった配位子;ピリジン環、カルボニル基、イミン基等の非イオン性の配位座と、水酸基、カルボキシル基、フェニル基等の水素イオンが1つ脱離した、1価のアニオン性配位座とを有する配位子などが挙げられ、該配位子は、上記官能基を有する置換基、たとえば、上記式(E1)〜(E11)で表される置換基などで置換されている。
上記1価アニオンの2座配位子としては、上記式(D1)〜(D3)のいずれかで表される2座配位子が好ましい。これらの配位子は、2つの配位座が1つのイリジウム原子に配位したときに、イリジウム原子を含めて、五員環または六員環構造を形成する。このため、イリジウム原子に安定に配位できる。
上記式(D1)中、R12は、上記式(1)中のR1と同義であり、好ましい範囲も同じ
である。
上記式(D1)中のX2、上記式(D2)中のX3、および上記式(D3)中のX4は、
それぞれ上記式(1)中のX1と同義であり、好ましい範囲も同じである。
上記式(D1)で表される2座配位子としては、たとえば、2,4−ペンタンジオンの
誘導体から水素イオンが1つ脱離し、1価のアニオンとなった配位子などが挙げられる。
上記式(2)中、A4およびA5は、それぞれ独立に、環状構造を有する2価の置換基を表す。
上記A4およびA5が、それぞれ独立に、上記式(A2)、(A4)、(A5)または(A7)で表される環状構造を有する2価の置換基であることは、上記イリジウム錯体の励起状態を安定化し、上記高分子発光材料の耐久性を向上させるため好ましい。これらのうちで、上記式(A4)で表される環状構造を有する2価の置換基は、上記安定化および上記耐久性にさらに優れるためより好ましい。
上記式(1)または(2)で表されるイリジウム錯体のうちで、具体的には、ビス(2−(2−キノリル)フェニル)(2−(6−ビニル−2−キノリル)フェニル)イリジウム、ビス(2−(2−キノリル)フェニル)(6−(4−ビニルフェニル)−2,4−ヘキサンジオナートイリジウム、ビス(5−t−ブチル−2−(2−キノリル)フェニル)(5−ビニル−2−(2−ピリジル)フェニル)イリジウムが特に好ましい。このような錯体から導かれる構造単位を有する共重合体からなる高分子発光材料は、高輝度の発光と共に、高い発光効率が得られる。
上記式(1)または(2)で表されるイリジウム錯体は、たとえば、以下のように製造
することができる。まず、重合性官能基を有しないキノリン誘導体の配位子と、0.5当量のイリジウム化合物とを、溶媒中で反応させる。次いで、得られたイリジウム錯体と、重合性官能基を有するキノリン誘導体の配位子とを、溶媒中で反応させることによって、上記式(1)または(2)で表されるイリジウム錯体を得ることができる。
また、上記(共)重合体の重量平均分子量は、1,000〜2,000,000であることが好ましく、5,000〜1,000,000であることがより好ましい。本明細書における分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法を用いて測定されるポリスチレン換算分子量をいう。上記分子量がこの範囲にあると、(共)重合体が有機溶媒に可溶であり、均一な薄膜を得られるため好ましい。
上記(共)重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、および交互共重合体のいずれでもよい。
上記(共)重合体の重合方法は、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、および付加重合のいずれでもよいが、ラジカル重合が好ましい。
<キャリア輸送性の重合性化合物から導かれる構造単位を有する共重合体>
本発明に係る高分子発光材料は、1種または2種以上の上記イリジウム錯体の単量体と共に、1種または2種以上のキャリア輸送性の重合性化合物の単量体を共重合して得られる共重合体からなることが好ましい。上記キャリア輸送性の重合性化合物としては、ホール輸送性の重合性化合物および電子輸送性の重合性化合物が挙げられる。すなわち、上記高分子発光材料は、上記イリジウム錯体から導かれる構造単位と共に、1種または2種以上のホール輸送性の重合性化合物から導かれる構造単位、または1種または2種以上の電子輸送性の重合性化合物から導かれる構造単位を有する共重合体からなることが好ましい。このような高分子発光材料は、上記イリジウム錯体から導かれる構造単位上で、ホールと電子とが効率よく再結合するため、高い発光効率の有機EL素子が得られる。
また、上記高分子発光材料は、1種または2種以上の上記イリジウム錯体から導かれる構造単位と共に、1種または2種以上のホール輸送性の重合性化合物から導かれる構造単位と、1種または2種以上の電子輸送性の重合性化合物から導かれる構造単位とを有する共重合体からなることがより好ましい。上記高分子発光材料は、ホールと電子とがさらに効率よく再結合するため、より高い発光効率の有機EL素子が得られる。また、上記高分子発光材料は、発光性、ホール輸送性および電子輸送性のすべての機能を備えており、他の有機材料を配合することなく、有機EL素子を作成できる。このため、有機EL素子の製造工程がさらに簡略化できると共に、熱的に安定で耐久性に優れた有機EL素子が得られる。
上記ホール輸送性の重合性化合物としては、たとえば、下記一般式(E12)〜(E17)で表される化合物などが挙げられる。これらのうちでは、共重合体におけるキャリア移動度が高いため、下記式(E12)〜(E14)で表される化合物が好ましい。
Figure 0005031276
上記電子輸送性の重合性化合物としては、たとえば、下記一般式(E18)〜(E25)で表される電子輸送性化合物などが挙げられる。これらのうちでは、共重合体におけるキャリア移動度が高いため、下記式(E18)、(E23)〜(E25)で表される化合物が好ましい。
Figure 0005031276
上記ホール輸送性の重合性化合物および上記電子輸送性の重合性化合物の有する重合性置換基は、上記式(E12)〜(E25)で示したように、上記式(E1)で表される重合性置換基であっても、上記式(E2)〜(E11)で表される重合性置換基であってもよい。これらのうちでは、キャリア輸送性の重合性化合物に、重合性置換基を容易に導入できるため、上記式(E1)および(E5)で表される重合性置換基が好ましい。
また、上記式(E1)〜(E11)における重合性官能基(アルケニル基)を、アリル基、アクリレート基、メタクリレート基、メタクリロイルオキシエチルカルバメート基等のウレタン(メタ)アクリレート基、ビニルアミド基、またはこれらの誘導体などで置き換えてもよい。
これらのうちで、上記共重合体は、上記イリジウム錯体から導かれる構造単位と、上記ホール輸送性の重合性化合物として、上記式(E12)〜(E14)のいずれかで表され
る化合物から導かれる構造単位と、上記電子輸送性重合性化合物として、上記式(E18)、(E23)〜(E25)のいずれかで表される化合物から導かれる構造単位とを有することが特に好ましい。このような共重合体からなる高分子発光材料は、耐久性が高く、発光効率も高いため望ましい。この場合に、高輝度の発光と共に、さらに高い発光効率が得られるため、上記イリジウム錯体としては、ビス(2−(2−キノリル)フェニル)(2−(6−ビニル−2−キノリル)フェニル)イリジウム、ビス(2−(2−キノリル)フェニル)(6−(4−ビニルフェニル)−2,4−ヘキサンジオナートイリジウム、ビス(5−t−ブチル−2−(2−キノリル)フェニル)(5−ビニル−2−(2−ピリジル)フェニル)イリジウムが好ましく、ビス(5−t−ブチル−2−(2−キノリル)フェニル)(5−ビニル−2−(2−ピリジル)フェニル)イリジウムがより好ましい。
また、上記共重合体の重量平均分子量は、1,000〜2,000,000であることが好ましく、5,000〜1,000,000であることがより好ましい。上記分子量がこの範囲にあると、(共)重合体が有機溶媒に可溶であり、均一な薄膜を得られるため好ましい。
上記共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、および交互共重合体のいずれでもよい。
上記共重合体における、上記イリジウム錯体から導かれる構造単位数をmとし、キャリア輸送性化合物から導かれる構造単位数(ホール輸送性の重合性化合物および/または電子輸送性の重合性化合物から導かれる構造単位の総数)をnとしたとき(m、nは1以上の整数を示す)、全構造単位数に対する上記イリジウム錯体から導かれる構造単位数の割合、すなわちm/(m+n)の値は、0.001〜0.5の範囲にあることが好ましく、0.001〜0.2の範囲にあることがより好ましい。m/(m+n)の値がこの範囲にあると、キャリア移動度が高く、濃度消光の影響が小さい、高い発光効率の有機EL素子が得られる。
また、上記共重合体が、ホール輸送性化合物から導かれる構造単位と電子輸送性化合物から導かれる構造単位とを含む場合、ホール輸送性化合物から導かれる構造単位数をx、電子輸送性化合物から導かれる構造単位数をyとすると(x、yは1以上の整数を示す)、n=x+yの関係が成り立つ。キャリア輸送性化合物から導かれる構造単位数に対するホール輸送性化合物から導かれる構造単位数の割合x/n、およびキャリア輸送性化合物から導かれる構造単位数に対する電子輸送性化合物から導かれる構造単位数の割合y/nの最適値は、各構造単位の電荷輸送能、イリジウム錯体から導かれる構造単位の濃度などによって決まる。有機EL素子の発光層をこの共重合体単独で形成する場合、x/nおよびy/nの値は、それぞれ0.05〜0.95の範囲にあることが好ましく、0.20〜0.80の範囲にあることがより好ましい。なお、ここで、x/n+y/n=1が成り立つ。
上記共重合体の重合方法は、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、および付加重合のいずれでもよいが、ラジカル重合が好ましい。
<有機EL素子>
本発明に係る高分子発光材料は、有機EL素子の材料として用いることが好ましい。上記有機EL素子は、陽極と陰極とに挟まれた1層または2層以上の有機高分子層を含み、上記有機高分子層の少なくとも1層に、上記高分子発光材料が含まれる。本発明に係る高分子発光材料は、簡便な塗布法で発光層を成膜できる利点がある。また、上記高分子発光材料が、上記イリジウム錯体から導かれる構造単位と共に、ホール輸送性の重合性化合物から導かれる構造単位、および電子輸送性の重合性化合物から導かれる構造単位を有する共重合体からなる場合は、他の有機材料を配合することなく、有機EL素子を作成できる。このため、さらに製造工程が簡略化できると共に、安定性および耐久性の高い素子が得
られる。
本発明に係る有機EL素子の構成の一例を図1に示すが、本発明に係る有機EL素子の構成は、これに限定されない。図1では、透明基板(1)上に設けた陽極(2)および陰極(6)の間に、ホール輸送層(3)、発光層(4)および電子輸送層(5)を、この順で設けている。上記有機EL素子では、たとえば、陽極(2)と陰極(6)の間に、1)ホール輸送層/発光層、2)発光層/電子輸送層のいずれかを設けてもよい。また、3)ホール輸送材料、発光材料、電子輸送材料を含む層、4)ホール輸送材料、発光材料を含む層、5)発光材料、電子輸送材料を含む層、6)発光材料の単独層のいずれかの層を一層のみ設けてもよい。さらに、発光層を2層以上積層してもよい。
本発明に係る有機EL素子における発光層は、本発明に係る高分子発光材料の他に、発光層のキャリア輸送性を補う目的でホール輸送材料および/または電子輸送材料を含んでいてもよい。このような輸送材料としては、低分子化合物であっても、高分子化合物であってもよい。
上記ホール輸送層を形成するホール輸送材料、または発光層中に混合するホール輸送材料としては、たとえば、TPD(N,N’−ジメチル−N,N’−(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’ジアミン);α−NPD(4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル);m−MTDATA(4、4’,4’’−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン)等の低分子トリフェニルアミン誘導体;ポリビニルカルバゾール;上記トリフェニルアミン誘導体に重合性置換基を導入して重合した高分子化合物;ポリパラフェニレンビニレン、ポリジアルキルフルオレン等の蛍光発光性高分子化合物などを挙げることができる。上記高分子化合物としては、たとえば、特開平8−157575号公報に開示されているトリフェニルアミン骨格の高分子化合物などを挙げることができる。上記ホール輸送材料は、1種単独でも、2種以上を混合しても用いることができ、異なるホール輸送材料を積層して用いてもよい。ホール輸送層の厚さは、ホール輸送層の導電率などに依存するため、一概に限定できないが、好ましくは1nm〜5μm、より好ましくは5nm〜1μm、特に好ましくは10nm〜500nmであることが望ましい。
上記電子輸送層を形成する電子輸送材料、または発光層中に混合して用いる電子輸送材料としては、たとえば、Alq3(アルミニウムトリスキノリノレート)等のキノリノール誘導体金属錯体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリアジン誘導体、トリアリールボラン誘導体等の低分子化合物;上記の低分子化合物に重合性置換基を導入して重合した高分子化合物を挙げることができる。上記高分子化合物としては、たとえば、特開平10−1665号公報に開示されているポリPBDなどを挙げることができる。上記電子輸送材料は、1種単独でも、2種以上を混合して用いることができ、異なる電子輸送材料を積層して用いてもよい。電子輸送層の厚さは、電子輸送層の導電率などに依存するため、一概に限定できないが、好ましくは1nm〜5μm、より好ましくは5nm〜1μm、特に好ましくは10nm〜500nmであることが望ましい。
上記の各層に用いられる発光材料、ホール輸送材料および電子輸送材料は、それぞれ単独で各層を形成しても、機能の異なる材料を混合して、各層を形成していてもよい。また、バインダとして高分子材料を混合して、各層を形成することもできる。上記高分子材料としては、たとえば、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイドなどが挙げられる。
また、発光層の陰極側に隣接して、ホールが発光層を通過することを抑え、発光層内で
ホールと電子とを効率よく再結合させる目的で、ホール・ブロック層が設けられていてもよい。上記ホール・ブロック層を形成するために、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体などの公知の材料を用いることができる。
陽極とホール輸送層との間、または陽極と陽極に隣接して積層される有機層との間に、ホール注入において注入障壁を緩和するために、バッファ層が設けられていてもよい。上記バッファ層を形成するために、銅フタロシアニン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸との混合体(PEDOT:PSS)などの公知の材料を用いることができる。
陰極と電子輸送層との間、または陰極と陰極に隣接して積層される有機層との間に、電子注入効率を向上するために、厚さ0.1〜10nmの絶縁層が設けられていてもよい。上記絶縁層を形成するために、フッ化リチウム、フッ化マグネシウム、酸化マグネシウム、アルミナなどの公知の材料を用いることができる。
上記のホール輸送層、発光層および電子輸送層の成膜方法としては、たとえば、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、インクジェット法、スピンコート法、印刷法、スプレー法、ディスペンサー法などを用いることができる。低分子化合物の場合は、抵抗加熱蒸着または電子ビーム蒸着が好適に用いられ、高分子材料の場合は、インクジェット法、スピンコート法、または印刷法が好適に用いられる。
本発明に係る高分子発光材料を用いて発光層を成膜する場合は、インクジェット法、スピンコート法、ディップコート法または印刷法を用いることができるため、製造工程を簡略化することができる。
本発明に係る有機EL素子に用いる陽極材料としては、たとえば、ITO(酸化インジウムスズ)、酸化錫、酸化亜鉛、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子など、公知の透明導電材料を用いることができる。この透明導電材料によって形成された電極の表面抵抗は、1〜50Ω/□(オーム/スクエアー)であることが好ましい。上記陽極材料の成膜方法としては、たとえば、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、化学反応法、コーティング法などを用いることができる。陽極の厚さは50〜300nmであることが好ましい。
本発明に係る有機EL素子に用いる陰極材料としては、たとえば、Li、Na、K、Cs等のアルカリ金属;Mg、Ca、Ba等のアルカリ土類金属;Al;MgAg合金;AlLi、AlCa等のAlとアルカリ金属またはアルカリ土類金属との合金など、公知の陰極材料を用いることができる。上記陰極材料の成膜方法としては、たとえば、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などを用いることができる。陰極の厚さは、好ましくは10nm〜1μm、より好ましくは50〜500nmであることが望ましい。アルカリ金属、アルカリ土類金属などの活性の高い金属を陰極として使用する場合には、陰極の厚さは、好ましくは0.1〜100nm、より好ましくは0.5〜50nmであることが望ましい。また、この場合には、上記陰極金属を保護する目的で、この陰極上に、大気に対して安定な金属層が積層される。上記金属層を形成する金属として、たとえば、Al、Ag、Au、Pt、Cu、Ni、Crなどが挙げられる。上記金属層の厚さは、好ましくは10nm〜1μm、より好ましくは50〜500nmであることが望ましい。
本発明に係る有機EL素子の基板としては、上記発光材料の発光波長に対して透明な絶縁性基板を使用することができ、ガラスのほか、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリカーボネート等の透明プラスチックなどを用いることができる。
本発明に係る有機EL素子は、公知の方法で、マトリックス方式またはセグメント方式による画素として好適に用いられる。また、上記有機EL素子は、画素を形成せずに、面発光光源としても好適に用いられる。
<用途>
本発明に係る高分子発光材料、および該高分子発光材料を用いた有機EL素子は、表示素子、ディスプレイ、バックライト、電子写真、照明光源、記録光源、露光光源、読み取り光源、標識、看板、インテリア、光通信などに好適に用いられる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例]
[合成例1]ビス(2−(2−キノリル)フェニル)(2−(6−ビニル−2−キノリル)フェニル)イリジウム(化合物(I))の合成
Figure 0005031276
三塩化イリジウム三水和物0.68g(1.9mmol)および2−フェニルキノリン0.80g(3.9mmol)の混合物に、2−エトキシエタノール15mLおよび水5mLを加え、12時間加熱還流した。生成した沈殿をメタノールで洗浄し、減圧乾燥した。得られた固体0.30gおよび2−フェニル−6−ビニルキノリン0.11g(0.48mmol)の混合物に、トルエン50mLおよびトリフルオロメタンスルホン酸銀0.123g(49mmol)を加え、12時間加熱還流した。得られた反応液をセライトでろ過し、溶媒を留去した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:クロロホルム)で精製し、化合物(I)を0.04g(0.05mmol)得た。
FAB−MS:831(M+)、元素分析値 Calcd for C4732IrN3:C
,67.93;H,3.88;N,5.06、Found:C,68.32;H,3.59;N,5.02。
[合成例2]ビス(2−(2−キノリル)フェニル)(6−(4−ビニルフェニル)−2,4−ヘキサンジオナート)イリジウム(化合物(II))の合成
Figure 0005031276
三塩化イリジウム三水和物0.68g(1.9mmol)および2−フェニルキノリン0.80g(3.9mmol)の混合物に、2−エトキシエタノール15mLおよび水5mLを加え、12時間加熱還流した。生成した沈殿をメタノールで洗浄し、減圧乾燥した。得られた固体0.30gおよび6−(4−ビニルフェニル)−2,4−ヘキサンジオン0.20g(0.92mmol)の混合物に、N,N−ジメチルホルムアミド10mLおよび炭酸カリウム0.14g(1.0mmol)を加え、100℃で12時間撹拌した。得られた反応液を水200mLに投入し、生じた沈殿を水洗後、減圧乾燥した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:クロロホルム)で精製し、化合物(II)を0.18g(0.22mmol)得た。
FAB−MS:816(M+)、元素分析値 Calcd for C4534IrN32:C,64.77;H,4.32;N,3.43、Found:C,64.50;H,
4.48;N,3.56。
[合成例3]ビス(5−t−ブチル−2−(2−キノリル)フェニル)(5−ビニルピコリナート)イリジウム(化合物(III))の合成
Figure 0005031276
三塩化イリジウム三水和物0.68g(1.9mmol)および2−(4−t−ブチルフェニル)キノリン1.1g(4.2mmol)の混合物に、2−エトキシエタノール15mLおよび水5mLを加え、12時間加熱還流した。生成した沈殿をメタノールで洗浄し、減圧乾燥した。得られた固体0.40gおよび5−ビニルピコリン酸0.15g(1.0mmol)の混合物にN,N−ジメチルホルムアミド10mLおよび炭酸カリウム0
.14g(1.0mmol)を加え、100℃で12時間撹拌した。得られた反応液を水200mLに投入し、生じた沈殿を水洗後、減圧乾燥した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:クロロホルム−酢酸エチル)で精製し、化合物(III)を0.25g(0.29mmol)得た。
FAB−MS:861(M+)、元素分析値 Calcd for C46H42Ir
N3O2:C,64.16;H,4.92;N,4.88、Found:C,64.51;H,5.07;N,4.98。
[合成例4]ビス(5−t−ブチル−2−(2−キノリル)フェニル)(5−ビニル−2−(2−ピリジル)フェニル)イリジウム(化合物(IV))の合成
Figure 0005031276
三塩化イリジウム三水和物0.68g(1.9mmol)および2−(4−t−ブチルフェニル)キノリン1.1g(4.2mmol)の混合物に、2−エトキシエタノール15mLおよび水5mLを加え、12時間加熱還流した。生成した沈殿をメタノールで洗浄し、減圧乾燥した。得られた固体0.60gおよび2−(4−(1−ヒドロキシエチル)フェニル)ピリジン0.16g(0.80mmol)の混合物にトルエン20mLおよびトリフルオロメタンスルホン酸銀0.21g(0.82mmol)を加え、12時間加熱還流した。得られた反応液をセライトでろ過し、減圧で溶媒を留去した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:クロロホルム)で精製し、化合物(IV)を0.13g(0.15mmol)得た。
FAB−MS:893(M+)、元素分析値 Calcd for C51H46Ir
N3:C,68.58;H,5.19;N,4.70、Found:C,68.22;H,5.30;N,4.94。
[実施例1−1]共重合体(I)の合成
密閉容器に、化合物(I)80mg、上記式(E13)で表される化合物460mg、および上記式(E18)で表される化合物460mgを入れ、脱水トルエン9.9mLを加えた。次いで、V−601(和光純薬工業(株)製)のトルエン溶液(0.1M)198μlを加え、凍結脱気操作を5回繰り返した。真空のまま密閉し、60℃で60時間撹拌した。反応後、反応液をアセトン500mL中に滴下し、沈殿を得た。さらにトルエン−アセトンでの再沈殿精製を2回繰り返した後、50℃で一晩真空乾燥し、共重合体(I)を得た。
共重合体(I)の重量平均分子量(Mw)は36500、分子量分布指数(Mw/Mn)は2.80であった。ICP元素分析および13C−NMR測定の結果から見積もった共
重合体におけるm/(m+n)の値は0.040であった。また、共重合体(I)において、x/nの値は、0.40であり、y/nの値は、0.60であった。
[実施例1−2]共重合体(II)の合成
化合物(I)の代わりに化合物(II)を用いたほかは、実施例1−1と同様にして、共重合体(II)を得た。
共重合体(II)の重量平均分子量(Mw)は50200、分子量分布指数(Mw/Mn)は2.75であった。ICP元素分析および13C−NMR測定の結果から見積もった共重合体におけるm/(m+n)の値は0.044であった。また、共重合体(II)において、x/nの値は、0.38であり、y/nの値は、0.62であった。
[実施例1−3]共重合体(III)の合成
化合物(I)の代わりに化合物(III)を、上記式(E13)で表される化合物の代わりに上記式(E12)を、上記式(E18)で表される化合物の代わりに上記式(E25)で表される化合物を用いた他は、実施例1−1と同様にして共重合体(III)を得た。
共重合体(III)の重量平均分子量(Mw)は46700、分子量分布指数(Mw/Mn)は2.88であった。ICP元素分析および13C−NMR測定の結果から見積もった共重合体におけるm/(m+n)の値は0.045であった。また、共重合体(III)において、x/nの値は、0.52であり、y/nの値は、0.48であった。
[実施例1−4]共重合体(IV)の合成
化合物(III)の代わりに化合物(IV)を用いた他は、実施例1−3と同様にして共重合体(IV)を得た。
共重合体(IV)の重量平均分子量(Mw)は48900、分子量分布指数(Mw/Mn)は2.73であった。ICP元素分析および13C−NMR測定の結果から見積もった共重合体におけるm/(m+n)の値は0.045であった。また、共重合体(IV)において、x/nの値は、0.50であり、y/nの値は、0.50であった。
[実施例2−1]有機EL素子の作製および発光特性の評価
ITO付き基板(ニッポ電機(株)製)を用いた。これは、25mm角のガラス基板の一方の面に、幅4mmのITO(酸化インジウム錫)電極(陽極)が、ストライプ状に2本形成された基板であった。
まず、上記ITO付き基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)・ポリスチレンスルホン酸(バイエル(株)製、商品名「バイトロンP」)を、回転数3500rpm、塗布時間40秒の条件で、スピンコート法により塗布した。その後、真空乾燥器で減圧下、60℃で2時間乾燥し、陽極バッファ層を形成した。得られた陽極バッファ層の膜厚は、約50nmであった。次に、共重合体(I)90mgをトルエン(和光純薬工業(株)製、特級)2910mgに溶解し、この溶液を孔径0.2μmのフィルターでろ過し、塗布溶液を調製した。次いで、上記陽極バッファ層上に、上記塗布溶液を、回転数3000rpm、塗布時間30秒の条件で、スピンコート法により塗布した。塗布後、室温(25℃)で30分間乾燥し、発光層を形成した。得られた発光層の膜厚は、約100nmであった。
次に、発光層を形成した基板を蒸着装置内に載置した。次いで、カルシウムおよびアルミニウムを重量比1:10で共蒸着し、陽極の延在方向に対して直交するように、幅3m
mの陰極をストライプ状に2本形成した。得られた陰極の膜厚は、約50nmであった。
最後に、アルゴン雰囲気中で、陽極と陰極とにリード線(配線)を取り付けて、縦4mm×横3mmの有機EL素子を4個作製した。上記有機EL素子に、プログラマブル直流電圧/電流源(TR6143、(株)アドバンテスト社製)を用いて電圧を印加して発光させた。その発光輝度を、輝度計(BM−8、(株)トプコン社製)を用いて測定した。
作製した有機EL素子は、赤橙色の発光を示し、最大発光外部量子効率は6.0%、最高輝度は3100cd/m2であった。また、初期輝度100cd/m2で電流値を一定にして通電して連続発光し、強制劣化させた際、輝度が半減するまで、3500時間であった。
[実施例2−2]有機EL素子の作製および発光特性の評価
共重合体(I)の代わりに共重合体(II)を用いたほかは、実施例2−1と同様にして、有機EL素子を作製し、発光色および発光輝度の測定を行った。作製した有機EL素子は、赤橙色の発光を示し、最大発光外部量子効率は5.1%、最高輝度は2500cd/m2であった。また、初期輝度100cd/m2で電流値を一定にして通電して連続発光し、強制劣化させた際、輝度が半減するまで、1900時間であった。
[実施例2−3]有機EL素子の作製および発光特性の評価
共重合体(I)の代わりに共重合体(III)を用いたほかは、実施例2−1と同様にして、有機EL素子を作製し、発光色および発光輝度の測定を行った。作製した有機EL素子は、赤橙色の発光を示し、最大発光外部量子効率は5.0%、最高輝度は2700cd/m2であった。また、初期輝度100cd/m2で電流値を一定にして通電して連続
発光し、強制劣化させた際、輝度が半減するまで、1600時間であった。
[実施例2−4]有機EL素子の作製および発光特性の評価
共重合体(I)の代わりに共重合体(IV)を用いたほかは、実施例2−1と同様にして、有機EL素子を作製し、発光色および発光輝度の測定を行った。作製した有機EL素子は、赤橙色の発光を示し、最大発光外部量子効率は6.2%、最高輝度は3500cd/m2であった。また初期輝度100cd/m2で電流値を一定にして通電して連続発光
し、強制劣化させた際、輝度が半減するまで、4700時間であった。
図1は、本発明に係る有機EL素子の例の断面図である。
符号の説明
1: ガラス基板
2: 陽極
3: ホール輸送層
4: 発光層
5: 電子輸送層
6: 陰極

Claims (9)

  1. 下記一般式(1)で表されるイリジウム錯体から導かれる構造単位を有する(共)重合体からなる高分子発光材料。
    Figure 0005031276
    (式中、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、t−ブチル基、ジメチルアミノ基およびメトキシ基からなる群より選ばれる原子または置換基を表し、X1は、下記式(E1)〜(E11)のいずれかで示される置換基を表す。
    Figure 0005031276
    1〜A3は、それぞれ独立に、下記一般式(A4)で表される環状構造を有する2価の置換基を表す。
    Figure 0005031276
    〔式(A4)中、R 6 は、上記式(1)中のR 1 と同義である。〕
  2. 前記イリジウム錯体が、下記式(I)で表わされることを特徴とする請求項1に記載の高分子発光材料。
    Figure 0005031276
  3. 下記一般式(2)で表されるイリジウム錯体から導かれる構造単位を有する(共)重合体からなる高分子発光材料。
    Figure 0005031276
    (式中、Dは、下記一般式(D1)〜(D3)のいずれかで表わされる2座配位子を表す。
    Figure 0005031276
    Figure 0005031276
    Figure 0005031276
    〔式(D1)中のX 2 、式(D2)中のX 3 および式(D3)中のX 4 は、それぞれ独立に、下記式(E1)〜(E11)で示される置換基を表わす。
    Figure 0005031276
    10およびR11は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、t−ブチル基、ジメチルアミノ基およびメトキシ基からなる群より選ばれる原子または置換基を表し、A4およびA5は、それぞれ独立に、下記一般式(A4)で表される環状構造を有する2価の置換基を表す。
    Figure 0005031276
    〔式(A4)中、R 6 は、上記式(1)中のR 1 と同義である。〕
  4. 前記イリジウム錯体が、下記式(II)〜(IV)のいずれかで表わされることを特徴とする請求項3に記載の高分子発光材料。
    Figure 0005031276
    Figure 0005031276
    Figure 0005031276
  5. 前記(共)重合体が、下記式(E12)〜(E17)で示される少なくとも1種以上のホール輸送性の重合性化合物から導かれる構造単位をさらに有することを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の高分子発光材料。
    Figure 0005031276
  6. 前記(共)重合体が、下記式(E18)〜(E25)で示される少なくとも1種以上の電子輸送性の重合性化合物から導かれる構造単位をさらに有することを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の高分子発光材料。
    Figure 0005031276
  7. 陽極と陰極とに挟まれた1層または2層以上の有機高分子層を含む有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記有機高分子層の少なくとも1層に、請求項1〜のいずれかに記載の高分子発光材料を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  8. 請求項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた画像表示装置。
  9. 請求項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた面発光光源。
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