JP2007031678A - 高分子発光材料、および該高分子発光材料を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、高分子発光材料、該発光材料を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子、および該素子を用いた表示装置に関する。より詳しくは、本発明は、高い効率で発光し、長寿命が実現できる、金属錯体から導かれる構造単位を有する重合体からなる高分子発光材料、およびその用途に関する。
近年、有機エレクトロルミネッセンス素子(本明細書において、有機EL素子ともいう)の用途を拡大するために、材料開発が活発に行われている。
例えば、燐光発光性の低分子化合物として、N−(2−ピリジル)カルバゾールが配位したイリジウム錯体(特許文献1参照)などが開示されており、また、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(PVK)中にイリジウム錯体を分散させた、ドープ型発光材料(非特許文献1)なども開示されている。このドープ型発光材料では、約4%の外部発光量子効率が得られている。
例えば、燐光発光性の低分子化合物として、N−(2−ピリジル)カルバゾールが配位したイリジウム錯体(特許文献1参照)などが開示されており、また、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(PVK)中にイリジウム錯体を分散させた、ドープ型発光材料(非特許文献1)なども開示されている。このドープ型発光材料では、約4%の外部発光量子効率が得られている。
しかしながら、上記のような材料においては、発光効率の点で、さらなる改良が求められていた。また、ドープ型発光材料では、ホストとなる高分子中に錯体が分散されているため、熱安定性に劣り、相分離または偏析を起こしやすい。したがって、長寿命の有機EL素子を製造できないという問題もあった。
これに対して、例えば、特許文献2では、フェニルピリジン誘導体が配位したイリジウム錯体から導かれる構造単位を有する高分子発光材料が開示されている。このような高分子発光材料では、発光材料を含む有機溶剤または水の溶液を塗布することによって発光層を成膜でき、有機EL素子の製造工程の簡略化、および素子の大面積化が図られると共に、安定な素子が製造できる。
しかしながら、上記高分子発光材料は寿命が短く、実用化のためには、長寿命の高分子発光材料の開発が望まれていた。
特開2003−342284
特開2003−342325
Jpn.J.Appl.Phys.,39,L828(2000)
本発明の目的は、高い発光効率が得られると共に、長寿命の高分子発光材料を提供することにある。また、本発明の別の目的は、製造工程が簡略化され、大面積化が実現できる有機EL素子および表示装置を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、
特定の金属錯体から導かれる構造単位を有する重合体からなる高分子発光材料により、高い発光効率と共に、長寿命が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
特定の金属錯体から導かれる構造単位を有する重合体からなる高分子発光材料により、高い発光効率と共に、長寿命が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりに要約される。
[1]下記一般式(1)で表される金属錯体から導かれる構造単位を有する重合体から
なることを特徴とする高分子発光材料。
なることを特徴とする高分子発光材料。
(式中、Mは、イリジウム原子または白金原子を表し、R1〜R7は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ジ置換アミノ基、置換基を有していてもよいアリール基、または炭素原子数が1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基を表し、R1とR2とで、R2とR3とで、R4とR5とで、またはR6とR7とで、環構造を形成していてもよく、Lは、重合性置換基を有する、1価アニオンの2座配位子を表し、nは、1または2を示す。)
[2]上記Lが、下記一般式(2)または(3)で表される2座配位子であることを特徴とする上記[2]に記載の高分子発光材料。
(式(2)中、R8は、上記式(1)中のR1と同義であり、式(2)および(3)中、X1
およびX2は、それぞれ独立に、重合性置換基を表す。)
およびX2は、それぞれ独立に、重合性置換基を表す。)
[3]上記重合体が、さらに、ホール輸送性の重合性化合物および電子輸送性の重合性化合物からなる群から選択される少なくとも1種の重合性化合物から導かれる構造単位を有する共重合体からなることを特徴とする上記[1]または[2]に記載の高分子発光材料。
[4]陽極と陰極とに挟まれた1層または2層以上の有機高分子層を含む有機エレクトロルミネッセンス素子において、上記有機高分子層の少なくとも1層に、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の高分子発光材料を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
[5]上記[4]に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた画像表示装置。
[6]上記[4]に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた面発光光源。
本発明に係る高分子発光材料によれば、高い発光効率および長寿命が得られると共に、製造工程が簡略化され、大面積化が実現できる有機EL素子および表示装置を提供することができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
<金属錯体から導かれる構造単位を有する重合体>
本発明に係る高分子発光材料は、特定の金属錯体から導かれる構造単位を有する重合体からなり、該重合体は、上記式(1)で表される金属錯体を含む単量体を重合して得られる。なお、本発明において、上記金属錯体の単量体は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよく、上記重合体には、該金属錯体の単独重合体、および2種以上の該金属錯体の共重合体も含む。
<金属錯体から導かれる構造単位を有する重合体>
本発明に係る高分子発光材料は、特定の金属錯体から導かれる構造単位を有する重合体からなり、該重合体は、上記式(1)で表される金属錯体を含む単量体を重合して得られる。なお、本発明において、上記金属錯体の単量体は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよく、上記重合体には、該金属錯体の単独重合体、および2種以上の該金属錯体の共重合体も含む。
上記高分子発光材料においては、上記金属錯体の単量体を重合しているため、金属錯体の三重項励起状態を経由する発光が得られる。すなわち、上記高分子発光材料を有機EL素子の発光層に用いる場合は、通常は利用が困難な三重項励起状態からの発光を、高い効率で得ることができる。
上記式(1)で表される金属錯体において、Mは、イリジウム原子または白金原子を表す。また、nは、1または2を示す。
上記金属錯体は、置換基を有していてもよいN−(2−ピリジル)カルバゾール配位子が配位しているため、高い発光効率と共に、長寿命の高分子発光材料が得られる。
上記金属錯体は、置換基を有していてもよいN−(2−ピリジル)カルバゾール配位子が配位しているため、高い発光効率と共に、長寿命の高分子発光材料が得られる。
R1〜R7は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ジ置換アミノ基、置換基を有していてもよいアリール基、または炭素原子数が1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基を表す。
上記ジ置換アミノ基の置換基としては、例えば、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基(フェニル基およびナフチル基の置換基としては、例えば、ハロゲン原子;メチル基、トリフルオロメチル基等の、炭素原子数が1〜8の直鎖状または分岐状のアルキル基(該アルキル基中の水素原子はフッ素原子に置換されていてもよい。)などが挙げられる。)などが挙げられる。
上記アリール基の置換基としては、例えば、ハロゲン原子;メチル基、トリフルオロメチル基等の、炭素原子数1〜8の直鎖状または分岐状のアルキル基(該アルキル基中の水素原子はフッ素原子に置換されていてもよい。)などが挙げられる。
上記炭素原子数が1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基において、1つまたは隣接しない2つ以上のメチレン基は、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−CH=CH−、−C≡C−で置換されていていてもよく、1つまたは2つ以上のメチレン基は、置換基を有していてもよい2価の芳香環基(該置換基としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数が1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基(該アルキル基中、1つ、または隣接しない2つ以上のメチレン基は、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−CH=CH−、−C≡C−で置き換えられていてもよく、該アルキル基中の水素原子は、フッ素原子に置換されていてもよい。)などが挙げられる。)で置換されていていてもよく、該アルキル基中の水素原子はフッ
素原子で置換されていてもよい。
素原子で置換されていてもよい。
また、R1とR2とで、R2とR3とで、R4とR5とで、またはR6とR7とで、環構造を形成していてもよい。
これらのうちで、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7が水素原子である場合、および
R1、R2、R3、R4、R7が水素原子であり、R5、R6がメチル基である場合は、高い発
光効率と共に、長寿命の高分子発光材料が得られるため好ましい。
これらのうちで、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7が水素原子である場合、および
R1、R2、R3、R4、R7が水素原子であり、R5、R6がメチル基である場合は、高い発
光効率と共に、長寿命の高分子発光材料が得られるため好ましい。
Lは、重合性置換基を有する、1価アニオンの2座配位子を表す。
上記1価アニオンの2座配位子としては、例えば、水素イオンが1つ脱離して、2つの配位座を含む共役構造が、全体として1価アニオン性となり得る構造を有する化合物から、水素イオンが1つ脱離し、1価のアニオンとなった化合物、または、分子内にピリジン環、カルボニル基、イミン基等の非イオン性の配位座と、水酸基、カルボキシル基等の水素イオンが1つ脱離して1価のアニオン性配位座になり得る部位とを有する化合物などが挙げられる。なお、上記配位子は、置換基を有していてもよく、上記置換基としては、特に限定されず、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ジ置換アミノ基、置換基を有していてもよいアリール基、または炭素原子数が1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基などが挙げられる。
上記1価アニオンの2座配位子としては、例えば、水素イオンが1つ脱離して、2つの配位座を含む共役構造が、全体として1価アニオン性となり得る構造を有する化合物から、水素イオンが1つ脱離し、1価のアニオンとなった化合物、または、分子内にピリジン環、カルボニル基、イミン基等の非イオン性の配位座と、水酸基、カルボキシル基等の水素イオンが1つ脱離して1価のアニオン性配位座になり得る部位とを有する化合物などが挙げられる。なお、上記配位子は、置換基を有していてもよく、上記置換基としては、特に限定されず、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ジ置換アミノ基、置換基を有していてもよいアリール基、または炭素原子数が1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基などが挙げられる。
上記重合性置換基としては、重合性官能基の部分を有することのほか、特に限定されない。例えば、ジ置換アミノ基、置換基を有していてもよいアリール基、炭素原子数が1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基、炭素原子数が1〜20の直鎖状または分岐状のアルコキシ基などであって、かつ重合性官能基の部分を有している置換基が挙げられる。
また、Lは、上記重合性官能基を1つ有することが好ましい。これにより、上記金属錯体から導かれる構造単位は、重合体中で側鎖を形成することができる。
上記重合性官能基は、ラジカル重合性、カチオン重合性、アニオン重合性、付加重合性、および縮合重合性の官能基のいずれであってもよい。これらのうちで、ラジカル重合性の官能基は、重合体の製造が容易であるため好ましい。
上記重合性官能基は、ラジカル重合性、カチオン重合性、アニオン重合性、付加重合性、および縮合重合性の官能基のいずれであってもよい。これらのうちで、ラジカル重合性の官能基は、重合体の製造が容易であるため好ましい。
上記重合性官能基としては、例えば、アリル基、アルケニル基、アクリレート基、メタクリレート基、メタクリロイルオキシエチルカルバメート基等のウレタン(メタ)アクリレート基、ビニルアミド基およびそれらの誘導体などを挙げることができる。
上記重合性官能基がアルケニル基である場合、Lは、下記式(A1)〜(A12)で表される重合性置換基を有することが好ましい。
これらのうちで、上記式(A1)、(A5)、(A8)、(A12)で表される置換基は、上記金属錯体に、重合性置換基が容易に導入できるためより好ましい。
また、Lとしては、上記式(2)または(3)で表される2座配位子が好ましい。これらの配位子は、2つの配位座が1つの金属原子に配位したときに、金属原子を含めて、五員環または六員環構造を形成するため、金属原子に安定に配位できる。
また、Lとしては、上記式(2)または(3)で表される2座配位子が好ましい。これらの配位子は、2つの配位座が1つの金属原子に配位したときに、金属原子を含めて、五員環または六員環構造を形成するため、金属原子に安定に配位できる。
上記式(2)中のX1、および上記式(3)中のX2は、それぞれ独立に、重合性置換基
を表す。X1およびX2は、それぞれ上記式(1)中のLにおける、重合性置換基と同義であり、好ましい範囲も同じである。
を表す。X1およびX2は、それぞれ上記式(1)中のLにおける、重合性置換基と同義であり、好ましい範囲も同じである。
上記式(2)中のR8は、上記式(1)中のR1と同義である。これらのうちで、フェニル基、メチル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基がより好ましい。
上記式(1)で表される金属錯体のうちで、具体的には、高い発光効率と共に、長寿命の高分子発光材料が得られるため、下記式(I)および(II)で表される錯体が特に好ましい。
上記式(1)で表される金属錯体のうちで、具体的には、高い発光効率と共に、長寿命の高分子発光材料が得られるため、下記式(I)および(II)で表される錯体が特に好ましい。
上記式(1)で表されるイリジウム錯体は、例えば、以下のように製造することができる。まず、N−(2−ピリジル)カルバゾール配位子と、0.5当量のイリジウム化合物とを、溶媒中で反応させる。次いで、得られた金属錯体と、重合性置換基を有する2座配位子とを、溶媒中で反応させることによって、上記式(1)で表されるイリジウム錯体が得られる。なお、白金錯体の場合は、例えば、1当量の白金化合物と反応させる他は、上記方法と同様にして得ることができる。
また、上記重合体の重量平均分子量は、1,000〜2,000,000であることが好ましく、5,000〜1,000,000であることがより好ましい。本明細書における分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法を用いて測定されるポリスチレン換算分子量をいう。上記分子量がこの範囲にあると、重合体が有機溶媒に可溶であり、均一な薄膜を得られるため好ましい。
上記重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、および交互共重合体のいずれでもよい。
上記重合体の重合方法は、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、および付加重合のいずれでもよいが、ラジカル重合が好ましい。
<キャリア輸送性の重合性化合物から導かれる構造単位を有する共重合体>
本発明に用いられる重合体は、さらに、ホール輸送性の重合性化合物および電子輸送性の重合性化合物からなる群から選択される少なくとも1種の重合性化合物から導かれる構
造単位を有することが好ましい。上記重合体は、1種または2種以上の上記金属錯体の単量体と共に、さらに、ホール輸送性の重合性化合物および電子輸送性の重合性化合物からなる群から選択される少なくとも1種の重合性化合物を含む単量体を共重合して得られる。なお、本明細書において、ホール輸送性の重合性化合物および電子輸送性の重合性化合物を併せて、キャリア輸送性の重合性化合物ともいう。
上記重合体の重合方法は、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、および付加重合のいずれでもよいが、ラジカル重合が好ましい。
<キャリア輸送性の重合性化合物から導かれる構造単位を有する共重合体>
本発明に用いられる重合体は、さらに、ホール輸送性の重合性化合物および電子輸送性の重合性化合物からなる群から選択される少なくとも1種の重合性化合物から導かれる構
造単位を有することが好ましい。上記重合体は、1種または2種以上の上記金属錯体の単量体と共に、さらに、ホール輸送性の重合性化合物および電子輸送性の重合性化合物からなる群から選択される少なくとも1種の重合性化合物を含む単量体を共重合して得られる。なお、本明細書において、ホール輸送性の重合性化合物および電子輸送性の重合性化合物を併せて、キャリア輸送性の重合性化合物ともいう。
すなわち、上記高分子発光材料は、1種または2種以上の上記金属錯体から導かれる構造単位と共に、1種または2種以上のホール輸送性の重合性化合物から導かれる構造単位、または1種または2種以上の電子輸送性の重合性化合物から導かれる構造単位を有する共重合体からなることが好ましい。このような高分子発光材料は、上記金属錯体から導かれる構造単位上で、ホールと電子とが効率よく再結合するため、高い発光効率が得られる。
また、上記高分子発光材料は、1種または2種以上の上記金属錯体から導かれる構造単位と共に、1種または2種以上のホール輸送性の重合性化合物から導かれる構造単位と、1種または2種以上の電子輸送性の重合性化合物から導かれる構造単位とを有する共重合体からなることがより好ましい。上記高分子発光材料は、ホールと電子とがさらに効率よく再結合するため、より高い発光効率が得られる。また、上記高分子発光材料は、発光性、ホール輸送性および電子輸送性のすべての機能を備えており、他の有機材料を配合することなく、有機EL素子を作成できる。このため、有機EL素子の製造工程がさらに簡略化できると共に、熱的に安定で、耐久性に優れた有機EL素子が得られる。
上記ホール輸送性の重合性化合物および上記電子輸送性の重合性化合物は、上記重合性置換基を有することのほか、特に限定されず、公知のものが用いられる。
上記重合性置換基としては、重合性官能基の部分を有することのほか、特に限定されない。例えば、ジ置換アミノ基、置換基を有していてもよいアリール基、炭素原子数が1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基、または炭素原子数が1〜20のアルコキシ基などであって、かつ重合性官能基の部分を有する置換基が挙げられる。
上記重合性置換基としては、重合性官能基の部分を有することのほか、特に限定されない。例えば、ジ置換アミノ基、置換基を有していてもよいアリール基、炭素原子数が1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基、または炭素原子数が1〜20のアルコキシ基などであって、かつ重合性官能基の部分を有する置換基が挙げられる。
また、上記重合性化合物は、上記重合性官能基を1つ有することが好ましい。これにより、上記重合性化合物から導かれる構造単位は、重合体中で側鎖を形成することができる。
上記重合性官能基は、ラジカル重合性、カチオン重合性、アニオン重合性、付加重合性、および縮合重合性の官能基のいずれであってもよい。これらのうちで、ラジカル重合性の官能基は、重合体の製造が容易であるため好ましい。
上記重合性官能基としては、例えば、アリル基、アルケニル基、アクリレート基、メタクリレート基、メタクリロイルオキシエチルカルバメート基等のウレタン(メタ)アクリレート基、ビニルアミド基およびそれらの誘導体などを挙げることができる。
上記重合性官能基がアルケニル基である場合、上記重合性化合物は、上記式(A1)〜(A12)で表される重合性置換基を有することが好ましい。
上記ホール輸送性の重合性化合物としては、具体的には、下記式(E1)〜(E6)で表される化合物が好ましく、共重合体におけるキャリア移動度が高いため、下記式(E1)〜(E3)で表される化合物がより好ましい。
上記ホール輸送性の重合性化合物としては、具体的には、下記式(E1)〜(E6)で表される化合物が好ましく、共重合体におけるキャリア移動度が高いため、下記式(E1)〜(E3)で表される化合物がより好ましい。
上記電子輸送性の重合性化合物としては、具体的には、下記式(E7)〜(E14)で表される電子輸送性化合物が好ましく、共重合体におけるキャリア移動度が高いため、下記式(E7)、(E12)〜(E14)で表される化合物がより好ましい。
なお、上記式(E1)〜(E14)で表されるキャリア輸送性の重合性化合物において、上記式(A1)で表される重合性置換基を、上記式(A2)〜(A12)で表される重合性置換基に代えた化合物も好適に用いられるが、重合性化合物に重合性置換基を容易に導入できるため、上記式(A1)および(A5)で表される置換基を有する化合物が特に好ましい。
これらのうちで、上記共重合体は、上記金属錯体から導かれる構造単位と、上記ホール輸送性の重合性化合物として、上記式(E1)〜(E3)のいずれかで表される化合物から導かれる構造単位と、上記電子輸送性重合性化合物として、上記式(E7)、(E12)〜(E14)のいずれかで表される化合物から導かれる構造単位とを有することが特に好ましい。このような共重合体からなる高分子発光材料は、耐久性が高く、発光効率も高いため望ましい。この場合に、上記金属錯体として、上記式(I)または(II)で表される錯体を用いることは、高い輝度、さらに高い発光効率と共に、長寿命の高分子発光材
料が得られるため、最も好ましい。
料が得られるため、最も好ましい。
上記式(E1)〜(E14)で表されるキャリア輸送性の重合性化合物は、公知の方法によって製造することができる。
また、上記共重合体の重量平均分子量は、1,000〜2,000,000であることが好ましく、5,000〜1,000,000であることがより好ましい。上記分子量がこの範囲にあると、共重合体が有機溶媒に可溶であり、均一な薄膜を得られるため好ましい。
また、上記共重合体の重量平均分子量は、1,000〜2,000,000であることが好ましく、5,000〜1,000,000であることがより好ましい。上記分子量がこの範囲にあると、共重合体が有機溶媒に可溶であり、均一な薄膜を得られるため好ましい。
上記共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、および交互共重合体のいずれでもよい。
上記共重合体における、上記金属錯体から導かれる構造単位数をmとし、キャリア輸送性化合物から導かれる構造単位数(ホール輸送性の重合性化合物および/または電子輸送性の重合性化合物から導かれる構造単位の総数)をnとしたとき(m、nは1以上の整数を示す)、全構造単位数に対する上記金属錯体から導かれる構造単位数の割合、すなわちm/(m+n)の値は、0.001〜0.5の範囲にあることが好ましく、0.001〜0.2の範囲にあることがより好ましい。m/(m+n)の値がこの範囲にあると、キャリア移動度が高く、濃度消光の影響が小さい、高い発光効率の有機EL素子が得られる。
上記共重合体における、上記金属錯体から導かれる構造単位数をmとし、キャリア輸送性化合物から導かれる構造単位数(ホール輸送性の重合性化合物および/または電子輸送性の重合性化合物から導かれる構造単位の総数)をnとしたとき(m、nは1以上の整数を示す)、全構造単位数に対する上記金属錯体から導かれる構造単位数の割合、すなわちm/(m+n)の値は、0.001〜0.5の範囲にあることが好ましく、0.001〜0.2の範囲にあることがより好ましい。m/(m+n)の値がこの範囲にあると、キャリア移動度が高く、濃度消光の影響が小さい、高い発光効率の有機EL素子が得られる。
上記共重合体の重合方法は、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、および付加重合のいずれでもよいが、ラジカル重合が好ましい。
<有機EL素子>
本発明に係る高分子発光材料は、有機EL素子の材料として用いることが好ましい。上記有機EL素子は、陽極と陰極とに挟まれた1層または2層以上の有機高分子層を含み、上記有機高分子層の少なくとも1層に、上記高分子発光材料が含まれる。本発明に係る高分子発光材料は、簡便な塗布法で発光層を成膜できる利点がある。また、上記高分子発光材料が、上記金属錯体から導かれる構造単位と共に、ホール輸送性の重合性化合物から導かれる構造単位、および電子輸送性の重合性化合物から導かれる構造単位を有する共重合体からなる場合は、他の有機材料を配合することなく、有機EL素子を作成できる。このため、さらに製造工程が簡略化できると共に、安定性および耐久性の高い素子が得られる。
<有機EL素子>
本発明に係る高分子発光材料は、有機EL素子の材料として用いることが好ましい。上記有機EL素子は、陽極と陰極とに挟まれた1層または2層以上の有機高分子層を含み、上記有機高分子層の少なくとも1層に、上記高分子発光材料が含まれる。本発明に係る高分子発光材料は、簡便な塗布法で発光層を成膜できる利点がある。また、上記高分子発光材料が、上記金属錯体から導かれる構造単位と共に、ホール輸送性の重合性化合物から導かれる構造単位、および電子輸送性の重合性化合物から導かれる構造単位を有する共重合体からなる場合は、他の有機材料を配合することなく、有機EL素子を作成できる。このため、さらに製造工程が簡略化できると共に、安定性および耐久性の高い素子が得られる。
本発明に係る有機EL素子の構成の一例を図1に示すが、本発明に係る有機EL素子の構成は、これに限定されない。図1では、透明基板(1)上に設けた陽極(2)および陰極(6)の間に、ホール輸送層(3)、発光層(4)および電子輸送層(5)を、この順で設けている。上記有機EL素子では、例えば、陽極(2)と陰極(6)の間に、1)ホール輸送層/発光層、2)発光層/電子輸送層のいずれかを設けてもよい。また、3)ホール輸送材料、発光材料、電子輸送材料を含む層、4)ホール輸送材料、発光材料を含む層、5)発光材料、電子輸送材料を含む層、6)発光材料の単独層のいずれかの層を一層のみ設けてもよい。さらに、発光層を2層以上積層してもよい。
上記において、本発明に係る高分子発光材料が含まれる層は、ホール輸送性および電子輸送性を併せ持つ発光層として利用できる。
上記の各層は、バインダとして高分子材料などを混合して、形成してもよい。上記高分子材料としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイドなどが挙げられる。
上記の各層は、バインダとして高分子材料などを混合して、形成してもよい。上記高分子材料としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイドなどが挙げられる。
また、上記の各層に用いられる発光材料、ホール輸送材料および電子輸送材料は、それぞれ単独で各層を形成しても、機能の異なる材料を混合して、各層を形成していてもよい。本発明に係る有機EL素子中の発光層においても、本発明に係る高分子発光材料の他に
、発光層のキャリア輸送性を補う目的で、さらに他のホール輸送材料および/または電子輸送材料を含んでいてもよい。このような輸送材料としては、低分子化合物であっても、高分子化合物であってもよい。
、発光層のキャリア輸送性を補う目的で、さらに他のホール輸送材料および/または電子輸送材料を含んでいてもよい。このような輸送材料としては、低分子化合物であっても、高分子化合物であってもよい。
上記ホール輸送層を形成するホール輸送材料、または発光層と混合させるホール輸送材料としては、例えば、TPD(N,N’−ジメチル−N,N’−(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’ジアミン);α−NPD(4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル);m−MTDATA(4、4’,4’’−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン)等の低分子トリフェニルアミン誘導体;ポリビニルカルバゾール;前記トリフェニルアミン誘導体に重合性置換基を導入して重合した高分子化合物;ポリパラフェニレンビニレン、ポリジアルキルフルオレン等の蛍光発光性高分子化合物などを挙げることができる。上記高分子化合物としては、例えば、特開平8−157575号公報に開示されているトリフェニルアミン骨格の高分子化合物などを挙げることができる。上記ホール輸送材料は、1種単独でも、2種以上を混合して用いてもよく、異なるホール輸送材料を積層して用いてもよい。ホール輸送層の厚さは、ホール輸送層の導電率などに依存するため、一概に限定できないが、好ましくは1nm〜5μm、より好ましくは5nm〜1μm、特に好ましくは10nm〜500nmであることが望ましい。
上記電子輸送層を形成する電子輸送材料、または発光層と混合させる電子輸送材料としては、例えば、Alq3(アルミニウムトリスキノリノレート)等のキノリノール誘導体金属錯体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリアジン誘導体、トリアリールボラン誘導体等の低分子化合物;上記の低分子化合物に重合性置換基を導入して重合した高分子化合物を挙げることができる。上記高分子化合物としては、例えば、特開平10−1665号公報に開示されているポリPBDなどを挙げることができる。上記電子輸送材料は、1種単独でも、2種以上を混合して用いてもよく、異なる電子輸送材料を積層して用いてもよい。電子輸送層の厚さは、電子輸送層の導電率などに依存するため、一概に限定できないが、好ましくは1nm〜5μm、より好ましくは5nm〜1μm、特に好ましくは10nm〜500nmであることが望ましい。
また、発光層の陰極側に隣接して、ホールが発光層を通過することを抑え、発光層内でホールと電子とを効率よく再結合させる目的で、ホール・ブロック層が設けられていてもよい。上記ホール・ブロック層を形成するために、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体などの公知の材料を用いることができる。
陽極とホール輸送層との間、または陽極と陽極に隣接して積層される有機層との間に、ホール注入において注入障壁を緩和するために、バッファ層が設けられていてもよい。上記バッファ層を形成するために、銅フタロシアニン、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とポリスチレンスルホン酸(PSS)との混合体などの公知の材料を用いることができる。
陰極と電子輸送層との間、または陰極と陰極に隣接して積層される有機層との間に、電子注入効率を向上するために、厚さ0.1〜10nmの絶縁層が設けられていてもよい。上記絶縁層を形成するために、フッ化リチウム、フッ化マグネシウム、酸化マグネシウム、アルミナなどの公知の材料を用いることができる。
上記のホール輸送層、発光層および電子輸送層の成膜方法としては、例えば、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、インクジェット法、スピンコート法、印刷法、スプレー法、ディスペンサー法などを用いることができる。低分子化合物の場合は、抵抗加熱蒸着または電子ビーム蒸着が好適に用いられ、高分子材料の場合は、インクジ
ェット法、スピンコート法、または印刷法が好適に用いられる。
ェット法、スピンコート法、または印刷法が好適に用いられる。
本発明に係る高分子発光材料を用いて発光層を成膜する場合は、インクジェット法、スピンコート法、ディップコート法または印刷法を用いることができるため、製造工程を簡略化できる。
本発明に係る有機EL素子に用いる陽極材料としては、例えば、ITO(酸化インジウムスズ)、酸化錫、酸化亜鉛、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子など、公知の透明導電材料を用いることができる。この透明導電材料によって形成された電極の表面抵抗は、1〜50Ω/□(オーム/スクエアー)であることが好ましい。上記陽極材料の成膜方法としては、例えば、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、化学反応法、コーティング法などを用いることができる。陽極の厚さは50〜300nmであることが好ましい。
本発明に係る有機EL素子に用いる陰極材料としては、例えば、Li、Na、K、Cs等のアルカリ金属;Mg、Ca、Ba等のアルカリ土類金属;Al;MgAg合金;AlLi、AlCa等のAlとアルカリ金属との合金など、公知の陰極材料を用いることができる。上記陰極材料の成膜方法としては、例えば、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などを用いることができる。陰極の厚さは、好ましくは10nm〜1μm、より好ましくは50〜500nmであることが望ましい。アルカリ金属、アルカリ土類金属などの活性の高い金属を陰極として使用する場合には、陰極の厚さは、好ましくは0.1〜100nm、より好ましくは0.5〜50nmであることが望ましい。また、この場合には、上記陰極金属を保護する目的で、この陰極上に、大気に対して安定な金属層が積層される。上記金属層を形成する金属として、例えば、Al、Ag、Au、Pt、Cu、Ni、Crなどが挙げられる。上記金属層の厚さは、好ましくは10nm〜1μm、より好ましくは50〜500nmであることが望ましい。
本発明に係る有機EL素子の基板としては、上記発光材料の発光波長に対して透明な絶縁性基板が使用でき、ガラスのほか、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリカーボネート等の透明プラスチックなどが用いられる。
本発明に係る有機EL素子は、公知の方法で、マトリックス方式またはセグメント方式による画素として画像装置に好適に用いられる。また、上記有機EL素子は、画素を形成せずに、面発光光源としても好適に用いられる。
<用途>
本発明に係る高分子発光材料、および該高分子発光材料を用いた有機EL素子は、表示素子、ディスプレイ、バックライト、電子写真、照明光源、記録光源、露光光源、読み取り光源、標識、看板、インテリア、光通信などに好適に用いられる。
<用途>
本発明に係る高分子発光材料、および該高分子発光材料を用いた有機EL素子は、表示素子、ディスプレイ、バックライト、電子写真、照明光源、記録光源、露光光源、読み取り光源、標識、看板、インテリア、光通信などに好適に用いられる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例]
[合成例1]イリジウム錯体(I)の合成
(1)N−(2−ピリジル)カルバゾールの合成
反応容器に、カルバゾール1.88g(11.8mmol)、2−ヨードピリジン2.5g(12.2mmol)、炭酸カリウム2.3g(16.7mmol)、銅粉0.7g(11.1mmol)、およびo−ジクロロベンゼン10mlを入れ、180℃で24時間撹拌した。反応物を室温にまで冷却してトルエン100mlを加え、沈殿を濾別した。濾液を濃縮した後、クロロホルムを溶離液としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製を行った。ヘキサン−エタノール溶液で再結晶を行い、N−(2−ピリジル)カルバ
ゾール1.0g(4mmol)を得た。
(2)テトラキス(N−(2−ピリジル)カルバゾリル)(ジ−μ−クロロ)ジイリジウムの合成
反応容器に、塩化イリジウム(III)三水和物0.58g(1.64mmol)、N−(2−ピリジル)カルバゾール1.0(4mmol)、エトキシエタノール45ml、および水15mlの混合物を、窒素気流下室温で30分間撹拌し、その後24時間還流、撹拌した。反応物を室温にまで冷却し、沈殿物を濾取、水洗後、エタノールおよびアセトンで順次洗浄した。室温で減圧乾燥し、テトラキス(N−(2−ピリジル)カルバゾリル)(ジ−μ−クロロ)ジイリジウムの粉末1.0gを得た。
(3)ビス(N−(2−ピリジル)カルバゾリル)(3−ヒドロキシピコリナート)イリジウムの合成
テトラキス(N−(2−ピリジル)カルバゾリル)(ジ−μ−クロロ)ジイリジウム0.20g(0.14mmol)、3−ヒドロキシピコリン酸0.42g(3.0mmol)、および炭酸ナトリウム1.06g(10mmol)を、脱水N,N−ジメチルフォルムアミド50mlに加え、75℃で2時間加熱、撹拌した。反応液を水に投入し、酢酸エチル100mlで抽出した。抽出液を硫酸マグネシウムで脱水し、エバポレータで溶媒を留居した。残渣を少量のクロロホルムに溶解し、ヘキサンを徐々に加えて晶析させることにより、ビス(N−(2−ピリジル)カルバゾリル)(3−ヒドロキシピコリナート)イリジウム0.15g(0.19mmol)を得た。
(4)ビス(N−(2−ピリジル)カルバゾリル)(3−(4−ビニルベンジルオキシ)ピコリナート)イリジウム(イリジウム錯体(I))の合成
ビス(N−(2−ピリジル)カルバゾリル)(3−ヒドロキシピコリナート)イリジウム0.15g(0.19mmol)、炭酸カリウム1.38g(10mmol)、および4−ビニルベンジルクロライド0.50g(3.3mmol)を、脱水N,N−ジメチルフォルムアミド20mlに加え、75℃で2時間加熱、撹拌した。反応液を水に投入し、クロロホルム30mlで抽出した。抽出液を硫酸マグネシウムで脱水し、エバポレータで溶媒を留居した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーで精製し、イリジウム錯体(I)0.16g(0.18mmol)を得た。質量分析(FAB+)により、この化合物の分子イオンに対応する907のピークを確認した。
[合成例2]白金錯体(II)の合成
(1)6−(4−ビニルフェニル)−2,4−ヘキサンジオンの合成
水素化ナトリウム1.23g(60% in oil)(31mmol)を、窒素雰囲気下で秤量した。これに乾燥テトラヒドロフラン60mlを加えて、氷浴で0℃に冷却した。この懸濁液に、アセチルアセトン2.5g(24mmol)およびヘキサメチルホスホリックトリアミド1mlの混合溶液を滴下し、無色の沈殿を得た。0℃で10分間撹拌した後、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.6M)17.5ml(28mmol)を滴下し、沈殿を溶解させ、さらに0℃で20分間撹拌した。得られた薄黄色の溶液に4−ビニルベンジルクロライド4.0g(26mmol)を滴下し、反応液を室温に戻して20分間撹拌後、希塩酸を加えて水層を酸性にした。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、エバポレータで溶媒を留居した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、6−(4−ビニルフェニル)−2,4−ヘキサンジオン3.0g(14mmol)を得た。
(2)ビス(3,6−ジメチル−N−(2−ピリジル)カルバゾリル)(ジ−μ−クロロ)二白金の合成
カルバゾールの代わりに3,6−ジメチルカルバゾールを用いた他は、合成例1のN−(2−ピリジル)カルバゾールの合成と同様にして、3,6−ジメチル−N−(2−ピリジル)カルバゾールを合成した。
[実施例]
[合成例1]イリジウム錯体(I)の合成
(1)N−(2−ピリジル)カルバゾールの合成
反応容器に、カルバゾール1.88g(11.8mmol)、2−ヨードピリジン2.5g(12.2mmol)、炭酸カリウム2.3g(16.7mmol)、銅粉0.7g(11.1mmol)、およびo−ジクロロベンゼン10mlを入れ、180℃で24時間撹拌した。反応物を室温にまで冷却してトルエン100mlを加え、沈殿を濾別した。濾液を濃縮した後、クロロホルムを溶離液としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製を行った。ヘキサン−エタノール溶液で再結晶を行い、N−(2−ピリジル)カルバ
ゾール1.0g(4mmol)を得た。
(2)テトラキス(N−(2−ピリジル)カルバゾリル)(ジ−μ−クロロ)ジイリジウムの合成
反応容器に、塩化イリジウム(III)三水和物0.58g(1.64mmol)、N−(2−ピリジル)カルバゾール1.0(4mmol)、エトキシエタノール45ml、および水15mlの混合物を、窒素気流下室温で30分間撹拌し、その後24時間還流、撹拌した。反応物を室温にまで冷却し、沈殿物を濾取、水洗後、エタノールおよびアセトンで順次洗浄した。室温で減圧乾燥し、テトラキス(N−(2−ピリジル)カルバゾリル)(ジ−μ−クロロ)ジイリジウムの粉末1.0gを得た。
(3)ビス(N−(2−ピリジル)カルバゾリル)(3−ヒドロキシピコリナート)イリジウムの合成
テトラキス(N−(2−ピリジル)カルバゾリル)(ジ−μ−クロロ)ジイリジウム0.20g(0.14mmol)、3−ヒドロキシピコリン酸0.42g(3.0mmol)、および炭酸ナトリウム1.06g(10mmol)を、脱水N,N−ジメチルフォルムアミド50mlに加え、75℃で2時間加熱、撹拌した。反応液を水に投入し、酢酸エチル100mlで抽出した。抽出液を硫酸マグネシウムで脱水し、エバポレータで溶媒を留居した。残渣を少量のクロロホルムに溶解し、ヘキサンを徐々に加えて晶析させることにより、ビス(N−(2−ピリジル)カルバゾリル)(3−ヒドロキシピコリナート)イリジウム0.15g(0.19mmol)を得た。
(4)ビス(N−(2−ピリジル)カルバゾリル)(3−(4−ビニルベンジルオキシ)ピコリナート)イリジウム(イリジウム錯体(I))の合成
ビス(N−(2−ピリジル)カルバゾリル)(3−ヒドロキシピコリナート)イリジウム0.15g(0.19mmol)、炭酸カリウム1.38g(10mmol)、および4−ビニルベンジルクロライド0.50g(3.3mmol)を、脱水N,N−ジメチルフォルムアミド20mlに加え、75℃で2時間加熱、撹拌した。反応液を水に投入し、クロロホルム30mlで抽出した。抽出液を硫酸マグネシウムで脱水し、エバポレータで溶媒を留居した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーで精製し、イリジウム錯体(I)0.16g(0.18mmol)を得た。質量分析(FAB+)により、この化合物の分子イオンに対応する907のピークを確認した。
[合成例2]白金錯体(II)の合成
(1)6−(4−ビニルフェニル)−2,4−ヘキサンジオンの合成
水素化ナトリウム1.23g(60% in oil)(31mmol)を、窒素雰囲気下で秤量した。これに乾燥テトラヒドロフラン60mlを加えて、氷浴で0℃に冷却した。この懸濁液に、アセチルアセトン2.5g(24mmol)およびヘキサメチルホスホリックトリアミド1mlの混合溶液を滴下し、無色の沈殿を得た。0℃で10分間撹拌した後、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.6M)17.5ml(28mmol)を滴下し、沈殿を溶解させ、さらに0℃で20分間撹拌した。得られた薄黄色の溶液に4−ビニルベンジルクロライド4.0g(26mmol)を滴下し、反応液を室温に戻して20分間撹拌後、希塩酸を加えて水層を酸性にした。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、エバポレータで溶媒を留居した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、6−(4−ビニルフェニル)−2,4−ヘキサンジオン3.0g(14mmol)を得た。
(2)ビス(3,6−ジメチル−N−(2−ピリジル)カルバゾリル)(ジ−μ−クロロ)二白金の合成
カルバゾールの代わりに3,6−ジメチルカルバゾールを用いた他は、合成例1のN−(2−ピリジル)カルバゾールの合成と同様にして、3,6−ジメチル−N−(2−ピリジル)カルバゾールを合成した。
得られた3,6−ジメチル−N−(2−ピリジル)カルバゾール0.30g(1.1mmol)、およびテトラクロロ白金(II)酸カリウム0.42g(1.0mmol)を
、酢酸250mlに加え、80℃で72時間撹拌した。この反応液を室温にまで冷却後、沈殿を濾取し、水、アセトン、エーテルの順で洗浄した。減圧乾燥後、ビス(3,6−ジメチル−N−(2−ピリジル)カルバゾリル)(ジ−μ−クロロ)二白金0.15g(0.15mmol)を得た。
(3)(3,6−ジメチル−N−(2−ピリジル)カルバゾリル)(6−(4−ビニルフェニル)−2,4−ヘキサンジオナート)白金(白金錯体(II))の合成
ビス(3,6−ジメチル−N−(2−ピリジル)カルバゾリル)(ジ−μ−クロロ)二白金0.42g(0.50mmol)、および炭酸ナトリウム0.53g(0.50mmol)を、50mlの2−エトキシエタノールに加えた。この混合物に6−(4−ビニルフェニル)−2,4−ヘキサンジオン0.4g(1.8mmol)を加えて、100℃で14時間撹拌した。反応液を室温にまで冷却後、水を加え、生じた沈殿を濾取した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、(3,6−ジメチル−N−(2−ピリジル)カルバゾリル)(6−(4−ビニルフェニル)−2,4−ヘキサンジオナート)白金(白金錯体(II))0.26g(0.38mmol)を得た。質量分析(FAB+)により、この化合物の分子イオンに対応する682のピークを確認した。
[実施例1]共重合体(I)の合成
密閉容器に、イリジウム錯体(I)80mg、重合性化合物(E2)460mg、および重合性化合物(E7)460mgを入れ、脱水トルエン(9.9ml)を加えた。次いで、V−601(和光純薬工業製)のトルエン溶液(0.1M、198μl)を加え、凍結脱気操作を5回繰り返した。真空のまま密閉し、60℃で60時間撹拌した。反応後、反応液をアセトン(500ml)中に滴下し、沈殿を得た。さらにトルエン−アセトンでの再沈殿精製を2回繰り返した後、50℃で一晩真空乾燥し、目的とする共重合体(I)を得た。
[実施例2]共重合体(II)の合成
イリジウム錯体(I)の代わりに白金錯体(II)を用いたほかは、実施例1と同様にして、共重合体(II)を得た。
[実施例3]有機EL素子の作製およびEL発光特性の評価
ITO付き基板(ニッポ電機(株)製)を用いた。これは、25mm角のガラス基板の一方の面に、幅4mmのITO(酸化インジウム錫)電極(陽極)が、ストライプ状に2本形成された基板であった。
、酢酸250mlに加え、80℃で72時間撹拌した。この反応液を室温にまで冷却後、沈殿を濾取し、水、アセトン、エーテルの順で洗浄した。減圧乾燥後、ビス(3,6−ジメチル−N−(2−ピリジル)カルバゾリル)(ジ−μ−クロロ)二白金0.15g(0.15mmol)を得た。
(3)(3,6−ジメチル−N−(2−ピリジル)カルバゾリル)(6−(4−ビニルフェニル)−2,4−ヘキサンジオナート)白金(白金錯体(II))の合成
ビス(3,6−ジメチル−N−(2−ピリジル)カルバゾリル)(ジ−μ−クロロ)二白金0.42g(0.50mmol)、および炭酸ナトリウム0.53g(0.50mmol)を、50mlの2−エトキシエタノールに加えた。この混合物に6−(4−ビニルフェニル)−2,4−ヘキサンジオン0.4g(1.8mmol)を加えて、100℃で14時間撹拌した。反応液を室温にまで冷却後、水を加え、生じた沈殿を濾取した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、(3,6−ジメチル−N−(2−ピリジル)カルバゾリル)(6−(4−ビニルフェニル)−2,4−ヘキサンジオナート)白金(白金錯体(II))0.26g(0.38mmol)を得た。質量分析(FAB+)により、この化合物の分子イオンに対応する682のピークを確認した。
[実施例1]共重合体(I)の合成
密閉容器に、イリジウム錯体(I)80mg、重合性化合物(E2)460mg、および重合性化合物(E7)460mgを入れ、脱水トルエン(9.9ml)を加えた。次いで、V−601(和光純薬工業製)のトルエン溶液(0.1M、198μl)を加え、凍結脱気操作を5回繰り返した。真空のまま密閉し、60℃で60時間撹拌した。反応後、反応液をアセトン(500ml)中に滴下し、沈殿を得た。さらにトルエン−アセトンでの再沈殿精製を2回繰り返した後、50℃で一晩真空乾燥し、目的とする共重合体(I)を得た。
[実施例2]共重合体(II)の合成
イリジウム錯体(I)の代わりに白金錯体(II)を用いたほかは、実施例1と同様にして、共重合体(II)を得た。
[実施例3]有機EL素子の作製およびEL発光特性の評価
ITO付き基板(ニッポ電機(株)製)を用いた。これは、25mm角のガラス基板の一方の面に、幅4mmのITO(酸化インジウム錫)電極(陽極)が、ストライプ状に2本形成された基板であった。
まず、上記ITO付き基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)・ポリスチレンスルホン酸(バイエル(株)製、商品名「バイトロンP」)を、回転数3500rpm、塗布時間40秒の条件で、スピンコート法により塗布した。その後、真空乾燥器で減圧下、60℃で2時間乾燥し、陽極バッファ層を形成した。得られた陽極バッファ層の膜厚は、約50nmであった。
次に、共重合体(I)90mgをトルエン(和光純薬工業(株)製、特級)2910mgに溶解し、この溶液を孔径0.2μmのフィルターでろ過し、塗布溶液を調製した。次いで、上記陽極バッファ層上に、上記塗布溶液を、回転数3000rpm、塗布時間30秒の条件で、スピンコート法により塗布した。塗布後、室温(25℃)で30分間乾燥し、発光層を形成した。得られた発光層の膜厚は、約100nmであった。
次に、発光層を形成した基板を蒸着装置内に載置した。次いで、カルシウムおよびアルミニウムを重量比1:10で共蒸着し、陽極の延在方向に対して直交するように、幅3mmの陰極をストライプ状に2本形成した。得られた陰極の膜厚は、約50nmであった。
最後に、アルゴン雰囲気中で、陽極と陰極とにリード線(配線)を取り付けて、縦4mm×横3mmの有機EL素子を4個作製した。上記有機EL素子に、プログラマブル直流
電圧/電流源(TR6143、(株)アドバンテスト社製)を用いて電圧を印加して発光させた。その発光輝度を、輝度計(BM−8、(株)トプコン社製)を用いて測定した。作製した有機EL素子の最大発光外部量子効率は、5.7%、最高輝度は、1500cd/m2であった。
[実施例4]有機EL素子の作製およびEL発光特性の評価
共重合体(I)の代わりに共重合体(II)を用いたほかは、実施例3と同様にして、有機EL素子を作製し、測定を行った。作製した有機EL素子の最大発光外部量子効率は、5.1%、最高輝度は、800cd/m2であった。
電圧/電流源(TR6143、(株)アドバンテスト社製)を用いて電圧を印加して発光させた。その発光輝度を、輝度計(BM−8、(株)トプコン社製)を用いて測定した。作製した有機EL素子の最大発光外部量子効率は、5.7%、最高輝度は、1500cd/m2であった。
[実施例4]有機EL素子の作製およびEL発光特性の評価
共重合体(I)の代わりに共重合体(II)を用いたほかは、実施例3と同様にして、有機EL素子を作製し、測定を行った。作製した有機EL素子の最大発光外部量子効率は、5.1%、最高輝度は、800cd/m2であった。
1: ガラス基板
2: 陽極
3: ホール輸送層
4: 発光層
5: 電子輸送層
6: 陰極
2: 陽極
3: ホール輸送層
4: 発光層
5: 電子輸送層
6: 陰極
Claims (6)
- 前記重合体が、さらに、ホール輸送性の重合性化合物および電子輸送性の重合性化合物からなる群から選択される少なくとも1種の重合性化合物から導かれる構造単位を有することを特徴とする請求項1または2に記載の高分子発光材料。
- 陽極と陰極とに挟まれた1層または2層以上の有機高分子層を含む有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記有機高分子層の少なくとも1層に、請求項1〜3のいずれかに記載の高分子発光材料を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 請求項4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた画像表示装置。
- 請求項4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた面発光光源。
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JP2005221452A JP2007031678A (ja) | 2005-07-29 | 2005-07-29 | 高分子発光材料、および該高分子発光材料を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子 |
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