JP5029889B2 - 電磁連結装置 - Google Patents
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Description
電磁連結装置は、軸に固定されたロータと、このロータに対向配置されたアマチュアと、磁束を発生させるコイルとを備えたものが一般的である。そして、コイルに通電し、そのコイルから発生した磁束によってロータにアマチュアを吸着させ、又は、通電を解除して、ロータとアマチュアとを離隔させることにより、トルクの伝達・遮断を行うようになっている。
本発明は、互いに対向配置された対向面をそれぞれ有するロータ及びアマチュアと、
所定値の電流が印加されることにより、前記ロータの対向面の外縁部と前記アマチュアの対向面の外縁部とを互いに吸着させるとともに、前記ロータの対向面のうち前記外縁部よりも内方の領域を前記アマチュア側に撓ませるための磁束を発生させるコイルとを備え、前記ロータの円板状をなす対向面は、前記外縁部と、前記外縁部よりも径方向内方側に形成され且つ前記外縁部の先端面に対して前記アマチュアの対向面側から離間する側に没した中間領域と、前記中間領域よりも径方向内方側に形成され且つ前記中間領域に対して前記アマチュアの対向面側から離間する側に没した内周領域とを備え、
前記ロータは、前記コイルに所定の電流を流して前記アマチュアの対向面との間に吸引力を生じさせた場合に前記中間領域及び前記内周領域からなる内方領域が前記アマチュア側に撓んで弾性変形可能な弾性を有するものであり、
前記コイルに所定の電流を流したときに前記アマチュアの対向面に最も近付けられ且つ前記アマチュアの対向面に接触していない状態に撓んだ前記内方領域のうち前記中間領域の径方向内方側の縁部及び前記内周領域の径方向内方側の縁部を通る直線から逆算可能であり、且つ通電を止めて前記内方領域の復元力により撓みが解除されて前記直線上の位置から元に戻った内方領域の位置を示す前記ロータの撓み曲線に、前記コイルに通電していない状態における前記中間領域の径方向内方側の縁部及び前記内周領域の径方向内方側の縁部を一致させていることを特徴とする。
ロータの対向面の内方の領域は、あらかじめロータの撓み曲線に沿って配置されていることから、それぞれの対向面同士を接触させないようにすることができる。
前記コイルに所定の電流を流したときに弾性変形可能な前記アマチュアが前記ロータ側に撓んだ前記アマチュアの対向面の位置を示す撓み曲線から前記ロータ側に所定の間隔を空けて配される前記アマチュアの撓み曲線に、前記中間領域の径方向内方側の縁部及び前記内周領域の径方向内方側の縁部を一致させていることを特徴とする。
ロータの対向面の内方の領域は、あらかじめアマチュアの撓み曲線に沿って配置されていることから、それぞれの対向面同士を接触させないようにすることができる。
以下、本発明の第1の実施形態における電磁連結装置について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態として電磁連結装置を電磁クラッチに適用した例を示したものであり、軸線の半分側のみを示した断面図である。
これら固定部2、ロータ3及びアマチュア4は、磁性部材からなっている。
固定部2には、周方向の全長にわたって延び、後端から先端に向けて没する凹部7が形成されている。凹部7には、通電されることにより起磁力を発生させるコイル8が設けられている。
なお、基盤部12のうち、径方向における外周長孔19と内周長孔20との間の領域を中間領域33とし、径方向における軸部14の外周面と内周長孔20との間の領域を内周領域34というものとする。
なお、図1及び図5において、直線R2は、上記のように、所定の電流を流したときに、内方領域23が一方の主面4aに最も近づけられ、かつ一方の主面4aに接触していない状態に撓んだときの位置を示す直線である。一方、撓み曲線R1は、直線R2上の位置から、通電を止めて基盤部12の復元力により撓みが解除されて内方領域23が元に戻ったときの位置を示す曲線である。つまり、撓み曲線R1は、ロータ3及びアマチュア4の形状、材質、硬さやコイル8に流す電流の大きさなどを考慮して、直線R2から逆算することができる。
まず、主動機器を駆動し、ロータ3を軸線Lを中心として回転させる。このときには、従動機器側に連結されるアマチュア4は、ロータ3に接触していないため、主動機器からのトルクは、従動機器側に伝達されない。
この状態から、コイル8に所定の電流を流すと、コイル8によって起磁力が発生する。そのため、コイル8回りに磁束が生じる。図6において、符号Mは、その磁束のループを示すものである。
磁束は、例えば固定部2の開始点S1からロータ3の側壁部13、基盤部12へと通っていく。基盤部12では、外周長孔19によって径方向内方の磁気抵抗が高くなっているため、磁束はアマチュア4へと伝わる。この磁束は、アマチュア4から径方向内方に向けて進んでいくが、アマチュア側長孔29が設けられていることから、アマチュア側長孔29の手前の地点S2で、ロータ3側に折れて中間領域33へと伝わる。中間領域33では、磁束は径方向内方に向かうが、内周長孔20が設けられていることから、内周長孔20の手前の地点S3でアマチュア4側に折れて再度アマチュア4へと伝わる。そして、磁束は、アマチュア4から径方向内方に向かい、アマチュア4の内縁部から底面3aの内縁部S4へと伝わる。さらに、内縁部S4から軸部14を通って、固定部2のポイントS5へと伝わる。それから、固定部2内を進んで開始点S1に戻る。これにより磁束ループMとなる。
このように、コイル8への通電をオン、オフすることによって、主動機器から従動機器へのトルクの伝達・遮断が行われる。
なお、付勢部材がない場合、コイル8への通電を止めると、ロータ3とアマチュア4とのロックが解除され、互いの一部が接していたとしても、主動機器からのトルクは伝達されず、駆動側のみ回転する。これにより、主動機器からのトルクが遮断される。
そのため、軸線Lから、ロータ3とアマチュア4との接触点(外縁部18,25同士の接触点)までの径寸法(トルク半径)が、最大となり、全体のトルクが増大する。
本実施形態における電磁クラッチ1では、所定の電流以上の電流がコイル8に流れると、吸引力が増大し、底面3aと一方の主面4aとが接触する。
トルク半径は、軸線Lから底面3aと一方の主面4aとの接触点によって決まることから、吸引力が増大すると、底面3aと一方の主面4aとが径方向内方において接触していき、そのため全体のトルク半径が減少する。
したがって、伝達トルクを減少させることができ、トルク制限をかけることができる。
また、外周長孔19、内周長孔20及びアマチュア側長孔29が径方向に交互に配置されていることから、ロータ3からアマチュア4にわたるループを確実に作ることができるだけでなく、径方向の全体にわたって吸引力を増大させることができる。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図8及び図9は、本発明の第2の実施形態を示したものである。
図8及び図9において、図1から図7に記載の構成要素と同一部分については同一符号を付し、その説明を省略する。
この実施形態と上記第1の実施形態とは基本的構成は同一であり、ここでは異なる点についてのみ説明する。
以上より、本実施形態における電磁クラッチ1によれば、上記第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。
また、中間領域33及び内周領域34の表面を、軸線Lに直交する方向に延在させているが、これに限ることはなく、撓み曲線R1,R3に沿って、傾斜をつけてもよい。これによって、通電時に、中間領域33及び内周領域34と一方の主面4aとの間の距離寸法(間隔)を径方向の全長にわたって等しくすることができる。そのため、最大限のトルクを発生させることができる。
また、電磁連結装置として電磁クラッチ1を例に挙げて説明したが、これに限ることはなく、適宜変更可能である。例えば、電磁連結装置として電磁ブレーキなどにも適用可能である。
また、主動機器とロータ3とが連結され、従動機器とアマチュア4とが連結されるとしたが、これに限ることはなく、主動機器と従動機器とを逆に設けてもよい。
なお、本発明の技術範囲は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
3 ロータ
3a 底面(対向面)
4 アマチュア
4a 一方の主面(対向面)
8 コイル
19 外周長孔(ロータ側磁束遮断部)
20 内周長孔(ロータ側磁束遮断部)
29 アマチュア側長孔(アマチュア側磁束遮断部)
R1,R3 撓み曲線
Claims (3)
- 互いに対向配置された対向面をそれぞれ有するロータ及びアマチュアと、
所定値の電流が印加されることにより、前記ロータの対向面の外縁部と前記アマチュアの対向面の外縁部とを互いに吸着させるとともに、前記ロータの対向面のうち前記外縁部よりも内方の領域を前記アマチュア側に撓ませるための磁束を発生させるコイルとを備え、
前記ロータの円板状をなす対向面は、前記外縁部と、前記外縁部よりも径方向内方側に形成され且つ前記外縁部の先端面に対して前記アマチュアの対向面側から離間する側に没した中間領域と、前記中間領域よりも径方向内方側に形成され且つ前記中間領域に対して前記アマチュアの対向面側から離間する側に没した内周領域とを備え、
前記ロータは、前記コイルに所定の電流を流して前記アマチュアの対向面との間に吸引力を生じさせた場合に前記中間領域及び前記内周領域からなる内方領域が前記アマチュア側に撓んで弾性変形可能な弾性を有するものであり、
前記コイルに所定の電流を流したときに前記アマチュアの対向面に最も近付けられ且つ前記アマチュアの対向面に接触していない状態に撓んだ前記内方領域のうち前記中間領域の径方向内方側の縁部及び前記内周領域の径方向内方側の縁部を通る直線から逆算可能であり、且つ通電を止めて前記内方領域の復元力により撓みが解除されて前記直線上の位置から元に戻った内方領域の位置を示す前記ロータの撓み曲線に、前記コイルに通電していない状態における前記中間領域の径方向内方側の縁部及び前記内周領域の径方向内方側の縁部を一致させていることを特徴とする電磁連結装置。 - 互いに対向配置された対向面をそれぞれ有するロータ及びアマチュアと、
所定値の電流が印加されることにより、前記ロータの対向面の外縁部と前記アマチュアの対向面の外縁部とを互いに吸着させるとともに、前記アマチュアの対向面のうち前記外縁部よりも内方の領域を前記ロータ側に撓ませるための磁束を発生させるコイルとを備え、
前記ロータの円板状をなす対向面は、前記外縁部と、前記外縁部よりも径方向内方側に形成され且つ前記外縁部の先端面に対して前記アマチュアの対向面側から離間する側に没した中間領域と、前記中間領域よりも径方向内方側に形成され且つ前記中間領域に対して前記アマチュアの対向面側から離間する側に没した内周領域とを備えたものであり、
前記コイルに所定の電流を流したときに弾性変形可能な前記アマチュアが前記ロータ側に撓んだ前記アマチュアの対向面の位置を示す撓み曲線から前記ロータ側に所定の間隔を空けて配される前記アーマチュアの撓み曲線に、前記中間領域の径方向内方側の縁部及び前記内周領域の径方向内方側の縁部を一致させていることを特徴とする電磁連結装置。 - 前記ロータの対向面の内方の領域に、前記磁束を遮断するロータ側磁束遮断部が、前記ロータの周方向に複数設けられ、かつ前記ロータの径方向に複数設けられており、
前記アマチュアの対向面の内方の領域に、前記磁束を遮断するアマチュア側磁束遮断部が周方向に複数設けられており、
前記ロータ側磁束遮断部と前記アマチュア側磁束遮断部とが、前記径方向に交互に配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電磁連結装置。
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