JP5029081B2 - 光学物品の表面修復方法、表面修復用組成物、表面修復用部材および表面修復用部材の製造方法 - Google Patents

光学物品の表面修復方法、表面修復用組成物、表面修復用部材および表面修復用部材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、光学物品の表面に生じた傷を修復する方法、その修復に使用される表面修復用組成物および表面修復用部材、ならびに表面修復用部材を製造する方法に関する。
一般に、眼鏡レンズなどの光学物品の基材表面には、傷防止のためのハードコート層や、ゴースト及びちらつきを防止するための反射防止層などが形成されている。これらは、基材表面にハードコート層、反射防止層の順で積層されている。
従来では、反射防止層には、特許文献1に記載されているような無機物質が用いられるのが主流であるが、近年では、特許文献2に記載の有機物によって反射防止層の一部を構成する有機膜層を形成する技術も開発されている。
特開2003−294906号公報 特開2004−170500号公報
眼鏡レンズなどの光学物品においては、その表面に傷がつくことがある。表面に無機反射防止層が形成されている光学物品では、表面に傷が一度ついてしまうと、それを修復するには、一度形成した無機反射防止層を剥がしてから再度成膜する必要があった。
しかしながら、無機反射防止層を剥がす作業は煩雑であり、特に、剥がす作業において基材に傷をつけないようにするために慎重な作業が求められている。
これに対して、有機系の反射防止層は、アルカリで溶解することで有機膜層を剥がすことができるが、それでも、プラスチックレンズの有機膜層を剥がし、再度、成膜しなければならず、傷を修復するために煩雑な作業が必要とされている。
本発明の目的は、簡単な作業によって表面に生じた傷を修復することができる光学物品の表面修復方法、表面修復用組成物、表面修復用部材および表面修復用部材の製造方法を提供することである。
本発明の光学物品の表面修復方法は、反射防止層の一部を構成する有機膜層が表面に形成された光学物品の表面の傷を修復する方法であって、前記有機膜層を構成する組成物と同じ屈折率を有し、平均粒径1〜150nmのシリカ系微粒子を含む組成物を含む修復用組成物を前記傷に埋めることを特徴とする。
この構成の発明では、光学物品の表面の有機膜層に生じた傷、例えば、断面V字形の傷に修復用組成物を埋め込んで修復作業を行うが、修復用組成物を埋め込む際に、修復用組成物に含まれる微粒子が傷の開口側端縁を研磨することになり、傷の開口側端縁に鋭角に形成されている角部が摩耗されて鈍角になる。そして、修復用組成物が傷に埋め込まれることで、有機膜層の表面が略平滑になる。さらに、傷に埋め込まれる修復用組成物は有機膜層を構成する組成物と同じ屈折率であるから、傷の表面の内側と外側とで光学的な特性に相違がないので、傷が目立たない。
従って、本発明では、光学物品の表面に生じた傷の修復を、有機膜層自体を剥離することなく、傷に修復用組成物を埋め込むという簡単な作業によって行うことができる。
ここで、本発明では、前記修復用組成物を含むコーティング液を表面修復用部材に染み込ませ、この表面修復用部材で前記光学物品の表面を擦る構成が好ましい。
この構成の本発明では、表面修復用部材を所定の力で光学物品に押し付けた状態で、光学物品の表面に沿って往復させたり、円軌跡に沿って移動させたりするから、傷の開口端縁が修復用組成物に含まれる微粒子で確実に摩耗されることになり、しかも、表面修復用部材に付着される修復用組成物が傷の奥深く埋め込まれることになり、より簡単な作業で傷の修復を効率的に行うことができる。
また、本発明では、前記光学物品の表面の傷に、前記修復用組成物を含むコーティング液を滴下し、前記光学物品の表面を擦ることが好ましい。
この構成の本発明では、液状のコーティング液を傷に滴下するので、傷の奥深くまでコーティング液が行き渡る。そして、表面を擦るだけでよいので、より簡単な作業で傷の修復を確実に行うことができる。
さらに、本発明は、前記光学物品の表面の傷に、前記修復用組成物を含むコーティング液を滴下し、乾燥させた後、前記光学物品の表面を擦ることが好ましい。
この構成の本発明では、液状のコーティング液を傷に滴下するので、傷の奥深くまでコーティング液が行き渡る。コーティング液が乾燥した後、表面を擦るだけでよいので、より簡単な作業で傷の修復を確実に行うことができる。
前記光学物品は眼鏡レンズである構成が好ましい。
この構成の本発明では、眼鏡レンズの傷を容易に効率的に修復することができる。
本発明の光学物品の表面修復用組成物は、前述の光学物品の表面修復方法で用いられる光学物品の表面修復用組成物であって、前記反射防止層は、前記有機膜層と、この有機膜層と基材との間に形成されたハードコート層とを備え、前記有機膜層が前記ハードコート層の屈折率よりも0.10以上低い屈折率を有するコーティング膜であり、前記有機膜層は、少なくとも下記「A2成分」および「A3成分」を含有するものであり、これらの「A2成分」および「A3成分」を組成として含むことを特徴とする。
A2成分」;分子中に1個以上のエポキシ基を含有するエポキシ基含有有機化合物
「A3成分」;平均粒径1〜150nmのシリカ系微粒子
この構成の本発明では、光学物品は、「A2成分」に含まれるエポキシ基の効果により高い柔軟性を発現することができ、「A3成分」により、粒子内部の空隙率を大きくして所望の低屈折率を得ることができるとともに有機膜層のヘーズが増加することがない、という効果を奏することができる。本発明の表面修復用組成物では、「A2成分」および「A3成分」を組成として含むから、前述の好適な光学物品に対して、前述の効果を達成することができる。
光学物品の表面修復用部材にかかる本発明では、前記修復用組成物が繊維に含浸または付着された構成が好ましい。
この構成の本発明では、繊維に修復用組成物が含浸あるいは付着されることで、修復用組成物が表面修復用部材から脱漏することがないので、表面修復用部材の取扱が容易となる。
前記繊維は布の繊維であり、前記修復用組成物は布に含浸または付着されている構成が好ましい。
この構成の本発明では、修復用組成物を含浸・付着させる繊維が布であり、この布は比較的入手が容易な部材であるため、表面修復用部材を安価に提供することができる。その上、同じ繊維からなる紙に比べて布は丈夫であるため、取扱性もよい。さらに、布の繊維を極細のものを用いることで、極細繊維の間に修復用組成物を入り込ませ、多量の修復用組成物を脱漏させることなく繊維に含浸・付着させることができる。
前記微粒子は前記布に対して0.01質量%以上10質量%以下である構成が好ましい。
微粒子が布に対して0.01質量%未満であると、微粒子の研磨剤としての機能が十分に達成できなくなる。微粒子が布に対して10質量%を越えると、微粒子の研磨剤としての機能が大きくなり過ぎ、かえって、光学物品の表面自体に引っ掻き傷を形成することになるので、好ましくない。
本発明に係る光学物品の表面修復用部材の製造方法は、前記修復用組成物から前記有機膜層を形成するためのコーティング液を作製し、このコーティング液を水で希釈し、この希釈したコーティング液を前記布に含浸させ、その後、前記布を乾燥させることを特徴とする。
この構成の本発明では、布が乾燥した状態で表面修復用部材を取り扱うことができるから、取扱が容易となる。
[第一実施形態]
以下、本発明の第一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態で傷が修復される光学物品としての眼鏡レンズの断面図である。
図1に示される通り、眼鏡レンズ1は、レンズ基材10の表面に、耐衝撃性向上のためのプライマー層11、耐擦傷性向上のためのハードコート層12、有機膜層13が、内側から外側に向かって順に積層される。ハードコート層12と有機膜層13とで本実施形態の反射防止層が形成される。
(1.レンズ基材10)
レンズ基材10の材質としては、プラスチック樹脂であれば特に限定されないが、レンズ基材10表面の上層に形成される有機膜層13との屈折率差を得るために、屈折率が1.6以上のレンズ素材を使用することが好ましい。屈折率が1.6以上のレンズ素材としては、イソシアネート基またはイソチオシアネート基を持つ化合物と、メルカプト基を持つ化合物を反応させることによって製造されるポリチオウレタン系プラスチック、あるいはエピスルフィド基を持つ化合物を含む原料モノマーを重合硬化して製造される、エピスルフィド系プラスチック等が挙げられる。
ポリチオウレタン系プラスチックの主成分となるイソシアネート基またはイソチオシアネート基を持つ化合物としては、公知の化合物を用いることができる。
エピスルフィド系プラスチックの原料モノマーとして用いられる、エピスルフィド基を持つ化合物の具体例としては、公知のエピスルフィド基を持つ化合物が何ら制限なく使用できる。例えば、既存のエポキシ化合物のエポキシ基の一部あるいは全部の酸素を硫黄で置き換えることによって得られるエピスルフィド化合物が挙げられる。
また、プラスチックレンズの高屈折率化のためには、エピスルフィド基以外にも硫黄原子を含有する化合物がより好ましく用いることができる。具体例としては、1,2−ビス(β−エピチオプロピルチオ)エタン、ビス−(β−エピチオプロピル)スルフィド、1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)ベンゼン、2,5−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−1,4−ジチアン、ビス−(β−エピチオプロピル)ジスルフィド等が挙げられる。
本実施形態におけるレンズ基材の重合方法としては、特に限定されることなく、一般にレンズ基材の製造に用いられている重合方法を用いることができる。例えば、素材としてビニル系モノマーを用いる場合には、有機過酸化物等の熱重合開始剤を用いて、熱硬化を行い、レンズ基材を製造することができる。また、ベンゾフェノン等の光重合開始剤を用いて、紫外線を照射することによってモノマーを硬化させ、レンズ基材を製造することもできる。
また、イソシアネート基またはイソチオシアネート基を持つ化合物と、メルカプト基を持つ化合物を反応させることによって製造されるポリチオウレタン系プラスチックを用いる場合には、イソシアネート基またはイソチオシアネート基を持つ化合物と、メルカプト基を持つ化合物を混合した後、ウレタン樹脂用の硬化触媒を添加、混合し、加熱硬化することによって製造できる。硬化触媒の具体例としては、エチルアミン、エチレンジアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のアミン化合物、ジブチル錫ジクロライド、ジメチル錫ジクロライド等が挙げられる。
さらに、素材としてエピスルフィド基を有する化合物を含む原料モノマーを重合させることによって得られる、エピスルフィド系のプラスチックをレンズ基材に用いる場合には、エピスルフィド基を持つ化合物を単独で、またはエピスルフィド基と共重合可能な他のモノマーと混合した後、エポキシ樹脂用の硬化触媒を添加、混合し、加熱により重合硬化を行うことによって製造できる。
エポキシ樹脂用の硬化触媒は特に制限はないが、具体例としては、ジメチルベンジルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジエチルエタノールアミン、ジブチルエタノールアミン、トリジメチルアミノメチルフェノール等の3級アミン、エチルメチルイミダゾール等のイミダゾール類、などが挙げられる。また、エピスルフィド基を持つ化合物と共重合可能な他のモノマーとしては、水酸基を持つ化合物、メルカプト基を持つ化合物、1級または2級アミン、カルボキシル基を持つ化合物などが挙げられる。
水酸基を持つ化合物の具体例としては、イソプロピルアルコール、n−ヘキシルアルコール等のアルコール類、エチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート等の多価アルコール類が挙げられる。メルカプト基を持つ化合物の具体例としては、チオフェノール、エチルチオグリコレート、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチアン等が挙げられる。
(2.プライマー層11)
プライマー層11は、レンズ基材10の表面に形成される。プライマー層11は、硫黄原子を含むレンズ基材10と後述するハードコート層12との双方の界面に存在して、不活性な硫黄原子を含むレンズ基材10とハードコート層12との双方への密着性を両立する性質を有し、表面処理膜の耐久性を向上させる役割を担う。加えて外部からの衝撃吸収層としての性質も併せ持ち、耐衝撃性を向上させる性質も有する。また、プライマー層は、少なくとも下記「B1成分」および「B2成分」とを含有したコーティング組成物を用いて形成される。
「B1成分」;極性基を有する有機樹脂ポリマー
「B2成分」;酸化チタンを含有する金属酸化物微粒子
「B1成分」は、レンズ基材とハードコート層の双方に密着性を発現する。「B2成分」は、プライマーの屈折率を発現すると共に、フィラーとしてプライマー層の架橋密度向上に作用して、耐水性、耐候性や耐光性の向上を図ることができる。
「B1成分」としては、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂等の各種樹脂を使用することが可能である。この内、硫黄原子を含むレンズ基材に対する密着性とフィラーとなる金属酸化物微粒子の分散性の点から、ポリエステル樹脂を好ましく用いることができる。
ポリエステル樹脂では、樹脂中のエステル結合および側鎖に付いたヒドロキシル基やエポキシ基がプラスチックレンズ基材表面分子と相互作用を生じ易く、高い密着性を発現する。一方、ポリエステル樹脂のpHは弱酸性を示す場合が多く、フィラーとなる金属酸化物微粒子が安定に存在できるpHと合致する場合が多い。よってプライマー樹脂中に金属酸化物微粒子が局在化せずに均質に分散した状態となり、プライマー層の架橋密度を安定化もしくは向上させ、耐水性および耐光性が向上する。
ポリエステル樹脂としては、特開2000−144048号公報に記載されているポリエステル系熱可塑性エラストマーを例示することができる。ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントにポリエステル、ソフトセグメントにポリエーテルまたはポリエステルを使用したマルチブロック共重合体である。ハードセグメント(H)とソフトセグメント(S)との重量比率は、H/S=30/70〜90/10、好ましくは40/60〜80/20である。
一方、「B2成分」としては、酸化チタンを含有する金属酸化物微粒子であり、平均粒径は、1〜200nm、好ましくは5〜30nmを用いる。また、金属酸化物微粒子は酸化チタンのみを含有するものであってもよく、酸化チタンと他の無機酸化物とを含有するものであってもよい。例えば、他の無機酸化物として、Si、Al、Sn、Sb、Ta、CE、La、FE、Zn、W、Zr、In等金属の酸化物と、酸化チタンとを混合して使用してもよい。さらに、「B2成分」の金属酸化物微粒子は、酸化チタンと他の無機酸化物との複合粒子であってもよい。他の無機酸化物との複合粒子を使用する場合には、例えば、Si、Al、Sn、Sb、Ta、CE、La、FE、Zn、W、Zr、In等の金属の酸化物と、酸化チタンとが複合したものを使用すればよい。
また、「B2成分」は分散媒、例えば水、アルコール、もしくはその他の有機溶媒に分散させたものを用いるのが好ましい。この場合には、金属酸化物微粒子の分散安定性を高めるために、無機酸化物粒子の表面を有機ケイ素化合物、アミン系化合物で処理してもよい。この処理の際に使用される有機ケイ素化合物としては、単官能性シラン、二官能性シラン、三官能性シラン、四官能性シラン等が例示できる。
アミン系化合物としては、アンモニウム、エチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、n−プロピルアミン等のアルキルアミン、ベンジルアミン等のアラルキルアミン、ピペリジン等の脂環式アミン、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンが例示できる。このうち、ポリエステル樹脂との結合力を向上させプライマー膜の架橋密度をさらに向上させ、耐水性、耐候性や耐光性を向上させる目的で、金属酸化物微粒子の最表面を、エポキシ基を有する有機ケイ素化合物で修飾処理した金属酸化物微粒子を用いることが好ましい。なお、これらの有機ケイ素化合物、アミン化合物の添加量は、無機酸化物粒子の重量に対して1〜15%程度の範囲であることが好ましい。
そして、「B2成分」としての酸化チタンを含有する金属酸化物微粒子は、ルチル型の結晶構造を有する複合酸化物核粒子を含むことが好ましい。但し、後述するハードコート層にルチル型の結晶構造を有する酸化チタンを含有する金属酸化物微粒子を使用する場合には、ハードコート層が紫外線吸収性能を有するため、プライマー層には従来のアナターゼ型の結晶構造を有する酸化チタンを含有する複合酸化物微粒子を用いることも可能である。
さらに、酸化チタン以外の無機酸化物微粒子として、酸化スズを使用することも可能である。例えば、酸化スズもしくは酸化スズ粒子と酸化ジルコニウム粒子、または酸化スズ粒子と酸化ジルコニウム粒子と酸化ケイ素粒子等の複合微粒子を核として、その表面を酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、五酸化アンチモン、酸化アルミニウム等の1種もしくは2種以上からなる複合コロイド粒子で被覆された無機酸化物微粒子を用いることが好ましい。酸化スズは酸化チタンに比べて屈折率は低く、高屈折率のプライマー層を得るためには使用量を多くする必要があるものの、酸化チタンのような光活性作用は少ないと考えられ、プライマー層およびハードコート層自体の耐久性が要求される場合において好ましい組み合わせである。
しかしながら、耐光性および屈折率の観点から、プライマー層についてもルチル型の結晶構造を有する酸化チタンを含有する複合酸化物微粒子を用いることがより好ましい。ルチル型の結晶構造を有する酸化チタンを含有する複合酸化物微粒子は、耐光性に優れている上、アナターゼ型に比べて屈折率が高いためにプライマー膜中での使用量を減らせることができ、密着性に寄与する樹脂成分を増量することができる。
このようにして得られるプライマー層形成用のコーティング組成物は、必要に応じ、溶剤に希釈して用いることができる。溶剤としては、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、芳香族類等の溶剤が用いられる。コーティング組成物は、上記成分の他に、必要に応じて、少量の金属キレート化合物、界面活性剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、分散染料、油溶染料、顔料、フォトクロミック化合物、ヒンダードアミン、ヒンダードフェノール系等の耐光耐熱安定剤等を添加し、コーティング液の塗布性、硬化速度および硬化後の被膜性能を改良することもできる。
さらに、コーティング用組成物(コーティング液)の塗布にあたっては、レンズ基材10とプライマー層11との密着性の向上を目的として、レンズ基材10の表面を予めアルカリ処理、酸処理、界面活性剤処理、無機あるいは有機の微粒子による剥離/研磨処理、プラズマ処理を行うことが効果的である。また、コーティング用組成物の塗布/硬化方法としては、ディッピング法、スピンコート法、スプレーコート法、ロールコート法、あるいは、フローコート法等によりコーティング用組成物を塗布した後、40〜200℃の温度で数時間加熱/乾燥することにより、プライマー層を形成できる。
上述した「B1成分」と「B2成分」の含有量は、これらの合計量を100重量部とした場合に、B成分の割合が20〜80重量部であることが好ましい。より好ましくは、40〜60重量部である。「B1成分」の割合が80重量部を越えると、「B2成分」の割合が減るため、屈折率が低下しすぎ、干渉縞が発生して外観が悪くなる。また、フィラーとなる「B2成分」が少ないと架橋密度が低下して、耐水性、耐光性が不足する。「B1成分」の割合が20重量部未満であると、プラスチックレンズ基材とハードコート層に対する密着性が不足する。
また、プライマー層の膜厚は、0.01〜50μm、特に0.1〜30μmの範囲が好ましい。プライマー層が薄すぎると耐水性や耐衝撃性などの基本性能が実現できず、逆に厚すぎると、表面の平滑性が損なわれたり、光学的歪や白濁、曇りなどの外観欠点を発生したりする場合がある。
(3.ハードコート層12)
ハードコート層12は、レンズ基材10の表面に形成されたプライマー層11の上に形成される。 ハードコート層12は、少なくとも以下の「C1成分」と、「C2成分」とを有する。
「C1成分」;ルチル型の結晶構造を有する酸化チタンを含有する金属酸化物粒子
「C2成分」;一般式:R1SiX1 3で示される有機ケイ素化合物(式中、R1は重合可能な反応基を有する炭素数が2以上の有機基、X1は、加水分解性基を表す)
さらに具体的には、少なくとも下記「C1成分」及び「C2成分」を含有するコーティング用組成物から形成されたコーティング膜である。「C1成分」としては、例えば、酸化チタン及び酸化スズ、又は酸化チタン、酸化スズ及び酸化ケイ素からなるルチル型の結晶構造を有する複合酸化物を含む平均粒径1〜200nmの無機酸化物微粒子を挙げることができ、「C2成分」は、一般式:R1SiX1 3で表される有機ケイ素化合物(式中、R1は重合可能な反応基を有する炭素数が2以上の有機基、X1は加水分解性基を表す)が挙げられる。
ハードコート層12は、干渉縞を抑制する目的で、高屈折率のレンズ基材10と同程度の、高い屈折率が要求される。ハードコート層12の高屈折率化への対応は、高屈折率を有する無機酸化物微粒子を用いる方法が一般的であり、具体的には、Al、Sn、Sb、Ta、CE、La、FE、Zn、W、Zr、In、Tiから選ばれる1種又は2種以上の金属の酸化物(これらの混合物を含む)、及び/又は2種以上の金属を含む複合酸化物からなる無色透明の無機酸化物微粒子が用いられる。このうち、屈折率、透明性、分散安定性等の点から酸化チタンを含有する無機酸化物微粒子が一般的に用いられる。
しかしながら、酸化チタンを含有する無機酸化物微粒子をハードコート層用の金属酸化物として用いた場合には次のような問題があった。酸化チタンは、光(紫外線)エネルギーを受けると活性を帯び、強い酸化分解力により、有機物を分解するという特性を有する(以降、光活性と表す)。その結果、酸化チタンがハードコート膜の構成成分として含有されている場合、光活性によりもう一つの主構成成分であるシランカップリング剤等の有機物を分解して、ハードコート膜のクラックや膜ハガレを発生させ、耐久品質が低下する傾向にある。
これに対して、ルチル型の結晶構造を有する酸化チタンを含有する金属酸化物を用いることが好ましい。すなわち、ルチル型の結晶構造を有する酸化チタンを含有する金属酸化物微粒子を使用することで、酸化チタンの光活性に起因する種々の不具合点を改善することができる。それは、酸化チタンを含有する金属酸化物の結晶構造をアナターゼ型に代えてルチル型にすることによって耐候性や耐光性がより向上し、かつ屈折率はアナターゼ型の結晶よりもルチル型の結晶の方が高いので、比較的屈折率の高い無機酸化物微粒子が得られる。
ルチル型の結晶構造を有する酸化チタンは、アナターゼ型の酸化チタンが光(紫外線)エネルギーを受けると活性を帯び、強い酸化分解力により、有機物を分解するという特性を有するのと異なり、このような光活性が低い。これは、光(紫外線)を照射すると酸化チタンの価電子帯の電子が励起されて、OHフリーラジカルとHO2フリーラジカルがで
き、この強力な酸化力により有機物を分解するが、アナターゼ型酸化チタンよりルチル型酸化チタンの方が熱エネルギー的に安定であるため、フリーラジカルの生成量が極めて少ないためである。よって、ルチル型の結晶構造の酸化チタンを配合したハードコート層12が耐候性や耐光性に優れているため、有機膜層13がハードコート層12によって変質されるおそれが無く、耐候性や耐光性に優れたプラスチックレンズが得られる。
ルチル型の結晶構造を有する酸化チタンを得る手法はいくつか考えられるが、酸化スズとの複合酸化物、さらに酸化ケイ素を加えた複合酸化物とすることが好ましい。酸化スズとの複合酸化物を加えた場合、無機酸化物微粒子中に含まれる酸化チタン及び酸化スズの量は、酸化チタンをTiO2に換算し、酸化スズをSnO2に換算したとき、TiO2/S
nO2の重量比が1/3〜20/1、好ましくは1.5/1〜13/1の範囲にあること
が望ましい。
SnO2の量を上記重量比の範囲よりも少なくしていくと、結晶構造がルチル型からア
ナターゼ型にシフトしていき、ルチル型の結晶とアナターゼ型の結晶を含む混晶になる、あるいはアナターゼ型の結晶となる。また、SnO2の量を上記重量比の範囲よりも多く
していくと、酸化チタンのルチル型結晶と酸化スズのルチル型結晶の中間にあるルチル型の結晶構造となり、いわゆる酸化チタンのルチル型結晶とは異なる結晶構造を示すようになり、しかも得られる無機酸化物微粒子の屈折率も低下する。
また、酸化スズとの複合酸化物、さらに酸化ケイ素を加えた複合酸化物を加えた場合、無機酸化物微粒子中に含まれる酸化チタン、酸化スズ、及び酸化ケイ素の量は、酸化チタンをTiO2に換算し、酸化スズをSnO2に換算し、酸化ケイ素をSiO2に換算したと
き、TiO2/SnO2の重量比が1/3〜20/1、好ましくは1.5/1〜13/1の範囲にあり、かつ(TiO2+SnO2)/SiO2の重量比が55/45〜99/1、好
ましくは70/30〜98/2の範囲にあることが望ましい。
SnO2の含有量については、酸化スズとの複合酸化物を加えた場合と同様であるが、これに酸化ケイ素を含ませることにより、得られる無機酸化物微粒子の安定性と分散性を向上させることができる。ここで、SiO2の量を上記重量比の範囲よりも少なくしてい
くと、安定性と分散性が低下する。また、SiO2の量を上記重量比の範囲よりも多くし
ていくと、この安定性と分散性はより向上するが、得られる無機酸化物微粒子の屈折率が低下するので好ましくない。しかし、このルチル型酸化チタンにおいてもフリーラジカルは生成される。これについては、酸化チタンを含有する無機酸化物微粒子として、酸化チタンを含有する2種以上の複合酸化物を含む無機酸化物微粒子を使用した場合も同様である。
そのため、本実施形態のプラスチックレンズにおけるハードコート層12は、下記「C1成分」及び「C2成分」を含有するコーティング用組成物から形成されたコーティング膜とすることが好ましい。「C1成分」は、酸化チタン及び酸化スズ、又は酸化チタン、酸化スズ及び酸化ケイ素からなるルチル型の結晶構造を有する複合酸化物の核粒子の表面を、酸化ケイ素と酸化ジルコニウム及び/又は酸化アルミニウムからなる複合酸化物の被覆層で被覆したものを含む平均粒径1〜200nmの金属酸化物微粒子。「C2成分」は、一般式:R1SiX1 3で表される有機ケイ素化合物(式中、R1は重合可能な反応基を有する炭素数が2以上の有機基、X1は加水分解性基を表す)。
酸化チタンに光(紫外線)を照射すると酸化チタンの価電子帯の電子が励起されて、OHフリーラジカルとHO2フリーラジカルができ、この強力な酸化力により有機物を分解
するが、アナターゼ型酸化チタンよりルチル型酸化チタンの方が熱エネルギー的に安定であるため、フリーラジカルの生成量が極めて少ない。しかし、このルチル型酸化チタンにおいてもフリーラジカルは生成されるため、複合酸化物からなる核粒子の表面を、酸化ケイ素と酸化ジルコニウム及び/又は酸化アルミニウムからなる複合酸化物の被覆層で被覆したものを使用することが望ましい。これは、核粒子で生成されたフリーラジカルは、同様に強力な酸化力を有しているものの不安定であるため、被覆層を通過する間に被覆層の触媒作用により消滅するからである。
前記核粒子中に含まれる酸化チタン及び酸化スズ、又は酸化チタン、酸化スズ及び酸化ケイ素の含有量については、上記に示した場合と同様であるが、被覆層に含まれる酸化ケイ素と酸化ジルコニウム及び酸化アルミニウムの含有量は、用いる複合酸化物の組み合わせにより、以下の(a)〜(c)に示す範囲から選択することが好ましい。
(a)被覆層が酸化ケイ素と酸化ジルコニウムの複合酸化物で形成される場合、被覆層に含まれる酸化ケイ素と酸化ジルコニウムの量は、酸化ケイ素をSiO2に換算し、酸化ジルコニウムをZrO2に換算したとき、SiO2/ZrO2の重量比が50/50〜99/1、好ましくは65/35〜90/10の範囲にあることが望ましい。
ZrO2の量が上記重量比の範囲より多くなると、フリーラジカルをトラップすることのできるZr原子は増加するが、被覆層にひずみが生じて緻密な被覆層が形成されないため、核粒子で生成したフリーラジカルが無機酸化物微粒子の表面に出てきて、有機物の酸化を招くことになる。また、ZrO2の量が上記重量比の範囲より少なくなると、緻密な被覆層はでき易くなるが、フリーラジカルをトラップするためのZr原子が少ないため、核粒子で生成したフリーラジカルが無機酸化物微粒子の表面に出てきて、有機物の酸化を招くことになる。
(b)被覆層が酸化ケイ素と酸化アルミニウムの複合酸化物で形成される場合、被覆層に含まれる酸化ケイ素と酸化アルミニウムの量は、酸化ケイ素をSiO2に換算し、酸化アルミニウムをAl23に換算したとき、SiO2/Al23の重量比が60/40〜99/1、好ましくは68/32〜95/5の範囲にあることが望ましい。
ここで、Al23の量が上記範囲より多くなると、フリーラジカルをトラップすることのできるAl原子は増加するが、緻密な被覆層ができないため、核粒子で生成したフリーラジカルが無機酸化物微粒子の表面に出てきて、有機物の酸化を招くことになる。また、Al23の量が上記範囲より少なくなると、緻密な被覆層はでき易くなるが、フリーラジカルをトラップするためのAl原子が少ないため、核粒子で生成したフリーラジカルが無機酸化物微粒子の表面に出てきて、有機物の酸化を招くことになる。
(c)被覆層が酸化ケイ素と酸化ジルコニウム及び酸化アルミニウムの複合酸化物で形成される場合、被覆層に含まれる酸化ケイ素と酸化ジルコニウム及び酸化アルミニウムの量は、酸化ケイ素をSiO2に換算し、酸化ジルコニウムをZrO2に換算し、酸化アルミニウムをAl23に換算したとき、SiO2/(ZrO2+Al23)の重量比が98/2〜6/4、好ましくは95/5〜7/3の範囲にあることが望ましい。
ZrO2とAl23の合計量が上記重量比の範囲より多くなると、フリーラジカルをトラップすることのできるZr原子とAl原子の合計量は増加するが、緻密な被覆層ができないため、核粒子で生成したフリーラジカルが無機酸化物微粒子の表面に出てきて、有機物の酸化を招くことになる。また、ZrO2とAl23の合計量が上記重量比の範囲より少なくなると、緻密な被覆層はでき易くなるが、フリーラジカルをトラップするためのZr原子とAl原子の合計量が少ないため、核粒子で生成したフリーラジカルが無機酸化物微粒子の表面に出てきて、有機物の酸化を招くことになる。また、被覆層の厚さは、核粒子で生成したフリーラジカルが無機酸化物微粒子の表面に出てきて、有機物の酸化を招くことを防ぐ観点から、0.02〜2.27nm、好ましくは0.16〜1.14nmの範囲にあることが望ましい。
なお、ここでいう核粒子を構成する複合酸化物は、酸化チタン及び酸化スズからなる複合固溶体酸化物(ドープされた複合酸化物を含む)及び/又は複合酸化物クラスター、或いは酸化チタン、酸化スズ及び酸化ケイ素からなる複合固溶体酸化物(ドープされた複合酸化物を含む)及び/又は複合酸化物クラスターを意味する。また、核粒子及び/又は被覆層を構成する複合酸化物は、末端にOH基を有する複合含水酸化物であってもよく、さらに複合含水酸化物を一部含むものであってもよい。
酸化チタンを含有する無機酸化物微粒子の平均粒径は、1〜200nm、好ましくは5〜30nmの径の範囲が望ましい。平均粒径が1nm未満であると、プラスチックレンズ基材上にハードコート層を形成するための乾燥過程で、粒子同士がブリッジ化して均一に収縮しなくなり、さらにはその収縮率も低下して、充分な膜硬度を有するハードコート層12が得られなくなる。一方、平均粒径が200nmを超えると、ハードコート層12が白色化し、光学部品の用途には適さなくなる。
また、ルチル型の結晶構造を有する酸化チタンを含有する無機酸化物微粒子は単独で用いても良く、あるいは他の無機酸化物粒子と併用してもよい。他の無機酸化物粒子としては、Si,Al,Sn,Sb,Ta,CE,La,FE,Zn,W,Zr,Inから選ばれる1種又は2種以上の金属の酸化物(これらの混合物を含む)、及び/又は2種以上の金属を含む複合酸化物からなる無機酸化物微粒子を例示することができる。
無機酸化物微粒子の具体的な例としては、平均粒径1〜200nmのルチル型の結晶構造を有する酸化チタンを含有する無機酸化物微粒子が、例えば水、アルコール系もしくはその他の有機溶媒にコロイド状に分散した分散媒である。市販品の分散媒としては、酸化チタン及び酸化スズ、又は酸化チタン、酸化スズ及び酸化ケイ素からなるルチル型の結晶構造を有する複合酸化物の核粒子の表面を、酸化ケイ素と酸化ジルコニウム及び/又は酸化アルミニウムからなる複合酸化物の被覆層で被覆した平均粒径8〜10nmの無機酸化物微粒子を含むコーティング用の分散ゾル(触媒化成工業(株)製、オプトレイク)等を挙げることができる。
さらに、コーティング用組成物での分散安定性を高めるために、これらの無機酸化物微粒子表面を有機ケイ素化合物またはアミン系化合物、さらには酒石酸、リンゴ酸等のカルボン酸で処理したものを使用することも可能である。この際に用いられる有機ケイ素化合物としては、単官能性シラン、二官能性シラン、三官能性シラン、四官能性シラン等が挙げられる。また、処理に際しては加水分解性基を未処理で行う、あるいは加水分解して行ってもよい。さらに加水分解処理後は、加水分解性基が微粒子の−OH基と反応した状態が好ましいが、一部残存した状態でも安定性には何ら問題がない。
また、アミン系化合物としてはアンモニウムまたはエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、n−プロピルアミン等のアルキルアミン、ベンジルアミン等のアラルキルアミン、ピペリジン等の脂環式アミン、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンが挙げられる。
無機酸化物微粒子の種類や配合量は、目的とする硬度や屈折率等により決定されるものであるが、配合量はハードコート組成物中の固形分の5〜80重量%、特に10〜50重量%の範囲であることが望ましい。配合量が少なすぎると、コーティング膜の耐摩耗性が不十分となる場合がある。一方、配合量が多すぎると、コーティング膜にクラックが生じ、染色性も不十分となる場合がある。
次に「C2成分」(一般式:R1SiX1 3で表される有機ケイ素化合物)について説明する。
「C2成分」は、ハードコート層のバインダー剤としての役割を果たす。「C2成分」の一般式中、R1は、重合可能な反応基を有する有機基であり、炭素数は2以上である。R1はビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基、1−メチルビニル基、エポキシ基、メルカプト基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基等の重合可能な反応基を有する。また、X1は、加水分解可能な官能基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基等のアルコキシ基、クロロ基、ブロモ基等のハロゲン基、アシルオキシ基等があげられる。
「C2成分」の有機ケイ素化合物としては、例えば、ビニルトリアルコキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリ(β−メトキシ−エトキシ)シラン、アリルトリアルコキシシラン、アクリルオキシプロピルトリアルコキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリアルコキシシラン、メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、γ−アミノプロピルトリアルコキシシラン等があげられる。この「C2成分」の有機ケイ素化合物は、2種類以上を混合して用いてもよい。
そして、「C1成分」を「C2成分」と混合して、ハードコート層12を形成するためのハードコート液を製造する際には、「C1成分」が分散したゾルと、「C2成分」とを混合することが好ましい。「C1成分」の配合量は、ハードコート層12の硬度や、屈折率等により決定されるものであるが、ハードコート液中の固形分の5〜80重量%、特に10〜60重量%であることが好ましい。配合量が少なすぎると、ハードコート層の耐磨耗性が不十分となり、配合量が多すぎると、ハードコート層12にクラックが生じることがある。また、ハードコート層12を染色する場合には、染色性が低下する場合もある。
さらに、ハードコート層12は、「C1成分」、「C2成分」だけでなく、多官能性エポキシ化合物を含有することが非常に有用である。多官能性エポキシ化合物は、プライマー層に対するハードコート層12の密着性を向上させるとともに、ハードコート層12の耐水性およびプラスチックレンズとしての耐衝撃性を向上させることができる。また、多官能性エポキシ化合物の分子中にヒドロキシル基が存在すると、プライマー層11との密着性が向上することが認められる。従って、一分子中に一個以上のヒドロキシル基を含む多官能性エポキシ化合物を用いることによって、この多官能性エポキシ化合物の配合量を減らすことが可能であるため、耐擦傷性を向上させることができる。特に、ハードコート層12の上面に後述する有機膜層13を形成した場合には、有機膜層13の膜厚が非常に薄くなることが多く、さらに、有機膜層13に内部空洞を有するシリカ系微粒子を使用する場合には、水分を通しやすくなるために、ハードコート層12に耐水性が必要となる。よって多官能性エポキシ化合物は非常に有用である。
多官能性エポキシ化合物としては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル、ノナエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ノナプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールヒドロキシヒバリン酸エステルのジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリセロールジグリシジルエーテル、ジグリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリセロールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネートのジグリシジルエーテル、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネートのトリグリシジルエーテル、等の脂肪族エポキシ化合物、イソホロンジオールジグリシジルエーテル、ビス−2,2−ヒドロキシシクロヘキシルプロパンジグリシジルエーテル等の脂環族エポキシ化合物、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、オルトフタル酸ジグリシジルエーテル、フェノールノボラックポリグリシジルエーテル、クレゾールノボラックポリグリシジルエーテル等の芳香族エポキシ化合物等が挙げられる。
このうち、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネートのトリグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ化合物を好ましく用いることができる。
さらに、ハードコート層12に硬化触媒を添加してもよい。硬化触媒としては、例えば、過塩素酸、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸マグネシウム等の過塩素酸類、Cu(II)、Zn(II)、Co(II)、Ni(II)、BE(II)、CE(III)、Ta(III)、Ti(III)、Mn(III)、La(III)、Cr(III)、V(III)、Co(III)、FE(III)、Al(III)、CE(IV)、Zr(IV)、V(IV)等を中心金属原子とするアセチルアセトナート、アミン、グリシン等のアミノ酸、ルイス酸、有機酸金属塩等が挙げられる。
このうち好ましい硬化触媒としては、過塩素酸マグネシウム、Al(III),FE(III)を中心金属原子とするアセチルアセトナートが挙げられる。特に、FE(III)を中心金属原子とするアセチルアセナートを使用することが最も好ましい。 硬化触媒の添加量は、ハードコート液の固形分濃度の0.01〜5.0重量%の範囲内が望ましい。
このようにして得られるハードコート層形成用のコーティング用組成物は、必要に応じ、溶剤に希釈して用いることができる。溶剤としては、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、芳香族類等の溶剤が用いられる。また、ハードコート層形成用のコーティング用組成物は、必要に応じて、少量の金属キレート化合物、界面活性剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、分散染料、油溶染料、顔料、フォトクロミック化合物、ヒンダードアミン、ヒンダードフェノール系等の耐光耐熱安定剤等を添加し、コーティング液の塗布性、硬化速度および硬化後の被膜性能を改良することもできる。
また、コーティング用組成物の塗布・硬化方法としては、ディッピング法、スピンコート法、スプレーコート法、ロールコート法、あるいは、フローコート法によりコーティング用組成物を塗布した後、40〜200℃の温度で数時間加熱乾燥することにより、ハードコート被膜を形成する。なお、ハードコート層の膜厚は、0.05〜30μmであることが好ましい。膜厚が0.05μm未満では、基本性能が実現できない。また、膜厚が30μmを越えると表面の平滑性が損なわれたり、光学歪みが発生したりする場合がある。
(4.有機膜層13)
有機膜層13は、ハードコート層12の屈折率よりも0.10以上低い屈折率を有し、かつ50nm〜150nmの膜厚の薄膜であり、少なくとも「A1成分」;一般式、X2 3−mSi−Y−SiR2 3−mで表される有機ケイ素化合物(R2は炭素数1〜6の一価炭化水素基。Yはフッ素原子を1個以上含有する二価有機基。Xは加水分解性基。mは1〜3の整数である。)、「A2成分」;分子中に1個以上のエポキシ基を含有するエポキシ基含有有機化合物、および「A3成分」;平均粒径1〜150nmのシリカ系微粒子を有する。
有機膜層13としては、ハードコート層12の屈折率よりも0.10以上低い屈折率を有し、かつ50nm〜150nmの膜厚で、必須成分A1,A2,A3を含有しておれば特に制限は無く、シリコーン系、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系、メラミン系などの樹脂と2種以上併用して成膜した有機薄膜を用いてもよい。このうち特に、プラスチックレンズとしての耐熱性、耐薬品性、耐擦傷性、などの諸特性を考慮した場合は、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂を含む低屈折率層とすることが好ましく、この際に、表面硬度の向上や、屈折率の調整のため、A成分以外の微粒子状無機物などを添加することも可能である。添加する微粒子状無機物としては、コロイド状に分散したゾルなどが挙げられ、低屈折率という観点から、フッ化マグネシウムゾル、フッ化カルシウムゾルなどが挙げられる。
ここで、「A1成分」は、一般式、X2 3−mSi−Y−SiR2 3−mで表される有機ケイ素化合物であるが、式中のYは、フッ素原子を1個以上有する二価有機基であり、フッ素原子の個数は好ましくは4〜50個、特に好ましくは4〜24個とする。特に、反射防止性、防汚性、撥水性等の諸機能を良好に発現させるためには、フッ素原子を多量に含有していることが好ましいが、多すぎると、架橋密度が低下するため十分な耐擦傷性が得られない場合が生ずる。従って、Yとしては下記の構造のものが好ましい。
−CHCH(CF)nCHCH
−C−CF(CF)−(CF)n−CF(CF)−C
〔nは2〜20の整数〕
上記構造中のnとしては2〜20の値を満たす必要があるが、より好ましくは2〜12、特に好ましくは4〜10の範囲を満たすのがよい。これより少ないと、反射防止性、防汚性、撥水性等の諸機能、及び耐薬品性を十分に得ることができない場合があり、多すぎると、架橋密度が低下するため十分な耐擦傷性が得られない場合が生ずる。
2は、炭素数1〜6の一価炭化水素基を表すが、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等のアルキル基、フェニル基等を例示することができる。良好な耐擦傷性を得るには、メチル基が好ましい。
mは1〜3の整数であるが、好ましくは2又は3とするものであり、特に高硬度な被膜にするにはm=3とするのが好ましい。
Xは、加水分解性基を表す。具体例としては、Clなどのハロゲン原子、ORX(RXは炭素数1〜6の一価炭化水素基)で示されるオルガノオキシ基、特にメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基、イソプロペノキシ基などのアルケノキシ基、アセトキシ基等のアシルオキシ基、メチルエチルケトキシム基等のケトオキシム基、メトキシエトキシ基等のアルコキシアルコキシ基などを挙げることができる。これらの中でアルコキシ基が好ましく、特にメトキシ基、エトキシ基のシラン化合物が取り扱い易く、加水分解時の反応の制御もし易いため、好ましい。
このような「A1成分」の具体例としては、例えば下記のものが挙げられる。
Figure 0005029081
上記「A1成分」は、有機膜層13を構成する組成物中の樹脂成分全量に対して60〜99重量%の範囲、好ましくは60〜90重量%の範囲で含有されるものであり、このため「A1成分」の有機ケイ素化合物による被膜の耐薬品性の向上をなすことができ、従来のポリシロキサン系の被膜の弱点であった耐アルカリ性の向上をなすことができるものである。
また、「A2成分」である分子中に1個以上のエポキシ基を含有するエポキシ基含有有機化合物としては、適宜のものを用いることができる。組成物中において樹脂成分全量に対して5〜20重量%の範囲で含有させることが好ましく、この範囲よりも少ないと被膜の耐クラック性及びハードコート層との密着性を十分に向上することができず、またこの範囲より多いと、また被膜の耐摩耗性が低下するおそれがある。
このエポキシ基含有有機化合物としては、好ましくは一般式R3nR4pSiZ4−〔n+p〕〔R3,R4は炭素数1〜16の有機基であり、少なくとも一方はエポキシ基を含む。Zは加水分解性基。n,pは0〜2の整数であって1≦n+p≦3である。〕で表される化合物と、下記一般式(1)で示される化合物とから選ばれるものを用いるものであり、このような化合物から一種又は複数種を用いることができる。この場合、被膜の耐薬品性及び耐摩耗性を低下させることなく、耐クラック性を更に向上することができる。これらの化合物の合計の含有量は、樹脂成分全量に対して1〜20重量%の範囲であることが好ましく、この含有量が過小であると耐クラック性の向上を十分になすことができないおそれがあり、またこの含有量が過剰であると耐薬品性及び耐摩耗性を低下させるおそれがある。
Figure 0005029081
上記一般式R3nR4pSiZ4−〔n+p〕で表される化合物としては、基材への付着性、得られる塗膜の硬度および低反射性、組成物の寿命等の目的に応じて適宜選択されるが、例えば、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジエトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
また、上記一般式(1)で示される化合物では、式中のR5〜R16はメチル基等の適宜の炭化水素基などの有機基を挙げることができる。また、このR5〜R16のうち少なくとも一つはエポキシ基を含むものであり、例えば下記構造を有するものを挙げることができる。
Figure 0005029081
このような一般式(1)で示される化合物の具体例としては、例えば下記に示すものを挙げることができる。
Figure 0005029081
Figure 0005029081
また、エポキシ基含有有機化合物としては、一般式R3nR4pSiZ4−〔n+p〕、および一般式(1)に示すもののほか、適宜のエポキシ化合物を用いることもできる。このようなエポキシ化合物としては、例えば下記に示すものを挙げることができる。
Figure 0005029081
また、「A3成分」のシリカ系微粒子としては、平均粒径1〜150nmシリカ系微粒子を、例えば水、アルコール系もしくはその他の有機溶媒からなる分散媒、にコロイド状に分散させたシリカゾルを挙げることができる。また、低屈折率化のために、例えば内部に空洞ないし空隙が形成されているシリカ系微粒子からなるシリカゾルを用いることが好ましい。シリカ系微粒子の内部空洞内にシリカよりも屈折率が低い気体または溶媒が包含されることによって、空洞のないシリカ系微粒子に比べてより屈折率が低減し、反射防止層の低屈折率化が達成される。
内部に空洞を有するシリカ系微粒子は、特開2001−233611号公報に記載されている方法等で製造することができるが、本発明では、平均粒径が20〜150nmの範囲にあり、かつ屈折率が1.16〜1.39の範囲にあるものを使用することが望ましい。粒子の平均粒径が20nm未満になると、粒子内部の空隙率が小さくなって、所望の低屈折率が得られなくなる。また、平均粒径が150nmを超えると、有機薄膜のヘーズが増加するので好ましくない。このように内部空洞を有するシリカ系微粒子としては、平均粒径20〜150nm、屈折率1.16〜1.39の中空シリカ微粒子を含む分散ゾル(触媒化成工業(株)製、スルーリア、及びレキューム)等が挙げられる。
また、有機膜層13の組成物において、微粒子として「A3成分」以外に他の微粒子を併用することも可能である。それらの微粒子の添加総量としてはその他の樹脂成分との重量割合は、特に限定されるものではないが、微粒子/その他の成分(固形分)=80/20〜10/90の範囲になるように設定するのが好ましく、より好ましくは50/50〜15/85である。微粒子が80より多いと、コーティング材組成物によって得られる硬化被膜の機械的強度が低下するおそれがあり、逆に中空微粒子が10より少ないと、硬化被膜の低屈折率を発現させる効果が小さくなるおそれがある。
上記成分のほかに有機膜層13の組成物中に併用可能な有機ケイ素化合物としては、テトラエトキシシラン等のシリケート類、メチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等のアルキルシラン類、フェニルトリメトキシシラン等のフェニルシラン類、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤類等の各種化合物を挙げることができる。
これらの有機ケイ素化合物は、樹脂成分全量に対して20重量%以下とすることが好ましい。この含有量が過剰であると被膜の耐クラック性が低下したり親水性が高くなり耐薬品性が低下したりするおそれがある。
また、他の有機ケイ素化合物としては、一般式RF−SiX3〔RFはフッ素原子を一個以上含有する一価有機基。Xは加水分解性基。〕で示されるフッ化アルキル基含有アルコキシシランを含有させることもできる。このようなものを含有させると、形成される被膜の屈折率を更に低減させることができる。
一般式RF−SiX3において、RFにおけるフッ素原子の数は3〜25個、特に3〜17個であることが好ましい。中でも、下記のような構造単位は、極性部分を含んでいないため特に好ましい。
CF
CF(CF
CF(CF
また、加水分解性基であるXは、上記「A1成分」におけるものと同様とすることができる。
このような一般式RF−SiX3に示すフッ化アルキル基含有アルコキシシランとして
は、例えば下記に示すものが挙げられる。
CF−Si(OCH
CF(CF−Si(OCH
CF(CF−Si(OCH
この一般式RF−SiX3で示されるフッ化アルキル基含有アルコキシシランとその加水分解物(部分加水分解物)の含有量は適宜調整されるが、添加量が多くなると被膜の耐擦傷性が低下することから、組成物中の樹脂成分全量に対して1〜30重量%の範囲とすることが好ましく、特に10重量%以下が好ましい。
また、他の有機ケイ素化合物としては、下記一般式に示すジアルキルシロキシ系の加水分解性オルガノシランを挙げることができる。
Figure 0005029081
このようなジアルキルシロキシ系の加水分解性オルガノシランとしては、例えば下記に示す構造のものを挙げることができる。
Figure 0005029081
さらに、有機膜層13を構成するコーティング組成物には、必要に応じて、少量の前述の硬化触媒、光重合開始剤、酸発生剤、界面活性剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、ヒンダートアミン・ヒンダートフェノール等の光安定剤、分散染料・油溶染料・蛍光染料・顔料等を添加し、コーティング液の塗布性の向上や、硬化後の被膜性能を改良することができる。
このような有機膜層13は、上述する「A1成分」「A2成分」および「A3成分」を含有するコーティング用組成物を用いて、湿式法によりハードコート層上に低屈折率の有機薄膜として好適に形成することができる。蒸着法やスパッタリング法などの乾式法で形成される無機膜は、下層の有機被膜からなるハードコート層との大きな熱膨張率差により耐熱性が低いのに対して、湿式法により形成される有機薄膜からなる反射防止層は、ハードコート層との熱膨張率差が小さいことから加熱によるクラックの発生が起こり難くなり、耐熱性に優れる。また、湿式法により形成することができるため、真空装置や大型の設備は不要となり、簡便に作製することが可能となる。
湿式法による低屈折率の反射防止層の成膜方法としては、ディッピング法、スピンナー法、スプレー法、フロー法などの公知の方法を用いることができる。これらの成膜方法のうちで、プラスチックレンズのような曲面形状に膜厚が50〜150nmの薄膜をムラなく成膜することを考慮すると、ディッピング法、またはスピンナー法が好ましい。なお、ハードコート層上に低屈折率の反射防止層を形成する際には、ハードコート層表面に前処理を行うことが好ましい。この前処理の具体例としては、表面研磨、紫外線−オゾン洗浄、プラズマ処理等によりハードコート層表面を親水化(接触角θ=60°以下)する方法が有効である。
反射防止層の一部を構成する有機膜層13の具体的な成膜方法は、以下の様な手順により行われる。 まず、「A1成分」の有機ケイ素化合物を有機溶剤で希釈し、さらにそこに「A2成分」の有機ケイ素化合物を添加する。その後必要に応じて水または薄い塩酸、酢酸等を添加して加水分解を行う。さらに、「A3成分」のシリカ系微粒子を有機溶剤中にコロイド状に分散した品を添加する。その後、必要に応じ、硬化触媒、光重合開始剤、酸発生剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などを添加し、十分に撹拌した後にコーティング液として用いる。
このとき、硬化後の固形分に対して、コーティング液の希釈する濃度は、好ましくは固形分濃度として0.5〜15重量%であり、より好ましくは1〜10重量%である。固形分濃度が15重量%を越えた場合には、ディピング法で引き上げ速度を遅くしたり、スピンナー法で回転数を高くしたりしても、所定の膜厚を得ることが困難であり、膜厚が必要以上に厚くなってしまう。また、固形分濃度が0.5重量%に満たない場合には、ディピング法で引き上げ速度を早くしたり、スピンナー法で回転数を遅くしたりしても、膜厚が必要よりも薄くなってしまい所定の膜厚を得ることが困難である。また、速度を速くし過ぎたり、回転数を遅くし過ぎたりすると、レンズ上での塗りムラが大きくなりやすく、界面活性剤等の添加でも対応仕切れなくなってしまう。
コーティング液をハードコート層12に塗布後、熱または紫外線及びその併用によって硬化させ有機膜層13を得られるが、加熱処理によって硬化させることが好ましい。加熱処理の際の加熱温度は、コーティング用組成物の組成、レンズ基材10の耐熱性等を考慮して決定されるが、50〜200℃が好ましく、より好ましくは80〜140℃である。
得られる有機膜層13の膜厚は50〜150nmの範囲である必要がある。この範囲より厚すぎても薄すぎても十分な反射防止効果が得られない。また、有機膜層13の屈折率は、反射防止層として機能するためには、下層のハードコート層12との屈折率差が0.10以上、好ましくは0.15以上、さらに好ましくは0.20以上とする必要がある。具体的な屈折率は、1.30〜1.45の範囲とすることが好ましい。
次に、本実施形態にかかる表面修復用部材を図2に基づいて説明する。
図2(A)は、表面修復用部材20で眼鏡レンズ1の表面に生じた傷30を修復する状態を示す正面図であり、図2(B)は、その断面図である。なお、図2において、傷30は大きく図示されている。
図2において、表面修復用部材20は修復用組成物が繊維に含浸または付着された布である。
布は、木綿、絹、麻等天然繊維や、ポリアミド(ナイロン)系、ポリエステル系、アクリル、ポリビニルアルコール系、ポリウレタン系、ポリ塩化ビニリデン系、ポリ塩化ビニル系、ポリフルオロエチレン系、ポリプロピレン系、ポリエチレン系等の合成繊維から形成される。さらに、織布でも不織布でも表面修復用部材20として利用可能である。
本実施形態では、長繊維や短繊維でも利用可能であり、その太さも限定されないが、好ましくは、極細の長繊維から形成される布、例えば、トレシー(商品名)が好ましい。
本実施形態で使用される表面修復用組成物は、有機膜層13と同じ屈折率の組成物であり、具体的には、前述の「A1成分」「A2成分」および「A3成分」を含有する。「A1成分」が一般式、X2 3−mSi−Y−SiR2 3−mで表される有機ケイ素化合物〔R2は炭素数1〜6の一価炭化水素基。Yはフッ素原子を1個以上含有する二価有機基。Xは加水分解性基。mは1〜3の整数である。〕であり、「A2成分」が分子中に1個以上のエポキシ基を含有するエポキシ基含有有機化合物であり、「A3成分」が平均粒径1〜150nmのシリカ系微粒子である。このシリカ系微粒子は、前述の通り中空に形成されている。
表面修復用組成物に含有される微粒子は布に対して0.01質量%以上10質量%以下であり、好ましくは、0.1質量%以上1質量%以下である。
微粒子が布に対して0.01質量%未満であると、微粒子の研磨剤としての機能が十分に達成できなくなる。微粒子が布に対して10質量%を越えると、微粒子の研磨剤としての機能が大きくなり過ぎ、かえって、眼鏡レンズ1の表面自体に引っ掻き傷を形成することになる。
前述の構成の表面修復用部材20を製造するには、まず、有機膜層13を形成するためのコーティング液を作製し、このコーティング液を水で希釈し、この希釈したコーティング液を布に含浸させる。
その後、布を所定温度、例えば、80℃で乾燥させる。乾燥時間は、例えば、8時間である。乾燥温度および乾燥時間は、使用する布の大きさなどにより決定される。
前述の構成の表面修復用部材20を用いて眼鏡レンズ1の表面に生じた傷30を修復するには、修復用組成物を含むコーティング液が乾燥して染み込んだ表面修復用部材20を眼鏡レンズ1の表面に押し当て、その状態で表面を擦る。
すると、図3(A)に示される通り、修復用組成物40が断面略V字形に形成された傷30に入り込み、この傷30を埋めることになる。さらに、修復用組成物40の中には微粒子41も含まれているため、この微粒子41が研磨剤の働きをして、傷の角を滑らかにする。例えば、図3(B)に示される通り、傷30の開口側端部が摩耗されてなだらかな傾斜面とされる。
なお、表面修復用部材20で眼鏡レンズ1の表面を擦るにあたり、本実施形態では、作業員の手で行うものであり、表面修復用部材20を眼鏡レンズ1の表面で往復させたり、円軌跡に沿って運動させたりする。
以上説明した実施形態によれば、次のような作用効果を得ることができる。
(1)有機膜層13が表面に形成された眼鏡レンズ1の表面の傷30を修復するにあたり、有機膜層13を構成し微粒子41を含む組成物と同じ屈折率の組成物を含む修復用組成物40を傷30に埋めた。この修復用組成物40を傷30に埋める際に、修復用組成物40に含まれる微粒子41が傷30の開口側端縁を研磨することになり、傷30の開口側端縁が摩耗されて鈍角になる。さらに、傷30に埋め込まれる修復用組成物40は有機膜層13を構成する組成物と同じ屈折率であるから、傷30の表面の内側と外側とで光学的な特性に相違がないので、傷30が目立たない。
従って、本実施形態では、眼鏡レンズ1の表面に生じた傷30の修復を、傷30に修復用組成物40を埋め込むという簡単な作業によって行うことができる。そのため、傷30の修復のために眼鏡レンズ1の有機膜層13自体を剥離するという大掛かりな作業をする必要がないので、修復のための時間やコストを低減することができる。
(2)修復用組成物を含むコーティング液を表面修復用部材20に染み込ませ、この表面修復用部材20で眼鏡レンズ1の表面を擦る構成としたから、傷30の開口端縁が修復用組成物40に含まれる微粒子41で確実に摩耗されることになり、しかも、修復用組成物40が傷30の奥深く埋め込まれることになる。そのため、より簡単な作業で傷30の修復を効率的に行うことができる。
(3)眼鏡レンズ1は、ハードコート層12と有機膜層13とから反射防止層が構成され、この有機膜層13は、ハードコート層12の屈折率よりも0.10以上低い屈折率を有するコーティング膜であり、かつ、少なくとも下記「A1成分」「A2成分」および「A3成分」を含有する。
「A1成分」;一般式、X2 3−mSi−Y−SiR2 3−mで表される有機ケイ素化合物〔R2は炭素数1〜6の一価炭化水素基。Yはフッ素原子を1個以上含有する二価有機基。Xは加水分解性基。mは1〜3の整数である。〕
「A2成分」;分子中に1個以上のエポキシ基を含有するエポキシ基含有有機化合物
「A3成分」;平均粒径1〜150nmのシリカ系微粒子
そのため、本実施形態の眼鏡レンズ1は、「A1成分」によりフッ素樹脂が本来有しているような低屈折率及び耐薬品性を発現し、「A2成分」に含まれるエポキシ基の効果により高い柔軟性を発現することができ、「A3成分」により、粒子内部の空隙率を大きくして所望の低屈折率を得ることができるとともに有機膜層13のヘーズが増加することがない、という効果を奏することができる。
(4)本実施形態の修復用組成物は、「A1成分」「A2成分」および「A3成分」を組成として含む構成であるため、前述の好適な眼鏡レンズ1に対して、その表面に生じた傷30の修復を簡単な作業によって行うことができる。
(5)表面修復用部材20は修復用組成物40が繊維に含浸または付着させた構成であるから、修復用組成物40が表面修復用部材20から脱漏することがないので、表面修復用部材20の取扱が容易となる。
(6)表面修復用部材20は布から形成され、布の繊維に修復用組成物40を含浸または付着させた。布は丈夫であるため、取扱性もよい。さらに、布の繊維を極細のものを用いることで、極細繊維の間に修復用組成物40を入り込ませることで、多くの修復用組成物40を脱漏させることなく含浸・付着させることができる。
(7)布に対して微粒子41が0.01質量%以上10質量%以下であるから、微粒子の研磨剤としての機能を十分に達成することと、傷修復に際して眼鏡レンズ1の表面自体に引っ掻き傷を生じさせないという相反する効果を同時に達成することができる。
(8)表面修復用部材20を製造するため、修復用組成物40から有機膜層13を形成するためのコーティング液を作製し、このコーティング液を水で希釈し、この希釈したコーティング液を布に含浸させ、その後、布を乾燥させた。そのため、表面修復用部材20を乾燥させた状態で取り扱うことができるから、表面修復用部材20の保管、搬送、使用を容易に行うことができる。
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態を図4に基づいて説明する。図4は、眼鏡レンズ1の表面に生じた傷30を修復する様子を示した模式図である。
眼鏡レンズ1の構成は第一実施形態と同様であるので説明は省略する。
第二実施形態で眼鏡レンズ1の表面に生じた傷30を修復するには、図4に示すように、修復用組成物を含むコーティング液を眼鏡レンズ1の表面の傷30に滴下する。このとき、液状の修復用組成物40は断面略V字形に形成された傷30の奥深くまで入り込み、傷30を埋める。そして、眼鏡レンズ1の表面を布などで擦るが、傷30に滴下したコーティング液が乾燥した後に擦ってもよい。擦ることにより、眼鏡レンズ1の表面に残った成分が拭き取られる。すると、図4に示すように、眼鏡レンズ1の表面が滑らかになり、傷の修復を行うことができる。
ここで使用される表面修復用組成物は、第一実施形態と同様に有機膜層13と同じ屈折率の組成物である。また、布は、眼鏡レンズ1の表面に傷をつけないものであれば特に限定されない。例えば、第一実施形態で表面修復用部材20として使用した布でもよいし、紙などでもよい。
以上のような構成であれば、第一実施形態の(1)(3)(4)と同等の作用効果および以下の作用効果を奏することができる。
(9)液体である修復用組成物を含むコーティング液を傷30に滴下するので、傷30の奥深くまで修復用組成物が入り込む。したがって、確実に傷30の修復を行うことができる。
また、布などで擦るだけでよいので、特別な部材を必要としない。したがって、より簡単な作業とより安価なコストで傷30の修復を効率よく行うことができる。
なお、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的および効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。
例えば、前記第一実施形態では、表面修復用部材20を布から形成したが、本発明では、布に代えて紙を用いてもよい。
さらに、布に修復用組成物40を浸した後、乾燥させることなく表面修復用部材20をそのまま使用するものでもよい。
また、前記第一実施形態では、表面修復用部材20を作業員が手にとって眼鏡レンズ1に擦りつける構成としたが、本発明では、表面修復用部材20を治具に固定し、この治具をモータなどの駆動機構を介して回転、往復運動させる構成としてもよい。
さらに、表面修復用部材20を眼鏡レンズ1の表面に擦る構成に限定されるものではなく、押圧する構成としてもよい。
また、本発明の光学物品は眼鏡レンズ1に限定されるものではなく、カメラレンズ、望遠鏡用レンズ、顕微鏡用レンズ、ステッパー用集光レンズ、さらには、テレビやパソコンなどの表示画面、車・住宅などで使用される窓としてもよい。
また、基材10はプラスチック製に限定されるものではなく、ガラス製であってもよい。
次に、本実施形態の効果を確認するための実施例について説明する。
[実施例1]
[低屈折率層用コーティング液の調製]
特開2006−146131号公報で記載されたコーティング液の調整を行う。つまり、プロピレングリコールモノメチルエーテル(以下PGME)18.8g、γ−グリシドキシトリメトキシシラン8.1gを混合した後、0.1規定塩酸水溶液2.2gを撹拌しながら滴下し、5時間撹拌した。この液に、内部に空洞を有する平均粒径60nmのシリカ系微粒子(中空シリカ微粒子)をイソプロパノールに分散させた固形分濃度20wt%のシリカゾル(触媒化成工業(株)製、商品名「スルーリア1420」)20.7gを加えて十分に混合した後、重合触媒としてAl(Cを0.04g、シリコン系界面活性剤(日本ユニカー製 L7604)を0.015g添加して撹拌、溶解することにより、固形分濃度が20%のコーティング原液を得た。このコーティング液を希釈するために、300ppm濃度のシリコン系界面活性剤(日本ユニカー製 L7604)入りPGME溶液を準備し、コーティング原液を35.3g、希釈用界面活性剤入りPGME溶液114.7gを混合して十分に撹拌し、固形分濃度が約4.7%の低屈折率層用のコーティング液を作製した。ここで得られた低屈折率層用のコーティング液をXと略す。
[表面修復用部材20の作製]
上記コーティング液100gを水で希釈し1000gとした(10倍希釈)。その液に布として眼鏡拭き(商品名「トレシー」)を入れ、しみ込ませた後、この眼鏡拭きを80℃で6時間乾燥させた。これにより、表面にコーティング剤の成分が付着した眼鏡拭きから表面修復用部材20が作製される。ここで、乾燥重量が0.5%増加していたため、この表面修復用部材20には約0.5%のコーティング成分を含んでいることを確認した。
なお、実施例1では、コーティング液の希釈倍率を調節して、コーティング成分を0.01%含有した表面修復用部材20を作製した。
[実施例2]
実施例1と同様にして表面修復用部材20を作製した。但し、実施例2では実施例1と異なり、コーティング成分を0.1%とした。
[実施例3]
実施例1と同様にして表面修復用部材20を作製した。但し、実施例3では実施例1と異なり、コーティング成分を1%とした。
[実施例4]
実施例1と同様にして表面修復用部材20を作製した。但し、実施例4では実施例1と異なり、コーティング成分を10%とした。
[実施例5および実施例6]
実施例1の低屈折率層用コーティング液Xを調整した。
[比較例1]
比較例1はコーティング液Xからなる成分を全く含まない眼鏡拭きを表面修復用部材とした。
[比較例2]
比較例2は実施例5、6に対する比較例である。低屈折率層用コーティング液Xは用いない。
[傷を修復する効果]
試験用の眼鏡レンズ1としてセイコーオーガテックAZ(セイコーオプティカルプロダクト株式会社製)にスチールウール(日本スチールウール(株)製 #0000番)を用いて、1kgの荷重、20往復でレンズ表面を擦り、レンズ表面に傷をつけた。
実施例1〜4および比較例1は、この眼鏡レンズ1を実施例で作製した表面修復用部材20でよく拭き、傷30の程度を目視で確認した。同様に、比較例1としてコーティング成分を含まない眼鏡拭きで眼鏡レンズ1の表面を実施例と同様に擦った。
実施例5は、眼鏡レンズ1の表面の傷30にコーティング液Xをスポイトで数滴たらした後、眼鏡レンズ1の表面を布で擦った。
実施例6は、眼鏡レンズ1の表面の傷30にコーティング液Xをスポイトで数滴たらし、室温で5分間放置して乾燥させた。その後、眼鏡レンズ1の表面を布で擦った。
比較例2は、眼鏡レンズ1の表面の傷30にコーティング液Xを滴下せずに、眼鏡レンズ1の表面を布で拭く操作を行った。
傷の程度は ◎:ほとんど傷が見えない。 ○:少し傷が見える。 ×:傷が見える。の3段階で評価した。試験結果を次の表1に示す。
Figure 0005029081
この結果から、実施例2、3、5、6は傷がほとんど見えず、大きな効果を奏することができた。実施例1は傷が少し見える程度であるが、この傷は実用上、問題はない。比較例1、2は傷がよく見える結果となり、本発明の効果を奏することができなかった。
本発明は、光学物品、例えば、眼鏡レンズ、カメラレンズ、望遠鏡用レンズ、顕微鏡用レンズ、ステッパー用集光レンズ、さらには、テレビやパソコンなどの表示画面、車・住宅などで使用される窓に利用することができる。
本発明の光学物品の表面修復方法にかかる第一実施形態で傷が修復される眼鏡レンズの断面図。 第一実施形態の動作を説明するための図。 第一実施形態で傷が修復されることを説明するための模式図。 第二実施形態で傷が修復されることを説明するための模式図。
符号の説明
1…眼鏡レンズ(光学物品)、10…基材、11…プライマー層、12…ハードコート層、13…有機膜層、20…表面修復用部材、30…傷、40…修復用組成物、41…微粒子。

Claims (10)

  1. 反射防止層の一部を構成する有機膜層が表面に形成された光学物品の表面の傷を修復する方法であって、
    前記有機膜層を構成する組成物と同じ屈折率を有し、平均粒径1〜150nmのシリカ系微粒子を含む組成物を含む修復用組成物を前記傷に埋めることを特徴とする光学物品の表面修復方法。
  2. 請求項1に記載された光学物品の表面修復方法において、
    前記修復用組成物を含むコーティング液を表面修復用部材に染み込ませ、この表面修復用部材で前記光学物品の表面を擦ることを特徴とする光学物品の表面修復方法。
  3. 請求項1に記載された光学物品の表面修復方法において、
    前記光学物品の表面の傷に、前記修復用組成物を含むコーティング液を滴下し、前記光学物品の表面を擦ることを特徴とする光学物品の表面修復方法。
  4. 請求項1に記載された光学物品の表面修復方法において、
    前記光学物品の表面の傷に、前記修復用組成物を含むコーティング液を滴下し、乾燥させた後、前記光学物品の表面を擦ることを特徴とする光学物品の表面修復方法。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかに記載された光学物品の表面修復方法において、
    前記光学物品は眼鏡レンズであることを特徴とする光学物品の表面修復方法。
  6. 請求項1から請求項5のいずれかに記載された光学物品の表面修復方法で用いられる光学物品の表面修復用組成物であって、
    前記反射防止層は、前記有機膜層と、この有機膜層と基材との間に形成されたハードコート層とを備え、前記有機膜層が前記ハードコート層の屈折率よりも0.10以上低い屈折率を有するコーティング膜であり、前記有機膜層は、少なくとも下記「A2成分」および「A3成分」を含有するものであり、
    これらの「A2成分」および「A3成分」を組成として含むことを特徴とする光学物品の表面修復用組成物。
    A2成分」;分子中に1個以上のエポキシ基を含有するエポキシ基含有有機化合物
    「A3成分」;平均粒径1〜150nmのシリカ系微粒子
  7. 請求項6に記載された修復用組成物が繊維に含浸または付着されたことを特徴とする光学物品の表面修復用部材。
  8. 請求項7に記載された光学物品の表面修復用部材において、
    前記繊維は布の繊維であり、前記修復用組成物は布に含浸または付着されていることを特徴とする光学物品の表面修復用部材。
  9. 請求項8に記載された光学物品の表面修復用部材において、
    前記微粒子は前記布に対して0.01質量%以上10質量%以下であることを特徴とする光学物品の表面修復用部材。
  10. 請求項8または請求項9に記載された光学物品の表面修復用部材を製造する方法において、
    前記修復用組成物から前記有機膜層を形成するためのコーティング液を作製し、このコーティング液を水で希釈し、この希釈したコーティング液を前記布に含浸させ、その後、前記布を乾燥させることを特徴とする光学物品の表面修復用部材の製造方法。
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