JP5028947B2 - パワーモジュールの積層構造体 - Google Patents
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Description
特に、近年では、半導体チップと一対の放熱板とを接合する各はんだ層の厚さを大きくすることによって、半導体チップと放熱板との熱膨張係数差に起因したはんだ層の内部応力を緩和させる要請があるが、このようにはんだ層の厚さを大きくすると、半導体チップが放熱板の表面に対して傾き易くなるので、前述のように積層方向に加圧した状態で熱サイクル下で使用すると、半導体チップの表裏面において局所的に大きな押圧力が作用する部分が生じ、この半導体チップの熱サイクル寿命をさらに低下させるおそれがあった。なお、はんだ層の厚さを厚くすると、パワーモジュールの熱抵抗値が上昇するおそれもあった。
この発明によれば、前記一対のパワーモジュールが前記ヒートシンク部を介して連結されているので、これらのパワーモジュールのうち、半導体チップで発生した熱により温度が高くなっている高温側パワーモジュールの熱を、ヒートシンク部を介して、温度が低い低温側パワーモジュールに伝導させることによって、高温側パワーモジュールを低温側パワーモジュールの冷却器で冷却することが可能になり、この積層構造体の冷却能を向上させることができる。
しかも、この一対のパワーモジュールが、それぞれの半導体チップの表面同士が前記積層方向で間隔をあけて対向するように、または、一方のパワーモジュールにおける半導体チップの表面と他方のパワーモジュールにおける冷却器の裏面とが前記積層方向で間隔をあけて対向するように設けられているので、熱サイクル使用時におけるパワーモジュールの各構成部材の膨張変形により、各半導体チップに押圧力が作用するのを防ぐことが可能になり、これらの半導体チップの熱サイクル寿命が低下するのを防ぐことができる。
さらに、半導体チップを有するパワーモジュールが前記積層方向に複数設けられているので、半導体チップの実装密度を向上させることが可能になり、このパワーモジュールの設置面積を低減することができる。
この場合、ヒートシンク部と前記他方のパワーモジュールとの間に絶縁部材を設けなくても、ヒートシンク部により前記一対のパワーモジュールを互いが電気的に絶縁状態となるように連結することが可能になり、パワーモジュールの積層構造体の製造コストを抑えることができる。
この場合においても、ヒートシンク部により前記一対のパワーモジュールを互いが電気的に絶縁状態となるように連結することが可能になる。さらに、一方のパワーモジュールにおける半導体チップで発生した熱を、このパワーモジュールにおける冷却器のみならず、回路層およびヒートシンク部を介して、他方のパワーモジュールにおける冷却器にも伝導させることが可能になり、この積層構造体の冷却能を確実に向上させることができる。
ここで、前述した半導体チップの総発熱量の大小とは、半導体チップ自体の仕様電力値の大小のみならず、この仕様電力値は同等であってもパワーモジュールの積層構造体の熱サイクル使用時における使用頻度の大小を含むものである。
なお、前記絶縁部材は、前記他方のパワーモジュールにおける冷却器の裏面に接合されたセラミックス製の板材、または、前記冷却器の裏面に形成されたアルミナ溶着膜としてもよい。
この場合、純Cu若しくはCu合金は、純AlやAl合金よりも熱容量が大きいので前記の作用効果がより一層確実に奏効されることになる。
この積層構造体10は、セラミックス板11と、このセラミックス板11の表面にろう付けされた回路層12と、セラミックス板11の裏面にろう付けされた冷却器13と、回路層12の表面にはんだ接合された半導体チップ14とを備えるパワーモジュール15a、15bが、これらの冷却器13、セラミックス板11、回路層12および半導体チップ14が配置された積層方向Sに複数設けられている。なお、図示の例では、冷却器13は、内部に複数の冷媒供給路13aが形成された、いわゆる多穴管とされている。
なお、この場合、半導体チップ14と回路層12とを接合するはんだ層17は、例えばSn−Ag−Cu系等の無鉛系のはんだ材、若しくは例えばPbSn系等のPbを含むはんだ材が用いられ、セラミックス板11と回路層12および冷却器13とをろう付けするろう材では、例えばAl−Si系等のAl系のろう材が用いられる。
なお、はんだ層18、19は前記はんだ材で形成され、Al部材16bとセラミックス板11とは、前記ろう材箔でろう付けされている。
さらに、半導体チップ14を有するパワーモジュール15a、15bが前記積層方向Sに複数設けられているので、半導体チップ14の実装密度を向上させることが可能になり、このパワーモジュール15a、15bの設置面積を低減することができる。
例えば、前記実施形態に代えて、図2に示されるように、一対のパワーモジュール15a、15bを、一方のパワーモジュール15aにおける半導体チップ14の表面と、他方のパワーモジュール15bにおける冷却器13の裏面とが前記積層方向Sで間隔をあけて互いに対向するように設け、ヒートシンク部16のAl部材16bを、他方のパワーモジュール15bにおける冷却器13の裏面に設けられた絶縁部材21にろう付けした積層構造体20を採用してもよい。
ここで、前述した半導体チップ14の総発熱量の大小とは、半導体チップ14自体の仕様電力値の大小のみならず、この仕様電力値は同等であってもパワーモジュールの積層構造体20の熱サイクル使用時における使用頻度の大小を含むものである。
また、これに代えて、一方のパワーモジュール15aにおける回路層12およびヒートシンク本体16aを純Cu若しくはCu合金で一体に形成した場合、前記各実施形態と同様にAl部材16bを介して、図1に示す実施形態では他方のパワーモジュール15bにおけるセラミックス板11の表面にろう付けし、図2に示す実施形態では他方のパワーモジュール15bにおける絶縁部材21の表面にろう付けしてもよい。
11 セラミックス板
12 回路層
13 冷却器
14 半導体チップ
15a、15b パワーモジュール
16 ヒートシンク部
16a ヒートシンク本体
21 絶縁部材
S 積層方向
Claims (4)
- セラミックス板と、このセラミックス板の表面にろう付けされた回路層と、前記セラミックス板の裏面にろう付けされた冷却器と、前記回路層の表面にはんだ接合された半導体チップとを備えるパワーモジュールが、これらの冷却器、セラミックス板、回路層および半導体チップが配置された積層方向に複数設けられたパワーモジュールの積層構造体であって、
前記積層方向で互いに対向する一対のパワーモジュールは、それぞれの半導体チップの表面同士が前記積層方向で間隔をあけて互いに対向するように、または、一方のパワーモジュールにおける半導体チップの表面と他方のパワーモジュールにおける冷却器の裏面とが前記積層方向で間隔をあけて互いに対向するように、一方のパワーモジュールにおける回路層の表面に立設されたヒートシンク部を介して、互いが電気的に絶縁状態となるように、前記一方のパワーモジュールの回路層と前記他方のパワーモジュールのセラミックス板若しくは冷却器とが連結されていることを特徴とするパワーモジュールの積層構造体。
- 請求項1記載のパワーモジュールの積層構造体であって、
前記一対のパワーモジュールは、それぞれの半導体チップの表面同士が前記積層方向で間隔をあけて互いに対向するように設けられ、
前記ヒートシンク部は、他方のパワーモジュールにおいてセラミックス板の表面に回路層と非接触状態で接合されていることを特徴とするパワーモジュールの積層構造体。 - 請求項1記載のパワーモジュールの積層構造体であって、
前記一対のパワーモジュールは、一方のパワーモジュールにおける半導体チップの表面と、他方のパワーモジュールにおける冷却器の裏面とが前記積層方向で間隔をあけて互いに対向するように設けられ、
前記ヒートシンク部は、前記他方のパワーモジュールにおける冷却器の裏面に設けられた絶縁部材に接合されていることを特徴とするパワーモジュールの積層構造体。 - 請求項1から3のいずれかに記載のパワーモジュールの積層構造体であって、
前記ヒートシンク部は、純Cu若しくはCu合金で形成されたヒートシンク本体を有していることを特徴とするパワーモジュールの積層構造体。
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