JP5028715B2 - クッション材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、枕、敷き寝具、褥瘡防止用マットレス、ソファー用クッション材、事務用クッション材、事務用小物クッション材等として好適な、低反発性で、且つ高い通気性を有するクッション材に関する。
【0002】
【従来の技術】
低反発性ポリウレタンフォームを用いたクッション材は、荷重がかかるとクッション材がこれに追従し、圧力を分散させて局部的に圧力が集中することがないことから、非常に快適な使用状態を得ることができるという優れた特長を有する反面、素材の通気性が低いために、体温からの熱がこもり易く、このために蒸れたり、暑苦しさを感じるなどの欠点があった。
【0003】
このため、従来においては、低反発性ポリウレタンフォームに通気孔を設けたり、通気性の高いポリウレタンフォームで低反発性ポリウレタンフォームをくるむなどの加工を施すことが行われているが、十分な効果は得られておらず、加工方法によっては低反発性ポリウレタンフォーム本来の低反発性能が損なわれる場合もあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来の問題点を解決し、低反発性で、且つ高い通気性を有するクッション材を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のクッション材は、低反発性ポリウレタンフォームの粒状物をバインダーで結合させてなる粒状物成形体を有するクッション材であって、該バインダーがウレタン系接着剤であり、該低反発性ポリウレタンフォームの粒状物の粒径が1〜50mmであり、該低反発性ポリウレタンフォームの反発弾性が0〜15%であることを特徴とする。
【0006】
低反発性ポリウレタンフォームの粒状物をバインダーで結合させてなる粒状物成形体は、低反発性ポリウレタンフォームの粒状物同士の間に空隙が形成され、この空隙の存在により、良好な通気性を得ることができる。しかも粒状物は低反発性ポリウレタンフォームよりなるため、低反発性ポリウレタンフォーム本来の反発弾性は殆ど損なわれることはない。
【0007】
本発明の低反発性ポリウレタンフォームの粒状物の粒径は1〜50mmである。
【0008】
また、このような粒状物を結合してなる該粒状物成形体の通気性は30〜300cc/cm2/secであることが好ましい。
【0009】
粒状物を結合する該バインダーの使用量は低反発性ポリウレタンフォームの粒状物100重量部に対して3〜30重量部であることが好ましい。
【0010】
この粒状物を構成する該低反発性ポリウレタンフォームの反発弾性は15%以下である。
【0011】
本発明のクッション材は、粒状物成形体のみからなるものであっても良く、粒状物成形体と、ポリウレタン発泡体とを併用(例えば一体化)したものであっても良い。
【0012】
なお、本発明において、密度(g/cm3)、硬さ(kgf)、通気性(cc/cm2/sec)、反発弾性(%)、圧縮残留歪(%)の物性値は、JIS K6400に準拠して測定した値を示す。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して本発明のクッション材の実施の形態を詳細に説明する。
【0014】
図1(a)〜(d)は、本発明のクッション材の実施の形態を示す断面図である。
【0015】
本発明のクッション材は、低反発性ポリウレタンフォームの粒状物をバインダーで結合させてなる粒状物成形体を有するものであるが、図1(a)に示す如く、この粒状物成形層2のみよりなるクッション材1Aであっても良く、図1(b)に示す如く、粒状物成形層2と通常の軟質又は硬質ポリウレタン発泡層3とが積層されたクッション材1Bであっても良い。また、図1(c)に示す如く、粒状物成形層2を通常の軟質又は硬質ポリウレタン発泡層3,3間に介在させたクッション材1C,或いは図1(d)に示す如く粒状物成形層2,2の間に通常の軟質又は硬質ポリウレタン発泡層3を介在させたものであっても良い。
【0016】
粒状物成形層2を構成する低反発性ポリウレタンフォームの粒状物は、通常の低反発性ポリウレタンフォームの塊状物やマットないしシートを回転刃式粉砕機等により粉砕することにより得ることができる。
【0017】
この粒状物の形状には特に制限はなく、球状、立方体、直方体、円柱(楕円柱を含む)、三角柱、四角柱(台形柱等を含む)、多角柱、その他不定形の異形状物、或いはこれらの混合物であっても良い。
【0018】
低反発性ポリウレタンフォームの粒状物の大きさは、過度に小さくしても大き過ぎても通気性の向上に有効な空隙部を粒状物同士の間に形成し得ないため、粒状物の平均粒子径は1〜50mm、特に5〜30mmであることが好ましい。なお、ここで粒状物の粒子径とは粒状物が通過し得る正方形の網目の一辺の長さの最小値をさす。
【0019】
粒状物を構成する低反発性ポリウレタンフォームとしては、密度20〜150g/cm3、硬さ1.0〜30.0kgf、通気性0.5〜300cc/cm2/sec、反発弾性15%以下、特に0〜10%、圧縮残留歪0〜5.0%程度の物性値を示すものが好ましく、このような低反発性ポリウレタンフォームは、例えば、次のような原料配合により、常法に従って製造することができる。
[低反発性ポリウレタンフォーム配合(重量部)]
ポリオール(ポリオールAとポリオールB) :100
ポリイソシアネート :25〜70
発泡剤 :0.5〜5.0
触媒 :0.01〜1.0
整泡剤 :0.3〜2.0
【0020】
ポリオールとしては、ポリウレタンに通常用いられるものが使用でき、例えばポリエーテルポリオール、及びこのポリオールの中でビニルモノマーを重合させて得られる重合体ポリオールが挙げられる。ポリエーテルポリオールとしては、水、アルコール類、アミン類、アンモニア等の開始剤にアルキレンオキサイドを付加させたものが挙げられる。アルコール類としては、例えば、1価アルコール類(メタノール、エタノール等)、2価アルコール類(エチレングリコール、プロピレングリコール等)、3価アルコール類(グリセリン、トリメチロールプロパン等)、4価アルコール類(D−ソルビトール等)、6価アルコール、8価アルコール類等の多価アルコール類が挙げられる。アミン類としては、1価アミン類(ジメチルアミン、ジエチルアミン等)、2価アミン類(メチルアミン,エチルアミン等)、3価アミン類(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等)、4価アミン類等の多価アミン類が挙げられる。アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド(EO)、プロピレンオキサイド(PO)、1,2−、1,4−及び2,3−ブチレンオキサイド及びこれらの2種以上の併用が挙げられる。これらのうち好ましいものは、プロピレンオキサイド及び/又はエチレンオキサイドであり、併用の場合の付加形式はブロックもしくはランダムのいずれでもよい。
【0021】
ポリオールAとして好ましいものは、ポリエーテルポリオール及び/又は重合体ポリオールである。このポリオールAの平均官能基数は、通常2〜5、好ましくは2.5〜3.5であり、水酸基価は通常20〜60mg−KOH/g、好ましくは30〜60mg−KOH/gである。水酸基価が20mg−KOH/g未満ではポリウレタンフォームの製造が困難なうえに、商業的製品としてのポリエーテルポリオールの入手も困難である。水酸基価が60mg−KOH/gを超えるものではポリウレタンフォームの形成する樹脂が硬くなり、しっとりとした感触が得られない。このポリオールAのエチレンオキサイド含量率は通常5〜30重量%、好ましくは10〜25重量%で、末端1級水酸基の%は、通常5〜80%、好ましくは60〜75%である。
【0022】
ポリオールBの平均官能基数は、通常1.5〜4.5、好ましくは2〜3であり、水酸基価は通常200〜300mg−KOH/g、好ましくは240〜280mg−KOH/gである。水酸基価が200mg−KOH/g未満ではフォームの反発弾性率が大きくなり、300mg−KOH/gを超えるとフォームの温度依存性が大きくなる。
【0023】
ポリオールAとしては、ポリオキシアルキレンポリエステルブロック共重合体ポリオール(平均官能基数約3、水酸基価56mg−KOH/g)、ポリオキシアルキレンポリオール(平均官能基数約3、水酸基価56mg−KOH/g)等、具体的にはGP−3000(三洋化成工業(株)製)等を用いることができ、ポリオールBとしては、ポリオキシアルキレンポリオール(平均官能基数約3、水酸基価250mg−KOH/g)、ポリオキシアルキレンポリオール(平均官能基数約3、水酸基価280mg−KOH/g)、具体的には、ボラノール2070(ダウ製)やG−700(旭電化工業(株)製)を用いることができる。
【0024】
ポリオールAとポリオールBとの混合割合は、ポリオールA70〜20重量%に対してポリオールB30〜80重量%とするのが好ましい。
【0025】
ポリイソシアネートとしては、従来低反発性ポリウレタンフォームの製造に用いられている公知のもの、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、フェニレンジイソシアネート(PDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)などの芳香族ポリイソシアネートや変性TDI、クルードMDI及び変性MDI、さらには過剰のポリイソシアネートと低分子ポリオールとを反応させて得られる遊離イソシアネート含有プレポリマーなどが挙げられ、これらの単独又は2種以上を併用して用いることができる。ポリイソシアネートとしては、具体的にはタケネート T−80(武田薬品工業(株)製)、コロネート T−65(日本ポリウレタン(株)製)等を用いることができる。
【0026】
発泡剤としては、水及び/又はハロゲン置換脂肪族炭化水素系発泡剤、例えば、トリクロロフルオロメタン,ジクロロジフルオロメタン,トリクロロエタン,トリクロロエチレン,テトラクロロエチレン,塩化メチレン,トリクロロトリフルオロエタン,ジブロモテトラフルオロエタン,四塩化炭素などが挙げられる。
これらの発泡剤の中では水が好ましい。
【0027】
触媒としては、ポリウレタンの製造に通常使用される公知のもの、例えば3級アミン類(トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン等)、4級アンモニウム(テトラエチルヒドロキシルアンモニウム等)、イミダゾール類(イミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等)などのアミン系触媒、有機スズ化合物(酢酸スズ、オクチル酸スズ、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズクロライド等)、有機鉛化合物(オクチル酸鉛、ナフテン酸鉛)、有機ニッケル化合物(ナフテン酸ニッケル)などの有機金属系触媒等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、3級アミン類及びイミダゾール類である。
【0028】
整泡剤としては、例えばシロキサン−オキシアルキレンブロック共重合体などの従来ポリウレタンに通常使用できるシリコン系界面活性剤等が用いられる。整泡剤としては、具体的には、F−242T(信越化学工業(株)製)、SH−192(東レ・ダウコーニング・シリコン(株)製)等を用いることができる。
【0029】
その他、本発明においては、例えば、通常のポリウレタンフォームの製造に用いられる公知の架橋剤、難燃剤、着色剤、可塑剤、内部離型剤等の添加剤を必要に応じて配合しても良い。
【0030】
本発明に係る低反発性ポリウレタンフォームは、ポリオール、整泡剤、触媒、整泡剤、その他の添加剤を混合したものと、ポリイソシアネートとを所定の割合で混合、攪拌し、常法に従って、発泡させることにより製造することができる。
【0031】
このような低反発性ポリウレタンフォームから粒状物成形体を製造するには、低反発性ポリウレタンフォームを所定の粒子径に粉砕して粒状物を得、これをバインダーと混合し、混合物を型内に充填してバインダーの硬化条件で成形、硬化させれば良い。
【0032】
ここで用いるバインダーは、ポリウレタン系接着剤であり、その使用量は低反発性ポリウレタンフォームのバインダー100重量部に対して3〜30重量部、特に5〜15重量部とすることが好ましい。バインダーの使用量が少な過ぎると粒状物同士を十分に結合させることができず、多過ぎると、粒状物同士の間に通気性の向上に有効な十分な量の空隙を形成し得ない。
【0033】
このようにして得られる粒状物成形体は、密度25〜300g/cm3、硬さ1.0〜40.0kgf、通気性30〜300cc/cm2/sec、反発弾性0〜15%、圧縮残留歪0.5〜10%程度の物性値を示すことが好ましく、このような物性が得られるように、用いる粒状物の粒径や物性に対して粒状物とバインダーとの混合割合や型内への充填量等を適宜調整すれば良い。
【0034】
図1(a)に示すクッション材1Aは、上述の如く、低反発性ポリウレタンフォームの粒状物とバインダーとの混合物を型内に充填して成形、硬化させることにより製造することができるが、図1(b)〜(d)に示す如く、粒状物成形層2とポリウレタン発泡層3とが積層された構造のクッション材1B〜1Dは、粒状物の成形に当たり、型内の所定の位置に予め成形したポリウレタン発泡層3を配置しておくことにより、容易に製造することができる。ただし、各々成形したポリウレタン発泡層3と粒状物成形層2とを接着剤等により接着しても良い。また、カバー等に挿入する場合、ポリウレタン発泡層3と粒状物成形層2とは必ずしも結合されている必要はない。
【0035】
なお、ポリウレタン発泡層3を構成するポリウレタンフォームとしては特に制限はなく、クッション材の使用目的に応じて様々な物性のものを用いることがで、低反発性ポリウレタンフォームであってもよい。また、ポリウレタン発泡層と粒状物成形層の配置も何ら図示のものに限定されない。ただし、粒状物成形層2による通気性と低反発性とを確保するために、本発明のクッション材が図1(b)〜(d)に示す如く、ポリウレタン発泡層との複合体である場合、クッション材の全体積の50%以上が粒状物成形層であることが好ましい。
【0036】
このような本発明のクッション材は、通常、布、皮、合成樹脂等のカバーを被せて使用されるが、このカバーについても通気性の高いものを用いることにより、より一層良好な通気性を得ることができ好ましい。
【0037】
このような本発明のクッション材は、低反発性ポリウレタンフォーム本来の低反発性と、粒状物同士の間の空隙による良好な通気性を有し、枕、敷き寝具、褥瘡防止用マットレス、ソファー用クッション材、事務用クッション材、事務用小物クッション材等としてきわめて快適な使用感、良好な使用状態を得ることができる。
【0038】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0039】
なお、以下において、低反発性ポリウレタンフォームとしては、下記配合のフォーム原料を型内で発泡、成形して得られた低反発性ポリウレタンフォーム(1)又は低反発性ポリウレタンフォーム(2)を用いた。
【0040】
【表1】
【0041】
表1中、用いた材料は以下の通りである。
ポリオールA:武田薬品工業(株)製「アクトコール3P56B」ポリオキシアルキレンポリエステルブック共重合体ポリオール
平均官能基数約3、水酸基価56mg−KOH/g
ポリオールB:旭電化工業(株)製「G−700」ポリオキシアルキレンポリオール
平均官能基数約3、水酸基価280mg−KOH/g
ポリイソシアネート:武田薬品工業(株)製「タケネート T−80」
触媒C:三共エアプロダクツ(株)製「DABC033LV」
触媒D:吉富製薬(株)製「スタノクト」
整泡剤:信越化学工業(株)製「F−242T」
【0042】
実施例1〜4
表2に示す低反発性ポリウレタンフォームを回転刃式粉砕機により表2に示す平均粒子径となるように粉砕して粒状物を得た。この粒状物にバインダーとしてウレタン系接着剤(トーケン樹脂化学(株)製「R−1000M」)を表2に示す割合で混合し、得られた混合物を型内に充填して硬化、成形することにより粒状物成形体を得た。この粒状物成形体の物性は表2に示す通りであり、表1に示す原料低反発性ポリウレタンフォームの物性と比較して低反発性は大きく損なわれることなく、通気性が改善されること、特に実施例3,4であれば、低反発性には殆ど影響を受けることなく、通気性が大幅に改善されたことが確認された。
【0043】
【表2】
【0044】
なお、実施例1〜4のクッション材をそれぞれ60cm×60cm×8cm厚さに加工して木製の椅子の座面に置き、体重約70kgの男性が腰掛け、約30秒後の圧力分布を、ニッタ(株)製の座圧分散システム(BIG−MAT)にて測定したところ、いずれも圧力が十分に分散しており、局部的に圧力がかかる部分は存在しなかった。
【0045】
また、いずれのクッション材も、温度22℃、湿度50%の環境の室内で6時間使用しても蒸れや暑さを感じることはなく、快適に使用することができた。
【0046】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、低反発性で高い通気性を有し、快適な使用感を得ることができるクッション材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のクッション材の実施の形態を示す断面図である。
【符号の説明】
1A,1B,1C,1D クッション材
2 粒状物成形層
3 ポリウレタン発泡層
Claims (4)
- 低反発性ポリウレタンフォームの粒状物をバインダーで結合させてなる粒状物成形体を有するクッション材であって、該バインダーがウレタン系接着剤であり、該低反発性ポリウレタンフォームの粒状物の粒径が1〜50mmであり、該低反発性ポリウレタンフォームの反発弾性が0〜15%であることを特徴とするクッション材。
- 請求項1において、該粒状物成形体の通気性が30〜300cc/cm2/secであることを特徴とするクッション材。
- 請求項1又は2において、該バインダーの使用量が低反発性ポリウレタンフォームの粒状物100重量部に対して3〜30重量部であることを特徴とするクッション材。
- 請求項1ないし3のいずれか1項において、前記粒状物成形体と、ポリウレタン発泡体とを有することを特徴とするクッション材。
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