JP5028407B2 - 植物遺伝子の誘導方法および植物の生産方法 - Google Patents

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Description

この発明は、植物遺伝子の誘導方法、および、植物の生産方法に関する。
農産物の栽培における植物病害対策は、農産物の収穫量確保や品質の維持向上を目的として、栽培管理上最も重要な工程の一つとなっている。植物病害対策の手法としては、農薬を用いた防除方法が最も広く行われている(特許文献1参照)。
従来の農薬の多くは、糸状菌、細菌、ウィルス、ウイロイドなどの植物病原菌や害虫を直接標的とするものであり、対象とする病原菌や害虫によって効果を示す薬剤の有効成分が異なるため、現状では予防的に利用するか、発症した症状の観察から病害を推定し薬剤を選定する。そのため、的確な病害診断のもと適正な薬剤の選択が行えなければ、防除効果が低下し散布回数の増加につながる。
さらに同一の薬剤使用では病原菌や害虫が薬剤に対する抵抗性を有することから多種類の薬剤を用いるため、薬剤の毒性による人体や周辺環境への影響などの問題がある。そこで、植物が本来有している生体防御機構を活性化させて植物全体に病害抵抗性を誘導させる化学物質として、プロベナゾールやアシベンゾラルSメチルなどが用いられている。植物が本来持っている生体防御機構の活性化による全身病害抵抗性の誘導は、全身獲得抵抗性(Systemic Acquired Resistance ; SAR)と呼ばれている。
全身獲得抵抗性の誘導は、基本的には植物の一部に何らかのストレスを与えた時、その情報が全身に伝わるとともに、そのストレスに対する新たな抵抗性が全身に誘導される現象をいう。全身獲得抵抗性誘導の詳細なメカニズムは明らかになっていないが、一般的には植物病原菌やエリシター物質(植物の二次代謝系を活性化して生体防護反応を誘導する物質の総称)が植物に認識された後、活性酸素の生成やサリチル酸あるいはスペルミンなどを介したシグナル伝達が起こり、PRタンパク質(感染時特異的タンパク質)の生成などにより病害抵抗性が獲得される。
プロベナゾールなどの一般的な全身獲得抵抗性誘導剤はこの反応を誘導するとされている。一方、植物が障害などのストレスを受けた際には、ジャスモン酸やエチレンなどを介したシグナル伝達が起こり、病害抵抗性の向上だけでなく、虫害抵抗性の向上、果実の熟成、開花促進、休眠打破、発芽調節、乾燥、低温などのストレス抵抗性の向上を引き起こすことが知られている。
植物の全身獲得抵抗性誘導を利用した農薬として、プロベナゾールが実用化されており、イネいもち病抑制剤として非常に大きい市場規模を有している。しかしながら、これらの農薬はいもち病以外への適用範囲が狭く、効果的な次世代の製剤開発が望まれている。また、ジャスモン酸誘導体やエチレン製剤も果実の成熟や開花促進などを目的に利用されているが、その作用範囲は限定されている。
また、植物の二次代謝系は複雑であるうえ、酵素の活性化が短時間に生じるためエリシターなどによる植物防御システムの起動に関するメカニズムについてはほとんど明らかにされていない。
他方、光、特に紫外線による病原菌の滅菌や赤色光で抵抗性を誘導しようとする試みもあるが、一方では紫外線による植物の抵抗性低下の報告もあり、そのメカニズムや効果については不確かな点が多い。さらに、紫外線による生育阻害や赤色光による葉茎の徒長や花芽分化抑制などの影響も報告されており、これらの光によって防除効果が見られても実用的な利用が困難と考えられる。
特開2001−294581号公報 特開2005−328702号公報
近年、地球温暖化の影響を受けこれまで暖地から亜熱帯にかけて発生の多かった高温性の植物病害が日本全国で発生するなど複雑化し、植物病害への対策は年々困難なものとなってきている。これまで農産物の栽培における植物病害対策としては、農薬を用いた防除方法が慣行的に行われている。
しかしながら、農薬による防除は栽培中に数回の散布を要し、生産者は散布に伴う労力および経済的負担を負うとともに、栽培現場およびその付近に及ぶ環境汚染や人体への安全性への問題もある。さらに、最近では農作物に残留する農薬が人体に及ぼす影響についても指摘され、無農薬や減農薬への志向がますます強くなっている。
この発明の目的は、植物の病害抵抗性を高めて農薬の使用量を低減させることのできる植物遺伝子の誘導方法、および、植物の生産方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の植物遺伝子の誘導方法は、
植物遺伝子の発現を誘導する方法であって、
前記植物に緑色光を照射する照射工程を含み、
前記植物遺伝子が、アレンオキシドシンターゼ(AOS)遺伝子、リポキシゲナーゼ(LOX)遺伝子及びキチナーゼ遺伝子からなる群から選択される少なくとも一つの遺伝子であり、
前記照射工程において、前記緑色光の光量が30μmol/m /s以上である、
ことを特徴とする。
この発明によれば、光線を植物に照射して植物の病害抵抗性を高めるものであるから、農薬の使用量を飛躍的に減少させることができ、しかも人体に悪い影響を及ぼすこともなく、環境汚染の防止も図ることができる。
ノーザンブロッティング法で解析された病害抵抗性遺伝子の発現量と照射光の色との関係を示した説明図である。 ジャスモン酸の合成と関連酵素を示した説明図である。 照射時間と遺伝子発現量との関係を示したグラフである。 照射後の経過時間と遺伝子発現量との関係を示したグラフである。 灰色カビ病の発病に及ぼす光照射との関係を示した図表である。 病害抵抗性遺伝子発現に及ぼす光強度の影響を示したグラフである。 病害抵抗性遺伝子の発現に及ぼす点滅照射の影響を示したグラフである。 緑色光照射によるイチゴ炭そ病の抑制効果を示したグラフである。 緑色光照射によるキュウリ炭そ病の抑制効果を示したグラフである。 キュウリ炭そ病の発生に及ぼす照射時間の影響を示したグラフである。 キュウリ炭そ病の発生に及ぼす点滅照射の影響を示したグラフである。 キュウリ炭そ病の病班数に及ぼす点滅照射時間の影響を示したグラフである。 防除装置の構成を示したブロック図である。 固定式の防除装置を閉鎖型の育苗施設へ適用した例を示し、閉鎖型育苗施設を概念的に示した正面図ある。 固定式の防除装置を閉鎖型の育苗施設へ適用した例を示し、閉鎖型育苗施設を概念的に示した側面図ある。 固定式の防除装置を育苗施設に適用した例を示し、育苗施設を概念的に示した正面図ある。 固定式の防除装置を育苗施設に適用した例を示し、育苗施設を概念的に示した側面図ある。 固定式の防除装置を施設園芸へ適用した例を示した図で、施設を概念的に示した正面図である。 固定式の防除装置を施設園芸へ適用した例を示した図で、施設を概念的に示した側面図である。 固定式の防除装置を露地栽培へ適用した例を示した図で、露地を概念的に示した正面図ある。 固定式の防除装置を露地栽培へ適用した例を示した図で、露地を概念的に示した側面図である。 移動式の防除装置の適用例を示した図で、移動式の防除装置を概念的に示した側面図である。 移動式の防除装置の適用例を示した図で、移動式の防除装置を概念的に示した正面図である。 点滅照射、間欠照射、および間欠的な点滅照射について照射の態様をしめした線図である。
本発明において、「植物」は、植物という用語自体から認識され得るもの、野菜、果実、果樹、穀物、種子、球根、草花、香草(ハーブ)、分類学上の植物等を表すものとする。
植物が本来持っている生体防御機構の活性化による全身病害抵抗性の誘導は、全身獲得抵抗性と呼ばれている。全身獲得抵抗性の誘導は、基本的には植物の一部に何らかのストレスを与えた時、その情報が全身に伝わるとともに、そのストレスに対する新たな抵抗性が全身に誘導される現象をいう。本発明は緑色光が植物の病害抵抗性を誘導する作用を発見したものであり、緑色光照射による全く新しい現象である。
従来の農薬はその人体や環境への影響が強く指摘されているところであるが、本発明は農薬の使用量を飛躍的に減少させる可能性のある発明である。すなわち、植物に対して緑色光が抵抗性の遺伝子発現を誘導し植物体内に病害抵抗性を付与する各種タンパク質を作り出す現象であり、植物活性増強方法、その他環境にやさしい防除方法としての用途に広がる基本的に重要な研究成果である。
本発明の実施例で緑色光照射によって、植物の病原菌・ストレス応答遺伝子群の発現を誘導し、病原菌・病害に対する抵抗性増大を促す可能性が示された。本発明の植物の生産方法は、植物遺伝子の発現を誘導する工程を含み、前記工程が、本発明の植物遺伝子の誘導方法により実施されることを特徴とする。
本発明は植物の病害抵抗性を増強する作用を持つ光照射、480nm〜580nm波長域の緑色光の照射であり、好ましくは500nm〜560nm波長域の緑色光の照射が良い。これらの波長域の緑色光を夜間もしくは太陽光と併用して植物に照射する。
本発明の植物への照射部位としては、植物体の一部あるいは全体が緑色光の照射の対象となっていればよい。植物体の一部が緑色光の照射を受けていれば照射部位において病害抵抗性の誘導が始まり、誘導された病害抵抗性は植物体の一部から植物体全身に及ぶ。
本発明の植物への照射時間としては1〜3時間程度の緑色光照射を行えば、病害抵抗性は12時間経過しても持続する。
本発明の植物への照射方法としてはいろいろな手段を使うことができる。例えば、施設栽培における植物、あるいは露地栽培における植物に照射したり、水耕栽培における植物、あるいは土耕栽培における植物に照射したり、育苗における実生苗や接ぎ木苗に照射したり、組織培養の培養器内植物に照射したり、組織培養苗の馴化植物に照射したり、収穫後の農産物の貯蔵時においての照射方法が挙げられる。
使用する光源も、いろいろな種類を使うことができる。例えば、人工光源を直接用いる場合では発光ダイオード(LED)、蛍光管、冷陰極管、アーク灯、ネオン管、エレクトロルミネッセンス(EL)、無電極放電灯、電球、レーザー光、あるいは、燐光、蛍光などの化学反応による光などが挙げられる。さらに、人工光源を用いた照射のみならず、太陽光を用いて緑色光を選択的に照射できるものであれば何でもよい。
例えば、着色フィルム、透過性フィルム、偏光フィルター、透過性資材、ガラスなど緑色光を呈することができる物質が挙げられる。また、照射方法も、植物体全体を均一に照射する方法、植物の株元を照射する方法、移動式の光源により順番に植物に照射していく方法、ミラーボール方式の反射光を使用する方法などが挙げられ、植物の栽培形態や栽培場所に応じて選ぶことができる。
本発明の対象とする植物は、緑色光照射をストレスと認識し、その抵抗性遺伝子群を起動し病原菌・病害に対する抵抗性増大を促す作用を呈する植物であれば何でもよい。実施例の緑色光照射が発現誘導した抵抗性関連遺伝子は、いずれも幅広い植物種において共通の植物防御システムに関与する遺伝子であり、トマトにおいて見られた遺伝子解析結果は他の植物に対しても同様の作用を示すことを実施例におけるキュウリ幼苗と灰色カビ病菌および炭そ病菌、イチゴ幼苗と炭そ病菌の実験系において確認した。
本発明の光照射による病害抵抗性の誘導が期待できる植物としては、果菜類では、キュウリ、カボチャ、スイカ、メロン、トマト、ナス、ピーマン、イチゴ、オクラ、サヤインゲン、ソラマメ、エンドウ、エダマメ等が挙げられる。
葉菜類では、ハクサイ、ツケナ類、チンゲンサイ、キャベツ、カリフラワー、ブロッコリー、メキャベツ、タマネギ、ネギ、ニンニク、ラッキョウ、ニラ、アスパラガス、レタス、サラダナ、セロリ、ホウレンソウ、シュンギク、パセリ、ミツバ、セリ、ウド、ミョウガ、フキ、シソ等が挙げられる。
根菜類としては、ダイコン、カブ、ゴボウ、ニンジン、ジャガイモ、サトイモ、サツマイモ、ヤマイモ、ショウガ、レンコン等が挙げられる。その他に、稲、麦類、トウモロコシ、飼料作物、花卉類、果樹および樹木等にも使用が可能である。
以下の試験で使用した緑色LEDは、500〜560nmに帯域幅を有するものである。
[試験1]
トマト幼苗を用いて、病害抵抗性誘導に関連する遺伝子発現に及ぼす光照射の影響を調査した。
[材料及び方法]
(材料)
供試したトマト品種には桃太郎8(タキイ種苗株式会社)を用いた。種子を育苗用培地(全農、与作)に播種し、2週間目の苗の本葉を使用した。
(試験条件)
トマト幼苗を室温25℃に設定した恒温器内に搬入し、LED光源(青色、緑色、黄色、赤色)を用いてトマト幼苗に光照射した。LED灯数は各光源360灯とし、植物体頂部の1cm上面より植物体全体に均一に照射した。
(RNA抽出)
トマトの葉は処理後直ちに液体窒素を使用して乳鉢と乳棒で磨砕した。組織の磨砕粉末からRNAの抽出にはRNeasy Mini Kits(QIAGEN)を用いた。
(ノーザンブロット解析)
ノーザンブロット解析には、25S rRNAをターゲットとしたプライマーセット60F/260Rv+T7(5'-TCAACCTAGTACGAGAGGAACCG-3’/5'-TAATACGACTCACTATAGGGAACGACACGTGCCCTTGG-3’)およびAOSをターゲットにしたプライマーセット501F/1301Rv+T7(5’-TTCGTATCTCGACCCATCTGAA-3’/5'-TAATACGACTCACTATAGGGGGTTGGTACCCGAATAGGATTTC-3')を使用して増幅したT7プロモーター領域を含むPCR産物を調製し、Dig RNA labeling Kit(SP6/T7)(Roche)を用いて標識したRNAプローブを用いた。
RNAサンプルは10μgのTotal RNA(25S rRNAは2μg)、1μlの20×MOPS、3.5μlの37%(v/v)ホルムアルデヒド、10μlのホルムアミドをよく混合し、水で全量20μlになるように調製した。調製したサンプルを65℃で10分間加熱して変性させ、2μlの10×色素溶液を加えて直ちにホルムアルデヒドを添加した変性条件アガロースゲルを用いて100Vで40分間泳動した。
泳動後、ゲルを10×SSC中で15分間×2回洗浄し、キャピラリー法でHybond-N+ メンブレン (Amersham Biosciences) へRNAを転写した。転写後80℃で2時間静置してRNAを固定した。メチレンブルー染色によってRNAの量を検定したメンブレンをハイブリバッグに入れ約10mlのノーザンブロット用ハイブリダイゼーションバッファー(5×SSC、0.1%(w/v)N-ラウロイルサルコシン、0.02%(w/v)SDS、2%ブロッキング試薬、50%(v/v)ホルムアミド)、の中で68℃、3時間以上プレハイブリダイゼーションを行った。
プレハイブリダイゼーション後RNAプローブを10分間煮沸して変性し同ハイブリダイゼーションバッファーに加えて68℃で一晩メンブレンを振とうさせ、ハイブリダイゼーションさせた。ハイブリダイゼーション後メンブレンをWash Buffer 1(2×SSC、0.1%SDS)で 5分×2回とWash Buffer 2(0.5×SSC、0.1% SDS)(68℃)で15分×2回ずつ洗浄し、Tween 20入りのマレイン酸Buffer(0.15M NaCl、0.1Mマレイン酸)で軽く洗浄したメンブレンをBlocking Buffer(マレイン酸Buffer、1×Blocking buffer)で1時間以上ブロッキングした。
ブロッキング後Tween 20入りのマレイン酸Bufferで15分×3回洗浄した。シグナルの検出は、NBT/BCIPによる発色反応により行った。
[結果及び考察]
LED光源(青色、緑色、黄色、赤色、遠赤色)を用いてトマト幼苗に光照射した場合の病害抵抗性の発現量を上記解析手法を用いて調査した結果、図1に示すように、緑色光照射でのみ特異的に病害抵抗性に深く関わる代表的な遺伝子の一つであるアレンオキシドシンターゼ(AOS)遺伝子の発現が誘導されることが分かった。
AOSは、リポキシゲナーゼ(LOX)と並んで脂質過酸化経路に関わる酵素であり、図2に示すように病害抵抗性の誘導に深く関わることが知られているジャスモン酸の生合成において重要な役割を演じている。
植物においては、病原菌や傷害等のストレスにより、この脂質過酸化経路が極めて初期に作動し、その結果ジャスモン酸やサリチル酸等のシグナル伝達物質が合成され、防御機能を活性化することが知られている。AOS遺伝子が緑色光照射により起動したことは、トマトによる緑色光の認識が、ストレス応答反応経路の活性化につながっていることを意味する。本結果は、緑色光照射が植物の病原菌及びストレス応答遺伝子経路を起動し、病原菌及び病害に対する抵抗性増大を促す可能性を示している。
緑色光は植物の光合成反応等には利用しにくい光とされている。つまり、植物が緑色を呈しているのは、不要な緑色光を植物が反射あるいは透過しているためである。したがって、単色光として緑色光を照射され続けることは、植物にとってストレスを付与された状態と考えられる。また、緑色光照射により発現誘導された抵抗性関連遺伝子は、いずれも幅広い植物種において共通の植物防御システムに関与する遺伝子であり、トマトで見られた本作用は他の植物に対しても同様の作用を及ぼす可能性が高い。
[試験2]
トマト幼苗を用いて、病害抵抗性誘導に関連する遺伝子発現に及ぼす光照射条件の影響を調査した。
[材料及び方法]
(材料)
供試したトマト品種には桃太郎8(タキイ種苗株式会社)を用いた。種子を育苗用培地(全農、与作)に播種し、2週間目の苗の本葉を使用した。
(試験条件)
トマト幼苗を室温25℃に設定した恒温器内に搬入し、LED光源(青色、緑色、黄色、赤色)を用いてトマト幼苗に光照射した。LED灯数は各光源360灯とし、植物体頂部の1cm上面より植物体全体に均一に照射した。
(RNA抽出)
トマトの葉は処理後直ちに液体窒素を使用して乳鉢と乳棒で磨砕した。組織の磨砕粉末からRNAの抽出にはRNeasy Mini Kits(QIAGEN)を用いた。
(Real-TimePCR法)
Real-TimePCR用のサンプルはそれぞれQuantitect Reverse Transcription kit(QIAGEN)を用いて、トマトの葉から抽出した total RNA 1μl を逆転写したcDNAを使用した。
プライマーおよびプローブは、LOXをターゲットにしたTaqManプローブKit(156F/177Taq/220Rv;5’-CCAAGCCTGGTGGAAGGA-3’/ 5’-CCGCGAAGAAGGACATGGCGA-3’/ 5’-GCCACCAAGGCTCATCTTTC-3’)を使用し、リポータ色素にはFAMを使用した。
反応はPreMix(Taq Man Universal PCR Master Mix 25μl、50μM Fw primer0.5μl、50μM Rv primer0.5μl、TaqMan probe 0.5μl、Distilled Water 21.5μl)を作成し、各サンプルcDNAを2μlずつ加え50μl系で反応させた。機器はABI PRISM 7000 Sequence Detection System(Applied Biosystems)を使用し、50℃ 2分、95℃ 10分を1サイクル、95℃ 15秒、60℃ 1分を40サイクル反応した。
検出はそれぞれの増幅曲線状のTh Line(Threshold Line)で対数をとり標準曲線を作成し、LOXの発現量の値を25S rRNA遺伝子発現量の値に対する相対値としてそれぞれ定量した。
[結果及び考察]
抵抗性関連遺伝子の一つであるLOX遺伝子を誘導する緑色光照射時間を調査した結果、1〜3時間程度の数時間照射により速やかに遺伝子発現量が増加することを明らかにした。また、その遺伝子発現の持続について調査した結果、遺伝子発現後緩やかに低下しながらも12時間を経過しても発現が持続していることを確認した(図3)。これによって1〜3時間程度の緑色光照射を間欠的に照射することで病害抵抗性を持続的に誘導できるものと考えられた(図4)。
LOX遺伝子が緑色光照射により誘導されたことは、これまでに述べた緑色光照射による病害抵抗性作用をさらに裏付けるものである。
[試験3]
[材料及び方法]
キュウリとキュウリの代表的な病原菌である灰色カビ病菌(Botrytis cinerea)の病害発生系を用いて、キュウリの幼苗期における感染時の緑色光照射の影響を調査した。
(接種植物の育苗方法)
バーミキュライトを充填した直径6cmの黒ポリポットにキュウリ種子(品種:地這キュウリ)を1粒ずつ平成17年12月1日に播種し、室温23℃、照度6,000〜8,000 lux の蛍光灯照明下で発芽させ育苗した。病原菌接種には展開した子葉及び本葉1枚の状態のキュウリ幼苗を用いた。
(試験条件)
試験区の設定は対照区、病害抵抗性向上効果を有する市販薬剤のプロベナゾール散布区、光照射区とした。対照区には上記の育苗条件下で育苗した幼苗に病原菌接種を行った。プロベナゾール区は、オリゼメート粒剤(明治製菓製、有効成分:プロベナゾール8.0%)の0.1%(w/v)水溶液を病原菌接種の2時間前に散布した。
その後上記の育苗条件下に戻し、2時間経過した後病原菌接種を行った。光照射区は上記の育苗条件下で育苗した幼苗を病原菌接種前に緑色LED光源を用いて植物体頂部の約8cm上面より植物体全体に均一に2時間光照射した。光照射処理終了後、直ちに病原菌を以下に示す接種方法により病原菌接種した。各試験区とも用いたキュウリの株数は6個体とした。
(接種用病原菌懸濁液作製方法及び病原菌接種方法)
病原菌接種には灰色カビ病菌(Botrytis cinerea NBRC9760株)を用いた。灰色カビ病菌の胞子懸濁液濃度を105〜106個/mlに調整し病原菌懸濁液とした。これらの懸濁液をスプレー容器に充填し、キュウリ幼苗の葉面に均一に散布接種した。接種は平成17年12月12日に行った。
(接種後の栽培方法)
病原菌懸濁液を接種後、キュウリ幼苗をビニール袋で覆い室温20℃、湿度90%、日長12時間の植物育成用恒温装置で2日間養生した。養生後ビニール袋を除去し、室温30℃、湿度85%、日長12時間の植物育成用恒温装置で2週間栽培を行った。
(病害の判定)
接種後の約2週間の栽培を行った後、病害の発生率を調査した。すなわち、キュウリ幼苗の子葉の裏面に病斑を発症した株を発病株、それらが確認されなかった株を健全株として判定を行った。病害の判定は平成17年12月26日に行った。
[結果及び考察]
灰色カビ病菌の接種を行ってから約2週間後の病害発病の判定を行った結果、対照区では全ての株の子葉において病斑の形成が確認され100%の発病率を示した。これに対しプロベナゾール散布区では50%、光照射区67%の発病率を示した(図5の図表1参照)。
また、プロベナゾール処理区、光照射処理区ともに発病した株は、対照区に比べ発病が軽症化していることも確認された。これにより、緑色光照射により病害抵抗性向上が図られ、病原菌の感染を阻止できることが明らかとなった。また、その効果は、プロベナゾールと同等の効果があることも確認された。
これらの現象は全身獲得抵抗性の誘導と考えられ、局所的な照射により病害抵抗性が全身に及ぶ可能性も示唆された。本防除方法は病原菌そのものを殺菌する手法ではなく、植物体内における病害抵抗性を向上させ病原菌の植物体内への感染及び侵入を抑制し、病害への罹病を低下させる手法である。
つまり、定期的な光照射を受けることにより植物体内では持続的に病害抵抗性が高まった状態を維持でき病原菌の感染を阻止できると考えられる。これにより、これまでの薬剤防除の代替となる画期的な光防除技術の見通しを得た。
[試験4]
キュウリの幼苗を用いて病害抵抗性遺伝子の発現に及ぼす光強度の影響を調査した。
[材料及び方法]
(材料)
キュウリ種子(‘アルファー節成’(株)久留米原種育成会)を育苗用培土に播種し、播種後1週間の幼苗を使用した。
(試験条件)
25℃に設定したチャンバー内において、光源に緑色LEDを用い、光強度を30μmol/m/s、60μmol/m/s、120μmol/m/sに設定し、キュウリ幼苗に2時間照射した。照射直後にそれぞれキュウリの子葉および本葉からRNAを抽出した。
(RNA抽出)
キュウリの葉は処理後直ちに液体窒素を使用して乳鉢と乳棒で磨砕した。組織の磨砕粉末からRNAの抽出にはRNeasy Mini Kits(QIAGEN)を用いた。
(Real-TimePCR法)
Real-TimePCR用のサンプルは、それぞれHigh Caoacity cDNA Reverse Transcription Kit(Applied Byosystems)を用いて、キュウリの葉から抽出したtotal RNA2μgを逆転写したcDNAを使用した。
プライマーおよびプローブは、25S rRNAをターゲットとしたTaqMan プローブ(16F/ 128Taq/ 279Rv;5’-acaggttagttttaccctactgatgaca -3’/5’-cgcgaagctaccgtgtgctggattat -3’/ 5’-ccgtcgcggcgactta -3’)とキチナーゼをターゲットにしたTaqMan プローブ (Cucu-Fw550F/CucuTaq571/CucuRv616; 5’-gccgcagtgtccaatacca-3’/ 5’-cgctcacctagacgccgcgatc-3’ / 5’-aacggaatcgaacagtccagtt -3’)を使用し、リポータ色素にはFAMを使用した。
反応はPreMix(Taq Man Universal PCR Master Mix 25μl、50μM Fw primer0.5μl、50μM Rv primer0.5μl、TaqMan プローブ 0.5μl、純水 21.5μl)を作成し、各サンプルcDNAを1μlずつ加え50μl系で反応させた。検出はABI PRISM 7000 Sequence Detection System(Applied Biosystems)を使用し、50℃2分、95℃10分を1サイクル、95℃15秒、60℃1分を40サイクル反応させた。
検出はそれぞれ増幅曲線状のThLineで対数をとり標準曲線を作成し、キチナーゼの発現量の値を25S rRNA遺伝子発現量の値に対する相対値としてそれぞれ定量した。
(結果)
病害抵抗性遺伝子の発現に及ぼす光強度の影響を遺伝子解析した結果、緑色光を2時間照射した直後の場合、60μmol/m2/sで抵抗性遺伝子の発現量が最も高くなる傾向が認められた(図6)。一方、後述する病害系を用いた防除効果確認試験では、イチゴでは80μmol/m2/s前後、キュウリでは120μmol/m2/s前後で防除効果が高かった。
これらの結果から、病害系を用いた防除試験で効果が見られた光強度が、病害抵抗性の発現においても適正な光強度であることが遺伝子解析によって裏付けられた。
代表的なPRタンパク質の1つであるキチナーゼの遺伝子が緑色光により誘導されたことはこれまでに述べた緑色光照射による病害抵抗性誘導作用をさらに強く裏付けるものである。
[試験5]
キュウリの幼苗を用いて病害抵抗性遺伝子の発現に及ぼす点滅照射の影響を調査した。
[材料及び方法]
(材料)
キュウリ種子(‘アルファー節成’(株)久留米原種育成会)を育苗用培土に播種し、播種後1週間の幼苗を使用した。
(試験条件)
25℃に設定したチャンバー内において、光源に緑色LEDを用い、照射間隔を1回/0.5秒、1回/5秒および連続照射に設定し、キュウリ幼苗に2時間照射した。照射1日後にそれぞれキュウリの子葉および本葉からRNAを抽出した。
(RNA抽出)
キュウリの葉は処理後直ちに液体窒素を使用して乳鉢と乳棒で磨砕した。組織の磨砕粉末からRNAの抽出にはRNeasy Mini Kits(QIAGEN)を用いた。
(Real-TimePCR法)
Real-TimePCR用のサンプルは、それぞれHigh Caoacity cDNA Reverse Transcription Kit(Applied Byosystems)を用いて、キュウリの葉から抽出したtotal RNA2μgを逆転写したcDNAを使用した。
プライマーおよびプローブは、25S rRNAをターゲットとしたTaqMan プローブ(16F/ 128Taq/ 279Rv;5’-acaggttagttttaccctactgatgaca -3’/5’-cgcgaagctaccgtgtgctggattat -3’/ 5’-ccgtcgcggcgactta -3’)とキチナーゼをターゲットにしたTaqMan プローブ(Cucu-Fw550F/CucuTaq571/CucuRv616; 5’-gccgcagtgtccaatacca-3’/ 5’-cgctcacctagacgccgcgatc-3’ / 5’-aacggaatcgaacagtccagtt -3’)を使用し、リポータ色素にはFAMを使用した。
反応はPreMix(Taq Man Universal PCR Master Mix 25μl、50μM Fw primer0.5μl、50μM Rv primer0.5μl、TaqMan プローブ 0.5μl、純水 21.5μl)を作成し、各サンプルcDNAを1μlずつ加え50μl系で反応させた。検出はABI PRISM 7000 Sequence Detection System(Applied Biosystems)を使用し、50℃2分、95℃10分を1サイクル、95℃15秒、60℃1分を40サイクル反応させた。
検出はそれぞれ増幅曲線状のThLineで対数をとり標準曲線を作成し、キチナーゼの発現量の値を25S rRNA遺伝子発現量の値に対する相対値としてそれぞれ定量した。
[結果及び考察]
(結果)
病害抵抗性遺伝子の発現に及ぼす照射間隔の影響を遺伝子解析した結果、点滅照射を行うことによって病害抵抗性遺伝子の発現量が連続照射よりも高くなる傾向が認められた(図7)。一方、後述する病害系を用いた防除効果確認試験では、5秒に1回の点滅照射で防除効果が高かった。これらの結果から、病害系を用いた防除試験で効果が見られた点滅照射が、病害抵抗性の発現においても有効な照射方法であることが遺伝子解析によって裏付けられた。
[試験6]
(緑色光照射によるイチゴ炭そ病の抑制効果)
[材料及び方法]
イチゴとイチゴの代表的な病原菌である炭そ病菌(Glomerella cingulata)の病害発生系を用いて、イチゴの幼苗期における感染時の緑色光照射の影響を調査した。
(接種植物の育苗方法)
イチゴ育苗用培地(すくすくシステム専用培土、丸三産業株式会社)を充填した直径8cmの黒ポリポットにイチゴ(品種:さちのか)のランナーを採苗し、約1か月間育苗した。病原菌接種には本葉3枚の状態のイチゴ幼苗を用いた。
(試験条件)
試験区の設定は無処理区、病害抵抗性向上効果を有する市販薬剤の農薬散布区、緑色光照射区とした。
無処理区は上記の育苗条件下で育苗した幼苗に病原菌接種を行った。農薬散布区は、オリゼメート粒剤(明治製菓製、有効成分:プロベナゾール8.0%)の0.1%(w/v)水溶液を病原菌接種の2時間前に散布した。苗を室温23℃、照度6,000〜8,000luxの蛍光灯照明の条件下に静置して2時間経過した後、病原菌接種を行った。
緑色光照射区は、25℃に設定したチャンバー内において、光源に緑色LEDを用い、光強度を15μmol/m/s、30μmol/m/s、80μmol/m/sに設定し、病原菌接種前にイチゴ幼苗に2時間照射した。光照射処理終了後、直ちに病原菌を以下に示す接種方法により病原菌接種した。各試験区とも用いたイチゴの株数は7個体とした。
(接種用病原菌懸濁液作製方法及び病原菌接種方法)
病原菌接種には炭そ病菌(Glomerella cingulata NBRC6425株)を用いた。炭そ病菌の胞子懸濁液濃度を105〜106個/mlに調整し、病原菌懸濁液とした。これらの懸濁液をスプレー容器に充填し、イチゴ幼苗の葉面に均一に散布接種した。
(接種後の栽培方法)
病原菌懸濁液を接種後、幼苗をビニール袋で覆い室温20℃、湿度90%、日長12時間の植物育成用恒温装置で2日間養生した。養生後ビニール袋を除去し、室温30℃、湿度85%、日長12時間の植物育成用恒温装置で2週間栽培を行った。
(病害の判定)
接種後約2週間の栽培を行った後、病害の発生率を調査した。すなわち、イチゴの葉面に病斑を発症した株を発病株、それらが確認されなかった株を健全株として判定を行った。発病株は病班の程度を3段階にわけ、発病程度を観察した。
[結果及び考察]
イチゴの幼苗にイチゴ炭そ菌の接種を行ってから約2週間後の病害発病の判定を行った結果、緑色光照射区は対照区に比べ発病が軽症化していることが確認された。これにより、緑色光照射により病害抵抗性向上が図られ、イチゴ炭そ病菌の感染を抑制できることが明らかとなった。
さらに2時間照射の場合の有効な光強度は、イチゴで80μmol/m/s前後であることがわかった(図8)。
[試験7]
(緑色光照射によるキュウリ炭そ病の抑制効果)
[材料及び方法]
キュウリとキュウリの代表的な病原菌である炭そ病菌(Colletotrichum orbiculare)の病害発生系を用いて、キュウリの幼苗期における感染時の緑色光照射の影響を調査した。
(接種植物の育苗方法)
バーミキュライトを充填した直径6cmの黒ポリポットにキュウリ種子(品種:アルファー節成)を1粒ずつ播種し、室温23℃、照度6,000〜8,000luxの蛍光灯照明下で発芽させ育苗した。病原菌接種には展開した子葉及び本葉1枚の状態のキュウリ幼苗を用いた。
(試験条件)
試験区の設定は無処理区、病害抵抗性向上効果を有する市販薬剤の農薬散布区、緑色光照射区とした。
無処理区は上記の育苗条件下で育苗した幼苗に病原菌接種を行った。農薬散布区は、オリゼメート粒剤(明治製菓製、有効成分:プロベナゾール8.0%)の0.1%(w/v)水溶液を病原菌接種の2時間前に散布した。
苗を室温23℃、照度6,000〜8,000luxの蛍光灯照明の条件下に静置して2時間経過した後、病原菌接種を行った。緑色光照射区は、25℃に設定したチャンバー内において、光源に緑色LEDを用い、光強度を30μmol/m/s、60μmol/m/s、120μmol/m/sに設定し、病原菌接種前にキュウリ幼苗に2時間照射した。光照射処理終了後、直ちに病原菌を以下に示す接種方法により病原菌接種した。各試験区とも用いたキュウリの株数は9個体とした。
(接種用病原菌懸濁液作製方法及び病原菌接種方法)
病原菌接種には炭そ病菌(Colletotrichum orbiculare NBRC33130株)を用いた。炭そ病菌の胞子懸濁液濃度を105〜106個/mlに調整し病原菌懸濁液とした。これらの懸濁液をスプレー容器に充填し、キュウリ幼苗の葉面に均一に散布接種した。
(接種後の栽培方法)
病原菌懸濁液を接種後、キュウリ幼苗をビニール袋で覆い室温20℃、湿度90%、日長12時間の植物育成用恒温装置で2日間養生した。養生後ビニール袋を除去し、室温30℃、湿度85%、日長12時間の植物育成用恒温装置で2週間栽培を行った。
[結果及び考察]
キュウリの幼苗にキュウリ炭そ菌の接種を行ってから、約2週間後の病害発病の判定を行った結果、緑色光照射区は対照区に比べ発病が軽症化していることが確認された。これにより、緑色光照射により病害抵抗性向上が図られ、キュウリ炭そ病菌の感染を抑制できることが明らかとなった。
さらに2時間照射の場合の有効な光強度は、キュウリで120μmol/m/s前後であることがわかった(図9)。
[試験8]
(防除効果に及ぼす照射時間の影響)
[材料及び方法]
キュウリとキュウリの代表的な病原菌である炭そ病菌(Colletotrichum orbiculare)の病害発生系を用いて、キュウリの幼苗期における感染時の緑色光照射の影響を調査した。
(接種植物の育苗方法)
バーミキュライトを充填した直径6cmの黒ポリポットにキュウリ種子(品種:アルファー節成)を1粒ずつ播種し、室温23℃、照度6,000〜8,000luxの蛍光灯照明下で発芽させ育苗した。病原菌接種には展開した子葉及び本葉1枚の状態のキュウリ幼苗を用いた。
(試験条件)
試験区の設定は対照区、病害抵抗性向上効果を有する市販薬剤のプロベナゾール散布区、光照射区とした。対照区には上記の育苗条件下で育苗した幼苗に病原菌接種を行った。プロベナゾール区は、オリゼメート粒剤(明治製菓製、有効成分:プロベナゾール8.0%)の0.1%(w/v)水溶液を病原菌接種の2時間前に散布した。
苗を室温23℃、照度6,000〜8,000luxの蛍光灯照明の条件下に静置して2時間経過した後、病原菌接種を行った。緑色光照射区は、25℃に設定したチャンバー内において、光源に緑色LEDを用い、光強度を120μmol/m/sに設定し、病原菌接種前にキュウリ幼苗に1時間、2時間および6時間照射した。光照射処理終了後、直ちに病原菌を以下に示す接種方法により病原菌接種した。各試験区とも用いたキュウリの株数は9個体とした。
(接種用病原菌懸濁液作製方法及び病原菌接種方法)
病原菌接種には炭そ病(Colletotrichum orbiculare NBRC33130株)を用いた。炭そ病菌の胞子懸濁液濃度を105〜106個/mlに調整し病原菌懸濁液とした。これらの懸濁液をスプレー容器に充填し、キュウリ幼苗の葉面に均一に散布接種した。
(接種後の栽培方法)
病原菌懸濁液を接種後、キュウリ幼苗をビニール袋で覆い室温20℃、湿度90%、日長12時間の植物育成用恒温装置で2日間養生した。養生後ビニール袋を除去し、室温30℃、湿度85%、日長12時間の植物育成用恒温装置で2週間栽培を行った。
(病害の判定)
接種後の約2週間の栽培を行った後、病害の発生率を調査した。すなわち、キュウリ幼病の子葉の裏面に病斑を発症した株を発病株、それらが確認されなかった株を健全株として判定を行った。
[結果及び考察]
キュウリの幼苗にキュウリ炭そ菌の接種を行ってから、約2週間後の病害発病の判定を行った結果、2時間照射により発病が最も軽症化していることが確認された。これにより緑色光照射時間は2時間照射が最も抑制効果が高いことが明らかとなった(図10)。
[試験9]
(防除効果に及ぼす点滅照射の影響)
[材料及び方法]
キュウリとキュウリの代表的な病原菌である炭そ病菌(Colletotrichum orbiculare)の病害発生系を用いて、キュウリの幼苗期における感染時の緑色光照射の影響を調査した。
(接種植物の育苗方法)
バーミキュライトを充填した直径6cmの黒ポリポットにキュウリ種子(品種:アルファー節成)を1粒ずつ播種し、室温23℃、照度6,000〜8,000luxの蛍光灯照明下で発芽させ育苗した。病原菌接種には展開した子葉及び本葉1枚の状態のキュウリ幼苗を用いた。
(試験条件)
試験区の設定は対照区、病害抵抗性向上効果を有する市販薬剤のプロベナゾール散布区、光照射区とした。対照区には上記の育苗条件下で育苗した幼苗に病原菌接種を行った。プロベナゾール区は、オリゼメート粒剤(明治製菓製、有効成分:プロベナゾール8.0%)の0.1%(w/v)水溶液を病原菌接種の2時間前に散布した。
苗を室温23℃、照度6,000〜8,000luxの蛍光灯照明の条件下に静置して2時間経過した後、病原菌接種を行った。緑色光照射区は、25℃に設定したチャンバー内において、光源に緑色LEDを用い、光強度を120μmol/m/sに設定し、病原菌接種前にキュウリ幼苗に連続、1回/0.5秒間隔および1回/5秒間隔で照射した。光照射処理終了後、直ちに病原菌を以下に示す接種方法により病原菌接種した。各試験区とも用いたキュウリの株数は9個体とした。
(接種用病原菌懸濁液作製方法及び病原菌接種方法)
病原菌接種には炭そ病菌(Colletotrichum orbiculare NBRC33130株)を用いた。炭そ病菌の胞子懸濁液濃度を105〜106個/mlに調整し病原菌懸濁液とした。これらの懸濁液をスプレー容器に充填し、キュウリ幼苗の葉面に均一に散布接種した。
(接種後の栽培方法)
病原菌懸濁液を接種後、キュウリ幼苗をビニール袋で覆い室温20℃、湿度90%、日長12時間の植物育成用恒温装置で2日間養生した。養生後ビニール袋を除去し、室温30℃、湿度85%、日長12時間の植物育成用恒温装置で2週間栽培を行った。
(病害の判定)
接種後の約2週間の栽培を行った後、病害の発生率を調査した。すなわち、キュウリ幼病の子葉の裏面に病斑を発症した株を発病株、それらが確認されなかった株を健全株として判定を行った。
[結果及び考察]
キュウリの幼苗にキュウリ炭そ菌の接種を行ってから、約2週間後の病害発病の判定を行った結果、点滅照射によりさらに病害抑制効果が高まることが見出された(図11)。1株当たりの病班数を測定したところ、1回/5秒間隔の緑色光照射により発病が最も軽症化していることが確認された(図12)。これにより緑色光を点滅で照射することで防除効果が向上することが明らかになった。
(実施例1)
図13はこの発明に係る防除方法を実施する防除装置の一実施例の構成を示したブロック図である。図13において、D1〜Dnは緑色光を発光して植物を照射する発光ダイオード(発光手段)、1は発光ダイオードD1〜Dnを点灯させる駆動回路、2は駆動回路1を制御する制御装置(制御手段)である。
この制御装置2は、例えばCPUなどから構成され、駆動回路1を制御して発光ダイオードD1〜Dnを例えば3時間点灯させ、この後例えば12時間消灯させ、これを繰り返し行って発光ダイオードD1〜Dnから発光される緑色光を間欠的に植物に照射させるものである。この照射は、植物全体を照射してもよく、植物の一部を照射してもよい。例えば、1枚の葉だけでもよく、茎の一部でもよい。
上記実施例では、発光ダイオードD1〜Dnを間欠的に発光させているが、かならずしも間欠的に発光させる必要はない。また、発光ダイオードD1〜Dnで緑色光を発光させているが、これに限らず例えばランプなどであってもよい。
また、太陽光を用いて着色フィルムなどを利用して緑色光のみを照射するようにしてもよく、緑色以外の色の波長域を有する他色光を含んでいてもよい。この場合、緑色光が他色光よりも強ければよい。
(実施例2)
図14〜図17は、育苗または栽培施設の規模や仕様に合わせて、栽培面全体を一度に照射することができる防除装置を示している。この防除装置は、緑色光源と図示しない制御装置で構成される。この制御装置は図示しないCPU、メモリー等により構成される。メモリーには制御プログラムが記録されている。この制御装置は、例えば、次の(1)設定された照射間隔(1回/L日)(Lは所望の整数)、(2)例えば真夜中、日入後、日出前のように設定された照射の時間帯、(3)1回の照射について設定された照射時間(M分/回)(Mは所望の整数)、(4)例えば連続照射や点滅照射のように設定された照射方法での照射、(5)設定された光強度(μmol/m/s)での照射に関する自動制御を制御プログラムに基づいて行うようにしている。また、自動制御コストを下げるため、簡易なタイマで(2)、(3)のみ自動で制御し、(1)、(5)などはユーザ自身が手動で調整、運転するなど自動制御を簡素化する事も可能である。
図14A、図14Bは、閉鎖型育苗庫140への適用例である。図14Aは閉鎖型育苗庫140内を概念的に示した正面図で、図14Bはその側面図である。この閉鎖型育苗庫140内には2段の育苗棚141が設けられている。この育苗棚141の棚141A、141Bには植物Tを植えた鉢142が複数個載置されている。この適用例によれば育苗棚141に載置された植物Tへの緑色光照射で、苗の病害は抑制し高品質な苗生産と苗貯蔵が可能となる。ここで閉鎖型育苗庫とは、庫内を苗生産や苗貯蔵に最適な環境(温度、湿度、照度など)にコントロールすることができる育苗庫である。
各棚141A、141Bの植物Tの上方には緑色の単色光を発する発光ダイオードD1a1〜D1an、D2a1〜D2an、D1b1〜D1bn、D2b1〜D2bnが配置されている。これら発光ダイオードは、例えば育苗棚141に設けられた図示しない保持部材に取り付けられている。発光ダイオードD1a1〜D1an、D2a1〜D2an、D1b1〜D1bn、D2b1〜D2bnは、図示しない制御装置によって点灯時間、点滅周期、発光強度などが制御される。これら制御を植物Tの種類に応じて行えば効率良く防除効果を得ることができる。
図15A、図15Bは、ビニル温室や建屋内での育苗施設150への適用例である。図15Aは育苗施設150内を概念的に示した正面図で、図15Bはその側面図である。植物T(苗)への緑色光照射で、苗の病害を抑制し高品質な苗生産が可能となる。この育苗施設150内には、育苗棚151が設けられている。この育苗棚151には植物Tを植えた鉢152が複数個載置されている。
この植物Tの上方には緑色の単色光を発する複数の発光ダイオードD1c1〜D1cn、D2c1〜D2cn、D3c1〜D3cnが配置されており、これら発光ダイオードD1c〜D3cは、育苗施設150に設けられた支持部材153(例えばハウス骨材等)に取り付けられている。発光ダイオードD1c〜D3cは、図示しない制御装置によって点灯時間、点滅周期、発光強度などが制御される。これら制御を植物Tの種類に応じて行えば効率良く防除効果を得ることができる。
図16A、図16Bは施設園芸への適用例である。図16Aは施設160内を概念的に示した正面図で、図16Bはその側面図である。栽培面への緑色光照射で、栽培期間中の病害を抑制し植物Tの高品質化と収量増を可能とする。この施設160では、育苗棚161、161が2列設けられている。この2列の育苗棚161の棚164には植物Tを植えた鉢162が夫々載置されている。
育苗棚161、161の上方には長手方向に沿って緑色の単色光を発する複数の発光ダイオードD1d1〜D1dn、D2d1〜D2dnが配置されており、これら発光ダイオードD1d1〜D1dn、D2d1〜D2dnは、例えば施設160に設けられた支持部材163に取り付けられている。発光ダイオードD1d1〜D1dn、D2d1〜D2dnは、図示しない制御装置によって点灯時間、点滅周期、発光強度などが制御される。これら制御を植物Tの種類に応じて行えば効率良く防除効果を得ることができる。
図17は露地栽培への適用例である。図17Aは露地170を概念的に示した正面図で、図17Bはその側面図である。雨ざらしで覆いも無く病害の出やすい環境にある露地栽培の栽培面への緑色光照射で、栽培期間中の病害を抑制し高品質化と収量増を可能とする。この露地栽培では、露地170に植物Tを植えたうね172、172が2列設けられている。
これら2列のうね172、172の上方には、各うね172、172に沿って緑色の単色光を発する複数の発光ダイオードD1e1〜D1en、D2e1〜D2enが配置されており、これら発光ダイオードD1e1〜D1en、D2e1〜D2enは、例えば露地に設けられた保持部材171に取り付けられている。発光ダイオードD1e1〜D1en、D2e1〜D2enは、図示しない制御装置によって点灯時間、点滅周期、発光強度などが制御される。これら制御を植物Tの種類に応じて行えば効率良く防除効果を得ることができる。
図14〜図17において、緑色光源Da〜DeはLEDを使用しているが、緑色蛍光灯、HID(高輝度放電灯)などでも良い。
(実施例3)
図18A、図18Bは、育苗または栽培施設の規模や仕様に合わせて、栽培面上を移動しながら栽培面全体を照射することができる移動式の防除装置188を設けた大規模な育苗施設180を示す。図18Aはこの育苗施設180を概念的に示した側面図で、図18Bはその正面図である。この育苗施設180内には育苗棚185が設けられている。この育苗棚185には、植物Tを植えた鉢184が複数個載置されている。
植物Tの上方には緑色の単色光を発する複数の発光ダイオードD1f〜Dnfが保持板186にマトリックス状に設けられている。この保持板186は、レール183に移動可能かつ脱着可能に取り付けられている。
防除装置188は、保持板186に設けた発光ダイオードD1f〜Dnfと、保持板186をレール183に沿って移動させる移動装置(移動手段)200と、この移動装置200の制御と発光ダイオードD1f〜Dnfの発光制御を行う制御装置181とを備えている。
移動装置200は、例えばレール183の一端側に設けられた図示しない駆動プーリと、レール183の他端側に設けられた図示しない従動プーリと、駆動プーリおよび従動プーリに巻回された図示しないベルトと、駆動プーリを回転させるモータM等とから構成されている。ベルトには、保持板186が連結され、ベルトの移動によって保持板186がレール183に沿って移動するようになっている。
制御装置181は、図示しないCPU、メモリー等により構成され、モータMや発光ダイオードD1f〜Dnf等を制御する所定のプログラムがこのメモリーに記録されている。モータMは制御プログラムに従って駆動させられ、この駆動により保持板186が施設180内の後述する所定のブロックB1〜B6位置に移動させられる。さらにこの保持板186の発光ダイオードD1f〜Dnfは制御プログラムに従って発光して植物Tを照射する。
育苗棚185は、長手方向に沿って6つの同じ大きさのブロックB1〜B6に区分けされている。
保持板186は、その縦横幅の長さと前記各ブロックB1〜B6の縦横幅の長さとがほぼ同一に設定されており、発光ダイオードD1f〜Dnfによって各ブロックB1〜B6の1つの全体を照射することができるようになっている。
次に各ブロックB1〜B6の照射方法の一例を説明する。
各ブロックB1〜B6を例えば1回/2日の割合で照射し、且つ夜間に2時間照射する場合では、(1)1日目の23時〜1時の間にブロックB1を照射し、(2)1日目の1時〜3時の間にブロックB2を照射する。次に、(3)1日目の3時〜5時の間にブロックB3を照射し、(4)2日目の23時〜1時の間にブロックB4を照射し、(5)2日目の1時〜3時の間にブロックB5を照射し、(6)2日目の3時〜5時の間にブロックB6を照射する。3日目以降は(1)〜(6)を繰り返す。
発光ダイオードD1f〜Dnfは、各ブロックB1〜B6で2時間照射するが、この照射強度は植物Tの種類や病害の種類に応じて設定することにより、防除効果を確実に得ることができる。
この実施例では、発光ダイオードD1f〜Dnfを2時間連続照射するが、図19に示すように点滅や間欠照射であってもよく、点滅照射を間欠的に行なってもよい。この点滅照射や間欠照射は、植物Tの種類や病害の種類に応じて行っても良い。
防除装置188は、保持板186の移動の異常や発光ダイオードD1f〜Dnfの発光の異常を表示部(図示せず)に表示させたり、照射状況を表示部に表示するようになっている。
このように防除装置188の光源である発光ダイオードD1f〜Dnfが移動式であるメリットは、栽培面全体を一度に照射するための光源設備を必要としないため、設備コストを抑えることができる。例えば1回/3日の割合で照射する場合、全面積の1/3の光源設備で良い。そのため、このような移動式の防除装置188によれば、特に大規模な施設で光源設備コストを低く抑えることができる。
図18A、図18Bの適用例では緑色光の光源が天井吊りであるが、栽培上面を光源が移動できるものであれば、床置きのレール移動式などでも良い。また、光源が固定で栽培棚や栽培ベッドが移動する方法でも良い。
防除装置188は、操作部182の操作により、1日の照射時間帯(照射時間)の設定、各照射時間帯において照射するブロックB1〜B6の選択、各照射時間帯における照射光強度(光量子量)の設定、各照射時間帯における光源の点滅間隔の設定、各照射時間帯における照射間欠の間隔などの設定を行うことができるようになっている。また自動運転モード、手動運転モードの切り換えが可能となっている。
さらに操作部182を操作することでメモリーの制御プログラムを書き換えて制御内容を再設定することが可能となっている。また、操作部182を操作して植物の種類や病害の種類を入力することにより、その植物の種類や病害の種類に適した1日の照射時間帯(照射時間)の設定、各照射時間帯において照射するブロックB1〜B6の選択、各照射時間帯における照射光強度(光量子量)の設定、各照射時間帯における光源の点滅間隔の設定、各照射時間帯における照射間欠の間隔設定、を行うことも可能となっている。
保持板186をレール183から取り外すことにより、日中の間、発光ダイオ−ドD1f〜Dnfで植物Tを照射せず、且つ太陽光などの白色光を植物Tに当てる場合、育苗面や栽培面が遮光されない。
図中の緑色光の光源はLEDを使用しているが、蛍光灯、HID(高輝度放電灯)などでも良い。
この発明によれば、光線を植物に照射して植物の病害抵抗性を高めるものであるから、農薬の使用量を飛躍的に減少させることができ、しかも人体に悪い影響を及ぼすこともなく、環境汚染の防止も図ることができる。

Claims (2)

  1. 植物遺伝子の発現を誘導する方法であって、
    前記植物に緑色光を照射する照射工程を含み、
    前記植物遺伝子が、アレンオキシドシンターゼ(AOS)遺伝子、リポキシゲナーゼ(LOX)遺伝子及びキチナーゼ遺伝子からなる群から選択される少なくとも一つの遺伝子であり、
    前記照射工程において、前記緑色光の光量が30μmol/m /s以上である、
    ことを特徴とする方法。
  2. 植物の生産方法であって、植物遺伝子の発現を誘導する工程を含み、前記工程が請求項1記載の方法によって実施されることを特徴とする生産方法。
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