JP5028390B2 - 能動型防振支持装置 - Google Patents
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Description
可動コア54Aが固定コア42A側に磁力で吸引されるとき、実際には可動コア54Aは図7の軸中心L(以下、軸線Lと称する)上に中心が位置するように上下方向に移動することは無く、可動コア54Aの軸がぶれて上下方向に移動する。
その結果、周方向でギャップg1の距離(図4の(a)に示す固定コア42Aの吸引面42bと可動コア54Aの吸引面54bとの垂直方向距離)が一様ではなく、周方向において吸引力に分布が生じる。
図4の(b)に示すように、従来のギャップg1を形成する吸引面42b,54b間の斜め方向の磁束は、吸引力Fsとして斜め方向に働き、その力は横方向成分(以下、横力と称する)FHと垂直方向の成分(以下、推力と称する)FVに分けられる。前記したように周方向でギャップg1の距離が一様でないので、横力FHの周方向の総和は必ずしもゼロとはならず、ギャップg1の距離が周方向の部分的区間において平均的に大きい側の径方向外側に可動コア54Aの下端を押す横力が残り、軸受け部材51の内周面と擦れあうことになる。
その結果、横力により軸受け部材51の内周面の磨耗を生じたり、横力が残る分、推力に変換される分が少なくなり効率が落ちたり、横力により軸受け部材51との摺動抵抗が増大し上下動応答にヒステリシスが生じたりするという問題があった。
また、請求項3に係る発明の能動型防止支持装置は、前記先端部の径方向幅は、前記底部の径方向幅よりも小さく、前記先端部と前記底部との軸方向の面間距離は、前記第1外周側テーパ面と前記第2外周側テーパ面との軸方向の面間距離よりも大きいことを特徴とする。
(能動型防振支持装置の全体構成)
図1は、本実施形態に係わる能動型防振支持装置のアクティブ・コントロール・マウントの構造を示す縦断面図であり、図2は図1のA部拡大図である。
ACMECU71はエンジン回転速度Neや出力トルク等を制御するエンジン制御ECU(以下、エンジンECUと称する)73と通信回線、例えば、CAN(Controller Area Network)通信で接続されている。
ちなみに、クランクパルスは、6気筒エンジンの場合、クランクシャフトの1回転につき24回、つまりクランクアングルの15°毎に1回出力される。
図1に示すように、アクティブ・マウントMは、軸線Lに関して実質的に軸対称な構造を有するもので、略円筒状の上部ハウジング11と、その下側に配置された略円筒状の下部ハウジング12と、下部ハウジング12内に収容されて上面が開放した略カップ状のアクチュエータケース13と、上部ハウジング11の上側に接続したダイヤフラム22と、上部ハウジング11内に格納された環状の第1弾性体支持リング14と、第1弾性体支持リング14の上側に接続した第1弾性体19と、アクチュエータケース13に収容された環状の第2弾性体支持リング15と、第2弾性体支持リング15の内周側に接続した第2弾性体27と、アクチュエータケース13に収容され第2弾性体支持リング15及び第2弾性体27の下方に配置された駆動部(アクチュエータ)41等から構成されている。
ここで、第1弾性体19が請求項に記載の「弾性体」に対応する。
ダイヤフラム支持ボス20の上面にはエンジン取付部20aが一体に形成され、エンジンに固定される(詳細な固定方法は、図示省略してある)。また、下部ハウジング12の下端の車体取付部12bが図示しない車体フレームに固定される。
このような構造によって、アクティブ・マウントMにエンジンから大きな荷重が入力したとき、エンジン取付部20aがストッパラバー26に当接することで、エンジンの過大な変位が抑制される。
また、第1弾性体支持リング14と上部ハウジング11との間に環状の連通路32が形成されている。連通路32は連通孔33を介して第1液室30に連通するとともに、環状の連通間隙34を介して、第1弾性体19とダイヤフラム22により区画された第3液室35に連通する。
図3は、図2のB部拡大図である。
図2に示すように駆動部41は、主に透磁率が高い金属又は合金からなる固定コア42B、コイル組立体43、ヨーク44、可動コア54B等から構成されている。
可動コア54Bは、図2に示すように略円筒状で上端が径方向内方向に突き出て、中心部に後記するロッド55を挿通可能にする孔を有したばね座54aを形成し、ばね座54aより下部の円筒部の下端部の断面形状が、図3に示すように前記した固定コア42Bの円筒部の上端部の楔形の凸形状の断面形状を受け入れる略V字形の凹形状をしている。そして、略V字形の凹形状の断面は、外周側のテーパ面54cと、内周側のテーパ面54dと、平坦な底部54eとを有した形状である。外周側のテーパ面54cと、内周側のテーパ面54dと、平坦な底部54eは、可動コア54Bの吸引面を構成している。
ちなみに、図1、図2ではギャップg2in,g2outを総称してギャップg2と表示してある。
互いの端部断面形状をこのようにすることで、固定コア42Bに可動コア54Bが吸引されて衝突したとき、固定コア42Bの円筒部上端部と可動コア54Bの円筒部下端部とが噛み合って固着することを防止できる。
その結果、駆動部41(図2参照)が作動して固定コア42Bと可動コア54Bの端部同士が接触しても噛み合って固着し、駆動部41が作動不能になることを防止できる。
下部フランジ51bとヨーク44の円筒部44aの下端との間には、セットばね52が圧縮状態で配置されており、このセットばね52の弾性力で軸受け部材51の下部フランジ51bを下方に付勢して、下部フランジ51bの下面と固定コア42Bとの間に配された弾性体53を介して、固定コア42Bの上面に押し付けることで、軸受け部材51がヨーク44にて支持される。
図4の(a)は、比較例における固定コアに可動コアが吸引された場合の作用説明図、(b)は、図4の(a)及び図7のC部拡大図における磁束線を示す説明図である。
図5の(a)は、本実施形態における固定コアに可動コアが吸引された場合の作用説明図、(b)は、図2及び図5の(a)のB部拡大図における磁束線を示す説明図である。
前記したように図7に示す比較例のアクティブ・マウントM’では、ギャップg1を形成する吸引面42b,54b(図4の(a)参照)間の斜め方向の磁束は、図4の(b)のE部に示すように、吸引力Fsとして斜め方向に働き、その力は横力FHと推力FVに分けられる。前記したように周方向でギャップg1の距離が一様でないので、横力FHの周方向の総和は、180度対向する部分で発生する横力FH同士で互いに打消すように必ずしもゼロとはならず、ギャップg1の距離が周方向の部分的区間において平均的に大きい側に径方向外側に可動コア54Aの下端を押す横力が残り、軸受け部材51の内周面と擦れあうことになる。
なお、前記エンジンシェイク振動の周波数領域では、エンジンが定常回転の場合は、駆動部41は駆動しない非作動状態に保たれる。
そこで、駆動部41,41を駆動するため、図1に示すアクティブ・マウントM,Mを含む能動型防振支持装置101には、クランクパルスセンサSa、カム角センサSb、エンジンECU73からの信号に基づいて、コイル46,46に対する通電を制御する。
その結果、横力FHによる軸受け部材51の内周面の磨耗が抑制され、横力FHが少なくなる分、推力FVに変換される分が多くなり効率が向上する。また、横力FHが少なくなり軸受け部材51との摺動抵抗が低減するので上下動応答性が向上する(従来のヒステリシスが無くなる)。
このようにコイル46による推力FVの増加は、コイル46に通電する電流を低減したり、コイル46の巻き回数を減じたりする方向に回すことができる。
本実施形態では、固定コア42Bの上端部を、その断面形状が楔形の凸形状とし、可動コア54Bの下端部を、その断面形状が略V字形の凹形状の断面形状としたが、それに限定されるものではない。図6に示すように固定コア42Cの上端部を、その断面形状が略V字形の凹形状の断面形状とし、可動コア54Cの下端部を楔形の凸形状とし、その間にギャップg3を形成するようにしても良い。
この場合も、外周側のギャップは狭く、内終側のギャップは広くして、図3において上下を逆にしたような形状とすることが、実施形態の場合のように磁束線がギャップg3の外周側をより多く通過するので磁束線の回路が短くなり、磁束線回路の効率が向上する。
12 下部ハウジング
13 アクチュエータケース
14 第1弾性体支持リング
15 第2弾性体支持リング
16 第1フローティングラバー
17 第2フローティングラバー
18 第1弾性体支持ボス
19 第1弾性体(弾性体)
20 ダイヤフラム支持ボス
20a エンジン取付部
22 ダイヤフラム
23 ストッパ部材
26 ストッパラバー
27 第2弾性体
28 可動部材
29 隔壁部材
29a 連通孔
30 第1液室
31 第2液室
32,33 連通路
34 連通間隙
35 第3液室
41 駆動部(アクチュエータ)
42B,42C 固定コア
42c,42d テーパ面(楔形の凸形状の断面形状)
42e 先端部(楔形の凸形状の断面形状)
43 コイル組立体
44 ヨーク
46 コイル
47 コイルカバー
51 軸受け部材
54B,54C 可動コア
テーパ面54c,54d(略V字形の凹形状の断面形状)
底部 54e(略V字形の凹形状の断面形状)
55 ロッド
71 ACMECU
73 エンジンECU
101 能動型防振支持装置
L 軸線
M アクティブ・マウント
Sa クランクパルスセンサ
Sb カム角センサ
Claims (3)
- 振動体の荷重を受ける弾性体と、該弾性体が少なくとも壁面の一部を構成する液室と、振動体の振動状態に応じた電流の供給を受けて作動するアクチュエータと、該アクチュエータにより往復動して前記液室の容積を変化させる可動部材とを備え、前記アクチュエータは、環状のヨークと、該ヨークの外周に巻回されたコイルと、前記ヨークの内周側に往復動可能に配置されて前記可動部材に接続された可動コアと、該可動コアに対向して前記ヨークの内周側に固定配置された固定コアと、を含む能動型防振支持装置において、
前記可動コアが、前記ヨークの内周に配置した円筒状の軸受け部材によって摺動可能に支持されるとともに、
前記可動コアと前記固定コアの互いに対向する円筒部の端部は、一方が略V字形の凹形状の断面形状をし、他方が楔形の凸形状の断面形状をし、
前記凸形状は、第1外周側テーパ面と、第1内周側テーパ面と、平坦な先端部と、を有した形状であり、
前記凹形状は、前記凸形状に対応する第2外周側テーパ面と、第2内周側テーパ面と、平坦な底部と、を有した形状であることを特徴とする能動型防振支持装置。 - 前記略V字形の凹形状の断面形状と前記楔形の凸形状の断面形状とは、前記第1外周側テーパ面と前記第2外周側テーパ面との法線方向の面間距離が一定であるのに対し、前記第1内周側テーパ面と前記第2内周側テーパ面との法線方向の面間距離が前記先端部及び前記底部から離れるに従い大きくなるよう設定されていることを特徴とする請求項1に記載の能動型防振支持装置。
- 前記先端部の径方向幅は、前記底部の径方向幅よりも小さく、
前記先端部と前記底部との軸方向の面間距離は、前記第1外周側テーパ面と前記第2外周側テーパ面との軸方向の面間距離よりも大きいことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の能動型防止支持装置。
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