以下、本発明の実施の形態を説明する。
(全体構成)
図1は、本発明の粉体容器の一実施形態であるトナーカートリッジが装着されたプリンタの概略構成図である。
図1に示すプリンタ1は、用紙P上に電子写真方式により画像をプリントするプリンタであり、図1において右側の側面が装置の前面となっている。このプリンタ1は、プリンタ本体11に、プロセスカートリッジ2が装置の前面側から着脱自在に装着される構成となっている。さらにこのプロセスカートリッジ2には、このプロセスカートリッジ2がプリンタ本体1に装着された状態のままであっても、トナーカートリッジ3が装置の前面側から着脱自在に装着される。
ここで、このトナーカートリッジ3は本発明にいう粉体容器の一例に相当し、プリンタ本体11と、プロセスカートリッジ2のうちのトナーカートリッジ3を除く部分とを合わせた構成が本発明にいう装置の一例に相当する。
トナーカートリッジ3には、補給用のトナーが収容されており、このトナーカートリッジ3内のトナーは撹拌部材31の回転により撹拌され凝集が防止されている。この撹拌部材31には、プリンタ本体11に備えられたモータ111からギア(図示省略)を介して駆動力が伝達される。このトナーカートリッジ3内のトナーは、プロセスカートリッジ2に備えられている現像器21に供給される。
プロセスカートリッジ2には、現像器21のほか、感光体22、帯電器23、クリーナ24が備えられており、それら現像器21や感光体22とトナーカートリッジ3との間には、クリーナ24で感光体22上から掻き取られた廃トナーを収容する廃トナー収容室25が設けられている。
さらに、プリンタ本体11には、感光体22に向けて露光光112aを照射する露光器112および、感光体22と対向する位置に配置された転写器113が備えられている。
感光体22は、矢印A方向に回転しながら、以下に説明する各種の作用を受ける。
帯電器23は、感光体22の表面をあらかじめ定められた電位に帯電する。
露光器112は、感光体22の、帯電された表面に画像信号に応じた露光光112aを照射して感光体22の表面に静電潜像を形成する。
現像器21にはキャリアとトナーとを含む現像剤が収容されており、2本のオーガ211,212の回転で図1の紙面に垂直な方向に循環移動している。この現像器21内の現像剤は、矢印B方向に回転する現像ロール213によって感光体22に対向した現像位置に運ばれ、その現像剤中のトナーにより感光体22上の静電潜像が現像されて感光体22上にトナー像が形成される。感光体22上に形成されたトナー像は、後述するようにして搬送されてきた用紙P上に、転写器113の作用により転写される。その用紙P上のトナー像は、プリンタ本体11に備えられ定着器114により加熱および加圧を受けてその用紙P上に定着される。
このプリンタ本体11の下部には、用紙カートリッジ115が、図1中右側に引き出し自在に装着されており、この用紙カートリッジ115には、プリント前の用紙Pが複数枚積み重ねられた状態で収容されている。プリントにあたっては、この用紙カートリッジ115内に収容されている用紙Pのうちの最も上に積み重ねられている用紙Pが取出しロール116により取り出され、用紙Pが複数枚重なったまま取り出された場合であっても捌きロール117により確実に一枚だけに分離されて搬送路d1上を搬送され、レジストレーションロール118に至る。このレジストレーションロール118は、搬送されてきた用紙の姿勢を正すとともにその後の搬送タイミングを調整して、その用紙をさらに下流側に送り出す役割りを担っている。このレジストレーションロール118からは、感光体22上のトナー像の転写のタイミングに合うように用紙が送り出され、感光体22上のトナー像がその用紙上に転写される。トナー像の転写を受けた用紙は、さらに搬送路d2上を搬送され定着器114を通過してトナー像の定着を受け、排紙ロール119により、プリンタ本体11の上部に設けられた排紙台120上に排出される。
用紙の両面にプリントするときは、上記と同様にして片面にプリントされた用紙が排紙ロール119により途中まで送り出され、その後排紙ロール119が逆回転して、今度は搬送路d3上を搬送されて、再びレジストレーションロール118に達する。その後は、上記のプリント動作が再度繰り返され、両面にプリントされた用紙が排紙ロール119により排紙台120上に排出される。
このプリンタ本体11のカバーのうちの一部のカバー121は、ヒンジ部121aを中心に矢印C−D方向、つまり装置の前面側に開閉自在となっている。このカバー121を開き、さらに、プロセスカートリッジ2に備えられた半円筒形の固定部材26の把手261を手で持ってその固定部材26を矢印E方向に回転させると、トナーカートリッジ3を着脱するための着脱開口が開き、トナーカートリッジ3の把手32を引いてトナーカートリッジ3を取り出すことができる。このトナーカートリッジ3をプロセスカートリッジ2に装着する際は上記と逆の操作が行われる。すなわち、トナーカートリッジ3の把手32を手に持ってそのトナーカートリッジ3をプロセスカートリッジ2に装着し、そのプロセスカートリッジ2の固定部材26の把手261に持ち替えて固定部材26を矢印F方向に回す。固定部材26を矢印F方向に回すとトナーカートリッジ3がプロセスカートリッジ2内のあらかじめ定めれた位置に固定される。その後、カバー121を矢印D方向に閉じる。
また例えば感光体22が劣化したときなど、プロセスカートリッジ2自体を交換するときは、カバー121を開けた後、そのプロセスカートリッジ2の把手27を持って、トナーカートリッジ3の有無にかかわらず、プロセスカートリッジ2を引き抜き、それとは逆の操作により新たなプロセスカートリッジ2を装着することも可能である。
図2は、プロセスカートリッジを図1とは異なる面で断面し、図1の紙面の裏側から見たときの、プロセスカートリッジの断面図である。
トナーカートリッジ3には、装着状態における下部に、内部のトナーを現像器21に向けて供給するための開口310aが形成されている。この開口310aは、トナーカートリッジ3が単体で存在しているときはシャッタで閉じられており、そのトナーカートリッジ3がプロセスカートリッジ2に装着されてそのプロセスカートリッジ2の固定部材26を矢印F方向に回すと、そのシャッタが開く構造となっている。この構造についての詳細は後述する。
トナーカートリッジ3に収容されているトナーは、開口310aを通って矢印G方向に落下し、回転する搬送部材270の回転により矢印H方向に運ばれ、矢印J方向に落下して現像器21内に供給される。
図3は、トナーカートリッジが装着された状態のプロセスカートリッジを感光体側から見たときの外観斜視図である。
この図3には、左下に円筒形の感光体22があらわれており、右上にはトナーカートリッジ3とその把手32があらわれている。このトナーカートリッジ3はその大半の部分がプロセスカートリッジ2に備えられている半円筒形の固定部材26により覆われている。この固定部材26は、この図3では、図1,図2に示す矢印F方向に回転してトナーカートリッジ3をこのプロセスカートリッジ2に固定した状態にある。この図3には、その固定部材26を回すための把手261や、プロセスカートリッジ2の全体をプリンタ本体11(図1参照)から引き抜くための把手27も示されている。
図4,図5は、プロセスカートリッジを、そのプロセスカートリッジに装着された状態のトナーカートリッジ側から見たときの、プロセスカートリッジの外観斜視図である。ここで、図4は、プロセスカートリッジ2にトナーカートリッジ3を装着した後、固定部材26が未だ矢印E方向(図1,図2参照)に開いた状態にあるときの斜視図である。図5は、トナーカートリッジ3を装着し、さらに固定部材26を矢印F方向(図1,図2参照)に回してトナーカートリッジ3をプロセスカートリッジ2に固定した状態を示した斜視図である。
トナーカートリッジ3には、その把手32の下部に平面形状の庇33が広がっている。トナーカートリッジ3をプロセスカートリッジ2に装着した状態において、その庇33はプロセスカートリッジ2の、トナーカートリッジ3を受け入れる空間を形成する内壁面のうちの底面28に近接した位置まで広がっている。
図6,図7は、トナーカートリッジ単体の、それぞれ別々な方向から見たときの外観斜視図である。
このトナーカートリッジ3は、略円筒形の内周面を有し、外周面も全体として略円筒形に形成された胴部310と、その略円筒形の長手方向の一方の端部および他方の端部をそれぞれ塞ぐ一対の壁部320,330とを有する。このトナーカートリッジ3は、内部に粉体のトナーが収容されたものである。ここで、一方の端部を塞ぐ第1の壁部320は、胴部310とともに、もう一方の端部が開口した状態で内部にトナーを受け入れる容器本体300を構成している。また、容器本体300の開口301(図16参照)を塞ぐ第2の壁部330は、容器本体300にトナーを収容した後にその開口301を塞ぐ蓋体である。
このトナーカートリッジ3は、図1に示すように、胴部310の略円筒形の長手方向が横向きとなる姿勢で、プリンタ本体11に装着されているプロセスカートリッジ2に装着される。
前述の通り、トナーカートリッジ3を除くプロセスカートリッジ2がプリンタ本体11に装着されている状態の構造体を、ここでは「装置」と称する。
前述した把手32は、装置への着脱時に把持される部分であって、胴部310の外周面であって、図1,図4,図5に示すように、装置に装着される姿勢における、その装置への装着方向後端部分に設けられている。
また庇33は、前述した通り、装置に装着される姿勢における把手32の下から、このトナーカートリッジ3を受け入れる装置側の空間を形成する内壁面のうちの底面28(図6,図7参照)近接した位置まで広がっている。
胴部310には、シャッタ340が取り付けられている。この胴部310の、シャッタ340に隠れた位置には、このトナーカートリッジ3に収容されているトナーを装置に供給するための開口310a(図8,図9参照)が設けられており、シャッタ340は、その開口310aを開閉自在に覆っている。
図6,図7に示すように、このトナーカートリッジ3が装置に装着されていない状態においては、シャッタ340は開口310aを塞いだ閉位置にあり、装置に装着された状態において、固定部材26を回転させることによって、胴部310の外周面に沿って矢印G方向、すなわち胴部310の長手方向と直交する方向に、このシャッタ340に設けられた窓341が開口310aと重なった開位置まで移動して、胴部310の開口310aを開放する。トナーカートリッジ3を装着するとその固定部材26の突起(後述する)がシャッタ340の窪み342に入り込み、固定部材26を図1の矢印Fに回す操作により、その固定部材26から力を受けてシャッタ340が矢印G方向に開位置まで移動する。固定部材26を矢印E方向に操作すると、シャッタ340は、その固定部材26から力を受けて矢印E方向に閉位置まで移動する。
また、図6,図7に示す閉位置にあるシャッタ340の、閉位置から開位置への移動方向(矢印G方向)前端よりもその移動方向前方であって、シャッタ340の前端と対応した位置に、移動阻止爪343が設けられている。この移動阻止爪343は、胴部310の外周面から、トナーカートリッジ3の長手方向と直交する方向に突き出ている。移動阻止爪343は、シャッタ340が閉位置にある際には、シャッタ340の前端と干渉し、トナーカートリッジ3が装置に装着されずに単体で存在しているときにはシャッタ340が閉位置から開位置に向かって移動することを防止し、シャッタ340を閉位置に留めておく役割りを担っている。このトナーカートリッジ3が装置に装着されると、その装置側の部材に押されてシャッタ340の開位置に向かう移動を許容する高さ位置まで弾性変形して押し下げられる。また、閉位置にあるシャッタ340の縁340cが突き当てられる位置に、弾性体(本実施形態ではスポンジ344)が設けられている。詳細は後述する。
このトナーカートリッジ3の胴部310の外周面には、その胴部310の長手方向についてシャッタ340に並ぶ位置に、回路基板350が配置されていて、前述の庇33は、シャッタ340や回路基板350に近接した位置まで広がっている。この回路基板350には、トナーカートリッジ3の製造情報やトナーの消費量などの各種データが格納されている。
また、このトナーカートリッジ3の、胴部310とともに容器本体300を構成している第1の壁部320には、ギア321が設けられ、さらにそのギア321の一部を露出させた状態にキャップ322が被せられている。ギア321は、図1に示すモータ111の駆動力をこのトナーカートリッジ3の内部の撹拌部材31(図1参照)に伝達して撹拌部材31を回転させる役割りを担っている。なお、撹拌部材31の回転中心線方向を単に回転中心線方向ということがある。
また、キャップ322には、突起部323と、抜止部324が設けられている。
図7に示すように、キャップ322には矢印がマーキングされているが、この矢印は、トナーカートリッジ3の装着方向をユーザに示すためのものである。
突起部323は、このトナーカートリッジ3を不用意に落下させてしまったときにシャッタ340の角部が衝撃を受けることによりシャッタ340が傾いてトナーが零れるのを防ぎ、また移動阻止爪343が衝撃で押し下げられてシャッタ340が開方向に移動してしまうのを防止する役割りを担っている。
また、この突起部323は、このトナーカートリッジ3が装置に装着されてシャッタ340が開位置まで移動したときに装置側の固定部材26(図1参照)に突き当たり、シャッタ340を開方向にそれ以上移動させないためのストッパとしての役割りも担っている。この突起部323の詳細説明は後に譲る。
また、抜止部324は、第1の抜止部324aと第2の抜止部324bとからなり、このトナーカートリッジ3を装置に装着したときにこのトナーカートリッジ3が装置から抜け出ないように抜け止めされる役割りを担っている。抜止部は、第2の壁部(蓋体)330にも存在するが、第1の壁部320側の抜止部とは形状が異なっている。抜止部についての詳細説明も後に譲る。
以上で全体説明を終了し、以下では、本実施形態の各部の特徴的な構成について説明する。
(撹拌部材)
ここでは、トナーカートリッジ3の内部に配置されて内部のトナーを撹拌する撹拌部材31(図1参照)について説明する。
図8は、トナーカートリッジの胴部を半透明にして内部の撹拌部材を示した図である。
また、図9は、トナーカートリッジを、撹拌部材を含む面で断面して示した図である。
図8,図9に示すように、このトナーカートリッジ3には、撹拌部材31が内蔵されている。
ここでは、図8,図9は必要に応じて参照することとし、先ずは撹拌部材31自体の構造について説明する。
図10,図11は、撹拌部材をそれぞれ別々の視点から見たときの各斜視図である。
この撹拌部材31は、軸部材311と、シート状部材312と、複数(本実施形態では2本)の第1の腕部材313と、複数(本実施形態では2本)の第2の腕部材314とを有する。
軸部材311は、図8,図9に示すように、胴部310の内周面の中心線上に延びる部材であって、第1の壁部320側の端部に、外部からの駆動力を受ける駆動力受部311aを有する。またこの軸部材311は、第2の壁部(蓋体)330側の端部には、その第2の壁部(蓋体)330に回転自在に支持される支持受部311bを有する。この軸部材311は、駆動力受部311aで駆動力を受けて回転する。
また、この撹拌部材31を構成するシート状部材312は、軸部材311に沿って、胴部310の一方の壁部320から他方の壁部(蓋体)330に向かう方向に広がって軸部材311に支持されている可撓性のプラスチックフィルムである。このシート状部材312は、さらに、その軸部材311から胴部310の内周面に向かう径方向にも広がっていて、軸部材311の回転に伴って回転し、このトナーカートリッジ3内に収容されたトナーを撹拌する。シート状部材312は、軸部材311から胴部310の内周面までの距離よりも長く形成されており、軸部材311が回転した際、常に内周面と接触する。図10,11においてシート状部材312の径方向先端部分がわん曲しているのは、その先端部分が胴部310の内周面に接触した状態で回転し、その結果、図示のようにわん曲することを表わしている。
軸部材311は、シート状部材312を支持する部分が平面に形成され、その平面に位置決め用ボス311cと固定用ボス311dが設けられている。シート状部材312には、それらのボス311c,311dに対応した位置に穴が設けられており、このシート状部材312は、位置決め用ボス311cが挿入されて位置決めされ、固定用ボス311dが挿入されて軸部材311に固定されている。
また第1の腕部材313は、軸部材311の長手方向中央よりも第1の壁部320寄りにおいて軸部材311から胴部310の内周面に向かって延びていて、軸部材311と一体に回転する部材である。本実施形態では、第1の腕部材313および後述する第2の腕部材314のいずれもが、軸部材311と一体に成形された1つの樹脂部品で構成されている。
これら複数の第1の腕部材313は、シート状部材312の先端が向く方向と異なる方向であって、かつ互いにも軸部材311の回転方向について異なる方向に延びている。本実施形態では具体的には、シート状部材312と2本の第1の腕部材313が、軸部材311の回転方向について120°ずつ異なる方向に放射状に形成されている。
また、第2の腕部材314は、軸部材311の長手方向中央よりも第2の壁部(蓋体)330寄りにおいて、軸部材311から胴部310の内周面に向かって延びていて、軸部材311と一体に回転する部材である。
上述の通り、本実施形態では、第2の腕部材314も、第1の腕部材313と同様、軸部材311と一体に成形された部品である。
これら複数の第2の腕部材314は、シート状部材312の先端が向く方向と異なる方向であって、かつ互いにも軸部材311の回転方向について異なる向きに延びている。本実施形態では、具体的には、2本の第2の腕部材314は、2本の第1の腕部材313とそれぞれ同一の方向に延びている。すなわち、シート状部材312と2本の第2の腕部材313は、軸部材311の回転方向について120°ずつ異なる方向に放射状に形成されている。
なお、第1の腕部材313、第2の腕部材314の長さは、軸部材311から胴部310の内周面までの距離よりも短く形成されている。
図12は、トナーカートリッジの第2の壁部を構成する蓋体を、その内面側から見て示した斜視図である。
この蓋体は、トナーカートリッジ3の容器本体300に開口301から撹拌部材31が装入され、さらに開口301からトナーが充填された後、その容器本体300に被せられて第2の壁部330(図6〜図9参照)となる部材である。この蓋体の内面中央には、撹拌部材31を構成する軸部材311の支持受部311bを回転自在に支持する支持部の一例である支持穴331が形成されている。またその支持穴331の周りには、その支持穴331に向かって窪み、軸部材311の支持受部311bをその支持穴331に案内する円錐状の案内斜面332が形成されている。
一方、図9に示すように、第1の壁部320には、ギア321に伝達されてきた駆動力を軸部材311の駆動力受部311aに伝える駆動力伝達機構325が設けられている。
撹拌部材31は、第2の壁部(蓋体)330の部分が開口した状態の容器本体300内に、軸部材311の駆動力受部311aが駆動力伝達機構325と噛み合う向きに挿入されて設置される。
撹拌部材31が容器本体300内に設置された状態において、シート状部材312が内周面と接触していることから、軸部材311は胴体310の中心から離れる方向に力を受ける。このとき、第2の腕部材314は、軸部材311が胴体310の略円筒形の中心から大きくは倒れないように軸部材311を支持する。より具体的には、第2の腕部材314と胴体310の内周面とが接触した状態で、支持受部311bが案内斜面332の径内に位置する。その状態で第2の壁部(蓋体)330を被せると、軸部材311の支持受部311bは、案内斜面332に案内されて支持穴331に入り込み、その支持穴331に回転自在に支持される。この撹拌部材31は、駆動力受部311aに、ギア321を介して伝達されてきた駆動力を受けて回転し、内部のトナーを撹拌する。このとき、第1の腕部材313,第2の腕部材314は、軸部材311と一体に回転する。なお、第1の腕部材313、第2の腕部材314の長さは、軸部材311から胴部310の内周面までの距離よりも短く形成されているため、軸部材311の回転時に、第1の腕部材313、第2の腕部材314ともに、内周面とは接触しない。 ここで、トナーカートリッジ3は、装置への装着時は長手方向が横向きとなる姿勢で装着され、装置内でその姿勢で使用されるが、トナーカートリッジ3が単体で存在している状態、例えばトナーカートリッジ3の運搬時や保管時には、長手方向が縦向きとなる姿勢で置かれることがある。その場合、内部のトナーが下方に押されて凝集するおそれがある。本実施形態では、第1の腕部材313、第2の腕部材314が第1の壁部320および第2の壁部330に近い位置に設けられているため、使用開始時に撹拌部材31が回転すると、第1の腕部材313あるいは第2の腕部材314のうちの凝集している側の腕部材によりその凝集が崩される。
容器本体300を構成する胴部310には、図8に示すように、装置に装着される姿勢における軸部材311よりも下部の位置に、内部のトナーを装置に向けて供給するための開口310aが形成され、その開口310aはシャッタ340で塞がれている。ここで、図9に示すように、第1の腕部材313は、この撹拌部材31が回転したときに、その開口310aに対面した位置を通過するように軸部材311上の固定位置が定められている。第1の腕部材313がその開口310aに対面した位置に通過することにより、その開口310aの付近に凝集トナーがとどまることが防止される。尚、本実施形態では、第1の腕部材313は軸部材311の長手方向について軸部材311の同一位置から延びている。このため、2本の第1の腕部材313の双方が開口310aに対面した位置を通過することになる。ただし、2本の第1の腕部材313が軸部材311の長手方向について別々の位置から延びた構成とし、第1の腕部材313のうちの一本のみが開口310aに対向する位置を通過するようにしてもよい。
尚、ここでは、軸部材311の両端部に腕部材が設けられているが、腕部材は、必ずしも両端部ではなく、例えば軸部材311の中央付近に設け、組立時に軸部材が大きくは倒れないように支えてもよい。
図13,図14は撹拌部材を構成する樹脂成型品の、それぞれ、駆動力受部側、支持受部側の部分拡大斜視図である。
これら図13,図14の矢印Iは、軸部材311の回転方向を示している。
図13,図14にそれぞれ示すように、第1の腕部材313,第2の腕部材314には各斜面313a,314aが設けられている。これらの斜面313a,314aは、矢印I方向に回転したときに、干渉したトナーを、軸部材311の、回転中心線方向の中央寄りに押す分力を発生させる。前述の通り、トナーカートリッジ3が回転中心線が縦に延びる姿勢で置かれると内部のトナーが下方に押されて凝集ぎみとなるおそれがある。第1の腕部材313,第2の腕部材314に斜面313a,314aが形成されていると、撹拌部材31の回転時に凝集ぎみのトナーが端部から離れる側、すなわち軸部材311の、回転中心線方向の中央寄りに押す分力が発生して、トナーを中央寄りに移動させる。さらに、斜面が形成されていない腕部材で撹拌するよりも、軸部材の回転トルクが低減する。
尚、本実施形態では、2本の第1の腕部材313および2本の第2の腕部材314のいずれにも斜面313a,314aが形成されているが、2本の第1の腕部材313のうちの1本のみ、および2本の第2の腕部材314のうちの1本のみに斜面が形成されていてもよい。
図15は、撹拌部材を構成する軸部材を、その軸部材の延びる方向を垂線とする平面で断面して示した図である。
この軸部材311は、材料の節約および軽量化のために凹部311e,311fを有する。これらの凹部311e,311fは、軸部材311の軸芯中央寄りは狭く、外側ほど開いた形状を有する。これもトナーの凝集を防ぐ工夫の1つである。すなわち、凹部311e,311fに入りこんだトナーが入り込んだまま凝集ぎみとなっても、凹部311e,311fは、軸芯から離れるほど開いた形状となっているため凹部311e,311f内のトナーは外に移動しやすく、凹部311e,311fが凝集トナーで埋まったままとなることが抑えられる。
図16は、トナーカートリッジの組立ての工程を示した模式図である。ただしここでは、トナーの充填についての工程は省略されている。
このトナーカートリッジの組立てにあたっては、胴部310と一方の端部を塞ぐ第1の壁部320とからなり、もう一方の端部の開口301から容器本体300に、撹拌部材31が、その軸部材311の駆動力受部311aを先頭にして挿入される(図16(A),(B))。
容器本体300に撹拌部材31が挿入された状態では、軸部材311は駆動力受部311a側の端部のみ支持され支持受部311bは支持されていない状態にあるが、シート状部材312と第2の腕部材314の作用により、軸部材311の支持受部311bは胴部310の中心付近に保たれる(図16(C−1),(C−2))。尚(C−1)は、(A),(B)と同じく胴部310を透明にして示した図、(C−2)は(C−1)と同じ状態における断面図である。したがって第2の壁部(蓋体)330を被せたとき、支持受部311bは第2の壁部(蓋体)330の案内斜面332に案内されて支持穴331に入り込み、回転自在に支持される。
図17は、撹拌部材の変形例を示した図である。
この図17に示す撹拌部材31´の、これまで説明してきた撹拌部材31との相違点は、シート部材312´にある。
このシート部材312´には、斜めの切断線312aが形成されている。この図に示す向きに切断線312aを設けることにより、この撹拌部材が軸部材311を横向きにして回転したときに、トナーを支持受部311b側から駆動力受部311a側に向けて移動させる力が発生する。このことは、本実施形態ではトナーを装置に供給する開口310a(図8参照)が駆動力受部311a側に設けられているため、トナーをその開口310aに向けて移動させることになる。
また、このシート部材312´は、胴部310の内周面に向かう方向の長さ(軸部材311から離れる方向の長さ)に関し、支持受部311b側が長く、途中で少し短くなっている。これは、支持受部311b側のトナーをより強く、開口310a(図8参照)に向かって移動させるのに役立っている。
さらに、このシート部材312´は、切断線312aとは逆の斜めに形成された切断線312bを有し、これにより、駆動力受部311a側に両側がほぼ三角形状に切断された頂部312cが形成されている。この頂部312cは、軸部材311の長手方向に関し、第1の腕部材313と同じ位置に設けられている。前述の実施形態と同じく第1の腕部材313は、トナー供給用の開口310aに対面した位置を通って回転する。したがってシート状部材312´の頂部312cもその開口310aを通過する。このシート部材312´は、胴部310の内周面と接触しながら回転するだけの長さを有し、したがってこの頂部312cはその開口310aの内部に入り込むようにしてその開口310aを通り過ぎる。この頂部312cが設けられていると、開口310a内側にあるトナーを開口310aから押し出す力が働く。
(突起部)
前述した図7に示すように、第1の壁部320の外壁面を形成するキャップ322には、突起部323が形成されている。
図18は、その突起部323を第1の壁部側から回転中心線方向に見た側面図である。また、図19は、その突起部323を第2の壁部(蓋体)側から回転中心線方向に見た側面図である。
さらに、図20は、その突起部323を、その突起の先端方向から見た平面図である。突起部323は、図7および図20に示すように、略円筒形の胴部310の長手方向について、シャッタ340と第1の壁部320の外壁面との間の位置であって、かつ、軸部材311を回転中心とした回転方向について、閉位置にあるシャッタ340の、開位置に向かう移動方向(矢印G方向)前端に並ぶ位置にある。また、この突起部323は、図19から分かるように、シャッタ340の前端とともに、前述の移動阻止爪343にも並ぶ回転方向の幅を有する。さらに、この突起部323は、胴部310の回転中心線からの半径方向については、図18,図19から分かるように、移動阻止爪343よりもその半径方向外向きに高く突き出ている。
シャッタ340は、そのシャッタ340の外面から全体が押されたときは内部のトナーの洩れを生じさせにくいが、シャッタ340の角部が押されるとその角部から離れた部分が浮き上がりぎみとなり、そこから内部のトナーが洩れ出るおそれがある。
ここでは、突起部323がシャッタ340の角部340aの近くに設けられており、シャッタ340の角部340aを下向きにしてこのトナーカートリッジ3を落下させてしまったとき、落下による衝撃を突起部323が受け止め、シャッタ340の角部340aが押されてシャッタの離れた側が浮き上がることが防止される。
移動阻止爪343は、トナーカートリッジ3が単体の状態にあるときはシャッタ340を閉位置にとどめ、装置に装着されたときに半径方向内側に向けて押されてシャッタ340の動きを許容する役割りを担っている。したがって例えば落下等によりこの移動阻止爪343が押されるとシャッタ340が開位置に向けて移動することができる状態となり、落下の衝撃などでシャッタ340が開位置に向けて多少移動し、胴部310の開口310a(図8,図16参照)から出てきたトナーが外に洩れ出るおそれがある。
本実施形態の突起部323は、移動阻止爪343と上記の関係にあり、落下衝撃等で移動阻止爪343が押されるのを防止している。
このトナーカートリッジ3が装置に装着された後の、装置側の固定部材26(図1参照)の矢印F方向への回転によりシャッタ340が閉位置から開位置に移動する。突起部323は、シャッタ340が開位置まで移動したときその固定部材26に突き当たり、その固定部材26の、シャッタ340を更に開く方向への更なる移動を阻止するストッパとしての役割りも担っている。この点については更に後の説明に譲る。
また、図7,図8に示すように、第1の壁部320を構成するキャップ322には、第1の抜止部324aと第2の抜止部324bとからなる抜止部324が形成されている。これと同様に、図19に示すように、第2の壁部(蓋体)330にも、第1の抜止部334aと第2の抜止部334bとからなる抜止部334が形成されている。
ここで、第1の壁部320側の第1の抜止部324aは、キャップ322の外面すなわち回転中心線と交わる平面に沿って延びる片持ち梁形状を有し、一方、第2の壁部(蓋体)330側の第1の抜止部334aは、その第1の壁部(蓋体)330から回転中心線と平行な方向に突出した片持ち梁形状を有する。これらの抜止部324,334についての詳細な説明も後に譲る。
(庇)
図4〜図7などに示す通り、このトナーカートリッジ3の胴部310には庇33が形成されている。
この庇33は、装置に装着される姿勢における把手32の下部において、胴部310の外面の一部を成す平面を形成している(図4,図5参照)。庇33を平面に形成することで樹脂成形を容易にしている。
この庇33は、閉位置にあるシャッタ340の、回転方向についての把手32側の端部340b(図7,図18,図19参照)の近傍であって、かつ回転中心線からの半径方向についてシャッタ340の把手32側の端部340bよりも高い位置に広がっていて、胴部310の外面の一部を成している。したがってこの庇33は、落下時にシャッタ340の端部340bに衝撃が加わるのを防止している。
またこの庇33は、回転中心線方向について、シャッタ340に並ぶ位置、および回路基板350に並ぶ位置の双方に広がっている。これによりこの庇33は、把手32を持った手がシャッタ340や回路基板350に不用意には触れないよう、ユーザの手が触れる領域とシャッタ340や回路基板350が配置された領域とを分ける役割りも担っている。
さらにこの庇33は、図4,図5を参照して説明した通り、このトナーカートリッジ3が装置に装着された状態では、その装置の、このトナーカートリッジ3を受け入れる空間を形成する内壁面のうちの底面28(図4,図5参照)に近接した位置まで広がっている。したがって、トナーカートリッジ3を装置に装着されると、庇33が装置外部と回路基板350との間を遮蔽し、ユーザがトナーカートリッジ3の装着方向から見ても、開口310aや回路基板350が見えない。さらに、庇33と底面28との隙間に指が入るのを防止し、指が回路基板350等に近づいて回路が静電破壊されるのを防止している。
(開口部の形状)
図21は、シャッタが開位置にあるときのトナーカートリッジの斜視図である。シャッタが閉位置にあるときのトナーカートリッジは図6に示されている。
尚、シャッタ開閉のメカニズムについての説明は後述することとし、ここではシャッタが開閉するものとして取り扱う。
また図22は、トナーカートリッジからシャッタ自体を取り外して胴部の開口部分を露出させた状態の斜視図である。
また、図23は、胴部に設けられた開口部分の拡大斜視図、図24は、図23に示す矢印X−Xに沿う断面図である。
このトナーカートリッジ3の胴部310には、図8にも示すように、このトナーカートリッジ3が装置に装着される姿勢にあるときの回転中心線よりも下方であって、かつ第1の壁部320寄りの位置に、トナーカートリッジ3の内部のトナーを装置に供給する開口310aが形成されている。また、この胴部310には、その開口310aよりも、シャッタ340が図21に示す開位置から図6に示す閉位置に向かって移動する移動方向(矢印H方向)前方に、シャッタ340によりその移動方向に押されてきたトナーを溜める貯溜室310bが形成されている。この貯溜室310bは、閉位置まで移動してきたシャッタ340によって覆われる。
このように、この位置に貯溜室310bを設けたことにより、開位置から閉位置に向かうシャッタ340によりトナーがシャッタ340の移動方向に押されても、その押されたトナーは貯溜室310bに溜められ、外に洩れることが防止される。
この貯溜室310bは、図23に示すように、回転中心線方向について、開口310aと同一幅dを有し、また、開口310aとの間に、シャッタ340の移動方向に、その回転中心線方向全幅d、および貯溜室310bの、回転中心線からの半径方向全高さhに亘って開いた通路310eを有する。通路310eがこのように開いていることから、貯溜室310bがトナーで満杯となってもそのトナーは開口310a側に移動しそのトナーが外に溢れ出ることが防止される。
また、この貯留室310bの、シャッタ340が開位置から閉位置に向かって移動する移動方向前方に弾性体(本実施形態ではスポンジ344)が配置されていて、図24に示すように、閉位置まで移動してきたシャッタ340の縁340cが突き当たる。このスポンジ344が配置されていることにより、貯溜室310b内のトナーが外に零れ出ることが防止される。
(シャッタ開閉機構)
図25,図26は、互いに異なる方向から見たときのトナーカートリッジと固定部材を示した斜視図である。
この固定部材26は、装置側であるプロセスカートリッジ2(図1参照)に組み付けられ、ユーザが把手261を持って図1に示す矢印E−F方向に回転させる部材である。
ここでは、装置側から固定部材26のみを取り外し、トナーカートリッジ3とともに示してある。
この固定部材26の両側面には、装置側に回転自在に支持されるリブ262と、トナーカートリッジ3の第1の壁部320に設けられた抜止部324(例えば図7参照)、および第2の壁部330に設けられた抜止部334を受け入れる切欠部263,264が形成されている。
また、図26に示すように、この固定部材26の内面には、突起265および斜面266が設けられ、さらに、この固定部材26には、内外面に貫通するスリット267が形成されている。
突起265は、トナーカートリッジ3の装着時にシャッタ340の窪み342(図7参照)に入り込み、固定部材26の回転によりシャッタ340を開閉させる突起である。
また、斜面266は、トナーカートリッジ3が装着されたときに移動阻止爪343(図7,図25参照)が突き当たる位置にあり、移動阻止爪343は、その斜面266により、シャッタ340が閉位置から開位置に向けて移動可能な位置まで押し下げられる。
さらに、スリット267には、トナーカートリッジ3に設けられた突起部323(図7,図25参照)が入り込み、固定部材26の回転範囲を定めるスリットである。
図27,図28は、トナーカートリッジ3が固定部材26に入り込むことにより装置に装着された状態を示した斜視図である。図27は、トナーカートリッジ3が装着された後であって、固定部材26を回転させる前の図、図28はさらに固定部材26を回転させた後の図である。
トナーカートリッジ3が装着されると、図27に示すように、突起部323がスリット267に入り込む。さらに把手261を持って固定部材26を矢印F方向に回すと、図28に示すように、突起部323がスリット267内を移動して(実際はスリット267の方が移動して)、突起部323がそのスリット267の端縁に突き当たり、固定部材26は矢印F方向にはこれ以上回転できない状態となる。このときシャッタ340(例えば図7参照)は開位置に移動している。
また、図27に示すように、トナーカートリッジ3が装着されると、抜止部324は切欠部263に入り込む。図25に示すように、もう一方の抜止部334も、切欠部264に入り込む。この固定部材26が矢印F方向に回転すると、図28に示すように、抜止部324のうちの第2の抜止部324bが切欠部263に押され、トナーカートリッジ3が装置から抜け出ることがない状態に固定される。もう一方の抜止部334についても同様である。この抜止部324,334についての詳細説明はさらに後に譲る。
今度はトナーカートリッジ3のシャッタ部分の断面を用いてシャッタの開閉機構をもう一度説明する。
図29は、装着前のトナーカートリッジとそのトナーカートリッジを受け入れる固定部材を示した図である。
この図29には、移動阻止爪343と、その移動阻止爪343を押し下げる斜面266が示されている。またこの図29にはシャッタ340を開閉させるための突起265も示されている。移動阻止爪343は片持ち梁形状に延びた部分の先端部に形成されている。この移動阻止爪343は、シャッタ340の開位置への移動方向先端部に引っ掛かる位置まで持ち上がっている。また、トナー供給用の開口310aはシャッタ340により閉じられている。
図30,図31は、トナーカートリッジ3が装着された後、固定部材の回転前の状態の、それぞれ断面側面図および断面斜視図である。ただし、図30は、移動阻止爪343の部分を断面して示した図、図31は、突起265の部分を断面して示した図である。
この段階では、移動阻止爪343は、斜面266に押されて押し下げられ、シャッタ340が移動可能な状態となっている。また、突起265はシャッタ340の窪み342(図7を合わせて参照)に入り込み固定部材26の回転により一緒に回転する状態となっている。トナー供給用の開口310aはシャッタ340によって塞がれた状態にある。
図32,図33は、図30,図31に示す状態からさらに、固定部材26を回転させた状態を示す、それぞれ断面側面図および断面斜視図である。
固定部材26を矢印F方向に回転させると、窪み342(図7を合わせて参照)に入り込んだ突起265がシャッタ340を同じ回転方向に開位置まで移動させる。すると、図33に示すように開口310aが開放され、トナーカートリッジ3内のトナーが装置側に供給される状態となる。
(抜止部)
次に、トナーカートリッジ3の第1の壁部320と第2の壁部(蓋体)330に設けられた抜止部の作用について説明する。
図34は、トナーカートリッジ3が装着されつつある状態を、トナーカートリッジの第1の壁部側から示した側面図である。この図34には、トナーカートリッジ3と、固定部材26と、その固定部材26を回転自在に支持する、プロセスカートリッジ2(図1参照)を構成する支持部材410が示されている。
固定部材26の側面に設けられたリブ262は、支持部材410に設けられた円弧状のスリット411に嵌り込んでおり、固定部材26は支持部材410に回転自在に支持されている。ここには第1の壁部320側が示されているが、第2の壁部(蓋体)330側についてもこれと同様に、固定部材26は、支持部材410に対し回転自在に支持されている。
この支持部材410には、抜止部324を受け入れる長く延びた長溝412が形成されており、その長溝412には、段部413が形成されている。
前述の通り、第1の壁部320には、その第1の壁部320の外壁面を形成するキャップ322に、第1の抜止部324aと第2の抜止部324bとからなる抜止部324が設けられている。この抜止部324は、例えば図7に示すように、キャップ322の外面から回転中心線方向外向きに突き出た位置に形成されている。また、この抜止部324を構成する第1の抜止部324aは、キャップ322の外壁面に沿う方向、すなわち回転中心線方向に対し直交する方向に延びる片持ち梁形状を有する。キャップ322には貫通した穴326が形成されている。この穴326は、この片持ち梁形状の第1の抜止部324aを含む抜止部324を樹脂成形により形成する必要上設けられた穴である。
図35は、トナーカートリッジが装置に装着された後、固定部材を回転させる前の状態を、トナーカートリッジの第1の壁部側から示した側面図である。
トナーカートリッジを装着すると、抜止部324は支持部材410の長溝412に入り込み、第1の抜止部324aの先端が長溝412内の段部413に引っ掛かる。この状態ではトナーカートリッジ3をある程度強く引き抜くと、その第1の抜止部324aが弾性変形して段部413から外れ、トナーカートリッジ3を引き抜くことができる。ただしトナーカートリッジ3を引き抜こうとしない限り、第1の抜止部324aは段部413に引っ掛かったままの状態にとどまる。
前述の通り、第1の壁部320には、撹拌部材31(図1参照)を回転させるためのギア321(例えば図7参照)や、移動阻止爪343(図7参照)を押す斜面266(図26参照)などが配備されており、トナーカートリッジ3を装置に装着するとある程度の反力を受ける。このため、第1の抜止部324aがないと一方の手でトナーカートリッジ3を装着した状態に押したまま、もう一方の手で固定部材26を回す必要がある。
第1の抜止部324aが段部413に引っ掛かった状態は、移動阻止爪343が斜面266によって押されてシャッタ340を移動させることができる状態にあり、トナーカートリッジ3を第1の抜止部343aが段部413に引っ掛かるまで装着すると、トナーカートリッジ3から手を離し、固定部材26の把手261に持ち替えて固定部材26を回すことで、トナーカートリッジ3の装着が完了する。
図36は、図35と同じく、トナーカートリッジを装着した後、固定部材を回す前の状態を、支持部材410の手前側の壁面を取り外して示した図である。この図36には、支持部材410の内側にある固定部材26を示した図である。
この状態では、抜止部324は固定部材26の切欠部263に受け入れられているものの、切欠部263とは干渉していない。図35に示すように、この状態では、抜止部324のうちの第1の抜止部324aは、固定部材26の外側に位置する支持部材410の段部413に引っ掛かった状態にある。
図37は、図36に示した状態から固定部材26を矢印F方向に回転させた後の状態を示した図である。この図37も、図36と同様、支持部材410は取り除いて示してある。
固定部材26を矢印F方向に回すと、前述の通りシャッタが開位置に移動するとともに、図37に示すように、第2の抜止部324bが固定部材26の切欠部263によって装着方向に押され、トナーカートリッジ3は確実に抜け止めされた状態となる。
図38は、トナーカートリッジの第2の壁部(蓋体)側の抜止部を示した図である。この図38、および次に説明する図39は、トナーカートリッジの内側から第2の壁部(蓋体)側を見たときの図であって、トナーカートリッジ自体は、抜止部のみを残して取り去った状態を示している。
トナーカートリッジ3の第2の壁部(蓋体)にも第1の抜止部334aと第2の抜止部334bとからなる抜止部334が設けられている。この抜止部334は、第2の壁部(蓋体)330から回転中心線方向外向きに突出した形状に設けられている(図25,図26参照)。ここで、この抜止部334を構成する第1の抜止部334aは、第1の壁部320側の第1の抜止部324a(例えば図27参照)と異なり、回転中心線方向外向きに延びた片持ち梁形状を有する。これは、トナーを密封する必要上、第2の壁部(蓋体)330には、第1の壁部320を構成するキャップ322のように成形のための穴326(図34参照)を設けることはできないからである。
また、この第2の壁部(蓋体)330側の第1の抜止部334aは、第1の壁部320側の第1の抜止部324aと比べ、固定端と自由端との間の長さが短い。これは、トナーカートリッジ3を装置に装着した際に、第2の壁部330側の方が第1の壁部320側よりも反力が小さく、したがって第1の抜止部334aの長さを短くして反力のバランスをとるためである。すなわち、反力の弱い方を弱く引っ掛けておくことにより、トナーカートリッジ3を引き抜く際に、回転中心線と平行に引き抜きやすくなる。
支持部材410は、第2の壁部(蓋体)330側にも長溝414が形成されており、さらに第1の抜止部334aが引っ掛かる段部415が形成されている。トナーカートリッジ3を装着すると第1の抜止部334aがその段部415に引っ掛かった状態となる。ここで、この第2の壁部(蓋体)330側の第1の抜止部334aは、段部415に、第1の壁部320側の第1の抜止部324aの段部413に引っ掛かることによる抜止力の強さよりも弱い抜止力で引っ掛かっている。これは、上述の通り、トナーカートリッジ3を引き抜く際に、第1の抜止部324a,334aが段部413,415から左右同じレベルの力で外れるようにするためである。
図39は、図38に示す状態から固定部材を回してシャッタを開けた後の状態を示した図である。
固定部材26を矢印F方向に回すと、第2の抜止部334bが固定部材26の切欠部264により押され、トナーカートリッジ3が確実に抜け止めされる。