JP5023799B2 - レーザ発色性積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、レーザ照射により発色するレーザ発色性積層体に関する。
PL法(製造物責任法)が施行され、包装体、ラベル等には多種の印字が必要になっている。さらに、偽造、欠陥等の事故を防ぐ為にセキュリティー、あるいはトレーサビリティの観点から、表示の重要性が高まっている。
各製品の表示に関して、医薬品のみならず、電子機器や電子部品の他、食品類や日用品、包装品に至るまでの多種多様な製品の包装、ラベル、キャップの他、ガラス瓶、金属缶、プラスティック容器に、印字が求められている。
かかる表示は、具体的に、その型式や規格、製造年月日、賞味期限、会社ロゴマーク、産地表示、肥培管理表示、遺伝子組み替え表示、添加物表示、アレルギーに関する表示、栄養表示、成分表示、包装に関する表示であり、法で定められた情報の他、消費者が望む情報付加、生産者、販売者の商品戦略を反映した内容が必要になっている。
従来、包装資材、ラベル、キャップ、フィルム、容器等への印刷は、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、シルクスクリーン印刷法などの有版方式で行われており、また、賞味期限、製造年月日、ロット番号の日時や機械で変化する可変印字は、スタンプ印刷法、インクジェット印刷法、感熱転写リボン法、刻印印刷法等で行われている。
可変文字の他、産地表示、肥培管理表示、栄養表示、成分表示などを行う場合には、可変印字ほどではないが、小さなロットになることが避けられない。市場ニーズ、商品戦略をリアルタイムで反映するためには少量多品種になるが、それを有版方式で行うことは、高価な版を多数用意することになり、版コストの他、版の管理など極めて高コストで煩雑な作業となる。
レーザマーキングによる印字は、レーザ照射によるレーザ発色層の炭化、分解、気化が起こりやすく、実際に製品名、製造者名、製造年月日、ロット番号、規格、製造年月日、賞味期限、会社ロゴマーク、産地表示、肥培管理表示、遺伝子組み替え表示、添加物表示、アレルギーに関する表示、栄養表示、成分表示等を印字した場合、表刷り構成においてはフイルム、紙基材等の表面保護層がないため特にインキ層表面の膨れ、剥がれ発生しやすい。このような膨れ、剥がれは製品としての外観、見栄えを損なうばかりか、実際に使用される形態、例えば袋、箱、ラベルでの耐油性、耐水性、耐摩耗性等を著しく低下させる問題があった。
また、レーザ照射における条件を弱くすれば、表面の膨れ、剥がれは低減できるものの印字濃度が低下し、目的とする表示の視認性が低下する。
特開2006−26939号公報 特開2004−262015号公報 特開2002−321476号公報
本発明は、透明フイルム基材(1)の片面にレーザ発色層(2)、インキ層(3)が順次積層され、インキ層(3)の厚みがレーザ発色層(2)の厚みの3倍以上であるレーザ発色性積層体において、製品名、製造者名、製造年月日、ロット番号、規格、製造年月日、賞味期限、会社ロゴマーク、産地表示、肥培管理表示、遺伝子組み替え表示、添加物表示、アレルギー等の安全性に関する表示、栄養表示、成分表示等の印字が可能なレーザ発色性積層体を提供することを目的とする。
すなわち本願発明は、透明フィルム基材(1)の片面にレーザ発色層(2)、インキ層(3)が順次積層されたレーザ発色性積層体において、インキ層(3)の厚みが、レーザ発色層(2)の厚みの3倍以上であり、かつ、インキ層(3)が、白色インキ層または、黄色インキ層であることを特徴とするレーザ発色性積層体に関する。

また、インキ層(3)の厚みが3μm以上であることを特徴とする上記のレーザ発色性積層体に関するものである。
さらに、透明フイルム基材(1)が熱収縮性フイルムであることを特徴とする上記のレーザ発色性積層体に関するものである。
また、レーザ照射が透明フイルム基材(1)側より行われることを特徴とする上記のレーザ発色性積層体に関するものである。
本態様の透明フイルム基材(1)の片面にレーザ発色層(2)、インキ層(3)が順次積層され、インキ層(3)の厚みがレーザ発色層(2)の厚みの3倍以上であるレーザ発色性積層体は、インキ層の厚みが厚いためレーザ照射条件を強くしても表面の膨れ、剥がれない適正な印字濃度を得ることが可能である。また、透明フイルム基材(1)の他にフイルム、紙、金属箔といった基材層を含んでいないため、製造コスト的にも優れている。
また、透明フイルム基材(1)の片面にレーザ発色層(2)、インキ層(3)が順次積層され、インキ層(3)の厚みがレーザ発色層(2)の厚みの3倍以上であるレーザ発色性積層体を包装体、もしくはラベルとして使用すると表面の膨れ、剥がれがなくコントラストが鮮明な文字、図形、情報を有すコードを記録でき、商品、製品の製造管理、流通管理、販売において管理、広告、宣伝機能を十分に発揮することができる。
本発明をなすレーザ発色性積層体は、透明フイルム基材(1)の片面にレーザ発色層(2)、インキ層(3)が順次積層され、インキ層(3)の厚みがレーザ発色層(2)の厚みの3倍以上である構成を有する。
本態様に用いられる透明フイルム基材(1)としては、プラスチックフイルムが挙げられる。プラスチックフイルムとしては低密度ポリエチレン、無延伸および延伸ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネイト、ポリビニルアルコールフイルム等、及びポリ塩化ビニリデン等をコーテイングしたポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、セロファン等のフイルムも挙げらる。
透明フイルム基材(1)としては、熱収縮フイルムを使用することもできる。熱収縮性フイルムとしては、ポリエステル系、スチレン系等がある。熱収縮により透明フイルム基材(1)の膨れがより低減される場合もあり、飲料用、調味料用、洗剤用等のプラスチック容器、ガラス容器の胴巻きラベルとして好適に使用できる。特にガラス容器に於いては収縮フイルムのインキ層(3)面とガラスとの密着性が良いことから、収縮後にレーザ印字を行なえば、インキの剥離がより低減され、また透明フイルム基材(1)側もその本来の熱収縮性によりレーザ印字部分の膨れがより低減される。
透明フイルム基材(1)の厚みは特に限定されない。プラスチックフイルムの場合、通常印刷に用いられるフイルムがそのまま適用できる。例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)の場合、12〜40μm、OPP(延伸ポリプロピレン)の場合は20〜50μmが好適に用いられる。
レーザ発色層(2)は、レーザ発色性印刷インキ、塗工液より形成される。好ましくは印刷インキである。レーザ発色印刷インキはレーザ発色性を有する材料から選ばれる1種以上の材料の他に、通常はバインダー樹脂を含有し、さらに必要に応じて、インキ適性、印刷適性などを向上させる添加剤などを含有する。レーザ発色性を有する材料としては、無機材料、有機材料がある。本態様に用いられる無機材料は、例えば、1)金属単体、2)金属塩、3)金属水酸化物、4)金属の酸化物等を示す。
1)金属の単体としては、鉄、亜鉛、スズ、ニッケル、銅、銀、金等が挙げられる。
2)金属の塩としては、炭酸銅、炭酸ニッケル、炭酸マンガン、炭酸コバルト、炭酸ランタン、硝酸マグネシウム、硝酸マンガン、硝酸鉄、硝酸カドミウム、硝酸亜鉛、硝酸コバルト、硝酸鉛、硝酸ニッケル、硝酸銅、硝酸パラジウム、硝酸ランタン、酢酸マグネシウム、酢酸マンガン、酢酸カドミウム、酢酸亜鉛、酢酸コバルト、酢酸鉛、酢酸ニッケル、酢酸銅、酢酸パラジウム、塩化銅、塩化鉄、塩化コバルト、塩化ニッケル、塩化銀、塩化亜鉛、リン酸銅、リン酸鉄、リン酸コバルト、ピロリン酸銅、硫酸銅、硫酸鉄、硫酸コバルト、シュウ酸銅、シュウ酸鉄、シュウ酸コバルト、安息香酸銅、安息香酸鉄、安息香酸コバルト、芳香環を有するホスホン酸銅などが挙げられる。
3)金属の水酸化物としては、水酸化銅、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化アンチモン、水酸化コバルト、水酸化ニッケル、水酸化鉄、水酸化ランタン等が挙げられる。
4)金属の酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化コバルト、酸化鉛、酸化スズ、酸化インジウム、酸化マンガン、酸化モリブテン、酸化ニッケル、酸化銅、酸化パラジウム、酸化ランタン、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、インジウムドープ酸化スズ(ITO)、合成ゼオライト、天然ゼオライト、銅−モリブテン複合酸化物(42−903A、東缶マテリアル・テクノロジー株式会社製)等が挙げられる。 金属酸化物としては、層状構造を有する、マイカ、モンモリロナイト、スメクタイト等を用いることもできる。
無機材料の中では、銅化合物、モリブデン化合物、鉄化合物、ニッケル化合物、クロム化合物、ジルコニウム化合物、またはアンチモン化合物から選ばれる1種以上の材料、より好ましくは、銅化合物、モリブデン化合物、クロム化合物、ニッケル化合物を有する材料、さらに好ましくは、銅−モリブデン複合酸化物などが挙げられる。特に、銅−モリブテン複合酸化物は自己発色性が強く、また銅−モリブデン複合酸化物自身の近傍の樹脂なども黒化させやすいため、視認性の優れた印字物が得られる。
レーザが照射されても無機材料自身の発色はなく、近傍のバインダー樹脂、添加剤などが炭化、分解、気化し発色する場合も有る。 レーザ発色層を有する積層体にレーザ照射することで鮮明性、コントラスト、視認性に優れた文字、図形を有する包装体、ラベルが得られる。
レーザ発色層(2)中でレーザ発色剤の合計が、レーザ発色層(2)100重量部中に0.1〜90.0重量部含まれていると、レーザ発色層(2)の皮膜強度、凝集力と発色性のバランスの点で好ましい。特に好ましくは、5.0〜60.0重量部である。
0.1重量部未満では皮膜としての凝集力はあるものの発色性が劣る。また、90重量部を超えると、皮膜の強度、凝集力が低下し、レーザ照射により積層された記録材の折り曲げ耐性が低下し、場合によっては層間で剥離する。
顔料は印字物のバックグランドとして鮮明性、コントラスト、視認性を向上させる機能もあるが、レーザ発色層(2)はレーザ発色剤の他、黄色、紅色、藍色、もしくは白色顔料等を必要に応じて併用することにより視認性の高いレーザ発色性有する積層体を得ることができる。とりわけ白色顔料として酸化チタンを使用し、レーザ発色層(2)を成す印刷インキの着色剤の一部、もしくは全部として用いると視認性の優れた印字物が得られる。酸化チタンとしてはアナターゼ、ルチル型共に使用できる。
レーザ発色性を有する有機材料として染料も使用することが出来る。染料としては、特に制限はないが、記録材の使用目的、用途、使用環境に合わせて適宜選択可能である。染料として、特に通常の感熱記録において使用される公知の発色剤や顕色剤を使用すれば視認性の高い印字物を得ることができる。
例えば発色剤としては通常の感熱記録において電子供与体として使われている発色性化合物が使用できる。例えば、フルオラン系、フェノチアジン系、スピロピラン系、トリフェニルメタフタリド系、ローダミンラクタム系等のロイコ染料が挙げられる。ロイコ染料の具体例としては、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−アミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ニトロフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3,3−ビス(3−ジメチルアミノ)−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン等が挙げられる。
顕色剤は通常、発色剤と共に用いられる。
顕色剤としては、感熱記録体において電子受容体として使用される物質、例えばフェノール系化合物である4−フェニルフェノール、4−ヒドロキシアセトフェノン、2,2−ジヒドロキシジフェニル、2,2−メチレンビス(4−クロロフェノール)、2,2−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4−イソプロピリデンジフェノール、4,4−イソプロピリデンビス(2−クロロフェノール)、4,4−イソプロピリデンビス(2−メチルフェノール)、4,4−エチレンビス(2−メチルフェノール)等、その他酸性白土カオリン、ゼオライト、芳香族カルボン酸、その無水物、有機スルホン酸を用いることができる。なかでもフェノール系化合物が好ましい。
上記発色剤と顕色剤の比率は、発色剤1重量部に対して、顕色剤2〜10重量部が好ましい。また、発色剤と顕色剤の合計がレーザ発色層中で占める割合は30〜90重量%であることが好ましい。
ロイコ染料はレーザの熱による発色性が良好なことから、好適に用いられる。本態様において、特に染料を用いる場合は、記録材に表面保護層があっても、染料が溶出する可能性があるため、製品の製造工程でボイル、レトルト等がないことが好ましい。
レーザ発色層(2)を構成するバインダー樹脂として、例えば水溶性の、セルロース、メチルセルロース、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、カゼイン、ゼラチン、スチレン/無水マレイン酸共重合体塩、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体塩、ポリアクリル酸エステル、ポリウレタン樹脂、アクリル/スチレン樹脂等が挙げられる。溶剤型樹脂としてはスチレン/マレイン酸、アクリル/スチレン樹脂、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネイト、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリブチラール樹脂、ポリアクリル酸エステル、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリル酸共重合体、ポリ酢酸ビニル等がある。これらの樹脂は単独、または2種以上混合することで得られる。
これら樹脂の中でウレタン樹脂は特にフイルムへの密着性が良く、熱的緩和性にも優れていることから記録材として好適に用いられる。また、セルロース系樹脂、特にニトロセルロース樹脂は、レーザによる発色性が良好で、発色剤等のレーザ吸収性が乏しくても、印刷インキ皮膜層としての発色性を向上させる。
レーザ発色層(2)の膜強度、耐熱性、耐水性、耐溶剤性等の向上を目的に硬化剤を併用することができる。硬化剤としてはイソシアネート系、オキサゾリン系、カルボジイミド系、エチレンイミン系等が使用できる。膜強度、膜物性の点からはイソシネート系硬化剤が好ましい。イソシアネート系硬化剤の中でも3官能以上のものが特に良好である。これらイソシアネート系硬化剤は水酸基を有する樹脂と組み合わせれば、耐レーザ照射性が向上し、表面状態の優れた字物が得られる。
レーザ発色層(2)を形成する印刷インキ、塗工液には,印刷適性、塗工適性、皮膜物性向上のため必要に応じて顔料分散剤、消泡剤、レベリング剤、ワックス、滑剤、シランカップリング剤、防腐剤、防錆剤、可塑剤、紫外線吸収剤、難燃剤などを挙げることができる。
これら添加剤の種類、使用量は、印刷方法、印刷基材、印刷条件により適宜選択できる。
また、バインダー樹脂として光硬化性樹脂等も使用可能である。具体的には、不飽和ポリエステル系樹脂、アクリレート系樹脂、ポリエン/ポリチオール系樹脂、スピラン系樹脂、エポキシ系樹脂、アミノアルキッド系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、フラン系樹脂等が挙げられる。これら樹脂と必要に応じて紫外線硬化性モノマーなどの各種モノマー、プレポリマー、光重合開始剤が使用される。
本発明に使用可能なモノマーとしては、N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、スチレン、アクリルアミド、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシー3−フェノキシプロピルアクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートエチル、3−フェノキシプロピルアクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート等の単官能モノマー、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート等の2官能モノマー、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールオクタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の3官能モノマー、ペンタエリスリトールポリプロポキシテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の4官能モノマー、その他5官能以上のモノマーとしてジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等がある。放射線硬化型組成物としてモノマー、プレポリマー、オリゴマーを用いる場合3官能以上のモノマー、プレポリマー、オリゴマーは20〜95重量%以内で使用することが好ましい。20重量%以下ではレーザ発色層(2)の膜密度、膜強度が低く、場合によっては印字面の平滑性が低下したり、耐水性、耐油性、耐摩耗性等の物性も低下する。95重量%以上の場合、レーザ発色層(2)が硬くなり過ぎ印字物を折れ曲げた時、剥離が起こりやすくなる。
レーザ発色層(2)を紫外線で硬化させる場合、光重合開始剤、必要に応じて増感剤が必要となる。光重合開始剤としては、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、ベンゾイン系、ベンゾインメチルエーテル系等、増感剤としてはN−メチルジエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、P−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル等のアミン系化合物、トリーn−ブチルホスフイン、ミヒラーケトン等を使用することができる。電子線硬化の場合上記の光重合開始剤、増感剤等が使用しなくても硬化させることが可能である。
レーザ発色層(2)を硬化させるには、1)紫外線照射として超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク燈、メタルハライドランプ等が使用される。2)電子線照射の場合、コックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、或いは、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用い、100〜1000eVのエネルギーを持つ電子を照射する。
レーザ発色層(2)中におけるバインダー樹脂の含有量は、レーザ発色層(2)100重量部中に、10.0〜99.9重量部含まれていると、皮膜の凝集力、基材への密着性の点で好ましい。10.0重量部未満では樹脂分が少ないため皮膜の基材への密着性、皮膜の凝集力が劣るため、記録材としの耐折り曲げ性、経時安定性等の低下をまねく 。また、99.9重量部を超えるとレーザ発色性が劣る。
レーザ発色性積層体をなすインキ層(3)としては、その中に含有される顔料、染料等以外はレーザ発色層(2)に用いられるバインダー樹脂、添加剤等をそのまま使用することが可能である。
透明フイルム基材(1)とレーザ発色層(2)の間に、必要に応じてアンカーコート層、プライマー層を形成することが可能である。アンカーコート層、プライマー層の厚さは1μm以上が好ましい。1μm以下では印字濃度、表面の膨れ、剥がれに対する効果が乏しい。アンカーコート層、プライマー層としては、前述のバインダー樹脂に使用したものがそのまま適用可能である。なかでもアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂をバインダー樹脂とするアンカーコート剤、プライマー層が好ましい。
レーザ発色層(2)は、積層体中で全体、或いは一部にベタ印刷し、使用に供される。そのレーザ発色層(2)はレーザ発色性印刷インキ層から形成される。レーザ発色性印刷インキをに印刷後、溶剤乾燥、放射線硬化などの過程を経て形成される。このようなレーザ発色性印刷インキは、例えば、グラビア印刷用インキ、オフセット印刷用インキ、フレキソ印刷用インキ、シルクスクリーン印刷用インキなどとして調整することができる。本態様の積層体では、レーザ発色性印刷インキから形成されるレーザ発色層(2)が積層体の内部に存在しており、透明フイルム基材(1)及び厚いインキ層(3)により印字時、使用中おいて印字面の膨れ、剥離、飛散等を防ぐことが可能となる。
また、透明フイルム基材(1)上にレーザ発色層(2)、インキ層(3)を順次設ける方法は特に限定されず、印刷、塗工のほか、インクジェット、浸漬、スピンコーティングなどの方法を単独、又は併用して用いることができる。本態様に置いては印刷が好ましい。
レーザ発色性積層体の生産工程について一例を説明する。
レーザ発色層(2)をなすレーザ発色性印刷インキの調整において、レーザ発色剤を用いてレーザ発色性印刷インキを調製する際、レーザ発色剤の種類によっては、そのまま混合しただけでは分散が不十分となり印刷適性、印刷効果が劣ったり、或いは発色が不十分になりやすい。その場合予め分散剤、樹脂等を用いて分散することが好ましい。用いる樹脂、分散剤はレーザ発色剤の分散に適していることが必要がある。レーザ発色剤の使用量は添加後の最終印刷インキの全成分量に対して1〜60重量%が好ましい。より好ましくは2〜50重量%である。レーザ発色剤の含有量が60重量%を超えると分散不良を起こしやすく、レーザ発色性積層体の記録特性を損なう可能性がある。1重量%未満の場合、発色性の低下が大きくなる。
レーザ発色剤を有機溶剤、水等の液状媒体中に分散して塗工液を調製する際に使用する分散機としては、ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノーミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、コボールミル、ホモミキサー、ホモジナイザー(エム・テクニック社製「クレアミックス」等)、湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」)等が挙げられる。分散機にメディアを使う場合には、ガラスビーズ、ジルコニアビーズ、アルミナビーズ、磁性ビーズ、スチレンビーズ等を用いることが好ましい。
有機溶剤としては、印刷用に用いられる公知の溶剤を用いることが可能であり、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸メチル、メチルイソブチルケトン、1−メトキシー2−プロパノール、トルエン、キシレンなどが挙げられる。
本態様のレーザ発色性積層体においてインキ層(3)の厚みがレーザ発色層(2)の厚みの3倍以上であることが必要である。インキ層(3)の厚みがレーザ発色層(2)の厚みの3倍以下であると、レーザ照射により積層体の膨れ、剥離が起こり易い。この場合、膨れ、剥離をなくするためレーザ照射条件を弱くすると印字濃度が薄くなり、視認性が劣る。インキ層(3)の厚みがレーザ発色層(2)の厚みの3倍以上であると膨れ、剥離がなく、また視認性の良い印字物が得られる。好ましくは、インキ層(3)の厚みがレーザ発色層(2)の厚みの5倍以上で、更に好ましくは8倍以上である。
レーザ発色層(2)をなすレーザ発色性印刷インキは必要に応じて他の印刷インキ、例えば黄色インキ、紅インキ、藍インキ、白色インキにそのまま添加することで、インキ色相の異なるレーザ発色性印刷インキを得る事が可能となる。特に、レーザ発色により黒化するレーザ発色剤を含むインキを製造し、白色印刷インキに添加した場合、レーザ発色によりコントラストの高い、視認性に優れた印字物が得られる。
視認性を高めるには、前述のレーザ発色層(2)をなすレーザ発色性印刷インキの色相を変える方法の他、レーザ発色層(2)と異なる色相を有する印刷インキをレーザ発色層(2)に直接重ね刷りし、コントラストを高めることでも可能である。レーザ発色自体の色相は、通常茶色、灰色、黒色が多いことからインキ層(3)に白色インキ層を用いると視認性が良好となる。
レーザ発色層(2)及びインキ層(3)を同時に白色系にすると視認性が極めて良好になる。同様な効果は、レーザ発色層(2)を黄色系に、インキ層(3)を白色系、もしくは黄色系にすることでも達成される。
レーザ発色性印刷インキを重ね刷りし、レーザ発色層(2)を厚くし、その後インキ層(3)の厚みをレーザ発色層(2)の厚みの3倍以上にすることでも印字濃度、視認性を向上させることができる。
インキ層(3)の厚みがレーザ発色層(2)の厚みの3倍以上の場合であっても、インキ層(2)の厚みは3μm以上(レーザ発色層(2)の厚みが1μm以上)であることが好ましい。インキ層(2)の厚みが3μm以下の場合、積層体全体としての膜強度が劣る傾向にあるためレーザ照射による膨れ、剥離の可能性が高まる。
このようにして、得られたレーザ発色性を有する積層体の一部、或いは全面には、製品名、製造者名、製造年月日、ロット番号、規格、賞味期限、会社ロゴマーク、産地表示、肥培管理表示、遺伝子組み替え表示、添加物表示、アレルギー等の安全性に関する表示、栄養表示、成分表示、バーコード、RSSコード、2次元コード等をレーザ照射により印字できる。表刷り構成であっても積層体の内部にレーザ発色層(2)が存在しているので、従来の印刷物で問題となっていた印字自体の剥離、傷つきを低減することができる。
レーザによる印字は、英数字、ひらがな、漢字等で目的とする内容を表示する他、バーコード、或いは2次元バーコードとして、更に多量の各種情報を書き込むことも可能である。2次元コードとしては、QR(モデル1)、QR(モデル2)、マイクロQR、DataMatrix等がある。↑
次いで、本態様の印字方法について説明する。本態様に好適に使用できるレーザとしては、例えば炭酸ガスレーザ(10640nm)、YAGレーザ(1064nm)、YVO4レーザ(1064nm)等が挙げられる。
好ましくは、YAGレーザ、YVO4レーザであり、更に好ましくはレーザ光の強度分布がシングルモードのパワー分布であるYVO4レーザである。
YAGレーザ、若しくはYVO4レーザは1)LD%、2)Q−スイッチ周波数、及び3)走査速度等の条件により対象物の印字品質を制御できる。例えば、キーエンス社製のMD−V9600。LD%は、レーザ出力を表す。LD%によりレーザパワーを制御できるが、大きくし過ぎるとレーザ発色性積層体がダメージを受けやすい。また、小さすぎると印字が不鮮明になる。
Q−スイッチ周波数は、パルスを発生させる周波数を表す。Q−スイッチ周波数も印字品質に影響を及ぼし、大きすぎても、小さすぎても印字品質が低下する。
走査速度は印字ドットの間隔、印字時間等を制御するもので遅過ぎると印字ドットが集中し、場合によってはレーザ発色性積層体がダメージを受ける。また、早過ぎるとと、印字ドット間が広くなり場合によっては印字濃度、印字品質の低下がみられる。
レーザによる印字では、印字濃度と表面状態のバランスを取ることが重要である。レーザ発色層が内部にあるため、レーザ照射により積層体内で炭化、分解、気化が起こり、その表面に膨れ、剥がれを生じやすい。場合によっては耐溶剤性、耐水性、耐摩耗性等が低下する。そのため好ましい印字方法は積層体に記録したレーザの印字ドットが連続していなく、互いに独立していることである。印字ドットが連続すると印字濃度は向上するものの、その線上に沿って積層体内で剥離等が起こりやすく、積層体表面にも悪影響を及ぼす。
レーザ照射は一般に透明フイルム基材(1)側より行われるが、インキ層(3)が透明、若しくは半透明な場合インキ層(3)側からも可能である。好ましくは透明フイルム基材(1)側からの印字である。
以下、実施例に基づき本態様をさらに詳しく説明する。実施例中、部は重量部を表す。なお、%は特に指定のない限り重量%を示す。
(合成例1)ウレタン樹脂の合成
攪拌機、温度計、還流冷却器、および窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコにポリテトラメチレングリコール(分子量2000、分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフイで測定される数平均分子量を示す)1000部とイソホロンジイソシアネート222部を仕込み、窒素雰囲気下、85℃で5時間反応させた。次いで、40℃に冷却後イソホロンジアミン82部、ジ−n−ブチルアミン7.8部、トルエン1244部、メチルエチルケトン1244部およびイソプロピルアルコール573部を添加し、攪拌下40℃で5時間反応させた。このようにして得られたウレタン樹脂の固形分は30%、粘度は350cps(25℃)であった。
(合成例2)アクリル樹脂の合成
攪拌機、温度計、還流冷却器、および窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコにイソプロピルアルコール600部を仕込み、攪拌下、窒素雰囲気下で80℃迄昇温した。次に、予め調整して置いたアクリル酸28部、アクリル酸メチル20部、メタクリル酸メチル420部、アクリル酸ブチル130部およびアゾビスイソブチロニトリル12部の混合液を2時間で滴下した。滴下後1時間経て、アゾビスイソブチロニトリル2部を加え、更に2時間反応させた。反応終了後、メチルエチルケトンで固形分の調整を行った。このようにして得られたアクリル樹脂の固形分は30%、粘度は340cps(25℃)であった。
(合成例3)フェニルホスホン酸銅の合成
水1350部に、フェニルホスホン酸130部を溶解させた。これに硫酸銅5水和物103部添加し、室温下で2時間攪拌した。析出物を濾過し、水で洗浄を行い、100℃で減圧乾燥させ、フェニルホスホン酸銅35部を得た。
(実施例1)
レーザ発色層(2)をなすレーザ発色性印刷インキの調整
合成例3で得たフェニルホスホン酸銅30部、合成例1で得たウレタン樹脂80部、メチルエチルケトン10部の混合物をペイントシェーカで練肉し、印刷インキを得た。得られた印刷インキを更に、メチルエチルケトン、酢酸エチル及びイソプロピルアルコールの混合溶剤(重量比50:40:10)で希釈し、ザーンカープ#3(離合社製)で17秒(25℃)に調整し、レーザ発色性印刷インキを得た。
インキ層(3)をなす印刷インキの調整
酸化チタン(チタニックスJR805、テイカ株式会社製)30部、合成例1で得たウレタン樹脂80部、メチルエチルケトン10部の混合物をペイントシェーカで練肉し、印刷インキを得た。得られた印刷インキを更に、メチルエチルケトン、酢酸エチル及びイソプロピルアルコールの混合溶剤(重量比50:40:10)で希釈し、ザーンカープ#3(離合社製)で17秒(25℃)に調整し、印刷インキを得た
透明フイルム基材(1)としてコロナ放電処理PET(東洋紡績社製「エステルE5102」、膜厚12μm)の処理面側に、版深30μmのグラビア版を用いて印刷速度50m/分、乾燥温度60℃でレーザ発色性印刷インキ、印刷インキを印刷した。
(実施例2〜8、比較例1)
実験例2〜8、比較例1におけるにおけるレーザ発色層(2)をなす発色剤、バインダー樹脂の種類、インキ層(3)を成す顔料、バインダー樹脂の種類、積層体構成について表1に示す。レーザ発色層(2)をなすレーザ発色性印刷インキ、インキ層(3)をなす印刷インキの調整方法は実施例1と同じである。
尚、実施例6に於いては、レーザ発色性印刷インキ、印刷インキの粘度をザーンカープ#3(離合社製)で15秒(25℃)に調整した。また、実施例8に於いては、透明フイルム基材(1)として熱収縮フイルムを用い、印刷は印刷速度30m/分、風量のみによる乾燥でレーザ発色性印刷インキ、印刷インキを印刷した。
*Ny:「ON−RT」(ユニチカ社製、膜厚15μm)
*熱収縮フイルム:スペースクリーンS5630(東洋紡績株式会社製)
*黄色顔料:LIONOL YELLOW1823G(東洋インキ製造株式会社製)
実施例1〜8および比較例1で得られたレーザ発色性積層体について、YVO4レーザ「キーエンス社製MD-9600」を使用してレーザによる印字を行った。印字条件は
(1) 走査速度=500mm/秒
(2) Q−スイッチ周波数=20kHz
(3) レーザパワー10%
である。
印字内容は、「賞味期限 12月31日」である。
得られた印字物について視認性、表面状態を評価した。
各試験方法について以下に説明する。
視認性: 3段階で評価した。結果を表2に示す。
○:印字濃度が高く、視認性が良好。
△:印字濃度が高くない、また、視認性が良好でない。
×:印字濃度が殆どない、また、視認性が殆どない。
表面状態(膨れ、剥離):3段階で評価した。結果を表2に示す。
○:レーザー照射側の表面に膨れが全くない。
△:レーザー照射側の表面に膨れが僅かに見られる
×:レーザー照射側の表面に膨れが多く見られる。
Figure 0005023799
Figure 0005023799

Claims (4)

  1. 透明フィルム基材(1)の片面にレーザ発色層(2)、インキ層(3)が順次積層されたレーザ発色性積層体において、
    インキ層(3)の厚みが、レーザ発色層(2)の厚みの3倍以上であり、かつ、
    インキ層(3)が、白色インキ層または、黄色インキ層であることを特徴とするレーザ発色性積層体。
  2. インキ層(3)の厚みが3μm以上であることを特徴とする請求項1記載のレーザ発色性積層体。
  3. 透明フイルム基材(1)が熱収縮性フイルムであることを特徴とする請求項1または2記載のレーザ発色性積層体。
  4. レーザ照射が透明フイルム基材(1)側より行われることを特徴とする請求項1から3何れか記載のレーザ発色性積層体。
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