JP2019199517A - レーザーマーキング用インキ組成物及び包装材 - Google Patents

レーザーマーキング用インキ組成物及び包装材 Download PDF

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Abstract

【課題】形成されるレーザーマーキング層において、より鮮明で視認性に優れたレーザーマーキングを可能とするレーザーマーキング用インキ組成物を提供する。【解決手段】レーザーマーキング層の形成に用いられるインキ組成物であり、バインダー樹脂と、レーザー光の照射によりレーザーマーキング層において発色を生じさせるレーザー発色材料と、レーザー発色材料による発色の助剤として機能する鱗片状フィラーと、を含有するレーザーマーキング用インキ組成物を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、レーザーマーキング用インキ組成物及び包装材に関する。
食品、飲料品、医薬品、医薬部外品、及び化粧品等を収容する各種包装容器、並びにフィルム及び紙等の各種包装資材等の包装材等には、商品名、ロット番号、製造年月日、賞味期限、使用期限、及び製造元名等の様々な情報を記録することが行われている。そのような記録を行う方法として、近年、対象物にレーザー光を照射することで記録(いわゆるレーザー印字)を行うレーザーマーキング方式が普及している。
レーザーマーキング方式は、いわゆる非接触式であることから高精度な記録が可能であること、高速記録が可能であること、及び対象物の様々な表面形状にも記録可能であること等の利点がある。さらに、レーザーマーキング方式は、ホットスタンプ方式やインクジェット方式による記録と比べて、消え難い記録が可能となるという利点もある。
上述の包装材等においては、包装材を構成する基材にインキ等でレーザーマーキング層を形成し、そのレーザーマーキング層にレーザー光を照射して、マーキングを施すことが行われている。例えば特許文献1には、顔料、染料及び無機材料から選ばれる1種以上の材料を含有し、かつ、波長700〜12000nmに吸収を有するレーザー発色性印刷インキ皮膜層と、表面保護層とを有してなる記録材が開示されている。また、特許文献2には、レーザー発色材料と特定のウレタン樹脂とを含有するレーザーマーキング用インキ組成物、並びにそのインキ組成物の乾燥皮膜からなるレーザーマーキング層及び樹脂層が基材上に積層された記録材が開示されている。
一方、より鮮明なレーザー印字を可能とするために、レーザーマーキングインキ層とともに、そのインキ層へレーザー光を反射させる層(以下、「レーザー反射層」と記載することがある。)を設けた包装材料が提案されている。例えば特許文献3には、基材の少なくとも一部に、着色インキ層と、アルミニウムペーストやアルミニウム粉等の金属顔料を用いた銀色インキ層(レーザー反射層)とがこの順に積層されたレーザー印字領域を有する包装材料が開示されている。この包装材料では、基材を透過して着色インキ層へ達したレーザー光、及びレーザー反射層から反射してきたレーザー光によって、着色インキ層が透明化して任意の模様をレーザー印字できることが特許文献3に記載されている。また、特許文献4には、透明基材層の裏面側にレーザー光の照射によって発色するレーザーマーキングインキ層と、レーザー光を反射する作用を有することで前記インキ層の発色を促すアルミニウムペースト含有インキ層(レーザー反射層)がこの順に設けられた包装材料が開示されている。
特開2007−055110号公報 特開2010−047681号公報 特開2011−148197号公報 特開2015−020796号公報
レーザーマーキング層は、例えば、白色系の色相を有する地(白地)から、レーザー光の照射により黒色系の色相に発色する態様等のように、地色とレーザー光の照射による発色とのコントラストが明瞭であるほど視認性に優れた記録が得られる。
一方、上述の特許文献3及び4に開示された包装材料のように、透明基材に白地のレーザーマーキング層とアルミニウムペースト含有インキ層とをこの順で積層した場合、レーザーマーキング層はその下のアルミニウムペースト含有インキ層を隠蔽しきれないことがある。そのような包装材料を透明基材側から見ると、レーザーマーキング層の地は灰色がかった色相に視認されやすく、美観やマーキングの視認性が低下しやすい。また、このような包装材料を食品用包装材に適用すると、包装材料がアルミニウムペースト等の金属を含むため、包装材に食品を入れた後の製品について金属検知器による異物検査を有効に行うことが困難となる場合や、電子レンジ非対応となる場合がある。したがって、上述のような包装材料の場合、その用途が制限されてくる。
そこで、本発明は、アルミニウムペースト等の金属顔料を含有するレーザー反射層を設けなくても、形成されるレーザーマーキング層において、より鮮明で視認性に優れた記録を可能とするレーザーマーキング用インキ組成物を提供しようとするものである。
本発明者らは、アルミニウムペースト等の金属顔料を含有するレーザー反射層を用いずに、より鮮明で視認性に優れた記録を可能とするレーザーマーキング層を形成するためのインキ組成物について鋭意検討した。その結果、本発明者らは、インキ組成物にレーザー発色材料と、そのレーザー発色材料としての機能はほとんど有しないような鱗片状フィラーを含有させることで、意外にも目的とするレーザーマーキング層を形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、レーザーマーキング層の形成に用いられるインキ組成物であって、バインダー樹脂と、レーザー光の照射により前記レーザーマーキング層において発色を生じさせるレーザー発色材料と、前記レーザー発色材料による前記発色の助剤として機能する鱗片状フィラーと、を含有するレーザーマーキング用インキ組成物を提供する。
本発明によれば、形成されるレーザーマーキング層において、より鮮明で視認性に優れた記録を可能とするレーザーマーキング用インキ組成物を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
<インキ組成物>
本発明の一実施形態のレーザーマーキング用インキ組成物(以下、単に「インキ組成物」と記載することがある。)は、レーザーマーキング層の形成に用いられるものである。このインキ組成物は、バインダー樹脂と、レーザー光の照射によりレーザーマーキング層において発色を生じさせるレーザー発色材料と、レーザー発色材料による発色の助剤として機能する鱗片状フィラーとを含有する。
上記のインキ組成物によって、バインダー樹脂、レーザー発色材料、及び鱗片状フィラーを含有するレーザーマーキング層を形成することができる。このレーザーマーキング層を設ける対象となる基材に対して、例えば、アルミニウムペーストやアルミニウム粉等の金属顔料を含有するレーザー反射層等の他の層をさらに設けなくても、レーザーマーキング層において、より鮮明で視認性に優れた記録が可能となる。そのため、レーザーマーキングを施す対象物に対し、インキ組成物によるレーザーマーキング層を用いることにより、対象物の美観向上や、マーキングの視認性向上に寄与することもできる。さらに、インキ組成物によるレーザーマーキング層は、上記金属顔料のような金属(純金属及び合金)を含有しない層とすることも可能である。そのため、そのようなレーザーマーキング層は、対象物が食品包装材等の場合のように、包装材に内容物を入れた後の製品の金属検知器による異物検査の実現や、電子レンジ加熱への対応に寄与することもできる。したがって、インキ組成物は、幅広い用途におけるレーザーマーキング層の形成に用いることができる。
レーザー発色材料が「レーザー光の照射によりレーザーマーキング層において発色を生じさせる」ことには、レーザー光の照射により、レーザー発色材料自体が発色すること、それ自体は発色しないが近傍の樹脂や任意の添加剤を発色させること、及びそれらの両方が含まれる。例えば、レーザーマーキング層にレーザー光が照射されると、レーザーマーキング層におけるレーザー発色材料にレーザー光のエネルギーが吸収され、その熱効果により分子密度が上がり、凝縮されて濃色に変色することや、周囲の樹脂(高分子)が炭化、分解、又は気化して発色することが挙げられる。また、レーザー光の照射によって、レーザー発色材料が化学的に変化して発色すること等が挙げられる。
バインダー樹脂、レーザー発色材料、及び鱗片状フィラーを含有するレーザーマーキング層によって、レーザー発色材料及び鱗片状フィラーのうちいずれか一方のみを含有する皮膜に比べて、より鮮明で視認性に優れた記録(レーザーマーキング)を行うことが可能となる。レーザーマーキング層にレーザー光が照射されると、レーザーマーキング層内に進入したレーザー光は、レーザー発色材料及び鱗片状フィラーに達し、鱗片状フィラーでは反射されると考えられる。そして、レーザーマーキング層内において鱗片状フィラーで反射されたレーザー光の一部は、レーザー発色材料に達すると考えられる。そのため、レーザー発色材料及び鱗片状フィラーを含有するレーザーマーキング層によって、レーザー光の出力を上げなくても、レーザー発色材料にレーザー光のエネルギーをより吸収させることが可能となり、発色性を高めることができると考えられる。その結果、より鮮明で視認性に優れた記録を行うことが可能となると考えられる。
レーザー光の照射によりレーザーマーキング層において発色を生じさせるレーザー発色材料としては、有機顔料、無機顔料、染料、及び顔料以外の無機材料等を挙げることができる。これらのレーザー発色材料の1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。インキ組成物によって形成されるレーザーマーキング層の使用目的及び用途、並びにレーザーマーキング層に対して使用するレーザー種等の使用環境等に応じて、インキ組成物に含有させるレーザー発色材料を適宜選択することができる。
有機顔料としては、例えば、黄色顔料、橙色顔料、紅色顔料、紫色顔料、藍色顔料、及び緑色顔料等を挙げることができる。黄色顔料としては、例えば、ファストイエローG;10G;FGL、ジスアゾイエローAAA;AAOT;AAMX;H10G;HR、フラバンスロンイエロー、及びクロモフタルイエローGR等が挙げられる。橙色顔料としては、例えば、ピラゾロンオレンジ、ジアニシジンオレンジ、ベンズイミダゾロンオレンジHL、及びペリノンオレンジ等が挙げられる。紅色顔料としては、例えば、レーキレッド4R;C、ナフトールレッドBS;FRR;M、ナフトールカーミンFB、及びブリリアントファストスカーレット等が挙げられる。紫色顔料としては、例えば、メチルバイオレットレーキ、ローダミンBレーキ、及びジオキサジンバイオレット等が挙げられる。藍色顔料としては、例えば、フタロシアニンブルーR;G、ビクトリアブルーレーキ、及びピーコックブルーレーキ等が挙げられる。緑色顔料としては、例えば、ブリリアントグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、及びフタロシアニングリーン6Y等が挙げられる。
無機顔料としては、酸化チタン、塩基性硫酸鉛、酸化亜鉛、硫化亜鉛、及び酸化アンチモン等の白色顔料を挙げることができる。また、無機顔料としては、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、沈降性炭酸カルシウム、珪藻土、タルク、クレー、塩基性炭酸マグネシウム、及びアルミナホワイト等の体質顔料を挙げることができ、これらの体質顔料を白色顔料として使用することもできる。さらに、無機顔料としては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、及びランプブラック等のカーボンブラック等の黒色顔料を挙げることができる。
染料としては、例えば、通常の感熱記録において電子供与体として使われている発色性化合物を使用することができる。そのような染料としては、例えば、フルオラン系、フェノチアジン系、スピロピラン系、トリフェニルメタフタリド系、及びローダミンラクタム系等のロイコ染料を挙げることができる。
無機材料としては、金属の単体、金属の塩、金属の水酸化物、及び金属の酸化物等を挙げることができる。金属の単体としては、例えば、鉄、亜鉛、錫、ニッケル、銅、銀、及び金等が挙げられる。金属の塩としては、例えば、炭酸銅、炭酸ニッケル、炭酸マンガン、炭酸コバルト、炭酸ランタン、硝酸マグネシウム、硝酸マンガン、硝酸鉄、硝酸カドミウム、硝酸亜鉛、硝酸コバルト、硝酸鉛、硝酸ニッケル、硝酸銅、硝酸パラジウム、硝酸ランタン、酢酸マグネシウム、酢酸マンガン、酢酸カドミウム、酢酸亜鉛、酢酸コバルト、酢酸鉛、酢酸ニッケル、酢酸銅、酢酸パラジウム、塩化銅、塩化鉄、塩化コバルト、塩化ニッケル、塩化銀、塩化亜鉛、リン酸銅、リン酸鉄、リン酸コバルト、ピロリン酸銅、硫酸銅、硫酸鉄、硫酸コバルト、シュウ酸銅、シュウ酸鉄、シュウ酸コバルト、安息香酸銅、安息香酸鉄、安息香酸コバルト、芳香環を有するホスホン酸銅などが挙げられる。
金属の水酸化物としては、例えば、水酸化銅、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化アンチモン、水酸化コバルト、水酸化ニッケル、水酸化鉄、及び水酸化ランタン等が挙げられる。金属の酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化コバルト、酸化鉛、酸化スズ、酸化インジウム、酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化ニッケル、酸化銅、酸化パラジウム、酸化ランタン、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、インジウムドープ酸化スズ(ITO)、合成ゼオライト、天然ゼオライト、銅−モリブデン複合酸化物等が挙げられる。金属の酸化物としては、層状構造を有する、マイカ、モンモリロナイト、及びスメクタイト等を用いることもできる。
レーザー発色材料は、レーザーマーキング層を白色系の色相を有する白地に形成可能であるとともにその白地においてレーザー光の照射により黒色系の色相の発色を生じさせるものであることが好ましい。これにより、コントラストがより明瞭となり、視認性にさらに優れた記録を得ることができる。このようなレーザー発色材料として、例えば、前述の白色顔料、及び体質顔料、並びに白色系の無機材料(例えば、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、塩化銀、モリブデン化合物等)を好適に用いることができる。それらのなかでも、酸化チタン及びモリブデン化合物の少なくとも一方を用いることがより好ましい。酸化チタン及びモリブデン化合物の少なくとも一方を、インキ組成物に含有させる着色剤の一部又は全部として用いることにより、さらに鮮明で視認性に優れた記録を行うことが可能なレーザーマーキング層を形成することができる。さらには、レーザー発色材料として酸化チタンを用いることにより、インキ組成物やそれを用いた製品の製造コストを抑えることに寄与することができる。また、レーザー発色材料としてモリブデン化合物を用いることにより、漢字等の精密な文字についても鮮明で視認性に優れた記録を行うことに寄与することができる。
酸化チタンは、YVO4レーザー、YAGレーザー、又はファイバーレーザーを使用するレーザーマーキング用インキ組成物に含有させるレーザー発色材料として用いることがさらに好ましい。酸化チタンとしては、アナターゼ型及びルチル型のいずれも用いることができ、ルチル型を用いることがより好ましい。
モリブデン化合物は、CO2レーザーを使用するレーザーマーキング用インキ組成物に含有させるレーザー発色材料として用いることがさらに好ましい。モリブデン化合物の好適な具体例としては、前述した酸化モリブデン(三酸化モリブデン)及び銅−モリブデン複合酸化物のほか、モリブデン酸カルシウム、モリブデン酸ナトリウム、ヘプタモリブデン酸アンモニウム、及びオクタモリブデン酸アンモニウム等を挙げることができる。これらのなかでも、モリブデン酸ナトリウム、オクタモリブデン酸アンモニウム、及び銅−モリブデン複合酸化物がより好ましい。
レーザー発色材料の含有量は、レーザーマーキング層の強度及び凝集力、並びにレーザー光の照射による発色性の観点から、インキ組成物の固形分の全質量を基準として、0.1〜80質量%であることが好ましい。適度な強度及び凝集力で折り曲げに対する良好な耐性を有するレーザーマーキング層を得る観点から、インキ組成物の全固形分中のレーザー発色材料の上記含有量は、80質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましく、60質量%以下であることがさらに好ましく、50質量%以下であることが特に好ましい。一方、レーザー光の照射により良好な発色性を示すレーザーマーキング層を得る観点から、インキ組成物の全固形分中のレーザー発色材料の上記含有量は、0.1質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることがさらに好ましく、10質量%以上であることがよりさらに好ましく、20質量%以上であることが特に好ましい。
鱗片状フィラーは、前述のレーザー発色材料による発色の助剤として機能するものである。この鱗片状フィラーがレーザー発色材料とともにレーザーマーキング層に含有されることによって、レーザー発色材料による発色の濃度を高めることができ、その結果、より鮮明で視認性に優れた記録を行うことが可能となる。
鱗片状フィラーは、それ自体ではレーザー発色材料としての機能をほとんど有しなくても、上述した効果を奏することができる。レーザー発色材料にレーザー光のエネルギーをより吸収させる観点からは、レーザー光の照射によりレーザーマーキング層において発色を生じさせる機能をほとんど有しない鱗片状フィラー(非発色性を示す鱗片状フィラー)を用いることが好ましい。レーザー光の照射によりレーザーマーキング層において非発色性を示す鱗片状フィラーをレーザー発色材料とともにインキ組成物に含有させることで、さらに鮮明で視認性に優れた記録を行うことが可能なレーザーマーキング層を形成することができる。
鱗片状フィラーが、「レーザー光の照射によりレーザーマーキング層において非発色性を示す」とは、レーザー光の照射によりレーザーマーキング層において発色を生じさせる機能をほとんど有しないことを意味する。具体的には、固形分がバインダー樹脂及び鱗片状フィラーからなる皮膜にレーザー光を照射した場合に、その皮膜におけるレーザー光を照射した部分の反射濃度(DB)が0.5未満であることをいう。さらに具体的には、以下に示す液状組成物を厚さ12μmのPETフィルムに塗布して厚さ約3μmの皮膜を形成し、その皮膜に対して、PETフィルム側から以下に示す条件のレーザー光を照射した場合に、皮膜におけるレーザー光を照射した部分の反射濃度計(商品名「Spectro Eye」、Gretag Macbeth社製)で測定される反射濃度(DB)が0.5未満であることをいう。この場合の反射濃度(DB)は0.2未満であることがより好ましく、0.1未満であることがさらに好ましい。
〔液状組成物〕
後記実施例で使用した固形分が30質量%であるポリウレタン樹脂溶液51質量%、鱗片状フィラー17質量%、酢酸エチル9質量%、及び酢酸エチル/酢酸プロピル/イソプロピルアルコールの質量比が6/2/2の混合溶剤23質量%からなる液状組成物。
〔レーザー光(1)〕
レーザー種:ファイバーレーザー
装置:商品名「Videojet7510」(Videojet Tchnologies社製)
スキャンスピード:1000mm/秒
平均出力:8.5W
パルス周波数:20kHz
レーザー光の照射パターン:直径5mmの円形状の塗りつぶし画像。
〔レーザー光(2)〕
レーザー種:CO2レーザー
装置:商品名「ML−Z9520」(キーエンス社製)
スキャンスピード:1000mm/秒
平均出力:7.5W
レーザー光の照射パターン:8mm角の正方形状の塗りつぶし画像。
鱗片状フィラーとしては、例えば、天然雲母(天然マイカ)、合成雲母(合成マイカ)、鱗片状シリカ(SiO2薄片)、鱗片状アルミナ(Al23薄片)、鱗片状酸化チタン(TiO2薄片)、ガラス薄片、及びオキシ塩化ビスマス(BiOCl)等、並びにそれらが金属酸化物層で被覆されたパール顔料等を挙げることができる。パール顔料における被覆層を構成する金属酸化物としては、例えば、TiO2、ZrO2、Fe23、Fe34、Cr23、ZnO、及びSnO2等を挙げることができる。これらのうちの1種又は2種以上の混合物を金属酸化物層に用いることができる。また、金属酸化物層は1層でもよく、2層以上であってもよい。上述のような鱗片状フィラーの1種又は2種以上をインキ組成物に含有させることができる。
鱗片状フィラーとしては、前述した鱗片状フィラーの機能がより高まる観点から、天然雲母、合成雲母、及びパール顔料からなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。天然雲母のなかでも、白雲母、及び金雲母がより好ましく、合成雲母のなかでも、フッ素金雲母、カリウム四ケイ素雲母、及びナトリウム四ケイ素雲母がより好ましい。また、パール顔料のなかでも、酸化チタン被覆雲母がより好ましい。これらのなかでも、鱗片状フィラーは、白雲母、金雲母、フッ素金雲母、及び酸化チタン被覆雲母からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことがさらに好ましい。
鱗片状フィラーの平均粒子径は、1〜30μmであることが好ましい。より鮮明で視認性に優れた記録を行うことが可能なレーザーマーキング層を得る観点から、鱗片状フィラーの平均粒子径は、1μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましい。一方、インキ組成物をレーザーマーキング層の形成に好適なグラビア印刷用インキやフレキソ印刷用インキとして調製しやすい観点から、鱗片状フィラーの平均粒子径は、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることがさらに好ましい。特に、フッ素金雲母の場合、その平均粒子径は8μm以下であることが、より鮮明な記録を得る観点から好ましい。本明細書において、平均粒子径は、レーザー回折・散乱法による粒度分布測定機によって求められる粒度分布における体積基準の積算値50%での粒子径である。
鱗片状フィラーの含有量は、レーザーマーキング層の強度及び発色性の観点から、インキ組成物の固形分の全質量を基準として、1〜60質量%であることが好ましい。適度な強度及び凝集力で折り曲げに対する良好な耐性を有するレーザーマーキング層を得る観点から、鱗片状フィラーの上記含有量は、60質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることがさらに好ましい。一方、レーザー発色材料による発色の濃度をより高める観点から、鱗片状フィラーの上記含有量は、1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることがさらに好ましく、20質量%以上であることが特に好ましい。
また、インキ組成物の固形分の全質量を基準として、鱗片状フィラーの上記含有量は、前述のレーザー発色材料の含有量に対する質量比率で、0.1〜2.0倍であることが好ましい。インキ組成物の全固形分中に鱗片状フィラーとレーザー発色材料が上記の比率で含有されていることにより、さらに鮮明で視認性に優れた記録が可能となるレーザーマーキング層の形成に寄与することができる。レーザー発色材料による発色の濃度を高め、かつ、さらに鮮明で視認性に優れた記録が可能となるレーザーマーキング層を得る観点から、鱗片状フィラーの上記含有量は、レーザー発色材料の含有量に対する質量比率で、0.2倍以上であることが好ましく、0.3倍以上であることがより好ましく、0.5倍以上であることがさらに好ましく、0.6倍以上であることが特に好ましい。また、上記質量比率は、インキ組成物を調製し易い観点からは、2.0倍以下であることが好ましく、1.5倍以下であることがより好ましく、1.0倍以下であることがさらに好ましい。
インキ組成物に用いるバインダー樹脂は特に限定されない。好ましいバインダー樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ウレタン変性(メタ)アクリル樹脂、スチレン−(メタ)アクリル共重合樹脂、エチレン−(メタ)アクリル共重合樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、及びポリアミド樹脂、並びにヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びニトロセルロース等のセルロース系樹脂等を挙げることができる。これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。上記樹脂のなかでも、バインダー樹脂は、ウレタン樹脂;(メタ)アクリル樹脂;ポリエステル樹脂;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂;並びにポリアミド樹脂と硝化綿の混合樹脂;からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましい。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」の文言には、「アクリル」及び「メタクリル」の両方の文言が含まれる。
バインダー樹脂として光硬化性樹脂(例えば紫外線硬化性樹脂)等の硬化性樹脂を用いることもできる。光硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ウレタン変性(メタ)アクリル系樹脂、エポキシ変性(メタ)アクリル系樹脂、及びエポキシ系樹脂等を挙げることができる。これらと、必要に応じて光硬化性モノマー及びオリゴマー、並びに光重合開始剤等を使用することができる。
インキ組成物を設ける対象となる基材、その基材にインキ組成物を設ける方法、並びにインキ組成物によって形成されるレーザーマーキング層の使用目的及び用途等に応じて、インキ組成物に含有させるバインダー樹脂を適宜選択することができる。バインダー樹脂としては、(メタ)アクリル樹脂、及びウレタン樹脂がより好ましく、ウレタン樹脂がさらに好ましい。ウレタン樹脂はプラスチックフィルムに良好に密着しやすく、フィルムに追従する弾性に富み、また、熱的緩和性にも優れる。そのため、バインダー樹脂としてウレタン樹脂を含有するインキ組成物を、プラスチックフィルム、さらにはプラスチックフィルム製の包装材に設けられるレーザーマーキング層の形成に好適に用いることができる。
バインダー樹脂の含有量は、レーザーマーキング層の凝集力及び基材への密着性、並びにレーザー光の照射による発色性の観点から、インキ組成物の固形分の全質量を基準として、10〜90質量%であることが好ましい。適度な凝集力及び密着性を有するレーザーマーキング層を得る観点から、インキ組成物の全固形分中のバインダー樹脂の上記含有量は、10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることがさらに好ましい。一方、レーザー光の照射により良好な発色性を示すレーザーマーキング層を得る観点から、インキ組成物の全固形分中のバインダー樹脂の上記含有量は、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることがさらに好ましい。
インキ組成物は、バインダー樹脂とともに、硬化剤を含有してもよく、使用時においてインキ組成物に硬化剤が添加されてもよい。硬化剤としては、ポリイソシアネート硬化剤及びカルボジイミド硬化剤を好ましく使用することができ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
インキ組成物は、さらに、液状媒体を含有することができる。液状媒体としては、水、及び有機溶剤等を用いることができる。有機溶剤としては、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、酢酸プロピル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、1−メトキシ−2−プロパノール、トルエン、及びキシレン等を挙げることができる。有機溶剤の1種を単独で又は2種以上の混合溶剤をインキ組成物に含有させることができる。
インキ組成物には、種々の添加剤を含有させてもよい。添加剤としては、例えば、顔料分散剤、消泡剤、レベリング剤、ワックス、カップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定性、界面活性剤、防腐剤、防錆剤、可塑剤、難燃剤、及び顕色剤等を挙げることができる。
基材にインキ組成物を設けてレーザーマーキング層を形成しやすい観点から、インキ組成物は、印刷用インキとして調製されることが好ましい。そのなかでも、品質及び生産性の高さから、グラビア印刷用インキ、オフセット印刷用インキ、フレキソ印刷用インキ、又はスクリーン印刷用インキとして調製されることがより好ましく、グラビア印刷用インキとして調製されることがさらに好ましい。
インキ組成物(レーザーマーキング層)が設けられる対象となる基材は、特に限定されず、その材質としては、例えば、プラスチック、ゴム、セラミックス、金属、木材、及び紙等が挙げられる。また、その基材が用いられる用途としては、例えば、食品、飲料品、医薬品、医薬部外品、及び化粧品等を内容物とする各種包装容器、並びにフィルム及び紙等の各種包装資材等の包装材を挙げることができる。基材が用いられる用途として、さらには、電子部品、電気部品、電気製品、自動車部品、各種のシート及びカード、並びに製品に設けられるラベル及びタグ等を挙げることもできる。インキ組成物は、包装材に設けられるレーザーマーキング層の形成に用いられることが好ましい。その用途の好適な基材としては、アート紙、コート紙、上質紙、グラビア用紙、和紙、板紙、及び合成紙等の紙;アルミニウム箔等の金属箔;プラスチックフィルム;並びにこれらのうちの1種又は2種以上の積層体等を挙げることができる。基材としては、プラスチックフィルム等のように、使用するレーザー光が透過する基材を用いることがより好ましい。
プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、及びポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステルフィルム;低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィンフィルム;セロファン等のセルロースフィルム;ポリスチレン(PS)フィルム;エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂フィルム;エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム;ポリアミドフィルム;ポリカーボネートフィルム;ポリイミドフィルム;ポリ塩化ビニルフィルム等を挙げることができる。例えば、二軸延伸PPフィルム及び無延伸PPフィルム等のように、延伸及び無延伸のいずれのプラスチックフィルムも用いることができる。また、アルミニウム蒸着等の金属蒸着層が設けられたプラスチックフィルムや、アルミナ及びシリカ等の透明蒸着層が設けられたプラスチックフィルム等を用いることもできる。さらに、プラスチックフィルムの表面には、コロナ放電処理、プラズマ処理、フレーム処理、溶剤処理、及びコート処理等の各種表面処理、並びに着色インキを用いた印刷等による各種加飾等が施されていてもよい。
インキ組成物から形成されるレーザーマーキング層に照射されるレーザー光としては、いわゆるレーザー印字に使用可能なものを用いることができる。好適なレーザー光としては、CO2レーザー(波長:10600nm)、YAGレーザー(波長:1064nm)、YVO4レーザー(波長:1064nm)、及びファイバーレーザー(波長:1050〜1090nm)等を挙げることができる。インキ組成物は、これらのうちのいずれかのレーザー光を用いたレーザーマーキング用であることが好ましく、ファイバーレーザー、又はCO2レーザーを用いたレーザーマーキング用であることがより好ましい。
インキ組成物に含有させるレーザー発色材料及び鱗片状フィラーにおける前述した各機能を有効に発揮するために、インキ組成物は、次のような条件のファイバーレーザー、又はCO2レーザーを使用するレーザーマーキング用であることがさらに好ましい。
〔ファイバーレーザー〕
スキャンスピード:500〜4000mm/秒、より好ましくは800〜3000mm/秒;
平均出力:2〜30W、より好ましくは5〜15W;
パルス周波数:5〜150kHz、より好ましくは10〜50kHz。
〔CO2レーザー〕
スキャンスピード:500〜4000mm/秒、より好ましくは800〜3000mm/秒;
平均出力:3〜25W、より好ましくは5〜15W。
<包装材>
本発明の一実施形態の包装材(以下、単に「包装材」と記載することがある。)は、基材と、基材に設けられたレーザーマーキング層とを備える。包装材は、基材及びレーザーマーキング層以外の任意の層を備えていてもよい。任意の層としては、例えば、絵柄層、着色層、保護層、蒸着層、及び接着剤層等を挙げることができるが、これらに限定されない。また、包装材におけるレーザーマーキング層は、基材の表面に直接設けられていてもよいし、例えば絵柄層や着色層等の任意の層を介して設けられていてもよい。
包装材におけるレーザーマーキング層は、前述のレーザーマーキング用インキ組成物から形成されるものである。そのため、レーザーマーキング層は、バインダー樹脂と、レーザー光の照射によりレーザーマーキング層において発色を生じさせるレーザー発色材料と、レーザー発色材料による前記発色の助剤として機能する鱗片状フィラーとを含有する。レーザーマーキング層の厚さは、0.1〜100μmであることが好ましく、0.5〜20μmであることがより好ましく、1〜5μmであることがさらに好ましい。
レーザーマーキング層は、レーザー発色材料によって、白色系の色相を有する白地に形成されていることが好ましく、かつ、その白地においてレーザー光の照射により黒色系の色相の発色を生じるものであることが好ましい。このようなレーザーマーキング層にレーザーマーキングを行うことにより、コントラストがより明瞭となり、視認性にさらに優れた記録を得ることができる。この観点から、レーザーマーキング層は、レーザー発色材料として、例えば、前述の白色顔料、及び体質顔料、並びに白色系の無機材料(例えば、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、塩化銀、モリブデン化合物等)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましく、酸化チタン及びモリブデン化合物の少なくとも一方を含有することがより好ましい。酸化チタン及びモリブデン化合物の少なくとも一方を含有するレーザーマーキング層により、さらに鮮明で視認性に優れた記録を行うことが可能となる。
包装材における基材としては、前述の通り、紙、金属箔、及びプラスチックフィルム、並びにこれらのうちの1種又は2種以上の積層体が好ましく、前述した各種プラスチックフィルムがより好ましい。基材の厚さは、5〜500μmであることが好ましく、10〜100μmであることがより好ましく、10〜60μmであることがさらに好ましい。
包装材は、レーザーマーキング層における基材側とは反対面側に設けられた保護層をさらに備えることが好ましい。換言すれば、包装材は、少なくとも、基材、レーザーマーキング層、及び保護層をこの順で備える積層構造を有することが好ましい。保護層により、包装材にレーザーマーキングを行う際や、包装材の製造時、及び使用時等において、レーザーマーキング層の剥離及び摩耗等を防止することが可能となる。
保護層には、例えば、前述のバインダー樹脂の説明で挙げたものと同様の樹脂材料や、前述のプラスチックフィルムの説明で挙げたものと同様の樹脂材料を用いることができ、また、前述の基材自体を用いることもできる。保護層は、レーザーマーキング層に直接設けられていてもよいし、アンカーコート剤や接着剤等を介して設けられていてもよい。保護層の厚さは、1〜300μmであることが好ましく、5〜200μmであることがより好ましく、10〜100μmであることがさらに好ましい。
包装材の製造方法は、基材に前述のインキ組成物を設けてレーザーマーキング層を形成する工程を含む。この製造方法は、レーザーマーキング層を形成する工程の前に、インキ組成物を調製する工程を含むことが好ましい。
インキ組成物を調製する工程では、バインダー樹脂、レーザー発色材料、及び鱗片状フィラー、並びに必要に応じて液状媒体を練り合わせる工程(練肉工程)と、練肉されたインキ組成物を液状媒体で希釈し、希釈インキを得る工程とを含むことがより好ましい。インキ組成物を調製する工程では、例えば、ペイントシェーカー、ロールミル(3本ロール)、ボールミル、サンドミル、及びアトライター、並びにその他の撹拌装置及び分散装置等を用いることができる。
基材にレーザーマーキング層を形成する工程において、基材にインキ組成物を設ける方法としては、例えば、印刷、浸漬、スピンコーティング等の方法を挙げることができる。基材にインキ組成物を設けてレーザーマーキング層を形成しやすい観点から、基材にインキ組成物を印刷することが好ましい。印刷によるレーザーマーキング層の形成は、品質及び生産性の高さから、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、又はスクリーン印刷で行うことがより好ましく、グラビア印刷で行うことがさらに好ましい。レーザーマーキング層は、基材における全面に設けてもよく、レーザーマーキングを施す所望の位置を含む一部分に設けてもよい。基材にレーザーマーキング層を形成する工程では、基材にインキ組成物を印刷した後、乾燥させる工程や、インキ層中のバインダー樹脂を硬化させる工程等を行うことができる。
包装材の製造方法では、さらに、レーザーマーキング層における基材側とは反対面側に保護層を設ける工程を含むことが好ましい。保護層を設ける方法としては、レーザーマーキング層における基材側とは反対面側に、例えば、保護層を形成する上述の樹脂材料を含有する液状組成物を塗布し、硬化させて保護層を形成する方法を挙げることができる。液状組成物の硬化形態としては、例えば、乾燥、熱等による硬化、及び紫外線等の活性エネルギー線照射による硬化等を挙げることができる。
また、レーザーマーキング層における基材側とは反対面側に、例えば、アンカーコート剤を塗布し、乾燥させた後、上述した樹脂材料(例えばLDPE、HDPE、及びPP等)を溶融押し出しラミネーションにより設けて、保護層を形成することもできる。さらに、レーザーマーキング層における基材側とは反対面側に、例えば、接着剤を塗布し、乾燥させた後に、前述した紙、金属箔、及びプラスチックフィルム等を貼り合わせるドライラミネーションによって、保護層を設けることもできる。
包装材の具体的な態様としては、例えば、紙箱、包装紙、包装フィルム、包装袋、並びにプラスチックケース及びプラスチックボトル等のプラスチック容器等を挙げることができる。また、包装材の好適な用途としては、例えば、飲料用包装材、食品用包装材、医薬品用包装材、医薬部外品用包装材、及び化粧品用包装材等を挙げることができ、これらの中でも、食品用包装材がより好適である。
包装材におけるレーザーマーキング層にレーザー光を照射することにより、レーザーマーキング層において発色が生じ、レーザーマーキングを行うことができる。レーザー光としては、CO2レーザー、YAGレーザー、YVO4レーザー、ファイバーレーザーを用いることが好ましく、これらのなかでも、CO2レーザー、又はファイバーレーザーを用いることがより好ましい。これらのレーザー光を前述の好適条件にてレーザーマーキング層に照射することがさらに好ましい。
レーザーマーキングにより施す記号種としては、例えば、文字、図形、絵柄、バーコード、及び二次元コード等を挙げることができる。また、これらの記号が表わす情報としては、例えば、商品名、製造元名、製造年月日、賞味期限、消費期限、使用期限、品質保証期限、ロット番号、シリアル番号、原材料、成分、商標、及び模様等を挙げることができる。
以上詳述した通り、本発明の一実施形態のレーザーマーキング用インキ組成物及び包装材は、次の構成をとることが可能である。
[1]レーザーマーキング層の形成に用いられるインキ組成物であって、バインダー樹脂と、レーザー光の照射により前記レーザーマーキング層において発色を生じさせるレーザー発色材料と、前記レーザー発色材料による前記発色の助剤として機能する鱗片状フィラーと、を含有するレーザーマーキング用インキ組成物。
[2]前記レーザー発色材料が、前記レーザーマーキング層を白色系の色相を有する白地に形成可能であるとともに前記白地において前記レーザー光の照射により黒色系の色相の発色を生じさせる前記[1]に記載のレーザーマーキング用インキ組成物。
[3]前記鱗片状フィラーの平均粒子径が1〜30μmである前記[1]又は[2]に記載のレーザーマーキング用インキ組成物。
[4]前記鱗片状フィラーは、白雲母、金雲母、フッ素金雲母、及び酸化チタン被覆雲母からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む前記[1]〜[3]のいずれかに記載のレーザーマーキング用インキ組成物。
[5]前記鱗片状フィラーの含有量が、前記レーザーマーキング用インキ組成物の固形分の全質量を基準として、1〜60質量%である前記[1]〜[4]のいずれかに記載のレーザーマーキング用インキ組成物。
[6]前記レーザーマーキング用インキ組成物の固形分の全質量を基準として、前記鱗片状フィラーの含有量が、前記レーザー発色材料の含有量に対する質量比率で、0.5〜2.0倍である前記[1]〜[5]のいずれかに記載のレーザーマーキング用インキ組成物。
[7]前記バインダー樹脂は、ウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、並びにポリアミド樹脂と硝化綿の混合樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む前記[1]〜[6]のいずれかに記載のレーザーマーキング用インキ組成物。
[8]基材と、前記基材に設けられたレーザーマーキング層とを備え、前記レーザーマーキング層は、バインダー樹脂と、レーザー光の照射により前記レーザーマーキング層において発色を生じさせるレーザー発色材料と、前記レーザー発色材料による前記発色の助剤として機能する鱗片状フィラーと、を含有する包装材。
[9]基材と、前記基材に設けられたレーザーマーキング層とを備え、前記レーザーマーキング層は、前記[1]〜[7]のいずれかに記載のレーザーマーキング用インキ組成物で形成された層である包装材。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明の一実施形態のインキ組成物をさらに具体的に説明するが、そのインキ組成物は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の文中において、「部」及び「%」との記載は、特に断らない限り、質量基準(それぞれ「質量部」及び「質量%」)である。
<試験例A及びB>
[バインダー樹脂の準備]
インキ組成物に用いるバインダー樹脂として、固形分(蒸発残分)が30%であるポリウレタン樹脂溶液(商品名「サンプレンIB−971」、三洋化成工業社製、粘度:1,000mPa・S、含有溶剤:酢酸エチル及びイソプロピルアルコール)を用いた。
[インキの調製]
(インキ1)
レーザー発色材料として白色顔料(ルチル型酸化チタン、平均粒子径0.29μm、商品名「チタニックス JR−805」、テイカ社製)30部、上記ポリウレタン樹脂溶液60部、及び酢酸エチル10部を混合し、その混合物をペイントシェーカーで練肉してインキ1を得た。
(インキ2)
100部のインキ1に対して、鱗片状フィラーであるパール顔料(酸化チタン被覆雲母(雲母61.0〜67.1%、酸化チタン33.0〜39.0%)、平均粒子径9μm、商品名「マグナパール2000」、BASF製)20部を添加し、ディゾルバーで撹拌してインキ2を得た。
(インキ3)
100部のインキ1に対して、鱗片状フィラーであるフッ素金雲母(平均粒子径6μm、商品名「PDM−5B」、トピー工業社製;以下、「フッ素金雲母1」と記載する。)20部を添加し、ディゾルバーで撹拌してインキ3を得た。
(インキ4)
100部のインキ1に対して、鱗片状フィラーであるフッ素金雲母(平均粒子径10μm、商品名「PDM−800」、トピー工業社製;以下、「フッ素金雲母2」と記載する。)20部を添加し、ディゾルバーで撹拌してインキ4を得た。
(インキ5)
100部のインキ1に対して、鱗片状フィラーである白雲母(平均粒子径4μm、商品名「M−XF」、レプコ社製)20部を添加し、ディゾルバーで撹拌してインキ5を得た。
(インキ6)
100部のインキ1に対して、鱗片状フィラーである金雲母(平均粒子径3μm、商品名「S−XF」、レプコ社製)20部を添加し、ディゾルバーで撹拌してインキ6を得た。
(インキ7)
インキ2で使用したものと同じパール顔料20部、上記ポリウレタン樹脂溶液60部、及び酢酸エチル10部を混合し、その混合物をディゾルバーで撹拌してインキ7を得た。
(インキ8)
インキ3で使用したものと同じ「フッ素金雲母1」20部、上記ポリウレタン樹脂溶液60部、及び酢酸エチル10部を混合し、その混合物をディゾルバーで撹拌してインキ8を得た。
(インキ9)
インキ5で使用したものと同じ白雲母20部、上記ポリウレタン樹脂溶液60部、及び酢酸エチル10部を混合し、その混合物をディゾルバーで撹拌してインキ9を得た。
(インキ10)
インキ6で使用したものと同じ金雲母20部、上記ポリウレタン樹脂溶液60部、及び酢酸エチル10部を混合し、その混合物をディゾルバーで撹拌してインキ10を得た。
(インキ11)
インキ5の調製において使用した白雲母の量を20部から15部に変更したこと以外は、インキ5の調製と同様にして、インキ11を得た。
(インキ12)
インキ5の調製において使用した白雲母の量を20部から18部に変更したこと以外は、インキ5の調製と同様にして、インキ12を得た。
(インキ13)
インキ5の調製において使用した白色顔料(酸化チタン)の量を30部から20部に変更し、かつ、白雲母の量を20部から30部に変更したこと以外は、インキ5の調製と同様にして、インキ13を得た。
(インキ14)
インキ5の調製において使用した白色顔料(酸化チタン)の量を30部から20部に変更し、かつ、白雲母の量を20部から40部に変更したこと以外は、インキ5の調製と同様にして、インキ14を得た。
(インキ15)
インキ1の調製において、レーザー発色材料として使用した「白色顔料」を、CO2レーザー発色顔料であるモリブデン化合物(オクタモリブデン酸アンモニウム、商品名「PRIME100」、データレース社製)に変更したこと以外は、インキ1の調製と同様にして、インキ15を得た。
(インキ16)
100部のインキ15に対して、インキ2で使用したものと同じパール顔料20部を添加し、ディゾルバーで撹拌してインキ16を得た。
(インキ17)
100部のインキ15に対して、インキ3で使用したものと同じ「フッ素金雲母1」20部を添加し、ディゾルバーで撹拌してインキ17を得た。
(インキ18)
100部のインキ15に対して、インキ4で使用したものと同じ「フッ素金雲母2」20部を添加し、ディゾルバーで撹拌してインキ18を得た。
(インキ19)
100部のインキ15に対して、インキ5で使用したものと同じ白雲母20部を添加し、ディゾルバーで撹拌してインキ19を得た。
(インキ20)
100部のインキ15に対して、インキ6で使用したものと同じ金雲母20部を添加し、ディゾルバーで撹拌してインキ20を得た。
(インキ21)
インキ19の調製において使用した白雲母の量を20部から15部に変更したこと以外は、インキ19の調製と同様にして、インキ21を得た。
(インキ22)
インキ19の調製において使用した白雲母の量を20部から18部に変更したこと以外は、インキ19の調製と同様にして、インキ22を得た。
(インキ23)
インキ19の調製において使用したモリブデン化合物の量を30部から20部に変更し、かつ、白雲母の量を20部から30部に変更したこと以外は、インキ19の調製と同様にして、インキ23を得た。
(インキ24)
インキ19の調製において使用したモリブデン化合物の量を30部から20部に変更し、かつ、白雲母の量を20部から40部に変更したこと以外は、インキ19の調製と同様にして、インキ24を得た。
[希釈インキの調製]
(希釈インキ1〜24)
得られたインキ1〜24のそれぞれについて、さらに、酢酸エチル(60%)/酢酸プロピル(20%)/イソプロピルアルコール(20%)の混合溶剤で希釈して、ザーンカップNo.3(離合社製)で17秒(25℃)となる粘度に調整し、希釈インキ1〜24を得た。
[ラミネート印刷物の作製]
(ラミネート印刷物1)
基材フィルムとしてコロナ放電処理PETフィルム(商品名「エステルE5102」、東洋紡社製、厚さ12μm)の処理面側に、希釈インキ1を、版深35μmのグラビア版を使用してグラビア印刷した。このようにして、基材フィルム上に希釈インキ1によるインキ層(厚さ3μm)が形成された印刷物を得た。その後、その印刷物のインキ層側に、ポリエチレンイミン系アンカーコート剤(商品名「セイカダイン4100」、大日精化工業社製)を塗布し、乾燥させ、アンカーコート層(厚さ0.03μm)を形成した。そして、そのアンカーコート層に、中間層としてLDPE(商品名「ノバテックLC600A」、日本ポリエチレン社製)を溶融押し出ししてLLDPEフィルム(商品名「T.U.X FC−D」、三井化学東セロ社製)をラミネートした。このようにして、印刷物1における基材フィルムに設けられたインキ層にLDPE層(厚さ約30μm)及びLLDPE層(厚さ30μm)の保護層(厚さ計約60μm)が積層されたラミネート印刷物1を得た。
(ラミネート印刷物2〜24)
ラミネート印刷物1の作製において使用した希釈インキ1を、後記表1(表1−1及び表1−2)並びに表2(表2−1及び表2−2)に示す通り、上記の希釈インキ2〜24のいずれかに変更したこと以外は、ラミネート印刷物1の作製方法と同様の方法で、ラミネート印刷物2〜24を得た。なお、表1及び表2に示す通り、希釈インキ7〜10を用いて作製したラミネート印刷物7〜10については、後述するファイバーレーザーによる試験例及びCO2レーザーによる試験例の両方に用いるためにそれぞれ2枚ずつ用意した。
<試験例A1〜A14>
得られたラミネート印刷物1〜14のそれぞれについて、ファイバーレーザーを用いたレーザーマーキングを行い、記録物A1〜A14を得た。具体的には、ラミネート印刷物におけるインキ層が設けられた領域に対して、ラミネート印刷物におけるPETフィルム側から、ファイバーレーザーマーカー(商品名「Videojet7510」、Videojet Tchnologies社製)でファイバーレーザー(波長:1060〜1070nm)を照射し、記録物を得た。ファイバーレーザーの照射パターンは、「2017.06.01」)の文字(文字高:5mm)、及び直径5mmの円形状塗りつぶし画像とし、それらの文字及び画像を記録した。ファイバーレーザーの照射条件は、文字及び画像の両照射パターンともに、スキャンスピードを1000mm/秒、及びパルス周波数を20kHzに設定し、また、文字の照射パターンの平均出力を10W、画像の照射パターンの平均出力を8.5Wに設定した。
<試験例B1〜B14>
得られたラミネート印刷物15〜20、7〜10、及び21〜24のそれぞれについて、CO2レーザーを用いたレーザーマーキングを行い、記録物B1〜B14を得た。具体的には、ラミネート印刷物におけるインキ層が設けられた領域に対して、ラミネート印刷物におけるPETフィルム側から、CO2レーザーマーカー(商品名「ML−Z9520」、キーエンス社製)でCO2レーザー(波長:10600nm)を照射し、記録物を得た。CO2レーザーの照射パターンは、「賞味期限 2017.06.01」の文字(文字高:5mm)、及び8mm角の正方形状の塗りつぶし画像とし、それらの文字及び画像を記録した。CO2レーザーの照射条件は、文字の照射パターンでは、以下に示す2通りの照射条件1及び2に設定し、画像の照射パターンでは、以下に示す照射条件3に設定した。
(文字の照射条件1)
スキャンスピード:3000mm/秒、平均出力:10W
(文字の照射条件2)
スキャンスピード:2000mm/秒、平均出力:10W
(画像の照射条件3)
スキャンスピード:1000mm/秒、平均出力:7.5W
試験例A1〜A14及びB1〜B14で得られた記録物A1〜A14及びB1〜B14について、以下に述べる評価を行った。
(記録濃度)
反射濃度計(商品名「Spectro Eye」、Gretag Macbeth社製)を用いて、記録物A1〜A14及びB1〜B14における塗りつぶし画像(円形状又は正方形状)の反射濃度(DB)を測定し、以下に示す評価基準にしたがって記録濃度を評価した。以下に示す評価基準において、「A」及び「B」を実使用可能なレベルとし、「C」及び「D」を実使用不可能なレベルとした。評価結果を表1及び表2の下段に示す。なお、試験例A7〜A10及びB7〜B10ではいずれもDBが0.1未満であった。
A:DBが1.0以上であった。
B:DBが0.5以上1.0未満であった。
C:DBが0.2以上0.5未満であった。
D:DBが0.2未満であった。
(文字の鮮明さ)
記録物A1〜A14における「2017.06.01」の文字(数字)を目視で確認し、文字のかすれ具合及び濃さを考慮して、以下に示す評価基準(A〜D)にしたがって文字の鮮明さを評価した。また、試験例B1〜B14における「賞味期限 2017.06.01」の文字(数字及び漢字)についても同様に、以下に示す評価基準(AA〜D)にしたがって文字の鮮明さを評価した。以下に示す評価基準において、「AA」、「A」及び「B」を実使用可能なレベルとし、「C」及び「D」を実使用不可能なレベルとした。評価結果を表1及び表2の下段に示す。
AA:目立ったかすれはなく、かつ文字が薄すぎず、漢字及び数字を明瞭に認識できた。
A:目立ったかすれはなく、かつ文字が薄すぎず、数字を明瞭に認識できた。
B:文字がかすれ、かつ薄い部分があったが、文字を認識できた。
C:大部分の文字がかすれ、かつ非常に薄かったため、文字の認識が困難であった。
D:文字がほとんど記録されておらず、文字を認識することができなかった。
Figure 2019199517
Figure 2019199517
Figure 2019199517
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表1及び表2に示す通り、レーザー発色材料と鱗片状フィラーのうちではレーザー発色材料のみをインキ層に用いた試験例A1及びB1では、文字の鮮明さが不充分であった。また、レーザー発色材料と鱗片状フィラーのうちでは鱗片状フィラーのみをインキ層に用いた試験例A7〜A10及びB7〜B10では、レーザーマーキングがほとんどなされなかった。この結果から、使用した鱗片状フィラーは、使用したレーザー光の照射によってはインキ層において発色を生じさせる機能をほとんど有しないことが確認された。
それに対し、レーザー発色材料と鱗片状フィラーの両方をインキ層に用いた試験例A2〜A6及びA11〜A14、並びにB2〜B6及びB11〜B14では、白地に黒色系の記録を行うことができ、記録濃度及び文字の鮮明さの両方ともに良好な結果が得られた。そのため、試験例A2〜A6及びB2〜B6で形成したインキ層は、より鮮明で視認性に優れた記録を行うことが可能なレーザーマーキング層として利用できることが確認された。特に、試験例B2〜B6及びB11〜B14では「賞味期限」のような複雑な漢字であっても鮮明で視認性に優れた記録を行うことが可能なレーザーマーキング層として利用できることが確認された。以上の各試験例の結果から、使用した鱗片状フィラーは、インキ層(レーザーマーキング層)において、レーザー発色材料による発色の助剤として機能し、レーザー発色材料による発色の濃度を高めることができることが確認された。
さらに、試験例A5及びA11〜14の結果、並びに試験例B5及びB11〜14の結果から、インキ組成物中、白雲母の含有量(%)がレーザー発色材料(酸化チタン、モリブデン化合物)の含有量(%)に対する質量比率で、0.6〜2.0倍である場合、記録濃度及び文字の鮮明さの両方ともに優れた結果が得られたことが確認された。この効果と同様の傾向が、白雲母以外の他の鱗片状フィラー(パール顔料、フッ素金雲母1及び2、並びに金雲母)を使用した場合についても認められた。
<試験例C及びD>
[バインダー樹脂の準備]
試験例C及びDでは、以下のバインダー樹脂をインキ組成物に用いた。
・ウレタン樹脂;試験例A及びBで用いたポリウレタン樹脂溶液(固形分30%)
・アクリル樹脂;固形分(蒸発残分)が50%であるアクリル樹脂溶液(商品名「ダイヤナールLR−186」、三菱ケミカル社製、Tg52℃、重量平均分子量(Mw)35,000)
・ポリエステル樹脂;固形分(蒸発残分)が100%であるポリエステル樹脂(商品名「ポリエスターTP−220」、日本合成化学社製、Tg70℃、数平均分子量(Mn)16,000)をトルエン(50%)/メチルエチルケトン(50%)の混合溶剤で溶解させた、固形分(蒸発残分)が30%であるポリエステル樹脂溶液
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合(PVC−PVAc)樹脂;固形分(蒸発残分)が100%である塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂(商品名「VINNOL E15−48A」、Wacker社製、Tg69℃、分子量(Mn)22,000)をトルエン(50%)/メチルエチルケトン(50%)の混合溶剤で溶解させた、固形分(蒸発残分)が30%である塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂溶液
・ポリアミド樹脂:固形分(蒸発残分)が100%であるポリアミド樹脂(商品名「レオマイドS−2800」、花王社製、軟化点112〜120℃)をイソプロピルアルコール(70%)/トルエン(30%)の混合溶剤で溶解させた、固形分が30%であるポリアミド樹脂溶液
・硝化綿:固形分(蒸発残分)が70%である硝化綿(商品名「H(RS)―1/2」、韓国CNC社製)をトルエン(50%)/イソプロピルアルコール(30%)/酢酸エチル(20%)の混合溶剤で溶解させた、固形分(蒸発残分)が20%である硝化綿溶液
[インキの調製]
(インキ26〜29)
試験例Aにおけるインキ1の調製に使用した上記ポリウレタン樹脂溶液60部(固形分として18部)を、インキ26では上記アクリル樹脂溶液36部(固形分として18部)に、インキ27では上記ポリエステル樹脂溶液60部(固形分として18部)に、インキ28では上記PVC−PVAc樹脂溶液60部(固形分として18部)に、インキ29では上記ポリアミド樹脂溶液42部(固形分として12.6部)及び硝化綿溶液27部(固形分として5.4部)の混合樹脂溶液(固形分計18部)に、それぞれ変更したこと以外は、インキ1の調製と同様にして、インキ26〜29を得た。
(インキ31〜34)
得られたインキ26〜29のそれぞれに対して、試験例Aにおけるインキ5の調製に使用した白雲母20部を添加し、ディゾルバーで撹拌して、それぞれインキ31〜34を得た。
(インキ37〜40)
試験例Bにおけるインキ15の調製に使用した上記ポリウレタン樹脂溶液60部(固形分として18部)を、インキ37では上記アクリル樹脂溶液36部(固形分として18部)に、インキ38では上記ポリエステル樹脂溶液60部(固形分として18部)に、インキ39では上記PVC−PVAc樹脂溶液60部(固形分として18部)に、インキ40では上記ポリアミド樹脂溶液42部(固形分として12.6部)及び硝化綿溶液27部(固形分として5.4部)の混合樹脂溶液(固形分計18部)に、それぞれ変更し、かつ、白雲母20部を添加したこと以外は、インキ15の調製と同様にして、インキ37〜40を得た。
[希釈インキの調製]
(希釈インキ25、30、35、及び36)
インキ1、5、15、及び19のそれぞれに対して、固形分(不揮発分)が30%であるポリイソシアネート硬化剤(商品名「ラミックB ハードナー」、大日精化工業社製)を10部(固形分として3部)添加し、さらに酢酸エチル(60%)/酢酸プロピル(20%)/イソプロピルアルコール(20%)の混合溶剤で希釈して、ザーンカップNo.3(離合社製)で17秒(25℃)となる粘度に調整し、それぞれ、希釈インキ25、30、35、及び36を得た。
(希釈インキ26〜28、31〜33、及び37〜39)
インキ26〜28、31〜33、及び37〜39に対して、上記ポリイソシアネート硬化剤を10部(固形分として3部)添加し、さらにトルエン(50%)/メチルエチルケトン(50%)の混合溶剤で希釈して、ザーンカップNo.3(離合社製)で17秒(25℃)となる粘度に調整し、それぞれ、希釈インキ26〜28、31〜33、及び37〜39を得た。
(希釈インキ29、34、及び40)
インキ29、34、及び40に対して、トルエン(50%)/イソプロピルアルコール(30%)/酢酸エチル(20%)の混合溶剤で希釈して、ザーンカップNo.3(離合社製)で17秒(25℃)となる粘度に調整し、それぞれ、希釈インキ29、34、及び40を得た。
[印刷物の作製]
(印刷物25)
基材フィルムとしてコロナ放電処理PETフィルム(商品名「エステルE5102」、東洋紡社製、厚さ25μm)の処理面側に、希釈インキ25を、版深35μmのグラビア版を使用してグラビア印刷し、印刷された希釈インキ25を40℃環境で24時間硬化させた。このようにして、基材フィルム上に希釈インキ25によるインキ層(厚さ3μm)が形成された印刷物25を得た。
(印刷物26〜28、30〜33、及び35〜39)
印刷物25の作製において使用した希釈インキ25を、後記表3及び表4に示す通り、上記の希釈インキ26〜28、30〜33、及び35〜39のいずれかに変更したこと以外は、印刷物25の作製方法と同様の方法で、印刷物26〜28、30〜33、及び35〜39を得た。
(印刷物29、34、及び40)
希釈インキ29、34、及び40のそれぞれを用いて、印刷物29、34、及び40を作製した。具体的には、基材フィルムとしてコロナ放電処理2軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(商品名「FOS」、フタムラ化学社製、厚さ50μm)の処理面側に、希釈インキを、版深35μmのグラビア版を使用してグラビア印刷し、基材フィルム上に希釈インキによるインキ層(厚さ3μm)が形成された印刷物を得た。
<試験例C1〜C10>
得られた印刷物25〜34のそれぞれについて、ファイバーレーザーを用いたレーザーマーキングを行い、記録物C1〜C10を得た。具体的には、印刷物におけるインキ層が設けられた領域に対して、印刷物におけるインキ層側から、上記ファイバーレーザーマーカーでファイバーレーザー(波長:1060〜1070nm)を照射し、記録物を得た。ファイバーレーザーの照射パターン及び照射条件は、前述の試験例Aと同条件とした。
<試験例D1〜D6>
得られた印刷物35〜40のそれぞれについて、CO2レーザーを用いたレーザーマーキングを行い、記録物D1〜D6を得た。具体的には、印刷物におけるインキ層が設けられた領域に対して、印刷物におけるインキ層側から、上記CO2レーザーマーカーでCO2レーザー(波長:10600nm)を照射し、記録物を得た。CO2レーザーの照射パターン及び照射条件は、前述の試験例Bと同条件とした。
試験例C1〜C10で得られた記録物C1〜C10、及び試験例D1〜D6で得られた記録物D1〜D6について、試験例A及びBで行った評価と同様の方法で、記録濃度、及び文字の鮮明さを評価した。評価結果を表3及び表4の下段に示す。
Figure 2019199517
Figure 2019199517
試験例C6〜C10及びD2〜D6の結果から、バインダー樹脂として、ウレタン樹脂以外の樹脂を用いた場合にも、レーザー発色材料(酸化チタン、モリブデン化合物)と、白雲母を含有するインキ組成物によって、より鮮明で視認性に優れたレーザーマーキングを行うことが可能なレーザーマーキング層を形成できることが確認された。この効果と同様の傾向が、白雲母以外の他の鱗片状フィラー(パール顔料、フッ素金雲母1及び2、並びに金雲母)を使用した場合についても認められた。

Claims (8)

  1. レーザーマーキング層の形成に用いられるインキ組成物であって、
    バインダー樹脂と、
    レーザー光の照射により前記レーザーマーキング層において発色を生じさせるレーザー発色材料と、
    前記レーザー発色材料による前記発色の助剤として機能する鱗片状フィラーと、
    を含有するレーザーマーキング用インキ組成物。
  2. 前記レーザー発色材料は、前記レーザーマーキング層を白色系の色相を有する白地に形成可能であるとともに前記白地において前記レーザー光の照射により黒色系の色相の発色を生じさせる請求項1に記載のレーザーマーキング用インキ組成物。
  3. 前記鱗片状フィラーの平均粒子径が1〜30μmである請求項1又は2に記載のレーザーマーキング用インキ組成物。
  4. 前記鱗片状フィラーは、白雲母、金雲母、フッ素金雲母、及び酸化チタン被覆雲母からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載のレーザーマーキング用インキ組成物。
  5. 前記鱗片状フィラーの含有量が、前記レーザーマーキング用インキ組成物の固形分の全質量を基準として、1〜60質量%である請求項1〜4のいずれか1項に記載のレーザーマーキング用インキ組成物。
  6. 前記レーザーマーキング用インキ組成物の固形分の全質量を基準として、前記鱗片状フィラーの含有量が、前記レーザー発色材料の含有量に対する質量比率で、0.5〜2.0倍である請求項1〜5のいずれか1項に記載のレーザーマーキング用インキ組成物。
  7. 前記バインダー樹脂は、ウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、並びにポリアミド樹脂と硝化綿の混合樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載のレーザーマーキング用インキ組成物。
  8. 基材と、前記基材に設けられたレーザーマーキング層とを備え、
    前記レーザーマーキング層は、バインダー樹脂と、レーザー光の照射により前記レーザーマーキング層において発色を生じさせるレーザー発色材料と、前記レーザー発色材料による前記発色の助剤として機能する鱗片状フィラーと、を含有する包装材。
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