JP5022698B2 - エンジン始動装置 - Google Patents
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Description
また6は、モータ部Mの先端側、つまり、ホルダステー5に隣接する状態で配される減速装置Dを構成する有底筒状のケース体であって、該ケース体6には、前記モータ軸2の先端2aが内装されている。さらに、ケース体6には、モータ軸先端2aに相対回転自在に外嵌する状態で駆動軸7の基端部が配されているとともに、モータ軸先端2aと同芯状に配され、モータ軸先端2aに噛合して、モータ軸2の回転に伴いケース体6内を周回り方向に回転する複数の遊星ギア8、これら複数の遊星ギア8に支軸9aを介して一体化されるリング状の支持プレート9が内装されている。そして、支持プレート9の内周面が駆動軸7に一体的に外嵌することで、遊星ギア8の周回り方向の回転が駆動軸7に連動連結するように設定されている。これによって、モータ部Mの駆動力は、減速された状態で駆動軸(ピニオン軸)7に動力伝動されるように設定されている。
そして、前記駆動軸7の先端部には、一方向回転式のクラッチ装置Cが配されるが、該クラッチ装置Cを構成する段差状筒体で構成されるクラッチアウタ10は、小径側筒内周面に形成されたヘリカルスプライン10aを駆動軸7の先端部外周面に刻設されたヘリカルスプライン7aに噛合させる状態で駆動軸7に外嵌組み込みされている。そして、駆動軸7とクラッチアウタ10とのあいだに駆動軸7側から所定の回転方向の相対回転が生じたとき、クラッチアウタ10は駆動軸ヘリカルスプライン7aに沿って回転移動して、駆動軸7の基端側に位置する非作用位置(図1における上半部に図示される位置)から、先端側の作用位置(図1における下半部に図示される位置)に移動するように設定されている。さらに、前記クラッチアウタ10の先端側の大径側筒内には、先端外周部にエンジン側のリングギア11aに噛合するピニオンギア11が形成されたクラッチインナ12が連結されるが、該クラッチインナ12は、クラッチアウタ10に対して軸芯方向への移動は一体となるように構成されている。
そうしてエンジン始動がなされると、クラッチアウタ10の回転よりもクラッチインナ12の回転の方が速くなるオーバーラン状態になり、この結果、クラッチアウタ10とクラッチインナ12とは、図3(A)に示すようにクラッチインナ12がクラッチアウタ10に対し反時計回り(矢印)方向に相対回転する状態になってクラッチローラ13は回転側端部10bに移動してクラッチローラ13が自由回転をし、これによってエンジン駆動力をクラッチインナ12からクラッチアウタ10側には動力伝動しないワンウエイクラッチとして機能するように構成しているものが知られている(例えば特許文献1、2)。
そしてこのようにクラッチローラ13が変形すると、今度はエンジン始動時にクラッチローラ13の噛み合い代(重なり代)が確保できないことになってクラッチ装置Cが空転し、円滑なエンジン始動ができなくなるという問題があり、ここに本発明が解決すべき課題がある。
請求項2の発明は、クラッチインナのクラッチローラ当接面は、軸芯方向に長く延長されていることを特徴とする請求項1のエンジン始動装置である。
請求項2の発明とすることにより、クラッチローラがクラッチインナに当接する面が軸心方向に長いことになって、クラッチインナの端面に面取りがあったりクラッチアウタの底面に抜きテーパがあったりしても、クラッチローラはこれら面取りや抜きテーパのない円周面に当接することになってクラッチローラに局部当たりが発生したりすることがなく、均一な力が作用し、クラッチの長寿命化を達成することができる。
i.発熱量を低減する
ii.熱軟化に対する強度アップを計る
ことでクラッチローラの前記変形を防止できるのではないか、という対策をたて、これらについて鋭意検討をした。
Q=μPV
ここで、μ:摩擦係数、P:荷重、V:速度である。
で与えられることから、接触面圧の低減と摩擦係数の低減とが対策として考えられるが、前者は機械的なことであるので取りあえず今回の開発テーマから外し、後者の摩擦抵抗の低減についてここでは検討した。
しかもこのものでは、クラッチインナ12のクラッチローラ13が当接する円周面12aが軸心方向モータ部M側に延長形成され、この延長端部がクラッチアウタ10の底面部10eに凹状に形成の取付け部10fに嵌合組み込みされる構成になっていて、クラッチローラ13は、クラッチインナ12に対しては円周面12aに当接するようになっており、これによって、クラッチインナ端面部に面取りがあったりクラッチアウタ底面部10eに抜きテーパがあったりしても、クラッチローラ13はこれら面取りや抜きテーパのない円周面に当接することになってクラッチローラ13に局部当たりが発生したりすることがなく、均一な力が作用し、クラッチの長寿命化を達成することができる。
テスト結果として、ブランクのものは、表層が熱影響により組織変化し、塑性変形や剥離をしているのが確認され、剥離は十数μm程度で発生していた。これに対し、試料1、2の両者とも、外相は磨耗して消失していたが、内相は剥離せず、殆んどそのまま残っていた。そしてクラッチローラ自体の熱的影響は殆んど観測されず、そのまま継続しての使用が可能であった。さらに試料1、2をよく観測したところ、試料2のものが試料1よりも内相が厚く残っており、この結果、焼入れしたものを焼戻した後、窒化処理をしたものの方が耐久性に優れていることが確認された。
10 クラッチアウタ
12 クラッチインナ
13 クラッチローラ
14 弾機
Claims (2)
- モータ部の駆動力を受けて回転する駆動軸にヘリカルスプライン嵌合され、モータ駆動力は動力伝動するが、エンジン始動したときのエンジン駆動力は動力伝動しないよう構成した一方向回転式のクラッチ装置を備えて構成されるエンジン始動装置において、
前記クラッチ装置を、クラッチインナと、クラッチアウタと、これらクラッチアウタおよびクラッチインナのあいだに介装されるクラッチローラと、該クラッチローラを付勢する弾機とを備えて構成するにあたり、
前記クラッチ装置は、エンジン側から前記駆動装置に対して異常な衝撃トルクが印加されたとき、前記クラッチローラはクラッチインナに対して噛合状態のまま滑るように構成されたものであり、
前記クラッチローラは、軸受鋼で構成され、該軸受鋼の表面にガス軟窒化処理を施すことで、表面に鉄を主成分とするFe 2 3NおよびFe 3 Cの混合相が外相となりFe 4 Nの拡散相が内相となる窒化相が形成されたものであることを特徴とするエンジン始動装置。 - クラッチインナのクラッチローラ当接面は、軸芯方向に長く延長されていることを特徴とする請求項1のエンジン始動装置。
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