JP5022285B2 - 中性脂肪測定用バイオセンサ - Google Patents

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Description

本発明は、バイオセンサに関する。詳細には、生体試料などに含まれる中性脂肪を、迅速かつ高精度に定量することができる中性脂肪測定用バイオセンサに関する。
近年、バイオセンサが医療などの分野において応用されている。バイオセンサの測定対象は低分子から高分子に至るまでの様々な化学物質であり、測定対象に応じて、種々の機
能を有するバイオセンサの開発が進められている。
従来、生体試料および食品中に含まれる特定成分(基質)を希釈や撹拌などを行うことなく簡易に定量することができるバイオセンサが知られている。例えば、絶縁性の基板上に少なくとも作用極および対極を有する電極系を形成し、この電極系上に酸化還元酵素および電子受容体を親水性ポリマーなどの固定化剤で固定化させた酵素反応層を設け、次いでこの酵素反応層の上に濾過層(血球除去層)を設け、さらにこの濾過層の上からカバーを被せて一体化したバイオセンサが提案されている。
このバイオセンサは、以下の方法により試料中の基質濃度を定量する。まず、濾過層に血液等の試料溶液を滴下し、その濾過液が酵素反応層に浸透することにより、酸化還元酵素および電子受容体が試料溶液中に溶解し、基質と酵素との間で酵素反応が進行する。この酵素反応によって基質が酸化され、同時に電子受容体が還元される。酵素反応の終了後、還元された電子受容体を電気化学的に酸化し、このとき得られる酸化電流値から試料溶液中の基質濃度を求めるものである。
中性脂肪をバイオセンサで測定する方法としては、例えば、以下の方法により試料中の中性脂肪を定量する方法が知られている。まず、試料溶液に含まれる中性脂肪は、例えば、リポプロテインリパーゼにより遊離脂肪酸とグリセロールとに分解される。ここで生じたグリセロールは、下記式(1)および式(2)で示すような、グリセロールキナーゼ(GK)とグリセロリン酸オキシダーゼ(GPO)またはグリセロリン酸デヒドロゲナーゼ(GPDH)とを用いることにより定量することができる。すなわち、下記式において、酸化型電子受容体の減少、還元型電子受容体の増加、ジヒドロキシアセトンリン酸の量を測定することによって、グリセロールを定量することが可能である。
Figure 0005022285
しかしながら、中性脂肪測定に用いられるリポプロテインリパーゼ、グリセロールキナーゼ(GK)、およびグリセロリン酸オキシダーゼ(GPO)の3種の酵素はいずれも高価である。
これに対し、リポプロテインリパーゼ、グリセロールキナーゼ(GK)、およびグリセロリン酸オキシダーゼ(GPO)を濾紙に含ませた酵素反応層を、作用極の上のみに設け、この酵素反応層の上に電子受容体および界面活性剤を含む保持層を設けた、中性脂肪測定用のバイオセンサが開示されている(特許文献1)。このバイオセンサは、作用極の上にのみ酵素を配置させることにより、酵素の使用量を減少させ、酵素コストを削減している。
また、中性脂肪分解反応に用いる酵素として、中性脂肪分解酵素とグリセロールデヒドロゲナーゼとの2種類を用いることで、酵素のコストを低下させたバイオセンサも開示されている(特許文献2)。
特開2001−343349号公報 国際公開2006/104077号パンフレット
しかしながら、特許文献1のバイオセンサにおいては、作用極上にのみ酵素を配置させるため、電極構造が複雑であり、その結果、結局は製造コストの上昇は避けられないという問題がある。
一方、酸化還元酵素を親水性ポリマーなどとともに固定化することにより電極全面に酵素反応層を設けた従来のバイオセンサにおいて、脂質である中性脂肪を試料とする場合には、酵素コストの問題に加えて、親水性ポリマーへの試料液の浸透性が悪く、酵素反応、電子受容体の還元反応、および電位印加による酸化電流値の測定という一連の反応工程の終了までに非常に時間がかかるという問題がある。
また、特許文献2のバイオセンサにおいても、測定時間および精度が十分であるとはいえず、より一層の高精度化および測定の迅速化が望まれている。
そこで本発明の目的は、測定精度を低下させることなく、酵素コストおよび製造コストを低下させ、かつ短時間で測定できる中性脂肪測定用バイオセンサを提供することである。
本発明者らは、上記の問題を解決すべく、鋭意研究を行った。その結果、電極系の上部または近傍に、グリセロールデヒドロゲナーゼ、電子受容体、および親水性ポリマーを含むポリマー層を設け、上記ポリマー層の上に中性脂肪分解酵素を不織布に固定化した不織布層を設けることにより、試料中の中性脂肪濃度が迅速かつ高精度に測定されうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明によれば、測定精度が高く、低コストで、そして短時間で測定できる中性脂肪測定用バイオセンサを提供することができる。
以下、本発明を実施するための好ましい一実施形態について説明するが、本発明の技術的範囲は下記の形態のみには制限されない。
本発明の一形態によれば、絶縁性基板と、前記絶縁性基板上に形成された、少なくとも作用極および対極を含む電極系と、前記電極系の上部または近傍に形成された、グリセロールデヒドロゲナーゼ、電子受容体、および親水性ポリマーを含むポリマー層と、前記ポリマー層上に形成された、不織布に中性脂肪分解酵素が担持されてなる不織布層とを備える、前記電極系に流れる電流値に基づいて中性脂肪の濃度を測定するためのバイオセンサが提供される。
以下、本発明のバイオセンサを、図1および図2を参照しながら説明する。なお、説明の都合上、図面の寸法比率は誇張されており、図示する形態が実際とは異なる場合がある。
図1は、本発明の一実施形態に係るバイオセンサを示す分解斜視図である。図2は、図1のA−A線に沿って切断したバイオセンサの断面図である。なお、本発明のバイオセンサは、グリセロールデヒドロゲナーゼと電子受容体とを含む親水性のポリマー層と、不織布に中性脂肪分解酵素が担持されてなる不織布層とを備える点、および中性脂肪分解酵素を不織布に固定化する点に特徴があり、他の部材(例えば、絶縁性基板、作用極、参照極、対極などの材質や大きさなど)およびこれらの形成方法については、公知の同様の部材および方法が適用できる。
図1および図2に示すように、バイオセンサ10においては、絶縁性基板20上に、作用極30、参照極40および対極50からなる電極系60が形成される。また、電極系60を部分的に覆い、各々の電極の電気化学的に作用する部分である作用極作用部分30a、参照極作用部分40a、および対極作用部分50aが露出されるように、絶縁性ペーストを塗布/印刷し、加熱処理することにより絶縁層70が形成される。
また、作用極作用部分30a、参照極作用部分40a、および対極作用部分50aを被覆するように、ポリマー層80が形成される。さらに、ポリマー層80の上に不織布層90が積層される。なお、バイオセンサ10は、カバーによりさらに覆われた状態で使用および貯蔵される場合があるが、図1および図2においてはかようなカバーの図示は省略されている。
バイオセンサ10は、体液などの試料溶液中の特定成分(以下、「基質」とも称する)
の濃度を測定するための装置である。以下、バイオセンサ10を構成する各部材について
詳細に説明する。
本発明のバイオセンサは、その基体として絶縁性基板を備える。絶縁性基板は、プラスチック、紙、ガラス、セラミックなどの絶縁性材料により構成されうる。上記プラスチックとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステル、ポリスチレン、プリプロピレン、ポリカーボネート、ポリイミド、アクリル樹脂などが挙げられる。絶縁性基板の形状やサイズについては、特に制限されない。
絶縁性基板上に形成される電極系は、バイオセンサの使用時において、後述するポリマー層中の試料溶液に電位を印加するための電位印加手段、および、試料溶液中に流れる電流を検出するための電流検出手段として機能する。
図1および図2に示すバイオセンサは、絶縁性基板に作用極、参照極および対極が電極系として設けられる、三電極方式センサである。ただし、本発明のバイオセンサは三電極方式のみに制限されず、参照極を含まない電極系を備えた二電極方式センサであってもよい。なお、電極系における電位の制御がより高感度で行われるという観点からは、二電極方式よりも三電極方式が好ましく用いられうる。その他、液量を感知するための感知電極等を含んでいてもよい。
作用極および対極は、バイオセンサの使用時に一対となって、後述するポリマー層中の試料溶液に電位を印加した際に流れる酸化電流(応答電流)を測定するための電流測定手段として機能する。バイオセンサの使用時には、参照極を基準に、対極と作用極との間に所定の電位が印加される。
本発明において使用される電極は、測定対象物と試料との反応を電気化学的に検出できるものであれば特に制限されず、バイオセンサの電極系の形成に従来用いられる電極が適宜用いられうる。ただし、バイオセンサの応答感度をより一層向上させるという観点からは、電極系は表面抵抗値のより小さい材料から構成されることが好ましい。具体的な電極の一例としては、カーボン電極、金電極、銀電極、白金電極、パラジウム電極などが挙げられる。各電極(作用極、参照極、対極)を構成する材料は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。耐腐食性およびコストの観点から、作用極および対極はカーボンを主成分として構成されることが好ましい。また、印加電位の安定性が高いという観点から、参照極は好ましくは銀/塩化銀により構成される。
電極系の形成方法は特に制限されず、スクリーン印刷法やスパッタリング法などの従来公知の手法により形成されうる。この際、電極系を構成する材料は、ポリエステル等の樹脂バインダを含むペーストの形態で提供されうる。上記の手法により塗膜を形成した後には、塗膜を硬化させる目的で、加熱処理を施すとよい。
絶縁層は、電極系を構成する各電極間の短絡を防止するための絶縁手段として機能する。絶縁層を構成する材料は特に制限されないが、例えば、レジストインク、PETやポリエチレン等の樹脂、ガラス、セラミックス、紙などにより構成されうる。絶縁層の形成方法についても特に制限はなく、スクリーン印刷法や接着法などの従来公知の手法により形成されうる。
バイオセンサの使用時には、ポリマー層および不織布層において後述する酵素反応が進行する。以下、本発明の特徴的な構成要素であるポリマー層および不織布層について詳細に説明する。
本発明のバイオセンサにおいて、ポリマー層は、グリセロールデヒドロゲナーゼ、電子受容体、および親水性ポリマーを含む。ポリマー層にグリセロールデヒドロゲナーゼおよび電子受容体が存在すると、グリセロールが酸化されるとともに電子受容体が還元される。そのため、得られる電子受容体の酸化電流値から基質の濃度を正確に定量することができる。
本発明のバイオセンサにおいて、ポリマー層に試料溶液が浸透すると、電極の近傍で速やかにグリセロールデヒドロゲナーゼおよび電子受容体が試料溶液に溶解して反応して電極上に達する。一方、測定の妨害となる試料中のタンパク質等の電極系への吸着が親水性ポリマーにより防止されうる。このため、短時間で精度のよい測定が可能となる。
グリセロールデヒドロゲナーゼは、バイオセンサの使用時において、試料溶液中のグリセロールを酸化して電子受容体を還元するという機能を有する補酵素結合型の酸化還元酵素である。グリセロールデヒドロゲナーゼの種類はかような機能を有するものであれば特に制限されず、従来公知のグリセロールデヒドロゲナーゼであっても、さらにこれを改質して安定性や反応性を向上させたものなど、いずれも好適に使用することができる。
グリセロールデヒドロゲナーゼに結合する補酵素としては、ピロロキノリンキノン(PQQ)、フラビンモノヌクレオチド(FMN)、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、およびニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)からなる群より選択される少なくとも1種の補酵素を好適に使用することができる。これらの中でも、補酵素はPQQであることが好ましい。ここで、PQQ結合型グリセロールデヒドロゲナーゼは溶液中の電子受容体のみを反応に使用し、溶存酸素の影響を受けない。したがって、PQQ結合型グリセロールデヒドロゲナーゼを用いて還元型の電子受容体の酸化電流を測定することにより、試料溶液中の中性脂肪濃度がより正確に測定されうる。
ポリマー層におけるグリセロールデヒドロゲナーゼの含有量については特に制限はなく、測定する試料の種類や試料溶液の添加量、使用する親水性ポリマーの量や電子受容体の種類などによって適宜選択することができる。一例を挙げると、センサ1枚あたり、通常は0.1〜1000活性単位、好ましくは0.5〜500活性単位、より好ましくは1〜100活性単位のグリセロールデヒドロゲナーゼがポリマー層に含まれるとよい。なお、グリセロールデヒドロゲナーゼの活性単位の定義および測定方法については、後述する実施例の記載が参照されうる。 本形態において用いられるグリセロールデヒドロゲナーゼは、市販の商品を購入して用いてもよいし、自ら調製したものを用いてもよい。当該酵素を自ら調製する手法としては、例えば、当該酵素を産生する細菌を利用する手法がある。当該酵素を産生する細菌としては、例えば、グルコノバクター属、シュードモナス属など様々な属に属する細菌が挙げられる。本実施形態では、特にグルコノバクター属に属する細菌の膜画分に存在するPQQ依存性グリセロールデヒドロゲナーゼが好ましく用いられうる。さらに、入手の容易さから、グルコノバクター属、特には、グルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans)NBRC 3171、3253、3258、3285、3289、3290、3291、グルコノバクター・フラテウリ(Gluconobacter frateurii)NBRC 3251、3260、3264、3265、3268、3286、グルコノバクター・セリナス(Gluconobacter Cerinus)NBRC 3262等が用いられうる。このような微生物の代表菌株としては、グルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans)NBRC 3291が挙げられる。
これらの細菌からPQQ結合型グリセロールデヒドロゲナーゼを得る手法については特に制限されず、従来公知の知見が適宜参照されうる。
本形態のバイオセンサにおいて、グリセロールデヒドロゲナーゼがPQQ結合型である場合、当該グリセロールデヒドロゲナーゼは、界面活性剤の存在下、2価性架橋試薬で化学修飾されて得られる修飾グリセロールデヒドロゲナーゼであることが好ましい。かような修飾グリセロールデヒドロゲナーゼにおいては、疎水性の酵素が凝集せずに架橋構造が導入されて構造が強固となっており、熱安定性が向上しうる。従って、上述した実施形態のバイオセンサによれば、試料中の中性脂肪濃度をより高精度で測定することが可能となる。
2価性架橋試薬は、PQQ結合型グリセロールデヒドロゲナーゼに含まれるアミノ基などと反応して架橋構造を導入できるものであれば特に制限はなく、固定化酵素の分野で酵素の架橋剤として使用できるジアルデヒド化合物、ジカルボン酸化合物、ジイソシアネート系化合物、イミデート化合物などを好適に使用することができる。ジアルデヒド化合物としては、グルタルアルデヒド、スクシンジアルデヒド、アジピンアルデヒド等があり、ジカルボン酸化合物としては、アジピン酸、ジメチルアジピン酸等があり、ジイソシアネート系化合物としてはヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネートなどがあり、イミデート化合物としては、ジメチルスベルイミデート、ジメチルピメルイミデートなどがある。本発明では、上記2価性架橋試薬の中でも、グルタルアルデヒドが特に好ましい。
一方、界面活性剤としては、一般的に膜タンパク質の可溶化に用いられているものであれば特に制限されず、従来公知の知見が適宜参照されうる。例えば、Triton(登録商標)X−100、オクチルグルコシド、コール酸ナトリウムなどが挙げられる。
架橋反応時の反応温度は、用いる2価性架橋試薬によって適宜選択することができるが、一般には0〜40℃程度で行うことが好ましく、反応時間は1分〜4時間、好ましくは5分〜2時間程度、特に好ましくは5分〜1時間である。1分を下回ると架橋が十分でなく未架橋酵素量が多くなり、一方、4時間を越えると架橋率が上がりすぎ酵素の活性が失われる場合がある。
架橋反応は、グリシン溶液またはトリス塩酸緩衝液のような停止剤を加えて反応させることで停止させることができる。上記架橋処理後、未反応のグリシン、2価性架橋試薬、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、および停止剤と2価性架橋試薬との反応物は、透析法、クロマトグラフィー法、限外濾過法等を行うことで除去することができる。本発明では、特に透析法を行うことが好ましい。その理由は、操作が簡便であり、コストがかからないためである。
電子受容体は、バイオセンサの使用時において、酸化還元酵素の作用によって生成した電子を受け取る、すなわち還元される。そして、還元された電子受容体は、酵素反応の終了後に電極系への電位の印加によって電気化学的に酸化される。この際に流れる電流(以下、「酸化電流」とも称する)の大きさから、試料溶液中の所望の成分の濃度が算出されうる。
電子受容体の種類については、酸化還元反応により生成した電子を受容できるものであれば特に制限されず、使用される酸化還元酵素や試料などによって適宜選択することができる。具体的には、フェリシアン化カリウム[K[Fe(CN)]]などのシアン化合物、フェロセン、フェロセンカルボン酸などのフェロセン誘導体、p−ベンゾキノン、α−ナフトキノン、p−ベンゾキノン誘導体およびα−ナフトキノン誘導体などのキノン誘導体、フェナジンメトサルフェート(PMS)、フェナジンメトサルフェート誘導体、2,6−ジクロロインドフェノールナトリウムなどのフェノール誘導体、ルテニウム錯体およびオスミウム錯体などの金属錯体、メチレンブルー、チオニン、インジゴカーミン、ガロシアニン、ならびにサフラニンなどが挙げられる。これらの電子受容体は1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ここで、フェロセン誘導体、p−ベンゾキノン誘導体、α−ナフトキノン誘導体、フェナジンメトサルフェート誘導体、およびフェノール誘導体としては、それぞれ、フェロセン、p−ベンゾキノン、α−ナフトキノン、フェナジンメトサルフェート、フェノールの少なくとも1個の水素原子が、炭素数1または2のアルキル基、炭素数1または2のアルコキシ、および/またはフッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子で置換されたものなどが挙げられる。具体的には、メトキシPMS(1−Methoxy−5−methylphenazinium methylsulfate)、2−メチル−p−ベンゾキノン(2−Methyl−p−benzoquinone)、2−メチル−α−ナフトキノン(2−Methyl−α−Naphthoquinone)などが挙げられる。
これらの中でも、好ましくはフェリシアン化カリウム、メトキシPMS、p−ベンゾキノン、フェナジンメトサルフェート、2−メチル−p−ベンゾキノン、α−ナフトキノンであり、より好ましくはフェリシアン化カリウム、メトキシPMSである。
ポリマー層における電子受容体の含有量については特に制限はなく、使用する酸化還元酵素や対象とする試料の種類などによって適宜選択することができる。一例を挙げると、電子受容体の量は、センサ1枚あたり、通常、0.01〜10mg、好ましくは0.05〜5mgであり、より好ましくは0.1〜2mgである。
親水性ポリマーはグリセロールデヒドロゲナーゼや電子受容体などを電極上に固定化する機能を有する。ポリマー層が親水性ポリマーを含むことにより、ポリマー層の成膜性が向上する。また、基板および電極系表面からのからのポリマー層の剥離が防止されうる。また、親水性ポリマーは、ポリマー層表面の割れを防ぐ効果も有しており、バイオセンサの信頼性を高めるのに効果的である。さらに、タンパク質などの吸着性成分の電極系への吸着もまた、抑制されうる。このため、ポリマー層が親水性ポリマーを含むことにより、バイオセンサの測定感度の向上により一層貢献しうる。
ポリマー層が親水性ポリマーを含む形態としては、ポリマー層内に均一に親水性ポリマーが含まれる形態であっても、またはポリマー層の表層に親水性ポリマーが含まれる形態であってもよい。
親水性ポリマーは、親水性のポリマーであれば特に制限されず、使用される酸化還元酵素や試料などによって合成品、市販品に関係なく適宜選択することができる。具体的には、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース系化合物、ポリビニルアルコールなどのポリビニル系化合物、ポリアクリル酸ナトリウムなどのポリアクリル酸系化合物、ポリメタクリル酸ナトリウムなどのポリメタクリル酸系化合物、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムなどのポリスチレンスルホン酸系化合物、カルボキシメチルスターチなどのスターチ系化合物、ポリアクリルアミドなどのポリアクリルアミド系化合物、ポリビニルピロリドンなどのポリビニルピロリドン系化合物、ポリ酢酸ビニルなどのポリ酢酸ビニル系化合物、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ゼラチン、デンプン、ポリエチレンオキシド、デキストラン、ポリエチレングリコール、プルラン、およびこれらの誘導体などが挙げられる。これらの中でも、好ましくはカルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールであり、より好ましくは、アジド系感光基をポリビニルアルコールにペンダントした水溶性の感光性樹脂として市販されているBiosurfine−AWP(東洋合成工業株式会社製)である。なお、上記の親水性ポリマーは、1種のみが単独でポリマー層に含まれてもよいし、2種以上が組み合わされてポリマー層に含まれてもよい。
親水性ポリマーの配合量は、特に制限されず、使用する酸化還元酵素の量や対象とする試料の種類などによって適宜選択することができる。一例を挙げると、親水性ポリマーの含有量は、センサ1枚あたり、通常0.001〜10mg、好ましくは0.005〜5mgであり、より好ましくは0.01〜1mgである。
さらにポリマー層は、グリセロールデヒドロゲナーゼ、電子受容体、および親水性ポリマーに加えて、他の成分を含みうる。他の成分としては、例えば、酵素安定化剤などが挙げられる。
また、図示する形態において、ポリマー層は電極系の上層に形成されているが、場合によっては、図示する形態とは異なり、電極系の近傍にポリマー層を形成し、電極系とポリマー層とが直接接触しない形態としてもよい。なお、ポリマー層が電極系の「近傍」に形成される形態としては、電極系とポリマー層との間に空間やフィルタが介在する形態などが例示される。
不織布層は中性脂肪分解酵素を含む不織布から形成される。本発明のバイオセンサにおいて、不織布層はリポタンパク中の中性脂肪を分解し、中性脂肪由来のグリセロールを生成する機能を有する。なお、本発明において、「不織布」とは繊維を熱・機械的または化学的な作用によって接着または絡み合わせる事で布にしたものを指し、JIS規格L0222に準拠する。
不織布層を形成する不織布は、特に制限されず、所望の用途によって適宜選択することができる。具体的には、スパンボンド不織布、ニードルパンチ不織布、サーマルボンド不織布、ケミカルボンド不織布、ステッチボンド不織布などが挙げられる。これらの中でも、高い強度と寸法安定性の点から、スパンボンド不織布であることが好ましい。なお、これらの不織布を、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
不織布の構成材料としては、試料溶液が浸透する材質であれば特に制限されず、所望の用途によって適宜選択することができる。具体的には、ポリアミド繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエチレン繊維、ポリスルホン繊維、ポリエーテルスルホン繊維、ポリカーボネート繊維、ポリウレタン繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリオレフィン繊維、アラミド繊維、セルロース繊維、再生セルロース繊維、レーヨン繊維、ビニロン繊維、アクリル繊維、リヨセル繊維、絹繊維、麻繊維、ガラス繊維、キチン・キトサン繊維、炭素繊維、これらの誘導体、およびこれらの混合物が挙げられる。これらの中でも、固定化した中性脂肪分解酵素が試料溶液中に溶出しやすいという点で、不織布の構成材料として、ポリエステル繊維を使用することが好ましい。なお、これらの繊維は1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を混合複合化してもよい。
不織布層を形成する不織布の厚さについては、上記不織布層の機能を発揮できるものであれば特に制限されず、所望の用途によって適宜選択されうる。一例を挙げると、不織布の厚さは、通常0.02〜2mmであり、好ましくは0.02〜1.5mmであり、より好ましくは0.05〜1mmである。
また、不織布の大きさは、電極表面を全て覆うことができる大きさであれば特に制限されず、電極の大きさに応じて適宜調整されうる。不織布の形状も特に制限されず、円形であっても四角形であってもよい。
本発明に用いられる中性脂肪分解酵素としては、リポタンパク質を分解してグリセロールを遊離できるものであれば特に制限はない。具体的には、リポプロテインリパーゼであることが好ましく、従来公知のリポプロテインリパーゼであっても、さらにこれを改質して安定性や反応性を向上させたものなど、所望の用途によって適宜選択することができる。中でも好ましくは、LPL−311(東洋紡績株式会社製)である。
不織布層におけるこのようなリポプロテインリパーゼの含有量は、用いられる生体試料の種類やその添加量などによって適宜選択することができる。一般には、不織布層に含まれるリポプロテインリパーゼ量は、センサ1枚あたり、通常0.01〜1000活性単位、好ましくは0.05〜500活性単位、より好ましくは0.1〜100活性単位である。なお、リポプロテインリパーゼの活性単位の定義および測定方法については、後述する実施例の記載が参照されうる。
さらに不織布層は、中性脂肪分解酵素、不織布に加えて、他の成分を含みうる。他の成分としては、例えば、酵素安定化剤などが挙げられる。
なお、ポリマー層は1層のみからなる層であってもよいし、2層以上からなる層であってもよい。ポリマー層が2層からなる形態としては、例えば、電子受容体および親水性高分子を含み、グリセロールデヒドロゲナーゼを実質的に含まない第1ポリマー層と、前記第1ポリマー層の上層に形成された、グリセロールデヒドロゲナーゼおよび親水性高分子を含み、電子受容体を実質的に含まない第2ポリマー層とから、ポリマー層が構成される形態が挙げられる。
本発明の不織布層は、中性脂肪分解酵素を含む溶液を不織布に含浸/乾燥させることで、中性脂肪分解酵素を不織布に固定化することによって形成されうる。
本発明の不織布層の製造方法(中性脂肪分解酵素の不織布への固定化方法)は、特に制限されず、従来公知の方法が同様にしてもしくは適宜修飾して、またはこれらの方法が適宜組み合わされて適用されうる。好ましくは、不織布に中性脂肪分解酵素を含む溶液を含浸させる工程と、上記酵素が含浸した不織布を乾燥させる工程と、を有する。
本発明のバイオセンサにおいて、中性脂肪分解酵素の不織布への固定化は、下記(1)および(2)の工程を含む方法により実現されうる。
(1)不織布に中性脂肪分解酵素を含む溶液(以下、「中性脂肪分解酵素溶液」とも称する)を含浸させる工程
(2)上記工程(1)で形成された中性脂肪分解酵素溶液を含浸した不織布を乾燥する工程
上記工程(1)は、中性脂肪分解酵素溶液を不織布に含浸させることができればよい。具体的には、中性脂肪分解酵素溶液を不織布に滴下して含浸させる方法、不織布を中性脂肪分解酵素溶液に浸漬させて含浸させる方法などがあり、いずれの方法も好適に使用されうる。中でも、適量、好ましくは0.1〜10μlの量の中性脂肪分解酵素溶液を、不織布に直接滴下する方法が使用できる。
上記工程(2)は、中性脂肪分解酵素溶液を含浸した不織布を乾燥させることができればよい。中性脂肪分解酵素溶液を含浸した不織布を乾燥させる方法としては、具体的には、真空ポンプを用いて減圧乾燥させる方法、40〜50℃の乾燥機内に放置して乾燥させる方法、五酸化二リンなどの不可逆的な脱水剤と密閉容器内で共存させて乾燥させる方法などがあり、いずれの方法も好適に使用されうる。好ましくは、中性脂肪分解酵素溶液を含浸した不織布を真空ポンプで5〜30分間減圧乾燥させる方法が使用できる。
不織布層を形成した後、これを電極基板と挟む形で絶縁性のカバーを設置することも可能である。これにより、試料液を毛細管現象で供給できる。このようなバイオセンサは、濃度測定装置(図示せず)に装着した上で試料を供給することによって、濃度測定装置において目的成分の測定を自動で行わせることができる。また、このようなバイオセンサに対する試料溶液の供給は、濃度測定装置に装着する前、あるいは装着した後のいずれであってもよい。
以上、本発明のバイオセンサの構成について詳細に説明したが、上記の形態のみに制限されることはなく、従来公知の知見を適宜参照して、種々の改良を施すことも可能である。従来公知の知見としては、例えば、特開平2−062952号公報、特開平5−87768号公報、特開平11−201932号公報などが挙げられる。
続いて、本発明のバイオセンサの動作について説明する。
まず、濃度の測定を希望する成分(基質)を含む試料溶液の所定量を、バイオセンサの不織布層に供給する。試料溶液の具体的な形態は特に制限されず、バイオセンサに用いられるグリセロールデヒドロゲナーゼの基質である中性脂肪を含む溶液が適宜用いられうる。試料としては、例えば、血液、血清、血漿、尿、唾液などの生体試料、果物、野菜、加工食品原料などの食品等が用いられうる。ただし、その他の溶液が試料として用いられてもよい。試料溶液は原液をそのまま用いてもよいし、粘度などを調節する目的で適当な溶媒で希釈した溶液を用いてもよい。
試料溶液を不織布層へ供給する形態は特に制限されず、所定量の試料溶液を不織布層に対して垂直に直接滴下することにより供給してもよいし、別途設けた試料溶液供給手段により、不織布層に対して水平方向から試料溶液を供給してもよい。
不織布層へと試料溶液が供給されると、試料溶液が不織布層上部から下部へ浸透するとともに、試料溶液中の基質である中性脂肪が不織布層に含まれる中性脂肪分解酵素の作用によって分解され、グリセロールおよび脂肪酸が生成する。本発明のバイオセンサにおいては、不織布層上部から下部への試料溶液の浸透とともに上記の中性脂肪分解酵素によるグリセロールの生成反応が行われるため、不織布層に試料溶液が導入された際に、中性脂肪の分解反応が効率よく速やかに進行し、測定時間が短縮されうる。
例えば、中性脂肪分解酵素がリポプロテインリパーゼである場合には、下記式に示されるように、中性脂肪がリポプロテインリパーゼによりグリセロールと脂肪酸とに変換されうる。
Figure 0005022285
次いで、生成物であるグリセロールを含む試料溶液が、グリセロールデヒドロゲナーゼおよび電子受容体を含むポリマー層へと浸透する。これにより、試料溶液中のグリセロールは、酸化還元酵素であるグリセロールデヒドロゲナーゼの作用によって酸化され、自身の酸化と同時に電子を放出する。グリセロールから放出された電子は、電子受容体に捕捉され、これに伴って電子受容体は酸化型から還元型へと変化する。
Figure 0005022285
試料溶液の添加後、バイオセンサを所定時間放置することにより、グリセロールデヒドロゲナーゼによって基質が完全に酸化され、一定量の電子受容体が酸化型から還元型へと変換される。グリセロールと酵素との反応を完結させるための放置時間については特に制限はないが、試料溶液を不織布層に添加した後、通常は10〜300秒間、好ましくは20〜240秒間、より好ましくは30〜120秒間である。
その後、電極系を介して、作用極と対極との間に、所定の電位を印加することにより、還元型の電子受容体が電気化学的に酸化される。この際に測定される酸化電流の値から、電位印加前の還元型の電子受容体の量が算出され、さらに、グリセロールデヒドロゲナーゼと反応したグリセロールの量が定量されうる。そして、最終的には、試料中の中性脂肪濃度が算出されうる。
酸化電流を流す際に印加される電位の値は特に制限されず、従来公知の知見を参照して適宜調節されうる。一例を挙げると、−200〜700mV程度、好ましくは0〜600mVの電位を、対極と作用極との間に印加すればよい。電位を印加するための電位印加手段についても特に制限はなく、従来公知の電位印加手段が適宜用いられうる。
酸化電流値の測定、および当該電流値から基質濃度への換算の手法としては、所定の電位を印加してから一定時間後の電流値を測定するクロノアンペロメトリー法を用いてもよいし、クロノアンペロメトリー法による電流応答を時間で積分して得られる電荷量を測定するクロノクーロメトリー法を用いてもよい。簡単な装置系により測定されるという点で、クロノアンペロメトリー法が好ましく用いられうる。
以上、還元型の電子受容体を酸化する際の電流(酸化電流)を測定することにより中性脂肪濃度を算出する形態を例に挙げて説明したが、場合によっては、還元されずに残存している酸化型の電子受容体を還元する際の電流(還元電流)を測定することにより基質濃度を算出する形態を採用してもよい。
本発明のバイオセンサは、いずれの形態で使用してもよく特に制限されない。例えば、使い捨て用途としてのディスポーザブルタイプのバイオセンサ、少なくとも電極部分を人体に埋め込んで連続的に所定の値を測定するためのバイオセンサなど、様々な用途に使用できる。
以上のように、本発明のバイオセンサを使用すると、上記のような二段階の反応系によって、中性脂肪を含む試料中の中性脂肪量が定量されうる。精神病治療患者および透析患者においては、中性脂肪測定時に遊離グリセロールが問題になるが、本発明のバイオセンサの中性脂肪分解酵素を省いた反応系を用いてグリセロールを予め消去するか、もしくはその量を測定しておくことで真の中性脂肪値を求めることが可能である。なお、本発明のバイオセンサは溶液中に界面活性剤を含んでいても中性脂肪を正確に定量することができる。
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。なお、本発明において、リポプロテインリパーゼおよびグリセロールデヒドロゲナーゼの活性は、下記方法により測定した。
(リポプロテインリパーゼ活性の測定方法)
37℃で5分間予備加温したオリーブオイルエマルジョン溶液 2mlに酵素溶液 0.2mlを添加し、15分間反応させた。その後、0.2M TCA溶液 2mlを添加して反応を停止させ、グリセロールおよび遊離脂肪酸を生成させた。なお、「オリーブオイルエマルジョン溶液」とは、オリーブオイル 5gおよび5% Triton(登録商標)X−100 5mlの混合溶液を10分間超音波処理し、この混合溶液に4% BSA溶液 25mlおよび0.1M リン酸緩衝液 pH 7.0 15mlを添加し、十分に撹拌したものである。
得られた反応溶液の不溶物を濾紙で濾過し、濾液 0.05mlと発色試薬 3mlとを混合した。なお、「発色試薬」は、5% Triton(登録商標) X−100 4ml、N,N−ジエチル−m−トルイジン 40μl、4−アミノアンチピリン 4mg、ATP・Na・3HO 24.4mg、MgCl・6HO 40.7mg、グリセロールキナーゼ 200U、L−α―グリセロリン酸オキシダーゼ 500U、およびペルオキシダーゼ 300Uを、50mM MES緩衝液(pH6.5) 200mlに溶解させることにより調製した。
この混合溶液を37℃で15分間反応させた。この反応においては、まず、グリセロールがグリセロリン酸に変換され、続いて、生成したグリセロリン酸がジヒドロキシアセトンおよび過酸化水素に変換される。そして、過酸化水素、4−アミノアンチピリン、およびN,N−ジエチル−m−トルイジンからキノネイミン色素が生成する。このキノネイミン色素を545nmの吸光度で測定した(OD test)。
また、盲検は以下の手順で行った。まず、上記と同様に調整したオリーブオイルエマルジョン液 2mlを37℃で15分間放置させた後、0.2M TCA溶液 2mlを添加した。次いで、酵素溶液 0.2mlを添加して混合し、これを反応溶液として上記と同様に濾過し、上記と同様に濾液 0.05mlと発色試薬 3mlとを混合し、反応させた後に、545nmの吸光度を測定した(OD blank)。
得られた2つの吸光度を下記計算式に導入し、酵素活性を求めた。
Figure 0005022285
ここで、1分間に1μmolのグリセロールを生成するリポプロテインリパーゼの量を1活性単位(U)とした。なお、キノネイミン色素の上記測定条件下でのモル吸光係数は28.2mM−1とした。
(グリセロールデヒドロゲナーゼ活性の測定方法)
50μM DCIP(2,6−ジクロロインドフェノール)、0.2mM PMS(1−メトキシ−5−メチルフェナジニウムメチルサルフェイト)、および450mM グリセロールを含む0.1% Triton(登録商標)X−100を含む10mM リン酸緩衝液(pH7.0)中に、酵素溶液を加えた。この溶液中の酵素と基質との反応をDCIPの600nmの吸光度変化によって追跡し、その吸光度の減少速度を酵素の反応速度とした。ここで、1分間に1μmolのDCIPを還元するグリセロールデヒドロゲナーゼの量を1活性単位(U)とした。なお、DCIPのpH7.0におけるモル吸光係数は16.3mM−1とした。
[実施例1]
本発明のバイオセンサの一例として、以下の手法により、図1および図2に示す形態の中性脂肪センサを作製した。
(中性脂肪センサの作製)
電極系が形成されたセンサ基板として、ディスポーザブル印刷電極 DEP Chip EP−N(有限会社バイオデバイステクノロジー製)を使用した。DEP Chip EP−Nは、絶縁性基板20の上に、それぞれカーボンからなる作用極30、参照極40、対極50が形成され、絶縁層70を挟んで、カーボンからなる作用極作用部分30a、銀/塩化銀からなる参照極作用部分40a、カーボンからなる対極作用部分50aが形成されている。
ポリマー層80は以下のようにして作製した。光架橋性の親水性ポリマーであるBiosurfine−AWP(東洋合成工業株式会社製)の0.5%溶液 5μlに、PQQ結合型グリセロールデヒドロゲナーゼ 1Uおよび電子受容体であるシアン化カリウムおよびメトキシPMSを添加し、溶解させて混合溶液を得た。なお、この際、混合溶液中のフェリシアン化カリウムおよびメトキシPMSの濃度が、それぞれ50mMおよび1mMの濃度となるようにした。
上記で得られた混合溶液の全量を、作用極作用部分30a、参照極作用部分40a、および対極作用部分50aの表面に塗布し、10分間の減圧乾燥を行った。その後、300〜400nmの紫外線を60秒間照射することにより、ポリマー層80を形成させた。
上記紫外線照射によりポリマー層80に含まれる光架橋性樹脂が架橋し、グリセロールデヒドロゲナーゼおよび電子受容体が光架橋性樹脂に架橋(固定化)された、流動および膨潤が抑制された安定なゲル層が電極上に形成される。
不織布層90は以下のようにして作成した。中性脂肪分解酵素であるリポプロテインリパーゼ 10Uを10% Triton(登録商標)X−100を含む10mM グリシルグリシンバッファー(pH8.0) 5μlに溶解させた。この溶液の全量をポリエステル繊維からなるスパンボンド不織布(大きさ:4mm×5mm、厚さ:0.22mm)上に滴下し、10分間減圧乾燥させることにより、不織布層90を作製した。得られた不織布90を上記で形成したポリマー層80の上に積層させた。
なお、上記操作は室温(25℃)で行った。
(特性評価1:中性脂肪含有標準血清)
試料溶液としては、中性脂肪含有標準血清を用いた。
試料溶液を不織布層90に滴下して2分後に、参照極40を基準として作用極30に対しアノード方向に+450mVの定電位を印加し、1秒後に作用極と対極との間に流れる電流値を測定した。
この電流値は、生成した電子受容体の濃度、すなわち試料溶液中の中性脂肪濃度に比例するため、この電流値から試料中の中性脂肪濃度を求めることができる。
すなわち、添加された中性脂肪を含む試料溶液は、まず、不織布層90に浸透するとともにリポプロテインリパーゼと反応し、グリセロールと遊離脂肪酸を生成する。そして、生成したグリセロールを含む試料溶液がポリマー層80に浸透する。
このグリセロールが、ポリマー層80に含まれるグリセロールデヒドロゲナーゼによって、ポリマー層に含まれる酸化型電子受容体であるメトキシPMSと反応し、還元型電子受容体であるメトキシPMSを生成する。
続いて、この還元型電子受容体であるメトキシPMSと酸化型電子受容体であるフェリシアン化カリウムとの酸化還元反応により、還元型電子受容体であるフェロシアン化カリウムが生成する。
したがって、上記のように電極系に電位を印加するにより、生成した電子受容体(フェロシアン化カリウム)の濃度に基づく酸化電流が得られる。
上記方法により、中性脂肪含有標準血清を滴下し応答電流を測定したところ、図3に示すように、500mg/dlという高濃度領域まで良好な直線が得られた。
(特性評価2:グリセロール標準液)
試料溶液としては、グリセロール標準液を用いた。
グリセロール標準液を試料溶液として使用すること以外は全て上記と同様にして特性評価を行い、応答電流を測定した。結果を図3に示す。図3に示すように、グリセロール標準液についても、6mMという高濃度領域まで良好な直線が得られた。
(考察)
図3に示される結果より、本発明のバイオセンサにおいては、試料溶液として中性脂肪含有標準血清を用いた場合の応答電流値と、グリセロール標準液を用いた場合の応答電流値とはほとんど同じ値を示し、近似直線もほぼ一致した。
この結果から、中性脂肪含有標準血清とグリセロール標準液との良好な相関関係が確認された。これは、本発明のバイオセンサにおいては、不織布層において中性脂肪と中性脂肪分解酵素(リポプロテインリパーゼと)との反応が円滑に進行し、ポリマー層においてグリセロールとグリセロールデヒドロゲナーゼおよび電子受容体との反応が円滑に進むため、精度の高い応答電流が得られたものと考察される。
なお、親水性ポリマーおよび不織布については上記実施例に限定されることはなく、本発明の主旨に合致するものであれば使用できる。一方、上記実施例においては、三電極系の場合について述べたが、対極と作用極からなる二電極系でも測定は可能である。
本発明の一実施形態に係るバイオセンサを示す分解斜視図である。 図1のA−A線に沿って切断したバイオセンサの断面図である。 実施例における、バイオセンサの応答特性図を示すグラフである。
符号の説明
10 バイオセンサ、
20 絶縁性基板、
30 作用極、
30a 作用極作用部分、
40 参照極、
40a 参照極作用部分、
50 対極、
50a 対極作用部分、
60 電極系、
70 絶縁層、
80 ポリマー層、
90 不織布層。

Claims (7)

  1. 絶縁性基板と、
    前記絶縁性基板上に形成された、少なくとも作用極および対極を含む電極系と、
    前記電極系の上部または近傍に形成された、グリセロールデヒドロゲナーゼ、電子受容体、および親水性ポリマーを含むポリマー層と、
    前記ポリマー層上に形成された、不織布に中性脂肪分解酵素が担持されてなる不織布層と、
    を備える、前記電極系に流れる電流値に基づいて中性脂肪の濃度を測定するためのバイオセンサ。
  2. 前記グリセロールデヒドロゲナーゼは、ピロロキノリンキノン(PQQ)、フラビンモノヌクレオチド(FMN)、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、およびニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)からなる群より選択される少なくとも1種の補酵素が結合した補酵素結合型グリセロールデヒドロゲナーゼであることを特徴とする、請求項1項に記載のバイオセンサ。
  3. 前記電子受容体は、フェリシアン化カリウムなどのシアン化合物、フェロセン、フェロセンカルボン酸などのフェロセン誘導体、p−ベンゾキノン、α−ナフトキノン、p−ベンゾキノン誘導体およびα−ナフトキノン誘導体などのキノン誘導体、フェナジンメトサルフェート(PMS)、フェナジンメトサルフェート誘導体、2,6−ジクロロインドフェノールナトリウムなどのフェノール誘導体、ルテニウム錯体およびオスミウム錯体などの金属錯体、メチレンブルー、チオニン、インジゴカーミン、ガロシアニン、サフラニン、ならびにこれらの混合物からなる群より選択される1種であることを特徴とする、請求項1または2に記載のバイオセンサ。
  4. 前記親水性ポリマーは、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース系化合物、ポリビニルアルコールなどのポリビニル系化合物、ポリアクリル酸ナトリウムなどのポリアクリル酸系化合物、ポリメタクリル酸ナトリウムなどのポリメタクリル酸系化合物、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムなどのポリスチレンスルホン酸系化合物、カルボキシメチルスターチなどのスターチ系化合物、ポリアクリルアミドなどのポリアクリルアミド系化合物、ポリビニルピロリドンなどのポリビニルピロリドン系化合物、ポリ酢酸ビニルなどのポリ酢酸ビニル系化合物、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ゼラチン、デンプン、ポリエチレンオキシド、デキストラン、ポリエチレングリコール、プルラン、およびこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種からなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のバイオセンサ。
  5. 前記中性脂肪分解酵素は、リポプロテインリパーゼであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のバイオセンサ。
  6. 前記不織布は、スパンボンド不織布、ニードルパンチ不織布、サーマルボンド不織布、ケミカルボンド不織布、ステッチボンド不織布、およびこれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のバイオセンサ。
  7. 前記不織布の構成材料は、ポリアミド繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエチレン繊維、ポリスルホン繊維、ポリエーテルスルホン繊維、ポリカーボネート繊維、ポリウレタン繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリオレフィン繊維、アラミド繊維、セルロース繊維、再生セルロース繊維、レーヨン繊維、ビニロン繊維、アクリル繊維、リヨセル繊維、絹繊維、麻繊維、ガラス繊維、キチン・キトサン繊維、炭素繊維、これらの誘導体、およびこれらの混合体からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のバイオセンサ。
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