JP5021620B2 - 鋼構造の状態を測定する方法および装置 - Google Patents

鋼構造の状態を測定する方法および装置 Download PDF

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Description

【技術分野】
【0001】
請求項1の序文に記載されるように、本発明は鋼構造の状態を測定する方法を含む。さらに、本発明は、鋼構造の状態の測定を行うための装置を含む。当該方法は、機械的ストレス、疲労、および腐食などに起因する金属損失(metal loss)の検出に適している。
【0002】
より詳しくは、本発明は、パルス状電流が1対の接点から鋼に印加され、反復サンプリングによって測定された別の対の接点との間の電位降下曲線を生成することにより、鋼構造の状態を測定する方法に関する。測定対象の鋼は、すでに知られている構成により磁化・消磁されることができ、初期磁化曲線、非ヒステリシス磁化曲線、ヒステリシス磁化曲線の選択された点に対する鋼の磁化のために使用される。異なる磁化における電位降下曲線を比較することで、鋼の状態もしくは状態の変化を決定することが可能となる。状態の変化のタイプにより、磁化手段を使用せずに測定できる場合もある。この場合、本発明の方法を、あらゆるタイプの導電材料のモニタリング用に利用できる。
【背景技術】
【0003】
大きい鋼構造には、劣化につながる変動負荷がかかることが多い。安全のため、機械的ストレス、腐食および浸食などの重大な欠陥へ発展しうる状態を発見するために鋼構造を検査・モニタリングすることが重要である。
【0004】
機械的ストレスは、制御不能な状態のために、建設中(例えば溶接線上もしくはその隣接位置)、および動作中に意図せずに発生しうる。
【0005】
相対的な機械的ストレスを測定するために、鋼における微少な寸法変化を検出すべく歪みゲージあるいは他の手段が使用されることが多い。こうした方法を利用することで、構造を設置した時点から絶対的(absolute)機械的ストレスに関する変化が測定され、可能性が制限される。しかし、バルクハウゼン(Barkhausen)雑音を測定・分析することにより、機械的ストレスに関する情報を提供しうることが知られている(ラウティオアホ,R.H. (Rautiaho,R.H.)およびカルヤライネン,L.P.(Karjalinen,L.P)の「構造用鋼残留応力分析へのバルクハウゼン雑音測定の適用(Application of Barkhausen noise measurements to residual stress analysis in structural steels)」物質科学におけるスカンジナビアのシンポジウム(Scandinavian Symposium in Materials Science)会報、1983年6月20日〜21日、フィンランド国オウル、179〜185頁)。
【0006】
また、機械的ストレスは磁気特性の変化に結びつき、この現象の利用が鋼中の機械的ストレスを測定する根拠として試みられたことに留意されたい(ラグM.C.(Lugg M.C.)「ACFM技術に対するストレスの影響(The effect of stress on the ACFM technique)」コントローラC HMSO(Controller C HMSO)、ロンドン、1987年)。
【0007】
定常電圧、もしくはパルス状電流の励起からの電位降下の測定に基づいた方法は、ノルウェー国特許第150136号に記載されている。電圧降下は、構造が既知の好適な初期状態にあるとき、および動作中に、多くの接点間で測定される。測定された電圧降下は相互に比較され、主としてクラックや材料損失に起因する構造の状態変化を検出するための基礎を形成する。
【0008】
印加される電流はパルス状である。電流の各ステップにおいて、測定される電圧降下は、当該特許においては妨害と呼ばれる表皮効果のために過渡曲線に引き続いて起こる。また、当該方法では、電圧降下の過渡部分が測定前に腐食していたと仮定する。従って、当該特許によれば、構造の可能な欠陥あるいは変化についての情報を提供するために、電圧降下曲線の過渡部分の考察に対して偏見が存在する。
【0009】
大きい壁厚を備えた大きいパイプでは遷移期が長く、実際の利用およびその他の理由で、腐食前に測定が行われるという欠点がある。これらの測定は、腐食またはクラックの測定における妨害とみなされる構造のストレスやパイプの内部圧力の変化に起因する強磁特性の変化による影響を受ける。
【0010】
ノルウェー国特許第172868号明細書には、鋼における機械的ストレスと疲労を測定する方法が記載されている。この特許は、パルス状励起電流(excitation current)からの電圧反応の過渡部分の測定に基づいた方法を主に記載している。このような2つの過渡は、構造の様々な状態に関して多数の接点間で測定される。測定された過渡電圧は比較され、機械的ストレスや疲労度合の計算のための基礎を作る。しかし、この特許では、当該方法が疲労に対しどのように反応するか記載していない。さらに、これらの測定は、疲労に関する最も重要な情報を含んでいる、電圧反応の定常部分に特有の情報を考慮していない。
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の主な目的は、異なるタイプの鋼構造をモニタリングし、欠陥を招きうる状態を既知の方法よりも迅速に検出することが可能な方法を提供することにある。この方法によれば、過大負荷に起因する鋼の変化、および例えばこのような負荷に起因する表面上のマイクロクラックを可能な限り迅速に検出し、これによってこのような負荷に起因する劣化の度合を可能な限り迅速に決定することができる。
【0012】
クラックの検出感度および量化は既知の方法と比較して改善され、さらに金属損失測定の信頼度および精度が改善されることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は請求項1に記載されている。さらなる特徴および詳細は請求項2〜請求項10に記載されている。
【0014】
本発明の方法は、鋼の機械的ストレス、疲労、クラック、および腐食などの金属損失を検出すべく適用できる。主に壁厚の薄肉化とクラックは、あらゆる導電材料においてモニタリング可能である。
【0015】
本発明は、腐食、浸食およびクラックをモニタリングする場合に、電圧降下もしくは電位降下の過渡曲線および定常部分からも情報を引き出すという考えに基づいている。
【0016】
印加電流(励起電流)の各ステップの後、1セットの接点に関する電位降下が起こる間、電位降下は、コンピュータでさらなる処理が実行可能な一連の数値の形態で電位降下曲線全体が描かれるように、反復サンプリングによって測定される。
【0017】
全ての電圧反応曲線を測定することにより、過渡部分と定常部分の両方、例えばクラックのモニタリング用途について、初期段階と、クラックの前兆である疲労の開始から劣化を検出する(あるいは劣化の発展を追跡する)ことが可能である。とりわけ、このようなクラックが表面中のマイクロクラックとして開始すること、および表皮効果のため、本発明の方法は過渡電圧反応の開始に極めて敏感である。さらに、本発明の方法は、測定ユニットがパイプ内部に配置できる場合にパイプ内部の欠陥を測定するために利用できる。
【0018】
時間の関数としての過渡電位降下は、鋼の電気的特性および磁気特性に関する情報を提供する。一定時間間隔後の過渡曲線が完全に減衰した(電位降下は定常である)場合、電位降下のレベルはモニタリングされる物体の電気抵抗から与えられ、すなわちクラックおよび材料損失により影響を受ける。既述の如く、過渡曲線の第一の部分は主に鋼の磁気特性と関係があり、すなわち機械的ストレスによる影響を受ける。以下に列挙された点から、鋼の磁気特性がいかに機械的ストレスの影響を受けるかがわかる。基礎的な物理的現象およびそれに関するより完全な議論は文献に記載されている。(ジャイルズD.C.(Jiles D.C.)およびアデルトン ディー.エル.(Aderton D.L.)「強磁性体中の磁化過程理論と、磁気機械的効果に対するその応用(Theory of the magnetization procoess in ferromagnets and its application to the magnetomechanical effect)」日本応用物理学会誌(J.Phys.Appl.)17、1984年、1265〜1281頁)
【0019】
初期磁化曲線、非ヒステリシス磁化曲線、ヒステリシス磁化曲線の形状もしくは特徴は、機械的ストレスがかかることで変化する。
【0020】
所与の一定の磁場強度では、付与される機械的ストレスにより初期磁化曲線と非ヒステリシス磁化曲線とが相互に接近する。
【0021】
機械的ストレスの変化の結果として起こる磁化の変化は、機械的ストレスが開始時レベルまで低下する場合、回復されない。徐々にゼロまで低下する振幅を有する磁場を付与することによる消磁によってのみ、磁化曲線は原形状に戻る。
【0022】
鋼の時期特性は疲労過程において影響されることが示されている(ボーズM.S.C.(Bose M.S.C.)「磁気ヒステリシス技術を利用する強磁性体中の疲労に関する研究(A study of fatigue in ferromagnetic materials using a magnetic hysteresis technique)」NOTインターナショナル(NOT International)第19巻 第2号、1986年4月)。
【0023】
磁化曲線の特徴は疲労過程中に変化する。これらの変化は消磁によって回復することはない。
【0024】
鋼における相対的な機械的ストレスの測定は、例えば所与の磁場強度における非ヒステリシス磁化曲線に関して、それ以前の測定と比較して、所与の条件下での磁化(磁化曲線の特徴)の測定に基づいてもよい。ノルウェー国特許第150136号に記載された方法が利用できる。次いで、ストレスもしくは応力を受けない場所(上記特許において基準測定として示される)で測定される。さらに、消磁の可能性が含まれる。
【0025】
最後の測定以来、鋼が受けたストレス程度を測定するために同様の方法が利用できる。次いで、磁化変化は消磁されるまで回復されない、あるいはリセットされないという特性が利用される。
【0026】
鋼における絶対的な機械的ストレスの測定は、機械的ストレスがかかることで初期磁化曲線および非ヒステリシス磁化曲線が変化するという事実に基づいて行われる。磁化曲線の特徴により影響される過渡電圧低下は、初期磁化曲線および非ヒステリシス磁化曲線の両方に関して測定され、相互に比較される。あるいは、ヒステリシス磁化曲線と非ヒステリシス磁化曲線について2つの測定を行ってもよい。鋼に機械的ストレスがかからない場合、疲労状態は絶対的な機械的ストレスの場合と同様の方法で測定できる。
【0027】
精度を改善するため、複数の電流パルスについて反応信号をサンプリングし、これらのサンプルを平均することで高い測定精度が得られる。平均は高度もしくは低度のアルゴリズムの利用に基づいて行うことができる。
【0028】
反応信号全体、すなわち過渡部分と定常部分の情報を利用することで、モニタリング対象のあらゆるタイプの状態について、独自の汎用性が得られ、既知の方法に比べて感度および精度が改善される
【0029】
改善されたクラックモニタリングは、第150136号特許と比較して、反応信号の過渡部分における情報の利用に基づいて行われ、また、これにより、表面上のマイクロクラックに対する感度が向上し、さらにクラック深さ決定精度が高まる。
【0030】
金属損失の改善されたモニタリングは、反応信号全体、すなわち過渡部分と定常部分を観察し、これによって金属損失測定で起こりうる機械的ストレスを変化させる不都合な影響を打ち消すことによって行われる。さらに、反応信号全体を利用することで、反応信号に基づいて壁厚を直接評価することが可能となる
【0031】
さらに、パイプ内壁の表面上におけるマイクロクラックの検出は、励起電流ワイヤの1つを接続し、パイプ内壁のピンを感知することにより、著しく改善される。
【0032】
この方法はセンサにおいても使用できる。電流の供給および過渡電位および/または定常電位の降下の測定は、例えば構造に取り付けられた鋼鈑もしくは腐食環境に置かれた、すなわち適切なストレスあるいは腐食にさらされた鋼鈑について行われる。
【0033】
既述の如く、本発明が利用する主たる概念は、印加された電流パルスの結果として1対の接点間に発生する電位低下曲線(過渡部分と定常部分の両方)が、モニタリングされている鋼構造中の構造の状態の検出もしくは状態の変化に関して観察されるという現象である。
【0034】
過渡部分の電位降下は表皮効果に関連し、主に鋼の浸透性と表面の状態に関連し、定常部分においては、物体の幾何学形状および材料における構造変化により影響される抵抗と関連する。(知られているように、相対浸透率は、磁場が印加された場合の磁化能力を示すパラメータである)。
【0035】
例えば鋼鈑に電流のステップ(step)を適用する際、表面における電流密度は当該電流ステップの直後で高くなり、漸減して定常値となる。2点間で測定された電位降下は、時間の関数であり、開始時は高値を有し、測定地点間の電気抵抗に応じて定常値まで漸減する表面上における電流密度を反映する。
【0036】
従って、過渡電位降下は、機械的ストレスおよび疲労状態の影響を受ける、材料の浸透性および導電性に関する情報を提供する。電気抵抗は導電性と幾何学形状の影響を受け、さらに疲労、金属損失、腐食、浸食およびクラックの影響を受ける。異なる欠陥は電圧反応曲線の別の部分に異なる影響を与え、反応曲線全体、すなわち過渡部分および定常部分を観察することで、前出の2特許と比較して、感度と精度の両方が改善される
【0037】
クラックモニタリングのために電圧降下反応曲線全体を観察することで、表面上のマイクロクラック検出感度が著しく改善される。これは、クラックの断面に関して定常電圧降下が与える情報に加えて、電圧降下反応曲線の開始時には電流密度が極めて高く、それに続く過渡部分の変化によりパイプ内壁のクラック位置および/またはクラック深さの改善された推定がなされるためである。このことは、主として断面に関する情報のみを与えるノルウェー国特許第150136号とは対照的である。このことは、クラック深さがクラックモニタリングに関する最も重大な情報であることから、本質的な改良といえる。
【0038】
疲労過程をモニタリングすることによって、特に負荷が鋼の降伏点に近く、降伏点を超える場合に、導電性の変化を引き起こす鋼構造の変化に関する極めて重大な情報を与える。定常信号から得られるこの結果を、過渡部分から得られる情報と組み合わせることによって、モニタリング対象物体の塑性変化および疲労の度合が高感度および高精度で検出できる。このことは、第1728号特許では不可能であった
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
図面を参照しながら本発明を以下に詳細に説明する。
【0040】
図1の鋼鈑1に対し、機器8中の電流源によって接点2および3から電流パルス(励起電流)が印加される。あるいは、必要に応じて、機器8の電流源は消磁のために利用されてもよい。これらは機器内ののメニューシステムにより選択できる。消磁のため利用される場合、この電流源により、低減してゼロとなる振幅を有する交流電流が印加される。測定地点4、5間で測定される電位降下a(t)は、電圧を増幅しデジタル化する信号状態回路6に供給され、データは後に予備処理のために機器8へ転送されるため、および後にコンピュータ9へ転送され、さらに処理されるために中間的に格納される。コンピュータ9内のプログラムは、モニタリングされた材料中の機械的ストレス、および/または疲労、および/またはクラック、および/または金属損失を計算するために、電圧降下反応を分析するためのアルゴリズムを有する。
【0041】
電磁石11によって、鋼は電位降下が測定される位置で磁化されうる。印加される磁場強度は、機器8中のソフトウェアで駆動されるメニューシステムにより所望の大きさに設定できる。電磁石のあらゆる直接制御は制御ユニット7により実行される。制御ユニット7は機器8により制御される。あるいは、図1に図示されていない機器8のメニューシステムの制御機能は携帯型PCであってもよい。携帯型PCは機器8に接続され、このような測定機能を制御するために機器8の代わりに利用できる。機器と、モニタリング対象物体に接続された構成要素との間の接続は、通信バスと電源接続からなる測定ケーブル10である。これにより、1本の測定ケーブル10上の1つのコネクタにより機器8に複数のユニットを接続できる。
【0042】
あるいは、鋼鈑1の消磁は、機器8からの電流源の代わりに電磁石11によって行ってもよい。また、機器8中の消磁源からの電流はこの目的専用の接点から鋼に印加されてもよい。電流導入点2、3、測定地点4、5、電磁石11、回路モジュール6、7は、1台の携帯型ユニットに統合できる。
【0043】
機器8は中間的に記憶されたデータを有する、もしくはユーザへのオンライン接続を介したデータの転送により、あるいはユーザにより運搬され、多数の地点で連続的に測定を行う装置に取り付けられる携帯型ユニットを介した、メニューシステムにおいて定義された間隔で測定を行うために永久的に設置されてもよい。あるいは、全てを携帯型とし、オペレータが電流励起と測定のピンを備えたユニットをモニタリング位置に設置し、機器をPCに接続して測定を行い、後処理用にPCへ測定値を転送する。
【0044】
図2には、一般的な電流ステップおよび電位降下が理想曲線形で示されている。実際には、電流ステップは一定の立ち上がり時間を有し、信号(電位降下)は、測定用リードと、導入回路を形成するコンダクタループとの間の電気誘導による追加成分を有する。また、負値からの電流ステップを開始させてもよい。
【0045】
電位降下曲線は、その性質から、ベッセル関数である。電位降下曲線は理論上の無限から開始され、支配的な時定数を有する。すなわち、曲線が最終的には指数関数に接近することを意味している。i(t)およびa(t)が接近する定常値(stationary value)は測定地点間のオーム抵抗によってのみ決定される。上記指数関数の時定数は幾何学的な関係のほか、導電性および浸透性により決定される。
【0046】
鋼鈑の、電流ステップが印加される側と反対側で電位降下が測定される場合、i(t)はゼロから開始され、定留値に到達するまで増加する。測定値の分析は、常に時間もしくは周波数の関数としての少なくとも2本の曲線の比較を含む
【0047】
図3には、2つの電位降下i(t)およびa(t)が示されている。これらは理想的な電位降下曲線である。
【0048】
図4は、2つの曲線i(t)およびa(t)に基づいて、偏差曲線d(t)が2本の曲線間の差異から計算される方法を示す。偏差曲線は、
d(t)=([a(t)/i(t)]-1)1000
(式中、a(t)は時間の関数としての電圧信号a、i(t)は時間の関数としての電圧信号i、d(t)は時間の関数としての計算された偏差を表す)
として計算されるが、時間の関数として、および周波数の関数としてプロットされる様々な曲線間の偏差を特徴付けるために他のアルゴリズムも利用できる。
【0049】
図1に関する付加説明として、図示された構成を初期磁化曲線および非ヒステリシス磁化曲線に関して電位降下を測定するためにどのように利用できるかをシーケンスで説明する。
1.機器8のスイッチが入れられ、全ての出力信号がゼロに初期化される。
2.機器8中の電流源が消磁用に活性化される。
.機器8中の励起電流源がパルス状電流を、電流印加地点2、3において鋼1に導入する。
.測定地点4、5間の過渡電位降下および定常電位降下が測定され機器8に格納される。
5.電磁石11に対する磁化電流用の、機器8の電流源から電流制御ユニット7への電流を連続的に所望の大きさまで増大される。鋼が初期磁化曲線に関して磁化される。
.上記ステップが反復される。
.測定地点4、5の間の過渡電位降下i(t)が測定され機器8に格納される。
.図4に、i(t)およびa(t)の一般的な電圧降下曲線を示す。
.d(t)の予備計算は機器8により実行できる。
10.全ての測定値がコンピュータ9に転送され、d(t)の計算および他の後処理がなされる。
11.図5に、鋼中のストレス測定用の一般的な偏差曲線d(t)が示される。
12.偏差曲線d(t)から最大値が検出され、この値が鋼中のストレスを表す。
【0050】
機械的ストレスのみが存在する偏差曲線は、最大値に達するまでの期間の後に偏差によって特徴付けられ、次いで電圧降下が静止するd(t)=0まで低下する。所望により、さらに、初期磁化曲線およびヒステリシス磁化曲線に関して偏差曲線を計算してもよい。経験上、異なる機械的ストレスの偏差曲線の特性が知られており、未知のストレス状態を決定することが可能である。
【0051】
鋼中の相対的な機械的ストレスの測定は、磁化に基づいて行うことができる。従って、既知の状態に関する磁化曲線は、例えば所与の磁場強度に関する非ヒステリシス磁化曲線に関して測定でき、先行測定値と比較される。次いで、ノルウェー国特許第150136号に記載された方法を利用できる。通常、このような測定は負荷を受けない地点において行われ、上記特許において参照読取値として記載されている。さらに、消磁の可能性が含まれる。
【0052】
同様の方法は、最終測定以来鋼が受ける最大ストレスの測定のために利用できる。機械的ストレスの変化の結果としての磁化の変化は、機械的ストレスが開始レベルまで低下する場合は回復されない。消磁に際してのみ、磁化曲線は原形状を回復する。
【0053】
鋼中の絶対的な機械的ストレスの測定は、初期磁化曲線、ヒステリシス磁化曲線および非ヒステリシス磁化曲線が機械的ストレスを受けることで変化するという事実に基づいて行うことができる。磁化曲線の特徴の影響を受ける過渡電圧低下は、初期磁化曲線および非ヒステリシス磁化曲線の双方について測定され、相互に比較される。あるいは、2つの測定は初期磁化曲線およびヒステリシス磁化曲線について行ってもよい。
【0054】
同様に、偏差曲線は鋼の疲労状態を評価し、これに基づいて疲労過程中の破砕の前に残存寿命を計算するために利用できる。鋼に機械的ストレスがない場合、例えば、疲労状態は絶対的な機械的ストレスの測定と同様の方法で測定できる。さらに、相対的な機械的ストレスを測定する際に利用される方法と同一方法により測定できる。電位降下の全行程の間、図7の偏差曲線を観察することで、疲労度合に関するさらなる情報が得られる。ストレスを受けている物体に関する疲労の相対測定用偏差曲線の一例が図7に示される。偏差レベルt、表面上のクリープおよびマイクロクラックに関連しうる表面上の変化とストレスのレベルを表し、t は疲労に関しては鋼中の構造変化に起因する抵抗の相対変化を表す。ストレスを受けていない物体についての疲労の相対的測定に関する偏差曲線の別の例が図8に示されている。t における偏差レベルは、表面上のクリープおよびマイクロクラックに関連しうる表面上の変化を表し、t におけるレベルは疲労に関しては鋼中の構造変化に起因する抵抗の相対変化を表す。
【0055】
電位降下の定常部分で測定を行うことができる場合、あるいは最終測定以来モニタリング対象物体の機械的ストレスに変化がない場合、金属損失、腐食、浸食の測定は磁化を行わずに実施でき、また消磁を行わずに実施できる。図6には、金属損失の相対測定用の特有の電位降下偏差曲線が示されている。tにおける偏差値は、金属損失のモニタリングに関して常にゼロより大きい。偏差曲線に重要な破損がある場合、tの時間は、壁厚の評価に使用できる。tの偏差の定常レベルは、参照データとして偏差の算出に使用される測定値に関係する金属損失を表し、これに基づいて、基準データが得られた時点からの壁厚の薄肉化が計算できる
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】 鋼桁の状態を測定するための装置を示す図である。
【図2】 電流ステップおよび電圧降下曲線を示す図である。
【図3】 i(t)およびa(t)に関する反応電圧を時間の関数として示す図である。図中、電圧降下は異なる2時点で測定され、材料損失および鋼の同一磁化のため壁厚縮小が測定されている。
【図4】 絶対的な機械的ストレスの測定のための、i(t)およびa(t)に関する反応電圧を時間の関数として示す図である。電圧反応は2つの異なる磁化で測定される。
【図5】 図4の電圧反応曲線のために計算された偏差曲線を示す図である。
【図6】 図3の電圧反応曲線のために計算された偏差曲線を示し、腐食または浸食において一般的な図である。
【図7】 疲労において一般的な計算された偏差曲線を示す図である。

Claims (10)

  1. 機械的ストレス、欠陥、および疲労や金属損失などの劣化を検出するために、導電性物質の状態パラメータを、延長された期間あるいは絶対的な瞬間において測定する方法であって、モニタリング領域は、磁化または消磁のための選択的な手段であり、電流供給のために2つ以上の接点が接続され、これらの電流供給点にパルス状電流が付与され、設置された別の対の接点間において主に減衰している過渡部分と、定常部分とにより電圧降下を測定する方法であって、
    該電圧降下を、既知の測定条件で測定された別の電圧降下と比較し、あるいは当該物質に関する較正データと比較し、これらの値間の偏差が分析して前記構造の前記条件を決定することを特徴とする、方法。
  2. 機械的負荷もしくは劣化を受ける位置、および受けない位置において開始時およびその後の測定が行われ、鋼中の機械的ストレス、および/または疲労状態、および/またはクラック、および/または金属損失における変化を、初期測定時の値と関連させて決定するために測定の結果が利用されることを特徴とする、請求項1記載の方法。
  3. 機械的負荷もしくは劣化を受ける位置と、負荷を受けない基準物質の部品の両方において開始時およびその後の測定が行われ、鋼中の機械的ストレス、および/または疲労状態、および/またはクラック、および/または金属損失における変化を、初期測定時の値と関連させて決定するために測定の結果が利用されることを特徴とする、請求項1記載の方法。
  4. 機械的ストレスを受けている物体について測定が行われ、この測定値が同一位置で測定された先行測定値、同位置の消磁後に測定された測定値、あるいは1つ以上の電圧パルスが侵入した後に測定された測定値と比較され、これらの測定値間の差異が分析され、最後の測定以来、鋼が受けた機械的負荷を決定することを特徴とする、請求項1記載の方法。
  5. 構成の際、および経時的に構造の状態の変化を連続的にモニタリングするため、鉄道レールなどの構造に沿って一定距離により多くのユニットが設置されたことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記構造の状態を決定する前に交流電流により鋼を消磁することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. モニタリング対象物体の領域に接続された、当該領域における電圧降下を測定するための1セットの測定電極と、前記測定された結果を記録・分析するための測定システムとを含む、請求項1記載の方法を実施するための装置であって、過渡電圧降下と定常電圧降下の両方を測定すべく構成され、金属中の機械的ストレス、および/または疲労状態、および/またはクラック、および/または金属損失を決定するために電圧降下を分析するアルゴリズムを含むことを特徴とする装置。
  8. 選択的に鋼の磁化もしくは消磁を行うことができ、選択的にモニタリング位置で初期磁化曲線、非ヒステリシス磁化曲線、もしくはヒステリシス磁化曲線の選択された点において鋼を磁化することができ、電流パルスの印加により引き起こされる前記電圧降下は1つ以上の前記磁化曲線について測定され、測定結果が前記鋼の前記状態を決定するために利用されることを特徴とする請求項7記載の装置。
  9. 電圧パルスを印加する構成を含む装置であって、1対の接点から鋼にパルス状電圧を印加し、あるいは振幅を0まで漸減させながら鋼の消磁のために同一接点から交流電流を印加すべく構成されていることを特徴とする請求項7記載の装置。
  10. 前記導電性物質は、鉄道レール、橋、海上作業台船、ドリルパイプ、ライザのうちのいずれか一つの形態の強磁性鋼構造であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
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