ところで、パチンコ遊技機の筐体は、通常、遊技島に固定した木枠にヒンジなどを介して開閉可能に取り付けられており、またこの筐体には遊技盤を透視可能に覆う筐体前扉(ガラス扉ともいう)が開閉自在に設けられている。このようなパチンコ遊技機では、遊技中に店員が点検調整のために筐体を開閉し、あるいは筐体前扉を開閉することがあり、その際に振動が発生する。このため、パチンコ遊技機に設けた振動センサにより振動を検出した場合常に入賞を無効にした上で警報を発するものでは、遊技者は不正行為を行っていないにも拘わらず、入賞が無効にされた上、警報が発せられることから、不信感や苛立ちを持つようになり、遊技の興趣を損なうという問題がある。
また、特許文献1の如く振動発生タイミングと入賞タイミングとを比較し、その時間的差分が所定の時間間隔よりも長い場合にのみ入賞を有効とするものでも同様な問題がある。すなわち、筐体の開閉及び筐体前扉の開閉では、不正に開けられるのを防ぐために確実に閉め、またその閉状態を確認する確認作業をも含んでいることから、比較的に大きな振動が発生する。このため、遊技島のように多数のパチンコ遊技機が互いに隣接して設置されている場合、店員が点検調整をするパチンコ遊技機に隣接する他のパチンコ遊技機の振動センサが開閉に伴う振動を検出することがある。一方、遊技者は隣接する他のパチンコ遊技機で店員が点検調整を行っていても遊技を中断することはないので、公正な遊技で入賞したにも拘わらず、その入賞タイミングと振動発生タイミングとが近ければ入賞が無効にされることになるからである。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、筐体を叩くなどの不正行為を防止しつつ、検出感度の高い振動センサなどの振動検出手段を用いても筐体又は筐体前扉の開閉による振動を誤って検出して不正なものとしないようにし、公正な遊技をする遊技者に不信感や苛立ちを与えることなくトラブルを防止し得るパチンコ遊技機を提供せんとするものである。
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、パチンコ遊技機として、遊技島に固定した木枠に、発射装置や遊技盤などの部品を装備した筐体が開閉自在に取り付けられているとともに、この筐体にその遊技盤を透視可能に覆う筐体前扉が開閉自在に設けられており、上記発射装置により遊技球を遊技盤の遊技領域に発射し、この遊技球が遊技領域に設けた入賞部に入ると所定数の遊技球の払出を行うように構成されていることを前提とする。そして、上記筐体の振動を検出する振動検出手段と、この振動検出手段の信号を受け、不正行為を防止するための制御を実行する不正行為防止制御手段と、上記筐体の開閉及び筐体前扉の開閉の少なくとも一方を検出する開閉検出手段とを備える。また、上記不正行為防止制御手段において、開閉検出手段の信号をも受け、筐体又は筐体前扉の開閉時に振動検出手段の信号を無効にするように構成する。ここで、振動検出手段の信号を無効にするとは、信号を受け付けないようにする受動的な無効の態様の外に、例えば振動検出手段がその振動検出機能を停止する停止スイッチを有する場合このスイッチの切替により振動検出自体を停止ないし無効にする能動的な無効の態様をも含む意味である。
この構成では、遊技者が筐体を叩いたり揺すったりしたときには、その振動を振動検出手段が検出し、この振動検出手段の信号を受ける不正行為防止制御手段は、不正行為を防止するための制御、例えば警報音の発生や遊技の停止などを実行するため、不正行為が防止されることになる。一方、遊技中に店員が遊技機の点検調整のために筐体又は筐体前扉を開閉し、その開閉に伴って振動が発生したときには、不正行為防止制御手段は、振動検出手段の信号を受けるだけでなく、筐体又は筐体前扉の開閉を検出する開閉検出手段からの信号をも受け、振動検出手段の信号を無効にするため、不正行為を防止するための制御が誤って実行されることはなく、遊技者に不快感や苛立ちなどを与えることもない。
請求項1に係る発明は、上記の構成に加えて、更に、遊技島内の隣接する他のパチンコ遊技機との間で相互通信を行う外部通信部を備える。また、上記不正行為防止制御手段において、この外部通信部を介して、自機の開閉検出手段の信号を他のパチンコ遊技機に対し出力する一方、他のパチンコ遊技機の開閉検出手段からの信号を受け、他のパチンコ遊技機の筐体又は筐体前扉の開閉時にも振動検出手段の信号を無効にするように構成する。この構成では、店員が遊技島内の隣接する他のパチンコ遊技機の点検調整のために筐体又は筐体前扉を開閉し、その開閉に伴う振動を自機の振動検出手段が検出したときでも、自機の不正行為防止制御手段は、隣接する他のパチンコ遊技機の開閉検出手段からの信号を外部通信部を介して受け、振動検出手段の信号を無効にするため、不正行為を防止するための制御が誤って実行されるのを確実に防止することができる。
請求項2に係る発明は、請求項1記載のパチンコ遊技機において、更に、外部へ報知する報知手段を備える。また、上記不正行為防止制御手段において、不正行為を防止するための制御として、振動検出手段の信号を受けたとき、上記報知手段で報知を行うように構成する。
請求項3及び4に係る発明は、いずれも請求項1又は2記載のパチンコ遊技機において、上記開閉検出手段及び不正行為防止制御手段のより具体的な形態を提供するものである。
すなわち、請求項3に係る発明は、上記開閉検出手段を、筐体又は筐体前扉の開操作の開始時点及び閉操作の終了時点を検出する構成にし、また上記不正行為防止制御手段を、筐体又は筐体前扉の開操作の開始時点から閉操作の終了時点までの間振動検出手段の信号を無効にする構成にする。この構成では、開閉検出手段によって比較的検出が容易な筐体又は筐体前扉の開操作の開始時点及び閉操作の終了時点を検出しているため、その分実施が容易なものになる。
また、請求項4に係る発明は、上記開閉検出手段を、筐体又は筐体前扉の開動作中及び閉動作中を検出する構成にし、また上記不正行為防止制御手段を、筐体又は筐体前扉の開動作中及び閉動作中振動検出手段の信号を無効にする構成にする。この構成では、不正行為防止制御手段は、筐体又は筐体前扉の開閉時のうち、特に開閉に伴って振動が発生し易い開動作中及び閉動作中にのみ振動検出手段の信号を無効にするものであるため、仮に制御内容が知られた場合でも無効時間内に不正行為を行うことはできず、その防止化が確実に図られることになる。
ここで、店員がパチンコ遊技機の点検調整のために筐体又は筐体前扉を開閉するときには、店員はその閉鎖後に閉鎖状態を確認するために筐体又は筐体前扉を引いたり押したりすることがあり、この操作によっても振動が発生する。請求項5及び6に係る発明は、いずれもこれに対処するためのものである。
すなわち、請求項5に係る発明は、請求項3記載のパチンコ遊技機において、上記不正行為防止制御手段を、筐体又は筐体前扉の閉操作の終了時点から所定時間経過するまで振動検出手段の信号を継続して無効にする構成にする。この構成では、店員が筐体又は筐体前扉の閉鎖後に閉鎖状態を確認するために筐体又は筐体前扉を引いたり押したりし、その操作によって振動が発生したときでも、不正行為防止制御手段は、筐体又は筐体前扉の閉操作の終了時点から所定時間経過するまで振動検出手段の信号を継続して無効にするため、不正行為を防止するための制御が誤って実行されることはない。
また、請求項6に係る発明は、請求項4記載のパチンコ遊技機において、上記不正行為防止制御手段を、筐体又は筐体前扉の閉動作終了時点から所定時間経過するまで振動検出手段の信号を継続して無効にする構成にする。この構成では、店員が筐体又は筐体前扉の閉鎖後に閉鎖状態を確認するために筐体又は筐体前扉を引いたり押したりし、その操作によって振動が発生したときでも、不正行為防止制御手段は、筐体又は筐体前扉の閉動作終了時点から所定時間経過するまで振動検出手段の信号を継続して無効にするため、請求項5に係る発明の場合と同様に、不正行為を防止するための制御が誤って実行されることはない。
以上のように、本発明のパチンコ遊技機によれば、遊技者が筐体を叩いたり揺すったりしたときには、その振動を振動検出手段が検出し、不正行為を防止するための制御を実行するため、不正行為を防止することができる一方、遊技中に店員が遊技機の点検調整のために筐体又は筐体前扉を開閉し、その開閉に伴って振動が発生したときには、開閉検出手段の信号に基づいて振動検出手段の信号を無効にするため、不正行為を防止するための制御が誤って実行されるのを防止することができ、遊技者に不快感や苛立ちなどを与えることはなく、遊技者とのトラブルを防止することができる。
その上、店員が遊技島内の隣接する他のパチンコ遊技機の点検調整のために筐体又は筐体前扉を開閉し、その開閉に伴う振動を自機の振動検出手段が検出したときでも、外部通信部を介して受ける他のパチンコ遊技機の開閉検出手段からの信号に基づいて振動検出手段の信号を無効にするため、不正行為を防止するための制御が誤って実行されるのを確実に防止することができ、遊技者とのトラブル防止化を一層図ることができる。
特に、請求項2に係る発明では、筐体を叩くなどの異常があった場合にランプやスピーカなどの報知手段により外部に報知し、店員などに異常を知らせることができる。
請求項3に係る発明では、開閉検出手段によって比較的検出が容易な筐体又は筐体前扉の開操作の開始時点及び閉操作の終了時点を検出しているため、その分実施化を容易に図ることができるという効果を併有する。
請求項4に係る発明では、筐体又は筐体前扉の開閉時のうち、特に開閉に伴って振動が発生し易い開動作中及び閉動作中にのみ振動検出手段の信号を無効にするものであるため、無効時間の短縮化により不正行為をより確実に防止することができる。特に、点検調整の作業時間が長くなるときに無効時間の割合が大きくなることはなく、有効なものである。
さらに、請求項5及び6に係る発明では、店員が筐体又は筐体前扉の閉鎖後に閉鎖状態を確認するために筐体又は筐体前扉を引いたり押したりし、その操作によって振動が発生したときでも、筐体又は筐体前扉の閉操作の終了時点又は閉動作終了時点から所定時間経過するまで振動検出手段の信号を継続して無効にするため、不正行為を防止するための制御が誤って実行されるのをより確実に防止することができ、更に、筐体又は筐体前扉の半開き状態による二次的な不正行為も防止でき、遊技者とのトラブル防止化を一層図ることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態である実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係るパチンコ遊技機Aの外観を示す。このパチンコ遊技機Aは、ホールの遊技島B(図7参照)に固定した木枠1と、この木枠1に上側ヒンジ2及び下側ヒンジ3を介して開閉自在に取り付けられた筐体4とからなる。木枠1は、矩形枠状のものであって、本実施形態の場合、その下部枠材1aのみが正面側に見えるようになっている。尚、ホールにおいては、図7に示すように、複数のパチンコ遊技機A1,A2,…を横並びに設置して1つの遊技機列を構成し、この遊技機列を2つ互いに背中合わせに設置し、またはホール壁面などに沿って設置して1つの遊技島Bを構成している。
上記筐体4は、発射装置や遊技盤5などの部品を装備してなり、この筐体4の正面側上部には遊技盤5を透視可能に覆う筐体前扉としてのガラス扉6が上側ヒンジ7及び下側ヒンジ8を介して開閉自在に設けられているとともに、筐体4の正面側下部には上受け皿11、下受け皿12、左右一対のスピーカ13a,13b及び発射装置の操作ハンドル14などが設けられている。
上記ガラス扉6は、中央部に略円形のガラス面6aを残して正面略全体が演出用ランプを内蔵する装飾パネル6bにより覆われてなり、このガラス扉6の左上隅角部には振動報知ランプ16が設けられているとともに、ガラス扉6の右下隅角部には鍵装置17が設けられている。この鍵装置17は、図2に拡大詳示する如き鍵穴18に所定の鍵を挿入して時計方向(図2の(b)状態から(c)状態)に回すと、図3に示す如き筐体4の背面側で上下方向に延びる竿部材19がコイルスプリング20の付勢力に抗して上方に移動し、この竿部材19の上下両端端にそれぞれ連結した上下一対のフック部材21a,21bが各支軸22a,22b回りに図示の状態から時計方向に回動することにより、この各フック部材21a,21bと木枠1に設けた係合部材(図示せず)との係合が外れて筐体4を開放でき、また鍵穴18に挿入した鍵を反時計方向(図2の(b)状態から(a)状態)に回すと、図示していないが、筐体4の場合と同様な構成によってガラス扉6を開放できるようになっている。
上記遊技盤5の遊技領域には、図4に示すように、その中央部に中央役物装置30が設けられている。この中央役物装置30は、中央部が奥側に凹んだ形状のもので、その中央部に液晶表示部31(図5参照)を、下部に水平方向に移動可能な大入賞口としてのVゾーン32を、左右両側部に可動式の羽根33a,33bをそれぞれ有している。また、遊技盤5の遊技領域には、中央役物装置30の外に複数(図では4つ)の普通入賞口34a,34b,33c,33d、羽根33a,33bを所定回数開放させるための複数(図では3つ)の始動口35a,35b,35c、1つのアウト口36(図1参照)及び多数の障害釘(図示せず)などが設けられている。
そして、上記発射装置の操作ハンドル14を操作して遊技球を遊技盤5の遊技領域に発射し、この遊技球が遊技領域内の入賞部である中央役物装置30のVゾーン32、普通入賞口34a〜34d又は始動口35a〜35cに入ると所定数の遊技球が上受け皿11に払い出されるようになっている。特に、Vゾーン32に遊技球が入ると所定数の遊技球の払出とは別に、中央役物装置30の液晶表示部31の画面上で入賞を祝う遊技演出が行われると同時に、羽根33a,33bが比較的長時間でかつ複数回に亘って開放されることなどで遊技球の払出を大量に受け得る特別遊技に移行するようなっている。このようなパチンコ遊技機Aでは、遊技球をVゾーン32などの入賞部に導くために筐体4を叩くなどの不正な行為が行われることがあり、そのため、筐体4の背面側には筐体4の振動を検出する振動検出手段としての振動センサ38が取り付けられている。尚、図4中、39は羽根33a,33bを通して中央役物装置30内に入る遊技球をカウントするカウントセンサである。
図5はパチンコ遊技機Aの制御系のブロック構成を示し、41は始動口35a〜35cに遊技球が入ったことを検出する始動口センサ、42は普通入賞口34a〜34dに遊技球が入ったことを検出する普通入賞口センサ、43はVゾーン32に遊技球が入ったことを検出するVゾーンセンサであり、これらのセンサ41〜43の検出信号は、上記振動センサ38及びカウントセンサ39の検出信号と共に、制御部50に入力される。また、44は筐体4の開操作の開始時点及び閉操作の終了時点をそれぞれ鍵装置17の開操作時及び閉操作時の竿部材19又はフック部材21a,21bの動きにより検出する開閉検出手段としての第1開閉スイッチ、45はガラス扉6の開操作の開始時点及び閉操作の終了時点をそれぞれ同じく鍵装置17の開操作時及び閉操作時の同様な部材の動きにより検出する開閉検出手段としての第2開閉スイッチであり、この両開閉スイッチ44,45の信号も制御部50に入力される。
上記制御部50は、各種センサ38,39,41〜43及びスイッチ44,45の信号をI/Oポート51を通して受ける主制御部52と、この主制御部52の制御指令を中継基板53を介して受ける第1及び第2の副制御部54,55とを備えている。主制御部52は、制御主体であるCPU57と、プログラム及び固定データなどを格納するROM58と、データの読み書きなどに用いられるRAM59とを有し、遊技状況に応じて、ドライバ回路60を介して羽根駆動部61及びVゾーン駆動部62に動作指令を出力するとともに、第1及び第2の副制御部54,55に制御指令を出力するようになっている。第1の副制御部54は、主制御部52と同じくCPU63とROM64とRAM65とを有し、主制御部52の制御指令に基づいて、ドライバ回路66を介して中央役物装置30の液晶表示部31に動作指令を出力するようになっている。第2の副制御部55も、主制御部52と同じくCPU67とROM68とRAM69とを有し、主制御部52の制御指令に基づいて、ドライバ回路70を介してスピーカ13及びガラス扉6の装飾パネル6b内又は遊技盤5上の各種演出ランプ71に動作指令を出力するようになっている。
上記主制御部52は、遊技状況に応じた制御とは別に、振動センサ38の検出信号に基づいて、不正行為を防止するために、ドライバ回路60を介して振動報知ランプ16を制御する不正行為防止制御手段としての機能を有するものであり、また、この制御に関連して、外部通信部73を介して、遊技島B内の隣接する他のパチンコ遊技機Aとの間で相互通信を行うようになっている。本実施形態の場合、図7に示すように、1つのパチンコ遊技機A1は、同じ遊技機列の左右両隣のパチンコ遊技機A2,A3、及び背面側の遊技機列の後隣りのパチンコ遊技機A4とそれぞれ接続線74a,74b,74cを介して相互通信可能に接続されている。
上記主制御部52のRAM60には、図6に示すように、不正行為防止制御に関連して、振動センサ38の信号を記憶する記憶領域としての振動センサ信号記憶部91と、開閉スイッチ44,45の信号を記憶する記憶領域としての開閉センサ信号記憶部92と、後述する計測時間を記憶する記憶領域としての計測時間記憶部93とが設けられている。
図8は上記主制御部52による不正行為防止制御の一例を示すフローチャートである。図8において、スタートした後、ステップS1で振動センサ38からの検出信号があるか否かを判定するとともに、ステップS2で振動センサフラグFaが1であるか否かを判定する。振動センサフラグFaは、振動センサ38を有効状態又は無効状態にするためのものであり、振動センサフラグFaが「0」のときは振動センサ38が無効状態であり、振動センサフラグFaが「1」のときは振動センサ38が有効状態である。
そして、上記両判定が共にYESのときには、ステップS3で振動報知ランプ16をONつまり点灯し、リターンする一方、いずれかの判定がNOのときには、ステップS4で振動報知ランプ16をOFFつまり消灯し、リターンする。
また、上記振動センサフラグFaの設定・変更のための制御は、主制御部52において不正行為防止制御と同時並行しかつ図9に示すフローチャートに従って行われる。
すなわち、図9において、スタートした後、先ず、ステップS11で振動センサフラグFaに、有効とするための「1」を設定する。
続いて、ステップS12で自機A1の開閉スイッチ44,45の信号に基づいて開閉スイッチ44,45のいずれかが開状態、つまり筐体4又はガラス扉6が開状態であるか否かを判定する。この判定がNOのときには、ステップS13で外部通信部73の信号を読み取り、しかる後、ステップS14で読み取った外部通信信号に基づいて遊技島B内の隣接する他のパチンコ遊技機A2〜A4で同じく開閉スイッチ44,45のいずれかが開状態であるか否かを判定する。
そして、自機A1及び隣接する他のパチンコ遊技機A2〜A4のいずれも開閉スイッチ44,45が閉状態のときには、更に、ステップS15でその開閉スイッチ44,45は前回開状態であるか否かを判定し、その判定がYESのときにはステップS16でタイマーTを零にセットした後、ステップS17へ移行する一方、判定がNOのときにはステップS16をスキップしてステップS17へ移行する。ステップS17では経過時間計測処理を行い、しかる後、ステップS18で所定時間が経過したか否かを判定し、その判定がYESのときには、ステップS19で外部送信処理を行った後、ステップS11に戻る一方、判定がNOのときには、ステップS21で外部送信処理を行った後、ステップS12に戻る。
一方、自機A1及び隣接する他のパチンコ遊技機A2〜A4のいずれかで開閉スイッチ44,45が開状態のとき(ステップS12又はS14の判定がYESのとき)には、ステップS20で振動センサフラグFaに、無効とするための「0」を設定し、ステップS21に移行する。
上記ステップS17の経過時間計測処理は、図10に示すフローチャートに従って行われる。すなわち、スタートした後、ステップS31で経過時間Tが所定時間Ta以上であるか否かを判定する。ここで、経過時間Taは、図9のステップS16でタイマーをセットした時点、つまり開閉スイッチ44,45が開状態から閉状態になった時点からの経過時間であり、所定時間Taは、図9のステップS18の所定時間と同じであって、3〜5秒の間に設定される。ステップS31の判定がNOの所定時間Ta未満のときには、ステップS32で制御サイクルタイムe(例えば4msec)を経過時間Tに加算して経過時間Tを更新した後、リターンする一方、判定がYESの所定時間Ta以上のときにはステップS32をスキップしてリターンする。
また、上記ステップS19及びS21の外部送信処理は、図11に示すフローチャートに従って行われる。すなわち、スタートした後、ステップS41で自機Aの開閉スイッチ44,45のいずれかが開状態であるか否かを判定し、その判定がYESのときにはステップS42で遊技島B内の隣接する他のパチンコ遊技機Aに対し外部通信部73を介して開状態信号を送信し、リターンする一方、判定がNOのときにはステップS43で遊技島B内の隣接する他のパチンコ遊技機Aに対し外部通信部73を介して閉状態信号を送信し、リターンする。
従って、上記パチンコ遊技機Aにおいては、遊技者が筐体4を叩いたり揺すったりしたときには、その振動を筐体4の背面側に設けた振動センサ38が検出し、この振動センサ38の検出信号を受ける制御部50の主制御部52の制御の下に振動報知ランプ16が点灯するため、その点灯を見た店員が遊技者に注意することができ、不正行為を防止することができる。
一方、遊技中に店員がパチンコ遊技機Aの点検調整のために筐体4又はガラス扉6を開閉し、その開閉に伴って振動が発生したときには、上記主制御部52は、振動センサ38の検出信号を受けるだけでなく、筐体4及びガラス扉6の開閉をそれぞれ検出する開閉スイッチ44,45の信号を受け、振動センサフラグFaに「0」を設定して振動センサ38の検出信号を無効にする(図9のステップS12,S20及び図8のステップS1,S2)。このため、振動報知ランプ16が誤って点灯することはなく、遊技者に不快感や苛立ちなどを与えることもない。
特に、本実施形態の場合、店員が遊技島B内の隣接する他のパチンコ遊技機、具体的には左右両隣又は後隣りのパチンコ遊技機A2〜A4の点検調整のためにその遊技機A2〜A4の筐体4又はガラス扉6を開閉し、その開閉に伴う振動を自機A1の振動センサ38が検出したときでも、自機A1の主制御部52は、外部通信部73を介して受ける他のパチンコ遊技機A2〜A4からの開閉スイッチ44,45の開状態信号に基づいて、振動センサフラグFaに「0」を設定して振動センサ38の検出信号を無効にする(図9のステップS13,S14,S20及び図8のステップS1,S2)。このため、自機A1の点検調整のために筐体4又はガラス扉6を開閉して振動が発生したときと同様に、振動報知ランプ16が誤って点灯することはなく、振動報知ランプ16の信頼性を高めることができるとともに、遊技者とのトラブル防止化を一層図ることができる。
しかも、上記開閉スイッチ44,45は、比較的検出が容易な筐体4又はガラス扉6の開操作の開始時点及び閉操作の終了時点を検出するものであって、構造的に簡易でかつコスト的に安価なもので足りるため、実施化を容易に図ることができる。
さらに、上記主制御部52は、自機A1又は隣接する他のパチンコ遊技機A2〜A4で開閉スイッチ44,45が開状態のとき、つまり筐体4又はガラス扉6の開操作の開始時点から閉操作の終了時点までの間、振動センサフラグFaに「0」を設定して振動センサ38の検出信号を無効にするだけでなく、筐体4又はガラス扉6の閉操作の終了時点から所定時間Taが経過するまでの間も振動センサフラグFaに「0」を維持して振動センサ38の検出信号を継続的に無効にしている(図9のステップS15〜S18、図10)。このことは、図12に示す開閉スイッチ44,45のON・OFF信号と振動センサ38の有効・無効領域との関係からも分かる。このため、店員が筐体4又はガラス扉6の閉鎖後に閉鎖状態を確認するために筐体4又はガラス扉6を引いたり押したりし、その操作によって振動が発生したときでも振動報知ランプ16が誤って点灯することはなく、振動報知ランプ16の信頼性をより高めることができる。
ここで、上記所定時間Taは、固定的に設定されるものである必要はなく、任意に設定変更が可能であることが好ましい。例えば、3秒、5秒、10秒というように数段階に変更、あるいは連続的な値に設定変更可能にすることが好ましい。従業員の施錠確認作業が長くかかり、頻繁に確認作業時間が設定時間を超えてしまうようなときには、作業中に頻繁に不正行為を検知してしまうことが考えられる。このような場合に、所定時間Taを長い値に変更することが可能となり、営業に支障を来さないという効果が得られる。
図13は本発明の第2の実施形態としてパチンコ遊技機の制御系の変形例を示す。この第2の実施形態の場合、パチンコ遊技機A(図1参照)は、筐体4の開閉動作中を検出する第1の開閉動作中センサ80と、ガラス扉6の開閉動作中を検出する第2の開閉動作中センサ81とを備えている。
また、主制御部52のRAM59´には、図14に示すように、不正行為防止制御に関連して、第1の実施形態の場合と同じく振動センサ信号記憶部91、開閉センサ信号記憶部92及び計測時間記憶部93の外に、上記第1及び第2の開閉動作中センサ80,81の信号を記憶する記憶領域としての開閉動作中センサ信号記憶部94が設けられている。
上記第1の開閉動作中センサ80は、図15に示すように、木枠1の上部枠材の上面に支軸82回りに回転自在に支持されかつ筐体4の上側ヒンジ2(図1参照)の軸部2aに固定したヒンジ側ギヤ83と噛合する筐体側ギヤ84を被検出体とし、この筐体側ギヤ84に対向して木枠1の上部枠材の上面に固定された磁石85及び半導体磁気抵抗素子86からなり、筐体4の開閉動作中に筐体側ギヤ84の回転に伴って磁石85による磁界が変化し、この磁界の変化を半導体磁気抵抗素子86により検知するようになっている。第2の開閉動作中センサ81は、図示していないが、第1の開閉動作中センサ80と同様な構成になっている。この両開閉動作中センサ80,81の検出信号は、他のセンサ38,39,41〜43及びスイッチ44,45の信号と共に、制御部50に入力される。また、第2の実施形態の場合、開閉動作中センサ80,81及び開閉スイッチ44,45により、筐体4及びガラス扉6の開動作中及び閉動作中をそれぞれ検出する開閉検出手段87が構成されている。尚、パチンコ遊技機Aの制御系のその他の構成は、第1の実施形態の場合と同じであり、同一部材には同一符号を付してその説明は省略する。
また、第2の実施形態でも、主制御部52は、第1の実施形態の場合と同じく、遊技状況に応じた制御とは別に、図8に示すフローチャートに従って不正行為防止制御を行うとともに、図16に示すフローチャートに従って振動センサフラグFaの設定・変更のための制御を行うようになっており、以下、この振動センサフラグFaの設定・変更のための制御について説明する。
すなわち、図16において、スタートした後、先ず、ステップS51で振動センサフラグFaに、有効とするための「1」を設定する。
続いて、ステップS52で自機A1の開閉スイッチ44,45の信号に基づいて開閉スイッチ44,45のいずれかが開状態、つまり筐体4又はガラス扉6が開状態であるか否かを判定する。この判定がNOのときには、ステップS53で外部通信部73の信号を読み取り、しかる後、ステップS54で読み取った外部通信信号に基づいて遊技島B(図7参照)内の隣接する他のパチンコ遊技機A2〜A4で筐体4又はガラス扉6が開閉動作中のものがあるか否かを判定する。
そして、自機A1の筐体4及びガラス扉6が共に閉状態でありかつ隣接する他のパチンコ遊技機A2〜A4のいずれも筐体4及びガラス扉6が開閉動作中でないときには、更に、ステップS55で開閉スイッチ44,45が今回閉状態で前回開状態のものがあるか否かを判定し、その判定がYESのときにはステップS56でタイマーTを零にセットした後、ステップS57へ移行する一方、判定がNOのときにはステップS56をスキップしてステップS57へ移行する。ステップS57では経過時間計測処理を行い、しかる後、ステップS58で所定時間が経過したか否かを判定し、その判定がYESのときには、ステップS59で外部送信処理を行った後、ステップS51に戻る一方、判定がNOのときには、ステップS61で外部送信処理を行った後、ステップS52に戻る。
一方、自機A1の筐体4又はガラス扉6が開状態のとき(ステップS52の判定がYESのとき)、あるいは隣接する他のパチンコ遊技機A2〜A4のいずれかで筐体4又はガラス扉6が開閉動作中のとき(ステップS54の判定がYESのとき)には、ステップS60で振動センサフラグFaに、無効とするための「0」を設定し、ステップS61に移行する。
上記ステップS57の経過時間計測処理は、第1の実施形態の場合と同じく図10に示すフローチャートに従って行われる。
また、上記ステップS59及びS61の外部送信処理は、図17に示すフローチャートに従って行われる。すなわち、スタートした後、ステップS71で自機A1の開閉スイッチ44,45のいずれかが開状態であるか否かを判定するとともに、ステップS72で自機A1の開閉動作中センサ80,81から検出信号があるか否かを判定し、この両判定が共にYESのときにはステップS73で遊技島B内の隣接する他のパチンコ遊技機A2〜A4に対し外部通信部73を介して開閉動作中信号を送信し、リターンする一方、判定がNOのときにはそのままリターンする。
従って、上記第2の実施形態においては、図18に示すように、自機A1の筐体4又はガラス扉6が開閉されるときには、第1の実施形態の場合と同じく開閉スイッチ44,45が開状態のとき、つまり筐体4又はガラス扉6の開操作の開始時点から閉操作の終了時点までの間、及び筐体4又はガラス扉6の閉操作の終了時点から所定時間Taが経過するまでの間、振動センサフラグFaに「0」を設定して振動センサ38の検出信号が無効にされるが、遊技島B内の隣接する他のパチンコ遊技機A2〜A4のいずれかで筐体4又はガラス扉6が開閉されるときには、筐体4又はガラス扉6の開動作中、閉動作中及び閉動作終了時点から所定時間Taの間だけ振動センサフラグFaに「0」を設定して振動センサ38の検出信号が無効にされる。このため、隣接する他のパチンコ遊技機A2〜A4で店員が筐体4又はガラス扉6を開けたまま長時間点検作業を行うときでもパチンコ遊技機A1の振動センサ38の無効時間を可及的に短縮することができるので、不正行為をより確実に防止することができる。
尚、本発明は上記第1及び第2の実施形態に限定されるものではなく、その他種々の形態を包含するものである。例えば上記各実施形態では、いずれも主制御部52において不正行為を防止するための制御として、振動センサ38の検出信号を受けたとき、筐体4に装備された振動報知ランプ16を点灯させて店員などに報知を行う場合について述べたが、本発明は、この場合に限らず、筐体4に装備されたその他の演出ランプ71又はスピーカ13で報知を行う場合、遊技球の払出を停止する場合、遊技球の発射などを規制して遊技を中断する場合、ホールコンピュータなどに不正行為の履歴信号を送信する場合、又はこれらを適宜組み合わせて行う場合などにも同様に適用することができる。
また、上記各実施形態では、パチンコ遊技機Aの制御部50に、遊技状況に応じた制御を行う主制御部52と、この主制御部52の制御指令に基づいて液晶表示部31を制御する第1の副制御部54と、同じく主制御部52の制御指令に基づいて各種演出ランプ71及びスピーカ13を制御する第2の副制御部55とを設けるとともに、この主・副制御部52,54,55が、それぞれCPU57,63,67とROM58,64,68とRAM59,65,69とを有する構成にしたが、本発明は、場合によっては、パチンコ遊技機Aの制御部50に、1つずつの演算部と記憶部とを設け、この制御部50で統一して制御を行う構成にしてもよい。逆に、各実施形態の如く主制御部52に、遊技状況に応じた制御と共に不正行為防止制御を行わせる代わりに、主制御部52と別に、不正行為防止制御専用の副制御部を設けてもよい。
さらに、上記各実施形態では、自機A1と遊技島B内の隣接する他のパチンコ遊技機A2〜A4との間で相互通信を可能にするに当たり、各パチンコ遊技機Aの外部通信部73同士を接続線74を介して接続したが、本発明は、図19に示すように、遊技島B内に、台間機Cと相互通信可能に接続されたCR対応型のパチンコ遊技機(いわゆるCR機)A´と現金専用のパチンコ遊技機Aとが混在する場合、台間機Cと現金専用のパチンコ遊技機Aとを接続線74で接続して、CR対応型のパチンコ遊技機A´と現金専用のパチンコ遊技機Aとの間で相互通信を行うようにしてもよい。また、図20に示すように、遊技島B内に、CR対応型のパチンコ遊技機A´1,A´2のみが設置される場合、台間機C1,C2同士を接続線74で接続して、隣接するパチンコ遊技機A´1,A´2同士の間で相互通信を行うようにしてもよい。
加えて、上記各実施形態では、筐体4の開操作の開始時点及び閉操作の終了時点をそれぞれ鍵装置17の開操作時及び閉操作時の竿部材19又はフック部材21の動きにより検出する第1開閉スイッチ44と、ガラス扉6の開操作の開始時点及び閉操作の終了時点をそれぞれ同じく鍵装置17の開操作時及び閉操作時の同様な部材の動きにより検出する第2開閉スイッチ45とを別々に設けたが、本発明は、部品点数を少なくするために、鍵装置17のシリンダの動きにより筐体4の開操作の開始時点及び閉操作の終了時点とガラス扉6の開操作の開始時点及び閉操作の終了時点とを共に検出する開閉スイッチないし開閉検出手段を設けてもよい。また、開閉検出手段としては、各実施形態の如く筐体4の開閉及びガラス扉6の開閉の両方を検出する場合だけでなく、筐体4の開閉のみを検出する場合、又はガラス扉6の開閉のみを検出する場合でもよい。
また、上記第2の実施形態では、筐体4及びガラス扉6の開閉動作中をそれぞれ検出する開閉動作中センサ80,81を、磁石85及び半導体磁気抵抗素子86により構成したが、本発明は、これに代えて、部品間の変位動作を検出し得る検知機構を備えていれば特に限定されず、距離変位センサなどを用いて構成してもよい。
さらに、上記第2の実施形態では、筐体4又はガラス扉6の開動作中、閉動作中及び閉動作終了時点から所定時間Ta(3〜5秒)の間だけ振動センサフラグFaに「0」を設定して振動センサ38の検出信号を無効にしたが、本発明は、筐体4又はガラス扉6の開動作終了時点から所定時間の間をも振動センサ38の検出信号を無効にするようにしてもよい。このものでは、振動の伝播が開動作終了後も続いた場合にも誤検出を防止できる。
さらにまた、上記各実施形態では、主制御部52が不正行為防止制御手段として不正行為を防止するための制御を実行するに当たり、外部通信部73を介して、遊技島B内の隣接する他のパチンコ遊技機A2〜A4との間で相互通信を行うように構成したが、この相互通信を行う場合には不正信号を防止するための機能を備えることが好ましい。例えば、開閉スイッチ44,45の開閉状態信号に、自機の識別信号情報を含めるようにし、受け手側では、この識別信号情報を確認する確認手段を備える構成にすることなどである。