JP5020133B2 - タイヤ成形型及びタイヤ製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、タイヤを加硫成形するためのタイヤ成形型とタイヤ製造方法に関する。
通常、空気入りタイヤのトレッド面には、周方向溝や横溝などの溝部と、その溝部により区分されたブロックやリブなどの陸部とが設けられ、要求されるタイヤ性能や使用条件に応じた各種のトレッドパターンが形成される。また、冬用タイヤとして有用なスタッドレスタイヤでは、陸部にサイプと呼ばれる切り込みを形成しており、このサイプによるエッジ効果によって、摩擦係数が低いアイス路面での走行性能を高めている。
図8に示したブロック90は陸部の一例であり、その周囲を溝部91に取り囲まれている。この例では、2本のサイプ92が、ブロック90の表面で直線状に延びて並設されている。溝部91の縁となるグルーブエッジ部GE、及び、サイプ92の縁となるサイプエッジ部SEは、ブロック90の倒れ込み等によりエッジ効果を奏する箇所であり、タイヤの制動性能や耐偏摩耗性能に及ぼす影響が大きい。
ところで、下記特許文献1には、グルーブエッジ部の硬度を局部的に高めたタイヤが記載されている。更に、下記特許文献2には、グルーブエッジ部だけでなく、サイプエッジ部の硬度をも局部的に高めたタイヤが記載されている。これらのタイヤは、グルーブエッジ部やサイプエッジ部によるエッジ効果を高めて、アイス路面における制動性能(アイス制動性能)を向上することを企図したものである。
しかし、下記特許文献1,2記載のタイヤは、発泡ゴムを主体とする特殊なトレッド構造を有するものであり、その製造方法は、発泡ゴムからなるトレッドゴムの表面に無発泡ゴムを薄膜状に配設し、その上からトレッドパターンを形成するというものである。これらのタイヤは、グルーブエッジ部やサイプエッジ部を異配合ゴムにより形成しているに過ぎず、製作上の問題があるほか、界面剥離などの不具合も懸念される。
このような異配合ゴムを利用する場合を除き、グルーブエッジ部又はサイプエッジ部の硬度を局部的に異ならせたタイヤ、並びに、そのようなタイヤを成形できるタイヤ成形型及びタイヤ製造方法は、本発明者が知る限りにおいて本出願時までに存在しない。
下記特許文献3には、タイヤのトレッド面を成形する型部に加熱手段又は冷却手段を設けて、ブロックの蹴り出し側と踏み込み側とに剛性差を付けるタイヤ成形型が開示されている。しかし、このタイヤ成形型は、トレッド面から離れた位置に設けた管路やヒーターによって、トレッド面を間接的に加熱又は冷却するものであるため、トレッド面の近傍だけで剛性差を生じ易く、その剛性差を生じた部分が摩耗により早期に消滅してしまう。
一方、下記特許文献3に記載のタイヤ成形型を用いて、ブロックの蹴り出し側と踏み込み側とに剛性差を付けるに際し、ある程度の広がりを持った領域を対象として、管路やヒーターによる加熱や冷却を行うことも考えられる。しかし、その場合には、剛性差を生じる部分が深く形成されるものの、グルーブエッジ部やサイプエッジ部といった微小な範囲での剛性変化は得られない。
特開平8−175116号公報 特開平5−147412号公報 特開平11−165320号公報
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、グルーブエッジ部やサイプエッジ部といった微小な範囲で硬度を変化させることができるタイヤ成形型及びタイヤ製造方法を提供することにある。
上記目的は、下記の如き本発明により達成できる。即ち、本発明に係るタイヤ成形型は、タイヤのトレッド面を成形するトレッド型部と、前記トレッド型部を背面側から加熱する加熱手段と、前記トレッド型部に埋め込まれて前記トレッド型部の成形面から端部が突出した埋込部材とを備え、前記トレッド型部が、前記成形面を含む内側部材と、前記内側部材の背面側に配置されたバック部材とを有し、前記埋込部材が、前記バック部材に侵入した侵入部を有するとともに、前記内側部材とは熱伝導率が異なる素材により形成されているものである。
このタイヤ成形型では、トレッド型部が、成形面を含む内側部材とその背面側に配置されたバック部材とを有することから、まずはバック部材が高温となり、その熱が内側部材を介してタイヤのトレッド面に伝達される。また、上記の如き埋込部材を備えることにより、バック部材の熱を内側部材を介してトレッド面に伝達しつつ、内側部材と埋込部材との熱伝導の差を利用して、埋込部材の突出した端部の温度を成形面の温度と異ならせることができる。このため、埋込部材の突出した端部周辺のゴムの硬度を局部的に変化させることができ、延いてはグルーブエッジ部やサイプエッジ部といった微小な範囲で硬度を変化させてタイヤ性能を改善することができる。
また、本発明のタイヤ成形型によれば、硬度が変化する部分を、埋込部材の突出した端部に沿って深く形成することが可能であり、タイヤ性能の改善効果を摩耗末期まで良好に持続できる。しかも、グルーブエッジ部やサイプエッジ部を異配合ゴムにより形成する必要がないため、通常の未加硫タイヤを使用することができ、硬度が異なる箇所で界面剥離が起こる心配もない。
本発明に係るタイヤ製造方法は、タイヤ成形型に未加硫のタイヤをセットした後、そのタイヤを加熱するとともにトレッド面にトレッド型部の成形面を押し当てて加硫成形する工程を含むタイヤ製造方法において、前記トレッド型部が、前記成形面を含む内側部材と、前記内側部材の背面側に配置されたバック部材とを有し、前記トレッド型部に埋め込まれて前記成形面から端部が突出した埋込部材が、前記バック部材に侵入した侵入部を有するとともに、前記内側部材とは熱伝導率が異なる素材により形成されているタイヤ成形型を用いて、タイヤを加硫成形する際に、前記トレッド型部を背面側から加熱して前記バック部材の熱を前記内側部材を介してトレッド面に伝達しつつ、前記内側部材と前記埋込部材との熱伝導の差を利用して、前記埋込部材の突出した端部の温度を前記成形面の温度と異ならせることを特徴とする。
このタイヤ製造方法では、タイヤを加硫成形するに際し、トレッド型部の内側部材とそのトレッド型部に埋め込まれた埋込部材との熱伝導の差を利用して、埋込部材の突出した端部の温度を成形面の温度と異ならせることができるため、埋込部材の突出した端部周辺のゴムの硬度を局部的に変化させることができ、延いてはグルーブエッジ部やサイプエッジ部といった微小な範囲で硬度を変化させてタイヤ性能を改善することができる。
また、本発明のタイヤ製造方法によれば、硬度が変化する部分を、埋込部材の突出した端部に沿って深く形成することが可能であり、タイヤ性能の改善効果を摩耗末期まで良好に持続できる。しかも、グルーブエッジ部やサイプエッジ部を異配合ゴムにより形成する必要がないため、通常の未加硫タイヤを使用することができ、硬度が異なる箇所で界面剥離が起こる心配もない。
本発明に係るタイヤ成形型及びタイヤ製造方法では、前記埋込部材の突出した端部が、トレッド面に溝部を形成するための骨部、又は、陸部にサイプを形成するためのブレードを構成することができる。
埋込部材の突出した端部が骨部を構成する場合にはグルーブエッジ部の硬度を、ブレードを構成する場合にはサイプエッジ部の硬度を、それぞれ局部的に変化させることが可能である。その結果、例えばグルーブエッジ部やサイプエッジ部の硬度を局部的に高めて剛性を上げることで、ブロックの稜線やサイプによるエッジ効果を高めてアイス制動性能を向上することができ、冬用タイヤとして特に有用となる。
また、ドライ路面での走行時においては、陸部の中央部よりもグルーブエッジ部の接地圧が高く、それに起因して接地圧が不均一化する傾向にある。そのため、グルーブエッジ部の硬度を局部的に低くして剛性を下げることで、グルーブエッジ部での接地圧を低めて陸部における接地圧を均一化し、ドライ路面における制動性能や耐偏摩耗性能を向上することができ、夏用タイヤとして特に有用となる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係るタイヤ成形型の一例を概略的に示す縦断面図であり、型締め状態を示している。図1において、タイヤ(不図示)はタイヤ軸方向が上下になるようにセットされ、図1右側がタイヤ径方向内側、図1左側がタイヤ径方向外側となる。
このタイヤ成形型20(以下、単に「成形型20」と称する場合がある。)は、タイヤのトレッド面を成形する環状のトレッド型部1と、タイヤのサイドウォール部外面を成形する一対のサイド型部2,3と、サイド型部2,3のタイヤ径方向内側に配された一対のビードリング4とを備える。成形型20にセットされたタイヤは、ビードリング4によってビード部を固定された状態となる。
トレッド型部1の内周側となる成形面1aには、タイヤのトレッド面に溝部を形成するための骨部と、その骨部によって区分された、陸部を形成するための凹所とが設けられている。また、トレッド面の陸部にサイプを形成するためのブレードが、必要に応じて凹所に配設される。加硫成形時には、未加硫タイヤのトレッド面に成形面1aが押し当てられ、骨部と凹所に対応したトレッドパターンが形成される。
本実施形態の成形型20は、所謂セグメンテッドモールドであり、トレッド型部1はタイヤ周方向に分割されたセクターの組み合わせからなる。すなわち、トレッド型部1は、型締め時には各セクターが互いに寄り集まって連続した円環状をなす状態となり、型開き時には各セクターがタイヤ径方向外側に変位して互いに離間した状態となる。
トレッド型部1は、成形面1aを含む内側部材11と、その内側部材11の背面側に配置されたバック部材12とを有する。内側部材11は、図2(a)に示すように一体的に構成してもよいが、図2(b)に示すような複数のピースの組み合わせにより構成することもできる。内側部材11は、バック部材12の内周側に嵌め込まれ、ボルトやストッパー等により脱落しないように固定される。なお、図2では成形面1aの凹凸形状(骨部と凹所)について記載を省略している。
内側部材11の素材としては、アルミニウムが例示される。このアルミニウムとは、純アルミ系の素材のみならず、アルミニウム合金を含む概念であり、例えばAl−Cu系、Al−Mg系、Al−Mg−Si系、Al−Zn−Mg系、Al−Mn系、Al−Si系が挙げられる。一方、バック部材12の素材としては、内側部材11とは異なる素材が好ましく採用され、スチール等の鉄系材料が例示される。
トレッド型部1は、加熱手段としてのコーンリング24によって外周を取り囲まれている。コーンリング24には通路26が設けられていて、その内部を加熱流体が流動するように構成されている。加熱流体としては、スチームやガス、温水などが例示される。この加熱流体の流動によって、トレッド型部1が背面側から所定の温度に加熱される。
図示を省略しているが、サイド型部2の下方には下側プラテンが配設され、サイド型部3の上方には上側プラテンが配設されている。これらのプラテンには、それぞれ内部に通路が形成され、コーンリング24と同様に加熱流体が流動するように構成されている。この加熱流体の流動によって、サイド型部2,3が所定の温度に加熱される。
トレッド型部1の背面側となる外周面には、セクターごとにコンテナ21が取り付けられている。コンテナ21は、昇降自在に構成されたサイドプレート23の下面に、タイヤ径方向に沿って摺動可能に取り付けられている。コーンリング24は、コンテナ21の外側斜面に設けられたレール25に嵌合されており、サイドプレート23に対して相対的に昇降自在に構成されている。
図1に示した型締め状態において、コーンリング24を上昇させてコンテナ21をタイヤ径方向外側に移動させると、トレッド型部1が拡径してサイド型部2,3から離間し、更にサイドプレート23及びコンテナ21を上昇させると、トレッド型部1とサイド型部3が持ち上がって型開き状態に移行する。型開き状態から型締め状態への移行は、上記動作を逆に行えばよい。
図示を省略しているが、成形型20の内部にはブラダーと呼ばれるゴムバッグが設置されている。加硫成形時には、ブラダーをタイヤ径方向外側に膨張させることにより、タイヤのトレッド面が成形面1aに押し当てられる。なお、ブラダーに代えて剛性コアを使用することも可能である。
図1に示すように、この成形型20は、トレッド型部1に埋め込まれてトレッド型部1の成形面1aから端部6aが突出した埋込部材6を備える。この端部6aは、タイヤのトレッド面に押し当たって凹みを形成する部分となる。したがって、埋込部材6の突出した端部6aは、トレッド面に溝部を形成するための骨部、又は、トレッド面の陸部にサイプを形成するためのブレードを構成することができる。
埋込部材6は、バック部材12に侵入する侵入部6bを有する。本実施形態では、埋込部材6の端部6aとは反対側となる端部がバック部材12にまで入り込んでおり、この端部が侵入部6bとなる。また、埋込部材6は、内側部材11とは熱伝導率が異なる素材により形成されている。このため、コーンリング24により加熱されて高温となったバック部材12から、内側部材11と埋込部材6とにそれぞれ熱が供給されるものの、その熱の伝わり易さは異なったものとなる。
図3は、トレッド型部1の断面を概念的に示した要部拡大図である。この図では1本の骨部61と1枚のブレード62とを代表的に示しているが、実際の成形面1aには複数本の骨部と複数枚のブレードが複雑に配設される。
図3に示すように、骨部61及びブレード62は、いずれも埋込部材6の突出した端部6aにより構成されている。すなわち、トレッド型部1に埋め込まれた埋込部材6A,6Bは、その端部を成形面1aから突出させていて、その突出した端部が骨部61やブレード62として供される。また、埋込部材6A,6Bは、骨部61又はブレード62を構成する端部とは反対側の端部63,64をバック部材12に入り込ませていて、これらが侵入部6bを構成する。
図4は、従来の成形型が備えるトレッド型部の断面を概念的に示した要部拡大図である。図4に示すように、従来の成形型が備えるトレッド型部95では、骨部96が成形面98と一体的に設けられていたり、ブレード97が数ミリ程度の深さで成形面98に埋設されていたりする。そのため、トレッド型部95を所定の温度に加熱することによって、骨部96、ブレード97及び成形面98の温度は同等となる。
本発明において、埋込部材6の素材は、内側部材11と熱伝導率が異なるものであれば特に限られない。埋込部材6の熱伝導率を内側部材11よりも高くするか低くするかについては、改善すべきタイヤ性能に応じて適宜に選択すればよく、詳しくは後述する。また、埋込部材6と内側部材11との間に断熱材を介在させて、それらの間での熱伝達を抑えることは好適である。
本実施形態では、内側部材11をアルミニウムで形成し、バック部材12をスチールで形成し、埋込部材6を内側部材11よりも熱伝導率が低い素材(例えばSUS)で形成した例を示す。参考までに、室温付近での熱伝導率として、アルミニウムは236、鉄は84、銅は390であることが知られている(単位はW/(m・K))。
本発明のタイヤ成形型では、トレッド型部やサイド型部の形状や移動機構、骨部や凹所、ブレードの形状、ブレードの有無などは、用途や条件に応じて適宜に変更することが可能である。また、本発明は、トレッド型部がタイヤ幅方向に分割された所謂2ピースモールドであっても適用可能である。
以下、上記の成形型を用いてタイヤを製造する方法について説明する。まずは、成形型20に未加硫のタイヤをセットして型締めする。次に、ブラダーを膨張させて、タイヤのトレッド面を成形面1aに押し当てるとともに、タイヤのサイドウォール部外面をサイド型部2,3の内周面に押し当てる。このとき、骨部61によってトレッド面に溝部が形成され、ブレード62によってトレッド面にサイプが形成される。
トレッド型部1及びサイド型部2,3は、それぞれコーンリング24とプラテンによって所定の温度に加熱されており、成形型20内の未加硫タイヤは適切な加硫温度(例えば160〜180℃程度)にて加硫される。トレッド型部1について詳しく言えば、コーンリング24がトレッド型部1を背面側から加熱することで、まずはバック部材12が高温となり、その熱が内側部材11を介してタイヤのトレッド面に伝達され、主にトレッドゴムの加硫に供される。
このとき、バック部材12の熱を内側部材11を介してトレッド面に伝達しつつ、内側部材11と埋込部材6との熱伝導の差を利用して、埋込部材6の突出した端部6aの温度を成形面1aの温度と異ならせる。本実施形態では、内側部材11よりも埋込部材6の熱伝導率が低く、内側部材11と比べてバック部材12からの熱が伝わり難いので、端部6aの温度を成形面1aの温度よりも低くできる。
このため、埋込部材6の端部6aが骨部61を構成する場合であれば、図5に示すように、トレッド面Trに押し当たった骨部61が溝部81を形成するに際し、骨部61の周辺となる領域Aの温度を他部よりも低くし、その領域Aにおけるゴムの硬度を高くすることができる。その結果、溝部81の縁となるグルーブエッジ部GEの硬度を局部的に高くすることができる。
また、埋込部材6の端部6aがブレード62を構成する場合であれば、図6に示すように、トレッド面Trに押し当たったブレード62がサイプ82を形成するに際し、ブレード62の周辺となる領域Bの温度を他部よりも低くし、その領域Bにおけるゴムの硬度を高くすることができる。その結果、サイプ82の縁となるサイプエッジ部SEの硬度を局部的に高くすることができる。
このようにグルーブエッジ部GEやサイプエッジ部SEの硬度を局部的に高くして剛性を高めることにより、ブロックの稜線やサイプによるエッジ効果を高めて、アイス制動性能を向上することができる。しかも、ゴムの硬度の高い部分を、領域A,Bの如く溝部81又はサイプ82の深さ方向に沿って深く形成できることから、摩耗が進行してもグルーブエッジ部GEやサイプエッジ部SEは常に硬度が高いものとなり、タイヤ性能の改善効果を摩耗末期まで良好に持続することができる。
本発明では、成形面1a内の全ての骨部やブレードを埋込部材6の端部6aで構成できるが、成形面1a内の一部の骨部又はブレードに対してだけ適用しても構わない。したがって、例えば横溝を形成する骨部に係る埋込部材だけを冷却してもよく、その場合には、グルーブエッジ部の中でも特に制動性能への寄与が大きい部分に対して集中的に硬度を高められる。また、複数本のサイプが並設された場合にサイプエッジ部の硬度を1本置きに変えるなど、本発明において硬度を変化させる箇所の配置に関しては様々なバリエーションが考えられる。
ところで、本発明では、埋込部材6を内側部材11よりも熱伝導率が高い素材(例えば銅系材料)で形成し、バック部材12からの熱が内側部材11よりも伝わり易くして、端部6aの温度を成形面1aの温度よりも高めることが可能である。この場合、上記とは逆に、端部6a周辺のゴムの硬度を低くして剛性を下げることができる。その結果、例えば、ドライ路面で接地圧が高くなりがちなグルーブエッジ部GEの剛性を下げ、それによって陸部の接地圧を均一化し、ドライ路面における制動性能や耐偏摩耗性能を向上することができる。
アイス制動性能やドライ制動性能の向上といったタイヤ性能の改善効果を適切に奏する観点から、端部6a周辺のゴムと他部におけるゴムとの間で4°以上の硬度差を生じさせることが好ましい。このゴム硬度は、JISK6253のデュロメータ硬さ試験(タイプA)に準じて測定した値である。
このようなゴムの硬度差を述べる場合、端部6a周辺のゴム硬度は、図7においてハッチングを施した領域で測定したものとし、他部のゴム硬度は、その領域外で測定したものとする。すなわち、グルーブエッジ部GEの硬度は、ブロックの稜線から陸部長さX,Yの10%となる範囲内で測定するものとし、サイプエッジ部SEの硬度は、サイプ82からの距離dが1mm程度となる範囲内で測定するものとする。
上記では、端部6aの温度を低めることで周辺のゴムの硬度が上がり、端部6aの温度を高めることで周辺のゴムの硬度が下がると記述したが、この現象は加硫温度と加硫挙動との関係から説明できる。すなわち、ゴムの加硫では、加硫温度が高いほど加硫戻りの開始時期が早くなるため、一般的なタイヤの加硫成形に採用される加硫時間においては、加硫温度が高いほどゴムの硬度が低くなる傾向にある。
したがって、例えば加硫戻りが起こらない程度に加硫時間が短い場合など、加硫時間やゴム配合などの条件によっては、上記とは逆に、埋込部材の端部の温度を低めると周辺のゴムの硬度が下がるという現象が起きる可能性がある。しかし、このことは本発明では特に問題とはならない。なぜなら、実施する加硫条件において、どちらの現象が起こるのかは予め容易に把握できるものであり、埋込部材の端部周辺にて硬度を高めるのか或いは低下させるのかに応じて、埋込部材の熱伝導率を内側部材よりも高くするか低くするかを選択すればよいからである。
本発明に係るタイヤ製造方法は、タイヤを加硫成形する際に、上記の如き内側部材と埋込部材との熱伝導の差を利用して、埋込部材の突出した端部の温度を成形面の温度と異ならせること以外は、通常のタイヤ製造方法と同様であり、加硫成形に関する工程を除けば、従来公知の製法や工程を適用することが可能である。
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例について説明する。タイヤの各性能評価は、次のようにして行った。
(1)アイス制動性能
タイヤを2500ccクラスの乗用車(後輪駆動)に装着し、氷盤路面(摩擦係数μ≒0.1)を走行させ、速度40km/hで制動力をかけてABSを作動させたときの制動距離を指数で評価した。比較例1の結果を100とし、数値が大きいほど制動距離が短く、アイス制動性能に優れていることを示す。
(2)ドライ制動性能
タイヤを2500ccクラスの乗用車(後輪駆動)に装着し、ドライ路面(摩擦係数μ≒1.0)を走行させ、速度100km/hで制動力をかけてABSを作動させたときの制動距離を指数で評価した。比較例2の結果を100とし、数値が大きいほど制動距離が短く、ドライ制動性能に優れていることを示す。
未加硫タイヤとしては、トレッドゴムの配合が異なる2種を用意した。一方は、一般的なスタッドレスタイヤ(冬用タイヤ)に用いられるゴム配合(A配合)であり、もう一方は、一般的なサマータイヤ(夏用タイヤ)に用いられるゴム配合(B配合)である。このA配合とB配合のゴムに対して、加硫時間を10分間としたときの、加硫温度とゴム硬度との関係を表1に示す。
Figure 0005020133
表1における測定値は、上述した硬さ試験に準じて測定した値を指す。後掲の表2におけるゴム硬度も同様である。表1から、このA配合とB配合のゴムは、10分間の加硫において加硫温度が高いほど硬度が低くなることが分かる。したがって、この場合、ゴム硬度を高くしたいのであれば加硫温度を低く設定すればよいことになる。
比較例1
タイヤサイズが215/60R16であってトレッドゴムの配合がA配合である未加硫のタイヤを、通常の方法により加硫成形したものを比較例1とした。加硫温度は180℃、加硫時間は10分間、サイプ間距離(ブレード間距離)は4mmとした。比較例1では、トレッド型部の成形面と骨部及びブレードとが同じ温度に加熱保持された状態にて、未加硫タイヤのトレッド面に押し当たることになる。
実施例1
未加硫のタイヤを加硫成形するにあたり、上記の如きタイヤ成形型を用いたこと以外は比較例1と同じにしたものを実施例1とした。この成形型は、内側部材の素材がアルミニウム、バック部材及び埋込部材の素材がSUSである。実施例1では、トレッド型部の成形面の温度と埋込部材の端部の温度とが異なり、骨部及びサイプの周辺のゴムの硬度を局部的に変化させたものとなる。
比較例2
トレッドゴムの配合をB配合、加硫温度を160℃としたこと以外は、比較例1と同じにしたものを比較例2とした。なお、比較例2では成形型にブレードを設けていない。
実施例2
未加硫のタイヤを加硫成形するにあたり、上記の如きタイヤ成形型を用いたこと以外は比較例2と同じにしたものを実施例2とした。この成形型は、内側部材の素材がアルミニウム、バック部材の素材がSUS、埋込部材の素材が銅である。実施例2では、トレッド型部の成形面の温度と埋込部材の端部の温度とが異なり、骨部の周辺のゴムの硬度を局部的に変化させたものとなる。
比較例1,2及び実施例1,2に対し、トレッドゴムの硬度、エッジ部の硬度及び制動性能を調べた結果を表2に示す。表2において、「エッジ部の硬度」とは、比較例1及び実施例1ではサイプエッジ部にて測定したゴム硬度であり、比較例2及び実施例2ではグルーブエッジ部にて測定したゴム硬度である。
Figure 0005020133
表2より、比較例1ではトレッドゴムの硬度が一様に45°であるのに対し、実施例1ではサイプエッジ部にて硬度が局部的に高く変化していることが分かる。その結果、実施例1ではエッジ効果を高めてアイス制動性能を向上できている。また、比較例2では、トレッドゴムの硬度が一様に54°であるのに対し、実施例2ではグルーブエッジ部にて硬度が局部的に低く変化していることが分かる。その結果、実施例2ではブロック内の接地圧を均一化してドライ制動性能を向上できている。
本発明に係るタイヤ成形型の一例を概略的に示す縦断面図 トレッド型部を構成するセクターの1つを概略的に示す斜視図 本実施形態のタイヤ成形型が備えるトレッド型部の断面を概念的に示した要部拡大図 従来のタイヤ成形型が備えるトレッド型部の断面を概念的に示した要部拡大図 加硫成形時における骨部周辺の様子を示す断面図 加硫成形時におけるブレード周辺の様子を示す断面図 ゴム硬度の測定領域を示すためのブロックの平面図 サイプが形成されたブロックの斜視図
符号の説明
1 トレッド型部
1a 成形面
6 埋込部材
6a 埋込部材の突出した端部
6b 侵入部
11 内側部材
12 バック部材
20 タイヤ成形型
24 コーンリング(加熱手段)
26 通路
61 骨部
62 ブレード
81 溝部
82 サイプ
GE グルーブエッジ部
SE サイプエッジ部

Claims (4)

  1. タイヤのトレッド面を成形するトレッド型部と、前記トレッド型部を背面側から加熱する加熱手段と、前記トレッド型部に埋め込まれて前記トレッド型部の成形面から端部が突出した埋込部材とを備え、
    前記トレッド型部が、前記成形面を含む内側部材と、前記内側部材の背面側に配置されたバック部材とを有し、前記埋込部材が、前記バック部材に侵入した侵入部を有するとともに、前記内側部材とは熱伝導率が異なる素材により形成されているタイヤ成形型。
  2. 前記埋込部材の突出した端部が、トレッド面に溝部を形成するための骨部、又は、陸部にサイプを形成するためのブレードを構成する請求項1に記載のタイヤ成形型。
  3. タイヤ成形型に未加硫のタイヤをセットした後、そのタイヤを加熱するとともにトレッド面にトレッド型部の成形面を押し当てて加硫成形する工程を含むタイヤ製造方法において、
    前記トレッド型部が、前記成形面を含む内側部材と、前記内側部材の背面側に配置されたバック部材とを有し、前記トレッド型部に埋め込まれて前記成形面から端部が突出した埋込部材が、前記バック部材に侵入した侵入部を有するとともに、前記内側部材とは熱伝導率が異なる素材により形成されているタイヤ成形型を用いて、
    タイヤを加硫成形する際に、前記トレッド型部を背面側から加熱して前記バック部材の熱を前記内側部材を介してトレッド面に伝達しつつ、前記内側部材と前記埋込部材との熱伝導の差を利用して、前記埋込部材の突出した端部の温度を前記成形面の温度と異ならせることを特徴とするタイヤ製造方法。
  4. 前記埋込部材の突出した端部が、トレッド面に溝部を形成するための骨部、又は、陸部にサイプを形成するためのブレードを構成する請求項3に記載のタイヤ製造方法。
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