JP5019046B2 - モノヒドロパーフルオロシクロアルカン類の製造方法 - Google Patents

モノヒドロパーフルオロシクロアルカン類の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、冷媒、洗浄剤組成物、発泡剤、半導体装置の製造分野において有用なプラズマ反応用ガス等の用途で有用なモノヒドロパーフルオロシクロアルカン類の製造方法に関する。
環状構造を有するパーフルオロシクロアルカン化合物はさまざまな種類が知られており、それらの中でも水素原子を1つのみ有するモノヒドロパーフルオロシクロアルカン類は沸点が低く、且つ引火点をもたないという特徴を有するため、冷媒、洗浄剤(乾燥剤)、発泡剤、あるいは半導体製造時に使用されるエッチング等に有用であり、いくつか文献が知られている。これらのモノヒドロパーフルオロシクロアルカン類の製造方法もいくつか知られている。
例えば、非特許文献1には、テトラフルオロシクロブテンを原料にして、フッ素化剤としてフッ化銀を用いることによりヘプタフルオロシクロブタン(C4F7H)を収率73%で得ている。非特許文献2においては、シクロペンタジエンをフッ素ガスにてフッ素化することにより収率22%程度でノナフルオロシクロペンタン(C5F9H)を得ている。さらには、非特許文献3においてはベンゼンを原料にして、やはりフッ素ガスで処理することにより多種類生成する生成物のうちの1成分としてウンデカフルオロシクロへキサン(C6F11H)が得られている。
一方、炭素−ハロゲン結合を炭素―水素結合に変換する方法としては種々の方法が知られている。例えば、非特許文献4においては、1−ハロゲノフルオロシクロプロパン類をラジカル発生剤存在下にスズヒドリドを水素源に還元を行い、最高で78%の収率で水素化体を得ている。また、非特許文献5においては同様に1−ハロゲノフルオロシクロプロパン類をラジカル発生剤存在下にアルキルヒドロシランを水素源に還元を行い、水素化体を最高69%の収率で得ている。特許文献1においてはクロロノナフルオロシクロペンタンを 還元作用を有する亜鉛等の金属、あるいは水素ガスにて処理を行っているが、本願で目的とするノナフルオロシクロペンタンは得られておらず、二重結合を有するシクロオレフィン体が主生成物として得られているにすぎない。
特開平11−335309号公報 Journal of Fluorine Chemistry,Vol.127,79(2006) Journal of Chemical Society,Vol.281,(1963) Journal of American Chemical Society,Vol63,2792(1941) Journal of Organic Chemistry,Vol.35,33(1971) Bulletin of the Chemical Society of Japan, Vol.46,3513(1973)
上述したモノヒドロパーフルオロシクロアルカン類の製造方法は、副原料が高価であるか、反応操作の非常に困難な製造法のために収率や選択性が非常に低く、有効な工業的製造方法とは言い難かった。また、非特許文献4に示されるようなスズヒドリド類を使用する方法では実験室レベルでは使用可能であっても、工業的にはその毒性、廃棄物処理の問題を有しているため使用することは事実上困難であった。一方、非特許文献5に記載の方法では、アルキルヒドロシラン類を水素源に使用してハロゲノ基を水素に変換する反応が記載されているが、シクロプロパン誘導体の製造についてしか記載されておらず、本発明のパーフルオロ化合物へ適用は記載されていない。加えて、アルキルヒドロシラン類は引火点が低く、火災等の危険性を伴うため取り扱いにくいという欠点を持つ。また、特許文献1に記載されているような水素、還元作用を有する金属で処理する方法では目的とするモノヒドロ体を得るに至っていない。以上のような背景から、工業的規模においても安全性を高めることができ、且つ、収率良くモノヒドロパーフルオロシクロアルカン類を製造することのできる工業的な製造方法の確立が求められていた。
すなわち、本発明の課題は、モノヒドロパーフルオロシクロアルカン類を簡便な操作で工業的に有利に製造する方法を提供することにある。
すなわち本発明は、
(1)式(1)
Figure 0005019046
(式中、nは、2、3、4から選択される整数、Xは塩素、臭素、またはヨウ素を表す)
で表されるハロゲノフルオロシクロアルカン化合物とヒドロアルキルシラン類をラジカル開始剤の存在下に接触させて式(2)
Figure 0005019046
(式中、nは2、3,4から選択される整数)
で表されるモノヒドロパーフルオロシクロアルカン類を製造する方法において、
式(2)で表されるモノヒドロパーフルオロシクロアルカン類の沸点よりも10℃以上高い沸点を有し、且つ、引火点を有しないフッ素系溶媒を溶媒として使用することを特徴とするモノヒドロパーフルオロシクロアルカン類の製造方法。
(2)前記製造方法に用いる反応器に精留塔を付して、
生成するモノヒドロパーフルオロシクロアルカン類を間欠的又は連続的に反応系外に抜き出すことを特徴とする請求項1記載の製造方法。
(3)前記製造方法で製造される化合物が、ノナフルオロシクロペンタンであることを特徴とする請求項1、2のいずれかに記載の製造方法。
である。
本発明の製造方法によれば、モノヒドロパーフルオロシクロアルカンを製造する際に、収率良く、また、工業的にも安全に操業を可能にするという効果を奏する。
本発明においては、式(1)
Figure 0005019046
(式中、nは、2、3,4から選択される整数、Xは塩素、臭素、またはヨウ素を表す)
で表されるハロゲノフルオロシクロアルカン化合物とヒドロアルキルシラン類を必須原料として用いる。
前記式(1)に示されるハロゲノフルオロシクロアルカン化合物とは、式(1)中のXが塩素、臭素、ヨウ素等のフッ素以外のハロゲノ基である化合物をいう。その例としては、1−クロロヘプタフルオロシクロブタン、1−クロロノナフルオロシクロペンタン、1−クロロウンデカフルオロシクロヘキサンなどの塩素化物、1−ブロモヘプタフルオロシクロブタン、1−ブロモノナフルオロシクロペンタン、1−ブロモウンデカフルオロシクロヘキサンなどの臭素化物、1−ヨードヘプタフルオロシクロブタン、1−ヨードノナフルオロシクロペンタン、1−ヨードウンデカフルオロシクロヘキサンなどのヨウ素化物が挙げられる。
このようなハロゲンを有するパーフルオロシクロアルカン類は以下の方法によって入手することが可能である。例えば、1−クロロヘプタフルオロシクロブタンにおいては米国特許第2、427、116号に記載されているように、工業的に入手可能なテトラフルオロエチレンとクロロトリフルオロエチレンの混合物を熱的に環化されることにより製造することができる。また、1−クロロノナフルオロシクロペンタンにおいては、Journal of Organic Chemistry, Vol.49,2717(1984)に記載の方法に従い、クロロシクロペンタンをフッ素ガスで処理することにより合成することができる。
1−ブロモノナフルオロシクロペンタンにおいては、英国特許第965、643号公報に従い、1,2−ジブロモオクタフルオロシクロペンタンをフッ化カリウムで処理することにより得ることができる。また、1−ブロモウンデカフルロシクロへキサンについては、Journal of Fluorine Chemistry,Vol.49,385(1990)記載の方法により、ブロモノナフルオロシクロへキセンをフッ素化剤として5フッ化バナジウムにて処理することにより製造可能である。
1−ヨードウンデカフルオロシクロヘキサンにおいては、Journal of American Chemical Society, Vol.73,4016(1951)に記載の方法により、パーフルオロシクロへキサンカルボン酸の銀塩をヨウ素と共に加熱処理することにより製造可能である。同様の方法で、ヨウ素の代わりに塩素、臭素を用いることにより対応する塩素化物、臭素化物を製造することも可能である。
上記に記載した原料の中でも、1−クロロヘプタフルオロシクロブタン、1−クロロノナフルオロシクロペンタン、1−クロロウンデカフルオロシクロヘキサンなどの塩素化物、1−ブロモヘプタフルオロシクロブタン、1−ブロモノナフルオロシクロペンタン、1−ブロモウンデカフルオロシクロヘキサンなどの臭素化物が好ましく、製造のし易さという観点から1−クロロヘプタフルオロシクロブタン、1−クロロノナフルオロシクロペンタン、1−クロロウンデカフルオロシクロヘキサンの塩素化物がより好ましい。
炭素―ハロゲン結合を炭素―水素結合に変換する際の水素化剤としては、アルキルヒドロシラン類を好適に使用することができる。アルキルヒドロシランの具体例としては、トリエチルシラン、トリプロピルシラン、トリブチルシラン、トリフェニルシラン等のモノヒドロシラン類、ジエチルシラン、ジプロピルシラン、ジブチルシラン、ジフェニルシラン等のジヒドロシラン類、ブチルシラン、フェニルシラン等のトリヒドロシラン類を挙げることができる。
これらアルキルヒドロシラン類の種類は原料に用いる1−ハロゲノパーフルオロシクロアルカンの沸点に合わせて適宜選択することができる。アルキルヒドロシラン類の添加量は通常、1〜5当量であり、好ましくは1.5〜3当量である。アルキルヒドロシラン類の添加量が少ないと反応が完結せずに未反応の原料を残すことになり、場合によっては生成物であるモノヒドロパーフルオロシクロアルカン類と原料間で沸点差が小さくなり、後工程の精製工程に負荷をかけることになる。一方、アルキルヒドロシラン類の添加量が多すぎると反応に関与しないため、コスト的に無駄を生じることになる。
本反応は式(1)で表されるハロゲノフルオロシクロアルカン化合物のXで表されるハロゲンとアルキルヒドロシラン類の水素の交換反応をラジカル反応で行うため、触媒としてはラジカル開始剤を使用することが好ましい。ラジカル開始剤としては特に制限は無く、例えば、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等のアゾビス化合物等を挙げることができる。好ましくはアゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等のアゾビス化合物である。
かかるラジカル開始剤の使用量は式(1)で表されるハロゲノフルオロシクロアルカン化合物に対して、0.001mol%〜30mol%の範囲で用いられ、好ましくは0.05mol%から10mol%の範囲である。
式(1)で表されるハロゲノフルオロシクロアルカン化合物とアルキルヒドロシラン類をラジカル開始剤存在下に反応させる際の反応温度は通常、ラジカル開始剤からラジカル種を生成させる必要があるため、加熱下に行われる。その温度は、50℃〜200℃であり、より好ましくは70℃〜150℃である。
本反応で生成するモノヒドロパーフルオロシクロアルカンとしては、ヘプタフルオロシクロブタン(沸点:約10℃)、ノナフルオロシクロペンタン(沸点:38℃)、ウンデカフルオロシクロヘキサン(沸点:62℃)が挙げられ、これらの中でもノナフルオロシクロペンタンが好ましい。
本発明においてこれら反応系に事実上引火点を持たないフッ素系溶媒を添加することを特徴とする。本反応系はアルキルヒドロシランを水素源として使用するが、引火点が低いために、工業的規模で使用するには慎重を期する化合物である。特に加熱条件下で使用するに当たってはなおさらである。このアルキルヒドロシランの取り扱いを比較的に容易にするために、引火点を有しないフッ素系溶媒を更に添加することで加熱時に不燃性蒸気に系内が覆われるため、引火の危険性を低下させる雰囲気を構築することができる。また、フッ素系溶媒を添加することにより、第2の発明である、精留塔を付した反応器を使用して生成するモノヒドロパーフルオロシクロアルカン類を間欠的又は連続的に反応系外に抜き出す場合に特に有効である。反応系外にモノヒドロパーフルオロシクロアルカンを抜き出す際、最初は生成物であるモノヒドロパーフルオロシクロアルカンが十分に反応系内に存在するため、抜き出しは容易であるが、反応の後期では系内に存在するモノヒドロパーフルオロシクロアルカンが少ないために、抜き出しが困難になり、系内に残存させる結果となるため、回収率の低下を招く。特に、モノヒドロパーフルオロシクロアルカンと水素源として用いたアルキルヒドロシランの沸点差が大きいほど顕著に回収率は低下する。また、反応によりアルキルヒドロシランはアルキルハロゲノシランに変化するため、元のアルキルヒドロシランよりも高沸点となるので、反応器内の温度を上昇させることが非常に困難となると同時に、過剰に熱をかけることにより内容物が変質してしまうため好ましい状態とは言えない。
これらの欠点を改善すべく、本反応系にフッ素系溶剤、モノヒドロパーフルオロシクロアルカンよりも少なくとも10℃以上沸点が高く、アルキルヒドロシランよりも低い沸点を持つフッ素系溶剤を添加することで回収率を向上させることが可能となる。モノヒドロパーフルオロアルカンとフッ素系溶剤の沸点差が小さいと、精留塔から抜き出す際に一緒に留出する可能性が大きくなるので好ましくない。
かかるフッ素系溶剤としては引火点を持たず、モノヒドロパーフルオロシクロアルカンよりも少なくとも10℃以上沸点が高いものから適宜選択できるが、本反応のラジカル反応に影響を及ぼすものでなければ制限はされない。例えば、1,1,1,2,2,3,3,4,4−ノナフルオロブチルメチルエーテル(沸点:61℃)、1,1,1,2,2,3,3,4,4−ノナフルオロブチルエチルエーテル(沸点:76℃)、1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロー3−メトキシー4−トリフルロメチルペンタン(沸点:98℃) 、1,1,1−トリフルオロエチル−1’,1’,2’,2’−テトラフルオロエチルエーテル(沸点:56℃)などのハイドロフルオロエーテル、1,1,1,2,3,4,4,5,5,5−デカフルオロペンタン(沸点:55℃)、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(沸点:82℃)、1,1,2,2,3,3,4,5−オクタフルオロシクロペンタン(沸点:80℃)、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−ウンデカフルオロヘキサン(沸点:70℃)などのハイドロフルオロカーボン、パーフルオロへキサン(沸点:60℃)、パーフルオロヘプタン(沸点:80−82℃)、パーフルオロ(t−ブチルテトラヒドロフラン)(沸点:99−107℃)などのパーフルオロカーボンを挙げることができる。これらの中から目的物とするモノヒドロパーフルオロシクロアルカンの沸点とアルキルヒドロシランの沸点を考慮して適宜選択すれば良いが、特に、1,1,1,2,2,3,3,4,4−ノナフルオロブチルエチルエーテル(沸点:76℃)や1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(沸点:82℃)が好ましい。これらの溶剤はアルキルヒドロシランを溶解する方が好ましいが、溶解していなくても構わない。
これらのフッ素化溶媒の添加量はアルキルヒドロシランの容積に対して、0.5〜5倍が好ましく、1〜3倍程度がより好ましい。
第2の発明は本反応を精留塔を付した反応器内で実施することである。この装置を用いることにより、生成するモノヒドロパーフルオロシクロアルカン類を抜き出すことが可能となり、未反応のアルキルヒドロシランや反応によって生成するアルキルシリルハライドとの分離が容易になり、反応と同時に精製を行うことができる。その際、精留塔には充填剤を詰めたカラム構造のものを用いることが好ましい。精留塔の理論段数としては通常、5段〜50段程度のものを使用することができ、10段〜20段程度のものがより好ましい。特に、生成するモノヒドロパーフルオロシクロアルカン類と原料である1−ハロゲノパーフルオロシクロアルカン類の沸点差が大きいほど効果的である。
精留塔の塔頂から抜き出す場合は、塔頂の温度が目的物であるモノヒドロパーフルオロシクロアルカンの沸点に到達してから1時間後くらいを目安に抜き出しを行えばよい。反応が進み、抜き出しを繰り返していくと、系内に残存するモノヒドロパーフルオロシクロアルカンの量は次第に減ってくるので、自ずと抜き出されるモノヒドロパーフルオロシクロアルカンも少なくなり、塔頂の温度が下がってくる。このような状態になると、もはや系内に残存するモノヒドロパーフルオロアルカンを回収することが非常に困難となるため、収率(回収量)の低下を招く。ここに先述したような、モノヒドロパーフルオロアルカンよりも10℃以上沸点の高いフッ素化溶剤を添加することにより、これらフッ素化溶剤が系内に少量残存するモノヒドロパーフルオロシクロアルカンを押し上げるため、塔頂から抜き出すことが可能になり、回収率を向上させることできる。
実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例によってその範囲を限定されるものではない。なお、特に断りがない限り、「部」及び「%」は、それぞれ「重量部」及び「重量%」を表す。
以下において採用した分析条件は下記の通りである。
(1)ガスクロマトグラフィー分析(GC分析)
装置:G−5000(日立製作所製)
カラム:Neutrabond−1(60m×I.D0.25μm、1.5μmdf)(GLサイエンス社製)
カラム温度:40℃(10分)→[20℃/分で昇温]→240℃(10分)
インジェクション温度:200℃
キャリヤーガス:窒素ガス
検出器:FID
(2)ガスクロマトグラフ質量分析(GC−MS分析)
GC部分:HP−6890(ヒューレットパッカード社製)
カラム:Neutrabond−1(60m×I.D0.25μm、1.5μmdf)(GLサイエンス社製)
カラム温度:40℃(10分)→[20℃/分で昇温]→240℃(10分)
インジェクション温度:200℃
キャリヤーガス:窒素ガス
検出器:FID
MS部分:5973 NETWORK(ヒューレットパッカード社製)
検出器:EI型(加速電圧:70eV)
[実施例1]
ノナフルオロシクロペンタンの合成
ジムロート型の冷却管を付した4つ口タイプのガラス製反応器に、トリエチルシラン(116部)、クロロノナフルオロシクロペンタン(106部)及び、アゾビスイソブチロニトリル(3部)を仕込み、さらにフッ素系溶剤としてメチル−1,1,1,2,2,3,3,4,4−ノナフルオロブチルエーテル(住友3M社製、HFE−7100)をトリエチルシランと同じ体積分添加した。これをオイルバスに浸した。冷却管は水道水を流し続けた。オイルバスを温度100℃にセットし、加熱還流を行った。7時間後、オイルバスを外し、空冷後、氷水にて反応器内の内容物を良く冷却した。その内容物をガスクロマトグラフィーにて分析したところ、原料であるクロロノナフルオロシクロペンタンはほぼ完全に消費されており、転化率は99%以上であった。また、ガスクロマトグラフィー質量分析計にて生成物を分析したところ、目的物であるノナフルオロシクロペンタンが確認された。
GC−MS(EI): m/z 213,163,131,113
[実施例2]
理論段数15段の精留塔(東科精機製 KS型)を付した4つ口タイプのガラス製反応器内に、トリエチルシラン(116部)、クロロノナフルオロシクロペンタン(106部)、メチル−1,1,1,2,2,3,3,4,4−ノナフルオロブチルエーテル(243部)、アゾビスイソブチロニトリル(3部)を仕込み、オイルバスに浸した。精留塔の塔頂に付してあるコンデンサーには−5℃の冷媒を流し続けた。オイルバスを温度100℃にセットし、加熱還流を行った。バスの温度が100℃に到達した後から約15分後に精留塔の塔頂温度が38℃に上昇した。このまま反応を継続し、1時間後から還流比40で抜き出しを開始した、抜き出した留分は氷水で冷却した受器に捕集した。抜き出し開始から約4.5時間後より、抜き出しの留分が減少し始めたので、オイルバスの温度を120℃に上げ、そのまま反応と抜き出しを継続した。120℃に昇温してから約40分後に精留塔の塔頂温度が60℃に到達したので、ここで停止した。抜き出した留分の合計は、89部であった。留分をガスクロマトグラフィーにて分析したところ、純度が99%(面積%)のノナフルオロシクロペンタンであり、クロロノナフルオロシクロペンタン基準の収率は96%であった。
[比較例1]
フッ素化溶剤としてメチル−1,1,1,2,2,3,3,4,4−ノナフルオロブチルエーテルを添加しなかった以外は実施例3と同様の操作を行った。120℃の昇温後、約30分程度してから精留塔塔頂分の温度が38℃から低下し始めたので、ここで停止した。抜き出した留分の合計は68部であり、これはクロロノナフルオロシクロペンタン基準の収率に換算して、72%であった。反応釜の中身をガスクロマトグラフィーにて分析したところ、ノナフルオロシクロペンタンの残存が確認された。

Claims (3)

  1. 式(1)
    Figure 0005019046
    (式中、nは、2、3、4から選択される整数、Xは塩素、臭素、またはヨウ素を表す)
    で表されるハロゲノフルオロシクロアルカン化合物とヒドロアルキルシラン類をラジカル開始剤の存在下に接触させて式(2)
    Figure 0005019046
    (式中、nは2、3,4から選択される整数)
    で表されるモノヒドロパーフルオロシクロアルカン類を製造する方法において、
    式(2)で表されるモノヒドロパーフルオロシクロアルカン類の沸点よりも10℃以上高い沸点を有し、且つ、引火点を有しないフッ素系溶媒を溶媒として使用することを特徴とするモノヒドロパーフルオロシクロアルカン類の製造方法。
  2. 前記製造方法に用いる反応器に精留塔を付して、
    生成するモノヒドロパーフルオロシクロアルカン類を間欠的又は連続的に反応系外に抜き出すことを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  3. 前記製造方法で製造される化合物が、ノナフルオロシクロペンタンであることを特徴とする請求項1、2のいずれかに記載の製造方法。
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