JP5018265B2 - 演奏支援装置、コントローラおよびプログラム - Google Patents
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本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、演奏者がミスタッチをすることを阻止することができる技術を提供することを目的とする。また、ミスタッチをした場合にはそのことに気づかせる技術を提供することを目的とする。
(A−1:全体構成)
図1は、実施形態に係る演奏支援装置を備えた自動演奏ピアノ100の外観を示す斜視図である。自動演奏ピアノ100の前面には、演奏者によって操作される鍵1が複数配列され、自動演奏ピアノ100の下方にはペダル110が設けられている。
また、鍵盤の下方にはディスクドライブ120が設けられており、自動演奏ピアノ100の上面にはディスプレイ130が設けられている。
ディスクドライブ120は、例えばDVD(Digital Versatile Disk)やCD(Compact Disk)などの記録媒体に記録された楽曲データを読み出し、読み出した楽曲データを自動演奏ピアノ100に供給する。
ディスプレイ130は、タッチパネル形式の液晶ディスプレイであり、表示手段として機能するとともに、この自動演奏ピアノ100における各種の設定や指示を行うための操作手段としても用いられる。
図2は、自動演奏ピアノ100の主要部の機械的構成(上段)と電気的構成(下段)を関連付けて示す図である。
図2の上段に示すように、自動演奏ピアノ100には、鍵1の運動をハンマ2に伝達するアクションメカニズム3と、ハンマ2によって打撃され音を発する弦4と、鍵1を押下する方向に駆動するソレノイドユニット5−1と、鍵1を押下とは逆の方向に押し戻す(以下、「ガード」)するソレノイドユニット5−2と、鍵センサ26などが設けられている。
また、図2の下段に示すように、自動演奏ピアノ100には、上記ディスクドライブ120やディスプレイ130の他、コントローラ11とサーボコントローラ12とが設けられている。
また、コントローラ11は、手動演奏に際し、鍵1をガードすべき事態が生じると、該選択された鍵1をガードするための駆動信号をサーボコントローラ12に出力する。
なお、自動演奏においては、サーボコントローラ12は、ソレノイドユニット5−1から供給されるフィードバック信号としての出力速度Vyと速度指示値Vrを比較し、両者が一致するようにサーボ制御を行う。これにより、コントローラ11が指示したとおりに鍵1が駆動されることになる。
一方、ソレノイドユニット5−2に対してサーボコントローラ12から励磁電流が供給されると、プランジャが上昇し鍵1とソレノイドユニット5−2との間の隙間が埋められる。その結果、該鍵1は押下することが機械的に阻止される。また、上記プランジャが上昇した際、既に鍵1が押下され始めている場合には、該鍵1はレスト位置まで押し戻される。以上のようにして、自動演奏において鍵1のガードがなされる。
楽曲データは、MIDI(Musical Instrument Digital Interface)に従って記述されている。図3は、このMIDI形式の楽曲データの構造を示した図である。この楽曲データはSMF(Standard MIDI File)と呼ばれるファイル形式のデータであり、図3の上段に示すように、ヘッダチャンクとトラックチャンクによって構成されている。ヘッダチャンクには、チャンクタイプ等のSMFの属性情報が含まれている。トラックチャンクには、実体となるMIDIデータが含まれている。図3の中段に示すように、トラックチャンクには、演奏制御等を指示するイベントと、先行するイベントと後発のイベントとの発生時間間隔を示すデルタタイムとが含まれている。コントローラ11は、このデルタタイムを累算することで、各イベントの発生時刻(イベント時刻)を算出することができる。図3の下段に示すように、イベントには、発音又は消音すべき旨を示すノートオン・ノートオフと、発音すべき音の高さ(音高)を示すノートナンバと、発音の強弱を示すベロシティとが含まれている。
次に、図4のフローチャートを参照し、自動演奏ピアノ100が演奏支援を行う際の動作を説明する。
なお、本実施形態に係る自動演奏ピアノ100は、ディスクドライブ120から供給される楽曲データに基づいて自動演奏する機能も有するが、該機能に係る動作については、その説明を省略する。以下では、演奏者が自動演奏ピアノ100を用いて手動演奏を行う際に、その演奏を支援する処理について説明する。
図5下段に示すように、ノートナンバ60の鍵1が押下された場合、ステップS3の判定結果は“Yes”となり、ステップS4の処理が行われる。
ここでは、図5に示すように、楽曲データによって規定されたノートナンバと演奏者により押下が開始された鍵1のノートナンバは共に「60」で一致するから、ステップS4の判定結果は“Yes”となり、コントローラ11は、ステップnに1を加算してから(ステップS5)、再びステップS2の処理に戻る。
このように、コントローラ11は、楽曲データによって規定されたノートナンバと、押下が開始された鍵1のノートナンバとが一致する間は、上記のステップS2〜ステップS5の処理を繰り返す。
また、演奏者は、間違えて押下した鍵1が押し戻されるのを指で感じることになり、演奏が間違ったことを強く意識することができる。
以上のような処理を、楽曲データによって示されるイベント毎に繰り返し行うことで、演奏を支援することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は以下のように種々の態様で実施することができる。また、以下の変形例を適宜組み合わせてもよい。なお以下では、仮に演奏者により押下された場合に押し戻すように制御される鍵1を「ガードの対象とする鍵1」と表現し、該ガードの対象とされた鍵1のうち、実際に間違って押下され押し戻された鍵1を「ガードされた鍵1」とし、両者を区別する。
しかし、コントローラ11は、ガードの対象とする鍵1を以下のように選択しても良い。即ち、各イベント時刻において、押下すべき鍵1ではない他の鍵1全てをガードの対象としても良い。また、押下すべき鍵1に隣接する所定数の鍵1(当然隣接する鍵1が発音すべき鍵である場合は除く)をガードの対象としても良い。その場合、上記所定数を演奏者により設定および変更可能としても良い。
また、和音が演奏される際には、「和音の最高音より所定音高い音」と「最低音より所定音低い音」とに挟まれる音を除く他のノートに対応する鍵1をガードの対象としても良い。
すなわち、サーボコントローラ12から供給される励磁電流の値を、上記実施形態における値よりも低く制御することによりプランジャの駆動力を小さくし、演奏者が該ソレノイドユニット5−2のプランジャの駆動力よりも強く鍵1を押せば、該鍵1が押下され発音されるようにしても良い。その場合、サーボコントローラ12からソレノイドユニット5−2に供給される励磁電流の値を制御する操作子を設け、該操作子の操作内容に応じてソレノイドユニット5−2のプランジャの駆動力が調整されるようにすれば良い。
また、サーボコントローラ12が励磁電流を供給するタイミングを上記実施形態におけるタイミングよりも遅らせて、コントローラ11から駆動信号を受取ってから所定時間後に励磁電流をソレノイドユニット5−2に供給することにより、一旦発音された後で鍵1が押し戻されるように制御しても良い。また、コントローラ11からサーボコントローラ12に出力される駆動信号の出力タイミングを遅らせても良く、その場合、上記と同様に一旦間違った発音がなされた後で鍵1が押し戻されることとなる。
以上のようにすれば、間違った音が発音されることとなるが、演奏者の演奏内容は尊重されると共に、演奏者自身は鍵1から反動力を受けることで演奏の間違いを認識することができる。
その場合、演奏者などにより、楽曲の進行に伴っていずれの鍵1をガードの対象とするかを指定する入力手段を設けておき、該入力手段を介して指定された鍵1が押下された場合にガードをしても良い。例えば、自動演奏ピアノ100に、タッチパネルなどの表示/入力装置を設け、該タッチパネルに楽曲データが示す楽譜を表示する。そして演奏者は、該表示された楽譜を元にして、いずれのノートをガードの対象とするかを入力する。入力内容は記憶装置に記憶され、コントローラ11は、該記憶装置に記憶された入力内容に基づいてガードの対象とする鍵1を決定するようにしても良い。また、上記ガードの対象とする鍵1の選択態様を示すデータを予め楽曲データに含ませておいても良い。
例えば、図7(A)に示されるように、励磁電流が供給されるとプランジャが上昇するソレノイドユニット5−3を鍵1の手前側面に設けると共に、各鍵1の手前側面にはくぼみ200を設けておく。なお、図7においては、1つの鍵1についてのみソレノイドユニット5−3およびくぼみ200を図示し、他の鍵1については図示を省略したが、他の鍵1も同様である。そして、ソレノイドユニット5−3に励磁電流が供給されプランジャが上昇すると、プランジャの先端がくぼみ200に嵌まる。
上記のようなソレノイドユニット5−3を上述の実施形態と同様に制御することにより、演奏者が間違った鍵1の押下を開始した場合、押下が開始された鍵1のくぼみ200に上昇したプランジャが挿入され鍵1は固定され、その結果鍵1の押下を阻止することができる。図7(A)は、ソレノイドユニット5−3に励磁電流が供給されていない状態を、図7(B)は、ソレノイドユニット5−3に励磁電流が供給され上昇したプランジャがくぼみ200に挿入され鍵1の押下が阻止された状態を示す。
以上のように、鍵1の駆動を「抑制」する方法には、
(a)実施形態のように、押下され始めた鍵1を押し戻す
(b)上記変形例(2)のように、ソレノイドユニット5−2の駆動に逆らって押鍵可能である程度に押し戻す
(c)本変形例(5)のように、押下され始めた鍵1を機械的に固定する
など様々な態様が含まれる。
その場合、コントローラ11は楽曲データから各イベントの発生時刻(イベント時刻)を特定し、該イベントに対応する所定の区間において、各イベントにおいて押下すべき鍵1ではない鍵1をガードの対象としても良い。例えば、図8に示された楽譜において、ステップn=1を実行すべき期間には、演奏者の演奏内容にかかわらず、ステップn=1に対応するノートナンバ62以外の鍵1をガードの対象とするなどしても良い。
そのようにすれば、上記実施形態のように演奏者が正しい鍵1を押下するまで楽曲の進行が停止することはなく、演奏者は正しいタイミングで各鍵1を押下する練習をすることができる。
なお、その場合、コントローラ11は、鍵1を押下すべきイベント時刻と同時に、押下すべきではない鍵1をガードの対象としても良い。また、鍵1を押下すべきイベント時刻の所定時間前から、押下すべきではない鍵1をガードの対象としても良い。また、次のイベントのイベント時刻と同時に、現在のイベントに対応する鍵1をガードの対象から外しても良いし、次のイベントのイベント時刻の所定時間前に現在のイベントに対応する鍵1をガードの対象から外しても良い。なお、上記所定時間を演奏者により設定および変更可能としても良い。
また、現時点でガードの対象とすべき鍵1が、直前のイベントで押下すべき鍵1と一致した場合には、該ガードすべき鍵1をガードの対象としなくても良い。なぜなら、現イベントにおけるガードを、イベント時刻に先行して行うような場合に、直前のイベントにおける正しい押鍵をガードしてしまうとの不都合が生じる可能性があるからである。
図8を用いて具体的に説明する。図8には、図5に示した楽曲データと同じ部分が示されている。以下では、小節Bに含まれるノートに対応する鍵1のガードについて説明する。コントローラ11は、小節Aの演奏中に小節Bの楽曲データを読出し、小節Bに含まれるノートを特定する。この場合、小節Bに含まれるノートのノートナンバは、67、59、71、および72である。コントローラ11は、小節Bのイベントが行われている期間継続して、小節Bに含まれるノートではない他のノート(例えば、ノートナンバ58以下、60ないし66、68ないし70、および73以上)に対応する鍵1をガードの対象とし、演奏者により該鍵1の押下が開始された場合には該鍵1をガードする。コントローラ11は、以上に説明した処理を全ての小節のノートについて実行する。
このようにすることで、コントローラ11は、上記区間に含まれるノートについてまとめて処理することが可能となり、処理が簡略化される。
コントローラ11は、所定のタイミングになると、駆動信号をサーボコントローラ12に出力し、サーボコントローラ12は、励磁電流をソレノイドユニット5−2に供給する。その結果、ソレノイドユニット5−2のプランジャは上昇し、対応する鍵1は機械的に押下できなくなる。
なお、上記所定のタイミングとしては、各イベント時刻の所定時間前でもよいし、イベント時刻でも良い。
また、この場合、上記変形例(2)で説明したように、サーボコントローラ12からソレノイドユニットに供給される励磁電流の値を調整することにより、予めガードされている鍵1を強い力で押下した場合に、押下可能であるようにしても良い。
また、上記変形例(14)に係るコントローラ11の機能、つまり楽曲データによって表される音高に対応する1又は複数の演奏部材を、楽曲の進行に応じて順次特定する特定手段と、楽曲の進行に応じて、前記特定手段によって特定された演奏部材に基づいて、前記特定手段によって特定された演奏部材以外の演奏部材から1または複数の演奏部材を選択し、該選択した演奏部材の移動を抑制するガード手段とを本発明として捉えることも可能である。
Claims (8)
- 演奏者により操作される複数の演奏部材と、
演奏者による操作に基づく前記複数の演奏部材の各々による演奏を阻止するガード手段と、
前記複数の演奏部材の各々について、演奏者により操作されたことを検出する検出手段と、
楽曲データによって表される音高に対応する1又は複数の演奏部材を、楽曲の進行に応じて順次特定する特定手段とを有し、
前記ガード手段は、前記特定手段によって特定された演奏部材と前記検出手段によって検出された演奏部材とが一致しない場合には、前記検出手段によって検出された演奏部材による前記演奏を阻止する
ことを特徴とする演奏支援装置。 - 演奏者により操作される複数の演奏部材と、
演奏者による操作に基づく前記複数の演奏部材の各々による演奏を阻止するガード手段と、
楽曲データによって表される音高に対応する1又は複数の演奏部材を、楽曲の進行に応じて順次特定する特定手段とを有し、
前記ガード手段は、前記特定手段によって特定された演奏部材以外の演奏部材から1または複数の演奏部材を選択し、該選択した演奏部材による前記演奏を阻止する
ことを特徴とする演奏支援装置。 - 演奏者により操作される複数の演奏部材と、
演奏者による操作を妨げるように前記複数の演奏部材の各々の移動を抑制するガード手段と、
前記複数の演奏部材の各々について、演奏者により操作されたことを検出する検出手段と、
楽曲データによって表される音高に対応する1又は複数の演奏部材を、楽曲の進行に応じて順次特定する特定手段とを有し、
前記ガード手段は、前記特定手段によって特定された演奏部材と前記検出手段によって検出された演奏部材とが一致しない場合には、前記検出手段によって前記複数の演奏部材のいずれかが演奏者により操作されたことが検出された所定時間後に、前記検出手段によって検出された演奏部材について、その移動を抑制することで、前記特定された演奏部材とは異なる、前記検出された演奏部材に対応する発音がなされた後で当該検出された演奏部材を押し戻す
ことを特徴とする演奏支援装置。 - 前記ガード手段は、ソレノイドであり、
前記ソレノイドに供給される励磁電流の大きさを指定する指定手段を有することを特徴とする請求項1または2に記載の演奏支援装置。 - 楽曲データによって表される音高に対応する1又は複数の演奏部材を、楽曲の進行に応じて順次特定する特定手段と、
前記複数の演奏部材のうち演奏者によって操作された演奏部材を検出する検出手段によって検出された演奏部材と前記特定手段によって特定された演奏部材とが一致しない場合には、演奏者により操作されていることが前記検出手段によって検出された演奏部材による演奏を阻止するガード手段と
を有することを特徴とするコントローラ。 - 楽曲データによって表される音高に対応する1又は複数の演奏部材を、楽曲の進行に応じて順次特定する特定手段と、
楽曲の進行に応じて、前記特定手段によって特定された演奏部材に基づいて、前記特定手段によって特定された演奏部材以外の演奏部材から1または複数の演奏部材を選択し、該選択した演奏部材による演奏を阻止するガード手段と
を有することを特徴とするコントローラ。 - 演奏者により操作される複数の演奏部材と、前記複数の演奏部材の各々について、演奏者により操作されたことを検出する検出手段とを有する電子楽器を制御するコンピュータを、
演奏者による操作に基づく前記複数の演奏部材の各々による演奏を阻止するガード手段と、
楽曲データによって表される音高に対応する1又は複数の演奏部材を、楽曲の進行に応じて順次特定する特定手段として機能させると共に、
前記特定手段によって特定された演奏部材と前記検出手段によって検出された演奏部材とが一致しない場合には、前記ガード手段に、前記検出手段によって検出された演奏部材による演奏を阻止させる
ことを特徴とするプログラム。 - 演奏者により操作される複数の演奏部材を有する電子楽器を制御するコンピュータを、
演奏者による操作に基づく前記複数の演奏部材の各々による演奏を阻止するガード手段と、
楽曲データによって表される音高に対応する1又は複数の演奏部材を、楽曲の進行に応じて順次特定する特定手段として機能させると共に、
前記ガード手段に、前記特定手段によって特定された演奏部材以外の演奏部材から1または複数の演奏部材を選択し、該選択した演奏部材による演奏を阻止させる
ことを特徴とするプログラム。
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