JP5016791B2 - グラファイトナノファイバーの製造方法 - Google Patents

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本発明は、グラファイトナノファイバーの製造方法に関する。
近年、グラファイトナノファイバーを用いるナノ構造材料は、将来の発展が期待される商業分野での利用が着目されており、簡単に低温でグラファイトナノファイバーを製造する方法の開発が求められている。グラファイトナノファイバーは、特に、ディスプレイ用の電子放出源、燃料電池のための水素貯蔵やLiイオン二次電池等への利用が期待されており、製造プロセスの低温化を含む各プロセス条件の改善が急務とされている。
グラファイトナノファイバーの製造プロセスの改善は、従来から種々の方法が提案されている。
例えば、鉄、鉄と銅とのバイメタリック又は鉄とニッケルとのバイメタリックを触媒とし、この触媒をCOとHとの混合ガスと約625〜725℃の温度で所定の時間接触させ、結晶質のグラファイトナノファイバーを製造する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、気相成長法により基板上にカーボンナノファイバーを製造する方法として、所定の触媒粒子を石英等の基板上に配置し、0.08〜10MPaの圧力下、400〜700℃の温度で、基板上の触媒粒子にCOとHとの混合ガス又はCOとHとの混合ガスを供給し、カーボンナノファイバーを触媒粒子から成長させ、実質的に基板上にカーボンナノファイバーを製造する方法も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、基板上にパターン化されたカーボンナノチューブを形成する方法として、遷移金属触媒を基板上に配列させ、この触媒を炭化水素ガスと所定の時間接触させ、この触媒上にパターン化されたカーボンナノチューブを形成する方法が提案されており(例えば、特許文献3参照)、この場合の、反応温度として具体的には700℃が記載されている。
特開2004−277998号公報(特許請求の範囲等) 特開2004−300631号公報(特許請求の範囲等) 特開2003−183012号公報(特許請求の範囲等)
上記従来技術において、触媒とグラファイトナノファイバー(カーボンナノファイバー)用原料ガスとの接触反応は、通常、常圧で600℃以上の高温で行うことが必要とされている。そのため、グラファイトナノファイバーを基板上に成長させ、この基板を各種の用途のために利用する分野では、気相成長反応を高温で行うことが必要であるので、いずれの基板でも使用するという訳にはいかず、使用する基板の物性(例えば、耐熱性等)に制限が生じる。その結果、グラファイトナノファイバーの製造装置や製造工程のコスト高を招くという問題がある。
また、基板上の所定位置のみにグラファイトナノファイバーを成長させるために触媒作用を利用する技術では、その所定位置にのみ予め触媒を配置しておくという技術的配慮が必要であった。
従って、本発明の課題は、上述の従来技術の問題点を解決することにあり、気相成長法により、基板上に低温でグラファイトナノファイバーを製造する方法、また、基板上の所定位置にのみ、低温でパターン化したグラファイトナノファイバーを製造する方法を提供することにある。
本発明のグラファイトナノファイバーの製造方法は、気相成長法により基板上にグラファイトナノファイバーを製造する方法において、基板の表面にAl層を10〜50nmの厚さで形成し、このAl層をパターン化し、パターン化したAl層上を含む基板表面の全面に触媒層を形成し、次いで、炭素原子含有ガスを供給して、大気圧以下の圧力下で、パターン化されたAl層上に形成された触媒層上にグラファイトナノファイバーを選択的に気相成長せしめることを特徴とする
前記気相成長を1000〜80000Paの圧力で行うことを特徴とする。
前記気相成長を一般に250〜600℃、好ましくは250〜550℃の温度で行うことを特徴とする。250℃未満であると目的とするグラファイトナノファイバーの成長が起こらず、また、600℃を超えると基板表面のAl層が溶融し、例えばAl層のパターンが維持し難くなる。Alの融点を考慮すると、上限温度は550℃が好ましい。
前記炭素原子含有ガスと共に水素ガスを供給して、前記触媒層上で気相成長を行うことを特徴とする。
前記触媒層は、Co、Ni及びFeのいずれかの金属、これらの金属の少なくとも1種を含む合金、又はこれらの金属の2種以上からなる合金を用いて形成されることを特徴とする。
前記基板は、ガラス、シリコン、セラミックス、半導体又は金属からなる基板であることを特徴とする。
本発明によれば、基板上にAl層を形成せしめてその上に触媒層を形成するので、低温でこの触媒層上に選択的にグラファイトナノファイバーを成長させることができるという効果を奏する。この場合、パターン化したAl層を形成すれば、触媒粒子をパターン化して配置することなく、パターン化したグラファイトナノファイバーを成長させることができるという効果を奏する。
また、気相成長を、大気圧で実施すればグラファイトナノファイバーを主に3次元的に成長せしめることができ、また、大気圧未満で実施すればグラファイトナノファイバーの長手方向の成長を基板表面に対して垂直な方向とすることができるという効果を奏する。
本発明のグラファイトナノファイバーの製造方法は、気相成長法により基板上にグラファイトナノファイバーを製造する方法を改良し、低温で基板上の所定位置にグラファイトナノファイバーを成長させることができるようにするものである。
図1(a)〜(c)に、本発明に係わるグラファイトナノファイバーの製造方法の一実施の形態を示す。
図1に示すように、まず、基板1の表面に厚みが10〜50nmであるAl層2を形成する(図1(a))。このAl層2の形成方法には、特に制限はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、ガスデポジション法、及びメッキ法等の公知の方法を利用することができる。また、Al層の原料としては、これらの形成方法を実施してAl層を形成する際に通常用いる原料であればよい。例えば、Al以外に、Alを主成分とし、これに他の金属(例えば、SiやCu等)が添加されたものでも良い。Al層2の厚みが10nm未満であると所期の効果が達成できず、50nmを超えると垂直に成長しなくなる。
次に、Al層2の表面上に最大厚みが50nm以下で平均厚みが10〜50nmである触媒層3を形成する(図1(b))。この触媒層3を形成する際には、Al層2を高密度に被覆しておけば良く、あるいは触媒粒子がAl層2上に高密度に散在する状態で形成されていても良い。触媒層3は、Co、Ni及びFeのいずれかの金属、これらの金属の少なくとも1種を含む合金、又はこれらの金属の2種以上からなる合金を用いて形成される。この触媒層の形成方法には、特に制限はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、ガスデポジション法、及び有機溶媒中に触媒粒子を分散せしめた液を基板上に公知の方法で塗布した後加熱して溶媒等を蒸発させて触媒粒子を基板上に配置するようにする塗布法等を利用することができる。また、触媒層の原料としては、これらの方法を実施して触媒層を形成する際に通常用いる原料であればよい。
上記したように触媒層3を形成した基板を真空雰囲気又は不活性雰囲気に曝した後、熱CVD装置等のCVD装置内へ搬入し、この装置内へグラファイトナノファイバー成長の原料となる所定の混合ガスを導入し、基板を所定の温度に加熱して、気相成長によりグラファイトナノファイバー4を触媒層3上に成長させ、基板上に所望のグラファイトナノファイバーを製造する(図1(c))。
この場合、触媒層3の形成を真空雰囲気又は不活性雰囲気中で行い、続いて連続してグラファイトナノファイバー4の成長を行えば、触媒層の活性状態を損なうこともなく、また、製造工程も短くなり好ましい。また、触媒層の形成後に、基板が大気等の活性雰囲気に曝される場合は、グラファイトナノファイバーを成長させる直前に、基板を加熱した状態で、基板表面を水素雰囲気等の還元性雰囲気に曝すことにより触媒層を再活性化することが好ましい。
グラファイトナノファイバー形成用の原料ガスは、公知の炭素供給ガスであれば良く、例えば炭素原子含有ガスと水素ガス等の還元性ガスとの混合ガスを挙げることができる。具体的には、好ましくは、COガスとHガスとの混合ガスや、COガスとHガスとの混合ガスを使用することができる。
上記グラファイトナノファイバーを成長させる際のプロセスは、一般に250〜650℃、好ましくは250〜550℃で実施すればよい。250℃未満であると、Al層を設けた場合の所望のグラファイトナノファイバー成長速度が得られず、650℃を超えると、また、550℃を超えると場合により、Al層パターンを維持した状態でグラファイトナノファイバーを成長せしめることが困難になり、耐熱性に乏し基板によっては好ましくないという問題がある。
グラファイトナノファイバーを製造する際に、気相成長を大気圧下で行うと、グラファイトナノファイバーは3次元的に成長する。また、グラファイトナノファイバーを、その長手方向が基板表面に対して垂直な方向となるように成長させるためには、気相成長を大気圧未満、好ましくは1000〜80000Paで実施すればよい。この場合、気相成長を1000Pa未満の圧力で実施するとグラファイトナノファイバーは垂直方向に成長せず、また、80000Paを超える圧力で実施すると垂直方向の成長から3次元的成長への遷移領域となる。
本発明によれば、基板上にAl層として所定のパターンを有するAl層を形成し、このAl層パターン上に又はこのAl層パターンを含めた基板全表面上に触媒層を形成することにより、Al層上に形成された触媒層上にのみパターン化されたグラファイトナノファイバーを製造することができる。
図2(a)〜(c)に、パターン化されたグラファイトナノファイバーの製造方法の一実施の形態を示す。
図2に示すように、まず、基板21の表面に厚みが10〜50nmであるAl層を形成した後、公知のフォトリソグラフィー工程、エッチング工程を経て、Al層をパターン化し、基板上に所定の幅及び間隔のラインを複数有するパターン化したAl層22を形成する(図2(a))。このAl層の形成方法には、特に制限はなく、上記した公知の方法を利用することができる。Al層の厚みをこの範囲にした理由は、前記した通りである。
次に、Al層パターン22上を含んだ基板表面の全面に最大厚みが50nm以下で平均厚みが10〜50nmである触媒層23を形成する(図2(b))。この触媒層23を形成する際には、Al層パターン22を高密度に被覆しておけば良く、あるいは触媒粒子がAl層22上を含んだ基板表面の全面に高密度に散在する状態で形成されていても良い。触媒層23は、上記した金属又は合金を用いて形成される。この触媒層の形成方法及び原料には、特に制限はなく、上記した方法及び原料を利用することができる。なお、この触媒層をAl層パターン上に選択的に形成しても良いことは勿論である。
上記したように触媒層23を形成した基板を真空雰囲気又は不活性雰囲気に曝した後、熱CVD装置等のCVD装置内へ搬入し、この装置内へグラファイトナノファイバー成長の原料となる上記した所定の混合ガスを導入し、基板を上記温度範囲に加熱して、また、上記圧力下で、気相成長によりグラファイトナノファイバー24を触媒層23上にのみ成長させ、基板上に所望のグラファイトナノファイバーを製造する(図2(c))。
この場合、上記したようにして、触媒層23の形成を真空雰囲気又は不活性雰囲気中で行い、続いて連続してグラファイトナノファイバー24の成長を行えば、触媒層の活性状態を損なうこともなく、また、製造工程も短くなり好ましい。また、触媒層の形成後に、基板が大気等の活性雰囲気に曝される場合は、グラファイトナノファイバーを成長させる直前に、基板を加熱した状態で、基板表面を水素雰囲気等の還元性雰囲気に曝すことにより触媒層を再活性化することが好ましい。
また、本発明によれば、表面全体がAl層で被覆された基板上に溝や孔を設け、その溝や孔の底部にAl層が残るようにし、この底部のAl層上に触媒層を形成すれば、前記気相成長を実施することにより、溝や孔のみにグラファイトナノファイバーを選択的に成長させて、埋め込みを行うことができる。この溝や孔の形状は、特に制限はなく、例えば矩形であっても良い。
本発明で使用できる基板は、上記成長温度で影響を受けない基板材料からなるものであれば特に制限なく使用することができ、例えば、ガラス、シリコン、セラミックス(例えば、STO、BTO等)、半導体(例えば、GaAs等)又は金属(例えば、Cu、Ta、Mo等)等から選ばれる材料からなり、耐熱温度が上記気相成長温度以下である基板を使用することができる。
上記したようにして製造されたグラファイトナノファイバーは、例えば電子放出源、電池負極材料及びリチウムイオン二次電池等に利用できる。
この電子放出源は、電極基板表面上に、又はパターニングされた電極基板表面のパターン化部分上に炭素源が設けられた電子放出源であって、この炭素源が上記グラファイトナノファイバーからなるものである。この電子放出源は、電極基板の表面上にAl層を形成し、このAl層上に触媒層を形成し、熱CVD法により、この触媒層上に炭素原子含有ガスを供給して、所定の温度で、かつ、大気圧未満の圧力下で気相成長せしめることにより製造することができる。また、この電子放出源は、Al層として所定のパターンを有するAl層を形成し、このAl層パターン上に触媒層を形成し、この触媒層上にグラファイトナノファイバーを製造することにより、パターン化された電子放出源として製造でき、冷陰極源を構成できる。このグラファイトナノファイバーを設けた電子放出源により、高電子放出密度、低電界電子放出性能等の優れた電子放出特性が達成される。このため、この電子放出源を用いて表示素子を構成できる。
上記電子放出源はまた、上記した構造を有するグラファイトナノファイバーの粉末を基板から採取し、この粉末を溶剤に分散させてペーストを調製し、このペーストを電極基板上に塗布し、乾燥することによって、又は該粉末を溶剤に分散させて調製した分散液に電極基板を浸し、電着法によってグラファイトナノファイバーを電極基板の所定の場所に付着せしめて作製することもできる。このように粉末として取り扱うことで、印刷法や電着法により、目的に応じた所望のパターンを有する電子放出源(冷陰極源)を容易に作製することができる。
金属電極基板上に上記したようなグラファイトナノファイバーを成膜することで、炭素系電子放出源からの電界電子放出特性について、高性能化することが可能になる。具体的には、従来のカーボンナノチューブと同程度の印加電圧で、より高電流密度の電子放出が可能になり、CRT用電子源に使用できる程度まで十分な高電流密度の電子放出が得られる。
上記電子放出源を構成する炭素源は電極基板表面上に形成されるが、パターニングされた電極基板表面のパターン化部分の上に形成された炭素源の場合には、電極基板表面上に公知の感光性樹脂液を塗布して行うフォトリソグラフ工程によって、又は印刷工程等によって表面に所望のパターニングが施された電極基板を得、次いでこの特定のパターン化部分に上記のようにしてグラファイトナノファイバーを成長させ、所望のパターン形状の炭素源を形成して、これを電子放出源とする。
上記した電池負極材料は、上記グラファイトナノファイバーからなるものである。また、リチウムイオン二次電池は、リチウム遷移金属酸化物を正極活物質とする正極、炭素質材料を負極活物質とする負極、及び有機溶媒系の電解液を有するリチウムイオン二次電池であって、この炭素質材料が、上記グラファイトナノファイバーからなるものである。
以下、本発明の実施例及び比較例について説明する。
大きさが20mm×20mm×1.1mmのガラス基板を成膜室内に載置し、基板の片面にスパッタ法により一様に50nmの膜厚を有するAl層を形成し、続いてAl層の全面上に、スパッタ法によりFe−42%Ni合金層を堆積した。この試料を一度大気中に取り出した後、熱CVD装置内の試料ホルダー上に載置し、装置内を一旦1Paまで真空排気した。その後、装置内へ原料ガスとしてCOガスとHガスとの混合ガス(COガスの割合が30容量%)を導入して、装置内を大気圧とし、試料温度を550℃に設定し、20分間気相成長を行った。かくして、基板上には、グラファイトナノファイバーは3次元的に成長していることが観察された(図3)。得られたグラファイトナノファイバーは直径が約50nm、長さが約3μmであった。
また、上記Al層の膜厚が10〜50nmの範囲内で不均一になるように成膜して、上記と同様な条件で気相成長させたところ、Al層を成膜した領域全体でグラファイトナノファイバーの成長を確認できた。
大きさが20mm×20mm×1.1mmのガラス基板を成膜室内に載置し、基板の片面にスパッタ法により一様に50nmの膜厚を有するAl層を形成し、続いてAl層の全面上に、スパッタ法によりFe−42%Ni合金層を堆積した。この試料を一度大気中に取り出した後、熱CVD装置内の試料ホルダー上に載置し、装置内を一旦1Paまで真空排気した。その後、装置内へ原料ガスとしてCOガスとHガスとの混合ガス(COガスの割合が30容量%)を導入して、装置内を大気圧とし、試料温度を400℃に設定し、20分間気相成長を行った。かくして、基板上には、図3の場合と同様に、グラファイトナノファイバーが3次元的に成長していることが観察された。得られたグラファイトナノファイバーは直径が約50nm、長さが約3μmであった。
大きさが20mm×20mm×1.1mmのガラス基板を成膜室内に載置し、基板の片面にスパッタ法により一様に50nmの膜厚を有するAl層を形成し、続いてAl層の全面上に、スパッタ法によりFe−42%Ni合金層を堆積した。この試料を一度大気中に取り出した後、熱CVD装置内の試料ホルダー上に載置し、装置内を一旦1Paまで真空排気した。その後、装置内へ原料ガスとしてCOガスとHガスとの混合ガス(COガスの割合が50容量%)を導入して、装置内を大気圧とし、試料温度を350℃に設定し、20分間気相成長を行った。かくして、基板上には、図3の場合と同様に、グラファイトナノファイバーは3次元的に成長していることが観察された。得られたグラファイトナノファイバーは直径が約50nm、長さが約3μmであった。
上記実施例1〜3において、基板温度を250℃、300℃に変えたことを除いて、同様にしてグラファイトナノファイバーを成長せしめた。250℃においてその成長は確認されたが、250℃未満の温度では成長速度が著しく低く、実用的ではない。従って、基板温度を一般に250〜600℃、好ましくは250〜550℃に設定して、グラファイトナノファイバーの成長を実施することにより、所期の目的を達成することができる。
(比較例1)
大きさが20mm×20mm×1.1mmのガラス基板を成膜室内に載置し、基板の片面にスパッタ法によりFe−42%Ni合金層を堆積した。この試料を一度大気中に取り出した後、熱CVD装置内の試料ホルダー上に載置し、装置内を一旦1Paまで真空排気した。その後、装置内へ原料ガスとしてCOガスとHガスとの混合ガス(COガスの割合が30容量%)を導入して、装置内を大気圧とし、試料温度を400℃に設定し、20分間気相成長を試みた。基板上に、グラファイトナノファイバーの成長は観察されたが、得られたグラファイトナノファイバーはカールが顕著なファイバー形状であった。
(比較例2)
大きさが20mm×20mm×1.1mmのガラス基板を成膜室内に載置し、基板の片面にスパッタ法によりFe−42%Ni合金層を堆積した。この試料を一度大気中に取り出した後、熱CVD装置内の試料ホルダー上に載置し、装置内を一旦1Paまで真空排気した。その後、装置内へ原料ガスとしてCOガスとHガスとの混合ガス(COガスの割合が80容量%)を導入して、装置内を大気圧とし、試料温度を350℃に設定し、20分間気相成長を試みた。基板上に、グラファイトナノファイバーの成長は観察されなかった。
上記実施例と比較例から明らかなように、触媒層の下層としてAl層を設けることにより、好適なグラファイトナノファイバーの成長がより低温で起こることがわかる。すなわち、本発明によれば、気相成長に必要なエネルギーが少なくて済むというメリットがある。
大きさが20mm×20mm×1.1mmのガラス基板を成膜室内に載置し、基板の片面にスパッタ法により一様に50nmの膜厚を有するAl層を形成した後、公知のフォトリソグラフィー工程、エッチング工程を経て、Al層をパターン化し、基板上に幅100μm、間隔100μmのラインを複数有するAl層パターンを形成した。続いて、このAl層パターンが設けられている側の基板全面に、スパッタ法によりFe−42%Ni合金層を堆積した。この試料を一度大気中に取り出した後、熱CVD装置内の試料ホルダー上に載置し、装置内を一旦1Paまで真空排気した。その後、装置内へ原料ガスとしてCOガスとHガスとの混合ガス(COガスの割合が30容量%)を導入して、装置内を大気圧とし、試料温度を400℃に設定し、20分間気相成長を行った。触媒層が基板全面に存在しているもかかわらず、グラファイトナノファイバーは、下層のAl層パターンが存在する触媒層上にのみ選択的に成長していることが観察された。得られたグラファイトナノファイバーは、その長手方向が基板表面に対して垂直に成長しており、直径が約50nm、長さが約3μmであった。
大きさが20mm×20mm×1.1mmのガラス基板を成膜室内に載置し、基板の片面にスパッタ法により一様に50nmの膜厚を有するAl層を形成し、続いて、このAl層の全面に、スパッタ法によりFe−42%Ni合金層を堆積した。この試料を一度大気中に取り出した後、熱CVD装置内の試料ホルダー上に載置し、装置内を一旦1Paまで真空排気した。その後、装置内へ原料ガスとしてCOガスとHガスとの混合ガス(COガスの割合が50容量%)を導入し、装置内の圧力を5.3×10Paに設定し、試料温度を500℃に設定し、20分間気相成長を行った。かくして、得られたグラファイトナノファイバーの電子顕微鏡写真(図4)から明らかなように、基板表面上に、グラファイトナノファイバーが基板表面に対してファイバーの長手方向が垂直に成長しており、カールもほとんどないことが観察された。得られたグラファイトナノファイバーは、それぞれ、直径約50nm、長さ約2μmであった。このようなカールがほとんどないグラファイトナノファイバーは、電場での影響で形状変化を受けにくいと考えられるので、例えば3極構造FEDのエミッタとして使用するのに適している。
また、グラファイトナノファイバーの成長圧力を2.6×10Pa、8.0×10Paに設定し、上記実施例5記載のプロセスを実施したところ、いずれの場合も、成長したグラファイトナノファイバーは、実施例5と同様な形状を有していた。
(比較例4)
大きさが20mm×20mm×1.1mmのSUS基板を成膜室内に載置し、基板の片面にスパッタ法によりFe−42%Ni合金層を堆積した。この試料を一度大気中に取り出した後、熱CVD装置内の試料ホルダー上に載置し、装置内を一旦1Paまで真空排気した。その後、装置内へ原料ガスとしてCOガスとHガスとの混合ガス(COガスの割合が50容量%)を導入して、装置内を大気圧とし、試料温度を650℃に設定し、20分間気相成長を試みた。基板上に、カールが顕著なグラファイトナノファイバーの成長が観察された。
上記プロセスにおいて、基板温度を550℃未満とし、また、圧力を大気圧未満とする条件でグラファイトナノファイバーの成長を試みた。しかし、このようなプロセス条件では、グラファイトナノファイバーは成長しなかった。
実施例4と同様にして、Al層パターンを形成し、Fe−42%Ni合金層を基板全面に堆積した試料を一度大気中に取り出した後、熱CVD装置内の試料ホルダー上に載置し、装置内を一旦1Paまで真空排気した。その後、装置内へ原料ガスとしてCOガスとHガスとの混合ガス(COガスの割合が50容量%)を導入し、装置内圧力を5.3×10Paに設定し、試料温度を400℃に設定し、20分間気相成長を行った。触媒層が基板全面に存在しているもかかわらず、グラファイトナノファイバーは、下層にAl層パターンが存在する触媒層上にのみ選択的に成長していることが観察された。かくして得られたグラファイトナノファイバーは、図4の場合と同様に、基板表面に対してそのファイバーの長手方向が垂直に成長しており、カールもほとんどないことが観察された。得られたグラファイトナノファイバーは、それぞれ、直径約50nm、長さ約2μmであった。このグラファイトナノファイバーも、実施例5と同様に、3極構造FEDのエミッタとして使用するのに適している。
上記実施例では、基板としてガラス基板を使用したが、ガラス基板の代わりに、Si基板を含む半導体基板、セラミックス基板(例えば、STO、BTO等)、又は金属基板(例えば、Cu、Ta、Mo等)等を使用しても、同様な結果が得られる。
また、上記実施例におけるAl層として、主成分のAlに他の金属(SiやCu等)を添加した層を用いた場合も、上記実施例と同様な結果が得られる。
本発明によれば、低温において所望のグラファイトナノファイバー、例えばパターン化したグラファイトナノファイバーを成長せしめることができるので、本発明は、ディスプレイ用の電子放出源や燃料電池のための水素貯蔵やリチウム二次イオン電池等の分野へ適用可能である。
本発明に係わる製造方法の一実施の形態を説明するための断面図であり、(a)はAl層の形成工程、(b)は触媒層の形成工程、(c)はグラファイトナノファイバーの製造工程を示す。 本発明に係わる製造方法の別の実施の形態を説明するための断面図であり、(a)はAl層パターンの形成工程、(b)は触媒層の形成工程、(c)はグラファイトナノファイバーパターンの製造工程を示す。 実施例1で得られたグラファイトナノファイバーの顕微鏡写真。 実施例5で得られたグラファイトナノファイバーの顕微鏡写真。
符号の説明
1 基板 2 Al層
3 触媒層 4 グラファイトナノファイバー
21 基板 22 Al層パターン
23 触媒層 24 グラファイトナノファイバー

Claims (6)

  1. 気相成長法により基板上にグラファイトナノファイバーを製造する方法において、
    基板の表面にAl層を10〜50nmの厚さで形成し、このAl層をパターン化し、パターン化したAl層上を含む基板表面の全面に触媒層を形成し、次いで、炭素原子含有ガスを供給して、大気圧以下の圧力下で、パターン化されたAl層上に形成された触媒層上にグラファイトナノファイバーを選択的に気相成長せしめることを特徴とするグラファイトナノファイバーの製造方法。
  2. 前記気相成長を1000〜80000Paの圧力で行うことを特徴とする請求項1記載のグラファイトナノファイバーの製造方法。
  3. 前記気相成長を250〜600℃の温度で行うことを特徴とする請求項1又は2記載のグラファイトナノファイバーの製造方法。
  4. 前記炭素原子含有ガスと共に水素ガスを供給して、前記触媒層上で気相成長を行うことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のグラファイトナノファイバーの製造方法。
  5. 前記触媒層が、Co、Ni及びFeのいずれかの金属、これらの金属の少なくとも1種を含む合金、又はこれらの金属の2種以上からなる合金を用いて形成されることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のグラファイトナノファイバーの製造方法。
  6. 前記基板が、ガラス、シリコン、セラミックス、半導体又は金属からなる基板であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のグラファイトナノファイバーの製造方法。
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