JP5013669B2 - 電気化学デバイスの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電気化学デバイスの製造方法、電気化学デバイス、燃料電池及び携帯機器に関する。
電気化学デバイスは、一般的に、電子(電荷)を発生又は蓄積できる層とイオンを伝搬する層とから構成される。かかる構成を有する電気化学デバイスの具体的には、1次電池、2次電池、燃料電池、太陽電池、コンデンサー、電気分解デバイス、各種センサーなどが挙げられる。これらの構成は、イオン伝導層をはさんで両側に電子を伝導できるアノード層およびカソード層を配した構造である。イオン伝導層は、液体であっても、固体であってもよい。イオン伝導層で電荷を伝導することから、イオン伝導層は、電気化学デバイスの心臓部である。このような電気化学デバイスの心臓部の構成に対して、流体を供給することにより電荷を発生させる電気化学デバイスが存在する。この構成を採用することにより、基本的には前述したすべてのデバイスを構築可能であるが、代表的なものとして燃料電池、電気分解デバイスがある。
図1は、従来の燃料電池や電気分解デバイス等の構造を示す図である。また、図2は、図1に示す流体通路体の平面図及びこの平面図の線A−A’に沿った断面図である。図1に示す電気化学デバイスは、流体通路体/流体拡散層/触媒層/イオン伝導層/触媒層/流体拡散層/流体通路体という構成を有する。かかる例で用いる流体は、流体通路体を通過し、流体拡散層を介して、触媒層へと至る。流体は、触媒層に含有される触媒と反応し得る化合物を用いる。また、流体拡散層は、通常多孔質体が用いられる。流体が触媒層に達すると、化学反応が起こる。燃料電池などの電気化学デバイスの場合、かかる化学反応を介して発生したイオンはイオン伝導層を介して伝導され、電気エネルギーが発生する。一方、電気分解デバイスの場合には、かかる化学反応を介して発生したイオンがイオン伝導層を介して伝導される。
電気化学デバイスに係る電気エネルギー/イオンは、流体と触媒層に含有する触媒との化学反応に由来する。流体は流体通路体を流動して最終的に触媒層に達することから、流体と触媒とを効率よく接触させるため、流体通路体と触媒層との物理的配置/構成は、電気化学デバイスにおいて、非常に重要な要素の一つである。
従来例における電気化学デバイスは、上述の通り、流体通路体と触媒層とが流体拡散層を挟む構造を有する。流体通路体は、流体が通過する構造であり、流体通路体を通過した流体は、触媒層に到達し、到達した流体が、触媒層に含まれる触媒上で反応する。仮に流体拡散層が存在しない電気化学デバイスを用いるとすると、流体通路体と触媒層とが接する部分にのみ流体が供給され、かかる部分でのみ反応が起こることとなる。つまり、触媒層において、流体と反応し得ない部分が存在することとなる。従って、このような構成を有するデバイスを用いた場合、かかる流体とかかる触媒とを直接反応させて得られる電気エネルギーに比べて、相対的に少ない電気エネルギーしか得られないこととなる。
そこで、従来例における電気化学デバイスでは、このような不具合を回避するため、流体通路体と触媒層との間に、通常多孔質体で構成される流体拡散層を配置している。このような配置を採用することにより、流体通路体を通過した流体は、流体拡散層において多孔質体を通過し、流体が局所的に触媒層に接することなく、触媒層の全体に接するようになる。その結果、流体と触媒とが効率よく接することとなり、電気エネルギーが効率よく得られることとなる。
しかしながら、流体拡散層を設けることは大きさ(体積)、重さ(重量)的に不利であり、特に携帯機器用の電気化学デバイスの場合、小型軽量であることが要求される実情がある。また流体拡散層を存在させることにより、流体の拡散抵抗を上げる要因となる。
また、上記の従来の一般的な電気化学デバイス(特に燃料電池や電気分解デバイス)に係る触媒層や電子伝導層の製造方法は、イオン伝導層に主にカーボンを主体とし触媒金属を含むペーストを塗布することにより作製したり、流体拡散層であるカーボンペーパーやカーボンクロス上に該ペーストを塗布したのちイオン伝送膜と一体化することにより作製されている。一般的に、この塗布工程は、ブレードコート法、ダイコート法、ワイヤーバーコート法、スクリーン印刷法、フレクソ印刷法が適用される。ブレードコート法、ダイコート法、ワイヤーバーコート法は、長尺の基板に対して連続して塗布することが可能であるので、大面積を生産性高く塗布できる。しかしながら、任意の位置に任意の大きさで(たとえば正方形、長方形などの形状)塗布することはできない。また塗布位置精度が高くないという問題がある。スクリーン印刷法やフレクソ印刷法等の印刷版を用いる方法では、任意の位置、任意の大きさに塗布することは可能であるが、印刷位置や印刷形状を変えるためには、版を作りなおさなくてはならないという問題がある。
また、上記の塗布工程以外の方法としてはろ過法、電気泳動法、ミセル電解法などの方法がある。ろ過法は多孔質基板への固形物の積層に適用される方法であり、電気化学デバイスの電極作製にも応用されている(非特許文献1参照)。しかしながら、積層形状がろ過面の形状で規定されるため、形状変化や形状制御に対する対応性が悪い。また粒子が微細になるほど積層(ろ過)に時間を要し生産性を落とすという欠点がある。電気泳動法は、液体中で帯電している粒子に直流電場を印加することにより、粒子が帯電している極性と逆極性の電場方向に粒子を動かす技術である。この技術も電気化学デバイスの電極作製に応用されている(非特許文献2参照)。これは、正負電極間(直流電場間)に多孔質膜やイオン伝導膜を配置することにより膜と粒子を複合させる技術である。しかしながら、膜と液とで形成される液断面形状で積層形状が決定されるため、ろ過法と同様に形状変化や形状制御に対する対応性が低い。ミセル電解法は、たとえば特許文献1に開示されている。この方法はフェロセンのような酸化還元可能な部位を持つ界面活性剤(ミセル化剤)により作製されるミセルを、電極表面で酸化又は還元し、ミセルを崩壊させ、ミセル内部の物質を電極表面に堆積させる方法である。この方法は、電極面での電気化学反応を利用しているため、電極面すなわち電子伝導性を持つ基板に対してしか適用できない欠点を有している。
特公平3−59998号公報 2003年電気化学春季大会,3N08,P313 2003年電気化学春季大会,3N09,P314
本発明は、デバイスの小型化に影響を与える流体拡散層を用いることなく、流体の拡散抵抗を軽減させた、効率的に電気エネルギーを発生させ得る電気化学デバイスを提供すると共に、流体拡散層を用いることなく、形状変化及び/又は形状制御に対応し得る電気化学デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、以下の(1)乃至(10)を発明するに至った。
(1)静電潜像を静電気担持体上に形成する工程と、該静電気担持体上に形成された静電潜像と触媒成分を含有する分散液とを静電的に接触させる工程と、該静電潜像と接触した触媒成分を含有する分散液をイオン伝導に静電的に転写する工程を有することを特徴とする電気化学デバイスの製造方法。これにより、任意形状の触媒層を有する電気化学デバイスを簡便に(何度でも)製造可能となる。
前記分散液は、電子伝導成分をさらに含有することを特徴とする(1)に記載の電気化学デバイスの製造方法。これにより、任意形状の電子伝導部を有する電気化学デバイスを、簡便に(何度でも)製造可能となる。
(3)前記電子伝導成分は、カーボンであることを特徴とする(2)に記載の電気化学デバイスの製造方法。これにより、界面抵抗の低減および電気学的安定性が向上可能となる。
)前記静電潜像を静電気担持体上に形成する際に、一括照射、描画照射又は線状照射により光を照射することを特徴とする(1)乃至(3)のいずれか一項に記載の電気化学デバイスの製造方法。これにより、形状変化への対応性が高い電気化学デバイスの製造方法が提供できる。
)前記分散液は、結着性を有する高分子化合物をさらに含有することを特徴とする(1)乃至(4)のいずれか一項に記載の電気化学デバイスの製造方法。これにより、粒子の結着性を保持しつつ、界面抵抗の低減をはかるともに分散物の簡素化できる。
)前記高分子化合物は、イオン伝導性高分子又はフッ素系高分子であることを特徴とする(5)に記載の電気化学デバイスの製造方法。これにより、結着性を維持しつつ、高分子化合物の電気化学的安定性が向上可能となる
(7(1)乃至(6)のいずれか一項に記載の電気化学デバイスの製造方法を用いて製造されていることを特徴とする電気化学デバイス。これにより、製造が簡便で任意形状が可能な触媒層、電子伝導層を有する電気化学デバイスが得られる。
(7)に記載の電気化学デバイスを有することを特徴とする燃料電池。これにより、製造が簡便で任意形状が可能な触媒層、電子伝導層を有する電気化学デバイスを用いた燃料電池が得られる。
)エタノールを酸化するアノードを有することを特徴とする(8)に記載の燃料電池。これにより、安全面・環境面に優れ、エネルギー密度の高い燃料を使用した燃料電池が得られる。
10)(8)又は(9)に記載の燃料電池を有することを特徴とする携帯機器。これにより、製造が簡便で任意形状が可能な触媒層、電子伝導層を有する電気化学デバイスを用いた燃料電池を使用した利便性/信頼性の高い携帯機器が得られる。
流体拡散層と触媒層とを一体化することによりサイズを小さくした電気化学デバイスを提供する。
形状制御等にも対応した電気化学デバイスの製造方法を提供する。
本発明による電気化学デバイスの構成概念図を図3に示す。また、図4は、本発明に使用する触媒層の形成例を示す図であり、図5は、図4に使用する流体通路体の平面図及びこの平面図の線A−A’に沿った断面図である。
本発明による電気化学デバイスは、その中央部にイオン伝導層を有し、その両側に、触媒層を有し、さらにその外側に流体通路体を備える。以下、流体通路体、触媒層、イオン伝導層の順に、本発明による電気化学デバイスの構成について説明する。
(流体通路体)
本発明による流体通路体は、本発明による電気化学デバイスに用いる流体を流動させるのに適した構造を有していればよく、例として、図5に記載の流体通路体を示しているが、これに限定されるものではなく、通路は2本以上であってもよく、混合通路であってもかまわない。図5−1は、混合通路を設けた流体通路体を示す。
本発明に使用する流体通路体は、流体に対して化学的に安定であればよく、発生する電荷や与える電荷により形成される酸化還元雰囲気に対して安定であることが好ましい。軽量化および成形性の面からはプラスチック材料で形成されることが好ましく、抵抗の軽減面からは電子伝導体にて形成されていることが好ましい。より好ましくは、流体を流動させる流体通路部以外の面に電子伝導性をもたせ、デバイスとしての抵抗を軽減し、流体通路以外の面以外は軽量で加工性のあるプラスチックにて構成することが好ましい。流体通路以外の面に導電性を付与する方法としては、金属の蒸着、スパッタ、メッキ等従来公知の方法が使用できる。
また電子伝導性の部分を上記のような面ではなく、立体物とすることも可能である。
ここで、「立体物」とは、流体通路体自身を、“電子伝導部材(おもに流体通路以外の部分;立体物)”及び“プラスチック部材(おもに流体通路の部分;立体物)”のように複数の部材から組み合わせて使用することを意味している。この場合、導電性を有している部分は表面だけではないため、抵抗の面で有利である。また、“流体通路体の流体通路以外の面”から“流体通路体の流体通路が形成されてない裏面”まで連続して導電物質で形成することにより、同一の電気化学デバイスの積層体の形成(接続)などに有利な構成とすることが可能である。
(触媒層)
本発明による触媒層は、上述の流体通路体と後述のイオン伝導層との間に配置される。触媒層は、イオン伝導層の各主面上に積層された構造を有し、各触媒層は、イオン伝導層に相対して、概ね同一位置、つまりイオン伝導層に相対してオンセットとなるように形成されていることが好ましい。イオン伝導抵抗はその距離に比例するため、各触媒層がイオン伝導層に相対してオフセットとなると、イオンの移動距離が長くなり、電気化学デバイスとしても抵抗が大きくなってしまう。
また、本発明による触媒層は、上述した流体通路体の流体通路部に接するように面していることが好ましい。このような構成とすることにより、本発明による電気化学デバイスに用いる流体が、触媒層に含有される触媒と十分に接するようになり、流体と触媒とが効率よく接し、ひいては、流体と触媒との反応が効率よく起こるようになる。
本発明による触媒層に含有する触媒成分としては、特に制限はないが、上述の流体と触媒反応を起こし得る化合物であることが好ましい。具体的には触媒成分として、白金等の貴金属単体又は貴金属と貴金属を含む第2成分元素、第3成分元素等の合金や複合物が使用できる。また、触媒成分用の担体としては、使用される触媒作用を有する物質及びデバイスが機能する条件で適宜選択され得るが、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、カーボン、炭化ケイ素あるいは酸化チタンに代表される光半導体などが使用できる。
流体と触媒との組み合わせとして、具体的には、水素や有機物の酸化や水の電気分解には、白金を主体とする触媒が好ましく、アルコール酸化、特にメタノール酸化には“白金とルテニウム又はイリジウム”からなる触媒が好ましく、エタノールの酸化には“Ptとルテニウム、イリジウム、タングステン及びスズからなる群から選択された少なくとも1つの金属”からなる触媒成分が好ましく、更には、本発明による触媒成分は、3種以上の化合物を使用することが好ましい。
(本発明による電気化学デバイスにおけるイオン/電子伝導性の確保)
本発明による電気化学デバイスは、
(1)流体通路体を介して流体を導入し、
(2)流体通路体に導入された流体は、触媒層に含有する触媒と化学反応し、
(3)この化学反応により、イオン/電荷が発生し、
(4)発生したイオンは、イオン伝導層を介して伝導し、一方、発生した電荷は、外部回路に流れ出る、
という工程で動作する。この(1)〜(3)に示した工程を効率良く行うために、上述の通り、流体通路体/触媒層/イオン伝導層を構成することに関して述べてきた。一方、工程(4)に示す通り、イオン/電子が発生する。そのため、本発明による電気化学デバイスは、発生したイオン/電荷を効率良く取り出す必要がある。図6は、この一例を示した図であり、本発明の第2の実施例による触媒層及び電子伝導層の形成例を示す図である。
本発明による電気化学デバイスに係る流体通路体は、その流体通路部以外の部位に、電子伝導部を設けることが好ましい。このような構成とすることにより、触媒層で発生した電荷又は触媒層に供給すべき電荷を、低抵抗にてあつかうことが可能となる。また、これと同様の理由で、触媒層に含有する触媒成分は、導電性を有することが好ましい。
このような構成の本発明の電気化学デバイスを燃料電池や電気分解デバイスに応用する場合には、電流を取り出し或いは流す必要があるため、電荷発生部である触媒層部から電子伝導物質を介して電荷を取り出す(あるいは与える)必要がある。流体通路体が電子伝導体である場合は触媒層の形成幅を流体通路体の流体通路以外の面まで広げることにより流体通路以外の面が触媒層に接触し電荷のやり取りが可能となる。また、イオン伝導層面に別途触媒層と接触する電子伝導部を形成することによっても電荷のやり取りをすることが可能である。また流体通路体が電子伝導性の物質で構成されている場合は、流体通路体と電子伝導層が直接接触することから、前記のように触媒層を広げる必要がなく、触媒の有効利用の面、低抵抗化の面、双方から好ましい構成といえる。同様な理由で,イオン伝導層に形成される触媒層および電子伝導層は、イオン伝導層の表裏にて概ね同一位置に形成されていることが好ましい。
このような触媒層を形成することにより、流体拡散層が不要なり、デバイス全体の小型軽量化が可能となるととともに使用する触媒量も削減することができる。また流体拡散層が存在しないことにより流体の拡散抵抗を減じることが可能である。
(本発明による電気化学デバイスの製造方法)
次に、本発明の触媒層および電子伝導層を作製する方法の概念を説明する。図7は、本発明の触媒層及び電子伝導層を作製する方法を示す図である。
まず帯電した(静電気を帯びた)基板1を用意する。次に、帯電した基板を、基板に対して逆帯電した粒子を含む分散液に浸漬し、粒子を基板に付着させる。ついでこの基板を取りだし、粒子を含まない液に浸し、図のようにイオン伝導膜(あるいは多孔質膜)、および基板2を設置する。基板2側が粒子とは逆極性となるように(図ではマイナス)直流電界を印加し、基板1側に付着していた粒子をイオン伝導膜上に電気泳動させて付着させる。このような操作によりイオン伝導膜と粒子との積層体を作製することができる。また、基板1とイオン伝導膜と基板2を接近させることにより粒子のない液を介さず、直接一段階でイオン導電膜に転写することも可能である。
以下、本発明による電気化学デバイスの製造方法に関して、静電潜像を形成する工程、静電潜像と触媒成分とを接触する工程及び触媒成分をイオン伝導層に転写する工程の順で説明する。
(静電潜像を形成する工程)
本発明に使用される静電気担持体は、静電気を担持できるもの、具体的には表面が絶縁性又は半導性を有していれば、基本的に使用可能である。帯電させる方法は物理的に2種以上のものを接触摩擦させることによる帯電(摩擦帯電)、空気等に高い電界を印加することにより発生する電荷を利用する帯電(コロナ放電)、電子銃等による帯電(電荷注入)など任意の方法が使用できる。
本発明による電気化学デバイスの製造方法に用いる静電気担持体は、光半導体層を有することが好ましい。ここでいう光半導体とは光照射により正電荷/負電荷を発生できる材料である。このような材料を本発明の静電気担持体に使用した場合、前記の任意の方法で表面全体を帯電させた担持体に光を照射することにより、電荷を消失させることが可能となる。すなわち、光を照射する部位を制御することにより任意の形状で静電気を表面に残す(静電潜像を形成する)ことが可能となる。
図8は、本発明による静電現像を形成させる概念を示す図である。光半導体層へ帯電処理(図では「+」で示す正帯電)をした後、マスク等を介し光照射を行い光照射部のみ電荷を消失させる。ついで、負帯電ローラーを回転させながら、触媒成分分散液(図の場合、負帯電分散物)を半導体層上に塗布すると同時に直流電界(図の場合、負帯電ローラー)を印加し、触媒成分を光半導体層上の正帯電部に電気泳動させる。次いで、正帯電させたローラーを介して、イオン導電膜に触媒成分を転写することにより、イオン伝導体と触媒層との積層体を作製することができる。
図7及び図8の方法によれば、触媒層を保持した任意形状のイオン伝導体を簡便に製造できるとともに、静電潜像担持体(光半導体)を再使用するも可能である。また、一般に、光による露光は、前述の通常の塗布法に比較して、解像度の高い形状を得ることが可能である、という利点を有している。
任意形状での光照射法としては、ハロゲンランプ等の光のフォトマクスによる一括照射や、半導体レーザー光をミラー等で走査する描画照射、LEDアレイによる線状照射等の方法により可能である。特にレーザー光とよる描画やLEDアレイによる描画は、解像度が高い点、複雑形状も可能な点、版(フォトマクス)が不用で形状変化への対応性が高いことから好ましい。
さらに、好ましい静電気担持体の構成としては、導電性基板の上部に少なくとも上記光半導体層を設けた形状が好ましい。このような形態とすることにより、光照射により発生した電荷を速やかに正負電荷に分離することが可能となり、解像度が向上する。特に導電性基板を表面帯電とは逆の極性(あるいは接地)とすることが電荷分離の点から好ましい。
(静電潜像と触媒成分とを接触する工程)
本発明で使用する触媒成分は分散媒中で帯電している必要がある。この帯電を利用して触媒成分を静電気担持体に付着させ、さらにそれをイオン伝導膜あるいは多孔質膜に転写させている。帯電を利用する方法は、基本的には電気泳動現象に基づく。
電気泳動現象とは、粒子(本発明では触媒成分や電子伝導性成分を含む物質)表面に存在する電荷に働く静電引力により動きが発生するもので、当然、正に荷電している粒子は負電場へと、負に荷電している粒子は正電場へと泳動される。粒子の電荷はその分散媒自体が解離性の液体の場合(たとえば分散媒が水の場合には、水素イオンと水酸化イオン)、その粒子の表面と親和性の高いイオンが表面に吸着し、粒子の電荷は、粒子に吸着したイオンの電荷を帯びることとなる。また吸着したイオンと逆の電荷を持つイオンはこの粒子の周りを取り巻き、対イオンを形成する。解離性の液体でない場合(通常有機溶媒が多い)は一般的には電荷制御物質(電解質構造を有するもの等)を添加して、上述した吸着を発生させて、粒子に電荷を付与する。勿論、水のような解離性液体に電荷制御物質を加えて、電荷を制御してもよい。
本発明に使用する分散液は、解離性液体を使用する場合、基本的には、液と粒子のみで構成することが可能である。しかしながら、この場合、電荷を決定する成分及び電荷量は粒子の材質と分散媒体との組み合わせで一義的に決定され、制御出来ないため、電荷量、符号を自由に制御するためには電荷制御物質を添加するのが好ましい。ここで使用される電荷制御物質は無機塩、有機塩等など、特に制限はないが、粒子の表面の性質及び所望する荷電符号によって適宜選択するのが好ましく、少ない添加量でより大きい表面電荷をもたせられる材料が好ましい。また粒子と解離性液体だけ、或いは、さらに電荷制御物質を添加した系では、粒子を小さくしないと、沈降や凝集を起こし、分散液を安定化させることができないため、分散溶液の安定性を高める目的で界面活性剤を添加してもよい。ここで使用される界面活性剤は、非イオン性(ポリエチレングリコール型、多価アルコール型)、カチオン性(アミン塩型、アンモニウム塩型)、アニオン性(カルボン酸塩型、スルホン酸塩型、硫酸エステル塩型、リン酸エステル塩型)、両性(アミノ酸型、ベタイン型)のいずれも使用可能であるが、少ない添加量で粒子に電荷を付加させるためには、カチオン性又はアニオン性などのイオン性界面活性剤を用いると、それ自体が粒子に電荷を与える機能をも有するため、好ましい。非解離性の液体を使用する場合は、電荷制御物質の(界面活性剤を含む)が必須となる。同様の理由で界面活性効果のない電荷制御物質では電荷は制御できるが分散液の安定性が悪いため、界面活性剤を使用することが好ましい。
分散液の調製は、分散媒に不溶な粒子と、必要により結着性高分子化合物/導電剤/電荷制御剤等を加えたものを“回転刃により粒子の微細化および混合を行うホモジナイザー”、“回転する3本のロールがもつギャップにより粒子の微細化および混合を行う三本ロールミル”、“ビーズを混合し攪拌することにより粒子の微細化および混合を行うサンドミル”、“超音波振動により粒子を微細化および混合する超音波分散”などの分散方法により調製することができる。
本発明に使用する結着性を有する高分子化合物とは、分散媒中で安定であって、分散媒中に含有する物質(膜や粒子)を結びつける特性を有する化合物を総称である。具体的には、ポリフルオロエチレン、ポリエチレン、ニトリルゴム、ポリブタジエン、ブチルゴム、ポリスチレン、スチレン/ブタジエンゴム、ニトロセルロ−ス、シアノエチルセルロ−ス、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロプレン、ポリビニルピリジンなどが挙げられ、これらは、単独で用いてもよく、或いは、混合及び/又は共重合などによって、化学的に安定化して用いてもよい。
結着剤としてはイオン伝導性高分子を使用することが好ましい。これは結着性という機能とイオン伝導性という機能の二役を一つの材料で担うことが可能となるためである。具体的には、1次元高分子化合物であり、分子内にイオン解離基を有するものが使用できる。イオン解離基とは、自身がイオン化可能の基(水酸基、カルボキシル基、スルフォン酸基等)あるいは解離性物質(電解質塩等)を解離させ得る基(アルキレンオキシド基、アルキレンイミン基等)を指す。より具体的にはポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、及びこれらの誘導体を使用できる。またこれらに代表される解離性基を有する高分子化合物は前記電荷制御物質として機能させることも可能である。
また材料の電気化学的(酸化還元)及び化学的(熱等)安定性の観点からは結着剤はフッ素系高分子を使用することが好ましい、具体的にはポリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなどが好ましくは使用できる。
本発明に使用する分散液中に含まれる高分子材料の最も好ましい形態としては、小型、軽量、安価、積層体の電気化学的性能向上の面で、(1)電荷制御材としての機能、(2)イオン伝導体としての機能、(3)結着材としての機能、(4)(電気)化学的安定性をあわせもつ材料が好ましい。具体的にはフルオロカーボン構造を主鎖や側鎖に有し、イオン解離基を分子鎖中に含む高分子材料が好ましい。さらに具体的には、パーフルオロエチレン構造を有し、イオン解離基を含む構造がこのましく、イオン解離基としては、伝導させるイオン種で適宜設定させるものであるが、プロトンであればカルボキシル基、スルフォン酸基、リン酸基、リチウムイオンであればエチレンオキシド構造、プロピレンオキシド構造を有してしていることが好ましい。
本発明でいう電子伝導成分とは、分散剤中で安定であって触媒近傍で発生する電荷の伝播を補助する機能を担うものである。
本発明による分散液に使用する電子伝導成分は、分散媒中で安定、デバイスの動作環境下において安定である電子伝導性材料であればよく、酸化還元双方に対する安定性、軽量である面、分散媒中での分散性が良好である点、イオン伝導性高分子を電荷制御材として吸着できる点から、金属系材料よりも炭素系の材料が好ましい。天然黒鉛、人造黒鉛などが使用できる。
本発明のデバイス及び/又はデバイスの製造方法で使用される分散媒中で不溶な粒子として、少なくとも触媒作用を有する物質を使用することにより、電気化学的な触媒反応を実施することが可能となる。ここでいう触媒作用を有する物質とは、“自らは変化せずに化学反応を促進するもの”である。粒子の形態としては、触媒作用を有する物質は触媒作用のない担体上(本発明の静電気を担持した担持体の“担持体”と区別するため触媒を担持する媒体は担体とよぶこととする)に担持させている形となっていることが触媒活性、耐久性、利用効率の面から好ましい。また、本発明の製法では粒子は帯電していることが必要であるが、この帯電は前述のように電荷制御材により調整することができる。触媒能力を有する物質上に電荷制御物質を被覆あるいは吸着させることは触媒活性を下げることになり好ましくない。担体を選択することにより電荷制御材を担体上に優性に被覆あるいは吸着させることにより、触媒能力を落とすことなく、本発明の製造方法を実施できる。
本発明による方法に用いる触媒成分は、流体と組み合わせて触媒反応し電気エネルギーを発生させる材料であれば、種々用いることが可能であり、例えば、上述した触媒成分を用いることが可能である。
(触媒成分をイオン伝導層に転写する工程)
本発明に使用されるイオン導電層は、膜として一定の形状を保持し得る自己保持性を有する。その材質は、有機材料、無機材料、単一材料、複合材料問わないが、少なくとも分散媒に対して化学的に安定であり、かつ膜厚方向にイオン伝導性を有するものでなくてはならない。好ましくは高分子化合物であり、分子内にイオン解離基を有していてもよい。イオン解離基とは、自身がイオン化可能な基(水酸基、カルボキシル基、スルフォン酸基、リン酸基等)又は解離性物質(電解質塩等)を解離させ得る基(アルキレンオキシド基、アルキレンイミン基等)を指す。より具体的にはポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシド並びにこれらの誘導体や架橋体を使用できる。単体で自己保持性膜を形成できない場合は、例えば、多孔質膜に保持して使用することもできる。
本発明に使用される多孔質膜とは、分散媒に対して安定であれば使用可能であるが、イオン伝導性物質を含有(保持)できるものなくてはならない。多孔質膜を使用する場合、イオン伝導性物質は、液体状、ゲル状、固体状等の様々な形態のイオン伝導物質を使用し得る。イオン伝導物質の多孔質膜への保持は、本発明のデバイス及び/又はデバイスの製造方法で使用される分散媒中で不溶な粒子を積層した後に行ってもよいし、予め、多孔質膜にイオン伝導性物質を保持させた後、分散媒中で不溶な粒子を積層してもよい。本発明による多孔質膜の具体例として、ガラス繊維、ポリエステル、テフロン(登録商標)、ポリフロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド等の高分子繊維からなる多孔体、ガラス繊維とそれらの高分子繊維を混用した物、前記高分子の発泡体等が使用できる。
(応用例)
本発明の製法は、分散媒に不溶な粒子として各種の材料を使用することにより、触媒反応を利用する様々な電気化学デバイスに応用可能である。その応用例として、燃料電池がある。
以下、燃料電池を具体例に本発明を記載する。図9は、プロトン伝導型電解質を使用した燃料電池の一例である。
基本的構成要素として、中心にイオン伝導層(図の場合はプロトン伝導体)が存在し、その両側にアノードの触媒層、およびカソードの触媒層が配置された構成を有している。燃料としてアノード側にプロトン源となる燃料(水素、アルコールなど)を供給し、アノード内の触媒作用により燃料から水素イオンが発生する。この時、発生する電子は外部回路に流れ出る。発生した水素イオンはプロトン伝導体中を伝搬し、アノードに達する。アノードに酸化剤(空気、酸素など)を供給することにより水素イオンと酸素と外部回路を通して流れてくる電子とが反応し、水を生成する。これを反応式として現すと以下のようになる:
アノード反応; H→2H+2e−(水素燃料の場合)
カソード反応; 2H+1/2O+2e→H
全反応; H+1/2O→H
燃料電池においては、イオン伝導層の両側に触媒層を積層する必要があるので、本発明の製造方法をイオン導電膜の表裏で2回繰り替えすことによっても作製できる。この時、アノード側とカソード側に異なる粒子を積層させることも可能である。またアノード側とカソード側で同一の粒子を積層する場合、光半導体上にフォトマスクやレーザー描画等の方法で2箇所の部位に光照射することによりイオン伝導層の片面の2個所に触媒層を積層することができるため、これをイオン伝導膜を内側(触媒層を外側)として触媒層が重なるように折ることによっても燃料電池の機能部材として使用することが可能である。
また本発明の製法、特に、光半導体を用いる方法は、上記のようにイオン伝導性膜や多孔質膜の同一平面内に1段階で複数の領域に触媒層形成することが可能(複数の燃料電池要素を形成することが可能)であることから、生産性が高い方法である。また、このような手法でイオン伝導層の表裏の複数の領域に触媒層を形成した部分の各々を燃料電池要素としてすべて使用(並列および/あるいは直列の接続)することにより、高電圧/高出力の薄型の燃料電池が作製できることから、薄型の燃料電池の製法に適する。
水素ガスを燃料とする燃料電池は一般に高い出力密度が得られ、水素燃料を用いた固体高分子電解質型燃料電池が電気自動車など高速移動体の電源又は分散型電源として期待されている。電極における電気化学反応を活性化するために、電極では殆ど白金触媒を使用しており、アノードで発生した水素イオン(プロトン)はイオン伝導層を介してカソードまで伝導する。しかしながら、燃料水素の貯蔵や運搬、燃料加給の方法などにはまだ欠点もあり、特に小型携帯機器等の電子機器用電源を目的としたパーソナル用途には不向きである。
本発明の燃料電池は、触媒の種類により適正があるが基本的にはいかなる燃料も使用可能である。しかしながら、体積および重量エネルギー密度に優れる燃料を使用することが好ましい。燃料は通常有限な空間(容器等)に収められているため、一定の体積しか有していない。したがって、本発明の実施にあたっては、体積及び重量エネルギー密度にすぐれる燃料を使用することが好ましい。特に体積エネルギー密度に優れる燃料が好ましい。したがって気体状燃料は体積エネルギー密度に劣るため好ましくなく、液体状燃料、固体状燃料が好ましい。
これは、たとえば1分子の酸化反応より取り出せる電子数が水素であれば2個、メタノールであれば6個、エタノールであれば12個であることから、各々の分子1molから取り出せるクーロン量はそれぞれ理論値として、96500×2C、96500×6C、96500×12Cとなる。各々の密度、分子量を考慮し、1cc当たりのクーロン量に換算すると水素で約9C/cc、メタノールで約14400C/cc、エタノールで15200C/ccのエネルギー密度となる。常圧で気体である水素は単位体積あたりのエネルギー密度は著しく低い。メタノールとエタノールは酸化反応には水分子がそれぞれ、1分子、3分子必要であるが(以下の式)、これを加味しても液体燃料が優れることは明らかである。
CHOH+HO→6H+6e+CO
OH+3HO→12H+12e+2CO
高圧状態の水素又は液体水素を使用することも可能であるが、容器を堅牢にする必要があり、容器込みのエネルギー密度を考慮すると、常温常圧で液体又は固体状態の燃料が優れている。
具体的には水素吸蔵合金に蓄えた水素、ガソリン、液体状炭化水素、液体状アルコールなどの固体状、液体状燃料が使用できるが、本体燃料電池の小型化が可能な点、体積エネルギー密度に優れる点より、アルコール燃料を使用することがこのましい。アルコール燃料を使用することにより、燃料電池の駆動時間を向上させることが可能できる。なかでも、炭素数4以下のアルコールを使用することがこのましい。
さらに好ましくは、安全性が高く、生合成が可能である点(環境面)からエタノールを使用する。このような形態の燃料電池は体積エネルギー密度、重量エネルギー密度に優れることから、持ち運びする携帯機器に使用した場合に特に好ましい。
液体燃料の直接酸化ではなく、液化天然ガス(LNG)、メタンガスのような炭化水素系燃料、メタノール等の液体燃料を改質して水素を得て燃料電池の燃料とする、いわゆる改質燃料型の燃料電池も検討されているが、この場合は原燃料の改質によって得られる水素ガス燃料中に微量存在する一酸化炭素(CO)や、その他の微量な不純物により燃料電池の機能を損なう問題(触媒被毒)がある。触媒CO被毒の問題は従来から検討されており、これを低減するために提案されている触媒に白金−ルテニウム(Pt−Ru)合金触媒がある。しかしながら、溶液中のメタノール、エタノールのアノード酸化における触媒化学反応の阻害要因は、CO被毒では説明できないことも多い。これはメタノールやエタノールの酸化反応が水素やCOとは比べ物とならない程の多数の素反応をへて酸化されるためである。
本発明によればメタノールの酸化には“白金とRu又はIr”からなる触媒が好ましく、エタノールの酸化には“白金とルテニウム、イリジウム、タングステン及びスズからなる群から選択された少なくとも1つの金属”からなる触媒成分が好ましく、触媒成分は、これらの金属が3種以上含有していることが更に好ましい。これらの触媒が好適な理由はさだかではないが、メタノール、エタノールの複雑な反応素過程の進行促進に本触媒が寄与していると考える。
(実施例1)
10cm×10cmのAl基板上に真空蒸着によりアモルファスセレン層から構成される光半導体を作製した(以下、基板1と略す)。Alを接地しアモルファスセレン層上に帯電器(スコロトロン)を用いて、帯電電位約1kVで正に帯電させた(図12(1))。図10に記載のガラス性フォトマスクを介してハロゲンランプ光を照射し、照射部の帯電電位を減衰させた(図12(2))(以下、潜像担持体1と略す)。
これとは別にアイソパーとアルコールの混合液に白金を担持したカーボン(米国エレクトロケム社製)を5.5wt%、パーフルオロスルホン酸を2wt%となるように添加し、分散処理を行った液を調製した(以下、この液を分散液1と略す)。
負帯電させた導電性ゴムローラーを回転させながら潜像担持体1のアモルファスセレン層上に分散液1を塗布した(図12(3))。その後、潜像担持体1と正帯電させた正帯電ローラーとの間にイオン伝導性膜(デュポン社製;商標ナフィオン)を挿入し、正帯電ローラーを回転させるとともに、挿入部位とは逆から排出されたイオン伝導膜を潜像担持体1から剥離させ、転写体を得た(図12(4)及び(5))(以下、半転写体1と略す)。これにより、半転写体1には、白金を担持したカーボンを主体とする粒子が積層された(以下、この積層構造を、積層膜と略す)。なお、半転写体1を乾燥した後の積層膜の形状は上記ガラス性フォトマスクの形状とほぼ一致していた(図12(5))。
さらに、転写体1のイオン伝導膜を挟んで略同一の積層膜を形成するように、転写体1の裏面に図12(1)〜(5)の工程を行い、転写体1を得た。
これとは別に図11のカーボン製流体通路体を2枚用意した。この流体通路体で転写体1を挟み(流体通路が触媒転写位置の中心にくるように調整)、これを16個のボルトで締め付け可能な2枚の金属性プレート間に設置し,4Nmの応力でこのボルトを締付けて、電気化学デバイスを得た(以下、デバイス1と略す)。デバイス1の電気化学デバイスとしての機能を検討するため、デバイス1の一方の流体通路体に加湿した水素を、他方に加湿した酸素を送ったところ水素側と酸素側で0.89Vの起電力が得られ、電気化学デバイスとして機能することを確認した。
(実施例2)
基板1を一定速度で走査しながら解像度600dot/inchのLEDアレイを用いて、直接、基板1のアモルファスセレン層上にフォトマスクを使用せず光照射する以外は、実施例1と同様に行い、光照射形状も実施例1と同様になるよう調整し、半転写体1、及び、次いで転写体2を得た。さらに、転写体2を用いて、実施例1と同様に電気化学デバイスを作製し、デバイス2を得た。デバイス2の電気化学デバイスとしての機能を実施例1と同様の手法で検討したところ、その起電力は0.90Vであった。
(実施例3)
実施例2の方法を用いてイオン伝導膜の片面に、LEDアレイによる光照射により、実施例1のパターンの積層膜を形成し、半転写体3を得た。ついで、これとは別にアイソパーとアルコールの混合液に白金ルテニウムを担持したカーボン(米国エレクトロケム社製)を5.5wt%、パーフルオロスルホン酸を2wt%となるように添加し、分散処理を行った液を準備した(以下、分散液3と略す)。
分散液3を用いて、半転写体3の白金担持カーボンを積層した部位の裏面に実施例2と同様な方法で白金ルテニウム担持カーボンを転写し、転写体3を得た。実施例1と同様な2枚流体通路体と2枚の金属プレートに挟んだデバイス3の白金ルテニウム側に3%メタノール水溶液、白金側に空気を供給した。起電力が0.85V発生し、デバイス3が電気化学デバイスとして機能することを確認した。
従来の燃料電池や電気分解デバイス等の構造を示す図である。 図1に示す流体通路体の平面図及びこの平面図の線A−A’に沿った断面図である。 本発明による電気化学デバイスの構成概念図である。 本発明に使用する触媒層の形成例を示す図である。 図4に使用する流体通路体の平面図及びこの平面図の線A−A’に沿った断面図である。 図5に示す流体通路体の他の例を示す図である。 本発明の第2の実施例による触媒層及び電子伝導層の形成例を示す図である。 本発明の触媒層及び電子伝導層を作製する方法を示す図である。 本発明による静電現像を形成させる概念を示す図である。 プロトン伝導型電解質を使用した燃料電池の一例である。 ガラス性フォトマスクの一例である。 カーボン製流体通路体の一例に係る平面図及びこの平面図の線A−A’に沿った断面図である。 本発明による静電現像を形成させる概念を示す別の図である。

Claims (10)

  1. 静電潜像を静電気担持体上に形成する工程と、
    該静電気担持体上に形成された静電潜像と触媒成分を含有する分散液とを静電的に接触させる工程と、
    該静電潜像と接触した触媒成分を含有する分散液をイオン伝導に静電的に転写する工程を有することを特徴とする電気化学デバイスの製造方法。
  2. 前記分散液は、電子伝導成分をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載の電気化学デバイスの製造方法。
  3. 前記電子伝導成分は、カーボンであることを特徴とする請求項2に記載の電気化学デバイスの製造方法。
  4. 記静電潜像を静電気担持体上に形成する際に、一括照射、描画照射又は線状照射により光を照射することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電気化学デバイスの製造方法。
  5. 前記分散液は、結着性を有する高分子化合物をさらに含有することを特徴とする請求項乃至のいずれか一項に記載の電気化学デバイスの製造方法。
  6. 前記高分子化合物は、イオン伝導性高分子又はフッ素系高分子であることを特徴とする請求項に記載の電気化学デバイスの製造方法。
  7. 請求項乃至のいずれか一項に記載の電気化学デバイスの製造方法を用いて製造されていることを特徴とする電気化学デバイス。
  8. 請求項に記載の電気化学デバイスを有することを特徴とする燃料電池。
  9. エタノールを酸化するアノードを有することを特徴とする請求項に記載の燃料電池。
  10. 請求項8又は9に記載の燃料電池を有することを特徴とする携帯機器。
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