JP5011766B2 - Icカード用icモジュール - Google Patents

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Description

本発明はICカード用ICモジュールに関する。
詳しくは、接触式および接触・非接触両用ICカード(デュアルインターフェース式)の製造工程に用いるCOT面上のICモジュールであって、端子基板の裏面の樹脂モールド部構造に特徴を有するものに関する。
ICカードは大きく分けて外部端子がカード表面に露出している接触式、ICチップおよび通信用のアンテナコイルがカード内部に埋め込まれ外部端子がない非接触式、および両者の機能を同一のICチップで行う接触・非接触両用式ICカード(コンビ式またはデュアルインターフェース式)、の3種類がある。このうち、本発明では端子基板を有するICカードである、接触式と接触・非接触両用式ICカードを対象とする。
コンビ式またはデュアルインターフェース式と呼ばれるICカードは、ICモジュールの裏側(接触端子板面の反対面)に、カード基体内のアンテナコイルの両端(通常2箇所)と接続するための端子であって、ICチップの所定パッドと導通がとれているアンテナ接続用端子が設けられており、これがカードのICモジュール装着用凹部に露出するアンテナコイルの両端と導電ペースト(導電性接着剤)または導電シート等を介して電気的に接続されることで非接触ICカードとして機能することになる。
ところで、接触式ICモジュール、デュアルインターフェース式用ICモジュール(接触・非接触両用型ICモジュール)のいずれも、そのモジュール形態は製造コスト、量産性を考慮してフレキシブルなテープ状部材(COT;Chip On Tape)に形成されることが近年では通常である。COTは通常の半導体技術を用いてダイボンディング(ICチップを基板に搭載すること)、ワイヤボンディング(端子板またはリード端子とICチップのパッドとを金ワイヤで接続すること)、樹脂モールド(ICチップと金ワイヤ部分を樹脂で封止すること)の工程を経てICモジュールが完成する。その際、所定のICチップ検査(動作検査、電気特性検査等)を経て、不良品にはパンチ穴またはマーキングすることで後工程(ICカードへの搭載工程)での不良品識別をし、良品のみを所定形状に打ち抜きし、あらかじめモジュール形状に対応するざぐり加工がされたICカード基材に、接着剤を介して挿入固定されてICカードが完成する。
コンビ式またはデュアルインターフェース式ICカードの場合は、COT裏面に形成されたアンテナ接続用端子と、カードのザグリ加工で露出したカード基体内部に内蔵されたアンテナコイルの両端とをCOT挿入接着時に、COT固定用接着剤とは別の導電性接着剤を介して両者間を電気的にも接続する。
図8は、コンビ式またはデュアルインターフェース式ICカードを示す図である。ICカード100dは、接触・非接触両用ICモジュールの端子基板10をカード表面に有し、カード基体11内に埋設されたアンテナコイル2を有している。アンテナコイル2の両端部は、接触・非接触両用ICモジュールの装着用凹部の下面に臨むように配置され、ICモジュール装着用凹部を掘削した際に両端部が露出するようにされている。当該両端部とICモジュールのアンテナ接続用端子とを電気的に接続する。
アンテナコイル2が鎖線で図示されているのは、カード基体11内に埋め込まれていて、外観からは見えないことを意味している。従って、接触式ICカードは非接触インターフェースであるアンテナコイル2が無いことを除き、デュアルインターフェース式ICカードと同一であり、平面外観的には同一に見える。
ICカード用ICモジュールの端子板位置については、ISO7816/JISX6303で規定されていて、カードの所定位置に配置するようにされている(図9参照)。
各接触端子板の機能も規定されていて、図9の各端子板は、C1(Vcc;供給電圧)、C2(RST;リセット信号)、C3(CLK;クロック信号)、C5(GND;接地)、C6(VPP;プログラム等の可変供給電圧)、C7(I/O;データ入出力)、C4とC8(RFU;Reserved for Future Use )とされている。したがって、下側2つの端子(C4とC8)は通常使用されない。C6も使用しないことが多い。
図7は、従来のICカード用ICモジュール(接触式)の背面図である。樹脂モールド直前の背面図であるが、表面側端子形状を透視して図示し、表裏の関係が明瞭になるようにしている。C1,C2,C3端子、およびC5,C7端子部分にワイヤボンディング用貫通孔5が形成され、当該貫通孔5から臨む、表面側銅箔の裏面と、ICチップ3のパッド間が金ワイヤ15で接続されている。図7中の一点鎖線で示す矩形状の枠kの内部が樹脂モールド部となる領域であって、ICチップ3や金ワイヤ接続部が樹脂封止されて保護される。図7中、各端子板を区画する溝7mは、銅箔7を絶縁性基材に至るまでエッチングして形成した凹溝であり、各端子板間の絶縁性を確保したものである。
ところで、ICモジュールの樹脂モールド部(ICチップを保護する樹脂封止部)の寸法や位置が予定された仕様値に対して許容以上ずれていると、当該樹脂モールド部の大きさに対応して形成されたICカード側のICモジュール装着用凹部の寸法と不整合が生じ、COTの樹脂モールド部側面が、当該装着用凹部に接触し、装着工程において無理な負荷を受ける等して、COTに損傷を与えることになる。例えば、COTの樹脂モールド部にクラック(亀裂)が入る等して、ICチップが故障または長期的な動作不良を生じる場合には、製品信頼性を著しく低下させてしまう危険性(リスク)を生じる。そのため、製造出荷するCOT製造メーカー側、受け入れしてカード加工するカードメーカー側の双方は、樹脂モールド部の寸法、位置について万全の検査・保証を行う必要がある。
しかし、ICモジュールの樹脂モールド部の形状が仕様どおりの寸法、位置に納まっているか否かは、顕微鏡等を組み合わせた専用の測長機を使用すれば正確な寸法、位置を確認できるが、全COTの形状について測定検査することは高額な設備を導入する必要がある等、容易には実現できない問題がある。そのため、出荷側、受け入れ側ともに目視で簡易的にモールド寸法、位置の正確性が判断できる手法が必要とされる。
また、モールド樹脂の粘度やモールド方式(特にポッティング方式、印刷方式)によっては、モールド樹脂が規定領域に正確に納まるような塗布が困難な場合もあり、樹脂の流れ止めの工夫を講じる必要もある。
そこで本願は、ICモジュールの樹脂モールド部を規定の寸法、位置に安定的に納める対策を端子基板10の絶縁性基材に溝を設けることにより行おうとするものである。
本願に直接関連する先行技術を見出すことはできないが、封止樹脂の流れ止めのために、リードフレームに連結片を設ける技術について、特許文献1がある。また、ICカード用ICモジュールのデザイン設計等に関して、特許文献2、特許文献3等がある。
特開平1−310571号公報 特開平4−182198号公報 特開2004−355604号公報
従来のICカード用ICモジュールでは、端子基板の絶縁性基材側に封止樹脂の流れを止めるような工夫がされていなかったため、樹脂モールド部の形状が不安定になる問題があった。樹脂モールド部が所定の大きさでなかったり、規定の位置からずれている場合は、ICモジュール装着用凹部との不適合からICモジュールのワイヤ接続やICチップ自体に損傷を生じ、ICカードの不良品となる問題があった。
そこで、端子基板の絶縁性基材に溝を形成して封止樹脂の位置を目視でも容易に判別できるように区画することにより、このような問題を解決すべく研究して、本発明を完成したものである。
上記課題を解決する本発明の要旨の第1は、COT面上における単位のICカード用ICモジュールにおいて、当該単位のICモジュールは、端子基板と接触型ICチップとからなり、端子基板は、絶縁性基材と当該絶縁性基材のICカードの外面となる片面にラミネートされた銅箔とからなり、当該銅箔面には所定の複数の端子板に区画するための溝がエッチング形成され、前記絶縁性基材には、各端子板毎に形成するワイヤボンディング用貫通孔と、封止樹脂が満たされる範囲を区画する溝が近接した二重の枠形状の溝により形成され、前記端子板に区画するための溝と該封止樹脂が満たされる範囲を区画する溝とが、交差しないように形成されていることを特徴とするICカード用ICモジュール、にある。
上記課題を解決する本発明の要旨の第2は、COT面上における単位のICカード用ICモジュールにおいて、当該単位のICモジュールは、端子基板と接触・非接触両用型ICチップとからなり、端子基板は、絶縁性基材と当該絶縁性基材の両面にラミネートされた銅箔とからなり、当該銅箔のうち、ICカードの外面となる銅箔面は所定の複数の端子板に区画するための溝がエッチング形成され、ICカードの内面となる銅箔面には、アンテナ接続用端子と当該端子のリード部をエッチングにより残し、前記絶縁性基材には、各端子板毎に形成するワイヤボンディング用貫通孔と、封止樹脂が満たされる範囲を区画する溝が近接した二重の枠形状の溝により形成され、前記端子板に区画するための溝と該封止樹脂が満たされる範囲を区画する溝とが、交差しないように形成されていることを特徴とするICカード用ICモジュール、にある。
上記課題を解決する本発明の要旨の第3は、COT面上における単位のICカード用ICモジュールにおいて、当該単位のICモジュールは、端子基板と接触型ICチップとからなり、端子基板は、絶縁性基材と当該絶縁性基材のICカードの外面となる片面にラミネートされた銅箔とからなり、当該銅箔面には所定の複数の端子板に区画するための溝がエッチング形成され、前記絶縁性基材には、各端子板毎に形成するワイヤボンディング用貫通孔と、封止樹脂が満たされる範囲を区画するハーフカット溝が近接した二重の枠形状の溝により形成され、前記端子板に区画するための溝と該封止樹脂が満たされる範囲を区画するハーフカット溝とが、交差しないように形成されていることを特徴とするICカード用ICモジュール、にある。
上記課題を解決する本発明の要旨の第4は、COT面上における単位のICカード用ICモジュールにおいて、当該単位のICモジュールは、端子基板と接触・非接触両用型ICチップとからなり、端子基板は、絶縁性基材と当該絶縁性基材の両面にラミネートされた銅箔とからなり、当該銅箔のうち、ICカードの外面となる銅箔面には所定の複数の端子板に区画するための溝がエッチング形成され、ICカードの内面となる銅箔面には、アンテナ接続用端子と当該端子のリード部をエッチングにより残し、前記絶縁性基材には、各端子板毎に形成するワイヤボンディング用貫通孔と、封止樹脂が満たされる範囲を区画するハーフカット溝が近接した二重の枠形状の溝により形成され、前記端子板に区画するための溝と該封止樹脂が満たされる範囲を区画するハーフカット溝とが、交差しないように形成されていることを特徴とするICカード用ICモジュール、にある。
上記において、ICチップ搭載部領域が前記絶縁性基材から打ち抜かれている、ようにすれば、端子基板からの樹脂モールド部の突出高さを小さくできる。
また、前記絶縁性基材の封止樹脂が満たされる範囲を区画する溝の端部が、半円形状にされている、ようにすれば溝の端部からのひび割れや亀裂を防止できる。
(1)本発明のICカード用ICモジュールは、通常の端子デザインでのCOT製造方法とまったく同じ方法で製造でき、製造負荷を高める要素はない。
(2)ICモジュール端子板の絶縁性基材に、封止樹脂が満たされる範囲を区画する溝が形成されているので、高価な検査機を使用することなく、簡単な目視検査で所定の区画範囲外にモールド樹脂が流れているICモジュールを外観検査で判別できる。
本発明のICカード用ICモジュールについて、以下、図面を参照して説明する。
図1は、ICカード用ICモジュールの第1参考実施形態の背面図、図2は、第1参考実施形態の樹脂モールド後の断面図、図3は、第2参考実施形態の背面図、図4は、第2参考実施形態の樹脂モールド後の断面図、図5は、本発明の実施形態例を示す図、図6は、第2参考実施形態のICモジュールをICカードに装着した断面図、である。

図1は、ICカード用ICモジュールの第1参考実施形態の背面図であって樹脂モールド前の図であるが、表面側端子板形状を透視して図示し、表裏の関係が明瞭になるようにしている。以降の図3、図5も同様である。
第1参考実施形態は接触型ICモジュール1であって、端子基板10は絶縁性基材と外面側銅箔とから構成されている。絶縁性基材には接触型ICチップ3がダイボンディングされている。当該端子基板10では、内面側銅箔を使用しないのでICチップ3側にリード端子を形成しない。そのため、絶縁性基材にワイヤボンディング用貫通孔5を必要数穿ち、各端子板毎に設けた当該ワイヤボンディング用貫通孔5に臨む銅箔裏面とICチップ3の各パッド間を金ワイヤ15によりワイヤボンディングする。ただし、通常使用しないC4とC8端子、C6端子は、図1では金ワイヤ接続していない。
封止樹脂によりモールドするのは、ICチップ3およびワイヤボンディング部を保護する目的であり、通常、図1の一点鎖線kで囲むような、略矩形状の領域が樹脂モールド部17となる。以上の形態は、一般的なICモジュールに共通する形態である。
本発明のICモジュール1の特徴は、樹脂モールド部17の外周に、封止樹脂が満たされる範囲を区画する溝8mが形成されていることにある。あるいは、溝8mはICモジュールをカード基体に装着する際に、この範囲に封止樹脂が納まっていれば製造工程上、支障とならない限界域を示すものとして形成されていると考えてもよい。
図1の場合、溝8mは樹脂モールド部17の外周に全体として略矩形状(略矩形の輪環状)に形成されているが、封止樹脂が当該溝8mを超えて流出し難くされている。実際には当該溝8mと樹脂モールド部17の輪郭が一致する場合も生じる。封止樹脂の流動状況、モールド条件等によっては樹脂モールド部17の外形が拡大してしまうからである。
ただし、当該溝8mを超えて流出していない場合は良品として使用できるとする判定基準にすることができる。従って、樹脂モールド部17の外形が溝8mを超えていない場合は、後加工でICモジュールが破損したりする問題が生じないことを保証する目安とできる必要がある。この判定は高価な専用の測定器によらず、目視によって確実に確認できる利点がある。
溝8mは通常、ワイヤボンディング用貫通孔5と、(必要によりICチップ搭載部領域も同時に)一緒に打ち抜きして形成する。したがって、溝8mは通常、貫通孔になるが、貫通させずに押し罫のように、ハーフカット(凹溝)するものでもよい。溝8mの幅は、0.1mmから1.5mm程度の範囲でよい。
通常、絶縁性基材8にはガラスエポキシ等の厚み70μm〜160μmのもの(一般的には、120μm)が用いられる。ICチップ3は絶縁性基材8面に搭載してもよいので、ICチップ搭載部領域は打ち抜きしなくてもよい。ただし、ICチップ搭載部領域を打ち抜きすれば、ICチップを銅箔面に直接ダイボンディングして、COTの厚みを小さくできる効果が生じる。
表面側端子板形状を区画する溝7mと溝8mは交差または接触しないようにすることが好ましい。溝8mを絶縁性基材8を貫通させる場合は、交差した部分では端子基板10の全体を貫通することになり、封止樹脂が端子基板10の外面に抜けてしまい易く、かつ外観も損ねるからである。溝7mとの交差、接触を避ける結果、溝8mは実際には断続した複数の溝群になる。端子板間の溝7mの幅は、通常0.2mmから0.5mm程度の範囲である。端子基板10の外周にもエッチングして銅箔を除去した部分7nが設けられるが、COT面上ではより広い領域をエッチング除去した後、COTをICカードに装着する際に、COTの周囲が所定の幅(通常0.2mm以上)になるように打ち抜きするものである。なお、本発明で端子板という場合は、C1,C2,等の各接点の端子板をいい、端子基板10という場合は、銅箔と絶縁性基材からなり、端子板C1,C2,・の集合体の全体を含む基板をいうものとする。
図2は、第1実施形態の樹脂モールド後の断面図であるが、金ワイヤ15に沿う断面を模式的に示している。ICモジュール1の端子基板10は、銅箔7と絶縁性基材8とから構成されている。ICチップ3や金ワイヤ15部分を樹脂モールドすると、樹脂モールド部17は、前記溝8mの輪郭の内側に納まり外部に流出し難くなる。前記溝8mが液溜まりの役割をして流出する樹脂を吸収するからである。
また、万一、封止樹脂が溝8mを超えて流出したICモジュールが発生しても、前記のように、当該溝8mを基準にして、良品と不良品を視覚により容易に判断でき排除できるので、不良品のICモジュールを使用して、カード加工し、不良品を生じたり、製品化後に問題を生じることも回避できる。
図3は、ICモジュールの第2参考実施形態の背面図、図4は、樹脂モールド後の断面図である。第2参考実施形態は接触・非接触両用型ICモジュール1dであって、端子基板10は、図4のように、絶縁性基材8と外面側銅箔7と内面側銅箔9とから構成されている。また、銅箔7に、接触・非接触両用型ICチップ3dが直接ダイボンディングされている。従って、絶縁性基材8のICチップ搭載部領域を打ち抜きしてから、表裏の銅箔7,9をラミネートし、その後、当該ICチップ搭載部領域を覆う内面側銅箔9もエッチング除去することになる。さらに、当該端子基板10では、内面側銅箔9を使用して、アンテナ接続用端子14a,14bと当該接続用端子のリード部14Lをエッチングにより残して形成する。アンテナ接続用端子14は、通常、2つの端子であるが、接続を確実にするため各端子を2つに分岐させて4端子にする場合もある。なお、上記のICチップ搭載方法は、第1実施形態の接触型ICモジュールにも採用できるものである。
ワイヤボンディング用貫通孔5を穿った絶縁性基材8に、当該ワイヤボンディング用貫通孔5に臨む外面側銅箔7の各端子板毎の裏面とICチップの各パッドの間を、金ワイヤ15によりボンディングするのは、実施形態1と同じである。アンテナ接続用端子14のリード部14LとICチップ3dのパッドとの間も、同様にワイヤボンディングする。
第2実施形態のICモジュール1dの特徴も、樹脂モールド部17の外周に、封止樹脂が満たされる範囲を区画する溝8mが形成されていることにある。
図3の場合、溝8mは樹脂モールド部17の外周に沿って同様に略矩形状(略矩形の輪環状)に形成されているが、各溝8mの端部が半円形の形状にされている特徴がある。
これらは、型抜きの刃型形状によるもので、長円形や長丸形状の抜き型を用いて行うことができる。端部が半円形の形状の場合は直線状の場合に比較して、絶縁性基材8の当該端部からのひび割れや亀裂が生じ難くなる効果がある。すなわち、直角の打ち抜き形状の場合、基材のたわみ、ねじれ等の応力が直角コーナー部に集中し、ここから亀裂を生じやすくなる。特に、絶縁性基材8としてよく使われるガラスエポキシ基材は、ガラス繊維が縦横に編まれた構造上、テープの流れ方向、幅方向に沿って亀裂が進行しやすい、ということがあり、端部を半円形にすることで、応力分散を図ることができる。
このような打ち抜き形状は、第1実施形態に用いてもよいものである。
図4は、第2参考実施形態の樹脂モールド後の断面図であるが、金ワイヤ15に沿う断面を模式的に示している。溝8mが液溜まりの役割をして、封止樹脂が溝8mの輪郭の内側に納まり外部に流出し難くなるのは同様である。万一、封止樹脂が流出したICモジュールが発生しても、前記のように、当該溝8mを基準にして、良品と不良品を目視の外観検査により容易に判断できるのも同様である。
第2参考実施形態の場合、アンテナ接続用端子14a,14bは、樹脂モールド部17の外部に出ている。後述するように当該端子により、カード基体11内のアンテナ2の端部に接続するためである。
図5は、本発明の実施形態例を示す図である。この場合は、絶縁性基材8の前記溝8mの外周に、第2の溝8nをさらに設けている特徴がある。このようにする場合は、二重の略矩形状(略矩形の輪環状)の枠形状の溝により樹脂の流れ止め効果を持つことになり、目視による外観検査も一層容易になる。また、二重の枠形状を製品により使い分け、内側枠に合わせて樹脂モールドする製品、外側の枠に合わせて樹脂モールドする製品の双方に対応させることができる。第1の溝8mと第2の溝8nは同心的に平行して設け、接触しない限り、できるだけ接近していることが好ましい。
2つの溝の間隔は通常、0.1mm〜1.0mm程度となる。溝8mと溝8nのいずれかまたは双方がハーフカット(凹溝)であってもよい。ICモジュール化した後の断面形状は図示してないが、第1実施形態と同様に表れる。この変形例を第2実施形態に用いてもよいことは当然のことである。
図6は、第2参考実施形態のICモジュールをICカードに装着した断面図である。第2参考実施形態は、接触・非接触両用型ICチップ3dを使用するので、デュアルインターフェース式ICカード100dになる。ICモジュール1dは、カード基体11に掘削したICモジュール装着用凹部20に装着されている。アンテナ接続用端子14a,14bはそれぞれ、カード基体内のアンテナコイル2の両端部2a,2bに、導電性接着剤13等により電気的に接続される。端子基板10のその他の外周部分は、ICモジュール装着用凹部20の段部に、通常のホットメルト接着シート(不図示)等により固定されている。
なお、図6の場合、ICチップ3dは絶縁性基材8にダイボンディングされている。
次に、ICカード用ICモジュールの製造方法について説明する。なお、COTは連続したテープ状基材面に形成するので、各材料はウェブ状のものを使用し、各工程も走行するウェブ状材料に対して行われる。
[絶縁性基材の型抜き]
まず、ICモジュール用の絶縁性基材8を準備する。絶縁性基材8は、例えば、ガラスエポキシ、ポリイミド、BT樹脂等の耐熱性と寸法安定性のある絶縁材料を使用する。
厚みは、前記のように、70μmから160μmが適切であり、通常120μm程度である。絶縁性基材8には、あらかじめワイヤボンディング用貫通孔5と封止樹脂が満たされる範囲を区画する溝8m(および溝8n)、必要によりICチップ搭載部領域、を抜き型やパンチング等により形成しておく。
銅箔7,9と絶縁性基材8の間に接着層または接着シートを用いる場合は、接着シート等と共にワイヤボンディング用貫通孔5と溝8mを形成する。貫通孔5は溝8mの内側領域に形成する。C4,C8端子は使用しないので金ワイヤ接続しなくてもよく貫通孔5を設ける必要もない。C6端子も同様である。ワイヤボンディング用貫通孔5は、径0.3mm〜1.5mm程度のものでよい。円形の他、長円形、楕円形、長方形でもよい。
[銅箔ラミネート]
次に、絶縁性基材8の片面または両面に銅箔をラミネートする。接触・非接触式両用型ICモジュールの場合は、両面に銅箔7,9をラミネートする。この場合、ICチップ3d面側の銅箔9はアンテナ接続用端子14とそのリード端子14Lのために使用する。
接触型専用のICモジュールの場合は、ICチップ3側の銅箔をラミネートしない。
銅箔7,9には厚み、15μmから100μm程度のもの、通常35μm厚のものを使用する。
[銅箔のエッチング]
外面側銅箔7の端子基板10形状とめっき用リード線を残すようにして、フォトエッチングする。この際、絶縁性基材8に形成した溝8mと外面側銅箔7の溝7mが交差または接触しないようにし、また、ワイヤボンディング用貫通孔5が所定の端子板内の位置に定まるように、パターンの位置合わせを行って、フォトマスクを銅箔面の感光剤に焼き付けする。フォトマスクに限らず、印刷レジストを見当合わせして印刷するものでもよい。
その後、塩化鉄液によりエッチングする。
[ニッケル・金めっき]
フォトエッチング後、銅箔表面の酸化防止、耐久性向上のため、厚み1μm〜5μm程度のニッケルめっきと厚み0.1μm〜5μm程度の金めっきを施す。これらめっきパターンは銅箔パターン上に電解めっきまたは無電解めっきにより形成されるので、当然ながら同一パターンに形成される。裏面になるワイヤボンディング用貫通孔5や打ち抜きしたチップ搭載部領域、および溝8mに対しても端子板面と同様にめっき層を形成する。
当該工程は、請求項には記載されていないが定常的に行われる工程である。
[ICチップ搭載・ワイヤボンディング]
ICチップ3を接着剤を介して端子基板10にダイボンディングして搭載し、高温状態にて接着剤を硬化させる。絶縁性基材8のICチップ搭載部領域を打ち抜きした場合は、外面側銅箔7の裏面にダイボンディングすることになる。次いで、ICチップ3の各パッドとワイヤボンディ用貫通孔5内の外面側銅箔7裏面との接続を金ワイヤ15をボンディングして行う。接触・非接触両用型ICモジュール1dの場合は、ICチップ3とアンテナ接続用端子14との接続を同端子から引き回されたリード部14LとICチップのパッド間を金ワイヤボンディングすることにより同様に行う。
[樹脂モールド]
最後に、ICチップ3とワイヤボンディング部の全体をモールド樹脂により樹脂封止する。樹脂封止はトランスファーモールド方式、ポッティング方式、印刷方式等により行う。これにより、本発明のICカード用ICモジュール1が完成する。
(参考実施例)
厚み120μmのガラスエポキシ基材10に、熱硬化性接着シートを両面に接着してから、所定の位置(C1,C2,C3,C5,C7端子)にワイヤボンディング用パッドとするためのワイヤボンディング用貫通孔5を、径0.8mmの円形の大きさで打ち抜きして形成した。また、溝8mとICチップ搭載部領域の貫通孔を、図3の形状に同時に打ち抜きした。なお、溝8mは0.4mmの幅で端部が半円形になるように打ち抜きした。
次に、基材10の接着シートの両面に厚み35μmの銅箔7,9をラミネートした後、外面側銅箔7に溝7mを含む端子基板10の外形形状と、内面側銅箔9に2つのアンテナ接続用端子14a,14bとリード部14Lをフォトエッチングして形成した。
その後、ニッケルめっき(1〜5μm)と金めっき(0.1〜5μm)を行った。なお、端子基板10の大きさは、縦11.5mm×横12.5mmになるようにした。各端子板間を分離する溝7mは、幅0.2mmとした。
ICチップ3dを熱硬化性ダイペーストを用いて、ICチップ搭載部領域の貫通孔内の銅箔7裏面に接着して加熱硬化させた。その後、ICチップ3dの各パッドと前記ワイヤボンディング用貫通孔5から臨む銅箔7の裏面間、アンテナ接続用端子14a,14bに繋がるリード部14LとICチップ3の非接触インターフェースパッド間と、を直径25μmの金ワイヤ15で熱圧・超音波併用式のワイヤボンダーを使用してワイヤボンディグした。さらに、ICチップ3dとワイヤボンディグ部全体を熱硬化性エポキシ樹脂を主成分とする封止樹脂をポッティング方式により樹脂封止を行った。封止樹脂は溝8mから流出することもなく、樹脂モールド部17を形成した。これにより、ICカード用ICモジュール1dが完成した。
上記により完成したICカード用ICモジュール1dは、目視で樹脂モールド部17の良否判定が容易にでき、ICカード化した後も不具合を生じることがなかった。
Cカード用ICモジュールの第1参考実施形態の背面図である。 第1参考実施形態の樹脂モールド後の断面図である。 第2参考実施形態を示す図である。 第2参考実施形態の樹脂モールド後の断面図である。 本発明の実施形態例を示す図である。 第2参考実施形態のICモジュールをICカードに装着した断面図である。 従来のICカード用ICモジュール(接触式)の背面図である。 コンビ式又はデュアルインターフェース式ICカードを示す図である。 ICカード用ICモジュールの端子板位置を示す図である。
符号の説明
1 ICカード用ICモジュール
1d ICカード用ICモジュール(接触・非接触両用型)
2 アンテナコイル
3 ICチップ
3d ICチップ(接触・非接触両用型)
5 ワイヤボンディング用貫通孔
7 外面側銅箔
7m 溝
8 絶縁性基材
8m,8n 溝
9 内面側銅箔
10 端子基板
11 カード基体
13 導電性接着剤
14,14a,14b アンテナ接続用端子
15 金ワイヤ
17 樹脂モールド部
20 ICモジュール装着用凹部
100d ICカード

Claims (6)

  1. COT面上における単位のICカード用ICモジュールにおいて、当該単位のICモジュールは、端子基板と接触型ICチップとからなり、端子基板は、絶縁性基材と当該絶縁性基材のICカードの外面となる片面にラミネートされた銅箔とからなり、当該銅箔面には所定の複数の端子板に区画するための溝がエッチング形成され、前記絶縁性基材には、各端子板毎に形成するワイヤボンディング用貫通孔と、封止樹脂が満たされる範囲を区画する溝が近接した二重の枠形状の溝により形成され、前記端子板に区画するための溝と該封止樹脂が満たされる範囲を区画する溝とが、交差しないように形成されていることを特徴とするICカード用ICモジュール。
  2. COT面上における単位のICカード用ICモジュールにおいて、当該単位のICモジュールは、端子基板と接触・非接触両用型ICチップとからなり、端子基板は、絶縁性基材と当該絶縁性基材の両面にラミネートされた銅箔とからなり、当該銅箔のうち、ICカードの外面となる銅箔面は所定の複数の端子板に区画するための溝がエッチング形成され、ICカードの内面となる銅箔面には、アンテナ接続用端子と当該端子のリード部をエッチングにより残し、前記絶縁性基材には、各端子板毎に形成するワイヤボンディング用貫通孔と、封止樹脂が満たされる範囲を区画する溝が近接した二重の枠形状の溝により形成され、前記端子板に区画するための溝と該封止樹脂が満たされる範囲を区画する溝とが、交差しないように形成されていることを特徴とするICカード用ICモジュール。
  3. COT面上における単位のICカード用ICモジュールにおいて、当該単位のICモジュールは、端子基板と接触型ICチップとからなり、端子基板は、絶縁性基材と当該絶縁性基材のICカードの外面となる片面にラミネートされた銅箔とからなり、当該銅箔面には所定の複数の端子板に区画するための溝がエッチング形成され、前記絶縁性基材には、各端子板毎に形成するワイヤボンディング用貫通孔と、封止樹脂が満たされる範囲を区画するハーフカット溝が近接した二重の枠形状の溝により形成され、前記端子板に区画するための溝と該封止樹脂が満たされる範囲を区画するハーフカット溝とが、交差しないように形成されていることを特徴とするICカード用ICモジュール。
  4. COT面上における単位のICカード用ICモジュールにおいて、当該単位のICモジュールは、端子基板と接触・非接触両用型ICチップとからなり、端子基板は、絶縁性基材と当該絶縁性基材の両面にラミネートされた銅箔とからなり、当該銅箔のうち、ICカードの外面となる銅箔面には所定の複数の端子板に区画するための溝がエッチング形成され、ICカードの内面となる銅箔面には、アンテナ接続用端子と当該端子のリード部をエッチングにより残し、前記絶縁性基材には、各端子板毎に形成するワイヤボンディング用貫通孔と、封止樹脂が満たされる範囲を区画するハーフカット溝が近接した二重の枠形状の溝により形成され、前記端子板に区画するための溝と該封止樹脂が満たされる範囲を区画するハーフカット溝とが、交差しないように形成されていることを特徴とするICカード用ICモジュール。
  5. ICチップ搭載部領域が前記絶縁性基材から打ち抜かれていることを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか1の請求項記載のICカード用ICモジュール。
  6. 前記絶縁性基材の封止樹脂が満たされる範囲を区画する溝の端部が、半円形状にされていることを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか1の請求項記載のICカード用ICモジュール。
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