JP5011604B2 - ステント - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は一般に生体に移植するためのステントに関する。
【0002】
【従来の技術】
ステントとは、血管あるいは他の生体内管腔が狭窄もしくは閉塞することによって生じる様々な疾患を治療するために、その狭窄もしくは閉塞部位を拡張し、その管腔サイズを維持するためにそこに留置する医療用具であって、1本の線状の金属もしくは高分子材料からなるコイル状のステントからなるもの、金属チューブをレーザーによって切り抜いて加工したもの、線状の部材をレーザーによって溶接して組み立てたもの、複数の線状金属を織って作ったもの等がある。
【0003】
これらのものはステントをマウントしたバルーンによって拡張されるものと、外部からの拡張を抑制する部材を取り除くことによって自ら拡張していくものとに分類することが出来る。
【0004】
この内、バルーンによって拡張されるステントは、広げようとする管状組織の状態やステントの機械的な強度によって拡張圧を調整して用いられる。
近年、特に心臓や頚動脈の血管形成術に対してこれらのステントが多用されるようになってきている。
【0005】
特公平4−6377号には、拡張させた後、構成要素が連続した菱形形状となるステントが記載されている。このステントは、血管が収縮しようとする力に対する抵抗が非常に大きいという利点があった。しかしながら、このステントは非拡張時に軸方向での柔軟性に欠けため、屈曲した血管に挿入するのが非常に困難であり、かつ血管内部を損傷してしまう可能性もあった。また、拡張後においても軸方向柔軟性に欠けるために、屈曲した血管に移植した場合に、血管に過剰な刺激を与えてしまい再狭窄を促進してしまう問題点があった。また、拡張の際に、ステント軸方向長さが収縮してしまい、血管の狭窄全体を拡張しずらい等の問題があった。
【0006】
また、特公平7−24688号には、ワイヤーをジグザグ状に変形させ、これを更に円筒形状になるように螺旋状に巻いたステントが記載されている。このステントは、軸方向の柔軟性に富んでおり、屈曲した血管への挿入性に優れている。しかしながら、血管が収縮しようとする力に対する抵抗が非常に小さく、血管が収縮しようとする圧力により収縮しやすいという問題があった。また、目的とする径まで拡張させる際に、ステントのストラットを均一に拡張させることが困難であり、同一周内でも部分的に大きく拡張する部分と、あまり拡張しない部分が出来やすいという問題点があった。このような不均一な拡張をしてしまうと、ストラットが大きく開いた部分からは管状組織の内皮組織が大きくはみ出してきてしまい、再狭窄の原因となってしまうことがある。また、不均一拡張がひどい場合は、断面的に真円を維持できなくなってしまうこともある。この問題を解決するために、ステントをマウントするバルーンの折り畳み方法に工夫がなされているが、それでも十分に均一拡張させることは困難である。別な方法では、バルーン表面に均一拡張しやすいような部材を張り付ける等の工夫が試みられているが、バルーンのプロファイルが大きくなってしまい、ステントを目的とする部位までデリバリーさせることが困難になるという問題が生じている。
【0007】
また、バルーンによって拡張させるステントの大半は、拡張の際にステント両端部が中央部よりも大きな径に反り上がってしまう問題がある。ステント両端部が反り上がってしまうと、、管状組織の内皮組織を刺激してしまい、細胞増殖により再狭窄の原因となる場合があった。
【0008】
さらに、従来のステントは一般的に拡張時にステントストラット間により形成される空隙部分が大きく、この空隙部分より管状組織の内皮組織が大きくはみ出してきてしまい、再狭窄の原因となってしまうことがある。これは、ステントを構成する基本セルの大きさが大きいためであるが、これを小さくするためにはストラットの幅を小さくする必要があるが、単純にそうすると、得られるラジアルフォース、すなわち外周から受ける径方向の応力に対して耐えうる力が小さくなってしまう問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
これらの状況を鑑み本発明が解決しようとするところは、軸方向に柔軟で、かつ、拡張の際に、ステント軸方向長さに収縮がなく、血管が収縮しようとする力に対する抵抗が非常に大きく、ステントのストラットを均一に拡張させることが可能であり、さらには、拡張の際にステント両端部が中央部よりも大きな径に反り上がってしまう問題が生じないステントを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、略管状体に形成され、かつ略管状体の半径方向外方に伸張可能なステントであって、前記ステントが円周方向に伸張可能な略波形構成要素2と軸方向に伸張可能な略波形構成要素3とからなり、複数の前記円周方向に伸張可能な略波形構成要素2が互いに直接には連結せずにステントの略円周方向に配置されると共に、複数の前記軸方向に伸張可能な略波形構成要素3が互いに直接には連結せずにステントの略円周方向に配置され、それらが互いにステント軸方向に交互に周期的に連続してなることを特徴とするステントとして提供される。
【0011】
更に本発明は、略管状体に形成され、かつ略管状体の半径方向外方に伸張可能なステントであって、前記ステントが円周方向に伸張可能な略波形構成要素2と軸方向に伸張可能な略波形構成要素3とからなり、前記円周方向に伸張可能な略波形構成要素2の一端の連結部207と前記軸方向に伸張可能な略波形構成要素3の一端の連結部301が連結し、かつ前記軸方向に伸張可能な略波形構成要素3の残りの一端の連結部309と前記とは別体の円周方向に伸張可能な略波形構成要素2の前記連結部207とは逆側の一端の連結部201が連結することにより円周方向に伸張可能な前記略波形構成要素2と軸方向に伸張可能な略波形構成要素3が互いにステント軸方向に交互に周期的に連続し、さらに前記円周方向に伸張可能な略波形構成要素2の山または谷の凸部の連結部203と前記軸方向に伸張可能な略波形構成要素3の一端の連結部301が連結し、かつ前記軸方向に伸張可能な略波形構成要素3の残りの一端の連結部309と前記とは別体の円周方向に伸張可能な略波形構成要素2の前記とは逆側に存在する山または谷の凸部の連結部205が連結することにより、前記円周方向に伸張可能な略波形構成要素2と軸方向に伸張可能な略波形構成要素3が互いにステント軸方向に交互に周期的に連続して形成されるステントとしても提供される。
【0012】
上記ステントは、ステントの円周方向に伸張可能な要素と軸方向に伸張可能な要素とを併せ持つことにより、拡張の際にステントの軸方向の収縮を低減することができ、更に略波形構成要素の適切な配置により、軸方向に柔軟で、拡張の際に均一に拡張し、更に血管の収縮しようとする力に対し大きい抵抗力を示すことができ、上記課題を達成するものである。
【0013】
更に本発明は、ステントの軸方向両端のみが、直接に連続した複数の前記円周方向に伸張可能な略波形構成要素2がステントの円周に沿って配列されて形成されたことを特徴とする上記ステントとしても提供されるが、これによりステント両端はステント中央部分に比して、血管が収縮しようとする力に対する抵抗が大きくなり、かつ拡張の際にステント両端部が中央部よりも大きな径に反り上がることを低減し、上記課題を達成するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係るステントの実施形態について、図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0015】
図1は本発明に係るステント1の展開図である。ステント1は略管状体に形成され、かつ管状体の半径方向外方に伸張可能なステントであって、円周方向に伸張可能な略波形構成要素2と軸方向に伸張可能な略波形構成要素3とからなり、3つの前記円周方向に伸張可能な略波形構成要素2が互いに直接には連結せずにステントの略円周方向に配置されると共に、6つの前記軸方向に伸張可能な略波形構成要素3が互いに直接には連結せずにステントの円周方向に配置され、それらが互いにステントの軸方向に交互に周期的に連続してステントを構成する。円周1周あたりの前記円周方向に伸張可能な略波形構成要素2および前記軸方向に伸張可能な略波形構成要素3の個数は、作製するステントの長さ、外径に合わせて決定され、3つの前記円周方向に伸張可能な略波形構成要素2および6つの前記軸方向に伸張可能な略波形構成要素3に限定するものではない。ステント1はステントの円周方向に伸張可能な要素と軸方向に伸張可能な要素とを併せ持つことにより、半径方向外方に拡張可能で、その際にステントの軸方向の収縮を低減することができる。更に前記円周方向または軸方向に伸張可能な略波形構成要素2、3各々が互いに直接には連結せずにステントの略円周方向に配置されることにより、ステントへの柔軟性付与が可能である。
【0016】
ここでいう円周方向、または軸方向に伸張可能な構成要素とは、それぞれ管状のステントの円周方向、ステントの軸方向(長手方向)に伸びることが可能な構造を有する要素を意味するが、更に収縮が可能な構造であることが望ましい。例えば、ステントがまっすぐな血管に配置される場合には基本的に伸張するのみの変形で問題はないが、屈曲した血管に配置される場合には、屈曲部の外側では、拡張時に生じる伸張以外に血管の形状に配置する為の余計な伸張が生じることとなる。この場合、屈曲部の内側において収縮変形が可能であれば、屈曲血管の外側での過剰な伸張によるステントストラット間が大きくなりすぎることが低減できる。ステント1に示す円周方向、更に軸方向に伸張可能な略波形構成要素2,3は、それぞれ収縮も可能な構造である。
【0017】
また、略波形構成要素2、3は、それぞれ円周方向、軸方向に伸張できる構造であれば、図1に示した以外に各種形状が可能である。例えば、円周方向に伸張可能な略波形構成要素2は、要求される伸張時寸法、拡張力の調整のために、角度等の調整、また全体を曲面で形成する等の形状変更が可能である。但し、前記円周方向に伸張可能な略波形構成要素2は山と谷の頂部を合わせて2個以上を有する構造であることが望ましく、2よりも少ないと伸張能力をもった上で連結箇所の数を確保することが難しい。更に好ましくは4個を有する構造が好ましい。図1に示したステント1の円周方向に伸張可能な略波形構成要素2は、端部に山と谷の頂部を有し、その端部を含み山と谷の頂部を合わせた数が4個である。更に軸方向に伸張可能な略波形構成要素3は、要求される伸張時寸法、拡張力の調整のために、例えば屈曲箇所の数、角度等に対し各種形状が可能である。但し、軸方向に伸張可能な略波形構成要素3の山と谷の頂部を合わせた数は1個以上を有する構造であることが望ましく、1つもないと伸張能力を持たせることが難しい。更に好ましくは2または4個、更に好ましくは4個を有する構造が好ましい。図1に示したステント1の軸方向に伸張可能な略波形構成要素3の山と谷を合わせた数は4個である。
【0018】
また直接には連続しない複数の前記円周方向に伸張可能な略波形構成要素2がステントの略円周方向に配置され構成する円周要素4は、その軸方向長さが短いほうが、屈曲した血管へ挿入される場合に、ステントが滑らかに屈曲するために、血管壁を傷つけることがなく好適である。好ましくは、ステント10mmあたり5個以上の円周要素4を有するほうが望ましい。
【0019】
円周1周あたりの前記円周方向に伸張可能な略波形構成要素2および軸方向に伸張可能な略波形構成要素3の個数が少なければ、大きな血管保持力が期待できない。好ましくは、円周1周あたり、前記円周方向に伸張可能な略波形構成要素2が3つ以上、前記軸方向に伸張可能な略波形構成要素3が6つ以上であり、この場合には高い血管保持力が発現できる。
【0020】
ステント1の両端は前記円周方向に伸張可能な略波形構成要素2が直接に連続的に連結されており、円周方向に伸張可能な略波形形状が1周にわたって構成される。これによりステント両端はステント中央部分に比して、血管が収縮しようとする力に対する抵抗が大きくなり、かつ拡張の際にステント両端部が中央部よりも大きな径に反り上がってしまう問題も生じない。
【0021】
また、ステントの軸方向両端を構成する円周方向に伸張可能な略波形構成要素2のステント軸方向長さが、ステントの軸方向両端以外を構成する円周方向に伸張可能な略波形構成要素2のステント軸方向長さと比して短くすることが可能である。この場合、これを行なわない場合に比してさらに血管が収縮しようとする力に対する抵抗が大きくなり、かつ拡張の際にステント両端部が中央部よりも大きな径に反り上がってしまう問題も生じない。
【0022】
また、ステントの軸方向両端のみが、ステント軸方向両端以外の箇所と比して、円周方向に伸張可能な略波形構成要素2のストラットの幅を広くすることが可能である。この場合、これを行なわない場合に比してさらに血管が収縮しようとする力に対する抵抗が大きくなり、かつ拡張の際にステント両端部が中央部よりも大きな径に反り上がってしまう問題も生じない。但しここでいうストラットとは、ステントを構成する線状部材を意味する。
【0023】
また、ステントの軸方向両端のみが、ステント軸方向両端以外の箇所と比して、円周方向に伸張可能な略波形構成要素2のストラットの厚みを厚くすることが可能である。この場合、これを行なわない場合に比してさらに血管が収縮しようとする力に対する抵抗が大きくなり、かつ拡張の際にステント両端部が中央部よりも大きな径に反り上がってしまう問題も生じない。
【0024】
また、ステントの軸方向両端のみが、ステント軸方向両端以外の箇所と比して、円周方向に伸張可能な略波形構成要素2のステント軸方向長さが短いこと、ストラットの幅が広いこと、ストラットの厚みが厚いことを併用することも可能である。 また、ステントの軸方向の中央部分から端部へ移り変わるに従って、前記円周方向に伸張可能な略波形構成要素2と前記軸方向に伸張可能な略波形構成要素3から選ばれる1つ以上のステント軸方向の長さを段階的に短くすることが可能である。この場合、これを行なわない場合に比してさらに血管が収縮しようとする力に対する抵抗が大きくなり、かつ拡張の際にステント両端部が中央部よりも大きな径に反り上がってしまう問題も生ず、さらにステント軸方向柔軟性が大きな変化を有さず、段階的に柔軟性を変化させることができる。
【0025】
また、ステントの軸方向の中央部分から端部へ移り変わるに従って、前記円周方向に伸張可能な略波形構成要素2と前記軸方向に伸張可能な略波形構成要素3から選ばれる1つ以上のストラットの幅を段階的に大きくすることが可能である。この場合、これを行なわない場合に比してさらに血管が収縮しようとする力に対する抵抗が大きくなり、かつ拡張の際にステント両端部が中央部よりも大きな径に反り上がってしまう問題も生ず、さらにステント軸方向柔軟性が大きな変化を有さず、段階的に柔軟性を変化させることができる。
【0026】
また、ステントの軸方向の中央部分から端部へ移り変わるに従って、前記円周方向に伸張可能な略波形構成要素2と前記軸方向に伸張可能な略波形構成要素3から選ばれる1つ以上のストラットの厚みを段階的に大きくすることが可能である。この場合、これを行なわない場合に比してさらに血管が収縮しようとする力に対する抵抗が大きくなり、かつ拡張の際にステント両端部が中央部よりも大きな径に反り上がってしまう問題も生ず、さらにステント軸方向柔軟性が大きな変化を有さず、段階的に柔軟性を変化させることができる。
【0027】
また、ステントの軸方向の中央部分から端部へ移り変わるに従って、前記円周方向に伸張可能な略波形構成要素2と前記軸方向に伸張可能な略波形構成要素3から選ばれる1つ以上のステント軸方向の長さを段階的に短くする、ストラットの幅を段階的に広くする、ストラットの厚みを段階的に厚くする等を併用することが可能である。
【0028】
図1のステント1は、ステント軸方向に、両端を含めた前記円周方向に伸張可能な略波形構成要素2が9列、前記軸方向に伸張可能な略波形構成要素3が8列、交互に連続して構成されている。この両端を含めた前記円周方向に伸張可能な略波形構成要素2が9列、前記軸方向に伸張可能な略波形構成要素3が8列は、作製するステントの長さ、外径に合わせて決定され、両端を含めた前記円周方向に伸張可能な略波形構成要素2が9列、前記軸方向に伸張可能な略波形構成要素3が8列に限定されるものではない。
【0029】
図1に示すとおり、前記円周方向に伸張可能な略波形構成要素2はステントの円周方向に並び、しかも直接には連続しない。また前記軸方向に伸張可能な略波形構成要素3もステントの円周方向に並び、しかも直接には連続しない。
【0030】
図2に円周方向に伸張可能な略波形構成要素2の1態様、図3に軸方向に伸張可能な略波形構成要素3の1態様を示した。前記円周方向に伸張可能な略波形構成要素2は直線部202、204、206と連結部201、203、205、207から構成され、前記軸方向に伸張可能な略波形構成要素3は直線部303、305、307と連結部301、309および湾曲部302、304、306、308から構成される。すべての連結部201、203、205、207がそれぞれ連結部301もしくは309のいずれかと連結されているため、ステントが拡張される際に、前記円周方向に伸張可能な略波形構成要素2および前記軸方向に伸張可能な略波形構成要素3に力が均等に伝わりやすく、ステントストラットを均一に拡張することが可能である。
【0031】
前記円周方向に伸張可能な略波形構成要素2の直線部202、204、206および前記軸方向に伸張可能な略波形構成要素3の直線部303、305、307に関し、ストラットの幅および厚みを大きく(厚く)するとステント軸方向の柔軟性を損ない、逆に幅および厚みを小さく(薄く)すると外周から受ける径方向の応力に対して耐えうる力が小さくなってしまう。従って、ステント軸方向の柔軟性、および外周から受ける径方向の応力に対して耐えうる力の双方の性能を好適に満たすために、前記円周方向に伸張可能な略波形構成要素2の直線部202、204、206は幅80マイクロメートルから150マイクロメートルかつ厚み70マイクロメートルから150マイクロメートルが好ましく、さらに好ましくは幅120マイクロメートルから140マイクロメートルかつ厚み100マイクロメートルから120マイクロメートルが好ましい。また前記軸方向に伸張可能な略波形構成要素3の直線部303、305、307は幅50マイクロメートルから100マイクロメートルかつ厚み50マイクロメートルから150マイクロメートルが好ましく、さらに好ましくは幅60マイクロメートルから80マイクロメートルかつ厚み80マイクロメートルから120マイクロメートルが好ましい。但し、円周方向に伸張可能な略波形構成要素2、3共に、ステントを構成する材料、使用される部位によっては、上記寸法以外の各種サイズに調整をすることが可能である。
【0032】
前記円周方向に伸張可能な略波形構成要素2の軸方向長さが長いと、ステントが屈曲した血管へ挿入される時に、ステントが滑らかに屈曲できずにストラットの角が立ちやすく、逆に前記円周方向に伸張可能な略波形構成要素2の軸方向長さが短いと、ステントを拡張するときに必要なステント径まで拡張することができない。また前記軸方向に伸張可能な略波形構成要素3の軸方向長さが長いと、拡張時にステントストラット間により形成される空隙が大きくなり、この空隙部分から管状組織の内皮細胞が大きくはみ出してきてしまい、再狭窄の原因となる場合もある。逆に前記軸方向に伸張可能な略波形構成要素3の軸方向長さが短いと、ステント軸方向柔軟性が損なわれることとなる。従って、前記円周方向に伸張可能な略波形構成要素2の軸方向長さは0.8ミリメートルから1.8ミリメートルであることが好ましく、さらに好ましくは1.0ミリメートルから1.4ミリメートルである。また前記軸方向に伸張可能な略波形構成要素3の軸方向長さは、0.5ミリメートルから1.5ミリメートルであることが好ましく、さらに好ましくは、0.7ミリメートルから1.0ミリメートルである。但し、略波形構成要素2、3共に、ステントを構成する材料、使用される部位によっては、上記寸法以外の各種サイズに調整をすることが可能である。
【0033】
本発明に係るステントは、適切な剛性かつ弾性を有するステンレス鋼、Ni−Ti合金、Cu−Al−Mn合金等の金属、適切な剛性かつ弾性を有する高分子素材で作製することが可能である。
【0034】
本発明に係るステントは、保護材料のプレーティング、医薬品の含浸及び材料でのカバーのうちいずれかにより仕上げられても良い。
【0035】
またステント成型方法としては、レーザー加工法、放電加工法、機械的な切削方法、エッチング方法などが可能である。
【0036】
図4にバルーンカテーテルにマウントされた時の、本発明にかかるステントの展開図を示す。図4に示すとおり、バルーンカテーテルにマウントされた時においても、前記円周方向に伸張可能な略波形構成要素2はステントの円周方向に並び、かつ前記軸方向に伸張可能な略波形構成要素3もステントの円周方向に並び、かつ前記円周方向に伸張可能な略波形構成要素2が円周方向に並んでなる円周要素4と、前記軸方向に伸張可能な略波形構成要素3が円周方向に並んでなる円周要素とが、ステントの軸方向に交互に連続する。これにより、ステントが拡張される際、円周方向に伸張可能な略波形構成要素2が軸方向に収縮しても、軸方向に伸張可能な略波形構成要素3が軸方向に拡張されるため、ステント全長は、ステント拡張前後でほぼ同じ長さを保つことができる。
【0037】
図5には、本発明に係る別の実施形態であって、ステントの軸方向両端のみが、直接に連続した複数の円周方向に伸張可能な略波形構成要素2がステントの円周方向に配列されて形成され、さらに軸方向長さが、ステントの軸方向両端以外を構成する円周方向に伸張可能な略波形構成要素2の軸方向長さと比して短くなっている。これにより、ステント端部のストラットの反り返りを低減できると共に、両端部の血管が収縮しようとする力に対する抵抗力を大きくすることができる。さらに両端部のみのストラット幅、厚みを厚くすることで、血管が収縮しようとする力に対する抵抗力を大きくすることが可能である。
【0038】
【発明の効果】
本発明により、軸方向に柔軟で、かつ、拡張の際に、ステント軸方向長さに収縮がなく、血管が収縮しようとする力に対する抵抗が非常に大きく、ステントのストラットを均一に拡張させることが可能であり、さらには、拡張の際にステント両端部が中央部よりも大きな径に反り上がってしまう問題が生じないステントが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るステント1の展開図
【図2】円周方向に伸張可能な略波形構成要素2
【図3】軸方向に伸張可能な略波形構成要素3
【図4】本発明の未拡張時のステント1の展開図
【図5】本発明に係る他の例のステントの展開図
【符号の説明】
1 ステント
2 円周方向に伸張可能な略波形構成要素
3 軸方向に伸張可能な略波形構成要素
4 円周要素
201、203、205、207 連結部
202、204、206 直線部
301、309 連結部
302、304、306、308 湾曲部
303、305、307 直線部

Claims (11)

  1. 略管状体に形成され、かつ略管状体の半径方向外方に伸張可能なステントであって、前記ステントが円周方向に伸張可能な略波形構成要素2と軸方向に伸張可能な略波形構成要素3とからなり、複数の前記円周方向に伸張可能な略波形構成要素2が互いに直接には連結せずにステントの略円周方向に配置されると共に、複数の前記軸方向に伸張可能な略波形構成要素3が互いに直接には連結せずにステントの略円周方向に配置され、それらが互いにステント軸方向に交互に周期的に連続してなることを特徴とするステント。
  2. 略管状体に形成され、かつ略管状体の半径方向外方に伸張可能なステントであって、前記ステントが円周方向に伸張可能な略波形構成要素2と軸方向に伸張可能な略波形構成要素3とからなり、前記円周方向に伸張可能な略波形構成要素2の一端の連結部207と前記軸方向に伸張可能な略波形構成要素3の一端の連結部301が連結し、かつ前記軸方向に伸張可能な略波形構成要素3の残りの一端の連結部309と前記とは別体の円周方向に伸張可能な略波形構成要素2の前記連結部207とは逆側の一端の連結部201が連結することにより円周方向に伸張可能な前記略波形構成要素2と軸方向に伸張可能な略波形構成要素3が互いにステント軸方向に交互に周期的に連続し、さらに前記円周方向に伸張可能な略波形構成要素2の山または谷の凸部の連結部203と前記軸方向に伸張可能な略波形構成要素3の一端の連結部301が連結し、かつ前記軸方向に伸張可能な略波形構成要素3の残りの一端の連結部309と前記とは別体の円周方向に伸張可能な略波形構成要素2の前記とは逆側に存在する山または谷の凸部の連結部205が連結することにより、前記円周方向に伸張可能な略波形構成要素2と軸方向に伸張可能な略波形構成要素3が互いにステント軸方向に交互に周期的に連続して形成されるステント。
  3. 前記円周方向に伸張可能な略波形構成要素2が、波の進行方向がステントの円周方向で、山と谷の頂部を合わせた数が2以上である略波形で、前記軸方向に伸張可能な略波形構成要素3が、波の進行方向がステントの軸方向で、山と谷の頂部を合わせた数が1以上である略波形である、請求項1又は2記載のステント。
  4. 前記円周方向に伸張可能な略波形構成要素2が、その端部に山と谷の頂部を有し、その端部を含み山と谷の頂部を合わせた数が4の略波形であり、前記軸方向に伸張可能な略波形構成要素3が、波の進行方向がステントの軸方向で、山と谷の頂部を合わせた数が4の略波形である、請求項3記載のステント。
  5. 略管状体に形成され、かつ略管状体の半径方向外方に伸張可能なステントであって、
    前記ステントが円周方向に伸張可能な略波形構成要素2と、軸方向に伸張可能な略波形構成要素3とからなり、
    前記略波形構成要素2は、山又は谷を構成する連結部201、203、205、207、前記連結部201、203、205、207の間に順次配される直線部202、204、206から構成され、
    前記略波形構成要素3は、その両端部を構成する連結部301、309、山又は谷を構成する湾曲部302、304、306、308、前記湾曲部302、304、306、308の間に順次配される直線部303、305、307から構成され、
    前記略波形構成要素2の連結部207と前記略波形構成要素3の連結部301が連結し、かつ前記略波形構成要素3の連結部309と前記略波形構成要素2の連結部201が連結することにより前記略波形構成要素2と略波形構成要素3が互いにステント軸方向に交互に周期的に連続し、さらに前記略波形構成要素2の連結部203と前記略波形構成要素3の連結部301が連結し、また、前記略波形構成要素2の連結部205と前記略波形構成要素3の連結部309が連結することにより前記略波形構成要素2と略波形構成要素3が互いにステント軸方向に交互に周期的に連続し、前記略波形構成要素2の連結部201、203、205、207の総てが、前記略波形構成要素3の連結部301、309のいずれかと連結され、かつ前記略波形構成要素3の連結部301、309の総てが、前記略波形構成要素2の連結部201、203、205、207のいずれかと連結されることを特徴とするステント。
  6. 複数の前記円周方向に伸張可能な略波形構成要素2のみが、互いに直接には連結せずにステントの略円周方向に配置され、円周要素4を構成し、
    複数の前記軸方向に伸張可能な略波形構成要素3のみが、互いに直接には連結せずにステントの略円周方向に配置され、円周要素5を構成し、かつ
    前記円周要素4、5をそれぞれ構成する前記略波形構成要素2、3が円周方向において実質的に重複しないように、前記前記円周要素4、5が互いにステント軸方向に交互に周期的に連続してなる請求項1から5の何れかに記載のステント。
  7. 前記円周方向に伸張可能な略波形構成要素2が直接には連結せずに円周方向に配置されてなる円周要素が、隣り合った該円周要素とは所定の角度ずれを有して配置され、更に該円周要素同士が間に前記軸方向に伸張可能な略波形構成要素3を介して連続している請求項1から6の何れかに記載のステント。
  8. ステントの軸方向両端のみが、直接に連続した複数の前記円周方向に伸張可能な略波形構成要素2がステントの円周に沿って配列されて形成されたことを特徴とする請求項1から7の何れかに記載のステント。
  9. ステントの軸方向両端を構成する前記円周方向に伸張可能な略波形構成要素2が、ステントの軸方向両端以外を構成する前記円周方向に伸張可能な略波形構成要素2に比べて、
    1.ステント軸方向の長さが短い
    2.ストラットの幅が広い
    3.ストラットの厚みが厚い
    から選ばれる1つ以上に該当する請求項8記載のステント。
  10. 前記円周方向に伸張可能な略波形構成要素2と前記軸方向に伸張可能な略波形構成要素3から選ばれる1つ以上が、ステントの軸方向の中央部分から端部へ移り変わるに従って、
    1.ステント軸方向の長さが段階的に短くなる
    2.ストラットの幅が段階的に広くなる
    3.ストラットの厚みが厚くなる
    から選ばれる1つ以上に該当する請求項8記載のステント。
  11. 前記円周方向に伸張可能な略波形構成要素2が互いに直接には連結せずにステントの略円周方向に配置されてなる円周要素が、ステントの軸方向長さ10mmあたり5個以上含まれることを特徴とする請求項1から7の何れかに記載のステント。
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