以下、本発明に係るキャップの実施の形態について、図面に基いて説明する。
[第1の実施の形態]
まず、第1の実施の形態について図1〜図7に基いて説明する。
図1は本実施の形態におけるキャップ1の断面図であり、図2は後述する内筒部6から後述する注出筒部7が引き抜かれた状態のキャップ1を上方からみた平面図であり、図3は後述するキャップ本体3の側面図であり、図4はキャップ本体3を下方からみた平面図であり、図5〜図7はキャップ本体3を後述する容器口部20から取り外す際のキャップ本体3の断面図である。
なお、図1に示す鎖線Lは、キャップ1の中心軸線を示しており、以下、単にキャップ軸Lと記す。また、以下に説明する実施の形態では、キャップ1からみて容器2側(図1における下側)を「下方」とし、その反対側(図1における上側)を「上方」とする。また、後述する連結部9側(図1における右側)を後方側とし、その反対側(図1における左側)を前方側とする。
図1に示すように、キャップ1は、容器2の口部20に装着可能であるとともに、容器口部20から取り外し可能で分別回収に適したキャップである。キャップ1は、容器口部20に装着されるキャップ本体3と、キャップ本体3に被着される上蓋4と、を備えている。なお、容器2は、ガラス瓶や合成樹脂製の容器である。容器口部20は、略円筒形状の筒部であり、容器口部20の上端部には、径方向外側に膨出した係合部21が形成されている。
キャップ本体3は、例えば射出成形等より形成された樹脂製部品である。キャップ本体3の概略構成としては、容器口部20の外側に嵌合可能な外筒部5と、外筒部5の内側に配設された内筒部6と、内筒部6の上部の内側に着脱可能に嵌合された注出筒部7と、内筒部6の内側を閉塞する隔壁部8と、注出筒部7と外筒部5の下端とを連結する連結部9と、を備えている。上記した外筒部5、内筒部6、注出筒部7、隔壁部8及び連結部9は一体に形成されており、外筒部5、内筒部6及び注出筒部7は、キャップ軸Lを共通軸にして同軸上にそれぞれ配設されている。
外筒部5は、容器口部20の上端面から容器口部20の外周面にかけて覆うスカート状の筒部である。詳しく説明すると、外筒部5は、円環状の天壁部50と、天壁部50の外縁部から下方に向かうに従い漸次拡径されたテーパー部51と、テーパー部51の下端から垂下された略円筒形状の直筒部52と、を備えている。
天壁部50は、容器口部20の上端に当接する壁部である。テーパー部51は、容器口部20の上端外周面のテーパー面に沿って形成されている。直筒部52の下端には、径方向内側に膨出した係合部53が全周に亘って形成されており、この係合部53が容器口部20の係合部21の下方に係止されることで外筒部5が容器口部20にアンダーカット嵌合されている。
内筒部6は、容器口部20の内側に連通する二重筒構造の筒部であり、外筒部5の内側から上方に向かって突出されている。詳しく説明すると、内筒部6は、略円筒形状の係合筒部60と、係合筒部60の内側に配設された略円筒形状の内周壁61と、を備えている。
係合筒部60の上部は、外筒部5の天壁部50の上方に突出されており、係合筒部60の下部は、容器口部20の内側に嵌合している。図1、図2に示すように、係合筒部60の上部の外周面のうち前方側の部分には、係合筒部60の上端から下方に向かって延在する凹溝62が形成されている。また、この前方側の凹溝62及び後述する後方側の凹溝30を除いた係合筒部60の上部の外周面には、上蓋4を螺着するための雄ネジ64が形成されている。
内周壁61は、図1に示すように、係合筒部60との間に隙間をあけて配設されている。内周壁61の上端は、係合筒部60の上端よりも下方に位置しており、係合筒部60の上部の軸方向中間部に全周に亘って連結されている。すなわち、内筒部6の内周面の上端部には、径方向外側に拡径された段差状の嵌合部65が形成されている。この嵌合部65の内周面は、内筒部6(係合筒部60)の上端から下方に向かうに従い漸次縮径されたテーパー形状に形成されており、嵌合部65(内筒部6)の内周面の上端部には径方向外側に窪んだ溝状の係合部66が全周に亘って形成されている。また、内周壁61の下部の内周面には、隔壁部8の下面から下方に向かって延在する凸リブ67が設けられている。この凸リブ67は、周方向に間隔をあけて複数設けられている。
また、上記した内筒部6は、外筒部5の内側に配置されており、内筒部6の軸方向中間部と外筒部5の天壁部50の内縁部とが連結されている。すなわち、内筒部6の軸方向中間部の外周面に、外筒部5の天壁部50が径方向外側に向けて突設された構成になっている。
注出筒部7は、内筒部6(内周壁61)の内側に連通する略円筒形状の筒部である。注出筒部7は、下方に向かうに従い漸次縮径されたテーパー形状に形成されており、注出筒部7の上端部は、径方向外側に向けて曲線的に拡径されている。また、注出筒部7の軸方向中間部の外周面には、径方向外側に突出したフランジ部70が全周に亘って形成されている。フランジ部70の外周面は、内筒部6の係合筒部60の外周面と略面一に形成されており、フランジ部70の外周面のうち、前方側の凹溝62に対応する部分が凹溝62の底面よりも径方向外側に形成されている。つまり、フランジ部70の外縁部のうち、前方側の凹溝62に対応する部分(指掛け部70a)が、内筒部6の上端部の外周面(凹溝62の底面)よりも径方向外側に突出されている。また、注出筒部7の下部(フランジ部70よりも下方の部分)の外周面には、径方向外側に膨出した係合部72が全周に亘って形成されており、この係合部72が内筒部6の溝状の係合部66の内側に嵌合されることで注出筒部7が内筒部6にアンダーカット嵌合されている。
また、図1〜図4に示すように、キャップ本体3の外周面の後方側部分には、図3に示すキャップ側面視においてキャップ軸L方向に延在する断面視凹状の凹溝30が形成されている。この凹溝30は、内筒部6の上端からキャップ本体3の外周面に沿って外筒部5の下端まで延在されている。具体的に説明すると、凹溝30は、上側から順に、内筒部6の係合筒部60の外周面に形成された上側縦溝部31と、外筒部5の天壁部50の上面に形成された横溝部32と、外筒部5のテーパー部51の外周面に形成された傾斜溝部33と、外筒部5の直筒部52の外周面に形成された下側縦溝部34と、が連設されてなる。上記した上側縦溝部31の底面には、キャップ軸L方向に延在する横断面視略T字形状の凸条部35が突設されており、この凸条部35は、内筒部6の周方向に複数(図2では2本)平行に並設されている。また、上側縦溝部31の下端部は、下方に向かうに従い内筒部6の径方向外側へ向けて傾斜されている。
連結部9は、図3に示すキャップ側面視においてキャップ軸L方向に延在する帯状の板部である。この連結部9は、内筒部6の上端からキャップ本体3の外周面に沿って外筒部5の下端まで延在されているとともに、上記した後方側の凹溝30の内側に着脱可能に嵌め込まれている。すなわち、キャップ本体3の後方側部分が二重壁構造になっている。
連結部9について詳しく説明すると、連結部9は、上側から順に、キャップ軸L方向に沿って延在した上側縦壁部91と、キャップ軸Lに対する垂直面に沿って延在した上側横壁部92と、下方に向かうに従い外筒部5の径方向外側へ向けて傾斜した傾斜壁部93と、キャップ軸L方向に沿って延在した下側縦壁部94(本発明の縦壁部に相当する。)と、キャップ軸Lに対する垂直面に沿って延在した下側横壁部95(本発明の下壁部に相当する。)と、が連設されてなる。
上側縦壁部91は、上側縦溝部31の形状に対応する形状に形成されており、上側縦溝部31の底面に対向配置されている。この上側縦壁部91の上端(連結部9の一端)は、第一ヒンジ部96Aを介して注出筒部7のフランジ部70の後方側部分に連結されており、上側縦壁部91の周方向の両側の側端は、内筒部6の係合筒部60から分離されている。また、上側縦壁部91には、上記した凸条部35が嵌合される嵌合孔98が形成されている。この嵌合孔98は、キャップ軸L方向に延在する長孔であり、内筒部6の周方向に複数(図2では2本)平行に並設されている。また、上側縦壁部91の下端部は、下方に向かうに従い内筒部6の径方向外側へ向けて傾斜されている。
上側横壁部92は、横溝部32の形状に対応する形状に形成されており、横溝部32の底面に対向配置されている。この上側横壁部92の径方向内側の端部は、上側縦壁部91の下端に連結されており、上側横壁部92の周方向の両側の側端は、外筒部5の天壁部50から分離されている。また、上側横壁部92の下面には、横溝部32の底面に当接する当接部92aが突設されている。
傾斜壁部93は、傾斜溝部33の形状に対応する形状に形成されており、傾斜溝部33の底面に対向配置されている。この傾斜壁部93の上端は、側横壁部92の径方向外側の端部に連結されており、傾斜壁部93の周方向の両側の側端は、外筒部5のテーパー部51から分離されている。
下側縦壁部94は、下側縦溝部34の形状に対応する形状に形成されており、下側縦溝部34の底面に対向配置されている。この下側縦壁部94の上端は、第二ヒンジ部96Bを介して傾斜壁部93の下端に連結されており、下側縦壁部94の周方向の両側の側端は、キャップ軸L方向に沿って延在する縦弱化部97Aを介して外筒部5に連結されている。縦弱化部97Aは、その長さ方向に沿って破断容易な断面視凹状或いは反円弧状の薄肉部であり、下側縦壁部94の上端から下端まで延設されている。また、下側縦壁部94の内側面と下側縦溝部34の底面との間には隙間があけられている。
下側横壁部95は、下側縦壁部94の内側面と下側縦溝部34の底面との間の隙間を閉塞する壁部であり、下側縦壁部94の下端から外筒部5の径方向内側に向けて延設されている。下側横壁部95の径方向外側の端部は、第三ヒンジ部96Cを介して下側縦壁部94の下端に連結されており、下側横壁部95の径方向内側の端部(連結部9の他端)は、第四ヒンジ部96Dを介して下側縦溝部34の底面の下端に連結されている。また、下側縦壁部94の周方向の両側の側端は、キャップ軸Lに直交する方向(前後方向)に沿って延在する横弱化部97Bを介して外筒部5に連結されている。横弱化部97Bは、その長さ方向に沿って破断容易な断面視凹状或いは反円弧状の薄肉部であり、縦弱化部97Aの下端から連続的に形成され、下側縦溝部34の底面まで延びている。すなわち、縦弱化部97A及び横弱化部97BによってL字状の弱化部が形成されており、この弱化部97A,97Bは、周方向に間隔をあけて二本平行に形成されている。
上記した第一〜第四ヒンジ部96A〜96Dは、折り曲げ可能な薄板部であり、前後方向に直交する左右方向に延在されている。また、第一ヒンジ部96Aと上記した注出筒部7の指掛け部70aとは、注出筒部7の中心軸線(キャップ軸L)を挟んで対称に配設されている。
隔壁部8は、内筒部6の内周壁61の内側を閉塞する壁部であり、キャップ軸Lに対して垂直に配設された略平板状の壁部である。隔壁部8は、内周壁61の軸方向中間部分に配設されており、隔壁部8の外縁部は、内周壁61の内周面に全周に亘って連結されている。また、隔壁部8には、容器2内に収容された内容物を注出するための注出口80が形成されており、この注出口80は封止板81によって密閉されており、封止板81の外縁と注出口80の内縁とは薄肉部82(弱化部)を介して全周に亘って連結されている。また、封止板81の上面には、指等を掛けることが可能なプルリング83が設けられている。このプルリング83は、封止板81の前方部分に連結されている。
上蓋4は、キャップ本体3の上に着脱自在に被せられる筒状の蓋体であり、その概略構成としては、キャップ軸Lに対して垂直に配設された円形板状の天壁部40と、天壁部40の外縁部から垂下された筒状の周壁部41と、天壁部40の下面に垂設された円筒状の栓部42と、を備えている。
周壁部41は、内筒部6の上部及び注出筒部7の径方向外側に周設されており、周壁部41の内周面には、内筒部6の上部の外周面に形成された雄ネジ64に螺着される雌ネジ部46が形成されている。
栓部42は、注出筒部7の上部内側に嵌め込まれており、栓部42の先端部の外周面は、注出筒部7の内周面に全周に亘って密接されている。これにより、上蓋4を閉じた際のシール性が確保され、容器2内の内容物が注出筒部7から漏出することが防止される。
次に、上記した構成からなるキャップ1の作用について説明する。
容器2内に収容された内容物を注出するには、まず、キャップ本体3から上蓋4を取り外し、その後、注出口80を開封する。詳しく説明すると、上蓋4と容器2とを相対的にキャップ軸L回りに回転させ、上蓋4の雌ネジ部46と内筒部6の雄ネジ64との螺着を外し、上蓋4とキャップ本体3とを分離させる。その後、プルリング83の内側に指等を通してプルリング83に指等を引っ掛ける。そして、プルリング83を上方に引き上げつつプルリング83を後方に引く。これにより、注出口80と封止板81との間の薄肉部82が破断され、封止板81が注出口80の内側から取り外されて注出口80が開封され、注出口80から内容物を注出することが可能になる。
また、内容物を注出した後は、キャップ本体3に上蓋4を被着させて保管する。詳しく説明すると、上蓋4をキャップ本体3に被せ、上蓋4と容器2とを相対的にキャップ軸L回りに回転させ、上蓋4の雌ネジ部46と内筒部6の雄ネジ64とを螺着させる。これにより、容器2内の気密性が保持される。
上記した構成からなるキャップ付き容器の使用後には、容器口部20からキャップ1を取り外し、キャップ1と容器2とを分別して回収する。
容器口部20からキャップ1を取り外す際には、まず、上蓋4をキャップ本体3から取り外す。
次に、図4に示すように、注出筒部7を内筒部6の上部から引き抜く。詳しく説明すると、内筒部6の前方側の凹溝62に指等を入れて、内筒部6の外周面(凹溝62の底面)から突出したフランジ部70の前方側部分に指等を引っ掛ける。そして、その指等でフランジ部70の前方側部分を上方に引き上げる。これにより、内筒部6の係合部66と注出筒部7の係合部72とのアンダーカット嵌合が前方側から後方側に向かって順次外れていき、注出筒部7が第一ヒンジ部96Aを軸に回転しながら内筒部6から引き抜かれる。そして、第二ヒンジ部96Bを軸に注出筒部7をさらに回転させることにより、嵌合孔98が凸条部35から外れ、連結部9の上部(上側縦壁部91、上側横壁部92及び傾斜壁部93)が第二ヒンジ部96Bを軸に回転しながら下側に折り返され、注出筒部7が連結部9(下側縦壁部94)の下方に配置される。
次に、図5、図6に示すように、注出筒部7を引き下げて縦弱化部97A及び横弱化部97Bを順次破断していく。詳しく説明すると、引き抜かれた注出筒部7に指等を通して引っ掛ける。そして、その指等で注出筒部7を引き下げることにより、第一ヒンジ部96Aを介して上側縦壁部91、上側横壁部92及び傾斜壁部93がそれぞれ引き下げられる。これにより、第二ヒンジ部96Bを介して下側縦壁部94が上側から下側に向けて順次、径方向外側に捲られるようにして引き下げられるとともに、両側の縦弱化部97Aがそれぞれ上端から順次破断されていき、下側縦壁部94が外筒部5から切り離される。そして、縦弱化部97Aが外筒部5の下端まで破断された後、さらに注出筒部7を引き下げることにより、第三ヒンジ部96Cを介して下側横壁部95が径方向外側から内側に向けて順次、下方に捲られるようにして引き下げられるとともに、横弱化部97Bが外筒部5の径方向外側から内側に向けて順次破断されていき、下側横壁部95が外筒部5から切り離される。
次に、注出筒部7を引き上げて外筒部5を容器口部20から取り外す。詳しく説明すると、注出筒部7に通された指等で注出筒部7を上方に引き上げる。これにより、第一ヒンジ部96を介して連結部9全体が引き上げられ、第四ヒンジ部96Dを介して外筒部5の後方側部分の下端が引き上げられ、外筒部5の後方側部分が径方向外側に折り曲げられ、外筒部5の後方側部分における外筒部5の係合部53と容器口部20の係合部21とのアンダーカット嵌合が外れる。このとき、凹溝30が形成された部分の外筒部5の厚さが薄くなって変形し易くなっており、また、連結部9の下端部に設けられた下側横壁部95の側端が外筒部5から切り離されているため、外筒部5の後方側部分が径方向外側に折り曲げられ易い。そして、外筒部5の一部分の嵌合が外れると、残りの部分も連なって容易に外れるので、そのまま注出筒部7を引き上げることにより、外筒部5の係合部53と容器口部20の係合部21とのアンダーカット嵌合が後方側から前方側に向かって順次外れていき、外筒部5が容器口部20から取り外され、キャップ本体3と容器2とが分離される。
上記した構成からなるキャップ1によれば、注出筒部7を内筒部6の上部から引き抜き、その後、注出筒部7を一旦引き下げた後に引き上げるだけなので、容器口部20からキャップ1(キャップ本体3)を容易に取り外すことができる。
また、仮に、従来技術のように注出筒部に周方向に延在する薄肉部が形成されている場合、注出筒部が変形しやすくなり、栓部42と注出筒部の内周面との間に隙間が生じる場合があり、その場合、その隙間から容器2内の内容物が漏出するおそれがある。これに対して、上記した構成からなるキャップ1によれば、注出筒部7に薄肉部等が形成されてなく、注出筒部7が内筒部6の上部内に嵌合されているため、注出筒部7が変形しにくい。これにより、上蓋4の栓部42が注出筒部7の内周面に確実に密接され、上蓋4によって内筒部6が確実に密閉され、容器2内の内容物の漏出を確実に防止することができる。
また、キャップ本体3の後方側部分に凹溝30が形成され、この凹溝30の内側に連結部9が着脱可能に嵌め込まれており、外筒部5の後方側部分が径方向外側に折り曲げられ易いため、外筒部5の係合部53と容器口部20の係合部21とのアンダーカット嵌合を容易に外すことができ、容器口部20からキャップ本体3を容易に取り外すことができる。また、凹溝30の内側に連結部9が着脱可能に嵌め込まれていることにより、キャップ本体3の外周面の凹凸が少なくなり、キャップ本体3の外観が簡素化される。これにより、キャップ本体3を大型化が抑えられ、また、キャップ本体3の成形が容易となる。
また、連結部9の下端部に設けられた下側横壁部95の側端が横弱化部97Bを介して外筒部5に連結されており、外筒部5の後方側部分が径方向外側に折り曲げられ易いため、外筒部5の係合部53と容器口部20の係合部21とのアンダーカット嵌合を容易に外すことができ、容器口部20からキャップ本体3を容易に取り外すことができる。
また、注出筒部7の外周にフランジ部70が設けられ、このフランジ部70の前方側部分が、内筒部6の外周面(凹溝62の底面)よりも径方向外側に突出されているので、フランジ部70の前方側部分に指等が掛かりやすく、注出筒部7が引き上げ易い。これにより、キャップ1の取り外し作業を一層容易に行うことができる。
また、凹溝30(上側縦溝部31)に凸条部35が突設され、連結部9(上側縦壁部91)に嵌合孔98が形成され、凸条部35が嵌合孔98に嵌合される構成になっており、連結部9がキャップ本体3に係合されているため、使用中等に注出筒部7が内筒部6から不用意に外れたり、連結部9が凹溝30内から外れたりする不具合を防止することができる。
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態について図8に基いて説明する。
図8は、キャップ1の後方側部分の部分断面図である。なお、上述した第1の実施の形態と同様の構成については、同一の符号を付し、説明を省略する。
図8に示すように、外筒部5には、キャップ軸L方向に沿って延在する外筒部側縦弱化部97Cが形成されている。この外筒部側縦弱化部97Cは、その長さ方向に沿って破断容易な断面視凹状或いは反円弧状の薄肉部であり、横弱化部97Bの端部と連続的に形成されている。詳しく説明すると、外筒部側縦弱化部97Cは、凹溝30(下側縦溝部34)の底面の両側の側端にそれぞれ形成されており、凹溝30(下側縦溝部34)の下端部からキャップ軸Lに沿って上方に延在されている。すなわち、外筒部側縦弱化部97Cは、縦弱化部97Aに対向する位置に形成されている。この外筒部側縦弱化部97Cは、少なくとも係合部53の上端に対応する高さ位置まで延設されていることが好ましく、本実施の形態では、外筒部側縦弱化部97Cの上端は係合部53の上端位置よりも上方に形成されている。
上記した外筒部側縦弱化部97Cが外筒部5に形成された構成からなるキャップ1によれば、注出筒部7を引き下げて縦弱化部97A及び横弱化部97Bをそれぞれ破断させた後、注出筒部7を引き上げることにより、外筒部5の後方側部分が連結部9を介して径方向外側に引っ張られる。これにより、外筒部5の後方側部分が径方向外側に折り曲げられ、両側の外筒部側縦弱化部97Cがそれぞれ下端から上方に向かって順次破断されるとともに、外筒部5のうち、両側の外筒部側縦弱化部97Cの間の部分が、径方向外側に捲り上げられる。その結果、外筒部5の後方側部分における外筒部5の係合部53と容器口部20の係合部21とのアンダーカット嵌合が外れる。このように、外筒部5に外筒部側縦弱化部97Cが形成されることにより、外筒部5の後方側部分が容器口部20から容易に外されるので、容器口部20からキャップ本体3を取り外す作業をさらに容易化することができる。
以上、本発明に係るキャップの実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記した実施の形態では、外筒部5の係合部53及び容器口部20の係合部21がそれぞれ全周に亘って形成されているが、本発明は、外筒部5の係合部53が周方向に間欠的(断続的)に設けられていてもよい。これにより、外筒部5と容器口部20との嵌合強度を小さくすることができ、容器口部20から外筒部5が取り外し易くなる。なお、外筒部5の係合部53の膨出量(径方向の長さ)を小さくすることにより、外筒部5と容器口部20との嵌合強度を小さくすることも可能である。
また、上記した実施の形態では、外筒部5と容器口部20との嵌合強度は全周に亘って略均一になっているが、本発明は、少なくとも後方側(連結部9側)の部分における嵌合強度を前面側の部分よりも弱くしてもよい。例えば、外筒部5の係合部53の後方側部分の膨出量を、前方側の部分よりも小さくしたり、外筒部5の係合部53の後方側部分を間欠的に設けて、前方側の部分を連続的に設けたりする。これにより、注出筒部7を引き上げた際、外筒部5の後方側部分が容器口部20から容易に外れる。そして、一部分の嵌合が外れると、残りの部分も連なって容易に外れるので、前方側部分における外筒部5と容器口部20との嵌合強度を高くしても外筒部5を容器口部20から容易に外すことができる。つまり、キャップ1と容器2との分別の容易化を図りつつ、前方側部分における外筒部5と容器口部20との嵌合強度を高くしてキャップ1が不用意に外れることを防止することができる。
また、上記した実施の形態では、縦弱化部97A、横弱化部97B及び外筒部側縦弱化部97Cがそれぞれ薄肉部になっているが、本発明における縦弱化部、横弱化部及び外筒部側縦弱化部は、ねじれや曲げ等により容易に破断する易破断構造になっていればよく、薄肉部以外の構造になっていてもよい。例えば、縦弱化部、横弱化部及び外筒部側縦弱化部が、複数のブリッジを間欠的に配設した構成であってもよく、或いは、縦弱化部、横弱化部及び外筒部側縦弱化部の樹脂をその周囲の樹脂よりも脆弱な材質の樹脂で形成する方法もある。
また、上記した実施の形態では、凹溝30(上側縦溝部31)に断面視略T字形状の凸条部35が突設され、連結部9(上側縦壁部91)に長孔状の嵌合孔98が形成され、凸条部35が嵌合孔98に嵌合される構成になっているが、本発明は、連結部9を貫通した嵌合孔98に代えて非貫通の凹部からなる嵌合部を設けることも可能である。また、上記した凸条部35に代えて他の形状の凸部を設けることも可能であり、例えば、円形や矩形の凸部を設けることも可能であり、この場合、凸部の形状に合わせた形状の嵌合部を形成する。また、上記した実施の形態では、キャップ本体3に凸条部35が設けられ、連結部9に嵌合孔98が形成されているが、本発明は、キャップ本体3に凸部を設けて、連結部9に凸部が嵌合される嵌合部を形成することも可能である。さらに、本発明は、上記した凸条部35(凸部)や嵌合孔98(嵌合部)を省略することも可能であり、例えば、連結部9の両側の側端部と凹溝30の両側の側端部とがアンダーカット嵌合された構成にすることも可能であり、或いは、連結部9の上部(例えば上側縦壁部91)の側端と内筒部6とがブリッジ等の弱化部で連結された構成にすることも可能である。
また、上記した実施の形態では、キャップ本体3の外周面に凹溝30が形成されており、この凹溝30の内側に連結部9が着脱可能に嵌め込まれているが、本発明は、凹溝30が形成されていない構成にすることが可能であり、或いは、連結部9が外筒部5や内筒部6の外周面に重ねて配設された構成にすることも可能であり、さらには、連結部9が外筒部5や内筒部6の外周面から離間した構成にすることも可能である。
また、上記した実施の形態では、連結部9の下側横壁部95の側端が横弱化部97Bを介して外筒部5に連結されているが、本発明は、下側横壁部95の側端に横弱化部97Bが介在されていない構成にすることも可能であり、下側横壁部95の側端が外筒部5に直接連結された構成にすることが可能であり、或いは、下側横壁部95の側端が外筒部5から分離した構成にすることも可能である。
また、上記した実施の形態では、連結部9の一端(上端)は第一ヒンジ部96Aを介して注出筒部7に連結されており、また、連結部9の傾斜壁部93と下側縦壁部94との間には第二ヒンジ部96Bが介在されており、また、連結部9の下側縦壁部94と下側横壁部95との間には第三ヒンジ部96Cが介在されており、連結部9の他端は第四ヒンジ部96Dを介して外筒部5に連結されているが、本発明は、上記した第一〜第四ヒンジ部96A〜96Dのうちの少なくとも1つを省略することが可能である。
また、上記した実施の形態では、内筒部6の上部の外周面に凹溝62が形成されており、また、注出筒部7の外周面にはフランジ部70が全周に亘って形成されており、このフランジ部70の前方側部分が内筒部6の外周面(凹溝62の底面)よりも径方向外側に突出した構成になっているが、本発明は、内筒部6に凹溝62が形成されてなく、フランジ部70の一部又は全部が内筒部6の外周面よりも径方向外側に突出された構成であってもよい。また、本発明は、フランジ部70が注出筒部7の周方向の一部分にのみ形成されていてもよく、或いは、フランジ部70が周方向に間欠的に形成されていてもよい。さらに、本発明は、フランジ部70が内筒部6の外周面から突出されていない構成にすることも可能であり、また、フランジ部70が省略された構成にすることも可能である。
また、上記した実施の形態では、外筒部5が、天壁部50、テーパー部51及び直筒部52を備えるスカート状の筒部になっているが、本発明の外筒部の形状は適宜変更可能である。例えば、天壁部50の外縁部から直筒部52が垂下された構成の外筒部であってもよく、或いは、下方に向かうに従い漸次拡径された略椀状の外筒部であってもよい。
また、上記した実施の形態では、内筒部6が二重筒構造になっているが、本発明は、内筒部6が三重以上の多重筒構造になっていてもよく、或いは、一重の筒構造であってもよい。また、上記した実施の形態では、内筒部6(係合筒部60)が略直筒形状になっているが、本発明は、径の異なる筒部を軸線方向に連設した構成からなる多段状の内筒部であってもよい。例えば、内筒部の下側部分に大径筒部が形成されて上側部分に小径筒部が形成された二段構造にしてもよい。その他、本発明の内筒部の形状は適宜変更可能である。
また、上記した実施の形態では、注出筒部7がテーパー形状になっているが、注出筒部7が直筒形状になっていてもよく、或いは、多重筒構造であってもよく、多段状の筒構造になっていてもよい。
また、上記した実施の形態では、注出筒部7の上部が内筒部6の上端から突出されているが、本発明は、注出筒部の全体が内筒部6の内側に収容され、内筒部6の上端から注出筒部7が突出していない構成にすることもできる。この場合、注出筒部を内筒部6から引き抜く際には、注出筒部の内側に指等を入れて注出筒部の下端等に指等を引っ掛けることにより、注出筒部を内筒部6から引き抜くことができる。
また、上記した実施の形態では、平板状の隔壁部8が内筒部6の軸方向中間部分の内側に配設されているが、本発明は、隔壁部が、上方或いは下方に向けて半球状に膨出した形状に形成されていてもよく、その他の形状の隔壁部であってもよい。また、本発明は、内筒部6の下端部の内側に隔壁部が配設されていてもよく、或いは、注出筒部7の内側に隔壁部が形成されていてもよい。さらに、本発明は、隔壁部が省略された構成のキャップにすることも可能である。例えば、内筒部の上部の径が小さく、内筒部の上端が注出口になった構成にすることもできる。
さらに、隔壁部8を別部材で構成し、内筒部6の内側に嵌合させてもよい。
また、上記した実施の形態では、上蓋4がキャップ本体3に螺合された構成になっているが、本発明は、キャップ本体3にヒンジ部を介して上蓋が連結された構成にすることも可能であり、或いは、キャップ本体3の上に上蓋が被せられて嵌合された構成にすることも可能である。
その他、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。