JP5011088B2 - 放熱装置及びパワーモジュール - Google Patents

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Description

本発明は発熱する部品の放熱装置に関し、特に、半導体素子やLSIなどの半導体装置に好適な放熱装置に関する。
例えば、蓄電池や燃料電池を用いた電気自動車や、モータと内燃機関とを組み合わせたハイブリッド自動車などでは、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT; Insulated Gate Bipolar Transistor)などの電力制御用半導体素子や半導体制御ユニット(パワーモジュール)を使用してモータの駆動や電力回生等を行っている。このような電力制御を行う半導体装置は発熱するため放熱装置に搭載され、半導体装置から発せられた熱を効率良く放熱して半導体装置が所定温度を越えないように工夫されている。
例えば、放熱装置は半導体装置を載置する絶縁基板とこの絶縁基板に取り付けられて半導体装置の発熱を空冷や液冷によって除去するヒートシンクとによって構成されている。放熱装置は放熱性能が長期間にわたって維持されることが要求される。
しかしながら、例えば、電気自動車などに用いられるパワーモジュールは、車両の発車、加速、減速などに伴う急激な負荷変動、長時間運転、走行環境や季節の変化などによって広範囲な温度変化を受け、放熱装置も高温状態や急激な温度変化に曝される。上記のように放熱装置は絶縁基板とヒートシンクとによって構成されるが、絶縁物(絶縁基板)と金属(ヒートシンク)は線膨張係数が異なる。この線熱膨張係数の相違に起因して絶縁基板とヒートシンク間に熱応力が発生する。それにより、絶縁基板とヒートシンクとの接合面や絶縁基板に熱疲労によるクラックが生じたり、ヒートシンクの絶縁基板への接合面に反りが生じて放熱性能が低下する場合がある。
そこで、特許文献1に記載の放熱装置は、絶縁基板とヒートシンクとの間に、複数の貫通孔が形成された低熱膨張材(インバー合金)を高熱伝導材(アルミニウム、銅)で挟んだ積層構造の放熱体を配置した構成とする。放熱体はヒートシンクにボルト付けされ、絶縁基板は放熱体にはんだ付けされる(特許文献1)。
しかしながら、高熱伝導性材と低熱膨張材との接合が難しい。また、高熱伝導性材料と低熱膨張材間に剥離が生じる場合がある。また、低熱膨張材としてモリブデン(Mo)を用いた場合、モリブデンは、高価かつ重い材料であるため、これを用いている放熱体が高コストかつ重量物となり、車載部品等として改善が望まれる。
また、特許文献2に記載の放熱装置は、絶縁基板とヒートシンクとの間に板状体に多数の突起を形成した高熱伝導性の応力緩和部材を設ける構成を提案している(特許文献2)。
しかしながら、本構造では、応力緩和部材に多数の突起を形成する必要がある。また、当該多数の突起部は絶縁基板にろう付けされるが、その際突起部の高さのバラツキによってろう付けの不十分な箇所が発生しやすい。また、絶縁基板と応力緩和部材との接触は突起部のみに限られるので熱伝達面積は小さい。また、突起部以外の空間には熱伝導性グリースまたは熱伝導性樹脂が充填されるが、グリースや樹脂では金属接合と比較して熱伝導性が低下する。
特開2004−153075号公報 特開2007−19023号公報
よって、本発明は、絶縁基板、応力緩和部材及びヒートシンク間の接合が容易で放熱性能の優れた放熱装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、比較的に軽量で材料コストの安い放熱装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため本発明の放熱装置は、その一面が発熱体搭載面となる絶縁基板と、該絶縁基板の他面側に配置されて放熱するヒートシンクと、上記絶縁基板と上記ヒートシンクとの間に設けられる中間部材と、を備え、上記絶縁基板の少なくとも他面及び前記中間部材の両面の各々は高熱伝導の同種金属で被覆され、上記ヒートシンクは当該金属と接合可能な金属であり、上記絶縁基板、上記中間部材及び上記ヒートシンクの相互間が上記高熱伝導の金属を含むろう材によってろう付け接合され、上記中間部材が上記絶縁基板と上記ヒートシンクとの応力緩和部材として機能するものであり、上記中間部材が鉄を主成分とする合金である鋼を母材とし、該母材の表面がアルミニウム系金属によりめっきされてなり、上記ろう材がアルミニウム合金である
かかる構成とすることによって、絶縁基板、中間部材(応力緩和部材)及びヒートシンクが同じろう材によってろう付け(金属接合)可能となり、絶縁基板、中間部材及びヒートシンクを同時に、すなわち1つの工程で接合することが可能となり、製作の作業性が向上する。しかも発熱体からヒートシンクまでをすべて金属結合による熱伝達により伝熱するので優れた放熱性能を発揮する。
上記高熱伝導の金属がアルミニウム系金属であり、上記ろう材がアルミニウム合金を用いたものであることが望ましい。ここで、アルミニウム系金属とは、アルミニウム及びアルミニウムを含むアルミニウム合金を意味する。アルミニウム(アルミニウム合金)は熱伝導率が良く、ろう材(アルミニウム合金)との濡れ性に優れるので、高熱伝導と良好な金属接合とを両立させることが可能である。
上記絶縁基板と上記中間部材とは線膨張率が近い値であることが望ましい。それにより、絶縁基板と中間部材間に熱応力が発生することを回避する。
より具体的には、上記中間部材をアルミニウム系金属により被覆されためっき鋼板によって構成することが望ましい。鉄を主成分とする合金である鋼は絶縁基板(例えば、AlN等のセラミックス)と線膨張率が近いので、絶縁基板と中間部材間に発生する熱応力は小さく、絶縁基板や絶縁基板と中間部材との接合部にクラックが生じたり、絶縁基板と中間部材との接合部に剥離が生じることを回避することが可能である。
上記めっき鋼板は、母材が低炭素鋼、高張力鋼、ステンレス鋼、特殊鋼のいずれかであり、めっき材がアルミニウム、アルミニウム合金のいずれかであることが望ましい。鉄及びその合金は絶縁基板の線膨張率と近い。また、アルミニウム、アルミニウム合金は高熱伝導率である。
例えば、めっき鋼板の板厚が0.05〜1.5mmであり、アルミニウム系金属のめっき層の厚さが1〜100μmであることが望ましい。めっき鋼板の板厚が0.03mm以下になると金属箔となって機械的強度の確保や製造が難しくなる。1.5mm以上になると熱応力減少の効果は少なく、熱伝導性も低下する。また、めっき層厚が1μm以下になるとろう付け接合が不十分となり、100μm以上になると鋼材による応力緩和効果を阻害することも考えられる。
ろう付においては、向い合った接合面に隙間が残らないようろう材が流れ込んで充填される必要がある。これは、ろう材の充填が不十分で、接合部に空洞が残ると、本発明の放熱装置においては使用時に加熱と冷却を繰り返した時に、ろう材の充填が不十分な箇所が起点となり、剥離を生じる心配があるためである。ろう材の充填不良を防ぐためには、溶融したろう材の流動性が良好で、接合しようとする面の隙間によく流れ込み、接合面がろう材によく濡れる必要がある。
ここで、例えば応力緩和部材4とパワーモジュール用基板8のろう付において、金属層7やアルミニウム(Al)めっき層またはAl合金めっき層11がない場合には、溶融したろう材は絶縁基板3のセラミックスと、応力緩和部材の母材10の間を接合することになる。しかし、一般にろう材に対するセラミックスの濡れ性は良くなく、ろう付は難しい。また、母材(鋼板)10に対するろう付は、セラミックスに対するろう付ほど困難ではないが、鋼板の表面が酸化膜等で覆われていると十分な濡れ性が得られないことが多い。そのような場合は、被ろう付面の金属表面を活性化する目的で、ろう材とともにフラックスを併用することも行われる。しかし、本発明の放熱装置は絶縁基板にAlNを用いている。フラックスを併用するろう付を行うとフラックスの成分が揮発してAlNを劣化させるので、本発明のろう付においてはフラックスを併用したろう付は採用できない。以上の理由により、通常のろう付で良好な状態に接合された本発明の放熱装置を構成することは困難である。
そこで、本発明の要点は、応力緩和部材4として母材の表面にあらかじめアルミニウム(Al)系金属が被覆されためっき鋼板を用いること、加えて、ろう材としてめっき鋼板に被覆されたAl系金属と同種のAl合金ろう材を用いることにある。鋼板の母材(低炭素鋼、高張力鋼、ステンレス鋼、特殊鋼等のいずれでもよい)には、あらかじめめっき層としてAl系金属が被覆されており、この両者は完全な金属接合が得られている。ろう付の際は、溶融したろう材のAl系合金と溶融したAl系金属のめっきがどちらも液相状態で混合し、その後凝固するだけでろう付が完了する。すなわち、めっき鋼板を用いたろう付は、ろう材が母材の鋼板表面を直接濡らして接合するのではなく、液相反応のみでろう付けが完了するので、接合不良の心配が極めて少なく、確実なろう付接合が得られるという作用がある。
上記めっき鋼板の母材とそのめっき層との界面に窒素濃縮層が設けられていることが望ましい。それにより、ろう付けの際に母材(鋼板)とアルミニウム系金属皮膜層(めっき層)との間に鉄−アルミニウム系金属間化合物が成長することを回避し、ろう付けの接合強度が低下することを防止する。
また、本発明のパワーモジュールの一つの態様では、上述した各種態様を持つ放熱装置と、上記放熱装置の発熱体搭載面に固定される半導体装置とを備える。
かかる構成によれば、放熱効率が良く、信頼性が高く、しかも安価なパワーモジュールを得ることが可能となる。
また、本発明のパワーモジュールの他の態様では、上述した各種態様を持つ2つの放熱装置と、両放熱装置の発熱体搭面で挟持される半導体装置と、を備える。
かかる構成によれば、両側から放熱するのでより放熱効率が良く、信頼性が高く、しかも安価なパワーモジュールを得ることが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
まず、本発明の好適な実施例においては、放熱器は、一面が発熱体搭載面となされた絶縁基板と、絶縁基板の他面に固定されたヒートシンクとを備える。この絶縁基板とヒートシンクとの間に、アルミニウムめっき鋼板またはアルミニウム合金めっき鋼板を中間部材として介在させ、アルミニウムめっき層またはアルミニウム合金めっき層が絶縁基板及びヒートシンクに金属接合される。また、ヒートシンクは一般的には軽量かつ熱伝導率がよいことからアルミニウムの合金が用いられる。
アルミニウムめっき鋼板またはアルミニウム合金めっき鋼板の板厚は、例えば、0.05mm(あるいは0.03mm)〜1.5mm程度とし、めっき層厚は、例えば、1〜100μm程度とする。後述するように、アルミニウムめっき鋼板またはアルミニウム合金めっき鋼板の界面に、窒素を濃縮させた材料を使用することもできる。
実施例の放熱装置によれば、絶縁基板とヒートシンクとの間に、低炭素鋼、高張力鋼、特殊鋼やステンレス鋼を母材として両面にアルミニウムめっきまたはアルミニウム合金めっき層が形成された板状材料が、絶縁基板及びヒートシンクに金属接合されているので、絶縁基板とヒートシンクとの間の熱伝達性が優れたものになり、絶縁基板の発熱体搭載面に搭載される半導体素子から発せられる熱の放熱性能が向上する。
しかも、芯となる鋼板(中間部材)が絶縁基板のセラミックスとヒートシンクの中間の線膨張係数を有するため、絶縁基板とヒートシンクで発生する熱応力を緩和し、絶縁基板にクラックが生じたり、絶縁基板とヒートシンクとの接合部にクラックが生じたり、剥離が生じたりすることが防止される。したがって、放熱性能が長期間にわたって維持される。
以下に、上記の利点を説明するために材料の物性値(線膨張係数、熱伝導率)を示す。
Figure 0005011088
本実施例で使用する、鉄やその合金である鋼(低炭素鋼、高張力鋼、特殊鋼及びステンレス鋼等)は線膨張係数が低く、絶縁基板材料(典型的には窒化アルミニウム)の線膨張率(4〜8)と近い値である。鋼を絶縁基板とヒートシンク間に応力緩和部材として使用することによって、絶縁基板あるいは絶縁基板との接合部における熱応力を減少させることが可能である。もっとも鋼はアルミニウムや銅(390W/m・K)に比べて熱伝導性に劣る。この点は後述のように鋼材の板厚を薄くすることで熱伝達効率を高めることができる。また、めっき鋼板を被覆するアルミニウムやアルミニウム合金のめっき層は高熱伝導率である。
既述した先行例の突起を形成したアルミニウムを応力緩和材として使用する場合、金属接合される面積は小さくなり熱伝導性グリースや樹脂を間隙に充填したとしてもその部分の熱伝導性は金属に比べて劣るため、放熱装置としての熱伝達性能は低下する。それに対して、本実施例は絶縁基板と中間部材間及び中間部材とヒートシンク間は全面で金属接合されるので、はるかに放熱性は向上する。
また、アルミニウムめっき鋼板またはアルミニウム合金めっき鋼板が絶縁基板及びヒートシンクにろう付けされる。絶縁基板の接合面及びヒートシンクにアルミニウムあるいはアルミニウム合金を使用する場合には、めっき鋼板及び絶縁基板相互間、めっき鋼板及びヒートシンク相互間にそれぞれ同種ろう付け材料を介在して同時に金属接合することができ、製作する際の作業性が向上する。
(実施形態1)
図1は、実施形態1の放熱装置を用いたパワーモジュールを概略的に示している。図2及び図3は放熱装置の応力緩和部材の例を示している。なお、図は説明の便宜により描かれており、実際の部材のサイズをそのまま反映したものではない。
図1において、パワーモジュールは、放熱装置1と、放熱装置1に搭載された、例えば、IGBT、サイリスタなどのパワー半導体素子やLSI等の半導体装置2とを備えている。
放熱装置1は、上面が発熱体搭載面となされた絶縁基板3と、絶縁基板3の下面に接合された応力緩和部材4と、応力緩和部材4の下面に接合されたヒートシンク5とを備えている。
絶縁基板3は、必要とされる絶縁特性、熱伝導率及び機械的強度を満たしていれば、どのような絶縁材料から形成されてもよいが、例えばセラミックスから形成される場合、窒化アルミニウム(AlN)が用いられる。
絶縁基板3上面の発熱体搭載面に回路層6が形成され、回路層6上に半導体装置2が接合されている。この接合は、例えば、はんだ付けにより行われる。回路層6は、回路配線、電極パッド、チップ載置面等を構成する。回路層6は導電性に優れたアルミニウム、銅などの金属により形成することができる。実施例では電気伝導率が高く、半導体素子とのはんだ付け性に優れたアルミニウムにより形成されている。
また、絶縁基板3の下面に金属層7が形成され、金属層7に応力緩和部材4がろう付けされている。金属層7は、熱伝導性に優れたアルミニウム、銅などの金属により形成することができるが、実施例では熱伝導率が高く、溶融したろう材との濡れ性に優れたアルミニウムにより形成されている。そして、絶縁基板3、回路層6及び金属層7によりパワーモジュール用基板8が構成されている。
図2に示すように、応力緩和部材4は、例えば、溶融めっき法で製造されたアルミニウムめっき鋼板またはアルミニウム合金めっき鋼板であり、母材10が鉄を主成分とする合金である、低炭素鋼、高張力鋼、特殊鋼またはステンレス鋼等を用いることができる。
溶融めっき法によるアルミニウムめっき及びアルミニウム合金めっき鋼板は、連続式溶融めっき設備によって得られる。その製造プロセスは、所定の板厚の鋼板を還元雰囲気下で所定の温度で還元加熱し、続いて大気雰囲気に曝すことなく溶融したアルミニウム及びアルミニウム合金のめっき浴中へ連続的に浸漬する。その後、めっき浴から連続的に引き上げ、めっき浴直上にてガスワイピング法で任意のめっき付着量に調整し、エアーなどで強制冷却する工程を連続的に行う。なお、必要に応じて還元加熱前に鋼板に付着した圧延油を除去したり、鋼板表面に鉄(Fe)やニッケル(Ni)などのプレめっきなどを施しても良い。
鋼板にアルミニウムまたはアルミニウム合金めっきを施す方法は、上記のような連続式溶融めっきに限られるものではなく、バッチ方式のドブ付けや蒸着、電気めっき、クラッド、溶射法などを用いることができる。
このアルミニウムめっき鋼板またはアルミニウム合金めっき鋼板は、好ましくは、板厚を0.03〜1.5mmとし、より好ましくは0.05〜1.5mmとする。めっき層厚を1〜100μmとする。板厚が0.03mmよりも薄いと接合時の取扱が難しくなると共に、圧延などとは製法が異なる箔製造の工程を必要とするためコスト高となる。板厚0.05mmはより実用的である。また、板厚が1.5mmを超えると後述の参考例の放熱装置より熱応力が高くなると共に熱伝導性が低下して放熱性能が低下する。めっき層厚が1μmより薄いとろう付け接合が不十分となり、100μmを超えるとめっき製造が難しくなるとともに応力緩和効果を阻害する可能性がある。
図3は、他の応力緩和部材4の例を示している。同図において、図2と対応する部分には同一符号を付し、かかる部分の説明を省略する。
ろう付けにおいては、アルミニウム合金から成るろう材を部材間に挟んで高温加熱(例えば、535℃)することによって金属接合を行うが、高温加熱の条件によっては母材とアルミニウムめっき層またはアルミニウム合金めっき層の界面に鉄−アルミニウム系金属間化合物が厚く成長し、接合強度が低下することがある。そこで、この例では、母材10とめっき層11との界面に窒素を濃縮させた窒素濃縮層12を有する材料(例えば、0.002〜0.02重量%の窒素を母材10とめっき層11との界面に含むアルミニウム(あるいはアルミニウム合金)めっき鋼板)を使用している。
ヒートシンク5は、複数の冷却流体通路13が設けられており、熱伝導性に優れるとともに、軽量であるアルミニウム合金により形成されていることが好ましい。冷却流体としては、液体(クーラント)及び気体のいずれを用いてもよい。冷却流体は図示しない冷却装置から供給される。
次に、本発明に従うパワーモジュールの組立について図6を参照して説明する。同図において、図1と対応する部分には同一符号を付している。応力緩和部材4と、パワーモジュール用基板8の金属層7及びヒートシンク5の各相互間の接合は、例えば以下のようにして行われる。
まず、応力緩和部材4としてアルミニウムめっきまたはアルミニウム合金めっき鋼板(母材は普通鋼、ステンレス鋼等)を準備し、ヒートシンク5、応力緩和部材4、パワーモジュール用基板8の順序で重ね合わせて(積層して)配置する。このとき、ヒートシンク5と応力緩和部材4との間、応力緩和部材4とパワーモジュール用基板8の間に、それぞれAl−Si系合金、Al−Si−Mg系合金、Al−Si−Cu−Mg系合金などからなるシート状アルミニウムろう材19を介在させる。シート状アルミニウムろう材19の厚みは10〜200μm程度であることが好ましい。シート状アルミニウムろう材19の面積及び厚みを変化させることでろう材の量を調整できる。ろう材の供給量が不足するとボイドの発生や熱伝導性の低下を招くおそれがある。
次に、パワーモジュール用基板8、応力緩和部材4及びヒートシンク5を適当な治具(図示せず)により拘束し、真空雰囲気中または不活性ガス雰囲気中においてろう材の溶融する温度(例えば、535℃)以上で加熱する。各部材のアルミニウム系金属層間でアルミニウム合金のろう材19が溶融し、冷却することによって金属間接合が行われる。
このようにして、パワーモジュール用基板8の金属層7と応力緩和部材4、応力緩和部材4とヒートシンク5が同時にろう付けされる。
上述したパワーモジュールは、例えば、既述した電気自動車やハイブリッド自動車などの車両に適用されることにより、車両の運転状況に応じて電動モータに供給する電力を制御する。そして、半導体装置2から発せられた熱は、パワーモジュール用基板8及び応力緩和部材4を介してヒートシンク5に伝えられ、冷却流体通路13内を流れる冷却流体に放熱される。
半導体素子2から発せられた熱がヒートシンク5に伝わる際には、絶縁基板3及びヒートシンク5は高温となり、熱膨張する。一方、半導体素子2からの発熱が停止すると、絶縁基板3及びヒートシンク5の温度は常温まで低下し、熱収縮する。そして、絶縁基板3とヒートシンク5との線膨張係数の相違に起因して、上述した熱膨張及び熱収縮の際に、放熱装置に熱応力が発生する。
しかしながら、応力緩和部材4の芯材である鋼材(低炭素鋼、高張力鋼、特殊鋼またはステンレス鋼(フェライト系、マルテンサイト等))の線膨張係数が比較的小さいため、膨張・収縮を抑制する。絶縁基板3にクラックが生じたり、絶縁基板3と応力緩和部材4との接合部にクラックが生じたり、接合面に剥離が生じたりすることが防止される。したがって、放熱性能が長期間にわたって維持される。
上述した実施例と参考例の2通りの放熱装置の構成について、コンピュータシミュレーションにより評価を行った。
実施例の構成においては、応力緩和部材4のAl合金めっき層11の厚さは15μmとし、応力緩和部材4全体の厚さは、鋼板10の厚さを種々変えることによって、0.1、0.3、0.5、1.0、1.5、2.0、3.0mmの7通りとした。
参考例の構成を図7に示す。同図において、図1と対応する部分には同一符号を付し、かかる部分の説明は省略する。
参考例では、応力緩和部材4として、Cu層21は厚さ0.4mm、Cu−Mo合金20は厚さ0.2mmとした。パワーモジュール用基板8と応力緩和部材4の間は、参考例では厚さ120μmの低融点はんだ22で接合している。また、応力緩和部材4とヒートシンク5の間は、ゲル剤(シリコングリース)を用いて貼り合わされている。
上記の実施例と参考例の2通りの放熱装置の構成について、コンピュータシミュレーションにより熱伝導と弾性熱応力の連成解析を行って歪量を評価し、放熱装置としての性能を比較検討した。
シミュレーションの条件として、半導体素子2には実施例と参考例で同一の発熱量を与えた。また、冷却媒体(冷却水)13の水温も実施例と参考例で同一とした。その条件の下で、絶縁基板3と金属Al層7の界面に発生する歪量をシミュレーションにより求めた。
シミュレーションの結果から実施例と参考例における歪量を比較するため、参考例の歪量を規格化の基準とし、実施例の歪量はこの基準値に対する比で表現した。図4にその結果を示す。
図4によれば、厚さ1.5mmのめっき鋼板を用いた実施例の歪量は、参考例の歪量に対する比が1.0である。これは厚さ1.5mmのめっき鋼板を用いた実施例の絶縁基板と金属Al層の界面に発生する歪量が、比較例の構成と同等であることを表している。そして、実施例のめっき鋼板の厚さが1.5mm未満であれば図4の縦軸の値が1.0を下回ることから、本発明の所定範囲の構成を有する放熱装置が参考例の構成の放熱装置よりも歪量の点で優れた放熱装置であることが示されている。
なお、実施例でめっき鋼板の厚さが小さいほど参考例の構成における歪量よりも小さくなるのは、めっき鋼板が薄いほど半導体素子(発熱部)から冷却媒体への熱伝達が良好になり、絶縁基板の温度上昇を抑制する効果が作用するためと考えられる。
(実施形態2)
図5は本発明の他の実施形態を示している。この例では、2つの放熱装置を半導体装置の両側にそれぞれ配置したパワーモジュールの例を示す。放熱装置の応力緩和部材は実施形態1と同様のものであるので、同図において、図1と対応する部分には同一符号を付し、かかる部分の説明は省略する。
図5において、パワーモジュールは、図1の構造にさらに半導体装置2の上面にも放熱装置を取り付けた構造となっている。ただし、半導体装置2の上面にはヒートシンクブロック9を備えており、はんだ接合により半導体装置2と接合されている。
このヒートシンクブロック9は、銅やアルミニウムブロックを使用するが、金属層7を有する上側の絶縁基板3との接合を考えると、アルミニウムブロックを使用してろう付け法によって接合すると金属接合となり放熱性がより良好となる。表面(上面)側の放熱には、アルミニウムブロック5以外のフィン構造などを取り付けても良い。
このように両面から半導体装置の熱を放熱することにより、さらに放熱装置の放熱性能が向上するのでパワーモジュールとしてより高性能が得られる。
以上説明したように、本発明の放熱装置あるいはパワーモジュールによれば、部品間の良好な金属接合が得られるため、放熱性に優れ、熱サイクルに対して絶縁基板にクラック発生や剥離発生が生じにくい。耐久性に優れた装置が安価に得られて具合がよい。
この発明による放熱装置の実施形態を示し、放熱装置を用いたパワーモジュール例を説明する垂直断面図である。 図1の放熱装置に用いられる応力緩和部材を示す断面図である。 図1の放熱装置に用いられる応力緩和部材の他の例を示す断面図である。 参考例の放熱板と本発明の放熱板を使用した場合のAlN/Al界面に発生する歪の違いを示す図である。 この発明による放熱装置の他の実施形態である、2つの放熱装置を用いたパワーモジュール例を説明する垂直断面図である。 実施例における放熱装置の組立を説明する説明図である。 参考例の構成を説明する説明図である。
符号の説明
1:放熱装置、2:半導体素子、3:絶縁基板、4:応力緩和部材、5:ヒートシンク、6:配線層、7:金属層、8:パワーモジュール用基板、9:ヒートシンクブロック、10:普通鋼またはステンレス鋼、11:Alめっき層またはAl合金めっき層、12:窒素濃縮層、19:シート状ろう材、20:Cu−Mo合金、21:Cu層、22:低融点はんだ

Claims (4)

  1. その一面が発熱体搭載面となる絶縁基板と、
    該絶縁基板の他面側に配置されて放熱するヒートシンクと、
    前記絶縁基板と前記ヒートシンクとの間に設けられる中間部材と、を備え、
    前記絶縁基板の少なくとも他面及び前記中間部材の両面の各々は高熱伝導の同種金属で被覆され、前記ヒートシンクは当該金属と接合可能な金属であり、
    前記絶縁基板、前記中間部材及び前記ヒートシンクの相互間が前記高熱伝導の金属を含むろう材によってろう付け接合され、前記中間部材が前記絶縁基板と前記ヒートシンクとの応力緩和部材として機能するものであり、
    前記中間部材が鉄を主成分とする合金である鋼を母材とし、該母材の表面がアルミニウム系金属によりめっきされてなり、
    前記ろう材がアルミニウム合金である、放熱装置。
  2. 前記中間部材がめっき鋼板であり、該めっき鋼板の板厚が0.05〜1.5mmであり、めっき層の厚さが1〜100μmである請求項1に記載の放熱装置。
  3. 請求項1又は2に記載の放熱装置と、
    前記放熱装置の発熱体搭載面に固定される半導体装置と、を備えるパワーモジュール。
  4. 請求項1又は2に記載の2つの放熱装置と、
    両放熱装置の発熱体搭面で挟持される半導体装置と、を備えるパワーモジュール。
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