JP5011032B2 - 光電変換素子、その製造方法、及び太陽電池 - Google Patents

光電変換素子、その製造方法、及び太陽電池 Download PDF

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Description

本発明は、有機膜を構成要素とする光電変換素子に関連する技術分野に属し、特に、膜厚が高精度に制御された高分子薄膜を介在させて発電効率を向上させる光電変換素子、その製造方法、及び太陽電池に関する発明である。
図6(a)は、従来の有機膜を用いた太陽電池を示す概要図で、(b)はその発電原理の説明図である。
例示した太陽電池80は、光吸収相21及び電子輸送相22(22a,22b)が互いに界面で接して混在する混合膜20の両面を、正極層11及び負極層12で挟んで構成した、いわゆる、バルクヘテロ接合層(bulk-hetero-junction layer)を構成要素とするものである。
ここで、光吸収相21は電子ドナーとして作用し、照射光Rを吸収すると、励起した電子(−)を、電子アクセプターとして作用する電子輸送相22(22a,22b)に注入する。
入射した照射光Rが光吸収相21に吸収されると、図6(b)に示されるように、そのHOMO準位にある電子(−)がLUMO準位に励起する。そして、この励起した電子(−)は、界面で接する電子輸送相22のLUMOに移動し、光吸収相21から電子輸送相22へと電子注入が行われることになる。
このようにして、図6(a)に示される電荷分離Kaにより注入された電子(−)は、電子輸送相22aのLUMOにより負極層12に伝達され、付随的に発生する正孔(+)は光吸収相21のHOMOにより正極層11に伝達される。これにより、正極層11と負極層12との間に起電力が発生する。
ところで、照射光Rを吸収して、電子(−)及び正孔(+)が分離する電荷分離Ka,Kbの発生位置は、光吸収相21及び電子輸送相22(22a,22b)の界面に集中していることが知られている。
よって、そのような界面を広く設定することができるバルクヘテロ型太陽電池50は、高効率発電の実現が有望視され、精力的に研究が進められている。例えば、高効率発電を実現する光吸収相21及び電子輸送相22の最適材料の選択及び組み合わせに関する報告例がある(例えば、非特許文献1)。
一方、バルクヘテロ型太陽電池の高効率化を阻害する要因として、混合膜20の相構造に規則性が無いことから、望まない光吸収相21と負極層12との接触、望まない電子輸送相22bと正極層11との接触が避けられないことが挙げられる。
この望まない接触は、図6(a)左上に示すように、正極層11(又は負極層12)の近傍で生じた電荷分離Kbにより発生した電子(−)及び正孔(+)が同極に飛び込み、内部漏洩電流となって発電特性を低下させる問題がある。
このような内部漏洩電流の従来対策として、TiOxやLiF等の無機材料の薄膜を、混合膜20の負極側に配置して、正孔(+)の負極層12への移動を遮断することにより、発電特性を改善させた報告例がある(例えば、非特許文献2)。
Adv.Mater.2006,18,789-794 Adv.Mater.2006,18,572-576
太陽電池の等価回路を示した図6(c)を参照して説明を続ける。太陽電池の内部抵抗は、大別して、並列抵抗Rshと直列抵抗Rsとに分類される。
ここで、並列抵抗Rshが大きいということは、内部漏洩電流を抑制し開放電圧を向上させ、前記した問題を解決することに貢献し好ましいことである。一方、直列抵抗Rsが大きいということは、発電に伴いジュール熱が発生して短絡電流が低下し、好ましいことでない。
従来対策として行ったTiOxやLiF等の薄膜を電極間に介在させることは、並列抵抗Rshを大きくする作用があるが、同時に直列抵抗Rsも大きくすることになる。よって、従来対策では、太陽電池の発電特性を画期的に向上させることは困難である。
本発明は、並列抵抗Rshを十分に大きくする一方、直列抵抗Rsを十分に小さく光電変換素子を構成するとともに、照射光Rの吸収力を増強し、高効率・高出力で発電することが可能な光電変換素子、その製造方法、及び太陽電池を提供することを課題にする。
前記した課題を解決するために本発明は、照射光を吸収して励起した電子を界面で接する電子輸送相に注入する第1光吸収相と前記電子輸送相とが混在する混合膜と、前記混合膜を間に配置して相互に対向る正極層及び負極層とを、備える光電変換素子において、前記照射光を吸収して励起した電子を界面で接する前記混合膜に注入する前記正極層と前記混合膜との間に配置される第2光吸収薄膜を更に備え、前記第2光吸収薄膜の最低空軌道のエネルギ準位は、前記第1光吸収相の最低空軌道のエネルギ準位よりも高く、前記第2光吸収薄膜の最高被占軌道のエネルギ準位は、前記第1光吸収相の最高被占軌道のエネルギ準位よりも高く、かつ、前記正極層の自由電子の伝導帯のエネルギ準位よりも低く、前記第2光吸収薄膜の膜厚が0.1nmから100nmの範囲で形成されることを特徴とする。
このように発明が構成されることにより、第1光吸収相を含む混合膜において発電するとともに、隣接する第2光吸収薄膜でも発電するために、光電変換素子の光電流が増加する。さらに第2光吸収薄膜の最低空軌道のエネルギ準位は、混合膜の第1光吸収相の最低空軌道のエネルギ準位よりも高く、混合膜から正極層の方向に向かう電子移動を選択的に遮断する機能も同時に発揮することになる。
このため、光電変換素子において並列抵抗Rshを大きく構成することができ、開放電圧も向上する。
また第2光吸収薄膜の膜厚は、0.1nmから100nmの範囲と極めて薄いため直列抵抗Rsを大きく増加させることにならないため、発電に伴うジュール熱の増加を低減することができる。このように第2光吸収薄膜の膜厚を薄く構成しても、混合膜との界面の面積は不変であるので第2光吸収薄膜自身の発電特性が低下することがなく、さらに並列抵抗Rshの機能も低下することがない。
また本発明は、光電変換素子の製造方法において、正極層が設けられ負又は正に帯電させた電極基板をカチオン溶液及びアニオン溶液に交互に浸漬しカチオン膜及びアニオン膜が交互に積層してなる第2光吸収薄膜を形成する薄膜形成工程と、第1光吸収相の成分及び電子輸送相の成分が混合されている混合溶液を塗布し脱溶媒し前記第1光吸収相及び前記電子輸送相が混在している混合膜を形成する混合膜形成工程と、負極層を有する対極基板を設ける対極形成工程とを、含む光電変換素子の製造方法であって、前記第2光吸収薄膜の最低空軌道のエネルギ準位は、前記第1光吸収相の最低空軌道のエネルギ準位よりも高く、前記第2光吸収薄膜の最高被占軌道のエネルギ準位は、前記第1光吸収相の最高被占軌道のエネルギ準位よりも高く、かつ、前記正極層の自由電子の伝導帯のエネルギ準位よりも低く、前記第2光吸収薄膜の膜厚が0.1nmから100nmの範囲で形成されることを特徴とする。
このように発明が構成されることにより、混合膜に界面を接して設けられる第2光吸収薄膜の膜厚は、交互に浸漬する回数で規定されることになる。これにより、第2光吸収薄膜の膜厚を均一にかつ高い寸法精度で薄く設けることができる。
本発明によれば、照射光の光エネルギーは、高効率で電気エネルギーに変換されることとなり、高出力の発電特性を発揮する光電変換素子及び太陽電池を得ることができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1(a)に示されるように、本実施形態に係る光電変換素子10は、対向して設けられる一対の正極層11及び負極層12と、その間に配置される混合膜20と、この混合膜20に界面を介して接する第2光吸収薄膜30とから構成される。
正極層11は、図1(b)に示されるように、その自由電子の伝導帯のエネルギー準位(以下、伝導帯準位という)が、界面を介して接する高分子層(図では、第2光吸収薄膜30)のHOMO準位よりも高いことが理想である。これにより、正極層11から隣接する高分子層(第2光吸収薄膜30)への電子の移動(隣接する高分子層から正極層11への正孔の移動)が可能になる。
正極層11に用いられる物質として、ITO(インジウム・スズ酸化物)、IZO(インジウム・亜鉛酸化膜)、TiO、SnO、ZnOが、具体的に挙げられる。
負極層12は、その伝導帯準位が前記した正極層11の伝導帯準位よりも高く、かつ、界面を介して接する高分子層(図では、混合膜20)のLUMO準位よりも低いことが理想である。これにより、隣接する高分子層(図では、混合膜20)から負極層12への電子の移動が可能になる。さらに、外部負荷26(図2参照)を介して正極層11及び負極層12を配線により短絡すれば、電子を循環させてこの外部負荷26に電力を供給することになる。負極層12に用いられる金属物質としては、Al,Au,Pt等が具体的に挙げられる。
ここで、HOMO(Highest Occupied Molecular Orbital:最高被占軌道)とは、エネルギー準位の低い安定な分子軌道から順番に電子が充填されるとして、最後に充填された不安定な電子が存在する分子軌道を意味する。
一方LUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital:最低空軌道)とは、HOMOよりもエネルギー準位が一つ上の分子軌道であって、それ以上のエネルギー準位の軌道に電子が存在していない軌道を意味する。
励起とは、照射光Rの光エネルギーを吸収してHOMO準位にある電子がLUMO準位に上がった状態を意味する。一度励起した電子は、しばらくして同じ分子のHOMO準位に再び戻ってその際に蛍光や熱を発したり、近接する分子のLUMOに移動したりする。
混合膜20は、第1光吸収相21と電子輸送相22とが互いに界面を接して混在して構成されるものである。そして、混合膜20は、照射光を受けるとその内部で電荷分離により電子及び正孔が発生し、分離した電子が負極層12に引き寄せられるとともに、正孔が正極層11に引き寄せられてその膜厚方向に電位差を発現するものである。さらに混合膜20は、後記するように第2光吸収薄膜30との界面での電荷分離により注入された電子を負極層12まで輸送する機能も併せ持つ。
混合膜20の内部で発生する電子及び正孔は、第1光吸収相21及び電子輸送相22の界面の近傍において高頻度で発生することが実験的に確かめられている。このために、第1光吸収相21及び電子輸送相22の界面は、その面積が大きく構成されることが望ましい。
ただし、電荷分離した正孔及び電子がそれぞれ正極層11及び負極層12に移動されるためには、第1光吸収相21及び電子輸送相22の成す界面の基端が正極層11又は負極層12の少なくとも一方に接するように二相混合状態が形成されている必要がある。
つまり、第1光吸収相21又は電子輸送相22が閉領域となって存在しても分離した電子及び正孔は、それぞれが正極層11又は負極層12まで移動できず、再結合して発電に貢献できないからである。
この第1光吸収相21は、照射光R(図2参照)を吸収すると、エネルギー準位がHOMO準位にある電子がLUMO準位に励起するものである。そして、第1光吸収相21でLUMO準位に励起した電子は、界面で接する電子輸送相22のLUMOに移動する。これにより、照射光Rによって、第1光吸収相21から電子輸送相22へと電子が注入されることになる。
一方、電荷分離した電子が電子輸送相22に注入された結果、第1光吸収相21に取り残された正孔は、空位になったHOMO準位に正極層11の伝導帯から電子が供給されることによって、正極層11の方向に移動することになる。
第1光吸収相21の成分としては、チオフェン系、フェニレンビニレン系、フルオレン系、ルテニウム錯体系、フラーレン系、クマリン系、カルバゾール系、ポルフィリン系、フタロシアニン系、スピロ系、フェロセン系、フルオレノン系、フルギド系、イミダゾール系、ペリレン系、フェナジン系、フェノチアジン系、ポリエン系、アゾ系、キノン系、インジゴ系、ジフェニルメタン系、トリフェニルメタン系、ポリメチン系、アクリジン系、アクリジノン系、カルボスチリル系、クマリン系、ジフェニルアミン系、クナクリドン系、キノフタロン系、フェノキサジン系、フタロペリノン系、ポルフィン系、クロロフィル系、フタロシアニン系、クラウン系、スクアリリウム系、チアフルバレン系の官能基等が具体的に挙げられる。
電子輸送相22は、その電子エネルギーのLUMO準位が、第1光吸収相21のLUMO準位よりも小さくかつ、負極層12の伝導帯準位よりも高いことが理想である。
電子は、エネルギー準位の高い軌道に存在するよりも低い軌道に存在するほうがより安定であり、エネルギー的により安定な方向に向かって界面を突っ切って物質間を移動することが可能である。
これにより、照射光Rによって第1光吸収相21で励起した電子は、電子輸送相22を通過して負極層12へと円滑に移動することになる。
電子輸送相22に用いられる物質としては、フラーレン、オキサジアゾール、オキサドール、ペリレン、ナフタレンの誘導体、金属錯体等の物質が具体的に挙げられる。なかでも、フラーレン70(C70)は、電子移送特性に加え、可視吸収帯を有することから光吸収特性も具備している点において発電特性の向上に大きく貢献する。
なお、電子輸送相22自身が照射光を吸収して、HOMO準位の電子がLUMO準位に励起する場合がある。この場合、励起した電子は、電荷分離して電子輸送相22自身を経由して負極層12へ移動することとなる。そしてこの電荷分離の結果、電子輸送相22に取り残された正孔は、空位になったHOMO準位に第1光吸収相21のHOMOから電子が供給されることによって、この第1光吸収相21を経由して正極層11の方向に移動することになる。
第2光吸収薄膜30は、混合膜20の正極層11の側と界面を接し、その膜厚が0.1nmから100nmの範囲で設けられている。そして第2光吸収薄膜30は、照射光Rを吸収すると、エネルギー準位がHOMO準位にある電子がLUMO準位に励起するものである。そして、第2光吸収薄膜30は、そのLUMO準位が、第1光吸収相21及び電子輸送相22のLUMO準位よりも高いことが理想である。そして第2光吸収薄膜30は、そのHOMO準位が、第1光吸収相21及び電子輸送相22のHOMO準位よりも高く、正極層11の伝導帯準位よりも低いことが理想である。
ところで、光電変換素子10の具体的な実施例において、電気化学測定や分光測定により求めたLUMO準位及びHOMO準位の値は、必ずしも、前記したような理想的なエネルギー勾配を有しているとは限らない。しかし、現実には、このような理想的なエネルギー勾配を有していなくても、界面を介して接する二つの物質のHOMO,LUMOのエネルギー準位が近接していれば、この界面を突っ切って電子及び正孔は移動する。
これにより、第2光吸収薄膜30が照射光Rを吸収してHOMO準位の電子がLUMO準位に励起すると、この励起した電子は、界面で接する混合膜20(第1光吸収相21及び電子輸送相22)のLUMOを経由して負極層12に移動する。これにより、照射光Rによって、第2光吸収薄膜30から界面を介して混合膜20へと電子が注入され、混合膜20は第2光吸収薄膜30にとって電子輸送膜として機能することになる。
この第2光吸収薄膜30(第1光吸収相21の場合も含む)のように、光照射により電子が励起して、容易に電荷分離を引き起こす物質としては、π共役系化合物を主成分としたものが挙げられる。
ここでπ共役系とは、炭素原子間の共有結合が単結合及び二重結合が交互である結合状態を指す。このような結合状態では、炭素原子同士をつないだ直線に対して垂直な軌道面を持つπ電子がπ共役系化合物の分子全体に広がって存在(非局在化)しているために、π電子が自由に動き回れる性質を備えている。
また、電荷分離した電子が混合膜20に注入された結果、第2光吸収薄膜30に取り残された正孔は、空位になったHOMO準位に正極層11の伝導帯から電子が供給されることによって、正極層11に移動することになる。そして、第2光吸収薄膜30は、そのHOMO準位が、正極層11の伝導帯準位と混合膜20のHOMO準位との間に位置する理想状態であれば、正極層11から混合膜20に向かう電子の円滑な移動に貢献する。
さらに、第2光吸収薄膜30のLUMO準位は、第1光吸収相21のLUMO準位よりも高いものである。このため、図1(b)の破線×印で示されるような、第1光吸収相21で励起した電子や電子輸送相22を移動する電子が、第2光吸収薄膜30のLUMO準位を飛び越えて正極層11の方向に逆行することは容易でない。
このように、第2光吸収薄膜30は、正極層11から混合膜20に向かおうとする電子の流れを促進しつつ逆方向の電子の流れをブロックする。このため、第2光吸収薄膜30は、内部漏洩電流を効果的に抑制する並列抵抗Rsh(図6(c)参照)の役目を発揮するとともに、直列抵抗Rsとしての寄与率が小さい。
しかし、第2光吸収薄膜30の膜厚は、100nmよりも厚いと、直列抵抗Rsとしての寄与が大きくなり、光電変換素子10の発電特性が低下するために好ましくない。このように、直列抵抗Rsの寄与を小さくするためには、第2光吸収薄膜30の膜厚は薄いことが好適であるが、0.1nmよりも薄いと、並列抵抗Rshの効果が低下することが懸念される。
また、第2光吸収薄膜30は、このように薄膜で形成されても、光吸収に伴う電荷分離により電子及び正孔が発生する混合膜20との界面の面積は不変であることから、吸収した照射光Rの光電変換効率が低下することもない。
このように第2光吸収薄膜30は、光電変換素子10の発電特性を決定付ける上で重要な役目を果たしており、特にその膜厚の精度を確保することが安定した発電特性を得る上で重要なポイントとなっている。
第2光吸収薄膜30の膜厚を、均一にかつ高い寸法精度で薄く設ける一例として、カチオン高分子膜31(カチオン膜)及びアニオン高分子膜32(アニオン膜)を交互に積層して構成する場合が挙げられる。その材質並びに作製方法については後記する。
このような交互積層法により第2光吸収薄膜30を形成する場合は、その膜厚が0.1nmから50nm、さらには0.5nmから30nmの範囲が好適である。
(動作説明)
次に図1(a)(b)を参照して、入射した照射光Rの光エネルギーが電気エネルギーに変換される動作の説明を行う。
まず、照射光Rが透明な電極基板上の正極層11を透過して第2光吸収薄膜30に入射すると、その一部が吸収されてHOMO準位の電子を励起してLUMO準位に押し上げる。このようにして第2光吸収薄膜30で励起した電子は、混合膜20(第1光吸収相21及び電子輸送相22)のLUMOを経由して負極層12に移動するとともに、空位になった第2光吸収薄膜30のHOMOには正極層11から電子が充填される。
次に、第2光吸収薄膜30で吸収されずに通過した照射光Rは、混合膜20に入射するとともに第1光吸収相21に吸収され、そのHOMO準位の電子を励起してLUMO準位に押し上げる。そして、第1光吸収相21で励起した電子は、電子輸送相22のLUMOを経由して負極層12に移動するとともに、空位になった第1光吸収相21のHOMOには正極層11から第2光吸収薄膜30のHOMOを経由して電子が充填される。
この第1光吸収相21において励起した電子は、正極層11の側に隣接する第2光吸収薄膜30におけるLUMO準位が、第1光吸収相21のLUMO準位よりもさらに高い為に、正極層11に向かう移動がブロックされる。しかし、正極層11から混合膜20に向かう電子の移動は妨げないので、光電変換素子10の内部漏洩電流を抑制しつつ短絡電流を低下させることがない。
さらに第2光吸収薄膜30は、このように光電変換素子10の並列抵抗Rshの成分(図6(c)参照)を大きくするだけでなく、自身も照射光を吸収して光電変換を行う。よって照射光の光エネルギーは、第2光吸収薄膜30及び混合膜20の二層にわたって吸収され、電気エネルギーに変換されるために、光電変換素子10の発電特性が飛躍的に向上することになる。
(太陽電池の構成)
図2は、本発明にかかる光電変換素子を用いて構成した太陽電池を示す断面図である。
この太陽電池50は、光電変換素子10´の支持体としての透明な電極基板13と、正極層11及び負極層12上の端子接点14,14に一端が固定され外部負荷26に接続する配線とから構成される。そして、太陽電池50は、電極基板13から入射する照射光Rを光電変換し、電流を外部負荷26に導いてこの外部負荷26に仕事をさせるものである。
そして、電極基板13は、照射光Rを吸収せずに透過して、光電変換素子10を安定して支持するものであれば何でもよく、ガラス製やプラスチック製等の透明なものであれば適用することができる。また、電極基板13の片面には、公知の方法で電極層(正極層11)が設けられているが、ITO膜が蒸着されたものが市販され広く流通している。
太陽電池50に適用される光電変換素子10は、図1を参照して説明したものを適宜用いるが、ここでは、他の実施形態を示す光電変換素子10´を適用したものを例示している。
光電変換素子10´は、図1の光電変換素子10に対し、正極層11及び第2光吸収薄膜30の間に正孔輸送膜40が配置されている。
正孔輸送膜40は、そのHOMO準位が、正極層11の伝導帯準位と第2光吸収薄膜30のHOMO準位との間をとるものである。このように正孔輸送膜40が構成されることにより、第2光吸収薄膜30が励起して空位となったHOMOに電子を円滑に供給することが可能になる。
正孔輸送膜40に用いられる物質としては、チオフェン系、フェロセン系、パラフェニレンビニレン系、カルバゾール系、ピロール系、アニリン系、ジアミン系、フタロシアニン系、ヒドラゾン系の官能基を有する物質等が具体的に挙げられる。
そして、正孔輸送膜40は、正極層11と第2光吸収薄膜30との間に位置するように、スピンキャスト法や交互吸着法、その他の公知の方法により設けられる。
(製造方法)
次に、図3(a)〜(d)を参照して光電変換素子及び太陽電池の製造方法について説明する。
光電変換素子10(図1参照)の構成要素である第2光吸収薄膜30は、以下に説明するような交互吸着法による「薄膜形成工程」を経て作製される。ここで、交互吸着法とは、図3(a)に示すように、カチオン高分子水溶液2と、アニオン高分子水溶液3とを別々の容器に用意し、これらの容器に、初期表面電荷を与えた電極基板13を交互に浸すことにより、この電極基板13の正極層11の側に多層構造を有する交互吸着膜を得る方法である。なお、カチオン高分子及びアニオン高分子のうち少なくとも一方に、照射光Rにより電子が励起する光吸収成分が含まれている必要がある。また、交互吸着法で用いられるカチオン及びアニオンは、高分子に限定されることなく低分子の形態をとる場合であってもよい。
まず、図3(b)に示すように、電極基板13の表面に、初期表面電荷として負の電荷を与える。なお、図2に示される場合であって、前工程(説明省略)で設けられている正孔輸送膜40が帯電性のものであればそのような荷電処理の必要はない。
そして、この表面が負に帯電した電極基板13を、カチオン高分子水溶液2に浸せば、図3(c)に示すように、クーロン力により、カチオン高分子31が電極基板13の表面に均一にむらなく吸着する。これにより電極基板13の表面は、正に帯電していることになる。そこで、今度はこの正に帯電している電極基板13をアニオン高分子水溶液3に浸せば、図3(d)に示すように、クーロン力によりアニオン高分子32が吸着し、電極基板13の表面は、負に帯電していることになる。このようにして、電極基板13を二つの容器に交互に浸すことにより、カチオン高分子31膜及びアニオン高分子32膜が交互に積層してなる第2光吸収薄膜30が成膜されることになる。
また、与えた条件により変動するが、1回の電極基板13の浸漬により表面に吸着される膜の膜厚は、0.1〜30nmの範囲でコントロールすることができる。そして、この電極基板13をカチオン高分子水溶液2とアニオン高分子水溶液3と交互に浸漬することにより、第2光吸収薄膜30の膜厚を、1回の吸着膜の膜厚を単位に定量的にコントロールすることが可能になる。
なお、図3中に記載は省略したが、さらに洗浄槽を設け、一方の水槽に電極基板13を浸漬させた後、他方の水槽に浸漬させる前には、洗浄槽ですすぎを行うこととして、表面に付着した一方の水槽の液が他方の水槽に混入しないようにするのが好ましい。
照射光により電子が励起するカチオン高分子31としては、ポリパラフェニレンビニレン(PPV)の前駆体であるポリパラキシレンテトラヒドロチオフェニウムクロライド(pre−PPV)等が挙げられる。又は、PPVに陽イオン交換基を導入した誘導体が挙げられる。そのような陽イオン交換基としてはアミノ基、ピリジル基等が挙げられる。
照射光により電子が励起するアニオン高分子32としては、ポリ(2−メトキシ−5−プロピロキシスルフェネート−1,4−フェニレンビニレン)等が挙げられる。又は、PPVに陰イオン交換基を導入した誘導体が挙げられる。そのような陰イオン交換基としては、スルホ基、カルボキシル基、リン酸基等が挙げられる。
ところで、カチオン高分子31及びアニオン高分子32は、前記した化合物に限定されるものではない。つまり、カチオン高分子水溶液2及びアニオン高分子水溶液3のうちいずれか一方が照射光を吸収して電子を励起するπ共役系化合物を主成分とするものであれば、他方はこのπ共役系化合物に陰イオン交換基又は陽イオン交換基を導入して電気極性を逆転させた誘導体を主成分とするものであれば、交互吸着法により第2光吸収薄膜30を形成できる。
また、照射光によって電子が励起しない単なる接着膜としてカチオン高分子31を機能させる場合は、アミノ基を有する高分子とピリジル基を有する高分子が挙げられる。具体的には、アミノ基を有するカチオン高分子31として、ポリエチレンイミン、ポリアミルアミン、ポリメタクリル酸コリンなどが挙げられる。ピリジル基を有するカチオン高分子31としては、ポリビニルピリジン、ポリビニルエチルピリジン、ポリ(パラ−メチルピリジニウムビニレン)等が挙げられる。
さらに、照射光によって電子が励起しない単なる接着膜としてアニオン高分子32を機能させる場合は、カルボン酸を有する高分子とスルホン酸を有する高分子が挙げられる。具体的には、カルボン酸を有するアニオン高分子32としては、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチル、等が挙げられる。スルホン酸を有するアニオン高分子32としては、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリメタクリル酸−3−スルホプロピル、ポリアニリンスルホン酸、等が挙げられる。
次に、混合膜20を形成する工程「混合膜形成工程」について説明する。
まず、第1光吸収相21の成分及び電子輸送相22の成分を有機溶媒に混合してから撹拌し、均一な混合溶液を作製する。そしてこの作製した混合溶液を前記「薄膜形成工程」を経た電極基板13の基板表面に塗布する。このように基板表面に溶液を塗布する方法としては、スピンコート法が代表されるがこれ以外の公知の方法を採用してもよい。
スピンコートとは、固定した電極基板13に所定の回転速度を付与し、上から混合溶液を滴下して、遠心力の作用により基板表面に液膜を均一に塗布する方法である。
そして、このように基板表面に混合溶液を塗布した電極基板13を、所定の温度、圧力、非酸化性に調整した雰囲気において有機溶媒を取り除き(脱溶媒)、第1光吸収相21及び電子輸送相22が混在して成る混合膜20を得る。なお、混合膜20における第1光吸収相21及び電子輸送相22の組織を制御する目的で、さらに非酸化性雰囲気で、所定温度で所定時間の熱処理を行う場合がある。
次に、負極層12を形成する工程(「対極形成工程」)について説明する。
負極層12は、Al等の金属を、混合膜20の表面に蒸着等することにより作製することができるが、特に限定はなく、混合膜20で輸送された電子を集電する機能を有するものであれば何でも適用することができる。
以下、図4を参照して、本発明の効果を確認した実施例について説明する。
<正孔輸送膜40の作製>
正孔輸送膜40はポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT:polyethylenedioxythiophene)を主成分として構成した。
正孔輸送膜40を形成するために必要なPEDOT水溶液は次のように調製される。まず、1.3wt%−PEDOT/PSS(0.5wt%−PEDOT+0.8wt%−PSS)を5g秤取し、エチレングリコールを0.013g加えた後、超音波処理を2分間行い、PEDOT水溶液とした。
トルエン、アセトン、エタノール溶液により超音波処理を各15分間行って洗浄したITO透明電極の表面にこのPEDOT水溶液をキャストし、スピンコートを施した。回転速度は、最初の10秒間が400rpm、その後99秒間は3000rpmにて行った。このスピンコートにより得た高分子膜を70℃にて12時間加熱し、続いて140℃にて1時間の真空乾燥により溶媒を除去し、膜厚80nmの正孔輸送膜40を得た。
<第2光吸収薄膜30の作製>
次に、交互吸着法による第2光吸収薄膜30の作製について説明する。まず先に、この第2光吸収薄膜30を形成するのに必要なカチオン高分子水溶液2及びアニオン高分子水溶液3の調製について述べる。
<カチオン高分子水溶液(pre−PPV水溶液)の調製>
カチオン高分子31は、pre−PPVを主成分として構成する。このpre−PPVは薄膜作製後、加熱によりPPVに変換することができる。PPV溶液は次のように調製される。
まず、0.25wt%のpre−PPV水溶液を3.66g秤取し、超純水を加えて全量を40gとした。この水溶液に水酸化ナトリウム水溶液を適宜加えて、水溶液のpHを8.0〜9.0となるようにした。
このようにしてpre−PPVを水溶媒に溶解させたカチオン高分子水溶液2を作製した。
<アニオン高分子溶液(PSSアニオン水溶液)の調製>
アニオン高分子32は、ポリスチレンスルホン酸PSSを主成分として構成する。PSSアニオン水溶液は次のように調製される。
まず、PSSを82.4mg秤取し、超純水を加えて全量を40gとした。
ここでPSSは照射光によって電子が励起しない単なる接着膜として機能するものである。このようにしてPSSを水溶媒に溶解させたアニオン高分子水溶液3を作製した。
<すすぎ溶液の調整>
洗浄浴に用いるすすぎ溶液は、イオン交換水を蒸留し、超純水作製フィルタ(Barnstead II)を通して作製した超純水を用いる。
このように作製されたカチオン高分子水溶液2、アニオン高分子水溶液3及びすすぎ溶液30mLを、それぞれ50×50φmmの秤量瓶に入れ、ターンテーブル上に所定の順序で配置した。そして、吸着条件は、浸漬時間5分、すすぎ時間3分、乾燥時間4.5分、温度21−24℃、湿度50−60%に設定した。また基板の引き上げ、引き下げはステッピングモータを用いて毎秒0.6mmの速度にて行った。
先に設けられているPEDOT:PSSの正孔輸送膜40の表面は、負に帯電しているものであるので、電極基板13を最初にカチオン高分子水溶液2に浸漬させてから、すすぎをし、アニオン高分子水溶液3に浸漬してから再度すすぎをするという動作を2回繰り返して、最後にもう一度カチオン高分子水溶液2に浸漬させた。その結果、膜厚が10nmの第2光吸収薄膜30を得た。
<混合膜の作製>
次に、1mLのオルトジクロロベンゼンに、第1光吸収相21の成分であるポリ(3−ヘキシルチオフェン);P3HTを4mg、電子輸送相22の成分であるフラーレン60;C60を16mg加えて、超音波処理を1時間行い、均一溶液を得た。
この溶液を第2光吸収薄膜30の表面にキャストし、スピンコートを施した。回転速度は、最初の10秒間が400rpm、その後99秒間は1000rpmにて行った。このスピンコートにより得た高分子膜から、12時間の真空乾燥により溶媒を除去し、膜厚が40nmの混合膜20を得た。
<対向電極の作製>
真空蒸着装置を用いて、混合膜20の上にアルミニウムを蒸着して対向電極とした。なお条件は、0.1nm/sの蒸着速度にて500秒間蒸着を行い、厚さ50nmのアルミニウム電極を得た。
以上のようにして、実施例1に係る光電変換素子を作製した。
次に、実施例2として、アニオン高分子32を、PPVに陰イオン交換基を導入したPPV誘導体であるポリ(2−メトキシ−5−プロピロキシスルフェネート−1,4−フェニレンビニレン)(PPVアニオン)に置き換え、電子輸送相22の成分であるフラーレン60(C60)をフラーレン70(C70)に置き換えた以外は、実施例1の場合と同じである実施例2に係る光電変換素子を作製した。
<比較例>
そして、図4(b)に示されるように、第1光吸収相21の成分であるP3HTを、光吸収特性を示さないポリスチレン(PS)に置き換えた以外は、実施例1の場合と同じである比較例1に係る光電変換素子を作製した。この比較例1の場合、PS成分は、電子輸送特性を有するフラーレンを固定するための単なるバインダーとして機能する。このために、比較例1の場合の図4(a)の符号20に相当する層膜は、バルクヘテロ膜というよりは、単なる電子輸送膜とみなされる。
また、図4(c)に示されるように、第2光吸収薄膜30を省略した以外は、実施例1の場合と同じである比較例2に係る光電変換素子を作製した。
<比較検討結果>
図5(a)は実施例1、比較例1、比較例2に係る光電変換素子について、V−I特性を測定した結果であり、図5(b)は入射単色光当たりの光電変換効率(IPCE;Incident Photon-to-Current Efficiency)を測定した結果である。
なお、照射光源には500Wのキセノンランプを用い、100mW・cm−2の擬似太陽光(光線)を断続的に、ITO基板側から照射した。
実施例1と比較例1とを対比すると、短絡電流密度が約5倍向上するとともに、アクションスペクトルのIPCE値が全波長において向上することが認められた。
この結果から、混合膜20(バルクヘテロ膜)は、第2光吸収薄膜30で励起した電子を負極層12に輸送する電子輸送特性だけでなく、自身も発電する光吸収特性も併せ持つことが実証された。
実施例1と比較例2とを対比すると、第2光吸収薄膜30(PPV+PSS層)の挿入によって開放電圧及び短絡電流密度が共に約2倍向上することが認められた。この結果から内部漏洩電流が抑制されていることが実証された。つまり、PPVのLUMO準位は2.6eVであり、C60のLUMO準位は3.7eVであるため、この約1eV程度のエネルギーギャップにより混合膜20から正極層11に向かう電子を効果的にブロックしていると考えられる。
また、第2光吸収薄膜30(PPV+PSS層)の挿入により、アクションスペクトルが短波長側において約2倍向上することが認められた。この結果から照射光を有効に利用して高効率の光電変換が実現されていることが実証された。
なお、実験結果を示さないが、実施例1と実施例2を対比すると、実施例2において、短絡電流密度が8割程度向上するとともに、アクションスペクトルの極大値が向上しさらに長波長側にシフトする観測結果が得られた。
この結果から、実施例2では、実施例1に対して第2光吸収薄膜30(PPV+PPV層)が膜厚同一でかつ光吸収特性を有するPPVの濃度が2倍になっていることが、発電特性向上に寄与しているといえる。さらに、電子輸送相22がフラーレン70を主成分とすることにより、アクションスペクトルが太陽光のスペクトル(図示略)に近づいて、高効率で発電する太陽電池が創製されることになる。
(a)は本発明の光電変換素子の実施形態を示す概念図であり、(b)はその発電原理の説明図である。 本発明の太陽電池の実施形態を示す部分断面図である。 (a)〜(d)は本発明の光電変換素子の製造方法における薄膜形成工程の実施形態を説明する概念図である。 (a)は本発明の効果を示す光電変換素子の実施例であり、(b)はこの実施例におけるP3HTの構成をPSに置換した場合を比較例1としたものであり、(c)はこの実施例における第2光吸収薄膜を省略した場合を比較例2としたものである。 (a)は実施例、比較例1、比較例2の光電変換素子に対するV−I曲線の測定結果を示し、(b)はアクションスペクトル(IPCE)の測定結果を示している。 (a)は従来の有機膜を用いた太陽電池を示す概要図で、(b)はその発電原理の説明図であり、(c)は太陽電池の等価回路を示す図である。
符号の説明
10,10´ 光電変換素子
11 正極層
12 負極層
13 電極基板
20 混合膜
21 第1光吸収相
22 電子輸送相
26 外部負荷
30 第2光吸収薄膜
31 カチオン高分子膜(カチオン膜)
32 アニオン高分子膜(アニオン膜)
40 正孔輸送膜
50 太陽電池
R 照射光

Claims (12)

  1. 照射光を吸収して励起した電子を界面で接する電子輸送相に注入する第1光吸収相と前記電子輸送相とが混在する混合膜と、
    前記混合膜を間に配置して相互に対向する正極層及び負極層とを、備える光電変換素子において、
    前記照射光を吸収して励起した電子を界面で接する前記混合膜に注入する前記正極層と前記混合膜との間に配置される第2光吸収薄膜を更に備え、
    前記第2光吸収薄膜の最低空軌道のエネルギ準位は、前記第1光吸収相の最低空軌道のエネルギ準位よりも高く、
    前記第2光吸収薄膜の最高被占軌道のエネルギ準位は、前記第1光吸収相の最高被占軌道のエネルギ準位よりも高く、かつ、前記正極層の自由電子の伝導帯のエネルギ準位よりも低く、
    前記第2光吸収薄膜の膜厚が0.1nmから100nmの範囲で形成される
    ことを特徴とする光電変換素子。
  2. 前記第2光吸収薄膜は、
    カチオン高分子とアニオン高分子との交互吸着膜で形成され、
    前記カチオン高分子及び前記アニオン高分子のうち少なくとも一方に、前記照射光により電子が励起する光吸収成分を有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記正極層前記第2光吸収薄膜の間に配置される正孔輸送膜を更に備える
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光電変換素子。
  4. 前記第1光吸収相又は前記第2光吸収薄膜は、π共役系化合物を主成分としたものであ
    とを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  5. 前記第2光吸収薄膜はポリパラフェニレンビニレン又はその誘導体を主成分としたものであ
    とを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  6. 前記第1光吸収相はポリ3−ヘキシルチオフェンを成分とす
    とを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  7. 前記電子輸送相はフラーレン70又はその誘導体を成分とす
    とを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  8. 正極層が設けられ負又は正に帯電させた電極基板をカチオン溶液及びアニオン溶液に交互に浸漬し、カチオン膜及びアニオン膜が交互に積層してなる第2光吸収薄膜を形成する薄膜形成工程と、
    第1光吸収相の成分及び電子輸送相の成分が混合されている混合溶液を塗布し、脱溶媒し、前記第1光吸収相及び前記電子輸送相が混在している混合膜を形成する混合膜形成工程と、
    負極層を有する対極基板を設ける対極形成工程とを、含む光電変換素子の製造方法であって、
    前記第2光吸収薄膜の最低空軌道のエネルギ準位は、前記第1光吸収相の最低空軌道のエネルギ準位よりも高く、
    前記第2光吸収薄膜の最高被占軌道のエネルギ準位は、前記第1光吸収相の最高被占軌道のエネルギ準位よりも高く、かつ、前記正極層の自由電子の伝導帯のエネルギ準位よりも低く、
    前記第2光吸収薄膜の膜厚が0.1nmから100nmの範囲で形成される
    ことを特徴とする光電変換素子の製造方法。
  9. 請求項に記載の光電変換素子の製造方法において、
    前記カチオン膜及び前記アニオン膜のいずれか一方はπ共役系化合物を主成分とするものであって、
    他方は前記π共役系化合物の電気極性が逆転するよう陰イオン交換基又は陽イオン交換基が前記π共役系化合物に導入された誘導体であることを特徴とする光電変換素子の製造方法。
  10. 請求項又は請求項に記載の光電変換素子の製造方法において、
    前記電極基板は、前記正極層の上に正孔輸送膜が設けられたものであることを特徴とする光電変換素子の製造方法。
  11. 請求項から請求項10のいずれか1項に記載の光電変換素子の製造方法により製造された光電変換素子。
  12. 請求項1から請求項、請求項11のいずれか1項に記載の光電変換素子を備え、連結した外部負荷に仕事をさせる太陽電池。
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