JP6119271B2 - 完全固体型色素増感型太陽電池 - Google Patents

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Description

本発明は色素増感型太陽電池に関する。
近年、化石燃料の代替エネルギーとして、また地球温暖化対策として太陽電池の重要性が高鳴っている。しかし、シリコン系太陽電池に代表される現行の太陽電池は、現状ではコストが高く、普及を妨げる要因となっている。
そのため、各種低コスト型の太陽電池の研究開発が進められており、その中でもスイスローザンヌ工科大学のGraetzelらが発表した色素増感型太陽電池は、実用化への期待が高まっている(例えば、特許文献1、非特許文献1、2参照)。
この太陽電池の構造は、透明導電性ガラス基板上に多孔質な金属酸化物半導体を設け、その表面に吸着した色素と、酸化還元対を有する電解質と、対向電極とからなる。
この太陽電池の動作原理は、1.光を色素が吸収してHOMOからLUMOへ励起され、酸化チタンの伝導体に電子を注入する。酸化チタンに電子を注入した色素は電子を失って酸化される。2.酸化チタンに注入された電子はガラス基板上の透明導電膜を経由して外部回路へ導かれる。3.酸化された色素はレドックス電解質から電子を受け取る。4.レドックス電解質は対向電極から電子を受け取って、元の状態へと回復する、というものである。
Graetzelらは、酸化チタン等の金属酸化物半導体電極を多孔質化して表面積を大きくしたこと、並びに色素としてルテニウム錯体を単分子吸着させたことにより光電変換効率を著しく向上させた。
また、色素増感型太陽電池は、素子の製造方法に印刷方式を適用でき、高価な製造設備を必要としないことから製造コストを下げられることが期待されている。
しかしながら、この太陽電池はヨウ素系電解液を含んでおり、ヨウ素レドックス系の劣化による発電効率の低下や、電解液の揮発や漏れといった問題がある。
この欠点を補うものとして、次に示されるような完全固体型色素増感型太陽電池が発表されている。
1)無機半導体を用いたもの(例えば、非特許文献3、4参照)
2)低分子有機ホール輸送材料を用いたもの(例えば、特許文献2、非特許文献5、6参照)
3)導電性高分子を用いたもの(例えば、特許文献3、非特許文献7参照)
1)の無機半導体を用いた非特許文献3記載の太陽電池では、p型半導体層の構成材料としてヨウ化銅が用いられている。作製直後は比較的良好な光電変換効率も、ヨウ化銅の結晶粒の増大等を理由とする劣化により数時間で半減してしまう。そこで、非特許文献4に記載の太陽電池においては、イミダゾリニウムチオシアナートを加えることによってヨウ化銅の結晶化を抑制しているが、十分ではない。
2)の非特許文献5に記載の有機ホール輸送材料を用いたタイプの固体型太陽電池は、Hagenらによって報告され、Graetzelらによって改良されている(非特許文献6)。
また、特許文献2に記載のトリフェニルアミン化合物を用いた固体型太陽電池は、トリフェニルアミン化合物を真空蒸着して電荷輸送層を形成している。そのため、多孔質半導体の内部空孔へトリフェニルアミン化合物が到達できず、低い変換効率しか得られていない。
さらに、非特許文献6記載の例は、スピロ型のホール輸送材料を有機溶媒に溶解し、スピンコートを利用してチタニアナノ粒子とホール輸送材料の複合体を得ている。
しかしながら、この太陽電池におけるチタニアナノ粒子膜厚の最適値は2μm程度とされており、ヨウ素電解液を使用する場合の10〜20μmと比較して非常に薄い。そのため、酸化チタンに吸着した色素量も少なく、十分な光吸収やキャリア発生を行うことが困難であり、電解液を用いた場合の特性には及ばない。ナノチタニア粒子の膜厚が2μmに留まる理由は、膜厚が厚くなるとホール輸送材料の浸透が十分でなくなるためとされている。
また、3)の導電性高分子を用いたタイプの固体型太陽電池として、大阪大学柳田らがポリピロールを用いたものを報告(非特許文献7参照)している。これらの太陽電池においても、変換効率は低い。また、特許文献3に記載のポリチオフェン誘導体を用いた固体型太陽電池は、色素を吸着した多孔質酸化チタン電極上で、電解重合法を用いて電荷移動層を設けているが、吸着していた色素が酸化チタンから脱着したり、あるいは色素の分解が生じたりする問題がある。
そして、ホール輸送性材料の浸透不十分、電極上色素の脱着、色素分解等が生じ電子集電電極の被覆が欠損すると、電極と色素間及び/または電極間にショートが発生し太陽電池として機能しなくなる。
また、特許文献4には、電極上の色素と対向電極が接触しないように、色素と対向電極との間に固体電解質層を設けたものが開示されている。
しかし、この色素増感型太陽電池は、色素を吸着した電極と対向電極間をホール輸送材料で満たす必要があり、特に有機半導体等のホール輸送材料は抵抗が高いため、長距離ホールを輸送することは困難である。
本発明は、それぞれの電極をそれらのための各電荷輸送材料で完全に被覆でき、ショートすることがなく、かつホール輸送距離の短い完全固体型の色素増感型太陽電池を提供することを目的とする。
本発明者らが鋭意検討した結果、ホール輸送性部位と非共役結合部位で結合した光増感剤及び/または共吸着剤を用い、電極側に非共役結合部位が吸着することによって嵩高いホール輸送性部位が第二電極側に向き、かつ隣接する光増感剤及び共吸着剤同士が干渉せずにそれぞれの電極を完全に被覆でき、対向電極と光増感剤が接触することによって発生するショートを防止でき、かつホール輸送距離を短くできることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記課題は、本発明の、下記(1)〜(11)によって解決される。
(1)第一電極と、該第一電極と対峙する第二電極とを有する色素増感型太陽電池であって、
前記第一電極に電子輸送層が設けられ、該電子輸送層は増感色素部位とホール輸送性部位とが非共役結合部位で結合した光増感剤、及び/または、ホール輸送性部位と非共役結合部位とを有する共吸着剤により被覆されているものであり、前記第二電極は、光増感剤及び/または共吸着剤上に設けられていることを特徴とする色素増感型太陽電池。
(2)「前記光増感剤及び共吸着剤の非共役結合部位が、アルキレン基及び/またはエーテル基を含む共有結合しない2価の連結基であることを特徴とする前記第(1)項に記載の色素増感型太陽電池」、
(3)「前記光増感剤が、下記一般式(1)で表される光増感剤であり、前記共吸着剤が下記一般式(2)で表される共吸着剤であることを特徴とする前記第(1)項または第(2)項に記載の色素増感型太陽電池;
(式中、Xは窒素原子を含むホール輸送性構造を表し、R1、R2はアルキル基、アリール基、N原子と共にヘテロ環またはヘテロ環残基を構成するに必要な部位A1を表し、R3は2価の連結基、Ar1は2価のアリーレン、R4はアルキレン基及び/またはエーテル基を含む共有結合しない2価の連結基を表す。Yは酸性基を表す。)
(式中、Xは窒素原子を含むホール輸送性構造を表し、R4はアルキレン基及び/またはエーテル基を含む共有結合しない2価の連結基を表す。Yは酸性基を表す。)」、
(4)「前記一般式(1)で表される光増感剤が、下記一般式(3)で表される光増感剤であることを特徴とする前記第(3)項に記載の色素増感型太陽電池;


(式中、Xは窒素原子を含むホール輸送性構造を表し、R3は2価の連結基、R4はアルキレン基及び/またはエーテル基を含む共有結合しない2価の連結基を表す。Yは酸性基を表す。Ar1は2価のアリーレン、R5、R6は水素原子、アルキル基、アリール基を表し、R5とR6で環状構造を形成してもよい。)」、
(5)「前記一般式(1)乃至(3)の窒素原子を含むホール輸送性構造Xが、下記一般式(4)で表される構造であることを特徴とする前記第(3)項または第(4)項に記載の色素増感型太陽電池;
(式中、R7、R8はアルキル基、アルケニル基、アリール基、N原子と共にヘテロ環またはヘテロ環残基を構成するに必要な部位を表し、R9は2価のアルキレン、2価のアリーレン、2価のヘテロ環を表す。R7とR8、R8とR9、R7とR9は、これらそれぞれの残基が直接または2価の炭化水素を介して間接的に結合し、環状構造を形成してもよい。)」、
(6)「前記一般式(3)で表される光増感剤が、下記一般式(5)で表される光増感剤であることを特徴とする前記第(4)項または第(5)項に記載の色素増感型太陽電池;


(式中、R5、R6は水素原子、アルキル基、アリール基を表し、R7、R8はアルキル基、アルケニル基、アリール基、N原子と共にヘテロ環またはヘテロ環残基を構成するに必要な部位を表し、R9は2価のアルキレン、2価のアリーレン、2価のヘテロ環を表す。R7とR8、R8とR9、R7とR9は、これらそれぞれの残基が直接または2価の炭化水素を介して間接的に結合し、環状構造を形成してもよい。R10、R11は酸素原子、硫黄原子を表し、R12は酸素原子、硫黄原子、ジシアノメチレン基、ローダニン環を表す。R13は2価のアルキレン、2価のアリーレンを表す。Ar1は2価のアリーレン、nは2〜18の整数を表す。)」、
(7)「前記一般式(2)で表される共吸着剤が、下記一般式(6)で表される共吸着剤であることを特徴とする前記第(3)項乃至第(6)項のいずれかに記載の色素増感型太陽電池;
(式中、R7、R8はアルキル基、アルケニル基、アリール基、N原子と共にヘテロ環またはヘテロ環残基を構成するに必要な部位を表し、R9は2価のアルキレン、2価のアリーレン、2価のヘテロ環を表す。R7とR8、R8とR9、R7とR9は、これらそれぞれの残基が直接または2価の炭化水素を介して間接的に結合し、環状構造を形成してもよい。R14は2価のアルキレン、アリーレンを表す。nは2〜18の整数、mは0、1を表す。)」、
(8)「前記電子輸送層は、ナノ粒子からなるn型酸化物半導体で形成されたものあることを特徴とする前記第(1)項乃至第(7)項のいずれかに記載の色素増感型太陽電池」、
(9)「前記酸化物半導体が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ニオブの少なくとも1種以上から選ばれたものであることを特徴とする前記第(8)項に記載の色素増感型太陽電池」、
(10)「前記第二電極が有機導電体を含有するものであり、該有機導電体が、下記一般式(7)で表されるドナー性化合物と下記一般式(8)で表されるアクセプター性化合物を含有することを特徴とする前記第(1)項乃至第(9)項のいずれかに記載の色素増感型太陽電池;

(式中、Ar2、Ar3は酸素原子、硫黄原子、セレン、またはテルルを含むヘテロ環を表す。)
(式中、Ar4は2価のアリーレン、O、S、Se、またはNを含むヘテロ環を表し、R15、R16、R17、R18は電子吸引性基を表す。)」、
(11)「前記一般式(7)で表されるドナー性化合物が、下記一般式(9)で表されるドナー性化合物であり、一般式(8)で表されるアクセプター性化合物が下記一般式(10)で表されるアクセプター性化合物あることを特徴とする前記第(10)項に記載の色素増感型太陽電池;


(式中、R15〜R18は酸素原子、硫黄原子、セレン原子を表す。)

(式中、Ar4は2価のアリーレン、ヘテロ環を表す。)」。
以下の詳細かつ具体的な説明から理解されるように、本発明によれば、ホール輸送距離が非常に短く、かつショートせずに光電変換を示す色素増感型太陽電池が提供される。
本発明に係る色素増感型太陽電池の構造を表わす断面図の一例である。 本発明に係る色素増感型太陽電池の構造を表わす断面図の一例である。 本発明に係る電子輸送層表面を表す模式図の一例である。 本発明に係る電子輸送層表面を表す模式図の一例である。 例示化合物A-22のIRスペクトルである。 例示化合物A-07のIRスペクトルである。 例示化合物A-23のIRスペクトルである。 例示化合物A-24のIRスペクトルである。 例示化合物B-09のIRスペクトルである。
本発明の色素増感型太陽電池について詳細に説明する。
図1及び図2は、本発明の色素増感型太陽電池の一例を示す断面図である。
図1に示すように、基板1上に第一電極2、該第一電極2と対峙する第二電極8を有する。前記第一電極は緻密な電子輸送層4、多孔質状の電子輸送層5からなる電子輸送層3が設けられ、該電子輸送層3上に光増感剤6が吸着し、該光増感剤6上に第二電極8が形成された構成をとっている。
また、本発明の色素増感型太陽電池は、図2に示すように、電子輸送層3に光増感剤6及び共吸着剤7が吸着していてもよい。なお、前記第二電極8は、有機導電剤を含有していてもよい。
図3に本発明の色素増感型太陽電池の電子輸送層表面状態を模式的に示す。電子輸送層表面には酸性基Yによって光増感剤が吸着している。該光増感剤は増感色素部位とホール輸送性部位(HTM)とが非共役結合部位(R)によって結合した構造をしており、前記非共役結合部位(R)が自由に回転可能なC−C結合やC−O結合を含む共有結合しない2価の連結基であることにより、ホール輸送性構造部位が自由に動き、嵩高い構造を有していても隣接する光増感剤同士が干渉することなく電子輸送層表面を完全に被覆することができ、電極と色素間及び/または電極間のショートを防止できる。
さらに、前記色素はホール輸送性部位が1分子分しか結合されていないため、輸送距離が非常に短くなり、対向電極と色素の接触を防ぎながら、ホールの輸送に関しては抵抗の低い対向電極を利用できる。
また、図4に本発明の色素増感型太陽電池の他の電子輸送層表面状態を模式的に示す。電子輸送層表面には酸性基Yによって光増感剤及び共吸着剤が吸着している。
前記共吸着剤の非共役結合部位(R)が自由に回転可能なC−C結合やC−O結合を含む共有結合しない2価の連結基であることにより、隣接する共吸着剤同士が干渉することなく、前記光増感剤間の隙間からホール輸送性部位と非共役結合部位とを有する共吸着剤の非共役結合部位が酸性基を介して電子輸送層に吸着でき、嵩高いホール輸送性部位が前記光増感剤間の隙間を埋めることで、電子輸送層表面が完全に被覆され、電極と色素間及び/または電極間のショートを防止できる。
さらに、前記共吸着剤はホール輸送性部位が1分子分しか結合されていないため、輸送距離が非常に短くなり、対向電極と色素の接触を防ぎながら、ホールの輸送に関しては抵抗の低い対向電極を利用できる。
<第一電極>
本発明の第一電極は電子集電電極であり、該電子集電電極としては、可視光に対して透明な導電性物質であれば特に限定されるものではなく、通常の光電変換素子、あるいは液晶パネル等に用いられる公知の電極を使用できる。例えば、インジウム・スズ酸化物(以下、ITOと称す)、フッ素ドープ酸化スズ(以下、FTOと称す)、アンチモンドープ酸化スズ(以下、ATOと称す)、インジウム・亜鉛酸化物、ニオブ・チタン酸化物、グラフェン等が挙げられ、これらが単独あるいは複数積層されていてもよい。
電子集電電極の厚さは5nm〜100μmが好ましく、50nm〜10μmが更に好ましい。
前記電子集電電極は一定の硬性を維持するため、可視光に透明な材質からなる基板上に設けることが好ましく、前記基板としては、例えば、ガラス、透明プラスチック板、透明プラスチック膜、無機物透明結晶体などが用いられる。
また、電子集電電極と基板が一体となっている従来公知の透明電極を用いてもよく、該透明電極としては、例えば、FTOコートガラス、ITOコートガラス、酸化亜鉛:アルミニウムコートガラス、FTOコート透明プラスチック膜、ITOコート透明プラスチック膜等が挙げられる。
また、酸化スズや酸化インジウムに原子価の異なる陽イオン若しくは陰イオンをドープした透明電極、メッシュ状、ストライプ状など光が透過できる構造にした金属電極をガラス基板等の基板上に設けたものでもよい。これらは単独あるいは2種以上を併用しても積層したものでも構わない。
また、第一電極には抵抗を下げる目的で、基板との接着面に金属リード線を設けてもよい。金属リード線の材質はとしては、アルミニウム、銅、銀、金、白金、ニッケル等の金属が挙げられる。抵抗を下げるための金属リード線は、基板に蒸着、スパッタリング、圧着等で設置し、その上に前記ITOやFTOを設ける方法が挙げられる。
<電子輸送層>
本発明の色素増感型太陽電池は、前記第一電極上に、電子輸送層3として、半導体からなる電子輸送層3を有する。
電子輸送層3は、第一電極上に緻密な電子輸送層4を有し、さらにその上に多孔質状の電子輸送層5を有する積層構造であることが好ましい。
前記緻密な電子輸送層4は、第一電極2との接触を良好にして変換効率を向上させる目的で形成されるものである。
なお、本発明において緻密な電子輸送層の「緻密」とは、多孔質状の電子輸送層5中の半導体微粒子の充填密度より高密度で無機酸化物半導体が充填されていることを意味する。
また、緻密な電子輸送層4の膜厚としては特に制限はないが、10nm〜1μmが好ましく、20nm〜700nmがより好ましい。
また、前記多孔質状の電子輸送層5は、比表面積を広げることにより,吸着させる色素量を引き上げ、変換効率を向上させるために前記緻密な電子輸送層4上に形成されるものであり、単層であっても多層であってもよい。一度の塗布で膜厚が不足する場合には、多層塗布は有効な手段である。
多孔質状の電子輸送層が多層構成の場合、粒径の異なる半導体微粒子の分散液を多層塗布することや、種類の異なる半導体や、樹脂、添加剤の組成が異なる塗布層を多層塗布することもできる。
一般的に、電子輸送層の膜厚が増大するほど単位投影面積当たりの担持光増感化合物量も増えるため光の捕獲率が高くなるが、注入された電子の拡散距離も増えるため電荷の再結合によるロスも大きくなってしまう。したがって、電子輸送層の膜厚は100nm〜100μmが好ましい。
前記電子輸送層を構成する半導体としては特に限定されるものではなく、公知のものを使用することができる。具体的には、シリコン、ゲルマニウムのような単体半導体、あるいは金属のカルコゲニドに代表される化合物半導体、またはペロブスカイト構造を有する化合物等を挙げることができる。
前記金属のカルコゲニドとしてはチタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、あるいはタンタルの酸化物、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモン、ビスマスの硫化物、カドミウム、鉛のセレン化物、カドミウムのテルル化物等が挙げられる。
他の化合物半導体としては亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム、等のリン化物、ガリウム砒素、銅−インジウム−セレン化物、銅−インジウム−硫化物等が好ましい。
また、ペロブスカイト構造を有する化合物としては、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム等が好ましい。
これらの中でもn型酸化物半導体が好ましく、特に酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ニオブが好ましく、単独、あるいは2種以上の混合で使用しても構わない。これらの半導体の結晶型は特に限定されるものではなく、単結晶でも多結晶でも、あるいは非晶質でも構わない。
多孔質状の電子輸送層を形成する半導体微粒子のサイズとしては、特に制限はないが、一次粒子の平均粒径は1〜100nmが好ましく、5〜50nmがより好ましい。
また、平均粒径の小さい半導体微粒子に平均粒径の大きな半導体微粒子を混合あるいは積層し、入射光を散乱させることで効率を向上させることも可能である。前記平均粒径の大きな半導体微粒子の平均粒径は50〜500nmが好ましい。
電子輸送層の作製方法には特に制限はなく、スパッタリング等の真空中で薄膜を形成する方法や湿式製膜法が挙げられる。
製造コスト等を考慮した場合、特に湿式製膜法が好ましく、半導体微粒子の粉末あるいはゾルを分散したペーストを調製し、電子集電電極基板上に塗布する方法が好ましい。
この湿式製膜法を用いた場合、塗布方法は特に制限はなく、公知の方法に従って行なうことができる。
例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、また、湿式印刷方法として、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等様々な方法を用いることができる。
湿式製膜法に用いる半導体微粒子の粉末あるいはゾルの分散液を、機械的粉砕、あるいはミルを使用して作製する場合、少なくとも半導体微粒子単独、あるいは半導体微粒子と樹脂の混合物を水あるいは有機溶剤に分散して形成される。
この時に使用される樹脂としては、スチレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等によるビニル化合物の重合体や共重合体、シリコン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリエステル樹脂、セルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
半導体微粒子を分散する溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、α−テルピネオール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、あるいはメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、ギ酸エチル、酢酸エチル、あるいは酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、あるいはジオキサン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、あるいはN−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、あるいは1−クロロナフタレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、1,5−ヘキサジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、あるいはクメン等の炭化水素系溶媒を挙げることができる。これらは単独、あるいは2種以上の混合溶媒として用いることができる。
半導体微粒子の分散液、あるいはゾル−ゲル法等によって得られた半導体微粒子のペーストは、粒子の再凝集を防ぐため、塩酸、硝酸、酢酸等の酸、ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル等の界面活性剤、アセチルアセトン、2−アミノエタノール、エチレンジアミン等のキレート化剤等を添加することができる。
また、製膜性を向上させる目的で増粘剤を添加することも有効な手段である。
この時加える増粘剤としては、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール等の高分子、エチルセルロース等の増粘剤等が挙げられる。
半導体微粒子は、塗布した後に粒子同士を電子的にコンタクトさせ、膜強度の向上や基板との密着性を向上させるために焼成、マイクロ波照射、電子線照射、あるいはレーザー光照射を行なうことが好ましい。これらの処理は単独で行なってもあるいは二種類以上組み合わせて行なってもよい。
焼成する場合、焼成温度の範囲に特に制限はないが、温度を上げ過ぎると基板の抵抗が高くなったり、溶融することもあるため、30〜700℃が好ましく、100〜600℃がより好ましい。また、焼成時間にも特に制限はないが、10分〜10時間が好ましい。
焼成後、半導体微粒子の表面積の増大や、光増感化合物から半導体微粒子への電子注入効率を高める目的で、例えば四塩化チタンの水溶液や有機溶剤との混合溶液を用いた化学メッキや三塩化チタン水溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行なってもよい。
また、マイクロ波照射は、電子輸送層形成側から照射しても、裏側から照射しても構わない。照射時間には特に制限がないが、1時間以内で行なうことが好ましい。
直径が数十nmの半導体微粒子を焼結等によって積層した膜は、多孔質状態を形成する。このナノ多孔構造は、非常に高い表面積を持ち、その表面積はラフネスファクターを用いて表わすことができる。
このラフネスファクターは、基板に塗布した半導体微粒子の面積に対する多孔質内部の実面積を表わす数値である。したがって、ラフネスファクターは大きいほど好ましいが、電子輸送層の膜厚との関係もあり、本発明においては20以上が好ましい。
<光増感剤・共吸着剤>
本発明では変換効率の更なる向上のため、光増感剤を前記電子輸送層の電子輸送性半導体の表面に吸着させる。本発明における電子輸送層の表面は、次の3種類の組み合わせの材料で被覆される。
(1)増感色素部位とホール輸送性部位とが非共役結合部位で結合した光増感剤単独あるいは該光増感剤と既知の共吸着剤と組み合わせ
(2)増感色素部位とホール輸送性部位とが非共役結合部位で結合した光増感剤とホール輸送性部位と非共役結合部位とを有する共吸着剤との組み合わせ
(3)既知の光増感剤とホール輸送性部位と非共役結合部位とを有する共吸着剤との組み合わせ
まず、光増感剤について説明する。本発明の光増感剤は、増感色素部位とホール輸送性部位とが非共役結合部位で結合したものである。
前記ホール輸送性部位としては、窒素原子を含むホール輸送性構造を有すればよく、具体例としては、メチルフェニルアミン、トリフェニルアミンなどを挙げることができる。
前記非共役結合部位としては、共役結合でなく、自由に回転可能な2価の連結基であればよく、具体的にはアルキレン、酸素原子、硫黄原子、1,2−ジオキシエチレン、1,6−ジオキシヘキシレン等の共役結合しない2価の連結基が挙げられる。
また、増感色素部位は電子輸送層に吸着する酸性基を有するものであり、具体的にはカルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸、ボロン酸、フェノール類などが挙げられる。
前記酸性基の以下に具体例を示す。
このような光増感剤としては、下記一般式(1)で表される光増感剤を好ましく使用することができ、さらに一般式(3)で表される光増感剤が好ましく、一般式(5)で表される光増感剤がより好ましい。
(式中、Xは窒素原子を含むホール輸送性構造を表し、R1、R2はアルキル基、アリール基、N原子と共にヘテロ環またはヘテロ環残基を構成するに必要な部位A1を表し、R3は2価の連結基、Ar1は2価のアリーレン、R4はアルキレン基及び/またはエーテル基を含む共有結合しない2価の連結基を表す。Yは酸性基を表す。)
一般式(1)において、Xの具体例としては、上記のようにメチルフェニルアミン、トリフェニルアミンなどを挙げることができる。
R1、R2の具体例としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基などのアルキル基、フェニル基、1−ナフチル基、4−トリル基などのアリール基、2−フリル基、2−チエニル基などのヘテロ環を挙げることができ、R1とR2で結合して環状構造を形成してもよい。その環状構造としては、カルバゾール環、インドール環、インドリン環などを挙げることができる。
R3は、2価の連結基であり、メチレン、1,2−エチレン、1,1−エチレン、1,2−ビニレンなどの2価のアルキレン、1,2−フェニレン、1,4−フェニレン、2,6−ナフチレンなどの2価のアリーレンを挙げることができる。


(式中、Xは窒素原子を含むホール輸送性構造を表し、R3は2価の連結基、R4はアルキレン基及び/またはエーテル基を含む共有結合しない2価の連結基を表す。Yは酸性基を表す。R5、R6は水素原子、アルキル基、アリール基を表し、R5とR6で環状構造を形成してもよい。)
(式中、R5、R6は水素原子、アルキル基、アリール基を表し、R7、R8はアルキル基、アルケニル基、アリール基、N原子と共にヘテロ環またはヘテロ環残基を構成するに必要な部位を表し、R9は2価のアルキレン、2価のアリーレン、2価のヘテロ環を表す。R7とR8、R8とR9、R7とR9は、これらそれぞれの残基が直接または2価の炭化水素を介して間接的に結合し、環状構造を形成してもよい。R10、R11は酸素原子、硫黄原子を表し、R12は酸素原子、硫黄原子、ジシアノメチレン基、ローダニン環を表す。R13は2価のアルキレン、2価のアリーレンを表す。nは2〜18の整数を表す。)
本発明の光増感剤の具体例を以下に示すが、何らこれらに限定されるものではない。
前記共吸着剤は、光増感剤の凝集を抑制するものであり、共吸着剤としては、ホール輸送性部位と非共役結合部位とを有するものを使用することができる。ホール輸送性部位の構造は上記光増感剤のホール輸送性部位と同様の構造のものを使用でき、非共役結合部位は併用する光増感剤にもよるが、電子輸送層に吸着した際に光増感剤の外側にでるよう、炭素原子、酸素原子、及び/または硫黄原子が5つ以上の直鎖構造であることが好ましい。
前記共吸着剤としては、下記一般式(2)で示される共吸着剤が好ましく、さらに一般式(6)で示される共吸着剤が好ましい。
(式中、Xは窒素原子を含むホール輸送性構造を表し、R4はアルキレン基及び/またはエーテル基を含む共有結合しない2価の連結基を表す。Yは酸性基を表す。)
式中、R7、R8はアルキル基、アルケニル基、アリール基、N原子と共にヘテロ環またはヘテロ環残基を構成するに必要な部位を表し、R9は2価のアルキレン、2価のアリーレン、2価のヘテロ環を表す。R7とR8、R8とR9、R7とR9は、これらそれぞれの残基が直接または2価の炭化水素を介して間接的に結合し、環状構造を形成してもよい。R14は2価のアルキレン、アリーレンを表す。nは2〜18の整数、mは0、1を表す。)
このような共吸着剤の具体例を以下に示すが、何らこれらに限定されるものではない。

本発明の共吸着剤と併用して用いられる光増感剤としては、励起光により光励起されるものであれば特に限定されないが、具体的には以下の化合物が挙げられる。
特表平7−500630号公報、特開平10−233238号公報、特開2000−26487号公報、特開2000−323191号公報、特開2001−59062号公報等に記載の金属錯体化合物、特開平10−93118号公報、特開2002−164089号公報、特開2004−95450号公報、J. Phys. Chem. C, 7224, Vol.111(2007)等に記載のクマリン化合物、同特開2004−95450号公報、Chem. Commun., 4887(2007)等に記載のポリエン化合物、特開2003−264010号公報、特開2004−63274号公報、特開2004−115636号公報、特開2004−200068号、特開2004−235052号公報、J. Am. Chem. Soc., 12218, Vol.126(2004)、Chem. Commun., 3036(2003)、Angew. Chem. Int. Ed., 1923, Vol.47(2008)等に記載のインドリン化合物、J. Am. Chem. Soc., 16701, Vol.128(2006)、J. Am. Chem. Soc., 14256, Vol.128(2006)等に記載のチオフェン化合物、特開平11−86916号公報、特開平11−214730号公報、特開2000−106224号公報、特開2001−76773号公報、特開2003−7359号公報等に記載のシアニン色素、特開平11−214731号公報、特開平11−238905号公報、特開2001−52766号公報、特開2001−76775号公報、特開2003−7360号等に記載メロシアニン色素、特開平10−92477号公報、特開平11−273754号公報、特開平11−273755号公報、特開2003−31273号等に記載の9−アリールキサンテン化合物、特開平10−93118号公報、特開2003−31273号等に記載のトリアリールメタン化合物、特開平9−199744号公報、特開平10−233238号公報、特開平11−204821号公報、特開平11−265738号、J. Phys. Chem., 2342, Vol.91(1987)、J. Phys. Chem. B, 6272, Vol.97(1993)、Electroanal. Chem., 31, Vol.537(2002)、特開2006−032260号公報、J. Porphyrins Phthalocyanines, 230, Vol.3(1999)、Angew. Chem. Int. Ed., 373, Vol.46(2007)、Langmuir, 5436, Vol.24(2008)等に記載のフタロシアニン化合物、ポルフィリン化合物等を挙げることができる。
特にこの中で、金属錯体化合物、クマリン化合物、ポリエン化合物、インドリン化合物、チオフェン化合物を用いることが好ましい。
前記多孔質状の電子輸送層5に、光増感剤及び共吸着剤を吸着させる方法としては、光増感剤及び/または共吸着剤の溶液中あるいは分散液中に半導体微粒子を含有する電子集電電極を浸漬する方法、前記溶液あるいは分散液を電子輸送層に塗布して吸着させる方法を用いることができる。
前者の場合、浸漬法、ディップ法、ローラ法、エアーナイフ法等を用いることができ、後者の場合は、ワイヤーバー法、スライドホッパー法、エクストルージョン法、カーテン法、スピン法、スプレー法等を用いることができる。
また、二酸化炭素などを用いた超臨界流体中で吸着させても構わない。
光増感化合物及び/または共吸着剤を吸着させる際、縮合剤を併用してもよい。
縮合剤は、無機物表面に物理的あるいは化学的に光増感化合物と電子輸送化合物を結合すると思われる触媒的作用をするもの、または化学量論的に作用し、化学平衡を有利に移動させるものの何れであってもよい。
更に、縮合助剤としてチオールやヒドロキシ化合物を添加してもよい。
光増感化合物及び/または共吸着剤を溶解、あるいは分散する溶媒は、水、メタノール、エタノール、あるいはイソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、あるいはメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、ギ酸エチル、酢酸エチル、あるいは酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、あるいはジオキサン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、あるいはN−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、あるいは1−クロロナフタレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、1,5−ヘキサジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、あるいはクメン等の炭化水素系溶媒を挙げることができ、これらは単独、あるいは2種以上の混合として用いることができる。
本発明の共吸着剤の添加量は、光増感化合物1質量部に対して0.01〜500質量部が好ましく、0.1〜100質量部がより好ましい。
前記光増感剤及び/または共吸着剤を吸着する際の温度としては、−50℃以上、200℃以下が好ましい。
また、この吸着は静置しても攪拌しながら行なっても構わない。
攪拌する場合の方法としては、スターラー、ボールミル、ペイントコンディショナー、サンドミル、アトライター、ディスパーザー、あるいは超音波分散等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
吸着に要する時間は、5秒以上、1000時間以下が好ましく、10秒以上、500時間以下がより好ましく、1分以上、150時間が更に好ましい。
また、吸着は暗所で行なうことが好ましい。
<第二電極>
本発明の第二電極は、ホール集電電極であり、ホール輸送距離を短くするため前記光増感剤及び/または共吸着剤を吸着させた電子輸送層上に形成される。第二電極としては、金属やカーボンなどの無機導電体や、有機導電体を含有するもの使用できるが、有機導電体を含有するものであることが好ましい。
前記有機導電体としては、ドナー性化合物とアクセプター性化合物とを組み合わせて使用することができる。
前記ドナー性化合物としては、下記一般式(7)に示す化合物が挙げられ、さらに下記一般式(9)に示す化合物であることが好ましい。
(式中、Ar2、Ar3は酸素原子、硫黄原子、セレン、またはテルルを含むヘテロ環を表す。)


(式中、R15〜R18は酸素原子、硫黄原子、セレン原子を表す。)
ドナー性化合物の例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
前記アクセプター性化合物としては、下記一般式(8)に示す化合物が挙げられ、さらに下記一般式(10)に示す化合物であることが好ましい。
(式中、Ar4は2価のアリーレン、O、S、Se、またはNを含むヘテロ環を表し、R15、R16、R17、R18は電子吸引性基を表す。)
(式中、Ar4は2価のアリーレン、O、S、Se、またはNを含むヘテロ環を表す。)
アクセプター性化合物の例をいかに示すが、これらに限定されるものではない。
本発明の有機導電体を含む第二電極の形成方法としては、ドナー性化合物とアクセプター性化合物それぞれの溶液を混合する方法、共蒸着などの真空製膜などが挙げられるが、溶液を混合して作製する方法が好ましい。
ドナー性化合物とアクセプター性化合物とを溶解する溶液としては、メタノール、エタノール、あるいはイソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、あるいはメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、ギ酸エチル、酢酸エチル、あるいは酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、あるいはジオキサン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、あるいはN−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、あるいは1−クロロナフタレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、1,5−ヘキサジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、あるいはクメン等の炭化水素系溶媒を挙げることができ、これらは単独、あるいは2種以上の混合として用いることができる。
ドナー性化合物とアクセピター性化合物の混合比率は、特に限定されるものではないが、好ましくはドナー性化合物1質量部に対してアクセプター性化合物が0.01質量部〜100質量部が好ましく、0.1質量部〜10質量部がより好ましい。
ドナー性化合物とアクセプター性化合物を溶解した溶液を、光増感剤を吸着した多孔質電子集電電極上に湿式製膜法を用いて有機導電体層を形成する。有機導電体層の形成方法としては、特に制限はなく、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、また、湿式印刷方法として、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等様々な方法を用いることができる。
本発明では、有機導電体上に、より抵抗の低い集電電極を設けても構わない。その集電電極は、前述の電子集電電極と同様のものを用いることができ、強度や密封性が充分に保たれるような構成では支持体は必ずしも必要ではない。
その集電電極材料の具体例としては、白金、金、銀、銅、アルミニウム等の金属、グラファイト、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラフェン等の炭素系化合物、ITO、FTO、ATO等の導電性金属酸化物、ポリチオフェン、ポリアニリン等の導電性高分子が挙げられる。
集電電極層の膜厚には特に制限はなく、また単独あるいは2種以上の混合で用いても構わない。
集電電極の塗設については、用いられる材料の種類や有機導電体の種類により、適宜有機導電体上に塗布、ラミネート、蒸着、CVD、貼り合わせ等の手法により形成可能である。
光電変換素子として動作するためには、電子集電電極と有機導電体の少なくとも一方は実質的に透明でなければならない。
本発明の光電変換素子においては、電子集電電極側が透明であり、太陽光を電子集電電極側から入射させる方法が好ましい。この場合、集電電極側には光を反射させる材料を使用することが好ましく、金属、導電性酸化物を蒸着したガラス、プラスチック、あるいは金属薄膜が好ましい。
また、太陽光の入射側に反射防止層を設けることも有効な手段である。
<用途>
本発明の光電変換素子は、太陽電池及び太陽電池を用いた電源装置に応用できる。
応用例としては、従来から太陽電池やそれを用いた電源装置を利用している機器類であれば、いずれのものでも可能である。
例えば電子卓上計算機や腕時計用の太陽電池に用いてもよいが、本発明の光電変換素子の特徴を活用する一例として、携帯電話、電子手帳、電子ペーパー等の電源装置が挙げられる。また充電式や乾電池式の電気器具の連続使用時間を長くするための補助電源として用いることもできる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
[合成例]
(例示化合物A−22)の合成
下記(E−1)で示されるアルデヒド化合物0.26g、下記(E−2)で示されるローダニン化合物0.084g、酢酸アンモニウム9.24mgを、酢酸10ml中、窒素気流下、120℃で4時間20分加熱攪拌した。
室温まで冷却後、反応液を分液ロートに移して酢酸エチルで抽出し、有機層を2回水洗して分離、硫酸マグネシウムで乾燥し溶媒を留去した。
残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製(eluent:酢酸エチル/塩化メチレン=1/1)し、黒色固体状の目的物(A−22)を0.116g得た。収率44.7%。IRスペクトルを図5に示す。
(例示化合物A−07)の合成
下記(E−3)で示されるアルデヒド化合物0.20g、前記(E−2)で示されるローダニン化合物65mg、酢酸アンモニウム7.2mgを、酢酸10ml中、窒素気流下、120℃で2時間加熱攪拌した。
室温まで冷却後、反応液を分液ロートに移してトルエンで抽出。有機層を2回水洗して分離、硫酸マグネシウムで乾燥し溶媒を留去した。
残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製(eluent:酢酸エチル/トルエン=1/1)し、赤紫固体状の目的物(A−07)を0.116g得た。収率45.2%。IRスペクトルを図6に示す。
(例示化合物A−23)の合成
下記(E−4)で示されるアルデヒド化合物0.15g、前記(E−2)で示されるローダニン化合物44.6mg、酢酸アンモニウム4.89mgを、酢酸10ml中、窒素気流下、120℃で2時間加熱攪拌した。
室温まで冷却後、反応液を分液ロートに移してトルエンで抽出。有機層を2回水洗して分離、硫酸マグネシウムで乾燥し溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製(eluent:酢酸エチル/トルエン=1/1)し、黒色固体状の目的物(A−23)を0.05g得た。収率26.6%。IRスペクトルを図7に示す。
(例示化合物A−24)の合成
下記(E−5)で示されるアルデヒド化合物0.335g、シアノ酢酸39.3mg、ピペリジン78.6mgを、アセトニトリル6.7ml中、窒素気流下、80℃で4時間加熱攪拌した。クロロベンゼン3mlを加えて同温で更に2時間過熱攪拌した。
室温まで冷却後、反応液を分液ロートに移してトルエンで抽出。有機層を2回水洗して分離、硫酸マグネシウムで乾燥し溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製(eluent:酢酸エチル/トルエン=1/3)し、赤色アモルファス状の目的物(A−23)を0.05g得た。収率26.6%。IRスペクトルを図8に示す。
(例示化合物B−09)の合成
下記(E−6)で示されるホスホン酸エチルエステル0.333gを、塩化メチレン6mlに溶解し、室温で撹拌しながら窒素バブリングを2時間行った。
ヨウ化トリメチルシリル0.156gをゆっくりと加え、室温で24時間攪拌した。
反応溶液にメタノールを加え、減圧で留去を6回繰り返した。析出した結晶をメタノールで洗浄、ろ過し、薄赤色結晶の目的物(B−09)を0.29g得た。収率90.9%。
IRスペクトルを図9に示す。

[実施例1]
(酸化チタン半導体電極の作製)
チタニウムテトラ−n−プロポキシド2ml、酢酸4ml、イオン交換水1ml、2−プロパノール40mlを混合し、FTOガラス基板上にスピンコートし、室温で乾燥後、空気中450℃で30分間焼成した。得た電極上に、再度同一溶液を用いて膜厚100nmになるようにスピンコートで塗布し、空気中450℃で30分間焼成して緻密な電子輸送層を形成した。
酸化チタン(石原産業社製ST−21)3g、アセチルアセトン0.2g、界面活性剤(和光純薬社製ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル)0.3gを、水5.5g、エタノール1.0gと共にビーズミル処理を12時間施した。
得られた分散液にポリエチレングリコール(#20,000)1.2gを加えてペーストを作製した。
このペーストを、上記緻密な電子輸送層上に膜厚2μmになるように塗布し、室温で乾燥後、空気中500℃で30分間焼成し、多孔質状の電子輸送層を形成した。
上記酸化チタン半導体電極を、0.5mMに調整した例示化合物(A−22)で示される光増感化合物のクロロベンゼン溶液中に室温で15時間、暗所にて静置して光増感化合物を吸着させた。
(有機導電体溶液の調整)
0.5mMに調整したテトラチアフルバレン(C−01)のアセトニトリル溶液、0.5mMに調整したテトラシアノキノジメタン(D−02)のアセトニトリル溶液を質量比1:1になるように室温中で攪拌しながら混合し、有機導電体溶液を作製した。
(色素増感型太陽電池の作製と評価)
光増感化合物を吸着した酸化チタン半導体電極上に、調整した有機導電体溶液をキャストし、室温で乾燥して色素増感型太陽電池を作製した。
この光電変換素子の疑似太陽光照射下(AM1.5、100mW/cm)における光電変換効率は、開放電圧=0.64V、短絡電流密度2.5mA/cm、形状因子=0.55、変換効率=0.88%という特性を示し、ショート箇所はなかった。
[実施例2]
実施例1における光増感化合物のクロロベンゼン溶液を、0.5mMに調整した例示化合物(A−22)で示される光増感化合物と0.2mMに調整したn−デシルホスホン酸のクロロベンゼン溶液に変更した以外は実施例1と同様にして色素増感型太陽電池を作製し、評価した。
その結果、開放電圧=0.70V、短絡電流密度2.2mA/cm、形状因子=0.57、変換効率=0.88%を示し、ショート箇所はなかった。
[実施例3]
実施例1における光増感化合物のクロロベンゼン溶液を、0.5mMに調整した例示化合物(A−07)で示される光増感化合物のクロロベンゼン溶液に変更した以外は、実施例1と同様にして色素増感型太陽電池を作製し、評価した。
その結果、開放電圧=0.62V、短絡電流密度2.6mA/cm、形状因子=0.56、変換効率=0.90%を示し、ショート箇所はなかった。
[実施例4]
実施例1における光増感化合物のクロロベンゼン溶液を、0.5mMに調整した例示化合物(A−23)で示される光増感化合物のクロロベンゼン溶液に変更した以外は、実施例1と同様にして色素増感型太陽電池を作製し、評価した。
その結果、開放電圧=0.62V、短絡電流密度2.7mA/cm、形状因子=0.55、変換効率=0.92%を示し、ショート箇所はなかった。
[実施例5]
実施例1における光増感化合物のクロロベンゼン溶液を、0.5mMに調整した例示化合物(A−23)で示される光増感化合物と0.2mMに調整したn−デシルホスホン酸のクロロベンゼン溶液に変更した以外は、実施例1と同様にして色素増感型太陽電池を作製し、評価した。
その結果、開放電圧=0.71V、短絡電流密度2.7mA/cm、形状因子=0.56、変換効率=1.07%を示し、ショート箇所はなかった。
[実施例6]
実施例1における光増感化合物のクロロベンゼン溶液を、0.5mMに調整した例示化合物(A−22)で示される光増感化合物と4.0mMに調整した例示化合物(B−09)で示される共吸着剤のクロロベンゼン溶液に変更した以外は、実施例1と同様にして色素増感型太陽電池を作製し、評価した。
その結果、開放電圧=0.72V、短絡電流密度2.3mA/cm、形状因子=0.55、変換効率=0.91%を示し、ショート箇所はなかった。
[実施例7]
実施例1における光増感化合物のクロロベンゼン溶液を、0.5mMに調整した例示化合物(A−22)で示される光増感化合物と5.0mMに調整した例示化合物(B−15)で示される共吸着剤のクロロベンゼン溶液に変更した以外は、実施例1と同様にして色素増感型太陽電池を作製し、評価した。
その結果、開放電圧=0.69V、短絡電流密度2.2mA/cm、形状因子=0.56、変換効率=0.85%を示し、ショート箇所はなかった。
[実施例8]
実施例1における光増感化合物のクロロベンゼン溶液を、0.5mMに調整した例示化合物(A−22)で示される光増感化合物と3.0mMに調整した例示化合物(B−21)で示される共吸着剤のクロロベンゼン溶液に変更した以外は、実施例1と同様にして色素増感型太陽電池を作製し、評価した。
その結果、開放電圧=0.69V、短絡電流密度2.3mA/cm、形状因子=0.55、変換効率=0.87%を示し、ショート箇所はなかった。
[実施例9]
実施例6における光増感化合物と共吸着剤を、0.5mMに調整した下記D358で表される化合物(三菱製紙製)と2.0mMに調整した例示化合物(B−09)で示される共吸着剤に変更した以外は、実施例6と同様にして色素増感型太陽電池を作製し、評価した。
その結果、開放電圧=0.56V、短絡電流密度2.9mA/cm、形状因子=0.50、変換効率=0.81%を示し、ショート箇所はなかった。
[実施例10]
実施例6における光増感化合物と共吸着剤を、0.5mMに調整した前記D358で表される化合物(三菱製紙製)と4.0mMに調整した例示化合物(B−09)で示される共吸着剤に変更した以外は、実施例6と同様にして色素増感型太陽電池を作製し、評価した。
その結果、開放電圧=0.59V、短絡電流密度2.8mA/cm、形状因子=0.51、変換効率=0.84%を示し、ショート箇所はなかった。
[実施例11]
実施例6における光増感化合物と共吸着剤を、0.5mMに調整した前記D358で表される化合物(三菱製紙製)と8.0mMに調整した例示化合物(B−09)で示される共吸着剤に変更した以外は、実施例6と同様にして色素増感型太陽電池を作製し、評価した。
その結果、開放電圧=0.61V、短絡電流密度2.6mA/cm、形状因子=0.53、変換効率=0.84%を示し、ショート箇所はなかった。
[実施例12]
実施例7における光増感化合物と共吸着剤を、0.5mMに調整した前記D358で表される化合物(三菱製紙製)と5.0mMに調整した例示化合物(B−15)で示される共吸着剤に変更した以外は、実施例7と同様にして色素増感型太陽電池を作製し、評価した。
その結果、開放電圧=0.57V、短絡電流密度2.6mA/cm、形状因子=0.52、変換効率=0.77%を示し、ショート箇所はなかった。
[実施例13]
実施例8における
実施例8における光増感化合物と共吸着剤を、0.5mMに調整したN719(Solaronix製:cis−Di(thiocyanato)−N,N‘−bis(2,2’−bipyridyl−4,4‘dicarboxylic acid)−Ruthenium(II))と3.0mMに調整した例示化合物(B−21)で示される共吸着剤に変更した以外は実施例8と同様にして色素増感型太陽電池を作製し、評価した。
その結果、開放電圧=0.59V、短絡電流密度2.7mA/cm、形状因子=0.52、変換効率=0.83%を示し、ショート箇所はなかった。
[実施例14]
実施例1における有機導電体溶液を、0.5mMに調整したテトラチアフルバレン(C−01)のクロロベンゼン溶液、0.5mMに調整したテトラシアノキノジメタン(D−02)のクロロベンゼン溶液に変更した以外は、実施例1と同様にして色素増感型太陽電池を作製し、評価した。
その結果、開放電圧=0.71V、短絡電流密度3.0mA/cm、形状因子=0.55、変換効率=1.17%を示し、ショート箇所はなかった。
[実施例15]
実施例1における有機導電体溶液を、0.5mMに調整したテトラチアフルバレン(C−01)のテトラヒドロフラン溶液、0.5mMに調整したテトラシアノキノジメタン(D−02)のテトラヒドロフラン溶液に変更した以外は、実施例1と同様にして色素増感型太陽電池を作製し、評価した。
その結果、開放電圧=0.70V、短絡電流密度2.7mA/cm、形状因子=0.56、変換効率=1.06%を示し、ショート箇所はなかった。
[実施例16]
実施例9における有機導電体溶液を、0.5mMに調整したテトラチアフルバレン(C−01)のテトラヒドロフラン溶液、0.5mMに調整したテトラシアノキノジメタン(D−02)のテトラヒドロフラン溶液に変更した以外は、実施例9と同様にして色素増感型太陽電池を作製し、評価した。
その結果、開放電圧=0.60V、短絡電流密度2.9mA/cm、形状因子=0.52、変換効率=0.90%を示し、ショート箇所はなかった。
[実施例17]
実施例16における有機導電体溶液を、0.5mMに調整した(C−04)のクロロベンゼン溶液、0.5mMに調整した(D−09)のクロロベンゼン溶液に変更した以外は、実施例16と同様にして色素増感型太陽電池を作製し、評価した。
その結果、開放電圧=0.59V、短絡電流密度2.9mA/cm、形状因子=0.52、変換効率=0.89%を示し、ショート箇所はなかった。
[実施例18]
実施例16における有機導電体溶液を、0.5mMに調整した(C−11)のクロロベンゼン溶液、0.5mMに調整した(D−09)のクロロベンゼン溶液に変更した以外は、実施例16と同様にして色素増感型太陽電池を作製し、評価した。
その結果、開放電圧=0.59V、短絡電流密度2.7mA/cm、形状因子=0.52、変換効率=0.83%を示し、ショート箇所はなかった。
[実施例19]
実施例17における有機導電体溶液を、0.5mMに調整した(C−04)のテトラヒドロフラン溶液、0.5mMに調整した(D−09)のテトラヒドロフラン溶液に変更した以外は、実施例16と同様にして色素増感型太陽電池を作製し、評価した。
その結果、開放電圧=0.59V、短絡電流密度2.9mA/cm、形状因子=0.52、変換効率=0.89%を示し、ショート箇所はなかった。
[実施例20]
実施例18における有機導電体溶液を、0.5mMに調整した(C−11)のテトラヒドロフラン溶液、0.5mMに調整した(D−09)のテトラヒドロフラン溶液に変更した以外は、実施例18と同様にして色素増感型太陽電池を作製し、評価した。
その結果、開放電圧=0.59V、短絡電流密度2.7mA/cm、形状因子=0.52、変換効率=0.83%を示し、ショート箇所はなかった。
[比較例1]
実施例1における光増感化合物のクロロベンゼン溶液を、0.5mMに調整した前記D358で表される化合物(三菱製紙製)のクロロベンゼン溶液に変更した以外は、実施例1と同様にして色素増感型太陽電池を作製し、評価した。
しかしながら、この太陽電池はショート(開放電圧、短絡電流密度共に0)してしまい、太陽電池特性を示さなかった。これは、酸化チタンあるいは色素を吸着した酸化チタンと、有機導電体が接触することでショートしている箇所があるため太陽電池として機能していないと考えられる。
[比較例2]
実施例1における光増感化合物のクロロベンゼン溶液を、0.5mMに調整した前記D358で表される化合物(三菱製紙製)と1.0mMに調整したn−デシルホスホン酸のクロロベンゼン溶液に変更した以外は、実施例1と同様にして色素増感型太陽電池を作製し、評価した。
しかしながら、この太陽電池はショート(開放電圧、短絡電流密度共に0)してしまい、太陽電池特性を示さなかった。これは、酸化チタンあるいは色素を吸着した酸化チタンと、有機導電体が接触することでショートしている箇所があるため太陽電池として機能していないと考えられる。
以上明らかなように、本発明の色素増感型太陽電池は、ホール輸送材料骨格を結合した光増感化合物、あるいはホール輸送材料を結合した共吸着剤のいずれか1種以上を電子輸送性化合物上に被覆し、その上に有機導電体を含有する導電性化合物層を設けることで光電特性を示すことがわかる。
1 基板
2 第一の電極
3 電子輸送層
4 緻密な電子輸送層
5 多孔質状の電子輸送層
6 光増感剤
7 共吸着剤
8 第二の電極
9 リードライン
10 リードライン
特許第2664194号 特開平11−144773号公報 特開2000−106223号公報
Nature, 353 (1991) 737 J. Am. Chem. Soc., 115 (1993) 6382 Semicond. Sci. Technol., 10 (1995) 1689 Electrochemistry, 70 (2002) 432 Synthetic Metals, 89 (1997) 215 Nature, 398 (1998) 583 Chem. Lett., (1997) 471

Claims (8)

  1. 第一電極と、該第一電極と対峙する第二電極とを有する完全固体型色素増感型太陽電池であって、
    前記第一電極に電子輸送層が設けられ、該電子輸送層は増感色素部位とホール輸送性部位とが非共役結合部位で結合した光増感剤、及びホール輸送性部位と非共役結合部位とを有する共吸着剤により被覆されているものであり、
    前記第二電極は、前記光増感剤及び前記共吸着剤上に設けられ
    前記光増感剤が、下記一般式(5)で表される光増感剤であることを特徴とする完全固体型色素増感型太陽電池
    (式中、R5、R6は水素原子、アルキル基、アリール基を表し、R7、R8はアルキル基、アルケニル基、アリール基、N原子と共にヘテロ環またはヘテロ環残基を構成するに必要な部位を表し、R9は2価のアルキレン、2価のアリーレン、2価のヘテロ環を表す。R7とR8、R8とR9、R7とR9は、これらそれぞれの残基が直接または2価の炭化水素を介して間接的に結合し、環状構造を形成してもよい。R10、R11は酸素原子、硫黄原子を表し、R12は酸素原子、硫黄原子、ジシアノメチレン基、ローダニン環を表す。R13は2価のアルキレン、2価のアリーレンを表す。Ar1は2価のアリーレン、nは2〜18の整数を表す。)
  2. 記共吸着剤の非共役結合部位が、アルキレン基及び/またはエーテル基を含む共有結合しない2価の連結基であることを特徴とする請求項1に記載の完全固体型色素増感型太陽電池。
  3. 記共吸着剤が下記一般式(2)で表される共吸着剤であることを特徴とする請求項1または2に記載の完全固体型色素増感型太陽電池
    (式中、Xは窒素原子を含むホール輸送性構造を表し、R4はアルキレン基及び/またはエーテル基を含む共有結合しない2価の連結基を表す。Yは酸性基を表す。)
  4. 前記一般式(2)の窒素原子を含むホール輸送性構造Xが、下記一般式(4)で表される構造であることを特徴とする請求項3に記載の完全固体型色素増感型太陽電池。
    (式中、R7、R8はアルキル基、アルケニル基、アリール基、N原子と共にヘテロ環またはヘテロ環残基を構成するに必要な部位を表し、R9は2価のアルキレン、2価のアリーレン、2価のヘテロ環を表す。R7とR8、R8とR9、R7とR9は、これらそれぞれの残基が直接または2価の炭化水素を介して間接的に結合し、環状構造を形成してもよい。)
  5. 前記一般式(2)で表される共吸着剤が、下記一般式(6)で表される共吸着剤であることを特徴とする請求項3または4に記載の完全固体型色素増感型太陽電池。
    (式中、R7、R8はアルキル基、アルケニル基、アリール基、N原子と共にヘテロ環またはヘテロ環残基を構成するに必要な部位を表し、R9は2価のアルキレン、2価のアリーレン、2価のヘテロ環を表す。R7とR8、R8とR9、R7とR9は、これらそれぞれの残基が直接または2価の炭化水素を介して間接的に結合し、環状構造を形成してもよい。R14は2価のアルキレン、アリーレンを表す。nは2〜18の整数、mは0、1を表す。)
  6. 前記電子輸送層は、ナノ粒子からなるn型酸化物半導体で形成されたものであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の完全固体型色素増感型太陽電池。
  7. 前記酸化物半導体が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ニオブの少なくとも1種以上から選ばれたものであることを特徴とする請求項6に記載の完全固体型色素増感型太陽電池。
  8. 前記第二電極が有機導電体を含有するものであり、該有機導電体が、下記一般式(7)で表されるドナー性化合物と下記一般式(8)で表されるアクセプター性化合物を含有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の完全固体型色素増感型太陽電池。
    (式中、Ar2、Ar3は酸素原子、硫黄原子、セレン、またはテルルを含むヘテロ環を表す。)
    (式中、Ar4は2価のアリーレン、O、S、Se、またはNを含むヘテロ環を表し、R15、R16、R17、R18は電子吸引性基を表す。)
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