図1は、本発明の一実施形態である部品装着システム100の概略図である。
図示するように部品装着システム100は、部品装着設定装置110と、部品装着装置130と、を備えており、これらの部品装着設定装置110及び部品装着装置130は、ネットワーク150を介して、情報の送受信を行うことができるようにされている。なお、図1では、部品装着装置130が三つ示されているが、このような数に限定されるわけではなく、少なくとも一つ以上備えていればよい。
ここで、本実施形態である部品装着システム100は、上流工程(クリーム半田印刷工程等)から、ベルトコンベア等の基板搬送装置160により搬送されてくる基板161に対して、部品装着装置130で部品162を装着し、下流工程(リフロー工程等)に投入するものである。
そして、部品装着設定装置110は、部品装着システム100のオペレータより所定の情報の入力を受け付けて記憶部111に記憶し、後述する部品装着設定データ生成部122で、部品供給ユニットの配置及び部品装着順序を特定する情報を含む部品装着設定データを生成して、各部品装着装置130にネットワーク150を介して配信し、部品装着装置130は、部品装着設定装置110から受信した部品装着設定データに基づいて、部品の装着を行う。
図2は、部品装着設定装置110の概略図である。
図示するように、部品装着設定装置110は、記憶部111と、制御部120と、入力部123と、通信部124と、出力部125と、を備える。
記憶部111は、部品装着ラインマスタデータ記憶領域112と、部品装着装置マスタデータ記憶領域113と、回路基板マスタデータ記憶領域114と、部品マスタデータ記憶領域115と、生産計画データ記憶領域116と、予備パレット配置データ記憶領域117と、パラメータデータ記憶領域118と、装置別部品装着設定データ記憶領域119と、を備える。
部品装着ラインマスタデータ記憶領域112には、部品の装着ラインを形成する部品装着装置130の配置を特定する情報が記憶される。
例えば、本実施形態においては、図3(部品装着ラインマスタテーブル112aの概略図)に示すような部品装着ラインマスタテーブル112aが部品装着ラインマスタデータ記憶領域112に記憶される。
図示するように、部品ラインマスタテーブル112aは、装置順序欄112bと、装置コード欄112cと、IPアドレス欄112dと、を備える。
装置順序欄112bは、後述する装置コード欄112cで特定される部品装着装置130の配置順序を特定する情報が格納される。本実施形態では、部品装着装置130の配置順序を特定する情報として、図1に示すようなベルトコンベア等の基板搬送装置160により搬送されてくる基板161への部品の装着ラインにおける部品装着装置130の配置を、部品の装着ラインにおける上流から下流に向かって連番となるような順番を特定する情報が本欄に格納されるようにしているが、このような態様に限定されるわけではない。
装置コード欄112cには、部品装着装置130の装置種類を識別するための識別情報(例えば、装置型式)が格納される。ここで、本実施形態においては、装置種類を識別するための識別情報として、各装置種類に予め割り振られている装置コードが格納されるが、このような態様に限定されるわけではない。
IPアドレス欄112dには、装置順序欄112aで特定される部品装着装置130のネットワーク150におけるアドレスを特定する情報が格納される。本実施形態では、各部品装着装置130に割り振られているIPアドレスが本欄に格納されるようにしているが、このような態様に限定されるわけではない。
図2に戻り、部品装着装置マスタデータ記憶領域113には、部品装着装置130のハードウェア構成を特定する情報が格納される。
例えば、本実施形態においては、図4(部品装着装置マスタテーブル113aの概略図)に示されているような部品装着装置マスタテーブル113aが格納される。
図示するように、部品装着装置マスタテーブル113aは、装置コード欄113bと、装置種別欄113cと、パレット数欄113dと、パレット幅欄113eと、装着ヘッド数欄113fと、を備える。
装置コード欄113bには、部品装着装置130の装置種類を識別するための識別情報が格納される。ここで、本実施形態においては、装置種類を識別するための識別情報として、各装置種類に予め割り振られている装置コードが格納されるが、このような態様に限定されるわけではない。
装置種別欄113cには、装置コード欄113bで特定される部品装着装置130の装置種類の分類を特定する情報が格納される。ここで、本実施形態では、部品装着装置130の装置種類の分類として、ターレット型のものと、ガントリ型のものと、を想定しているため、「ターレット」又は「ガントリ」の文字列の何れか一方が本欄に格納されるようにしているが、このような態様に限定されるわけではない。
パレット数欄113dには、装置コード欄113bで特定される装置種類の部品装着装置130が有するパレットの数を特定する情報が格納される。
パレット幅欄113eには、装置コード欄113bで特定される装置種類の部品装着装置130が有する各々のパレットに搭載可能な部品供給ユニットの数を特定する情報が格納される。
装着ヘッド数欄113fには、装置コード欄113bで特定される装置種類の部品装着装置130が有する装着ヘッドの数を特定する情報が格納される。
図2に戻り、回路基板マスタデータ記憶領域114には、部品装着システム100においてそれぞれの基板種類の基板に装着する部品の位置、種類を特定する情報が格納される。
例えば、本実施形態においては、図5(回路基板マスタテーブル114aの概略図)に示すような回路基板マスタテーブル114aが格納される。
図示するように、回路基板マスタテーブル114aは、基板コード欄114bと、装着座標欄114cと、角度欄114dと、部品コード欄114eと、を備える。
基板コード欄114bには、後述する装着座標欄114c、角度欄114d及び部品コード欄114eで特定される部品を装着する基板の基板種類を識別するための識別情報(例えば、基板型式)が格納される。ここで、本実施形態においては、各基板種類に割り振られている基板コードが本欄に格納されるようにしているが、このような態様に限定されるわけではない。
装着座標欄114cには、基板コード欄114bで特定される種類の基板に対して、後述する部品コード欄114eで特定される種類の部品を装着する基板上の位置を特定する情報が格納される。ここで、本実施形態においては、部品を装着する基板上の位置を特定する情報として、例えば、基板の左下の予め定められた位置を原点とするX軸及びY軸で構成される座標上の位置を特定するようにしているが、このような態様に限定されるわけではない。
角度欄114dには、基板コード欄114bで特定される種類の基板に対して、後述する部品コード欄114eで特定される種類の部品を装着する基板に対する角度を特定する情報が格納される。ここで、本実施形態においては、基板に対する水平方向(例えば、X軸方向)を0°として、部品の装着角度を特定しているが、このような態様に限定されるわけではない。
部品コード欄114eには、基板コード欄114bで特定される種類の基板に装着する部品の部品種類を特定する情報(例えば、部品型式)が格納される。ここで、本実施形態においては、部品の種類を特定する情報として、部品種類毎に予め割り振られた部品コードが本欄に格納されるようにしているが、このような態様に限定されるわけではない。
図2に戻り、部品マスタデータ記憶領域115には、部品装着システム100において装着する部品の構成を特定する情報が格納される。
例えば、本実施形態においては、図6(部品マスタテーブル115aの概略図)に示すような部品マスタテーブル115aが格納される。
図示するように、部品マスタテーブル115aは、部品コード欄115bと、部品サイズ欄115と、重量欄115dと、を備える。
部品コード欄115bには、部品種類を特定する情報が格納される。ここで、本実施形態においては、部品種類を特定する情報として、部品種類毎に予め割り振られた部品コードが本欄に格納されるようにしているが、このような態様に限定されるわけではない。
部品サイズ欄115cには、部品コード欄115bで特定される種類の部品のサイズを特定する情報が格納される。ここで、本実施形態においては、部品のサイズとして、部品の幅xと、部品の奥行きyと、部品の高さhと、により部品のサイズを特定するようにしているが、このような態様に限定されるわけではない。
重量欄115dには、部品コード欄115bで特定される種類の部品の重量を特定する情報が格納される。
なお、以上に記載した部品装着ラインマスタデータ記憶領域112、部品装着装置マスタデータ記憶領域113、回路基板マスタデータ記憶領域114、および、部品マスタデータ記憶領域115、に記憶する情報については、部品装着システム100のオペレータが入力部123を介して、または、他の装置で生成して通信部124を介して、予め記憶部111に記憶しておく。
図2に戻り、生産計画データ記憶領域116には、部品装着システム100で部品を装着する生産計画を特定する情報が格納される。ここで、本実施形態においては、部品装着システム100で部品を装着する各々の基板の種類、枚数及び順序を特定する情報が格納される。
例えば、本実施形態においては、図7(生産計画テーブル116aの概略図)に示すような生産計画テーブル116aが格納される。
図示するように、生産計画テーブル116aは、基板コード欄116bと、生産枚数欄116cと、投入順序欄116dと、を備える。
基板コード欄116bには、部品装着システム100で部品を装着する基板種類を識別するための識別情報が格納される。ここで、本実施形態においては、基板種類を識別するための識別情報として、各基板種類に予め割り振られている基板コードが格納されるが、このような態様に限定されるわけではない。
生産枚数欄116cには、基板コード欄116bで特定される種類の基板を生産する枚数を特定する情報が格納される。
投入順序欄116には、基板コード欄116bで特定される種類の基板を部品装着システム100に投入する順序を特定する情報が格納される。
なお、生産計画テーブル116aのうち、基板コード欄116b及び生産枚数欄116cに格納される情報については、部品装着システム100のオペレータが入力部123を介して、または、他の装置で生成して通信部124を介して、予め格納しておき、投入順序欄116dについては、後述する部品装着設定データ生成部122が特定して格納する。
以下、生産計画テーブルの各レコードに含まれる基板種類と生産枚数の組を基板セットと呼ぶ。
図2に戻り、予備パレット配置データ記憶領域117には、部品装着システム100に配置される部品装着装置130の予備パレットの数を特定する情報が記憶される。
例えば、本実施形態においては、図8(予備パレット配置テーブル117aの概略図)に示すような予備パレット配置テーブル117aが格納される。
図示するように、予備パレット配置テーブル117aは、装置順序欄117bと、パレット番号欄117cと、予備パレット数欄117dと、を備える。
装置順序欄117bには、部品装着装置130の配置順序を特定する情報が格納される。本実施形態では、部品装着装置130の配置順序を特定する情報として、図1に示すようなベルトコンベア等の基板搬送装置160により搬送されてくる基板161への部品の装着ラインにおける部品装着装置130の配置を、部品の装着ラインにおける上流から下流に向かって連番となるような順番を特定する情報が本欄に格納されるようにしているが、このような態様に限定されるわけではない。
パレット番号欄117cには、部品装着装置130が使用するパレットを一意に識別することのできる識別情報が格納される。ここで、本実施形態においては、各部品装着装置130が備えるパレットに対して予め割り振られている通番を本欄に格納するようにしているが、このような態様に限定されるわけではない。
予備パレット数欄117dには、装置順序欄117bで特定される位置に配置される部品装着装置130において、パレット番号欄117cで特定されるパレットに配置される予備パレット数を特定する情報が格納される。
図2に戻り、パラメータデータ記憶領域118には、部品装着設定装置110で計算を行う際に必要なパラメータを特定する情報が格納される。
なお、以上に記載した予備パレット配置データ記憶領域117及びパラメータデータ記憶領域118に記憶する情報については、部品装着システム100のオペレータが入力部123を介して、または、他の装置で生成して通信部124を介して、予め記憶部111に記憶しておく。
例えば、本実施形態においては、制御部120の部品装着設定データ生成部122が、図9(条件入力画面151の概略図)に示すような条件入力画面151を出力部125に表示して、オペレータからの入力を受け付けて、予備パレット配置データ記憶領域117及びパラメータデータ記憶領域118に入力された情報を記憶するようにすることが望ましい。
図9に示す条件入力画面151において、生産計画データ入力欄151aには、生産計画データテーブル116aのファイル名が入力される。部品装着設定装置110は、生産計画データ入力欄151aに入力されたファイル名のファイルを、例えば、ネットワーク150に接続された外部データベース(図示せず)から読み込み、読み込み結果を、条件入力画面151の生産計画データ表示欄151bに表示して、入力部123を介して編集を受け付け、生産計画データ記憶領域116に記憶する。
また、条件入力画面151において、生産ラインデータ入力欄151cには、部品装着ラインマスタテーブル112aのファイル名が入力される。部品装着設定装置110は、生産ラインデータ入力欄151cに入力されたファイル名のファイルを、例えば、ネットワーク150に接続された外部データベース(図示せず)から読み込み、読み込み結果を、生産ラインデータ表示欄151d、および、予備パレット配置入力欄151eに表示して、入力部123を介して編集を受け付け、部品装着ラインマスタデータ記憶領域112及び予備パレット配置データ記憶領域117に記憶する。
また、条件入力画面151において、段取作業人員数入力欄151fには、段取作業人員数が入力される。入力部123を介して入力された段取作業人数については、パラメータデータ記憶領域118に記憶される。
さらに、条件入力画面151において、単位段取時間入力欄151gには、部品供給ユニット1本当りの段取時間である単位段取時間が入力される。入力部123を介して入力された単位段取時間については、パラメータデータ記憶領域118に記憶される。
そして、条件入力画面151において、段取戦略選択欄151hには、ユニーク段取選択入力欄151iと、グループ段取選択入力欄151jと、外段取選択入力欄151kと、が設けられており、この中から、外段取選択入力欄151kにおいて外段取が選択された場合に、部品装着設定装置110は、本発明の部品装着設定方法の手順を実行する。
なお、条件入力画面151において、予備パレット配置入力欄151eでは、部品装着ラインの上流から下流に向けて、部品装着装置130をグラフィカルに表現した図を利用して、生産ラインを構成する各パレットに対して、予備パレット数を入力することができるようにされている。更に、パレットを一括交換できないパレットに対しては、部品装着設定装置110の部品装着設定データ生成部122が、事前に「0」を表示しておき、オペレータによる編集を不可とする等の入力支援を行っても良い。
図2に戻り、装置別部品装着設定データ記憶領域119には、各々の部品装着装置130及び各々の基板毎に、部品供給ユニットを取り付ける位置と、各部品供給ユニットから取得した部品を装着する順序と、を特定する情報が、格納される。
例えば、本実施形態においては、図10(部品装着設定テーブル119aの概略図)に示すような部品装着設定テーブル119aが記憶される。
図示するように、部品装着設定テーブル119aは、基板セクション119bと、部品供給ユニット配置セクション119cと、部品装着順序セクション119dと、を備えている。
基板セクション119bには、部品装着設定テーブル119aに基づいて部品の装着を行う基板の種類を特定する情報が格納される。ここで、本実施形態においては、各々の基板種類毎に割り振られる基板コードが格納されるがこのような態様に限定されるわけではない。
部品供給ユニット配置セクション119cには、部品供給ユニットに格納された部品を配置する位置を特定する情報が格納される。
ここで、本実施形態においては、部品装着ラインマスタテーブル112aの装置順序欄112bに格納されている配置に基づいて、各部品装着装置130が有するパレット数とパレット幅(部品供給ユニットの搭載数)を部品装着装置マスタテーブル113aのパレット数欄113d及びパレット幅欄113eより特定し、部品供給ユニットを搭載する位置に、予め定められた識別情報(例えば、一方の端から順に連番で付された位置番号等)を割り振り、当該識別情報を各々の部品毎に格納する。
例えば、本実施形態においては、部品供給ユニット配置セクション119cは、位置欄119eと、部品コード欄119fと、を有する。
そして、位置欄119eには、後述する部品コード欄119fで特定される種類の部品を格納する部品供給ユニットを搭載する位置番号が格納される。
また、部品コード欄119fには、各部品種類を識別するための識別情報(本実施形態では、部品コード)が格納される。
部品装着順序セクション119dには、部品の装着順序を特定する情報が格納される。
例えば、本実施形態においては、装着座標欄119gと、角度欄119hと、部品供給ユニット位置欄119iと、装着ヘッド番号欄119jと、装着順序欄119kと、を備える。
装着座標欄119gには、後述する部品供給ユニット位置欄119iで特定される部品供給ユニットに格納される部品を装着する基板上の位置を特定する情報が格納される。ここで、本実施形態においては、回路基板マスタデータ記憶領域114に記憶されている回路基板マスタテーブル114aの装着座標欄114cに対応する座標位置が格納される。
角度欄119hには、後述する部品供給ユニット位置欄119iで特定される部品供給ユニットに格納される部品を装着する角度を特定する情報が格納される。ここで、本実施形態においては、回路基板マスタデータ記憶領域114に記憶されている回路基板マスタテーブル114aの角度欄114dに対応する角度情報が格納される。
部品供給ユニット位置欄119iには、装着座標欄119gで特定される基板の位置に装着する部品を格納する部品供給ユニットが装着されるパレット上の位置を特定する情報が格納される。ここで、本実施形態においては、部品供給ユニット配置セクション119cにおける位置欄119eに対応する情報が格納される。
装着ヘッド番号欄119jには、部品供給ユニット位置欄119iで特定される部品供給ユニットに搭載される部品を吸着する装着ヘッドを識別する情報が格納される。例えば、本実施形態においては、各部品装着装置130が有する装着ヘッドの各々に連番で識別番号を割り振っておき、割り振った識別番号を本欄に格納する。
装着順序欄119kには、部品供給ユニット位置欄119iで特定される部品供給ユニットに搭載される部品を吸着した装着ヘッドから基板に当該部品を装着する順番を特定する情報が格納される。
なお、装置別部品装着設定データ記憶領域119に記憶されるデータについては、後述する部品装着設定データ生成部122において生成され記憶される。
図2に戻り、制御部120は、全体制御部121と、部品装着設定データ生成部122と、を備える。
全体制御部121は、部品装着設定装置110での全体的な処理を制御する。
部品装着設定データ生成部122は、入力部123を介して入力されたデータ及び記憶部111に記憶されているデータに基づいて、生産計画テーブル116aにおける投入順序欄116dに格納する基板の投入順序と、部品装着設定テーブル119aにおける部品供給ユニットの配置を示す部品供給ユニット配置セクション119cに格納する情報と、部品の装着順序を示す部品装着順序セクション119dに格納する情報と、を部品装着装置130毎に算出して記憶部111に記憶する。なお、部品装着設定データ生成部122での具体的な処理については、後述のPAD(Problem Analysis Diagram)を用いて説明する。
入力部123は、部品装着設定装置のオペレータから情報の入力を受け付ける。
通信部124は、ネットワーク150を介して情報の送受信を行う。
出力部125は、情報を所定の形式で出力する。
以上に記載した部品装着設定装置110は、例えば、図11(コンピュータ170の概略図)に示すような、CPU171と、メモリ172と、HDD等の外部記憶装置173と、CD−ROMやDVD−ROM等の可搬性を有する記憶媒体174から情報を読み出す読取装置175と、キーボードやマウスなどの入力装置176と、ディスプレイなどの出力装置177と、通信ネットワークに接続するためのNIC(Network Interface Card)等の通信装置178と、を備えた一般的なコンピュータ170で実現できる。
例えば、記憶部111は、CPU171がメモリ172又は外部記憶装置173を利用することにより実現可能であり、制御部120は、外部記憶装置173に記憶されている所定のプログラムをメモリ172にロードしてCPU171で実行することで実現可能であり、入力部123は、CPU171が入力装置176を利用することで実現可能であり、通信部124は、CPU171が通信装置178を利用することで実現可能であり、出力部125は、CPU171が出力装置177を利用することで実現可能である。
この所定のプログラムは、読取装置175を介して記憶媒体174から、あるいは、通信装置178を介してネットワークから、外部記憶装置173にダウンロードされ、それから、メモリ172上にロードされてCPU171により実行されるようにしてもよい。また、読取装置175を介して記憶媒体174から、あるいは、通信装置178を介してネットワークから、メモリ172上に直接ロードされ、CPU171により実行されるようにしてもよい。
図12は、部品装着装置130の概略図である。
図示するように、部品装着装置130は、記憶部131と、制御部135と、部品装着部138と、パレット139と、通信部140と、を備える。
記憶部131は、部品装着設定データ記憶領域132と、部品マスタデータ記憶領域133と、生産計画データ記憶領域134と、を備える。
部品装着設定データ記憶領域132には、各々の基板種類毎に、部品供給ユニットを取り付ける位置と、各部品供給ユニットから取得した部品を装着する順序と、を特定する情報が、格納される。
ここで、本実施形態においては、図10に示すような部品装着設定テーブル119aがネットワーク150を介して部品装着設定装置110から受信され、本領域に記憶されるが、このような態様に限定されるわけではなく、例えば、可搬性を有する記憶媒体等を介して部品装着装置130に読み込み、記憶部131に記憶するようにしても良く、また、オペレータが入力部(図示せず)を介して入力しても良い。
部品マスタデータ記憶領域133には、部品装着システム100において装着する部品の構成を特定する情報が格納される。
ここで、本実施形態においては、図6に示すような部品マスタテーブル115aが格納される。
なお、この部品マスタテーブル115aについても、部品装着設定装置110からネットワーク150を介して受信し、本領域に記憶するようにしているが、このような態様に限定されるわけではなく、可搬性を有する記憶媒体等を介して部品装着装置130に読み込み、本領域に記憶するようにしてもよく、また、オペレータが入力部(図示せず)を介して入力しても良い。
生産計画データ記憶領域134には、部品装着システム100で部品を装着する生産計画を特定する情報が格納される。ここで、本実施形態においては、部品装着システム100で部品を装着する各々の基板の枚数及び順序を特定する情報が格納される。
ここで、本実施形態においては、図7に示すような生産計画テーブル116aが格納される。なお、この生産計画テーブル116aについては、部品装着設定装置110からネットワーク150を介して受信し、本領域に記憶するようにしているが、このような態様に限定されるわけではなく、可搬性を有する記憶媒体等を介して部品装着装置130に読み込み、本領域に記憶するようにしてもよい。
制御部135は、全体制御部136と、部品装着処理部137と、を備える。
全体制御部136は、部品装着装置130における処理全体を制御する。
部品装着処理部137は、記憶部131に記憶されているデータに基づいて、後述する部品装着部138及びパレット139を制御して、図1に示すベルトコンベア等の基板搬送装置160により搬送されてくる基板161に部品を装着する処理を制御する。
部品装着部138は、パレットに搭載されている部品供給ユニットから部品を吸着し、基板に部品を装着する。
パレット139は、搭載された部品供給ユニットを制御して、部品装着部138の部品吸着位置に部品を供給する。
以上に記載した部品装着部138と、パレット139については、例えば、図13又は図14に示すような装置で実現可能である。
図13は、ターレット型部品装着装置180の平面図である。
図示するように、ターレット型部品装着装置180は、複数の部品供給ユニット181を搭載し、一方向に平行移動する少なくとも一つ以上のパレット182と、少なくとも一つ以上の装着ヘッド183を備え、間欠回動する回転テーブル184と、基板161を載置し、XY方向に移動するXYテーブル185と、より構成される。
このターレット型部品装着装置180は、パレット182を一方向に平行移動することで、所望の部品を供給する部品供給ユニットを部品供給位置(装着ヘッド183の吸着位置)に位置決めし、装着ヘッド183を用いて、部品供給位置に供給された部品を吸着する。そして、この吸着動作と同時に、XYテーブル185を移動させることにより、基板161上の所望の座標を、装着ヘッド183の部品装着位置に位置決めし、部品装着位置に位置決めされた基板161上の座標に、装着ヘッド183が保持している部品を解放することで装着する。さらに、回転テーブル184を間欠回動することにより、装着ヘッド183を、部品供給位置と、部品装着位置と、に移動させる。
即ち、ターレット型部品装着装置180では、部品装着部138は、パレット182の移動機構と、回転テーブル184と、装着ヘッド183と、XYテーブル185とにより構成される。
以上で説明したターレット型部品装着装置180では、部品装着設定テーブル119aにより設定された部品を装着するために、移動させる必要のないパレットが生じることがある。
例えば、図13に示す例では、基板161上に搭載する部品を搭載したパレットと、そのようなパレットに挟まれたパレットの群(以下、使用中パレット群)186は、部品を装着するために移動させる必要があるが、それ以外のパレット群(以下、休止中パレット群)187は、当該基板161と同じ種類の基板に部品を装着する際には、移動させる必要がない。
なお、本発明に係るターレット型部品装着装置180では、部品装着処理部137により、また、パレット182を安全に固定するセーフティロック(図示せず)により、部品装着動作中も、休止中パレット群187に対する部品供給ユニット181の着脱を、オペレータが安全にできるように制御する。
図14は、ガントリ型部品装着装置190の平面図である。
図示するように、ガントリ型部品装着装置190は、複数の部品供給ユニット191を搭載する少なくとも一つ以上のパレット192と、XYロボット193により移動する少なくとも一つ以上の装着ヘッド194と、基板161を載置するテーブル195と、により構成される。
このようなガントリ型部品装着装置190において、装着ヘッド194は、XYロボット193により所望の部品を格納した部品供給ユニットの位置まで移動され、供給された部品を吸着し、XYロボット193により基板161上の所望の座標まで移動され、保持する部品を解放することで基板161に装着する。
即ち、ガントリ型部品装着装置190では、部品装着部138は、XYロボット193と、装着ヘッド194と、により構成されることになる。
このようなガントリ型部品装着装置190においては、予備のパレット192を備えておくことで、ある種類の基板に部品を装着している間に、次に部品を装着する基板の種類で使用する部品を格納した部品供給ユニットを予備のパレットに搭載することで、段取り作業に要する時間を短縮することができる。
本発明に係わる部品装着部138及びパレット139は、以上に記載したターレット型部品装着装置180、ガントリ型部品装着装置190の二種類に限らないため、以下の説明では、部品装着装置の機構、及び、1つ以上の部品装着装置により構成される部品装着ラインの一般的な表現として、以下で説明する部品装着ライン表記法を用いる。
図15は、部品装着ラインの主たる構成要素を意味する記述記号である。以下の記法では、これらの記号を結合(線分、若しくは、有向線分でつなぐ)させるか、記号を境界線で囲うことにより、部品装着ラインを表現する。
以下、特筆しない場合には、「結合」は、「線分で結合」することを意味する。
図15において、記号201は部品装着部138を表す記号(以下、部品装着部記号)であり、1つ以上のパレット139を表す記号202(以下、パレット記号202)、並びに、1つ以上の基板を表す記号204(以下、回路基板記号204)と結合される。
前記部品装着部記号201と結合されたパレット記号202、並びに、回路基板記号204はそれぞれ、該部品装着部記号201が表わす部品装着部138により装着される部品を供給するパレット139、該部品装着部記号201が表わす部品装着部138が部品を装着する基板を表す。
図15において、記号202はパレット139を表す記号であり、1つ以上の部品装着部記号201、並びに、0個以上のパレット一括交換機構を表す記号203(以下、パレット一括交換機構記号)と結合される。
前記パレット記号202と結合されたパレット一括交換機構記号203は、該パレット一括交換機構記号203が表わすパレット一括交換機構により、該パレット一括交換機構記号203と結合されたパレット記号202が表わすパレット(予備パレット)139と一括で交換できることを表す。
図15において、記号203はパレット一括交換機構記号であり、1つ以上のパレット記号202と結合される。
前記パレット一括交換機構記号203と結合されたパレット記号202は、該パレット一括交換機構記号203が表わすパレット一括交換機構により、該パレット記号202が表わすパレット139同士を一括で交換できることを表す。
図15において、記号204は回路基板記号であり、1つ以上の部品装着部記号1301と結合される。
前記回路基板記号204と結合された部品装着部記号201は、該部品装着部記号201が表わす部品装着部138が、該回路基板記号204が表わす基板に対して部品を装着することを表す。
更に、前記回路基板記号204は0個以上の回路基板記号204と有向線分で結合される。
前記回路基板記号204と結合された回路基板記号204は、結合に用いられた有向線分の始点(矢を持たない端点)と結合された回路基板記号204と結合された部品装着部記号201が表わす部品装着部138による部品装着を完了した後、搬送手段を用いて基板を搬送し、有向線分の終点(矢を持つ端点)と結合された回路基板記号204と結合された部品装着部記号201が表わす部品装着部138による部品装着を行うことを意味する(例えば、図1に示すように、複数台の部品装着装置130から構成される部品装着ラインでは、上流にある部品装着装置130で部品161を装着した後、下流にある部品装着装置130で部品161を装着する)。
図15において、記号205はステージ境界記号であり、1つの回路基板記号204、及び、該回路基板記号204と直接、及び、間接的に結合された、部品装着部記号201、並びに、パレット記号202、並びに、パレット一括交換機構記号203、を内に含む(前記ステージ境界記号で囲われた前記各記号が表わす装置構成要素の集合をステージと呼ぶ)。
図15において、記号206は装置境界記号であり、1つ以上のステージ境界記号を内に含む(前記装置境界記号で囲われた前記ステージ境界記号が表わすステージの集合により装置が構成される)。
図16は、以上で説明した部品装着システム表記法を用いて、ターレット型部品装着装置と、ガントリ型部品装着装置と、により構成される部品装着ライン(ターレット型部品装着装置がライン上流の場合)を表現した例である。
図16において、ターレット型部品装着装置210は部品装着部を1つと、一括交換できないパレットを4つとを備えた1ステージ構成である。
図16において、ガントリ型部品装着装置220は部品装着部を2つと、パレットを4つと、パレット一括交換機構を4つ(内、2つのパレット一括交換機構には、夫々予備パレットが1つ用意されており、一括で交換可能)とを備えた2ステージ構成である。
前記の部品装着設定装置110は、以上で説明した部品装着ライン表記法を用いて表現可能な部品装着ラインを対象とし、休止中パレット群、並びに、予備パレットにおける、部品装着装置130が稼働中の部品交換作業を活用する部品装着設定を算出するものである。
図12に戻り、通信部140は、ネットワーク150を介して情報の送受信を行う。
以上に記載した部品装着装置130においては、例えば、制御部135は、所定のプログラムをCPUで実行することにより実現可能であり、記憶部131は、CPUがハードディスク等の補助記憶装置やメモリ等の主記憶装置を利用することにより実現可能であり、通信部140は、CPUがNIC等の通信装置を利用することにより実現可能である。
図17は、部品装着設定装置110において、部品装着設定テーブル119aを生成して、各部品装着装置130に配信する処理を示すPADである。
なお、PADについては、二村良彦著、「情報工学基礎講座4 プログラム技法 PADによる構造化プログラミング」、オーム社、1984年に詳細に記載されている。
まず、部品装着設定装置110の部品装着設定データ生成部122は、入力部123を介して各種パラメータ(例えば、各入力データファイル名、単位段取時間、段取作業人員数)の入力を受け付ける(S1001)。この際、部品装着設定データ生成部122は、出力部125に図9に示すような条件入力画面151を表示して、入力を受け付ける。なお、このようにして受け付けたパラメータについては、記憶部111のパラメータデータ記憶領域118等に記憶する。
次に、部品装着設定データ生成部122は、部品装着ラインマスタテーブル112aと、部品装着装置マスタテーブル113aと、予備パレット配置テーブル117aと、を参照して、部品装着ラインに配置された部品装着装置130が備える全ての部品装着部138が有する予備パレット数を調査し、その最頻値Kを取得する(S1002)。なお、最頻値Kは、部品装着ラインに配置された部品装着装置130が備える全ての部品装着部138が有する予備パレット数の内で、最も多くの部品装着部138が備える予備パレットの数である。なお、パレット一括交換機構を備えていないパレット139を使用する部品装着部138では、予備パレット数を「1」と見做して算出を行うが、このような態様に限定されるわけではない。
ここで、以下の説明では、パレット一括交換機構記号に複数のパレット記号が結合されている場合には、該パレット記号が表わすパレット139を順番に使用する実施形態を想定する。即ち、パレット一括交換機構記号に3つのパレット記号が結合されている場合(使用パレット1個、予備パレット2個の場合)を考えると、3つのパレットA、B、Cを、A→B→C→A→B→C→A→・・・の順番で使用する。
このことから、部品装着装置130が稼働中の予備パレットにおける段取作業の工数(部品供給ユニット交換数)が少ない部品装着設定を算出するためには、予備パレット数がK(Kは1以上の自然数)の場合、i(iは1以上の自然数)番目に投入する基板セットと、i+K番目に投入する基板セットへの部品装着に必要な部品が類似(例えば、共通で必要な部品種類の数が多い)となるように、基板セットの投入順序を設定することにより、i番目の基板セットに装着する部品と、i+K番目の基板セットに装着する部品と、を同じ位置に配置して、その差分である外段取の作業量を少なくすることができる。
なお、ステップS1002での処理については、図18を用いて後述する。
次に、部品装着設定データ生成部122は、回路基板マスタテーブル114a及び生産計画テーブル116aを記憶部111から読み込み、ステップS1002で取得した最頻値Kに対応させて、基板セットをK個の集合(以下、類似基板系統)に分ける(S1003)。
この時、それぞれの類似基板系統に含まれる基板セットの数が均衡しており(例えば、任意に2つの類似基板系統を選択した際に、それぞれの類似基板系統に含まれる基板セットの数の差が±1に収まるようにする)、かつ、複数の類似基板系統で共通して必要とされる部品種類の数が少なくなるように、類似基板系統を作成する。
なお、ステップS1003での処理については、図19を用いて後述する。
次に、部品装着設定データ生成部122は、基板セットの投入順序(基板投入順序)を算出する(S1004)。この処理については、図25を用いて後述する。
次に、部品装着設定データ生成部122は、各部品装着装置130における、各基板への部品装着時の部品供給ユニットの配置を算出する(S1005)。この処理については、図27を用いて後述する。
次に、部品装着設定データ生成部122は、各部品装着装置130における、各基板セットへの部品装着時の部品装着順序を設定する(S1006)。なお、この部品装着順序設定処理に関しては、公知技術を用いて設定すればよいため(例えば、下記の非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4)、詳細な説明は省略するが、本実施形態では、2−opt近傍を用いた局所探索法を用いる例を最良とする。
非特許文献2:Jouni Smed、Mika Johnsson、Tommi Johtela、and Olli Nevalainen、Techniques and Applications of Production Planning in Electronics Manufacturing Systems、 TUCS Technical Report、No 320、ISBN 952-12-0577-6、1999
非特許文献3:Kimberly P.Ellis、Fernando J.Vittes、and John E.Kobza、Optimizing the Performance of a Surface Mount Placement Machine、IEEE Transactions on Electronics Packaging Manufacturing、Vol. 24、No. 3、pp. 160-169、2001
非特許文献4:Wonsik LEE、Sunghan LEE、Beomhee LEE、and Youngdae LEE、A Genetic Optimization Approach to Operation of a Multi-head Surface Mounting Machine、IEICE Transactions Fundamentals、Vol. E83-A、No. 9、pp. 1748-1756、2000
次に、部品装着設定データ生成部122は、ステップS1004、S1005、S1006において算出した、基板セットの投入順序と、各部品装着装置130における基板セット毎の部品装着時の部品供給ユニットの配置(搭載位置)と、を記憶部111に記憶する(S1007)。
具体的には、部品装着設定データ生成部122は、ステップS1004で算出した基板セットの投入順序を生産計画テーブル116aの投入順序欄116dに格納し、また、ステップS1005で算出した、各部品装着装置130における各基板セットへの部品装着時の部品供給ユニット配置(搭載位置)を部品装着設定テーブル119aの部品供給ユニット配置セクション119cに格納し、ステップS1006で算出した、各部品装着装置130における各基板セットへの部品装着順序を部品装着設定テーブル119aの部品装着順序セクション119dに必要な情報とともに格納する。
そして、部品装着設定装置110の全体制御部119は、生産計画テーブル116aと、装置別の部品装着設定テーブル117aと、を、部品装着ラインマスタテーブル112aを参照して、各部品装着装置130に配信する(S1008)。
図18は、図17のステップS1002における最頻予備パレット数取得処理を示すPADである。
まず、部品装着設定データ生成部122は、予備パレット数をカウントするための予備パレット数カウント用配列Count[]を0でクリアする(なお、Count[k]には予備パレット数がkであるパレット139の数(頻度)を格納する)(S1010)。
次に、部品装着設定データ生成部122は、部品装着ラインマスタテーブル112aと、部品装着装置マスタテーブル113aと、を参照して、部品装着ラインを構成する全ての部品装着部138を対象に、部品装着部hを一つずつ特定して、後述するステップS1012〜S1017を実行し、予備パレット数カウント用配列に値を格納する(S1011)。
ステップS1012では、部品装着設定データ生成部122は、部品装着装置マスタテーブル113aと、予備パレット配置テーブル117aと、を参照して、ステップS1011で特定した部品装着部hが、予備パレットとの一括交換ができないパレット139を2つ以上備えるかを判定し、真の場合(例えば、ターレット型部品装着装置)には、ステップS1013に進む。
そして、ステップS1013では、部品装着設定データ生成部122は、予備パレット数カウント用配列のCount[1]の値を「1」増加する。
また、ステップS1014では、部品装着設定データ生成部122は、ステップS1011で特定した部品装着部hが、予備パレットとの一括交換可能のパレット139を備えるかを判定し、真の場合(例えば、予備パレットを備えたガントリ型部品装着装置)には、ステップS1015〜S1017を実行する。
そして、ステップS1015では、部品装着設定データ生成部122は、予備パレット配置テーブル117aを参照して、予備パレットを備える全てのパレット139を対象に、当該パレットpを一つずつ特定して、後述する処理ステップS1016及びS1017を実行する。
ステップS1016では、ステップS1015で特定されたパレットpの予備パレット数Eを取得する。
そして、ステップS1017では、部品装着設定データ生成部122は、予備パレット数Eを指すカウンタCount[E]の値を「1」増加する。
以上の処理を全ての部品装着部138に行い、部品装着設定データ生成部122は、予備パレット数カウント用配列Count[*]に格納されている値を全て調べ、カウンタの値が最大の予備パレット数(最頻予備パレット数)を最頻値Kとして取得する(S1018)。
図19は、図17のステップS1003における類似基板系統作成処理を示すPADである。
まず、部品装着設定データ生成部122は、部品−基板対応行列を生成し、部品−基板対応グラフを構築する(S1020)。以下、図20及び21を用いてこの処理について詳述する。
図20は、部品−基板対応行列152の概略図である。
部品装着設定データ生成部122は、部品マスタテーブル115a及び生産計画テーブル116aを参照して、行方向に部品種類、列方向に基板セットを並べた行列を生成し、回路基板マスタテーブル114aを参照して、各行の部品を必要とする基板セットの対応する欄に「×」の記号を格納することで、図20に示すような部品−基板対応行列152を生成する。
ここで、図20に示すような部品−基板対応行列152は、各列に基板セットを任意の順番で並べ、また、各行に部品を任意の順番で並べたものである。
そして、部品装着設定データ生成部122は、図20に示すような部品−基板対応行列152から、図21(部品−基板対応グラフ153の概略図)に示すような部品−基板対応グラフ153を生成する。
ここで、図21における部品−基板対応グラフ153では、○は基板セット(○内の数字は、基板セットの基板コード)を意味するノード(以下、基板ノード)であり、□は部品種類(□内の数字は部品コード)を意味するネット(以下、部品ネット)であり、各部品ネットに結合される基板ノードは、結合された部品種類を必要とする基板セットを示すノードである。
例えば、図21に示す部品−基板対応グラフ153では、部品種類“Comp-Type1”を示す部品ネットが、基板セット“PCB-set1”を示す基板ノードと、基板セット“PCB-set2”を示す基板ノードとに結合されていることから、“Comp-Type1”が基板セット“PCB-set1”と、基板セット“PCB-set2”において必要とされることが読み取れる。
図19に戻り、部品装着設定データ生成部122は、ステップS1020で構築した部品−基板対応グラフ153を用いて、K-way Balanced Partitioningを算出する(S1021)。
ここで、K-way Balanced Partitioningにおける「K」は、図17のステップS1002で算出した最頻値である。
図22は、図20に示す部品−基板対応行列152において、最頻予備パレット数K=2の場合を想定し、2-way Balanced Partitioningを算出する例を示す概略図である。
図22に示す2-way Balanced Partitioningにおいては、各々の基板ノードは、サイズ(内に含む基板ノードの数)が均衡した2つのパート(図22では、パート1とパート2)に分類されている。これらのパートは、各々、類似基板系統を表しており、各々のパートに含まれる基板ノードが、各々の類似基板系統に属する基板セットを表している。
なお、2-way Balanced Partitioningでは、各パートに含まれる基板ノードの数が「均衡(Balance)」しており、各パートに含まれる基板ノードが共通に必要とする部品(各パートをまたぐネット、以下、カットネットと呼ぶ)の数が少なくなるような最適解を算出するものである。
ここで、本実施形態では、共通部品候補(カットネットが表す部品)の数が少ない行列の並び変えを求める処理を、K-way Balanced Hypergraph Partitioning手法を用いて実現する例を最良とする。与えられたHypergraphのK-way Balanced Partitioningを求める手順は、公知技術であるため(例えば、下記の非特許文献5)詳細の説明は省略するが、本実施例では、Fiduccia-Mattheyses法を用いる例を最良とする。
非特許文献5:David A.Papa and Igor L.Markov、Handbook of Approximation Algorithms And Metaheuristics、Chapman & Hall、ISBN 158-48-8550-5、pp.61-1、2007
図23は、Fiduccia-Mattheyses法を用いた2-way Balanced Partitioningの概略を示すPADである。ここでの処理の概要は、(1)全てのノードを1回だけ(「未移動」、「移動済」フラグで管理して)、カットネット数の改善幅が大きい順に別のノードに移動する。(2)履歴をたどって、「バランスがとれており、カットネット数が最小」の状態を採用する。といった処理を初期解が改善しなくなるまで繰り返し行う。
まず、部品装着設定データ生成部122は、各パートに含まれる基板ノードの数が「均衡(Balance)」するような初期解をランダムに生成する(S1030)。
次に、部品装着設定データ生成部122は、初期解が改善しなくなるまで、後述するステップS1032〜ステップS1037の処理を繰り返す(S1031)。
ステップS1032では、部品装着設定データ生成部122は、全てのノードを「未移動」に設定する。
そして、部品装着設定データ生成部122は、「未移動」のノードがある間、ステップS1034〜ステップS1036の処理を繰り返す(S1033)。
ステップS1034では、部品装着設定データ生成部122は、「未移動」のノードから、移動ノードを探索する。ここで、探索条件は、各パートに含まれる基板ノードの数の均衡(Balance)を回復するのもの内、カットネット数の改善幅(削減幅)が最大となるものである。
そして、部品装着設定データ生成部122は、ステップS1034で探索されたノードを選択して、当該選択ノードを他のパートに移動して、当該選択ノードを「移動済」に設定し(S1035)、部品装着設定データ生成部122は、移動履歴及びカットネット数を保存する(S1036)。
さらに、部品装着設定データ生成部122は、保存した移動履歴を辿り、カットネット数が最小の状態を採用する(S1037)。
以上の処理により、各パートに含まれる基板ノードの数が「均衡(Balance)」しており、各パートに含まれる基板ノードが共通に必要とする部品(各パートをまたぐネット、以下、カットネットと呼ぶ)の数が少なくなるような最適解を算出することができる。
図22に示すように、2way Balanced Partitioningでは、部品ネットは、部品ネットが結合する全ての基板ノードが同じパートに属しておらず、パートを跨る部品ネット(カット部品ネット)と、部品ネットが結合する全ての基板ノードが同じパートに属している部品ネット(非カット部品ネット)とに分類される。
そして、部品−基板対応グラフ153の定義により、部品ネットと基板ノードとの結合が、部品種類使用の有無を表していることから、カット部品ネットに対応する部品を共通部品候補、非カット部品ネットに対応する部品を専用部品候補、として、図24(部品−基板対応行列152の概略図)に示すように部品−基板対応行列152を並び替えることができるようになる。
ここで、図24に示す部品−基板対応行列152では、各列に配置される基板セットを各々の類似基板系統同士がまとまり、また、各行に配置される部品を共通部品候補が上方の行にまとまり、各々の類似基板系統における専用部品候補が、下方の行に各々の類似基板系統毎にまとまるように並べ替えられる。
例えば、図24に示す部品−基板対応行列152では、基板セットを2つの類似基板系統に分けた例であり、部品−基板対応行列152の列は、類似基板系統1(基板セットPCB-set1、PCB-set2)と、類似基板系統2(基板セットPCB-set3、PCB-set4)と、を左から順に並べており、部品−基板対応行列152の行は、類似基板系統1、類似基板系統2に両方で必要な部品種類(Comp-type2、Comp-type3、Comp-type4、Comp-type7、Comp-type9、Comp-type10)と、類似基板系統1でのみ必要な部品種類(Comp-type1、Comp-type5、Comp-type8)と、類似基板系統2でのみ必要な部品種類(Comp-type8)と、が上から順に並べられている。
図19に戻り、部品装着設定データ生成部122は、部品−基板対応グラフ153のK-way Balanced Partitioningを算出することにより、類似基板系統に含まれる基板セットの数が均衡しており、かつ、複数の類似基板系統で必要とされる部品種類の数が少ない、K個の類似基板系統を取得する(S1022)。
そして、部品装着設定データ生成部122は、ステップS1021で算出した、部品−基板対応グラフ153のK-way Balanced Partitioningに基づき、カット部品ネットに対応する部品を収集することで、共通部品候補集合を作成する(S1023)。
次に、部品装着設定データ生成部122は、ステップS1022で作成した全ての類似基板系統を対象とし、一つずつ類似基板系統gを特定して、各々の類似基板系統gについて、ステップS1025を実行する(S1024)。
ステップS1025では、部品装着設定データ生成部122は、ステップS1021で算出した部品−基板対応グラフ153のK-way Balanced Partitioningに基づき、類似基板系統gに対応するパートに属する部品ネットに対応する部品を収集することで、類似基板系統毎の専用部品候補集合を作成する(S1025)。
以上、図19に示すPADにより、K個の類似基板系統と、共通部品候補集合と、類似基板系統毎の専用部品候補集合と、を得ることができる。
図25は、図17のステップS1004における基板投入順序設定処理を示すPADである。
まず、部品装着設定データ生成部122は、図17のステップS1003において作成された全ての類似基板系統を対象として、一つずつ類似基板系統gを特定して、ステップS1041及びステップS1042を実行する(S1040)。
ステップS1041では、部品装着設定データ生成部122は、類似基板系統gに属する基板セットの類似度行列を作成する(S1041)。
ここで、類似基板系統gに属する基板セットの類似度行列とは、例えば、類似基板系統gに属する基板セットの全ての組み合わせ(自分自身との組み合わせは除く)を対象に、当該組み合わせに含まれる基板セットが共通で使用する部品種類の数を格納したものである。ここで、図26(類似度行列154の概略図)に、類似度行列154の一例を示す。図示するように、類似度行列154の例では、例えば、基板セット“PCB−set1”と基板セット“PCB−set2”のペアでは、共通で使用する部品種類が“40”種類存在することが分かる。
そして、ステップS1042では、部品装着設定データ生成部122は、類似基板系統gに属する基板セットの投入順序を、連続して投入される基板セット間の類似度の合計が最大となるように設定する。この問題は、類似度の符号を逆転し、「連続して投入される基板セット間の類似度の合計が最小となる投入順序を求める」と考えることにより、巡回セールスマン問題に帰着することができる。巡回セールスマン問題の解法は公知であるため(例えば、下記の非特許文献6)、詳細の説明は省略するが、本実施例では、2opt近傍を用いた局所探索法により、最適解を近似する解を求める方法を最良とする。
非特許文献6:柳浦睦憲、茨木俊秀、組合せ最適化-メタ戦略を中心として-、ISBN 4-254-27512-9、朝倉書店
そして、ステップS1043では、部品装着設定データ生成部122は、ステップS1042で算出した各々の類似基板系統に属する基板セット投入順序の先頭から順番に、基板セットを取り出し、予め定められた類似基板系統順番に並べた、基板セット投入順序(基板投入順序)を設定する。
例えば、類似基板系統gのi番目の基板セットをPCB-set[g,i]とし、各々2つの基板セットを含む2つの類似基板系統が存在する場合には、基板セット投入順序は、PCB-set[1,1]→PCB-set[2,1]→PCB-set[1,2]→PCB-set[2,2]となる。
以上のPADに示す処理により、i番目に投入する基板セットと、i+K番目に投入する基板セットとは、同じ類似基板系統に属する、即ち、部品装着に必要な部品が類似となる基板セット投入順序(基板投入順序)を得ることができる。
図27は、図17のステップS1005における部品供給ユニット配置設定処理のPADである。
まず、部品装着設定データ生成部122は、ステップS1051及びステップS1052を実行し、予備パレットを備えていないパレット139で、図17のステップS1003で特定した共通部品候補を格納した全ての部品供給ユニットを搭載できるように、予備パレット配置を調整する(S1050)。
ステップS1051では、部品装着設定データ生成部122は、予備パレットを備えていないパレット139のみで、共通部品候補を格納した全ての部品供給ユニットを搭載可能であるかを判定し(例えば、パレット幅と共通部品候補を格納した部品供給ユニットの数の大小関係による)、判定結果が偽である場合には、続くステップS1052において、予備パレット配置テーブル117aを参照し、予備パレットを備えるパレット139を一つ選択し、該パレット139が備える予備パレットを、予備パレット配置テーブル117aから削除する(S1052)。
ここで、予備パレットを削減するパレット139は、例えば、図2に示す出力部125に予備パレット配置テーブル117aを所定の形式に加工して表示し、オペレータに入力部123を介して、予備パレットを削減するパレット139の選択を受け付けるようにしてもよく、また、疑似乱数発生器を用いて予備パレットを削減するパレット139をランダムに選択するようにしてもよい。
次に、部品装着設定データ生成部122は、後述する処理手順により、各々の部品供給ユニットを搭載するパレット139を大まかに決定する(S1053)。本実施形態では、各部品供給ユニットを、各々の部品装着部138が使用するパレット群の内、予備パレットを備えるパレット群、若しくは、予備パレットを備えないパレット群の内、何れのパレット群に搭載するか(以下、部品供給ユニット割当)を決定する。なお、「パレット群」とは、同一の部品装着部138によって使用されるパレット139の集合を意味するものとする。
例えば、部品種類“Comp-type1”を格納した部品供給ユニットは、装置順序“3”番目の部品装着装置が備える部品装着部“2”が使用する予備パレットを備えるパレット群に属する何れかのパレット139に搭載する、といった割り当てを行う。
なお、本ステップでの処理については、図29を用いて後述する。
次に、部品装着設定データ生成部122は、ステップS1055〜ステップS1059を実行し、予備パレットなしパレット群のパレット使用パターンを算出する(S1054)。ここで、パレット使用パターンとは、各基板セットへの部品装着の際に使用するパレット群(使用中パレット群)を使用する順序において特定したものである。
例えば、装置順序“1”番目の部品装着装置の部品装着部“1”では、“1”番目に投入される基板セットは、パレット“1”と、“2”とを使用して部品を装着し、“2”番目に投入される基板セットでは、パレット“3”と、“4”とを使用して部品を装着する、といったデータを特定する。
この使用中パレット群の補集合として、休止中パレット群を特定することができるため、このパレット使用パターンを戦略的に決定することにより、予備パレットを備えていないパレット139を使用する部品装着部138において、部品装着装置を停止することなく部品供給ユニットをパレット139に交換又は搭載する外段取を活用することができるようになる。
そして、部品装着設定データ生成部122は、ステップS1055において、図17のステップS1004で特定された基板セットの投入順序において、公知のユニーク段取手法に基づき、部品供給ユニット配置、部品装着順序を算出し、算出した部品供給ユニット配置、部品装着順序に従い、装置動作シミュレーションに基づき部品装着時間を算出し、部品装着時間の概算値として格納する。
なお、部品装着時間の算出方法については、公知のものを使用すればよいため、詳細な説明は省略するが、例えば、記憶部111に部品を装着する際の装着時間を算出するために必要な情報、例えば、装置各部の所用動作時間の算出に必要なアクチュエータ(パレット、装着ヘッド、ロータリーテーブル、XYテーブル等)の稼働速度や稼働加速度等を特定する情報(例えば、XYテーブルの移動速度、パレットの移動速度及びロータリーテーブルの回転角速度)を格納しておく。
そして、例えば、部品装着時間=max(XYテーブルの移動時間、パレットの移動時間、ロータリーテーブルの回転時間)の総和を算出する。
なお、XYテーブルの移動時間=XYテーブルの移動距離/XYテーブルの移動速度、パレットの移動時間=パレットの移動距離/パレットの移動速度、ロータリーテーブルの回転時間=ロータリーテーブルの回転角度/ロータリーテーブルの回転角速度である。
そして、部品装着設定データ生成部122は、部品装着ラインマスタテーブル112a及び部品装着装置マスタテーブル113aを参照して、部品装着ラインを構成する全ての部品装着部138を対象に、後述するステップS1057〜S1059を実行し、パレット使用パターンを算出する(S1056)。
ステップS57では、部品装着設定データ生成部122は、全ての部品装着部138を対象とし、部品装着部hを一つずつ特定して、パレット使用パターングラフを作成する。
図28は、ステップS1057で作成するパレット使用パターングラフ155の概略図である。
パレット使用パターングラフ155は、ノードと有向枝により構成されるグラフ構造であり、予備パレットなしのパレット群を使用する部品装着部138毎に構築する。
図示するように、パレット使用パターングラフ155は、縦方向に基板セット投入順序を表しており、i番目の行に配列された「○」の記号は、i番目に投入する基板セットに部品を装着する際に使用する使用中パレット群を表すノードである。なお、「○」内の数字は、パレット番号を示している。
例えば、2番目の行の、左から1番目のノードは、基板セット“PCB-set3”への部品装着の際、パレット番号が“1”のパレットと、パレット番号が“2”のパレットと、パレット番号が“3”のパレットと、を使用することを示している。
更に、ノードを結合する有向枝(先行投入基板セットを意味する行から、後続投入基板セットを意味する行に向かう)の長さは、部品を装着する基板セットを切り替える際に発生する装置停止時間の概算値となっている。
ここで、装置停止時間の概算値は、下記の(1)式で算出する。
(1)式は、休止中パレット群における部品供給ユニット段取(外段取)により発生する装置停止時間の概算値を表す式である。
(1)式において、FRは、先行基板セットへの部品装着中に段取作業を行う部品供給ユニットの数の概算値(外段取部品供給ユニット数)を表し、MRは、先行基板セットへの部品装着が完了した後、装置を停止して段取作業を行う部品供給ユニットの数の概算値(内段取部品供給ユニット数)を表す。
そして、外段取部品供給ユニット数FRは、後続投入基板セットでは必要だが、先行投入基板セットでは必要としない部品供給ユニットの内、有向枝の始点(矢を持たない端点)と結合されたノードが示す、先行投入基板セットへの部品装着の際の使用中パレット群の、補集合として得られる、休止中パレット群に搭載できる部品供給ユニットの数である。
また、内段取部品供給ユニット数MRは、後続投入基板セットでは必要だが、先行投入基板セットでは必要としない部品供給ユニットの内、休止中パレット群に搭載しきれない{有向枝の始点(矢を持たない端点)と結合されたノードが示す、先行投入基板セットへの部品装着の際の使用中パレット群と、有向枝の終点(矢を持つ端点)と結合されたノードが示す、後続投入基板セットへの部品装着の際の使用中パレット群との共通部分集合(以下、共通使用パレット群)に搭載されるため、装置停止が必要となる}部品供給ユニットの数と、先行投入基板セット、後続投入基板セットの両方で必要とされる部品供給ユニットの内、共通使用パレット群に搭載しきれない(先行投入基板セットへの部品装着の際の使用中パレット群から、後続投入基板セットへの部品装着の際の使用中パレット群に移載するため、装置停止が必要)部品供給ユニットの数との、和で定義される。
以上説明した値FRと、MRとは、有向枝の始点、終点と結合されたノードが示す、先行投入基板セット、並びに、後続投入基板セットへの部品装着の際の使用中パレット群、及び、使用する部品供給ユニットと、各々のパレットに搭載可能な部品供給ユニットの数とを用いて算出することができる。
また、(1)式において、WRKは段取作業人員数、RSTは単位段取時間であり、これらは、パラメータデータ記憶領域118に記憶されている。さらに、MTは、ステップS55で算出した、先行投入基板セットの部品装着時間概算値である。
即ち、(1)式において、第一項は、外段取作業により発生する装置停止時間(段取作業時間が、先行投入基板セットへの部品装着時間より長い場合に発生)を表しており、第二項は、内段取作業により発生する装置停止時間を表している。
更に、ダミーノードを、最初の投入基板を表す行の上と、最後の投入基板を表す行の下とに追加し、始点、終点の何れかがダミーノードである有向枝の長さを0(装置停止時間「0」)と定義する。
以上のように定義したパレット使用パターングラフ155においては、パレット使用パターングラフ155のダミー始点ノードから、ダミー終点ノードに至る経路の内、通過する有向枝の長さの合計値(装置停止時間概算値の合計値)が最小の経路が通過するノードの集合を使用中パレット群の遷移として、装置停止時間の概算値が小さいパレット使用パターンを得ることができる。
図27に戻り、部品装着設定データ生成部122は、ステップS1057で作成したパレット使用パターングラフ155の最短路を算出する(S1058)。有効グラフの最短路を算出する手順は、公知であるため(例えば、下記の非特許文献6)、詳細の説明は省略するが、本実施例では、Bellman-Ford法により算出する例を最良とする。
非特許文献7:久保幹雄ら編、応用数理計画ハンドブック、ISBN 4-254-27004-6、朝倉書店
そして、部品装着設定データ生成部122は、ステップS1058で算出した最短路に属するノードに対応するパレット群をパレット使用パターンとして取得する(S1059)。
次に、部品装着設定データ生成部122は、以上の処理ステップにより決定された各部品供給ユニットが搭載されるパレット群、並びに、予備パレットを備えていないパレット群のパレット使用パターン(予備パレットを備えるパレット139は常に使用される)に従って、部品供給ユニットの搭載位置を算出する(S1060)。更に、この時、先行投入基板セットと、後続投入基板セットとが共通に使用する部品供給ユニットは、可能な限り、同じ搭載位置となるように搭載位置を算出する(部分段取手法と呼ばれる、例えば、上述の非特許文献2を参照)。
搭載するパレット群が所与の部品供給ユニットを入力とし、部品供給ユニット搭載位置を算出する手順は公知であるため(例えば、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4を参照)、詳細の説明は省略するが、本実施形態では、2−opt近傍を用いた局所探索法を用いる例を最良とする。
以下、図27のステップS1053に示す部品供給ユニット割当設定処理の具体例として、数理計画法に基づく例と、ヒューリスティック法(発見的方法)に基づく例の2つを説明する。
図29は、図27のステップS1053に示す部品供給ユニット割当設定処理における数理計画法に基づく例を示すPADである。
まず、部品装着設定データ生成部122は、部品装着設定装置110のオペレータから取得しパラメータデータ記憶領域118に記憶されているパラメータ値、部品装着ラインマスタテーブル112a、部品装着装置マスタテーブル113a、回路基板マスタテーブル114a、部品マスタテーブル115a、生産計画テーブル116a、予備パレット配置テーブル117aを参照し、下記の(2)式、(3)式〜(27)式の定数値を設定し、混合整数計画問題を構築する(S1070)。
なお、数理計画法では、求めたいもの(例えば、部品種類“Comp-type1”を格納した部品供給ユニットを、装置順序“1”番の装置の、部品装着部“1”が使用する、予備パレット139を備えるパレット群に搭載するか否か、等)を変数として定義した上で、満たさなければならない条件(例えば、各々のパレット139には、該パレット139のパレット幅に収まるだけしか部品供給ユニットを搭載することができない、等、以下、制約条件と呼ぶ)、並びに、評価したいもの(例えば、部品装着完了時間の概算値、等、以下、評価関数と呼ぶ)を数式(数理計画問題)として表現し、前記の数理計画問題を数学的アプローチにより解くことにより、評価関数を最適値(最大値、若しくは、最小値)とする変数値を得る。
以下、本実施例で用いる数理計画問題について説明する。
(2)式に、評価関数を表現する数式を示す(各変数、定数の定義は図30及び図31に示す)。
(2)式において、第一項は、部品実装時間の概算値を表しており、第二項は、内段取(部品装着装置を停止して行う段取作業)による装置停止時間を表しており、第三項は、外段取における装置停止時間(外段取作業が未完了の間に、先行投入基板セットへの部品装着が完了する場合に発生する)を表している。即ち、(2)式は、数理計画問題が、部品装着完了時間の概算値(=部品実装時間+段取作業による装置停止時間)の最小化を目的としていることを表現した数式である。
そして、(3)式〜(27)式に、数理計画問題の制約条件を表現する数式を示す(各変数、定数の定義は図30及び図31に示す)。
図30及び図31に、(2)式、(3)〜(27)式中で用いている変数、定数の一覧を示す。図30及び図31に記載の定数の値は、入力部123を介してオペレータから入力を受け付けたパラメータ値、部品装着ラインマスタテーブル112a、部品装着装置マスタテーブル113a、回路基板マスタテーブル114a、部品マスタテーブル115a、生産計画テーブル116a、予備パレット配置テーブル117a、を参照することにより決定することができる。
以上説明した数理計画問題は、評価関数式、制約条件式ともに、整数値変数と、実数値変数との連立線形不等式系により表現された混合整数計画問題であり、分枝限定法により、最適解を算出することができる。分枝限定法は公知であるため(例えば、下記の非特許文献8を参照)、詳細の説明は省略する。
非特許文献8:今野浩、鈴木久敏編、整数計画法と組合せ最適化、ISBN 4-817-15307-5、日科技連
図29に戻り、部品装着設定データ生成部122は、ステップS1070で構築した混合整数計画問題の最適解を、例えば、分枝限定法を用いて、算出する(S1071)。
そして、ステップS1072では、部品装着設定データ生成部122は、ステップS1071で算出した最適解を参照することにより、部品供給ユニット割当を取得する。
図32は、図27のステップS1053に示す部品供給ユニット割当設定処理におけるヒューリスティック法に基づく例を示すPADである。
まず、部品装着設定データ生成部122は、ステップS1081〜ステップS1088を実行し、部品供給ユニットを、“真の共通部品候補”と、“疑似共通部品候補”と、“真の専用部品候補”と、“疑似専用部品候補”との4つに分類する(S1080)。
ステップS1081では、部品装着設定データ生成部122は、図17のステップS1003で特定された共通部品候補の全ての部品供給ユニットを対象にして、部品供給ユニットrを一つずつ特定して、ステップS1082〜ステップS1084を実行する。
そして、部品装着設定データ生成部122は、図17のステップS1004で特定された基板投入順序を先頭から辿り、ステップS1081で特定された部品供給ユニットrを使用する類似基板系統の切替りの回数を調べ、類似期基板系統の切替りの回数が2回以上かを判定し(S1082)、真の場合には、部品供給ユニットrを“真の共通部品候補”に設定し(S1083)、偽の場合には、部品供給ユニットrを“疑似共通部品候補”に設定する(S1084)。
また、ステップS1085では、部品装着設定データ生成部122は、図17のステップS12で特定された専用部品候補の全ての部品供給ユニットを対象として、部品供給ユニットrを一つずつ特定して、ステップS1086〜S1088を実行する。
そして、部品装着設定データ生成部122は、ステップS1085で特定された部品供給ユニットrが最初に投入する基板セットへの部品装着に不要かを判定し(S1086)、真の場合には、部品供給ユニットrを“真の専用部品候補”に設定し(S1087)、偽の場合には、部品供給ユニットrを“疑似専用部品候補”に設定する(S1088)。
以上説明した、部品供給ユニットの分類によれば、“真の共通部品候補”に属する部品供給ユニットを、予備パレット有りの予備パレット群に割当てる場合、並びに、“真の専用部品候補”に属する部品供給ユニットを、予備パレットなしのパレット群に割当てる場合には、該部品供給ユニットをパレット139に搭載する際に、内段取作業となる(装置を停止する必要がある)ことになる。よって、以下説明する部品供給ユニット割当設定処理では、真の共通部品候補は予備パレットなしのパレット群へ割当てることを基本戦略とする。
次に、部品装着設定データ生成部122は、公知のユニーク段取手法に基づき、部品供給ユニット配置、部品装着順序を算出し、算出した部品供給ユニット配置、部品装着順序に従い、部品装着時間を装置動作シミュレーションに基づき前述のようにして算出し、部品装着時間の最良値として格納する(S1089)。ユニーク段取手法に基づき、部品供給ユニット配置、部品装着順序を算出する手順と、並びに、装置動作シミュレーション手順とは、公知であるため、詳細の説明は省略する。
次に、部品装着設定データ生成部122は、真の共通部品候補に属する部品供給ユニットが存在するか否かを判定し(S1090)、真の場合には、ステップS1091〜ステップS1097を実行する。
そして、ステップS1091では、部品装着設定データ生成部122は、部品供給ユニット配置を初期化(例えば、全てのパレット139が、何れの部品供給ユニットも搭載していない状態に設定)する。
次に、部品装着設定データ生成部122は、真の共通部品候補に属する部品供給ユニットと、予備パレットなしパレット群の集合とを対象とし、ラインバランシング処理(部品供給ユニットのパレット群への割当の内、評価値が小さくなる割当を算出する処理)を行う(S1092)。なお、この処理については、図33を用いて後述する。
そして、部品装着設定データ生成部122は、ステップS1092で算出した部品供給ユニット割当に従い、この部品供給ユニット割当で搭載された部品供給ユニットが格納する部品のみを基板に装着する際の、装着時間を装置動作シミュレーションにより算出し、算出した装着時間が、部品装着時間最良値を超過する間、後述するステップS1094〜S1097を繰り返し実行する(S1093)。
ステップS1094では、部品装着設定データ生成部122は、真の共通部品候補に属する部品供給ユニットの中から、部品供給ユニットを1つ選択する。選択の基準は、任意のものを用いればよいが、例えば、部品装着点数が多い、等の基準を用いる。
ステップS1095では、部品装着設定データ生成部122は、ステップS1094で選択した部品供給ユニットを、疑似共通部品候補に設定する(真の共通部品候補から外す)。
ステップS1096では、部品装着設定データ生成部122は、部品供給ユニット配置を初期化する(ステップS1091と同様)。
そして、ステップS1097では、部品装着設定データ生成部122は、真の共通部品候補に属する部品供給ユニットと、予備パレットなしパレット群の集合とを対象とし、ラインバランシング処理を行う。このラインバランシング処理については、図33を用いて後述する。
次に、部品装着設定データ生成部122は、未割当の部品供給ユニット(疑似共通部品候補、専用部品候補の何れかに属している部品供給ユニット)と、全ての予備パレット有りパレット群、予備パレットなしパレット群の集合とを対象とし、ラインバランシング処理を行う(S1098)。このラインバランシング処理については、図33を用いて後述する。
図33は、図32におけるステップS1092、S1097、S1098におけるラインバランシング処理を示すPADである。
このラインバランシング処理は、指定されたラインバランシング対象の部品供給ユニットの集合Rに属する全ての部品供給ユニットを、指定されたラインバランシング対象のパレット群の集合Pに属するパレット群の何れかに、後述する評価値(例えば、部品装着完了時間の概算値)が小さくなるように割り当てる。
まず、部品装着設定データ生成部122は、部品供給ユニットの集合Rに属する部品供給ユニットを、優先度が高い順に並び変える(S1100)。本実施形態では、優先度として、該部品供給ユニットが格納する部品の部品装着点数を用い、この部品装着点数が多いほど優先度が高くなるものと判断する。
次に、部品装着設定データ生成部122は、ラインバランシング前(部品供給ユニット割当前)の状態の部品装着時間の概算値(全ての基板セットへの部品装着に要する時間の和)を算出する(S1101)。このようにして算出した部品装着時間の概算値をbfr_mntとする。ここで、部品装着時間の算出は、各部品装着部138が装着する部品の装着点数を用いて概算する方法(例えば、下記の非特許文献9を参照)に従って求めるか、局所探索法により部品供給ユニット搭載順序、及び、部品装着順序を算出し、装置動作シミュレーションにより求めるものとする。
非特許文献9:Tero Laakso、Mika Johnsson、Tommi Johtela、Jouni Smed、and Olli Nevalainen、Estimating the Production Times in PCB Assembly、TUCS Technical Report、No 392、ISBN 952-12-0783-3、2001
次に、部品装着設定データ生成部122は、ラインバランシング前の状態の、段取作業による装置停止時間の概算値(全ての基板セット装着に要する)を算出する(S1102)。このようにして算出した、装置停止時間の概算値をbfr_idlとする。
なお、ステップS1102における段取作業による装置停止時間の概算値を算出する処理については、図34を用いて後述する。
次に、部品装着設定データ生成部122は、部品供給ユニット集合Rに属する全ての部品供給ユニットを対象にして、部品供給ユニットrを一つずつ特定して、ステップS1104〜S1125を繰り返し実行する。
ステップS1104では、部品装着設定データ生成部122は、ステップS1105〜ステップS1115を実行し、部品供給ユニットrを、パレット群集合Pに属する各々のパレット群に割当てた際の、装着時間、並びに、段取作業により発生する装置停止時間の増分を算出し、それぞれ、装着時間増分配列 mnt[]、装置停止時間増分格納配列idl[]に格納する。
まず、部品装着設定データ生成部122は、装着時間増分格納配列mnt[]を初期化する(mnt[]=0)(S1105)。
次に、部品装着設定データ生成部122は、装置停止時間増分格納配列idl[]を初期化する(idl[]=0)(S1106)。
次に、部品装着設定データ生成部122は、パレット群集合Pに属する全てのパレット群psについて、ステップS1108〜ステップS1115を繰り返し実行する(S1107)。
次に、部品装着設定データ生成部122は、ステップS1109及びステップS1110を実行し、部品供給ユニットrをパレット群psに割当てることにより発生する部品装着時間の増分値の概算値delta_mntを算出する(S1108)。
ステップS1109では、部品装着設定データ生成部122は、ステップS1101と同様の手順を用いて、部品供給ユニットrをパレット群psに割当てた後の状態を対象とし、部品装着時間aft_mntを算出する。
ステップS1110では、部品装着設定データ生成部122は、ステップS1101で算出したbfr_mntと、ステップS1109で算出したaft_mntと、の差により部品装着時間増分概算値delta_mntを算出する。
次に、部品装着設定データ生成部122は、ステップS1110で算出した部品装着時間増分概算値delta_mntを、装着時間増分格納配列mnt[]に格納する(S1111)。
次に、部品装着設定データ生成部122は、ステップS1113及びステップS1114を実行し、部品供給ユニットrをパレット群psに割当てることにより発生する段取作業により発生する装置停止時間の増分値の概算値delta_idlを算出する(S1112)。
ステップS1113では、部品装着設定データ生成部122は、ステップS1102と同じ手順を用いて、部品供給ユニットrをパレット群psに割当てた後の状態を対象とし、装置停止時間aft_idlを算出する。
ステップS1114では、部品装着設定データ生成部122は、ステップS1102で算出したbfr_idlと、ステップS1113で算出したaft_idlと、の差により部品装着時間増分概算値delta_idlを算出する。
次に、部品装着設定データ生成部122は、ステップS1114で算出した装置停止時間増分概算値delta_idlを、前記の装置停止時間増分格納配列idl[]に格納する(S1115)。
以上説明した処理ステップS1105〜ステップS1115を実行することにより、部品供給ユニットrを、パレット群集合Pに属する夫々のパレット群psに割当てることにより発生する部品装着時間の増分値の概算値と、装置停止時間の増分値の概算値と、が算出される。
次に、部品装着設定データ生成部122は、ステップS1117〜ステップS1122を実行し、評価値の増分が最も小さい、部品供給ユニットrを割り当てる割当先パレット群ps_bestを決定する(S1116)。
ステップS1117では、部品装着設定データ生成部122は、最良評価値格納変数est_bestを∞(演算処理部で取り扱える最大の値)で初期化する。
ステップS1118では、部品装着設定データ生成部122は、パレット群の集合Pに属する全てのパレット群psについて、ステップS1119〜ステップS1122を繰り返し実行する。
ステップS1119では、部品装着設定データ生成部122は、部品供給ユニットrを、パレット群psに割当てた際の評価値estを、下記の(28)式を用いて算出する。
(28)式において、装着時間増分格納配列mnt[]に格納された値の内、最小の値{min(mnt[])}は、部品供給ユニットrに格納された部品を装着するのに最低限必要な時間を意味している。即ち、(28)式の第一項は、装着時間の観点から、最小となるパレット群(mnt[ps’]が最小値となるps’)に割当てず、別のパレット群psに割当てた場合の装着時間増分を表している。更に、(28)式の第二項は、部品供給ユニットrをパレット群psに割当てる際の、装置停止時間増分を表している。以上より、(28)式は全体として、部品供給ユニットrをパレット群psに割当てる際の、部品装着完了時間の増分を表している。
次に、部品装着設定データ生成部122は、ステップS1119で算出した評価値が、これまでに発見した最良の評価値est_bestよりも小さいかを比較し(S1120)、真の場合には、ステップS1121及びステップS1122を実行する。
ステップS1121では、部品装着設定データ生成部122は、評価値が最も良い割当先ps_bestとして、パレット群psを格納する。
ステップS1122では、部品装着設定データ生成部122は、最良の評価値est_bestとして、ステップS1119で算出した評価値estを格納する。
以上説明したステップS1117〜ステップS1122を実行することにより、評価値の増分が最小となる部品供給ユニットrの割当先ps_bestが得られることになる。
次に、部品装着設定データ生成部122は、部品供給ユニットrの割当先として、前記最良の割当先ps_bestを設定する(S1123)。
次に、部品装着設定データ生成部122は、ラインバランシング前の部品装着時間概算値bfr_mntにmnt[ps_best]を加え、部品供給ユニットrをパレット群ps_bestに割当てた後の部品装着時間概算値となるように、更新する(S1124)。
次に、部品装着設定データ生成部122は、ラインバランシング前の装置停止時間概算値bfr_idlにidl[ps_best]を加え、部品供給ユニットrをパレット群ps_bestに割当てた後の装置停止時間概算値となるように、更新する(S1125)。
以上により、処理ステップS1100〜S1125は、欲張り法に基づき、総生産時間の概算値が最小の解の近似解を求める手順となる。
図34は、図33のステップS1102における段取作業による装置停止時間の概算値idle_timeを算出する処理を示すPADである。
まず、部品装着設定データ生成部122は、装置停止時間概算値idle_timeと、後述する外段取本数カウント用配列FR[]と、内段取本数(装置停止中に実施する部品供給ユニット段取の数)の概算値MRを初期化する(idle_time=0、FR[]=0、MR=0)(S1130)。ここで、外段取数カウント用配列FR[]のi番目の要素には、i番目の投入基板セットへの部品装着のために、i-1番目の投入基板セットへの部品装着中に外段取する部品供給ユニットの数の概算値を格納する(i-1≦0の場合には内段取本数を表す)。
次に、部品装着設定データ生成部122は、全ての基板セットへの部品装着のために発生する、予備パレットを備えるパレット群における内段取本数、並びに、外段取本数を、ステップS1132〜ステップS1139を実行することによりカウントする(S1131)。
部品装着設定データ生成部122は、部品装着ラインが備える全ての予備パレット有りパレット群psについて、ステップS1133〜S1139を実行する(S1132)。
ステップS1133では、部品装着設定データ生成部122は、予備パレットを備えるパレット群psに割り当てられている全ての部品供給ユニットrについて、ステップS1134〜ステップS1139を実行する。
ステップS1134では、部品装着設定データ生成部122は、部品供給ユニットrが真の共通部品候補であるかを判定し、真の場合には、部品供給ユニットrの、類似基板系統切替回数を調べ、MRに加算する(S1135)。
また、部品装着設定データ生成部122は、部品供給ユニットrが真の専用部品候補であるかを判定し(S1136)、真の場合には、ステップS1137〜ステップ1139を実行する。
ステップS1137では、部品装着設定データ生成部122は、部品供給ユニットrを必要とする全ての基板セット(i番目に投入)について、ステップS1138及びステップS1139を実行する。
そして、ステップS1138では、部品装着設定データ生成部122は、部品供給ユニットrがi−k番目(k:該部品供給ユニットrの割当先パレット群の予備パレット数)の基板セットにおいても必要とされるかを判定し、偽の場合(若しくは、i−k≦0の場合)には、i番目の投入基板セットへの部品装着のための外段取本数の概算値FR[i]を1だけ増加する(S1139)。
次に、部品装着設定データ生成部122は、全ての基板セットへの部品装着のために発生する、予備パレットを備えないパレット群における内段取本数、並びに、外段取本数を、ステップS1141〜ステップS1145によりカウントする(S1140)。
ステップS1141では、部品装着設定データ生成部122は、部品装着ラインが備える全ての予備パレットを備えないパレット群psについて、ステップS1142〜ステップS1145を実行する。
そして、ステップS1142では、部品装着設定データ生成部122は、全ての基板セット(i番目に投入)について、ステップS1143〜S1145を実行する。
ステップS1143では、部品装着設定データ生成部122は、i番目の投入基板セットへの部品装着時の休止パレット群のサイズ(パレット数)の概算値NRを算出する。具体的には、予備パレットなしパレット群psに属するパレットの数から、i番目の投入基板セットへの部品装着に必要な部品供給ユニットの数をパレットの部品供給ユニット最大搭載数で割った値を超える最小の整数値を、減じて算出する。
ステップS1144では、部品装着設定データ生成部122は、i番目の基板セットへの部品装着のための外段取本数の概算値を算出し、外段取本数カウント用配列のi番目の要素FR[i]に加算する。具体的には、i番目の投入基板セットへの部品装着に必要であり、i−1番目の投入基板セットへの部品装着には必要のない部品供給ユニットの数と、NR×(パレットの部品供給ユニット最大搭載数)の小さい方の値を加算する。
ステップS1145では、部品装着設定データ生成部122は、i番目の基板セットへの部品装着のための内段取本数の概算値を算出し、内段取本数概算値MRに加算する。具体的には、i番目の投入基板セットへの部品装着に必要であり、i−1番目の投入基板セットへの部品装着には必要のない部品供給ユニットの数から、NR×(パレットの部品供給ユニット最大搭載数)を減じた値と、0と、の大きい方の値を加算する。
次に、部品装着設定データ生成部122は、装置停止時間概算値idle_timeを下記の(29)式に基づき算出した値の分だけ増加する(S1146)。
(29)式は、全ての基板セットへの部品装着に必要な段取作業に起因する、装置停止時間の概算値を算出する式である。
(29)式において、PCBは基板セットの集合であり、|PCB|は、基板セットの数を意味する。
更に、WRKは段取作業人員数、RSTは単位段取時間であり、これより、(1/WRK)・FR[i]・RSTは、i−1番目の投入基板セットへの部品装着と並行して、利用者が行う段取作業の作業時間概算値を意味することになる。
更に、MTiは、i番目の投入基板セットへの部品装着に要する時間の概算値(但し,i=0の場合は0)であり、図32のステップS89において算出する。
ここで、外段取作業により発生する装置停止時間は、外段取作業に要する作業時間と、先行投入基板セットへの部品装着時間との差分(負値の場合は装置停止なし)で表わされる。即ち、(29)式の第一項は、全基板セットへの部品装着に必要な外段取作業のための装置停止時の概算値を表すことになる。
更に、(29)式の第二項である(1/WRK)・MR・RSTは、全基板セットへの部品装着に必要な内段取作業のための装置停止時の概算値を表す。
以上により、(29)式は、全基板セットへの部品装着に必要な段取作業のための装置停止時の概算値を表すことになる。
以上説明した処理ステップS1130〜ステップS1146を実行することにより、変数idle_timeには、内段取作業と、外段取作業とにより発生する装置停止時間の概算値が格納されることになる。
次に、部品装着設定装置110及び部品装着装置130が、それぞれ、出力部125、141を介して、部品装着設定結果を示す結果出力画面について説明する。
図35は、部品装着設定装置110が、出力部125を介して、オペレータに部品装着設定結果を示す結果出力画面156の一例を示す概略図である。
図示するように、結果出力画面156では、装置選択領域156aで選択された部品装着装置130における、基板投入順序及び各基板への部品装着時の部品供給ユニット配置が結果表示領域156bに表示される。
ここで、結果表示領域156bにおいて、「●」を付記した部品供給ユニットは、部品装着装置稼働中に部品供給ユニットを着脱して搭載する(外段取作業)部品供給ユニットを示し、「▲」を付記した部品供給ユニットは、部品装着装置を停止して、部品供給ユニットを着脱して搭載する(内段取作業)部品供給ユニットを示し、無印の部品供給ユニットは、段取作業が不要の部品供給ユニット(前の基板への部品装着時においても、同一の搭載位置に配置した部品供給ユニット)を示す。
このような結果出力画面156により、オペレータは、基板投入順序、部品供給ユニット配置に加え、部品供給ユニット段取作業の種別を容易に把握することができる。
なお、本実施形態では、部品供給ユニットに格納される部品の部品名の前に印を付記することにより、部品供給ユニット段取作業の種別を表現したが、例えば、部品名の表示色を変える等により、区別しても良い。
更に、結果出力画面156には、その他に、各基板への部品装着に要する、部品装着時間、運転中段取本数(外段取本数)、停止時段取本数(内段取本数)、部品装着完了時間等の情報を表示しても良い。
図36は、部品装着装置130が、出力部141を介して、オペレータに部品装着設定結果を示す結果出力画面157の一例を示す概略図である。
この結果出力画面157は、部品装着設定装置110の出力部125に表示される結果出力画面156と比較して、装置選択領域156aが除かれている。
以上の実施形態では、各基板種類を独立に取り扱ったが、例えば、グループ段取手法で用いられる類似基板グルーピング手法により、予め、複数の基板種類のグループを作成しておき、個別の基板種類を独立に扱わず、グループとして取り扱っても、本発明は同様に適用可能である。
また、以上に記載した実施形態によれば、先行投入基板に対して部品装着装置130が部品を装着している間に、部品の装着に使用していないパレット、及び、使用しているパレットに対して一括交換可能なパレット(予備パレット)において、後続投入基板の部品装着に使用する部品供給ユニットの配置のための段取作業(部品供給ユニットの着脱作業)を効率良く行うことができるように、投入基板が、最頻予備パレット数毎に、類似する(例えば、共通で必要な部品種類の数が多い)投入順序を設定する処理、及び、各基板の部品装着に必要な部品を格納した部品供給ユニットを搭載するパレット群を設定する処理を有するため、部品装着作業と、部品供給ユニット段取作業を並行処理することができ、結果として、部品装着完了時間の短い部品装着設定を行うことができる。
また、本発明に係る実施の形態によれば、部品装着設定結果の表示画面において、部品供給ユニット配置情報に加え、部品供給ユニット段取作業の種別を表示する機能を有するため、利用者は基板生産に必要な、部品供給ユニット段取作業を容易に把握することができる。
以上に記載した実施形態においては、部品装着設定装置110と、部品装着装置130と、を別々の装置として記載したが、このような態様に限定されず、これらの装置を一つの装置にまとめることも可能である。このような場合には、生産ラインにおける複数の部品装着装置130のうちの少なくとも一つの部品装着装置130に部品装着設定装置110が有する機能をプラスすればよい。