JP5009552B2 - セラミックス製成形体の製造方法 - Google Patents
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Description
より詳しくは、電気泳動成形法を用いた、簡便で高強度のセラミックス製成形体、好適には歯科修復物用のセラミックス製成形体を製造する方法に関する。
特にセラミックス製の歯冠修復物は、コンポジットレジンよりも強度が高く、また色調も天然歯により近い物性の優れた材料である。
このようなオールセラミックス製の歯冠修復物を製造する方法としては、結晶化ガラス前駆体を600〜1200℃程度に加熱して軟化させつつ鋳型に流し込み、加熱により歯冠修復物の形状を有する結晶化ガラスとする方法、支台歯模型上にセラミックス粉末のペースト(スラリー)を修復物の形状に築盛し、焼成する方法などがある。
その電気泳動成形法による方法は、セラミックス粒子を極性溶媒中に分散、帯電させ、溶媒に電流を流すことにより、帯電したセラミックス粒子を電気泳動により電極上に堆積させる手法である。
前記のとおりであり、支台歯模型上に導電層を形成し、これを一方の電極とし、上記電気泳動成形法を利用してセラミックスを堆積させ、焼成することにより、高強度のセラミックス製の修復物を得ることが可能であり、簡便な方法でもある。
そこで、電気泳動あるいは歯科材料の開発技術者である本発明者らは、前記特徴がある該製造技術に着目し、ブリッジの開発に着手し、その開発に成功し既に提案している(特許文献3及び4参照)。
(1)該電気泳動によるセラミックス及び/又はその前駆体粒子の堆積の際の電極として、可燃性の導電性物質で形成した0.005〜0.5mmの厚さの導電層を有する支台歯模型を用い、
(2)修復物前駆体の加熱によるセラミックス及び/又はその前駆体粒子の焼結を、該修復物前駆体を支台歯模型から取り外さずに行うことを特徴とするものである。
それはセラミックス及び/又はその前駆体粒子を堆積させる電極として、前記修復物の外形に相当する部位に導電層を有する修復物陰型模型を用いることを特徴とするものであり、その陰型模型は図1に図示する構造を有し、その製造工程も同文献には具体的に開示されている。
なお、その陰型模型は本発明においても好適に用いることができる。
さらに、酸性リン酸エステル単独ではなく、それに加えてある種の化合物を併用することにより電極上への堆積を円滑に継続的に行うことができ、かつ高密度の堆積物が得られることがわかった。
したがって、本発明は、高強度で、高堆積を行うのに適した、電気泳動成形法を用いた、セラミックス製成形体、特に歯科修復物用のセラミックス製成形体を製造するのに好適な方法を提供することを発明の解決すべき課題、すなわち目的とするものである。
その結果、得られた成形体前駆体を焼成することにより、高密度、高強度の各種成形体を製造することができる。
さらに、それに加えてポリエチレンイミンも共存させており、これにより電気泳動により継続的にセラミックス粒子等を堆積することができ、厚く堆積した成形体前駆体を得ることができ、それを焼成することにより高密度、高強度、高堆積の各種成形体を製造することができる。
本発明の製造方法を用いると支台歯模型に均一な厚みで且つ高密度でセラミックス粒子が堆積され、そのため、得られた堆積物焼成後の収縮も少なく機械的強度が高く、適合性に優れたセラミックス製の歯科用修復物を再現性良く得ることができる。
さらに、支台歯模型からの取り外しも容易であり、加えて電流、電圧、及び堆積時間等を変えることにより所望の厚みの修復物とすることも可能となる。
特に、高堆積量を必要とするブリッジの歯牙補足部の形成も円滑に行うことができ、微ブリッジ用のセラミックス製の歯科用修復物を製造するのに好適である。
さらに、得られた成形体前駆体型に入れたままで焼成することにより、より特性の優れたセラミックス製の歯科用修復物を得ることができ、かつ簡便な製造方法とすることができる。
本発明は、前記したとおりセラミックス製成形体の製造方法を提供するものであり、その製造対象としては歯科用修復物が好適であるが、それに限らず本発明では成形型の形状を選択することにより各種の成形体を製造することができ、製造対象物は何ら限定されるものではない。
その際の成形型の形状については、成形する対象物に適合した形状が選択することになるが特に限定されることはなく各種形状を選択することができ、立方体、直方体、球形、角柱、円柱、円錐形あるいは各種の多角錐形等を例示することができる。
さらに、前記した以外の材料としては、ジルコニア、アルミナ等の酸化物セラミックスを成形型として用いることができ、さらには、各種の金属を用いることも可能である。
なお、金属製の成形型を用いる場合には、後述する導電層を別途設ける必要がないという利点も有する。
この成形型には、製造したい成形体に合わせて、セラミックス粒子等を堆積させたい位置に導電層を設けることが必要となるが、その導電層を設ける方法も特に限定されるものではなく各種手法が採用でき、導電性ペーストを用いる方法、蒸着、あるいはスパッタリング等が例示できるが、簡便さからして導電性ペーストを用いて形成するのがよく、その場合には例えば導電性ペーストを筆等で塗布し、乾燥させて形成する手法が挙げられる。
また、前記のように金属製の成形型を用いた場合には、逆に、セラミックス粒子を堆積させたくない部位を非導電性の材料で被覆すればよい。
その導電層を設ける方法は、前記したとおり導電性ペーストを用いる方法に限定されるわけではなく、必要に応じて前記した蒸着やスパッタリング等の方法によって形成することもできるが、この場合には、所定の部位以外に導電層が形成されてしまわないように保護するか、あるいは蒸着後に不要な導電層部分を除去する必要がある。
その際には、不必要な部位へのセラミックス粒子の堆積を防止するために、絶縁材料により被覆された金属線を形成する成形体の外形に相当する部位の導電層に電気的に結合させる手法が好ましいが、必要に応じて、成形体の外形に相当する部位から適当な位置まで導電層をさらに形成する手法でも良い。
この場合には、外部導通用の導電層上にセラミックス粒子が堆積しないように、絶縁性の材料で被覆するのがよい。
その際の電気泳動成形法も、特に制限されるものではなく、公知の手法に従えばよく、具体的には、上記成形体用電極と対極とを、帯電したセラミックス及び/又はその前駆体粒子が分散したイオン導電性を有する溶媒中に浸漬し、その成形体用電極と対極とを電気的に接続し通電すればよい。
このようなセラミックス粒子は、一般には金属酸化物が好適に用いられるが、ガラス及びガラスセラミックス、これらの前駆体を用いても構わない。
その金属酸化物としては、ジルコニア、イットリア安定化ジルコニア、マグネシア安定化ジルコニア、カルシア安定化ジルコニア、セリア安定化ジルコニア、アルミナ、スピネル等が挙げられ、これらのなかでも高強度の焼結体(修復物)が得られる点で、ジルコニア又は安定化ジルコニアが好ましい。
また、窒化珪素等の金属酸化物以外のセラミックス粒子も挙げられる。
さらに、本発明において、高密度、高強度の成形体を製造するには、数種の粒径のセラミックス粒子を用いることにより高密度の成形体前駆体を作製することが特に好ましい。
さらに、セラミックス粒子の焼結や堆積層の厚みの確保を容易にするために、金属粉末、炭酸塩、水酸化物、アルコキサイド等を直接/もしくは複合して用いることが可能であり、例えば、アルミナの場合アルミ粉末との混合物を用いることにより堆積厚が確保しやすくなる。
具体的には、エタノール、エチルセルソルブ、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、エトキシエタノール等のアルコール類;メチルエチルケトン、メチルブチルケトン等のケトン類;オクチル酸、プロピオン酸等のカルボン酸類等が挙げられる。
これら溶媒に対するセラミックス粒子等の分散量も特に限定されるものではないが、一般的には、セラミックス粒子等の濃度が1〜30g/100mlとなる程度である。
そのため、セラミック粒子等の帯電をより効率的に行うために、pHを酸性又はアルカリ性に調整することが行われており、酸性に調節する際には、通常硫酸、塩酸あるいは酢酸等が使用されている。
その酸性リン酸エステルには、各種アルコールとのエステルが特に限定されることはなく使用でき、それには例えば、エチルアシッドフォスフェート、ブチルアシッドフォスフェートあるいはブトキシエチルアシッドフォスフェート等が例示できる。
なお、上記のような効果は、立体反発障害によるサスペンション安定化効果によるものと推察される。
さらに、用いる酸性リン酸エステルは、モノエステルでもジエステルでも、あるいはこれらの混合物でもよいし、ジエステルである場合には異なる2種のアルコールとのエステルでもよく、加えて必要に応じて、異なる2種又はそれ以上の種類の酸性リン酸エステルを併用しても構わない。
上記酸性リン酸エステルを配合することにより、セラミックス粒子分散液のpHを酸性に調整する。このときのpHとしては概ね2〜5であればよい。
その結果、得られた堆積成形体は、乾燥後のヒビ割れもなく、密度も高いものである。
その際に用いるPEIについては、その分子量は特に限定されるものではないが、通常300〜100,000がよく、好ましくは3,000〜30,000がよい。
前記のとおりではあるものの、配合量が少ない方が粒子の凝集や沈降が起こり難く、1質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましい。
その解膠剤の例としては、一般に苛性ソーダ、珪酸ソーダ、水ガラス、炭酸ソーダ、ソーダ灰、燐酸ソーダ、アルミン酸ソーダ、蓚酸ソーダ、蓚酸アンモン、水酸化リチウム、炭酸リチウム、アルミン酸リチウム、クエン酸リチウム、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、モノアミルアミン、モノエチルアミン、モノ−iso−ブチルアミン、モノ−n−ブチルアミン、モノ−n−プロピルアミン、モノ−sec−ブチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピペリジン、エチルアミン、水酸化四メチルアンモニウム、ポリビニールアミン、ポリエタノールアミン、リン酸エステルを用いることができる。
このような解膠剤、結合剤はセラミックス100重量部に対して0.2〜20重量部添加できる。
この対極は、導電性のあるものであれば特に制限されず、各種金属や合金、あるいは炭素電極等を用いればよい。
セラミックス粒子等が正に帯電していれば成形体用電極を負極に、逆に負に帯電していれば正極にしてセラミックス粒子等を成形体用電極上に堆積させる。
このようにしてセラミックス粒子等が導電層上に堆積した成形体用電極は、溶媒中から引き上げ、乾燥させることにより、成形体前駆体が得られる。
成形体を得るためには、前記成形体前駆体を焼成してセラミックス粒子を焼結させる必要がある。
その際の焼成温度及び時間は、用いられるセラミックス粒子等の材質によって異なり、公知の条件を適宜採用すればよいが、概ねアルミナ及びジルコニアでは1250℃〜1600℃の温度範囲で2〜8時間焼成することにより緻密化する。
この場合には、得られた焼結体に更にガラスを含浸させ、セラミックス複合体を作製することができ、例えば、含浸させるガラスとしてはLa2O3、SiO2、Al2O3、B2O5等を主成分とするガラスが用いられる。
その際の含浸させる温度域としては800〜1000℃でよく、使用するガラス組成の融点により最適な温度を選択すれば良い。
即ち、電気泳動形成法を用いて前駆体を形成しても、焼結時の収縮を完全に零(ゼロ)にすることはできず、若干の形状の誤差が生じることは不可避であるが、前記したところの手法により成形型に入れたままガラスを含浸させることによって、得られた焼結体内部及び焼結により生じた焼結体と成形型との間隙にもガラスが浸透し、この形状誤差を補正することができる。
このようにして焼成した後、焼結体を成形型から取り出すが、取り出す手法としては、用いた成形型を破壊することが最も簡便である。
本発明によるセラミックス製歯科用修復物の製造方法においては、特許文献3及び4の何れの手法も勿論採用できる。
そこで、本発明のセラミックス製歯科用修復物の製造方法については、後者の手法について図面2を用いて具体的に説明することとする。
このコーピングの表面に陶材を築盛して色調や形態を調整して最終的なブリッジとし、(B)に示すようにしだい支台装置部分を口腔内の支台歯に被覆して用いる。
ついで、作製した修復物模型を用いて修復物の陰型模型(以下、単に陰型模型という)を作製するが、この作製方法としては、修復物模型をワックス模型とし、歯科用鋳型材中に埋没し、該鋳型材を硬化させた後、ワックスを焼成除去する方法が好適である(E)。
この鋳型材としては上記支台歯模型と同じ材質のものを用いることが好ましく、一般に歯科用耐火埋没材として知られている種々の材料(例えば、石膏系埋没材、燐酸塩系埋没材)を用いることができる。
さらに、前記埋没に際しては、(E)に図示するように、一部修復物模型が表面に出るように行うか、あるいは全体を埋没し、埋没材が硬化した後にワックスが表面に露出するように削り出して開口部を設けることになる。
この開口部は、用いたワックスを除去する際の取り出し口、及びワックス除去後の陰型模型内部へのセラミックス粒子の堆積の際の入り口となるものであり、(E)においては、歯冠部咬合側に開口部を設けているが、必要に応じて他の部位に開口部を設けても良い。
このようにして得られた修復物の外形に相当する部位に導電層を有する陰型模型を、一方の電極とし、その電極と対極とを、(G)に図示するようにセラミックス粒子を分散した溶媒中に浸漬し、これら陰型模型と対極とを電気的に接続し、通電して電気泳動成形法によりセラミックス粒子の堆積を行う。
その結果、得られた成形体前駆体を焼成することにより、高堆積、高密度、高強度を必要とするブリッジ用のセラミックス製の歯科用修復物を製造することができる。
そこで、本発明の実施例1をまず示す。
一次粒子径0.04μmのジルコニア粉末(東ソー社製TZ−3YE)を特級エタノールに投入し、攪拌、混合しながらブトキシエチルアシッドフォスフェート(JP−506H、城北化学工業)の10wt%エタノール溶液を微量ずつ添加し、約1時間攪拌した。
その後、固体状のポリビニルブチラール(PVB)及びポリエチレンイミン(PEI:分子量10000、和光純薬)の5wt%エタノール溶液を少量ずつ数回に分けて、ジルコニア粉末とエタノールとの混合液に添加し、ジルコニア濃度10g/100ml、PVB濃度2.38wt%、PEI濃度0.01wt%のスラリーを調整した。またJP−506Hの濃度は、ジルコニア粒子10gに対して、0.106gとした。
その際に得られたスラリー(分散液)のpHは3である。
その電極基材とステンレス板電極とを前記スラリー中に浸漬し、100Vの直流電圧を1、5、10及び20分印加して、電気泳動により基材表面にジルコニアを堆積させた。
この堆積体を陰型から取り外さず室温下で3時間風乾させ、風乾後の堆積体を目視で観察したところ、いずれの印加時間で得たものにおいてもヒビ割れはなかった。
また、堆積体の相対密度はいずれの印加時間で得たものも72%であり、各電圧印加時間と、堆積したジルコニアの量(g/cm2)を表2及び図3に示す。
すなわち、重さを測定した試料をケロシン中に浸漬し、デシケーター中で2時間減圧下で保持した。
この時点でケロシン中の試料から気泡が発生しなくなっていることを確認した。
さらに、このケロシン浸漬を行った試料のケロシン中での重さ(w2)と、ケロシン中から試料を取り出して空気中での重さ(w1)を測定した。
さらに、これより得られた密度を理論密度の百分率で表したものを相対密度とした。
ρ=wρk/(w1−w2)
w:浸漬前の試料の重さ
w1:ケロシン浸漬後の試料の重さ
w2:ケロシン中で試料の重さ
ρk:ケロシンの密度
なお、この表1には、スラリー(分散液)の組成だけでなく、実施例1の各成形体前駆体を作製する際の印加電圧も記載する。
これら例についても、スラリーの組成を表1に示すものに変更した以外は、実施例1Aと同様にして、ジルコニア粒子を堆積させた。
その結果は、いずれの実施例及び比較例の場合も乾燥後ヒビ割れはなく、堆積体の相対密度は、実施例1B、1Cではいずれの印加時間で得たものも実施例1Aの場合と 同様に72%であり、比較例1Aでは69%、比較例1Bでは70%であった。
しかしながら、PEIを添加しない場合には、表2に示すように印加時間の経過と共に堆積速度が低下してしまった。
これら例においては、電気泳動時の印加電圧が50Vであり、それを100Vとする実施例1Aないし1Cとは共通して異なるものであるが、使用するスラリーの組成については、表1に示すとおりであり、実施例1Dないし1Fについては、それぞれ実施例1Aないし1Cと共通するものである。
それらの結果は、いずれの場合も乾燥後ヒビ割れはなく、堆積速度は図4に示すとおりである。
これら例においては、電気泳動時の印加電圧が200Vであり、それを100Vとする実施例1Aないし1Cとは共通して異なるものであるが、使用するスラリーの組成については、表1に示すとおりであり、実施例1G、1Hについては、実施例1A、1Bとそれぞれ共通するものである。
それらの結果は、いずれの場合も乾燥後ヒビ割れはなく、堆積速度は図5に示すとおりである。
一次粒子径0.04μmのジルコニア粉末(東ソー社製TZ−3YE)30.25gを特級エタノール95に投入し、攪拌、混合しながら表3に示す酸の10wt%エタノール溶液を添加し、pH3のスラリーを調製した(PEI及びバインダーの添加無し)。
このスラリーを用いて実施例1と同様に印加電圧100V、印加時間20分でジルコニアの堆積を行った。
なお、参考例1については、pH調節用に使用した酸によって、参考例1A(塩酸)、参考例1B(濃硫酸)、参考例1C(硝酸)、参考例1D(酢酸)とした。
その参考例1A及び参考例1Bにおいては、ジルコニアスラリーに酸を添加するとジルコニア粒子が凝集した。
電圧を印加すると堆積はしたが、スラリーから引き上げると堆積物が落下してしまった。
さらに、酸性リン酸エステルを用いた場合が、形成された堆積体の相対密度が一番高いこともわかる。
参考例1Dと同じく酢酸を用い、バインダーとしてポリブチルビニラールが1又は3wt%となるように添加したスラリーを調製した以外は、実施例1Aと同様に電気泳動を行い、堆積物を形成した。
各々の濃度で5個の堆積体を作製し、これらを3時間風乾させたところ、全て(10個)が乾燥によりヒビ割れが生じた。
また、分子量500のポリエチレングリコールを用いて同様の実験を行ったが、やはり100%の割合でヒビ割れが生じた。
ジルコニア濃度を30g/100mlとした以外は、実施例1B(PEI濃度0.02wt%、PVB濃度2.38wt%、JP−506Hがジルコニア10g当り0.106g)と同様に電気泳動を行い(印加電圧100V)、堆積体を作製、乾燥させた。
得られた堆積体にはヒビ割れは全く生じていなかった。
この堆積体の作成例を実施例2Aとし、堆積量の結果を表4及び図6に示す。
得られた堆積体にはヒビ割れは全く生じていなかった。
この堆積体の作成例を実施例2Bとし、堆積量の結果を表4及び図6に示す。
さらに、印加電圧を200Vにした以外は、実施例2Aと同様にして堆積体を製造、乾燥させた。
得られた堆積体にはヒビ割れは全く生じていなかった。
この堆積体の作成例を実施例2Cとし、堆積量の結果を表4及び図6に示す。
ジルコニア濃度を30g/100mlとした以外は、比較例1B(PEI添加なし、PVB濃度2.38wt%、JP−506Hがジルコニア10g当り0.106g)と同様に電気泳動を行い(印加電圧100V)、堆積体を作製、乾燥させた。
得られた堆積体にはヒビ割れは全く生じていなかった。
この堆積体の作成例を比較例3Aとし、堆積量の結果を表4及び図6に示す。
得られた堆積体にはヒビ割れは全く生じていなかった。
この堆積体の作成例を比較例3Bとし、堆積量の結果を表4及び図6に示す。
さらに、印加電圧を200Vにした以外は、比較例2Aと同様にして堆積体を製造、乾燥させた。
得られた堆積体にはヒビ割れは全く生じていなかった。
この堆積体の作成例を比較例3Cとし、堆積量の結果を表4及び図6に示す。
スラリー組成を表5に示したものとした以外は、実施例1Aと同様にしてジルコニアを堆積させたところ、両実施例とも乾燥後ヒビ割れは生じなかった。
堆積量の結果を表6に示すと共に実施例1B、比較例1A、1Bの結果と合わせて図7に図示した。
ブトキシエチルアシッドフォスフェートの10%エタノール溶液に代えて、酢酸を加えてpHを3に調整した以外は、実施例3Aと同様にしてスラリーを調製し(PVB添加無し、PEI;0.02wt%)、ジルコニアの堆積を行わせようとしたが、印加電圧100Vの条件では堆積は起きなかった。
全て混合した後のスラリーの各成分の濃度は、ジルコニアが9.5g/100ml、JP−506Hがジルコニア10g当り0.032g、エチルセルロースが0.0005wt%、ポリエチレンイミンが0.0002wt%である。
また、そのスラリーのpHは3であった。
前記電極とステンレス板電極とをスラリー中に浸し、それぞれを負極、正極として100Vの直流電圧を、15分間印加して、電気泳動法により基材表面にジルコニア粒子を堆積させた。
この時に堆積したジルコニア層の厚みは約2mm、均一且つ、平坦な面を形成し、3時間の風乾後にひび割れ等は発生していなかった、
その結果、得られた堆積体の相対密度は72%であった。
すなわち、ニッシン社製実習用顎模型530を口腔内の4本ブリッジを想定したモデルとした。
欠損歯の小臼歯、大臼歯部に6mmΦと4mmΦ、高さ3mmの円筒状のワックスを設置し、これにGE東芝シリコーン社製シロプレンRTV−2Kを用い複印象を作製し、さらに上記複印象にエンプレス用埋没材(イボクラー社製)を用いて複模型を作製した。
これをトリミングし、支台歯模型とした。
該コーピングは、3%イットリア添加ジルコニアの理論密度に対し97%の相対密度であった。
支台歯模型の代わりに、曲げ強度用の鋳型を上記スラリーに浸漬し、100Vの電圧を10分印加して堆積体を得た後焼成し、曲げ強度を測定したところ1200MPaであった。
曲げ強度の測定試料はエンプレス用埋没材を用いて25mm×5mm×5mmの大きさのモールドを形成し、そのモールドの底部に導電層を形成してセラミックス粉末を電気泳動で堆積させ、乾燥させ、その後、所定の温度で焼成し試料とした。
この焼成試料を、回転研磨機(マルトー社製、ダイヤラップ)を用いて、幅4mm、厚さ1.2mm、長さが20mmの長方形になるように研削・研磨し、表面を1μmのダイヤモンドスラリーにより鏡面に仕上げた。
強度試験機(島津製作所社製、オートグラフ)によりクロスヘッド速度1mm/分、スパン距離15mmの条件で3点曲げ試験を行い曲げ強度を求めた。
ブトキシエチルアシッドフォスフェートの10wt%エタノール溶液に代えて、酢酸の10wt%エタノール溶液を用いてスラリーのpHを3に調整したものを用いた以外は、実施例4と同様の操作を行った。
15分の電圧印加後に取り出した堆積体の表面は若干攪拌時の波形を有しており、3時間の風乾後にはひび割れが発生した。また堆積体の相対密度は68%であった。
また同じスラリーを用いて実施例4と同様にして曲げ強度を測定したところ1060MPaであった。
ブチルアシッドフォスフェートを用いた場合を実施例5A、エチルアシッドフォスフェートを用いた場合を実施例5Bとした。
ブトキシエチルアシッドフォスフェートに代えて、ブチルアシッドフォスフェート(城北化学工業製 JP-504)を用いた以外は、実施例4と同様にして堆積体を得た。
その堆積体は乾燥時にひび割れは生じず、また堆積体の相対密度は72%であった。
[実施例5B]
ブトキシエチルアシッドフォスフェートに代えて、エチルアシッドフォスフェート(城北化学工業JP-502)を用いた以外は、実施例14と同様にして堆積体を得た。
その堆積体は乾燥時にひび割れは生じず、また堆積体の相対密度は71%であった。
次に、ポリエチレンイミン(PEI;平均分子量10,000)の2wt%溶液を、少量ずつ数回に分けて上記スラリーに添加し、アルミナ濃度が20g/100ml、PEI濃度が0.03wt%のスラリーを調整した。
また、その際のJP−506Hの濃度は、アルミナ粒子10gに対して、0.053gとし、スラリーのpHは4.5とした。
該基材とステンレス板電極を前記で調整したスラリー中に浸し、それぞれを負極、正極として100Vの直流電圧を、60分間印加して、電気泳動法により基材表面にアルミナ粒子を堆積させた。
この堆積体を陰型から取り外さずに室温下で一晩(約12時間)風乾させた。
乾燥後の堆積体を目視で観察したところ、いずれの時間においてもひび割れ等はなかった。
また、堆積体の相対密度は57.0%であった。
Claims (2)
- セラミックス及び/又はその前駆体粒子を分散し、ブトキシエチルアシッドフォスフェート及びポリエチレンイミンを含有する有機溶媒分散液中で、成形型に導電層を形成した所望の形状の成形体用電極を用いて、電気泳動により前記電極にセラミックス及び/又はその前駆体粒子を堆積させて成形体前駆体を形成し、次いで前記前駆体を焼結させることを特徴とするセラミックス製成形体の製造方法。
- セラミックス及び/又はその前駆体粒子を分散し、ブトキシエチルアシッドフォスフェート及びポリエチレンイミンを含有する有機溶媒分散液中で、歯牙補足部及び支持部を持つ修復物用の陰型模型に導電層を形成した電極を用いて、電気泳動により前記電極にセラミックス及び/又はその前駆体粒子を堆積させて、歯牙補足部及び支持部を持つセラミックス製歯科用修復物前駆体を形成し、次いで前記前駆体を焼結させることを特徴とするセラミックス製歯科用修復物の製造方法。
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