JP4729421B2 - セラミックス製歯科用修復物及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、新規なセラミックス製の歯科用修復物及びその製造方法に関する。
より詳しくは、簡便な方法で高強度かつ適合性の良い新規なセラミックス製の修復物及びその製造方法に関する。
歯科治療においては、齲蝕等により部分的に欠損した歯の修復に使用される材料としては、コンポジットレジンと呼ばれる無機物と有機物からなる複合材料、金属或いはセラミックス等が用いられている。
特にセラミックス製の歯冠修復物は、コンポジットレジンよりも強度が高く、また色調も天然歯により近い物性の優れた材料である。
そのセラミックス製の歯冠修復物においては、単冠修復の場合には、既にオールセラミックス製の歯冠修復物により実用的な強度が得られており種々実用化されている。
このようなオールセラミックス製の歯冠修復物を製造する方法としては、結晶化ガラス前駆体を600〜1200℃程度に加熱して軟化させつつ鋳型に流し込み、加熱により歯冠修復物の形状を有する結晶化ガラスとする方法、支台模型上にセラミックス粉末のペースト(スラリー)を修復物の形状に築盛し、焼成する方法などがある。
また、近年、電気泳動成形法を用いてオールセラミックス製の歯冠修復物を製造する方法がいくつか提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
その電気泳動成形法による方法は、セラミックス粒子を極性溶剤中に分散、帯電させ、溶剤に電流を流すことにより、帯電したセラミックス粒子を電気泳動により電極上に堆積させる手法である。
この方法によれば、プレッシャーフリーでも比較的緻密な厚膜が製造可能であり、通常の加圧成形に匹敵する成形密度が得られること、バインダーを使用しなくても,大面積の厚膜成形が可能であること、堆積プロセスの途中で液体中の原料粉末種を制御することによって、積層、傾斜化などの微構造制御をすることができるなどの特徴を有している。
前記のとおりであり、支台模型上に導電層を形成し、これを一方の電極とし、上記電気泳動成形法を利用してセラミックスを堆積させ、焼成することにより、高強度のセラミックス製の修復物を得ることが可能である。
ところで、前記提案の製造する方法においては、電気泳動成形法によるセラミックス製歯冠修復物の製造方法の基本的事項及び単冠修復物の製造技術に関しては開示されているものの、典型的な歯科用修復物であるブリッジ、すなわち欠損歯を補填する歯科用修復物の製造方法に関しては、具体的事項は何ら開示されていない。
そこで、電気泳動あるいは歯科材料の開発技術者である本発明者らは、この製造技術に着目し、ブリッジの開発に着手し、その開発に成功し、既に提案している(特許文献3及び4参照)。
その特許文献3に記載の発明は、歯牙欠損部を修復するために用いるセラミックス製の修復物を、電気泳動によってセラミックス及び/又はその前駆体粒子を電極上に堆積させ、その後、得られた堆積物(修復物前駆体)を焼結させて製造する方法において、
(1)該電気泳動によるセラミックス及び/又はその前駆体粒子の堆積の際の電極として、可燃性の導電性物質で形成した0.005〜0.5mmの厚さの導電層を有する支台歯模型を用い、
(2)修復物前駆体の加熱によるセラミックス及び/又はその前駆体粒子の焼結を、該修復物前駆体を支台歯模型から取り外さずに行うことを特徴とするものである。
また、その特許文献4に記載の発明は、同様にセラミックス製の修復物を製造する方法において、セラミックス及び/又はその前駆体粒子を堆積させる電極として、前記修復物の外形に相当する部位に導電層を有する修復物陰型模型を用いることを特徴とするものである。
この文献については、図面を用いて製造プロセスが具体的に説明されており、それを示すと以下のとおりである。
この製造プロセスについて、図3を用いて以下において具体的に説明する。
その図3(A)は、3本ブリッジ用のコーピング(これは最終製品直前のものであり、この表面に陶材を築盛して色調や形態を調整して最終製品となる)を示す模式図であり、この図3(A)に示すように欠損歯を補填する修復物は、支台となる歯(支台歯または橋脚歯)にかぶせる部分(リテーナー、支台装置、支持部に相当する)と、ポンティック(架工歯、補足部に相当する)と呼ばれる欠損歯を代替する部分から構成される。
このコーピングの表面に陶材を築盛して色調や形態を調整して最終的なブリッジとし、図3(B)に示すように支台装置部分を口腔内の支台歯に被覆して用いる。
このコーピングを製造する典型的な方法は、まず定法に従って支台模型(図3(C))を作製し、さらにワックス等を用い、図3(D)に図示するようなワックス模型等の修復物の形状を有する模型(以下、修復物模型という)を作製する。
ついで、作製した修復物模型を用いて修復物の陰型模型(以下、単に陰型模型という)を作製するが、この作製方法としては、修復物模型をワックス模型とし、歯科用鋳型材中に埋没し、該鋳型材を硬化させた後、ワックスを焼成除去する方法が好適である(図3(E))。
この鋳型材としては上記支台模型と同じ材質のものを用いることが好ましく、一般に歯科用耐火埋没材として知られている種々の材料(例えば、石膏系埋没材、燐酸塩系埋没材)を用いることができる。
このような耐火性の材料を用いて陰型模型を形成することにより、後述するセラミックス粒子の堆積後に、この陰型模型ごと焼成を行うことができ、より適合性に優れた修復物を作製することができる。
さらに、前記埋没に際しては、図3(E)に図示するように、一部修復物模型が表面に出るように行うか、あるいは全体を埋没し、埋没材が硬化した後にワックスが表面に露出するように削り出して開口部を設けることになる。
この開口部は、用いたワックスを除去する際の取り出し口、及びワックス除去後の陰型模型内部へのセラミックス粒子の堆積の際の入り口となるものであり、図3(E)においては、歯冠部咬合側に開口部を設けているが、必要に応じて他の部位に開口部を設けても良い。
さらに、図4に示したように、修復物模型として開口部相当部分を設けた形状のものを形成することも好適である。
その後ワックスを除去することにより、図3(F)に断面図を示すような陰型模型を得、さらにその陰型模型の前記修復物の外形に相当する部位に導電層を設ける。
このようにして得られる、修復物の外形に相当する部位に導電層を有する陰型模型を、一方の電極とし、その電極と対極とを、図3(G)に図示するように帯電したセラミックス及び/又はその前駆体粒子が分散したイオン導電性を有する溶剤中に浸漬し、これら陰型模型と対極とを電気的に接続し、通電して電気泳動成形法によりセラミックス粒子の堆積を行うことにより、厚さや大きさの異なる部位を有する複雑な形状の修復物前駆体を得ることができる。
その際には、このようにしてセラミックス粒子が導電層上に堆積した陰型模型(図3(H))は、その後、溶剤中から引き上げ、乾燥させ、修復物を得るためには、上記修復物前駆体を焼成してセラミックス粒子を焼結させる。
この焼成に際しては、上記修復物前駆体を陰型模型から取り出してから行っても良いが、取り出しの際の変形や、あるいは焼成・焼結時の変形を避けるために、型に入れたまま焼成することがより好ましいことが開示されている。
[先行技術文献]
国際公開第99/50480号パンフレット 国際公開第02/30362号パンフレット 特開2005−34636公報 特開2005−325058公報
前記のとおりであり、本発明者らの提案により、電気泳動成形法を利用してセラミックスを堆積させ、得られた堆積物(修復物前駆体)焼成することにより、歯牙欠損部を修復するために用いる高強度のセラミックス製の修復物の製造が可能となった。
以上のとおりではあるものの、その強度は、低温等方圧圧密(CIP)成形、高温等方圧圧密(HIP)成形した後焼成した場合、又は高圧下で焼成した場合の強度と対比すると、見劣りするものである。
また、作製されたブリッジは、先行技術を図示する図2に示すように歯牙補足部とその両側に位置する支持部(歯冠部)とが側部において連結することにより一体なものとなっているものの、この連結は側部全体でなされているものではなく、歯牙補足部及び歯冠部の側部の局部的な部分においてなされているものである。
そのため、歯の使用時においては、その連結部分により強大な応力が加わり、この部分が破壊され易くなる。
本発明は、このような場合にも対応できる、より一層優れた強度を有する、セラミックス製の歯科用修復物及びその製造方法を提供することを課題とするものである。
特に、ブリッジに好適なセラミックス製の歯科用修復物及びその製造方法を提供することを課題とするものである。
本発明は、前記課題を解決するところの歯科用修復物及びその製造方法を提供するものであり、前者の歯科用修復物は、電気泳動によりセラミックス及び/又はその前駆体粒子を電極上に堆積させ、その後得られた堆積物を焼結させて製造した、歯牙欠損部を修復するために用いる歯牙補足部及び支持部からなるセラミックス製修復物であって、その内部には、セラミックス製補強材が、前記両部にまたがって配置されていることを特徴とするものである。
後者の製造方法には2種の態様があり、その第1の態様は、歯牙補足部及び支持部を持つ修復物模型を形成し、その修復物模型を用いて陰型模型を作製し、その模型に導電層を形成し、その導電層を電極として電気泳動によりセラミックス及び/又はその前駆体粒子を前記陰型模型に堆積させて歯牙補足部及び支持部を持つ堆積物を形成し、次いで前記堆積物を焼結させる、歯牙欠損部を修復するために用いる歯牙補足部及び支持部からなり、前記両部が高強度のセラミックス製補強材により結合されたセラミックス製の修復物の製造方法であって、
前記修復物模型に高強度のセラミックス製補強材を前記両部にわたるように配設し、それにより前記堆積物の前記両部に存在させることを特徴とするものである。
第2の態様は、歯牙補足部及び支持部を持つ修復物模型を形成し、その修復物模型を用いて陰型模型を作製し、その模型に導電層を形成し、その導電層を電極として電気泳動によりセラミックス及び/又はその前駆体粒子を前記陰型模型に堆積させて歯牙補足部及び支持部を持つ堆積物を形成し、次いで前記堆積物を焼結させる、歯牙欠損部を修復するために用いる歯牙補足部及び支持部からなり、前記両部が高強度のセラミックス製補強材により結合されたセラミックス製の修復物の製造方法であって、
前記堆積物に高強度のセラミックス製補強材を前記両部にわたるように配設することを特徴とするものである。
本発明のセラミックス製の歯科用修復物(1)は、図1(I)に図示された構造を持つものであり、歯牙補足部及び支持部を貫通する高強度のセラミックス製補強材(2)は、図1及び図2(H)に端的に図示されている。
この高強度のセラミックス製補強材(2)は、電気泳動と焼結によるセラミックスを製造する場合より、高強度が発現する手法で作製されており、そのため高い応力がかかる歯牙補足部と支持部との連結部の強度をより一層高めることができる。
その結果、本発明は、特許文献3及び4に開示された、電気泳動と焼結による先行技術の歯牙欠損部を修復するために用いるセラミックス製の修復物に比較し、より一層強度が優れたものを提供することができる。
さらに、本発明の製造方法は、特許文献3及び4に開示された製造方法と同様に電気泳動と焼結を用いるものであるから、両特許文献に開示された製造方法と同じ優れた作用効果を奏するものである。
その点に関し、更に具体的に言及すると、本発明の製造方法を用いると支台歯模型に均一な厚みで且つ高密度でセラミックス粒子が堆積され、得られた堆積物焼成後の収縮も少なく機械的強度が高く、適合性に優れたセラミックス製の歯科用修復物を再現性良く得ることができる。
さらに、支台歯模型からの取り外しも容易であり、加えて電流、電圧、及び堆積時間等を変えることにより所望の厚みの修復物とすることも可能となる。
また、本発明の製造方法によれば、ブリッジ用のコーピングのようなセラミックス層の厚さの異なる部位を有する修復物を、電気泳動成形法により一度に形成することが可能であり、高強度で適合性に優れた歯科用修復物を簡単な操作で用意に製造することが可能となる。
特に、電気泳動によってセラミックス及び/又はその前駆体粒子を堆積させる電極に導電層を形成させること及び型に入れたままで焼成することにより、より特性の優れたセラミックス製の歯科用修復物を得ることができ、かつ簡便な製造方法とすることができる。
以下において、本発明について、発明を実施するための最良の形態を含む各種の実施の形態に関し詳述するが、本発明は、この実施の形態によって何等限定されるものではなく、特許請求の範囲によって特定されるものであることはいうまでもない。
本発明は、前記したとおりセラミックス製歯科用修復物及びその製造方法を提供するものである。
前者の歯科用修復物は、前記したとおり電気泳動によりセラミックス及び/又はその前駆体粒子を電極上に堆積させ、その後得られた堆積物を焼結させて製造した、歯牙欠損部を修復するために用いる歯牙補足部及び支持部からなるセラミックス製修復物であって、その内部には、セラミックス製補強材が、前記両部にまたがって配置されていることを特徴とするものである。
そのセラミックス製修復物(1)は、前記したとおり図1(H)に図示された構造を持つものであり、歯牙補足部と支持部とにまたがって配置されている高強度のセラミックス製補強材(2)は、図1(H)及び図2(H)に端的に図示されている。
すなわち、図1(H)及び図2(H)に図示されたセラミックス製修復物は、その両端に一歯分ずつ、計二歯分の支持部を有しており、それらに挟まれて一歯分の歯牙補足部を有している。
これらの図に示すように、セラミックス補強材(2)は、中央の歯牙補足部を貫通して、その両端は支持部にまで到達している。
従って、強い咬合圧力等が付与されても、歯牙補足部と支持部との連結部(図の態様では、右左二箇所存在する)にまたがるように配設されたセラミックス製補強材により補強されているため、該連結部から破壊する危険性が極めて低減される。
さらに、これらの図においては、三歯分にまたがる1つのセラミックス補強材を用いているが、必ずしもこのような態様である必要はなく、例えば、一方の支持部と歯牙補足部との2歯分にまたがるセラミックス補強材と、他方の支持部と歯牙補足部との2歯分にまたがるセラミックス補強材との2つのセラミックス補強材を用いるなどの態様でも構わない。
勿論、セラミックス製歯科用修復物の大きさが、二歯分であったり、4歯分であったりするなど、三歯分以外の場合にも同様である。
また、セラミックス製修復物内部におけるセラミックス補強材の位置も、少なくとも一つの支持部と歯牙補足部とにまたがっていればよく、歯冠咬合側より、頬側より、舌側より等如何なる位置に配設されていてもよい。
さらにセラミックス補強材は、その全部がセラミックス製修復物の内部に存在する必要はなく、上記のように連結部の補強効果を得られるのであれば、前述したような陶材を築盛して最終製品とする前の状態であれば、その一部が外部に露出していてもよい。
しかしながら、より高い補強効果を得るためには、セラミックス補強材の全部が、電気泳動により堆積させた粒子の堆積物/焼成体中に埋まっていることが好ましく、このような状態で全部が埋まっていることは、最終製品における審美性の点でも望ましい。
後者の製造方法には2種の態様があり、その第1の態様は、歯牙補足部及び支持部を持つ修復物模型を形成し、その修復物模型を用いて陰型模型を作製し、その模型に導電層を形成し、その導電層を電極として電気泳動によりセラミックス及び/又はその前駆体粒子を前記陰型模型に堆積させて歯牙補足部及び支持部を持つ堆積物を形成し、次いで前記堆積物を焼結させる、歯牙欠損部を修復するために用いる歯牙補足部及び支持部からなり、前記両部が高強度のセラミックス製補強材により結合されたセラミックス製の修復物の製造方法であって、
前記修復物模型に高強度のセラミックス製補強材を前記両部にわたるように配設し、それにより前記堆積物の前記両部に存在させることを特徴とするものである。
第2の態様は、歯牙補足部及び支持部を持つ修復物模型を形成し、その修復物模型を用いて陰型模型を作製し、その模型に導電層を形成し、その導電層を電極として電気泳動によりセラミックス及び/又はその前駆体粒子を前記陰型模型に堆積させて歯牙補足部及び支持部を持つ堆積物を形成し、次いで前記堆積物を焼結させる、歯牙欠損部を修復するために用いる歯牙補足部及び支持部からなり、前記両部が高強度のセラミックス製補強材により結合されたセラミックス製の修復物の製造方法であって、
前記堆積物に高強度のセラミックス製補強材を前記両部にわたるように配設することを特徴とするものである。
その製造プロセスは、図2に図示するとおりである。
次いで、両態様に関し、以下において図1及び2を用いて具体的に説明することになるが、両図とも3本ブリッジ用のセラミックス製修復物を製造する過程を図示するものである。
第1の態様を図示する図1は、修復物模型であるワックス模型に高強度のセラミックス製補強材を配設することによりセラミックス製の修復物を製造する場合であり、第2の態様を図示する図2は未焼成のセラミック堆積物に高強度のセラミックス製補強材を配設することによりセラミックス製の修復物を製造する場合であり、両態様は高強度のセラミックス製補強材を圧入する過程、特に時期において異なる点に特色がある。
まず、第1の態様について、図1を用いて3本ブリッジ用のセラミックス製修復物の製造プロセスを説明する。
この欠損歯を補填する修復物は、支台となる歯(支台歯または橋脚歯)にかぶせる部分(リテーナー;支台装置(以下、支持部という))と、ポンティック(架工歯)と呼ばれる欠損歯を代替する部分(以下、歯牙補足部という)から構成される。
この修復物は、まずコーピングを製造し、その表面に陶材を築盛して色調や形態を調整して最終的なブリッジとし、先行技術を図示する図3(B)に示すように支台装置部分を口腔内の支台歯に被覆して用いるものであり、本発明の製造プロセスにおいて、焼成後に得られるものは前記コーピングに該当するものである。
その図1において、(A)は支台歯となる模型(以下、支台模型という)を図示するものであり、この模型に、高強度のセラミックス製補強材を設置し、それを取り囲むように修復模型であるワックス模型を作製する(B)。
このとき、該セラミックス製補強材は、歯牙補足部及びその両側の支持部にわたるように設置する。
なお、前記支台模型としては、特に制限されることなく支台模型を作製するための既存の各種のものが使用可能であるが、石膏模型あるいはエポキシ模型等が好適である。
また、修復物模型作製の材料についても、ワックス以外のものも特に制限されることなく各種の既存のものが使用可能であり、即時重合レジンあるいはパターンレジン等を挙げることができる。
高強度のセラミックス製補強材については、電気泳動によりセラミックス及び/又はその前駆体粒子を電極上に堆積させ、その後焼結させ作製したセラミックスより高強度で、歯牙補足部及び支持部間を連結することができるセラミックスであれば特に制限されることなく使用可能であるが、その補強材の素材は、それを取り付ける電気泳動により堆積物を形成後焼結させ作製したセラミックスと同一の材質の材料であれば、熱膨張率等の性質もほぼ同一のものとなり安定した状態で結合することができ、また屈折率の相違によって観察角度によって色調が異なるなどの問題も生じがたい。
また、その形状は歯牙補足部及びその両側の支持部にわたるように設置又は圧入できるものであれば、特に制限されることはなく、製造する修復物にあわせて選定すればよい。 例えば直棒状(平板状、角柱状、円柱状、楕円柱等を含む)のものを用いたり、あるいは歯列の湾曲にそって曲率を有するものを用いてもよく、さらに必要に応じて、一つの修復物が複数のセラミックス製補強材を有するようにしてもよい。
入手や製造の容易さの点で平板状のセラミックス製補強材を用いることが好ましく、歯冠の大きさにもよるが、通常、幅が2mm〜15mm、厚みが0.4mm〜10mm、長さが10mm〜80mmの範囲で適宜選択して用いればよい。
また、該セラミックス製補強材としては、CIP成形やHIP形成した後に焼成したり、高温で焼成したり、あるいは別途電気泳動形成法により作製した高密度セラミックス焼結体であることが好ましい。
その強度については、曲げ強度(JIS R 1601)で300MPa以上であることがよく、500MPa以上であることが好ましく、800MPa以上であることが特に好ましい。
なお、そのセラミックス製補強材としてジルコニア製のものを採用すれば800〜1300MPaの強度を有する高強度連結材とすることができる。
その後ワックス模型を支台模型から取り外し、得られたワックス模型を用いて修復物の陰型模型(以下、単に陰型模型)を作製する。
なお、支台模型を鋳型材と同様に耐火性のある材料で製造した場合には、図3(E)や図2に示すように、ワックス模型を支台模型から取り外さずに陰方模型を作製してもよく、この場合には、支台模型は、陰型模型の一部となる。
この陰型模型の作製方法としては、ワックス模型を歯科用鋳型材中に埋没し(C)、該鋳型材を硬化させた後、ワックスを焼成除去する方法、所調ロストワックス法が好適である(D)。
その鋳型材としては、上記支台模型と同じ材質のものを用いることが好ましく、一般に歯科用耐火埋没材として知られている種々の材料(例えば、石膏系埋没材、燐酸塩系埋没材等の耐火性材料)を用いることができる。
このような耐火性の材料を用いて陰型模型を形成することにより、後述するセラミックス粒子の堆積後に、この陰型模型ごと焼成を行うことができ、より適合性に優れた修復物を作製することができる。
その埋没に際しては、図1(C)や図2(C)のように一部ワックス模型が表面に出るよう埋没してもよいし、あるいは全体を埋没してもよいが、後者の場合には、埋没材が硬化した後にワックスが表面に露出するように削り出して開口部を設けることになる。
この開口部は用いたワックスを除去する際の出口、及びワックス除去後の型の内部へのセラミックス粒子の堆積の際の入り口となる。
前記図3(E)や図1、2においては、ワックス模型を鋳材中に埋没される際に、完全には埋没させずに、歯冠咬合部側の一部が露出した状態で埋没させており、ワックス除去後にこの部分が開口部となる。
当該露出部位は歯冠咬合部側に限定されるものではなく、必要に応じて他の部位を露出させて開口部を設けてもよい。
また、図3(E)、1、2等では、ワックス模型として概ねコーピングと同一の形状のものを製造し、その一部を鋳型材から露出させているが、先行技術を図示する図4に示したように、ワックス模型として、露出させる部分に余計に設けた形状のものを形成することも好適である。(このようにして設けた開口部は、一般に、スプルー線と呼ばれる。)
陰型模型形成後は、前記したとおりワックス模型を除去すること(D)になるが、該除去後得られた陰型模型の前記修復物の外形に相当する部位に導電層を設ける。
その際のワックス模型の除去方法は特に限定されるものではなく各種手法が採用可能であるが、ワックス除去時に陰型模型を損傷させる危惧がないので、加熱により焼失させる方法が好適である。
また、導電層を設ける方法も特に限定されるものではなく、例えば、導電性ペーストを筆等で塗布、乾燥させる方法が挙げられる。
その導電性ペーストの作製には、具体的には、人造黒鉛、天然黒鉛、グラッシーカーボン、フラーレン、カーボンナノチューブ等のカーボン類;ポリアニリンクロロアニルをドープしたポリジメチルアミノスチレン、テトラシアノエチレンをドープしたポリビニルメシチレン、テトラシアノエチレンをドープしたポリビニルナフタレン、ハロゲンをドープした、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリビニルカルバゾール、テトラシアノエチレン、ポリビニルピジリン、テトラシアノエチレン、ドープしたポリジフェニルアミン、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタンをドープしたポリビニルイミダゾール、ハロゲンをドープしたポリアセチレン、HClO4をドープしたポリチオフェン等の電子導電性高分子類等や金、白金、パラジウム、銅、銀、ニッケルなどの金属類等の導電性粒子を用いることができる。
その導電性ペーストの作製は、前記した導電性粒子を水、酢酸エチル、メチルエチルケトン等の溶剤に分散させて適度な塗布性を付与したペーストを形成し、該ペーストを修復物の外形に相当する部位、即ち、陰型模型の内部に塗布、その後自然乾燥、加熱乾燥などを行って、使用した溶剤を揮発除去させる方法が好適である。
その導電層を設ける方法は、前記したとおり導電性ペーストを用いる方法に限定されるわけではなく、必要に応じて蒸着やスパッタリング等の方法によって形成することもできるが、この場合には、所定の部位以外に導電層が形成されてしまわないように保護するか、あるいは蒸着後に不要な導電層部分を除去する必要がある。
このようにして導電層が形成された陰型模型に電気泳動形成法によりセラミックス粒子を堆積させるためには、電極である陰型模型に通電することが必要であり、そのためには外部電源から導電層への導通を確保する必要がある。
その際には、不必要な部位へのセラミックス粒子の堆積を防止するために、絶縁材料により被覆された金属線を上記修復物の外形に相当する部位の導電層に電気的に結合させる手法が好ましいが、必要に応じて、修復物の外形に相当する部位から適当な位置まで導電層をさらに形成する手法でも良い。
この場合には、該外部導通用の導電層上にセラミックス粒子が堆積しないように、絶縁性の材料で被覆するのがよい。
なお、以上の説明では修復物模型はワックスを、陰型模型は耐火埋没材を用いて作製しているが、必要に応じて他の材質のものを用いてもよく、その場合には、材質に応じた除去方法(例えば溶融や溶解など)を採用すればよい。
しかしながら、加工のし易さ、室温下での形状安定性、除去の容易さなどの点から修復物模型はワックスで作製することが好適である。
さらに、また、陰型模型の作製にあたっては、修復物模型と鋳型材(あるいは印象材)を用いる方法に限らず、例えば、歯科用耐火埋没材のバルク体から削りだす方法によっても良い。
導電層の形成に際しても、上記のようにワックス模型等の修復物模型を除去後、得られた陰型模型上に形成するのではなく、例えば、修復物模型を形成後、該修復物模型上に導電層を形成し、これを鋳型材に埋めて硬化させ、ついで、導電層が鋳型材(陰型模型)上に転写するように、修復物模型を除去する方法などでも良い。
具体的には、修復物模型をワックスで形成し、導電層を金属で形成し、該金属の融点未満かつワックスの燃焼温度以上で加熱する手法などが例示される。
このようにして得られる、修復物の外形に相当する部位に導電層を有する陰型模型を一方の電極として電気泳動成形法によりセラミックス粒子の堆積を行うことにより、厚さや大きさの異なる部位を有する複雑な形状の修復物前駆体を得ることができる(E)。
その際の電気泳動成形法も、特に制限されるものではなく、公知の手法に従えばよく、具体的には、上記陰型模型からなる電極と対極とを、帯電したセラミックス及び/又はその前駆体粒子が分散したイオン導電性を有する溶剤中に浸漬し、これら陰型模型と対極とを電気的に接続し通電すればよい。
この通電により、セラミックス粒子は、耐火模型の導電層上に堆積し、修復物を形成する成分であり、目的とする修復物の材質により適宜その材質も選択すればよい。
このようなセラミックス粒子は、一般には金属酸化物が好適に用いられるが、ガラス及びガラスセラミックス、これらの前駆体を用いても構わない。
その金属酸化物としては、ジルコニア、イットリア安定化ジルコニア、マグネシア安定化ジルコニア、カルシア安定化ジルコニア、セリア安定化ジルコニア、アルミナ、スピネル等が挙げられ、これらのなかでも高強度の焼結体(修復物)が得られる点で、ジルコニア又は安定化ジルコニアが好ましい。
また、窒化珪素等の金属酸化物以外のセラミックス粒子も挙げられる。
これらセラミックス粒子の形状も特に制限されるものではなく、球状、不定形等公知の如何なる形状でも良く、またその粒子径も特に制限されないが、溶剤中に分散させやすく、また得られるコーピングが機械的強度に優れたものとするために、平均粒子径が10nm〜1μm程度のものであることが好ましい。
さらに、必要に応じて繊維状のセラミックスを少量用いることも高い機械的強度が得られる点で好適である。
また、セラミックス粒子の焼結や堆積層の厚みの確保を容易にするために、金属粉末、炭酸塩、水酸化物、アルコキサイド等を直接/もしくは複合して用いることが可能であり、例えば、アルミナの場合アルミ粉末との混合物を用いることにより堆積厚が確保しやすくなる。
このようなセラミックス粒子を溶剤中で帯電させる方法も、特に制限されるものではなく、通常は溶剤に分散させるだけである程度帯電する。
その帯電をより効率的に行うためには、塩酸、硫酸及び酢酸等の各種酸、あるいは水酸化ナトリウム及びアンモニア等のアルカリを加えることによって溶剤のpHを調整することが好ましい。
その際のpHは、使用するセラミックス粒子の種類等にもよるが、一般的には、酸によりpHを3〜5程度にすることにより効率よく正(+)に帯電させることが可能である。 逆に塩基性にすることにより負(−)に帯電させることも可能である。
このようなセラミックス粒子を分散する溶剤も特に限定されるものではないが、セラミックス粒子の分散性、前記導電層の脱離のしにくさ、焼成時の除去され易さ等を考慮すると揮発性の極性溶媒であることが好ましい。
具体的には、水、エタノール、エチルセルソルブ、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、エトキシエタノール等のアルコール類;メチルエチルケトン、メチルブチルケトン等のケトン類;オクチル酸、プロピオン酸等のカルボン酸類等が挙げられる。
これら溶剤に対するセラミックス粒子の分散量も特に限定されるものではないが、一般的には、セラミックス粒子濃度が1〜30体積%となる程度である。
また、本発明の製造方法で用いる溶剤には、前記したようなpH調整のための酸又は塩基が配合されていてもよく、さらには、セラミックスの焼結時のクラックの発生防止や操作性を向上させるために解膠剤、結合剤等が添加されていても構わない。
その解膠剤の例としては、一般に苛性ソーダ、珪酸ソーダ、水ガラス、炭酸ソーダ、ソーダ灰、燐酸ソーダ、アルミン酸ソーダ、蓚酸ソーダ、蓚酸アンモン、水酸化リチウム、炭酸リチウム、アルミン酸リチウム、クエン酸リチウム、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、モノアミルアミン、モノエチルアミン、モノ−iso−ブチルアミン、モノ−n−ブチルアミン、モノ−n−プロピルアミン、モノ−sec−ブチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピペリジン、エチルアミン、水酸化四メチルアンモニウム、ポリビニールアミン、ポリエタノールアミン、リン酸エステルを用いることができる。
また、結合剤の例としては澱粉、可溶性澱粉、α化澱粉、デキストリン、アルギン酸、アルギン酸ソーダ、アラビアゴム、トラガカントゴム、ガッチゴム、カゼイン、カゼインソーダ、ブドウ糖、ゼラチン、膠(不純ゼラチン)、小麦粉、大豆蛋白、ペプトン、精蜜、Na-カルボキシルメチルセルロース、メチルセルロース、メチルエチルセルロース、酢酸セルロース、リグニンスルホン酸ソーダ、リグニンスルホン酸カルシウム、Na-カルボキシルメチル澱粉、ヒドロキシエチル澱粉、澱粉燐酸エステルソーダ、グリセリン、パルプ廃液、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸アミド、ポリアクリル酸ソーダ、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルブチラールを挙げることができる。
さらに、結合剤として、ポリエチレングリコール、ポリエチレン酸化物、ポリビニルピロリドン、ビニールピロリドン-酢ビ共重合物、タンニン酸、尿素、シェラック、ロジン乳濁液、動植物油(大豆油、魚油、牛脂など)、流動パラフィン、ワックスエマルジョン(カルナウバろう、カルボろう、地ロウなど)、セレシン、重油、機械油、スピンドル油、エチルセルロース、アセチルセルロース、エステルガム、ポリビニルアセテート、クロマン樹脂、石油樹脂、フェノール樹脂、エチレンシリケート等を挙げることができ、それらはセラミックス粒子表面に吸着し粒子を効果的に分散させることができる。
このような解膠剤、結合剤はセラミックス100重量部に対して0.2〜20重量部添加できる。
なお、これら解膠剤、結合剤は、溶剤のpH調整剤としても作用するものもある。
このような溶剤は、イオン導電性を有することが必須であり、イオン導電性のない場合には、セラミックス粒子の電気泳動が起こらず、よって、前記導電層上にセラミックス粒子の堆積が起きない。
このようなイオン導電性を付与する方法は、通常は、前記したようにpHを酸性又はアルカリ性に調整するだけで充分である。
また、必要に応じて1種もしくは多種電解質および解膠剤を添加しても良い。
このようなセラミックス粒子が分散した溶剤に対し、前記導電層を有する陰型模型が浸漬されるが、該模型を一方の電極として溶剤中に電流を流すために、該溶剤中には、陰型模型における導電層と電気的に導通した対極も浸漬される。
この対極は導電性のあるものであれば特に制限されず、各種金属や合金、あるいは炭素電極等を用いればよい。
セラミックス粒子が正に帯電していれば陰型模型を負極に、逆に負に帯電していれば正極にしてセラミックス粒子を耐火模型に堆積させる。
この電気泳動の印加電圧、電流及び印加時間は、所望の膜厚に従い調整可能であるが概ね1〜300V、1〜300mA/cm2、30秒〜6時間程度で陰型模型中に堆積できる。
このようにしてセラミックス粒子が導電層上に堆積した陰型模型は、溶剤中から引き上げ、乾燥させることにより、修復物前駆体(E)を内部に有するものとなる。
修復物を得るためには、上記修復物前駆体を焼成してセラミックス粒子を焼結させる必要がある。
この焼結は、上記修復物前駆体(E)を陰型模型から取り出してから行っても良いが、取り出しの際の変形や、あるいは焼成・焼結時の変形を避けるために、型に入れたまま行うのが好ましい。
その際の焼成温度及び時間は、用いられるセラミックス粒子の材質によって異なり、公知の条件を適宜採用すればよいが、概ねアルミナ及びジルコニアでは1250℃〜1600℃の温度範囲で2〜8時間焼成することにより緻密化する。これにより得られた焼結体は、その内部に前記セラミックス製補強材を有したものとなる(G)。
また、堆積物、すなわち修復物前駆体を1000℃〜1200℃の温度範囲で焼成し、緻密化せずに用いても良い。
この場合には、得られた焼結体に更にガラスを含浸させ、セラミックス複合体を作製することができ、例えば、含浸させるガラスとしてはLa23、SiO2、Al23、B25等を主成分とするガラスが用いられる。
その際の含浸させる温度域としては800〜1000℃でよく、使用するガラス組成の融点により最適な温度を選択すれば良い。
さらに、ガラス含浸に際しても、陰型模型から取り出す前でも、取り出した後でも良いが、より適合性の良い修復物を得るためには、型から取り出す前に行うことが好ましい。 即ち、電気泳動形成法を用いて前駆体を形成しても、焼結時の収縮を完全に0にすることはできず、若干の形状の誤差が生じることは不可避であるが、前記したところの手法により陰型模型に入れたままガラスを含浸させることによって、得られた焼結体内部及び焼結により生じた焼結体と陰型模型との間隙にもガラスが浸透し、この形状誤差を補正することができる。
その堆積した粒子を焼結させるための焼成及びガラス含浸の際には主に電気炉が用いられるが、該電気炉としては最高1600℃程度の温度が得られるものであれば良い。
このようにして焼成した後、焼結体を陰型模型から取り出すが、取り出す手法としては、用いた陰型模型を破壊することが最も簡便である。
このようにして先行技術を図示する図3(A)に示したようなセラミックス製の修復物(コーピング:H)が得られるが、これは必要に応じて更に公知の手法に従って形態修正、陶材築盛などを行い、図1の(I)に図示するセラミックス製の最終製品とすることができる。
次いで、第2の態様について、図2を用いて3本ブリッジ用のセラミックス製修復物の製造プロセスを説明する。
なお、この図2においては、支台模型(A)は図1と同様のものとなるので、それを図示することは省略した。
この態様においても、支台模型(A)を用いてまずワックス模型(B)を作製する。図2においては、このワックス模型を支台模型から取り外さずに歯科用鋳型材中に埋没させている(C)が、図1の態様で説明したごとく、ワックス模型を支台模型から取り外して埋没させてもよく、該鋳型材の硬化後にワックスを除去して陰型模型を得る(D)。
次いで、得られた陰型模型の前記修復物の外形に相当する部位に導電層を設け、このようにして得られる修復物の外形に相当する部位に導電層を有する陰型模型を一方の電極として電気泳動成形法によりセラミックス粒子の堆積を行い、修復物前駆体(E)を得る。
その後、この修復物前駆体に高強度のセラミックス製補強材を圧入(F)し、その後焼結させ(G)、また必要に応じて堆積した粒子の一部を除去してそこに埋め込んでもよい。 このようにして得られた、内部にセラミックス製補強材を有する焼結体は、その後、前述した第一の態様における焼結体と同様に、形態修正、陶材築盛等を行い最終製品とすればよい。
この態様も、支台模型を用いてワックス模型を作製し、このワックス模型を歯科用鋳型材中に埋没し、該鋳型材を硬化させた後、ワックス模型を焼成等により除去して陰型模型を作製し、得られた陰型模型に導電層を形成して、それを一方の電極として電気泳動成形法によりセラミックス粒子の堆積を行い、得られた堆積物を焼結させ、歯牙欠損部を修復するために用いる歯牙補足部及び支持部からなるセラミックス製修復物を製造する基本的プロセスは第1の態様とする共通するものである。
前記のとおりであるから、この範囲においては前記第1の態様と同様の手法が採用でき、使用する材料、処理条件等も共通するものが採用できる。
また、両態様は、前記したとおり高強度のセラミックス製補強材を配設する過程、特に時期において異なるものである。
そこで、第2の態様の製造プロセスに関しては、その相違点に関し補足的に説明する。
第2の態様においては、高強度のセラミックス製補強材を配設する対象が第1の態様の配設対象物であるワックス模型でなく、電気泳動成形法により形成された堆積物ではあるものの、それは未焼成のものであるから、両者は、燃焼させることにより、堆積させた粒子と一体化した焼結体となる点で変わりはない。
さらに第一の態様と第二の態様の中間的な態様として以下のような方法で本発明のセラミックス製修復物を製造してもよい。
即ち、まず第二の態様と同様にセラミックス製補強材を有さないワックス模型を製造し、これを用いて陰型模型を得、電気泳動によりセラミックス粒子を堆積させる。
本態様においては、この堆積を途中で一時中断して電気泳動槽より引上げ、セラミックス製補強材を該堆積物上に配設し、その後、再度電気泳動による堆積を行う態様である。
本発明の第1の態様の製造プロセスを示す図。 本発明の第2の態様の製造プロセスを示す図。 従来技術におけるセラミックス製の修復物の製造工程を示す図。 従来技術におけるワックス模型を鋳型材に埋没した状態を示す別の態様の模式図。
符号の説明
1 本発明のセラミックス製の歯科用修復物
2 高強度のセラミックス製補強材

Claims (1)

  1. 歯牙補足部及び支持部を持つ修復物模型を形成し、その修復物模型を用いて陰型模型を作製し、その模型に導電層を形成し、その導電層を電極として電気泳動によりセラミックス及び/又はその前駆体粒子を前記陰型模型に堆積させて歯牙補足部及び支持部を持つ堆積物を形成し、次いで前記堆積物を焼結させる、歯牙欠損部を修復するために用いる歯牙補足部及び支持部からなり、前記両部が高強度のセラミックス製補強材により結合されたセラミックス製の修復物の製造方法であって、
    前記修復物模型に高強度のセラミックス製補強材を前記両部にわたるように配設し、それにより前記堆積物の前記両部に存在させることを特徴とする、前記セラミックス製歯科用修復物の製造方法。
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