JP4364999B2 - 電気泳動浴液の調製法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ナノ結晶性金属酸化物電気泳動析出するための浴液調製し、及びこの浴液を用いてナノ結晶性金属酸化物を電気泳動析出する方法に関するものである。
【0002】
電気泳動によるセラミック体の成形により、他の成形法で典型的に生じる欠陥、例えば圧縮亀裂又は密度揺動を生じることはなく、きわめて均質かつ緊密になったた基体にすることができる。更に熱可塑性成形法とは異なり、離型工程を必要とはしない。その上更に、電気泳動は、固化速度が粉末粒度に左右されない唯一の成形法である。
【0003】
しかしながら、100nm未満のセラミック粒子の粒度は、不完全な分散に由来する望ましくない浴液特性を生じてしまう。沈降が生じるのである。前記の浴液から電気泳動を用いて取得された基体は、わずかなパッケージ密度及び高い乾燥収縮を示すが、これらが亀裂につながることがある。
【0004】
しかし、ナノ結晶性粉末は、ほとんどの場合に凝集した粉末として存在している。しかし、ナノ結晶性一次粒子から生じたこれらの凝集体は、ほとんど分解させることができない。乳鉢中での相応する試験により、不安定にされたZrO2粉末の使用の際に、専ら130nmの平均粒度になる。
【0005】
初めて、高出力磨砕機の使用下で、最初から、約100nmの平均粒度に達することができた。しかしこの場合、高い磨砕粒子摩滅が生じ、著しく希釈された懸濁液中で作業しなければならないということが欠点と見なされている。
【0006】
より粗大な粉末は、例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第3731275A1号、同第3903728A1号及び欧州特許出願公開第0316275A2号中に記載されているように、通常、ボールミル又は乳鉢において粉砕される。これらでは、超伝導性セラミック層の製造法が提案されている。使用された金属酸化物は、乾燥状態又は湿潤状態で、100〜500000nmの大きさにまで粉砕されている。析出は、水性又は極性有機溶剤中で行われているが、この場合、C原子6個までの鎖長を有する短鎖状アルコールが好適である。系に応じて、電解質として塩、例えば硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、強酸、例えば硫酸及び燐酸又は強塩基、例えば苛性ソーダ溶液及び苛性カリ溶液が添加されている。
【0007】
金電極、銀電極、白金電極、パラジウム電極及びニッケルクロム電極からの析出は、欧州特許出願公開第0316275A2号の場合には水性媒体中で5〜30mA/cm2、有機媒体中で0.5〜3mA/cm2の電流密度で実施されている。ドイツ連邦共和国特許出願公開第3731275A1号の場合には、1−ブタノール中で0.01mA/cm2で析出させられている。
【0008】
前記の文献中に記載された粉末は、相対的に粗大であり、従って、分散のために剪断力の強力な処理を必要としない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の課題は、ナノ結晶性金属酸化物も加工できる方法を提供することであった。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、本発明によれば、ナノ結晶性金属酸化物電気泳動析出するための浴液調製し、及びこの浴液を用いてナノ結晶性金属酸化物を電気泳動析出する方法によって解決されるが、この方法は、35〜65容量%を有する金属酸化物及び分散剤を含有する溶剤含有濃厚液を混練機中で混練し、この場合この濃厚液は、エタノール及び/又はブタノールを溶剤として含有し、調製の後に該濃厚液をエタノール及び/又はブタノールで、2〜25容量%の金属酸化物含量にまで希釈し、ナノ結晶性金属酸化物を0.1〜2.5mA/cm の電流密度で析出することによって特徴付けられる。
【0011】
1つの有利な実施態様の場合、金属酸化物が20〜80nmの平均粒度を有するような高い剪断力で混練する。
【0012】
適当な混練機としては、例えばローラー混練機を使用することができる。
【0013】
本発明による調製によって、ナノ結晶性粉末の極めて良好な分散が達成できる。これは、析出の際の遊離粒子の良好な固結、ひいては気体中での極めて高いパッケージ密度につながる。付加的に、遊離工程による損傷が生じることがないので、基体の焼結挙動は、他のすべての成形法の場合よりも良好である。もう1つの利点は、低い焼結温度にある。これは、例えば単斜のZrO2については1100℃である。こうして、数十μmの厚さの層又は3mmの厚さの基体を製造することができる。また、前記の基体が大面積にも製造可能であることも特に有利であると見なされる。
【0014】
分散剤としては、殊にトリオキサデカン酸(TODS)が適している。これは濃厚液の固体分を有利に0.5〜10質量%、殊に3〜5質量%と一緒に使用される。
【0015】
この濃厚液は、通常、エタノール及び/又はブタノールを含有している。水は、気泡形成のための電気分解により不適切である。
【0016】
本発明の1つの有利な実施態様の場合、45〜55容量%の酸化金属を含有する濃厚液を使用する。
【0017】
酸化金属としては、ZrO2、Al23、TiO2、SiO2及びBaTiO3を使用することができる。これらは、単独又は組み合わせて使用することができる。
【0018】
セラミック粉末の析出は、0.1〜2.5mA/cm2の電流密度、有利に0.15〜1.2mA/cm2で行われる。0.1〜5mmの厚さで大面積の層の製造のための析出時間は、0.5〜600分である。
【0019】
本発明の方法によって、ナノ結晶性ではあるが、しかし、部分的に凝集した粉末を、電気泳動によって加工可能となる。これによって初めて、100%圧縮された単斜のZrO2基体の製造が可能になる。ナノ結晶性粉末によって可能になる低い焼結温度と、薄いないし極めて厚い層を製造でき、かつ構造付与の選択をもたらすフレキシブルな成形法との組み合わせは、セラミック製造技術における新規の有利な展望を与えてくれる。
【0020】
【実施例】
本発明を、以下に、実施例により詳細に説明する。
【0021】
例 1
濃厚液を以下のようにして製造した:
190nmの平均凝集物大を有するZrO2(VPタイプ、製造社、Degusssa AG)を、無水エタノール中のTODS3.25質量%と一緒に混練した。この場合、TODSは、ZrO2の表面を覆っていた。バッチ量は、ZrO254容量%からなっていた。この成分を、材料の強力な自己昇温のため冷却しておかなければならない混練室中に交互に入れた。混練時間は、120分であった。回転モーメントは、温度40℃で60Nmであった。
【0022】
混練機中での調製の終了後に、この材料を無水エタノール中に入れ、ZrO2濃厚液を25容量%に調節した。混練プロセスによって、ZrO2粒子を49nmの平均粒度になるまで再分散させた。粒度測定を動的レーザー散乱の原理によって行った。
【0023】
10時間及び1100℃で、5.8g/cm3の理論密度に対して100%になるまで焼結させて、最大寸法115×70×3mmを有する欠陥のない基体を、電気泳動析出法によって製造することができた。この焼結体は、97%までが単斜相からなっていた。1.1mA/cm2の電流密度の場合、150秒で1.2mmの層厚を達成した。0.13mA/cm2の電流密度の場合、3800秒で、3.0mmの層厚を達成する。
【0024】
例 2
比表面積13m2/g及びTODSを粉末量に対して0.55質量%有するAl23を、最大析出率の調整に使用した。極性溶剤として、無水エタノールを使用した。バッチ量を、50〜65容量%の固体含量と一緒に混練した。混練ユニットによって得られる25Nmの回転モーメントの一定値への沈静の際に、分散が終了した。調製時間は、60分であった。引き続き、濃度を、固体10容量%にまで希釈した。平均粒度は、250nmであった。析出のために、電流密度を0.13mA/cm2に調整した。15分の析出時間後に、10mmの厚さの層が生じたが、これは、3.99g/cm3の理論密度に対して62%まで圧縮されていた
例 3
約200g/cm2の比表面積を有するアモルファスSiO2を用いる部材の電気泳動被覆のために、無水エタノール、SiO245容量%及びTODS2.9質量%からなる浴液を混練機で調製した。混練時間は、65Nmの回転モーメントで120分であった。析出のために、前記の浴液を高い粘度のためSiO24容量%にまで希釈した。平均粒度は、20nmであった。5分間で67V/cmの電圧の調整の際に、約0.8mmの層厚が生じた。

Claims (7)

  1. ナノ結晶性金属酸化物電気泳動析出するための浴液調製し、及びこの浴液を用いてナノ結晶性金属酸化物を電気泳動析出する方法において、35〜65容量%を有する金属酸化物及び分散剤を含有する溶剤含有濃厚液を混練機中で混練し、この場合この濃厚液は、エタノール及び/又はブタノールを溶剤として含有し、調製の後に該濃厚液をエタノール及び/又はブタノールで、2〜25容量%の金属酸化物含量にまで希釈し、ナノ結晶性金属酸化物を0.1〜2.5mA/cm の電流密度で析出することを特徴とする、ナノ結晶性金属酸化物を電気泳動析出するための浴液調製し、及びこの浴液を用いてナノ結晶性金属酸化物を電気泳動析出する方法
  2. 金属酸化物が、平均粒度20〜80nmを有するような程度に高い剪断力で混練する、請求項1に記載の方法。
  3. 分散剤として、濃厚液の固体の0.5〜10質量%を有するトリオキサデカン酸を使用する、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 濃厚液の固体の3〜5質量%を有する分散剤を使用する、請求項3に記載の方法。
  5. エタノール及び/又はブタノールを含有する濃厚液を使用する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
  6. 45〜55容量%の金属酸化物を含有する濃厚液を使用する請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
  7. 酸化物の1種又はそれ以上の金属酸化物を、ZrO、Al、TiO、SiO、BaTiOのグループから選択する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
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