JP5009496B2 - 発電装置 - Google Patents
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Description
これを避けるために通常は予備改質器を利用する。予備改質器では、エタン、エチレン、プロパン、ブタン等の炭素数2以上の炭化水素系ガスを、炭素数が1のメタンと水素に改質する。次いで、メタンを本改質することによって、水素と一酸化炭素を含む改質ガスに改質する。
予備改質器と本改質器を分離すると、燃料ガスが通過するパイプの内壁に炭素が堆積することを防止できる。
図1は特許文献1の発電装置の要部を示している。セル群収容室44内には、燃料電池セル群14が5段に収容されている。図示18は、本改質器であり、本改質器18で得られた改質ガスは、燃料電池セル群14の内部に送り込まれる。有酸素ガス(具体的には空気)は、通路50から燃料電池セル群14の各グループの下方に配置されている空気供給部材16を通って、燃料電池セル群14の各グループに向けて吹きだす。燃料電池セル群14の内部に送りこまれた改質ガスと、燃料電池セル群14の外面に吹付けられた有酸素ガスは反応し、電気と熱を作り出す。燃料電池セル群14を通過した改質ガス(オフガス)は、燃料電池セル群14から吹きだす時に燃焼し、燃焼熱を発生する。発電熱と燃焼熱によって、高温の排気ガスが生成する。高温の排気ガスは本改質器18を加熱する。本改質器18を加熱した排気ガスは排気通路58に送り出される。
有酸素ガスをセル群収容室44に送り込む通路34と、排気通路58の間には熱交換器が設けられている。熱交換器は、高温の排気ガスが通過する中間室46(排気通路58の一部)と、有酸素ガスが通過する外室48と、両者間で熱交換するフィン54、56で構成されている。高温の排気ガスは、熱交換器によって、セル群収容室44に送り込む有酸素ガスを予熱する。本改質器18と、燃料電池セル群14と、有酸素ガスの予熱用熱交換器は、断熱材料42で覆われた断熱容器に収容されている。
昇温蒸発混合器130には、燃料ガス供給器132から燃料ガスが供給され、水供給器134から水が供給される。昇温蒸発混合器130に供給された水は蒸発して水蒸気となり、燃料ガスと混合される。燃料ガスと水蒸気の混合ガスは、昇温蒸発混合器130を通過する間に予熱される。
予熱された混合ガスは、混合ガス供給管126から、予備改質器118に供給される。予備改質器118で予備改質された予備改質ガスは、予備改質ガス供給管26から、本改質器18へ供給される。
特許文献1の発電装置は、発電反応に伴う発電熱とオフガスの燃焼熱を、本改質器18を加熱し、セル群収容室44に送込む有酸素ガスを加熱し、予備改質器118を加熱し、昇温蒸発混合器130を加熱することに利用する。発電熱と燃焼熱を利用することによって、セル群収容室44を発電適温に維持し、本改質器18を本改質反応に適した温度に維持し、予備改質器118を予備改質反応に適した温度に維持することに成功している。特許文献1の発電装置は、熱効率が高く、熱自立することに成功している。
発電反応に伴って発生する発電熱と、ゼロにはすることができないオフガスの燃焼熱だけで、セル群収容室44を発電適温に維持し、本改質器18を本改質に適した温度に維持し、予備改質器118を予備改質に適した温度に維持することができ、加熱のためだけの燃料を必要としないことを熱自立するということにする。
そこで本発明では、改質器の加熱条件を緩和することができる技術を提供する。
本発明の固体酸化物型の燃料電池を用いる発電装置は、上記の知見によって得られたものであり、燃料ガスと水を予熱して混合する昇温蒸発混合器と、予熱した燃料ガスと水蒸気の混合ガスを改質ガスに改質する改質器と、改質ガスを有酸素ガスと反応させて発電する固体酸化物型の燃料電池セルと、燃料電池セルに供給する有酸素ガスを予熱する有酸素ガス予熱器を備えている。改質器は、予備改質器と本改質器に分離されていない。本発明の発電装置では、燃料電池セルの発電熱と燃料電池セルを通過したオフガスを燃焼した燃焼熱で加熱された排気ガスが、最初に改質器を加熱し、次いで有酸素ガス予熱器を加熱し、次いで昇温蒸発混合器を加熱する。
この発電装置によると、本改質器では加熱過多となりやすく、予備改質器では加熱不足となりやすいという問題が解決され、発電装置の設計条件が大幅に緩和される。
このような構成とすると、熱効率が高く、発電量が小さいために発電熱と燃焼熱が小さい状態でも、熱自立することを可能とする。
このような構成とすると、熱効率が極めて高く、発電熱と燃焼熱だけで、セル群収容室を発電適温に維持し、改質器を改質適温に維持しやすく、熱自立しやすい。
この場合、燃料ガスの通路、昇温蒸発混合器内の通路、混合ガスの通路に炭素が析出することが防止される。
(形態1)セル群収容室が発電ユニットの中心に配置されており、その外側を排気ガス通過室が取り囲んでいる。
(形態2)セル群収容室と排気ガス通過室の外形はほぼ六面体であり、側方の4面のみならず、上面と底面についても、排気ガス通過室がセル群収容室を取り囲んでいる。
(形態3)排気ガス通過室のさらに外側を有酸素ガス通過室が取り囲んでおり、排気ガス通過室と有酸素ガス通過室を仕切る仕切壁の内側と外側に熱交換用フィンが形成されている。
(形態4)側方の4面のみならず、上面と底面についても有酸素ガス通過室が排気ガス通過室を取り囲んでいる。
(形態5)セル群収容室下方の排気ガス通過室に、昇温蒸発混合器が配置されている。
図2に示すように、発電ユニット2は、内側から外側に向かって、第1室(内室)44、第2室(中間室)46、第3室(外室)48からなる3重構造となっており、中心部の第1室44とその外側の第2室46を仕切る内仕切壁36と、第2室46とその外側の第3室48を仕切る外仕切壁38と、第3室48と外部を仕切る外壁40を有している。外壁40は断熱部材42で覆われている。外壁40と断熱部材42で断熱容器10が構成され、発電ユニット2は断熱容器10に収容されている。
発電ユニット2の中心部の第1室44内には、複数個の燃料電池セル12が直線状に配列されて構成されているセルスタック14の群と、酸素を含む空気をセルスタック14に供給する空気供給部材16と、混合ガスを水素や一酸化炭素等に改質する改質器18等が配設されている。
燃料極12aは多孔質であり、ニッケル(Ni)を主成分とするニッケル/YSZサーメット(混合焼結体)からなる。固体電解質層12bは緻密質であり、ジルコニア(ZrO2)にイットリア(Y2O3)を加えた混合物からなる。酸素極12cは多孔質であり、ペロブスカイト型酸化物であるLSM(La1−xSrxMnO3)からなる。インターコネクタ12dは導電性セラミックからなる。
隣り合う燃料電池セル12の一方のセル12の酸素極12cと他方のセル12のインターコネクタ12dとの間に、集電部材22が介装されている。集電部材22は、蛇腹状に折畳まれた導電性金属部材である。一方の燃料電池セル12の酸素極12cは、集電部材22とインターコネクタ12dを介して、他方の燃料電池セル12の燃料極12aに電気的に接続されている。多数本の燃料電池セル12が直列に接続されてセルスタック14が形成されている。蛇腹状の集電部材22は、図3における上下方向および紙面の垂直方向に空気が通過することを禁止しない。
図2に示すように、セルスタック14aの上流側(図2の右側)は、マニホールド24aを介して、改質器18aに接続されている。改質器18aとマニホールド24aは配管30aによって接続されている。セルスタック14cと14eも同様にして改質器18aに接続されている。セルスタック14bの上流側(図2の左側)は、マニホールド24bを介して、改質器18bに接続されている。改質器18bとマニホールド24bは配管30bによって接続されている。セルスタック14dも同様にして改質器18bに接続されている。
セルスタック14a、14c、14eと、セルスタック14b、14dは、反対方向に伸びている。上下方向に多段に配列されているセルスタック14a、14b、14c、14d、14eは、上下方向において、交互に反対向きに配列されている。
上下5段の空気供給部材16a、16b、16c、16d、16eは、両端が空気供給管50によって支持されており、強度が高い。
図2に示すように、セルスタック14の改質ガス通路20は左右方向に伸びており、空気供給部材16は紙面垂直方向に伸びている。両持ち状の空気供給部材16と、片持ち状のセルスタック14が交差する位置関係におかれている。
片持ち状のセルスタック14は、両持ち状の空気供給部材16に対してパッキン62を介して載置されており、片持ち状のセルスタック14は水平に伸びる姿勢で安定的に支持されている。片持ち状のセルスタック14が不用意に傾くことはない。
図2に示すように、外仕切壁38の4つの内周面にも、フィン54と同様にフィン56が取付けられている。フィン56の形状もフィン54と同様である。このようにフィン56が取付けられているため、外仕切壁38とフィン56と内仕切壁36によって、外仕切壁38の4つの内周面と内仕切壁36の外面との間の全体に亘って、上下方向に伸びる細い角柱形状の通路が複数本形成される。フィン54は第3室48のサイズを規定し、フィン56は第2室46のサイズを規定する。
外壁40の底板40bと第2室46の底板46bの間は、第3室48の一部であり、そこに空気導入管34が連通している。昇温蒸発混合器130の下側に第3室48が位置している。
燃料ガス供給管132は、比較的に高い位置に開口し、昇温蒸発混合器130内で水分が結露しても、燃料ガス供給管132に液体の水が浸入することがない。発電装置の運転を中止しても、燃料ガス供給管132には液体の水が浸入することがない。
第1室44の外形はほぼ立方体である。第2室46の外形もほぼ立方体である。第3室48の外形もほぼ立方体である。発電ユニット2は、最小表面積で最大容積を収容する6面体であり、放熱量が少ない。
第3室48は、外部から取り込まれた空気が通過する。第2室46は、第1室44で生成された排気ガスが通過する。第1室44は燃料電池セル群収容室として利用される。
空気は第3室48を下方から上方に移動する。排気ガスは第2室46を上方から下方に通過する。通過方向が逆であり、両者の間で活発な熱交換が行われる。
第1室44は最も高温であり、第2室46は2番目に高温であり、第3室48が3番目に高温である。最も高温な第1室44を、2番目に高温な第2室46で取り囲み、その外側を3番目に高温な第3室48で取り囲む構造となっている。最も高温に維持する必要がある第1室44を最も内側に配置することによって、燃料電池セルを収納する第1室44を最も高温に維持しやすい最適な構造となっている。
空気導入管34から第3室48に送られた空気は、第2室を通過する高温の排気ガスと熱交換しながらフィン54の間をすり抜けて上部に達し、外壁40の上面に沿って流れ、第3室48に開口している空気供給管50内に流入する。空気は、空気供給管50を下方に移動しながら、5つの空気供給部材16a、16b、16c、16d、16eに流入し、全ての空気供給口16fから流出する。流出する空気は、上方向、若しくは斜め上方向に上昇し、すぐ上のセルスタック14の下側全体に分散される。
酸素は、イオン化して固体電解質層12bを通過して燃料極12aに至り、水素または一酸化炭素と反応し、酸素極12cと燃料極12aの間に電位差を発生させる。即ち、発電する。
熱伝導性の空気供給部材16とセルスタック14の間には、パッキン62が介在しており、直接には接触していない。熱伝導性の空気供給部材16は、セルスタック14の上流側と下流側の温度差を小さく抑える。加熱されやすいセルスタック14の下流側では、輻射が活発に起こって熱伝導性の空気供給部材16に熱を伝える。セルスタック14の下流側の温度は低下する。輻射によって加熱された熱伝導性の空気供給部材16は、熱伝導によって低温部を加熱する。加熱された空気供給部材16は、相対的に低温なセルスタック14の上流側に向けて輻射し、セルスタック14の上流部を加熱する。熱伝導性の空気供給部材16がセルスタック14に直接には接触していなくても、近接して位置しているために、熱伝導性の空気供給部材16は、セルスタック14の高温部から低温部に伝えられる熱エネルギーの移動を促進する。
セルスタック14の先端近傍には夫々スパーク電極60が配設されている。スパーク電極60が火花放電することによって、セルスタック14の先端から流出するオフガスが、燃料電池セル12の下流側へ誘導される空気によって燃焼する。改質器18はセルスタック14の先端に近接していることから、オフガスの燃焼によって発生する燃焼熱を改質反応の吸熱反応に効率よく利用することができる。
排気ガスは極めて高温であり、そのままでは熱交換器に投入しがたい。それほどの高温に耐えられる熱交換器は材質が限られ、高価である。本実施例では、燃焼熱でまず改質器18を加熱する。改質反応は吸熱反応であり、排気ガスの熱は吸熱され、改質反応に利用される。燃焼熱でまず改質器18を加熱するために、排気ガスの温度は低下する。このために、第2室46を流れる排気ガスの温度は適度に冷却されており、仕切り壁36、38に特別の材料を使わなくてもすむ。
本実施例では、第3室48を通過する空気との熱交換によって約400℃まで冷却された排気ガスで昇温蒸発混合器130を加熱する。昇温蒸発混合器130内を通過する間に燃料ガスと水蒸気は予熱されて混合する。昇温蒸発混合器130を加熱することによって排気ガスは300℃程度に冷却される。燃料ガス供給管132は、300℃以上に加熱されることがない。
予備改質器と本改質器を統合することにより、予備改質と本改質の夫々に必要な熱量を分け与えることが可能となる。そのために、本改質器では加熱過多となりやすく、予備改質器では加熱不足となりやすいという問題が解決できる。発電装置の設計条件が緩和される。また昇温蒸発混合器を断熱容器10内にコンパクトに収めることが可能となり、発電装置が小型化される。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数の目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
10・・・・断熱容器
12・・・・燃料電池セル
12a・・・燃料極
12b・・・固体電解質層
12c・・・酸素極
12d・・・インターコネクタ
14・・・・セルスタック
16・・・・空気供給部材
18・・・・本改質器
58・・・・排気通路
60・・・・スパーク電極
130・・・昇温蒸発混合器
132・・・燃料ガス供給管
134・・・水供給管
Claims (2)
- 固体酸化物型の燃料電池を用いる発電装置であり、
燃料ガスと水を予熱して混合する昇温蒸発混合器と、
予熱した燃料ガスと水蒸気の混合ガスを改質ガスに改質する改質器と、
改質ガスを有酸素ガスと反応させて発電する固体酸化物型の燃料電池セルと、
燃料電池セルに供給する有酸素ガスを予熱する有酸素ガス予熱器を備えており、
燃料電池セルの発電熱と燃料電池セルを通過したオフガスを燃焼した燃焼熱で加熱された排気ガスが、最初に改質器を加熱し、次いで有酸素ガス予熱器を加熱し、次いで昇温蒸発混合器を加熱するように構成されており、
昇温蒸発混合器と改質器と燃料電池セルと有酸素ガス予熱器の全部が一つの断熱容器内に収容されており、
断熱容器が、内室と、その周囲を取囲む中間室と、その中間室を取囲む外室を備えており、
改質器と燃料電池セルは、内室に収容されており、
排気ガスが通過する中間室と、有酸素ガスが通過する外室との間に設けられている熱交換器によって有酸素ガス予熱器が構成されており、
昇温蒸発混合器は、中間室に収容されていることを特徴とする発電装置。 - 昇温蒸発混合器の燃料ガスの流入口は、排気ガスが300℃以下に冷却されている位置に配置されており、
昇温蒸発混合器の混合ガスの流出口から改質器の混合ガスの流入口の間は、排気ガスが400℃以下に冷却されている位置に配置されていることを特徴とする請求項1の発電装置。
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