JP5009120B2 - チャック装置 - Google Patents

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Description

この発明は、チャック本体の中心軸周りに複数の把持爪を備えたチャック装置に関するものである。
旋削及び円筒研削加工においてワークを把持するために用いられるチャック装置として、例えば、ドローバの進退等によってチャック本体の前部に設けた把持爪(ジョウ)を径方向へ動かして、その把持爪によりワークの外周部又は内周部を掴むものがある。
その構成の一例を、図9に基づいて説明すると、バックプレート2とハウジング7とを備えるチャック本体1の中心軸6周りに、複数の把持爪5が放射状に設けられている。そのチャック本体1の中心軸6に沿って、前記中心軸6と同心のドローバ3が軸方向進退可能に設けられている。
また、チャック本体1には、ドローバボルト8によって前記ドローバ3と一体に固定されてそのドローバ3とともに軸方向へ進退するアクチュエータ(駆動部材)4が設けられている。さらに、そのアクチュエータ4に設けたフランジ部4aに、スライディングボール9を介してジョウアクチュエータ(揺動部材)10が設けられている。
ジョウアクチュエータ10の後端に丸棒状の保持部が形成されており、その保持部が前記スライディングボール9の孔に摺動自在に嵌合している。このため、前記アクチュエータ4の軸方向進退に伴って、そのジョウアクチュエータ10の前端がチャック本体1の径方向に揺動するようになっている。
ジョウアクチュエータ10は、チャック本体1の中心軸6周りに等分方位に複数配設され、そのジョウアクチュエータ10の前端に前記把持爪5が取り付けられている。
チャック本体1に対してドローバ3が軸方向に後退すると、前記アクチュエータ4及びジョウアクチュエータ10を介して把持爪5が径方向内側に動いて、その把持爪5でワークwの外周部を掴み、そのワークwを、前記中心軸6と同心に把持するようになっている(例えば、特許文献1参照)。
特開平8−71819号公報
上記チャック装置は、いわゆる求心型のチャック装置であるため、各ジョウアクチュエータ10及び各把持爪5は、ワークwがチャック本体1の中心軸6と同心になるように、そのワークwを径方向に移動させながら把持しようとする。
このため、一般に、加工基準が両センタ基準の軸状(シャフト状)のワークである場合、そのワークの外周が両センタ基準で仕上げが行われていないと、各把持爪5のうち、先にワークに当たった把持爪の力がワークwに加わり、両センタ支持されているワークを弾性変形させて加工後の両センタ基準に対する精度を悪くするとともに、ドローバ推力の多くが先に当たった把持爪に費やされるため、均等把握ができずにワークがスリップして安全上問題が生じる場合がある。
このため、ワークwの把持位置である外周面又は内周面が未加工である場合などには、ワークwを径方向に大きく移動させず、未加工の外周面又は内周面をその位置で緩やかな力で把持する心補償型(コンペセイティング型)と呼ばれるチャック装置が用いられる(例えば、特許文献2参照)。
特開平5−305505号公報
しかし、特に剛性の低いワークwは僅かな力でも容易に変形してしまうので、心補償型のチャック装置であっても、両センタ間距離が長い軸状のワークや、特に径の細い軸状のワークwの場合、ワークwが容易に曲がってしまうので両センタ基準での振れ精度の許容値を超えるため、高精度な切削または研削加工が困難である。
このため、ワークwを変形させないように、さらに緩やかな力で把持できるチャック装置が望まれる。
そこで、この発明は、両センタ基準で位置決めされた剛性の低い軸状を成すワークwを変形させないように把持できるようにし、そのワークの外周加工後も両センタ基準で外周振れが生じないようにすることを課題とする。
上記の課題を解決するために、この発明は、チャック本体の中心軸上に固定センタを配し、そのチャック本体の中心軸周りに複数の把持爪を設け、前記固定センタ及び前記中心軸の延長線上に設けたテールセンタを基準に位置決めされた軸状を成すワークの外周部を前記各把持爪により把持するチャック装置において、前記チャック本体に直径を同一とするシリンダを前記把持爪と同数設け、その各シリンダ内にピストンを配置してそのピストンを前記チャック本体の径方向へ進退自在とし、前記チャック本体にジョウアクチュエータを揺動自在に設けてそのジョウアクチュエータの前端に前記把持爪を設けるとともにそのジョウアクチュエータの後端に設けた保持部を前記ピストンと係合させ、前記各ピストンの進退により前記ジョウアクチュエータが揺動して前記把持爪を径方向に移動するようになっており、前記各シリンダのシリンダ室に圧力流体を同圧力で供給することにより、前記ワークの把持部における前記中心軸に対する芯振れに影響を受けることなく、前記各把持爪が径方向に移動して等しい把握力で前記ワークを把持し、そのワークの外周加工後、両センタ基準で外周振れが生じないことを特徴とするコンペセイティング型チャック装置の構成を採用した。
このようにすれば、シリンダのピストンがチャック本体の径方向へ同じ押し付け力で進退すると、そのピストンに係止されたジョウアクチュエータの保持部を径方向に移動させる。その保持部の移動によりジョウアクチュエータを揺動させれば、前端の把持爪を径方向に等しい回転モーメントで移動させることができる。把持爪を径方向へ移動させてワークを均等な力で把持し、ピストンを押圧するエア圧をその状態で維持させておけば、ワークの把持状態を維持し得る。
このように、把持爪を設けたジョウアクチュエータを、シリンダのピストンの径方向の動きによって揺動させるようにしたので、ピストンを動作させる圧力流体の働きによって心補償機能を発揮し、ワークを変形させないように把持することができる。
なお、圧力流体によるシリンダの動作の制御については、一般的な油圧による制御のほか、圧力流体を気体としてその供給する気圧による制御を採用することができる。特に軸状のワークの場合は剛性が低いので、圧力流体として気体を用いると、ワークの変形防止にさらに有効である。
なお、前記シリンダのピストンとジョウアクチュエータの保持部との係止については、その係止位置と前記ジョウアクチュエータの揺動中心からの距離を全てのジョウアクチュエータにおいて正確に統一しておくことが望ましい。ピストンの進退量とジョウアクチュエータの揺動角度が統一されるからである。
また、具体的構成として、例えば、前記ジョウアクチュエータの前記保持部を断面円形とし、前記ピストンに、前記中心軸に平行な方向に向く断面円形の係止孔を設けて、その係止孔内に前記保持部を挿入することによりその保持部を前記ピストンに係合した構成を採用することができる。
また、その保持部の外周面に前記中心軸方向の円弧面を形成し、前記係止孔の内周面を円筒面として、前記円弧面は、前記ピストンの進退とともに係止孔の内周面に摺接する構成を採用し得る。
このようにすれば、ジョウアクチェエータの揺動をスムースにし、ピストンと保持部との係止状態を、揺動の前後及びその揺動中において確実に維持することができる。
さらに、前記ワークは、前記把持爪による把持部が断面四角形となっており、前記把持爪は前記中心軸を挟んで対称となる2箇所に設けられており、前記把持爪の先端を前記中心軸に対して平行で且つチャック本体の径方向に直交するフラット面として、前記両センタに位置決めされたワークを前記把持爪が把持する際、前記把持爪のフラット面の面方向と前記ワークの把持部外周における面方向とが平行でない場合も、把握後に平行になるよう矯正される構成を採用し得る。
軸状を成すワークであって、そのワークにおける把持爪の当接部分(把持部)の断面が四角形である場合、そのワークの把持部を2つの把持爪で把持しようとすると、その断面四角形の各辺の方位(前記チャック本体の中心軸周りの方位)が必ずしも把持爪の方位に向いているとは限らない。このため、前記把持爪のフラット面の面方向と、把持しようとする前記ワークの把持部外周における対向するフラット面の面方向とが平行でない状態が生じ得る。
そこで、上記構成とすれば、前記把持爪のフラット面の面方向と前記ワークの把持部外周における面方向とが平行でない場合も、把持爪の動きに合わせてその把握後に平行になるよう、前記ワークの方位(前記中心軸周りの方位)が自動的に矯正されるようにすることができる。
この発明は、以上のようにしたので、両センタ基準で位置決めされた剛性の低い軸状を成すワークwを変形させないように把持でき、そのワークの外周加工後も両センタ基準で外周振れが生じないようにすることができる。
一実施形態を図1乃至図7に基づいて説明する。この実施形態は、比較的剛性の低い軸状のワークwを把持し、そのワークwをチャック本体1とともに低速回転させながら円筒研削加工を行うために使用するチャック装置である。
チャック本体1の中心軸6上に固定センタ14を配し、そのチャック本体1の中心軸6周りに二つの把持爪5を設け、前記固定センタ14及び前記中心軸6の延長線上に設けたテールセンタ17を基準に位置決めされた前記軸状のワークwの外周部を前記各把持爪5により緩やかな力で把持するようになっている。研削加工の際の回転速度が比較的低速の用途であるので、このような緩やかな把持力でワークwを把持することが可能である。
チャック本体1は、図1に示すようにバックプレート2とその前面に固定されるハウジング7とを備え、そのチャック本体1の前面に前記把持爪5が設けられている。この把持爪5の数は、把持する対象となるワークwの種別、大きさ、形状等によって任意に設定できるが、この実施形態では、チャック本体1の中心軸6を夾んで対向する位置に1箇所ずつ、合計2箇所配置している。
前記各把持爪5は、前記チャック本体1に対して径方向に揺動自在に設けられたジョウアクチュエータ10の前端に、固定ボルト5aを介して取付けられている。
ジョウアクチュエータ10は、その前端から後端に至るまで、前記チャック本体1の中心軸6に平行な方向に向く軸状を成し、その前端と後端との間の中程に設けた球状部15が、チャック本体1の前面壁に固定したベアリングレース16の球状内面に揺動自在に支持されている。
このため、各ジョウアクチュエータ10は、その球状部15を中心にチャック本体1の径方向へ揺動自在である。
なお、球状部15は、前記ジョウアクチュエータ10とは別体に形成されたブッシュをそのジョウアクチュエータ10の外周に嵌め込んで固定することにより形成されており、その外周面が、前記ベアリングレース16の球状内面に面接触しながら摺接可能な球状外面となっている。
また、ベアリングレース16は、上下一対の半円状のものからなっており、ボルト等によりチャック本体1のハウジング7の前面壁に不動に固定されている。
そのジョウアクチュエータ10の後端には保持部11が設けられている。前記保持部11は、前記ジョウアクチュエータ10の軸状を成す部分の一部であり、その軸方向前端側、及び、前記球状部15を設けた軸方向中程と比較してやや小径となっている。
その保持部11の外周面11aに、前記中心軸6に平行な方向に沿って円弧面が形成されている。その円弧面は、図5に示すように、保持部11の外周全周に亘って同一形状の円弧で形成されて、保持部11は、いわゆる「樽型」を成している。
また、チャック本体1の内部に、直径が同じの二つの複動式シリンダ(この実施形態では作動流体としてエアを用いた「エアシリンダ」)20が設けられている。二つのエアシリンダ20は、断面円形のピストン21を収納する円筒状空間23が、その筒軸方向がチャック本体1の径方向に向くように配置されて、チャック本体1の中心軸6を夾んで対向した位置となっている。
なお、前記エアシリンダ20のピストン21とジョウアクチュエータ10の保持部11との係止については、その係止位置と前記ジョウアクチュエータ10の揺動中心からの距離が、二つのジョウアクチュエータ10,10において正確に統一されている。このため、ピストン21の進退量に対するジョウアクチュエータ10の揺動角度が、両方のジョウアクチュエータ10,10で同一となっている。
前記ジョウアクチュエータ10には、前記保持部11よりもやや前方側において、図5に示すように、対のフラット部10a,10aが形成されている。前記対のフラット部10a,10aの面方向は平行となっている。
前記ハウジング7の前面に固定したプレート17が固定されており、そのプレート17に、前記ジョウアクチュエータ10が挿通される窓17aが設けられている。
前記各ジョウアクチュエータ10は、そのプレート17の窓17aに挿通されて、前記対のフラット部10a,10aは、その窓17aの平行な対向縁に摺接する。
このとき、図7に示すように、2箇所の前記窓17aの対向縁間の距離W,Wは異なるように設定されており、この実施形態では、W>Wとなるように設定されている。
また、二つのジョウアクチュエータ10の前記対のフラット部10a,10a間の各距離W,Wは同一に設定されて、その距離Wと前記距離Wとがほぼ同じ寸法であるか、あるいは距離Wが距離Wよりも僅かに大きい寸法となっている。
すなわち、ジョウアクチュエータ10のフラット部10a,10a両側において、前記窓17aの両対向縁との間に成す各隙間S1,S2;S1’,S2’の寸法の合計S1+S2,S1’+S2’が、二つのジョウアクチュエータ10間で異なる設定となっている。
このような異なる隙間設定を採用したことにより、一方のジョウアクチュエータ10は径方向に揺動自在であるとともに、前記両フラット部10a,10aが前記両対向縁に摺れることにより、その軸周り回転が規制されている。また、他方のジョウアクチュエータ10は、前記窓17aの両対向縁との間に成す隙間が、一方のジョウアクチュエータ10の隙間よりも大きく設定されているので、径方向に揺動自在であるとともに、軸周りに僅かな回転を許容する構成となっている。
前記円筒状空間23内にはピストン21が径方向へ進退自在に収納され、そのピストン21を夾んで、チャック本体1の外径側に位置するシリンダ室23a及び内径側に位置するシリンダ室23bに、それぞれ圧力流体通路30a,30bが通じている。
各圧力流体通路30a,30bは、チャック本体1のバックプレート2、ハウジング7、及びそのバックプレートに挿通された固定軸13に形成された通路を介して、そのチャック本体1外に設けた図示しない流体供給手段(この実施形態ではエア供給手段)にそれぞれ通じている。
また、ピストン21は、そのピストン21の外径側の端面21aに開口して設けたガイド孔27に嵌めて固定したガイドピン26が、ハウジング7に設けたガイド孔28に摺動自在に嵌ることにより、その径方向進退がガイドされている。
また、図5に示すように、前記ピストン21に、前記チャック本体1の中心軸6に平行な方向に向く係止孔22が設けられている。前記係止孔22の内周面22aは、図中左側に示す後端寄りの部分が、前記保持部11の最大外径R1にほぼ等しい内径R2を有する円筒面22aとなっている(図3参照)。
その係止孔22内に前記保持部11を挿入することにより、その保持部11の外周面11aである円弧面が前記係止孔22の内周面22aに全周に亘って密着し、保持部11がピストン21に係止される。
この係止状態で、前記保持部11の外周面11aと、前記係止孔22の内周面22aとは、図3(a)に示すように、ジョウアクチュエータ10の揺動に伴って係止状態を維持しながら摺接する。このとき、チャック本体1の径方向における、保持部11の外周面11aと係止孔22の内周面22aとの接触点間距離Lが、図3(b)(c)に示すように、ジョウアクチュエータ10のいずれの揺動位置においても常に前記最大外径R1と同じとなっているので、前記揺動の前後、及び揺動中において、常にがたつきなくその係止が維持される。
この実施形態の作用を説明すると、図1に示すように、両センタの基準孔h,hを設けた軸状のワークwを、チャック本体1の前面壁に突出して設けた固定センタ14と、その固定センタ14のさらに前方側において、チャック本体1の前記中心軸6の延長線上に設けたテールセンタ17とで保持させる。
ワークwの先端は断面正方形であり、固定センタ14は、ワークwの先端の端面から軸方向に向かって形成された前記基準孔hにぴったりと挿入される。また、テールセンタ17も、ワークの後端の端面から軸方向に向かって形成された前記基準孔hにぴったりと挿入される。前後端面及び各基準孔hが加工済みであるので、テールセンタ17で押し付ければ、そのワークwがチャック本体1に対して軸方向及び径方向に位置決めされる。
次に、前記エア供給手段を動作させて、圧力流体通路30bに所定の圧力のエアを供給する。圧力流体通路30bは、固定軸13の前端で前記エアシリンダ20の内径側に位置するシリンダ室23bに向かって開口し、そのエアの圧力が、ピストン21の内径側の端面21b及びその端面21bに形成した凹部25bの底面を外径側に向かって図3に矢印Aで示す方向へ押圧する。
なお、この内径側に位置するシリンダ室23bは、もう一つのエアシリンダ20における内径側に位置するシリンダ室23bと連通しているので、そのもう一つのエアシリンダ20のピストン21も同時に外径側へ向かって等しい力で押圧する。
その押圧により、ピストン21がチャック本体1の径方向外側へ移動すると、そのピストン21に係止されたジョウアクチュエータ10の保持部11が、図3に矢印Bで示すように、径方向外側に等しい回転モーメントが加えられて移動する。その保持部11の移動によりジョウアクチュエータ10が径方向に揺動し、同図矢印Cで示すように、前端の把持爪5が径方向内側に等しい回転モーメントで移動する。
把持爪5は、ワークw先端の断面正方形の部分における対向面を両側から夾むように把持する。
このとき、前述のように、前記把持爪5は前記チャック本体1の中心軸6を挟んで対称となる2箇所に設けられている。また、前記把持爪5の先端は、前記チャック本体1の中心軸6に対して平行で且つチャック本体1の径方向に直交するフラット面となっている。
このため、前記両センタ14,17に位置決めされたワークを前記把持爪が把持する際、その位置決めされたワークwの軸周り方位は一定ではないので、図4(a)に示すように、前記把持爪5のフラット面の面方向と前記ワークwの把持部外周におけるフラット面の面方向とが平行でない場合も生じ得る。
この状態で、そのワークwの把持部を2つの把持爪5で把持しようとすると、把持爪5の動きに合わせてその把握後に平行になるよう、前記ワークwの方位(前記中心軸6周りの方位)が、図4(b)に示すように自動的に矯正される。これは、把持爪5のフラット面と、ワークwのフラット面とが面接触するようにワークwが、図4(a)に矢印で示すように軸周り回転するからである。
このような作用は、2つの把持爪5をチャック本体1の中心軸6を挟んで対向して設けた構成において、そのワークwにおける把持爪5の当接部分(把持部)の断面が長方形の場合にも採用することができる。また、正方形又は長方形以外の四角形を成す断面形状のワークwの場合は、そのワークwの対向する2面のフラット面に相当する方位に、前記把持爪5を設ければ同様な作用を発揮し得る。
また、この実施形態では、一方のジョウアクチュエータ10は径方向に揺動自在であるとともに、前記両フラット部10a,10aが前記窓17aの両対向縁に摺れることにより、その軸周り回転が規制されている。また、他方のジョウアクチュエータ10は、前記窓17aの両対向縁との間に成す隙間が、一方のジョウアクチュエータ10の隙間よりも大きく設定されているので、径方向に揺動自在であるとともに、軸周りに僅かな回転を許容する構成となっている。
このため、例えば、図4(c)に示すように、ワークwの把持部における断面四角形の部分に施工誤差が生じ、前記両把持爪5,5に当接するワークwのフラット面同士が完全な平行状態でなく、僅かにずれている場合においても、他方のジョウアクチュエータ10の軸周り回転がその平行状態の誤差を吸収することができる。
このようにワークwを把持する際、ピストン21を押圧するエアの圧力は、その状態で維持されるようになっているので、ワークwの把持状態が維持される。エアシリンダ20のピストン21が等しい押し付け力で径方向へ動くことによって、各ジョウアクチュエータを等しい回転モーメントで揺動させるようにしたので、エアの働きによって心補償機能を発揮するとともに、エアの圧力による緩やかな力でワークwの軸振れを生じさせずに(ワークwの芯振れに影響を受けることなく)そのワークwを把持することができる。
この状態で、チャック本体1をワークwとともに回転させ、そのワークwの円筒研削加工を行うことができる。
把持したワークwを解放する際には、エア供給手段によるエアの供給を絶ち、圧力流体通路30b及び内径側のシリンダ室23b内を外部に解放して圧力を下げるとともに、エア供給手段を動作させて、もう一方の圧力流体通路30aに所定の圧力のエアを供給する。
もう一方の圧力流体通路30aは、固定軸13の中程で径方向外側へ屈曲して前記バックプレート2内の通路に連通し、そのバックプレート2内の通路が両エアシリンダ20の外径側に位置するシリンダ室23aに向かって開口している。
その圧力流体通路30aを通じて供給されるエアの圧力が、ピストン21の外径側の端面21a及びその端面21aに形成した凹部25aの底面を内径側に向かって押圧するので、ピストン21がチャック本体1の径方向内側へ移動して、そのピストン21に係止されたジョウアクチュエータ10の保持部11が径方向内側に移動する。その保持部11の移動により,ジョウアクチュエータ10が径方向に揺動し、前端の把持爪5が径方向外側に移動してワークwを解放する。
他の実施形態を図6に示す。この実施形態は、ピストン21を前記円筒状空間23内に設けた弾性部材24によって、チャック本体1の内径側に付勢したものである。外径側のシリンダ室23aに通じる圧力流体通路30aは設置を省略している。
弾性部材24は、ピストン21の外径側端面に開口して設けた凹部25aに嵌って固定されている。この弾性部材24としては、図6に示すように、コイルバネを採用してもよいし、他の弾性体を用いても良い。
この構成によれば、ワークwを把持する際は前述の実施形態と同様に行い、把持したワークwを解放する際には、前記エア供給手段によるエアの供給を絶ち、圧力流体通路30b及び内径側のシリンダ室23b内を外部に解放すれば、弾性部材24の付勢力によりピストン21が径方向内側へ移動して、そのピストン21に係止されたジョウアクチュエータ10の保持部11が径方向内側に移動する。その保持部11の移動により,ジョウアクチュエータ10が径方向に揺動し、前端の把持爪5が径方向外側に移動してワークwを解放する。
このように、弾性部材24を介在させたことにより、二つの圧力流体通路30a,30bを必要とせず、ワークwを把持するに必要な一方の圧力流体通路30bのみで足りるので、装置の構成を簡単なものとすることができる。
上記の各実施形態では、前記ジョウアクチュエータ10の保持部11の外周面11aをその全周に亘る円弧面としたが、その円弧面は、例えば、図8(a)に示すように、保持部11の外周面11aの一部としてもよい。
また、保持部11の外周面11aを円弧面以外とした構成も採用し得る。例えば、図8(b)に示すように、保持部11の外周面11aを円筒面とし、その保持部11の円筒面に接する係止孔22の内周面22aの全周又は一部を、前記中心軸6に平行な方向に沿う円弧面としてもよい。
また、ジョウアクチュエータ10の揺動角度が僅かである場合は、上記のように、保持部11の外周面11aと係止孔22の内周面22aとを線接触させるのではなく、図8(c)に示すように、両者を周方向に沿って面接触させた構成も考えられる。その面接触の幅(中心軸6方向への幅)が小さければ、その面接触に係る部分が摺動しながら、ピストン21の進退の動きを前記ジョウアクチュエータ10の揺動に変換することができる。
また、前記ジョウアクチュエータ10の保持部11をピストン21に係止するに際し、例えば、前記ピストン21と前記保持部11とをピン接続することにより、そのピストン21の進退の動きを前記ジョウアクチュエータ10の揺動に変換する手法も考えられる。
また、把持爪5を径方向外側へ向け、ジョウアクチュエータ10及びピストン21の動きを内外逆転して配置することにより、ワークwの内径面を把握するチャック装置にこの発明を適用することもできる。
なお、上記実施形態では、シリンダ20のピストン21を動作させる圧力流体としてエア(気体)を用いたが、前記エアに代えて作動油などを用いた油圧制御によりシリンダのピストンを動作させる構成を採用することもできる。
(a)は一実施形態の断面図、(b)はその正面図 図1(a)の要部拡大図 同実施形態の作用を示す説明図 ワークの把持状態を示す説明図 ピストン、ジョウアクチュエータ及び把持爪の分解斜視図 他の実施形態の断面図 (a)はバックプレートの断面図、(b)はその正面図、(c)(d)はプレートと窓との位置関係を示す説明図 (a)(b)(c)は、それぞれさらに他の実施形態を示す要部拡大図 従来例の断面図
符号の説明
1 チャック本体
2 バックプレート
3 ドローバ
4 アクチュエータ
5 把持爪
6 中心軸
7 ハウジング
8 ドローバボルト
9 スライディングボール
10 ジョウアクチュエータ
11 保持部
11a 外周面
13 固定軸
14 固定センタ
15 球状部
16 ベアリングレース
20 エアシリンダ
21 ピストン
21a,21b 端面
22 係止孔
22a 内周面
23 円筒状空間
23a,23b シリンダ室
24 弾性部材
25a,25b 凹部
26 ガイドピン
27,28 ガイド孔
30a,30b 圧力流体通路
w ワーク
h 基準孔

Claims (4)

  1. チャック本体1の中心軸6上に固定センタ14を配し、そのチャック本体1の中心軸6周りに複数の把持爪5を設け、前記固定センタ14及び前記中心軸6の延長線上に設けたテールセンタ17を基準に位置決めされた軸状を成すワークwの外周部を前記各把持爪5により把持するチャック装置において、
    前記チャック本体1に直径を同一とするシリンダ20を前記把持爪5と同数設け、その各シリンダ20内にピストン21を配置してそのピストン21を前記チャック本体1の径方向へ進退自在とし、前記チャック本体1にジョウアクチュエータ10を揺動自在に設けてそのジョウアクチュエータ10の前端に前記把持爪5を設けるとともにそのジョウアクチュエータ10の後端に設けた保持部11を前記ピストン21と係合させ、前記各ピストン21の進退により前記ジョウアクチュエータ10が揺動して前記把持爪5を径方向に移動するようになっており、
    前記各シリンダ20のシリンダ室に圧力流体を同圧力で供給することにより、前記ワークwの把持部における前記中心軸6に対する芯振れに影響を受けることなく、前記各把持爪5が径方向に移動して等しい把握力で前記ワークwを把持し、そのワークwの外周加工後、両センタ14,17基準で外周振れが生じないことを特徴とするコンペセイティング型チャック装置。
  2. 前記ジョウアクチュエータ10の前記保持部11を断面円形とし、前記ピストン21に、前記中心軸6に平行な方向に向く断面円形の係止孔22を設けて、その係止孔22内に前記保持部11を挿入することによりその保持部11を前記ピストン21に係合したことを特徴とする請求項1に記載のコンペセイティング型チャック装置。
  3. 前記保持部11の外周面に前記中心軸6方向の円弧面を形成し、前記係止孔22の内周面を円筒面として、前記円弧面は、前記ピストン21の進退とともに係止孔22の内周面に摺接することを特徴とする請求項2に記載のコンペセイティング型チャック装置。
  4. 前記ワークwは、前記把持爪5による把持部が断面四角形となっており、前記把持爪5は前記中心軸6を挟んで対称となる2箇所に設けられており、前記把持爪5の先端を前記中心軸6に対して平行で且つチャック本体1の径方向に直交するフラット面として、前記両センタ14,17に位置決めされたワークwを前記把持爪5が把持する際、前記把持爪5のフラット面の面方向と前記ワークwの把持部外周における面方向とが平行でない場合も、把握後に平行になるよう矯正されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のコンペセイティング型チャック装置。
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