JP5008113B2 - 耐はんだ侵食用部材 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1〜2には、耐食性、耐久性に優れたはんだこて先として、先端にアモルファス金属のコーティング膜をスパッタ法により形成したはんだこて先、該アモルファス金属のコーティング膜の上にさらに鉄メッキを施したはんだこて先が開示されている。このはんだこて先によれば、鉄メッキが侵食された場合でも、下地層のアモルファス金属のコーティング膜により本体は確実に保護されるため、耐久性、耐食性が改善されるというものである。
本発明はかかる状況においてなされたものであり、その目的は、はんだ、特に鉛フリーはんだに対しても優れた耐食性を発揮し、高寿命を実現する耐はんだ侵食用部材を提供することにある。
すなわち、本発明にかかる耐はんだ侵食用部材は、溶融はんだとの接触面、あるいは溶融はんだとの接触面の下地層として、予め調製されたアモルファス相の金属ガラスを原料としてアモルファス相の金属ガラス溶射皮膜が形成された耐はんだ侵食用部材であって、金属ガラスの過冷却液体温度領域△Txが30℃以上であり、金属ガラス溶射皮膜に皮膜を貫通する連続気孔が存在せず、金属ガラス溶射皮膜の気孔率が2%以下であり、金属ガラスが複数の元素から構成され、構成元素としてFeを43〜52原子%含み、Cr又はCoを含むことを特徴とする。
また、金属ガラス溶射皮膜が高速フレーム溶射によって形成されたことが好適である。
また、はんだが鉛フリーはんだであることが好適である。
また、金属ガラス溶射皮膜が、予め調製されたアモルファス相の金属ガラス粒子が過冷却液体状態で基材表面に衝突し、凝固及び積層して形成されたものであることが好適である。
本発明にかかるはんだごてチップは、前記何れかに記載の耐はんだ侵食用部材からなる。
また、本発明にかかるはんだ槽は、前記何れかに記載の耐はんだ侵食用部材からなる。
図1には、本発明にかかる耐はんだ侵食用部材の一例として、はんだごてチップを示す。図1において、はんだごてチップ2は、無酸素銅よりなるこて先本体4の先端部分に、高耐食性金属ガラスよりなる下地層6と、はんだとの濡れ性の良い金属よりなる表面層8(例えば、純鉄メッキ)とが積層形成され、その他の表面部分ははんだとの濡れ性の低い材料、例えば硬質クロムメッキ10を施したものである。
このようなはんだごてチップ2は、先端部分がはんだとの濡れ性の良い金属の表面層8とされているため、はんだ付けの作業性が良好で、しかも、高耐食性金属ガラスの下地層6を有するため、表面層8が侵食されたとしても下地層6の金属ガラス皮膜は侵食されないので本体まで侵食されず、耐食性に著しく優れる。
一方、先端部分以外は、クロムメッキ12等のはんだとの濡れ性の良くない材料で形成されているため、はんだが登ることもない。
また、金属ガラス皮膜がはんだとのぬれ性が低いものである場合には、先端部分以外の表面部分の硬質クロムメッキ10の代わりに金属ガラス下地層6を連続して設けてもよい。あるいは、先端部分以外の表面部分は、金属ガラス下地層6に連続した金属ガラスの被覆層上に更にクロムメッキ等のはんだとのぬれ性の低い材料の被覆層を形成してもよい。
金属ガラス皮膜は、薄過ぎると十分な耐食性が得られないので、10μm以上、さらには100μm以上とすることが好ましい。一方、厚過ぎるとコスト高騰の問題が生じるので、最大1mm程度の膜厚で十分である。
図2に、本発明にかかる耐はんだ侵食用部材の一例として、はんだ槽を示す。図2において、はんだ槽12を構成するステンレス鋼14は、少なくともその内側の表面が金属ガラス皮膜16によりコーティングされ、その上面は開放された箱型である。はんだ槽12内に噴流ノズルやフィン、ヒータなどが設置される場合には、これら部材の溶融はんだに接触する面にも金属ガラス皮膜でコーティングすることができる。
金属ガラス皮膜は、薄過ぎると十分な耐食性が得られないので、50μm以上、さらには100μm以上とすることが好ましい。一方、厚過ぎるとコスト高騰の問題が生じることから、最大1mm程度の膜厚で十分である。
このように、本発明によれば、はんだ付けに用いられる機器の各種部材において、溶融はんだに接触する面に金属ガラス皮膜を形成することにより、高侵食性の鉛フリーはんだに対しても長期にわたって侵食されることなく安全に使用することができる耐はんだ侵食用部材を提供することができる。
以下、このような金属ガラス皮膜について説明する。
すなわち、金属ガラスをDSC(示差走査熱量計)を用いてその熱的挙動を調べると、温度上昇にともない、ガラス転移温度(Tg)を開始点としてブロードな広い吸熱温度領域が現れ、結晶化開始温度(Tx)でシャープな発熱ピークに転ずる。そしてさらに加熱すると、融点(Tm)で吸熱ピークが現れる。金属ガラスの種類によって、各温度は異なる。TgとTxの間の温度領域△Tx=Tx−Tgが過冷却液体温度域であり、△Txが10〜130℃と非常に大きいことが金属ガラスの一つの特徴である。△Txが大きい程、結晶化に対する過冷却液体状態の安定性が高いことを意味する。従来のアモルファス合金では、このような熱的挙動は認められず、△Txはほぼ0である。
本発明においては、金属ガラスの過冷却液体温度域の幅が30℃以上であることが好適である。このような金属ガラスを用いることにより、緻密なアモルファス相皮膜が得られる。
本発明においては、金属ガラスが複数の元素(3金属元素以上)から構成され、その主成分が少なくともFe基、Co基、Ni基、Ti基、Zr基、Mg基、Cu基、Pd基のいずれかひとつを30〜80原子%の範囲で含有することが好適である。さらに、VIa族元素(Cr,Mo,W)を10〜40原子%、IVb族元素(C,Si,Ge,Sn)を1〜10原子%の範囲で各グループから少なくとも1種類以上の金属原子を組み合わせてもよい。また、鉄族元素に、目的に応じて、Ca,B,Al,Nb,N,Hf,Ta,Pなどの元素が10原子%以内の範囲で添加されてよい。これらの条件により、高いガラス形成能を有することになる。
好ましい組成として、例えば、Fe43Cr16Mo16C15B10(以下、下付き数字は全てat%を示す)、Fe75Mo4P12C4B4Si1、Fe52Co20B20Si4Nb4等の鉄基金属ガラスが挙げられる。
本発明では、溶射により、金属ガラス粒子を過冷却状態で基材表面に衝突させることにより、金属ガラスの均一なアモルファス相の皮膜を得ることができる。
過冷却液体状態では、金属ガラスは粘性流動を示し、粘性が低い。このため、過冷却液体状態にある金属ガラスが基材表面に衝突すると、瞬時に薄く潰れて基材表面に広がり、厚みが非常に薄い良好なスプラットを形成することができる。そして、このようなスプラットの堆積により、気孔が非常に少ない緻密な膜を形成することができる。
従って、本発明の方法によれば、均一な金属ガラスのアモルファス固体相からなり、且つ気孔がほとんどない緻密な金属皮膜を溶射により得ることができる。
本発明においては、金属ガラス皮膜中の気孔は非常に少ない(気孔率は好ましくは2%以下)。また、気孔径は皮膜の膜厚よりもごく小さく、皮膜を貫通するような連続気孔は存在しない。
図3は、高速フレーム溶射(HVOF)装置の一例の概略図である。同図に示すように、HVOF装置は溶射ガン30を備え、該溶射ガン30の基部(図中左方)から燃料パイプ32及び酸素パイプ34を介してそれぞれ燃料及び酸素が供給され、溶射ガン30のフレーム端(図中右方)には高速の燃焼炎(ガスフレーム)36が形成される。そして、この溶射ガン30のフレーム端に近接して溶射材料供給パイプ38が設けられ、該パイプ38から溶射材料粉末が搬送ガス(N2ガスなど)により圧送供給される。
燃料としては、灯油、アセチレン、水素、プロパン、プロピレン等を用いることができる。
溶射粉末の粒径は、特に問題のない限り制限されないが、最大粒子径が80μm以下、さらには50μm以下であることが好適である。平均粒子径としては5〜30μmが好適に使用できる。
金属ガラス皮膜形成は、例えば、はんだごてチップの表面や、はんだ槽の内面の他、フィン、シャフト、ヒータなど、溶融はんだと接触する各種部材の表面に直接行うことができる。あるいは、適当な基材表面に溶射を行って複合材料を製造し、これを加工成型して部材を作製することもできる。
金属ガラス皮膜は均一の膜厚に形成してもよいし、必要に応じて傾斜膜とすることもできる。
基材は、金属ガラス層との接合性を高めるために、通常はブラスト処理など公知の方法により基材表面の粗面化処理を施して使用することが好ましい。また、本発明の溶射皮膜はに貫通する空孔がないので、皮膜形成後に樹脂等を用いた封孔処理は特に不要であるが、目的に応じ、各種表面処理をしてもよい。
組成がFe43Cr16Mo16C15B10である金属ガラスのアトマイズ粉(粒径25〜53μm、アモルファス)を高速フレーム溶射装置(日本ユテク社製 JP5000、バレル長さ 4インチ)を用いて溶射した。
なお、原料であるFe43Cr16Mo16C15B10金属ガラス粉末をDSC(示差走査熱量計)で測定したところ、ガラス転移温度(Tg)は611.7℃、結晶化開始温度(Tx)は675.2℃、融点(Tm)は1094.8℃であった。試験条件は次の通り。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
基材 SUS304板(粗面化処理)
溶射原料 Fe43Cr16Mo16C15B10ガスアトマイズ粉末
△Tx:約63℃
粒度:25〜53μm
溶射条件 粉末搬送ガス:N2
燃料:灯油、6.0GPH
酸素:2000SCFH
溶射距離(溶射ガン先端から基材表面までの距離):380mm
溶射ガン移動速度:200mm/sec
基材表面温度:200℃
――――――――――――――――――――――――――――――――――
そして、遮断板を用いずに連続的に溶射を行った場合には、溶射密度に応じて基材表面に種々の膜厚の溶射皮膜を形成することができ、0.01mm以上から形成でき、0.1mm以上も、例えば2〜3mmの厚膜も形成可能であった。これら溶射皮膜は基材表面に強固に結合しており、また、溶射皮膜のX線回折により、完全なアモルファス相であることが確認された。また、その断面を電子顕微鏡にて観察したところ、溶射皮膜は非常に緻密で気孔はほとんどなく、連続気孔も認められなかった。また、酸化物層の形成も認められなかった。
これらの結果は、金属ガラスの溶射粒子が過冷却液体状態で基材表面に衝突したことによるものと考えられる。
実施例1で得られた溶射皮膜試験体より耐食性評価を行う試験片(約5×20×80mm)を得た。また、比較試験片として、SUS304板(約5×20×80mm)の表面をエメリー紙により研磨したものを準備した。
これら試験片の表面に、鉛フリーはんだ用フラックスを塗布した後、溶融した鉛フリーはんだSn−3Ag−0.5Cu(550℃)中に浸漬3秒、上昇2秒の流速付加条件で6時間、浸漬−上昇を繰り返した。浸漬は試験片の長径に対し片方の先端から約20mmとなるようにした。
試験終了後、試験片表面に付着している溶融はんだをふき取り、外観を観察したところ、比較試験片では著しい侵食(エロージョン)が認められたが、金属ガラス試験片では全く観察されなかった。
(表1)
―――――――――――――――――――――――――――――――
試料 重量減
―――――――――――――――――――――――――――――――
金属ガラス試験片 なし
比較試験片(SUS304) あり(約6%減量)
―――――――――――――――――――――――――――――――
以上のように、金属ガラス皮膜ははんだ、特に鉛フリーはんだに対しても耐食性に優れるので、はんだ付けに用いられる機器の各種部材において、このような金属ガラス皮膜を溶融はんだとの接触面に形成することにより、その耐食性を格段に向上することができ、高寿命化を図ることができる。
600℃に加熱・保持した陶器製るつぼ中のSn―3Ag−0.5Cu鉛フリーはんだ溶湯に試験材を48時間浸漬後、るつぼごと試験材を冷却した。光学顕微鏡にて、はんだ−試験片境界面の断面の観察を行った。試験材としては、(a)Fe43Cr16Mo16C15B10金属ガラスの他、比較材として、(b)普通鋼(SS400)、(c)ステンレス(SUS304)、(d)純チタン、(e)特殊窒化処理、(f)鋳鉄新生面(FC20)、(g)鋳鉄鋳肌面(FC20)を用いた。
断面観察の結果、金属ガラス溶射皮膜は全く損傷がなかったのに対し、比較試験材は鉛フリーはんだによる侵食が確認された(図5)。
はんだ溶解実験用のお椀型ステンレス製容器(SUS304、直径Φ100mm、板厚0.5mm)の内面に、Fe43Cr16Mo16C15B10金属ガラスを膜厚50μm以上目標で溶射した。
はんだ溶解実験では、500℃以上の温度で回転子による強い攪拌を7.5時間連続で行うため、ステンレス製容器へのダメージが大きく、3回の実験で内面に損傷が発生し、廃却していた。これに対し、金属ガラス溶射品では、のべ40時間使用時点で全く損傷していなかった。
(1)小口ではんだ溶解に用いているお椀型のステンレス製はんだ溶解容器(SUS304、直径Φ380mmおよびΦ500mmの2種類、板厚0.5mm)の内面に、Fe43Cr16Mo16C15B10金属ガラスを膜厚100〜150μmで溶射した。
通常、この容器は鉛フリーはんだによる浸食で2ヶ月程度で穴が開いていたが、金属ガラス溶射品は4ヶ月使用時点では全く損傷していなかった。
(2)はんだ溶解容器内の溶湯温度を測定する熱電対のステンレス製保護管(SUS304、直径Φ22mm、長さ1500mm)の外面に、Fe43Cr16Mo16C15B10金属ガラスを膜厚100〜150μmで溶射した。4ヶ月使用時点でも全く問題がなかった。
(3)はんだ連続鋳造機(山口製作所製SCC−3)の上釜内面にもFe43Cr16Mo16C15B10金属ガラスを膜厚100〜150μmで溶射した。2ヶ月経過時点でも全く問題はなかった。
試験例1
溶射材料として、耐食性に優れる金属ガラスとして知られているFe43Cr16Mo16C15B10のガスアトマイズ粉末を用いて溶射試験を行った。DSC分析を行ったところ、該金属ガラス粉末のガラス転移温度(Tg)は611.7℃、結晶化開始温度(Tx)は675.2℃であり、△Txは63.5℃であった。また、融点(Tm)は1094.8℃であった。また、X線回折によりアモルファス相であることを確認した。溶射条件は次の通り。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
基材 SUS304L板
溶射装置 日本ユテク社製JP−5000
溶射原料 Fe43Cr16Mo16C15B10ガスアトマイズ粉末
△Tx:約63℃
粒度:53μmの篩下のもの(最大粒径53μm)
溶射条件 粉末搬送ガス:N2
燃料:灯油、6.0GPH
酸素:2000SCFH
溶射距離(溶射ガン先端から基材表面までの距離):380mm
溶射ガン移動速度:200mm/sec
基材表面温度:200℃(ホットプレートで加温)
――――――――――――――――――――――――――――――――――
また、図7に示す断面写真のように、この溶射被膜を貫通する連続空孔は認められず、その気孔率は1.2%であった。なお、気孔率については、溶射被膜の任意の断面(n=10)について2次元画像解析し、得られた気孔の面積率の最大値を気孔率として採用した。
この溶射被膜は、鉛フリーはんだによる侵食は全く認められず、非常に高い耐食性を示した。
下記のように燃料と酸素の供給量を変えて、試験例1と同様に溶射した(溶射被膜約200μm)。
(表3)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
試験 燃料 酸素 気孔率 耐食性
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
2−1 6.0GPH 2000SCFH 約1% ○
2−2 3.5GPH 1250SCFH 約5% ×
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
過冷却液体温度領域△Txの異なるアモルファス金属ガラス粉末を用いて、試験例1と同様にして溶射した(溶射被膜約200μm)。溶射被膜のアモルファス相形成については、下記の基準により評価した。
(アモルファス相の形成)
○:X線回折で良好なハローパターンが認められる(アモルファス単一相)
△:X線回折でハローパターンと結晶性ピークの両方が認められる(一部結晶相)
×:X線回折でハローパターンが全く認められない(結晶相)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
試験 金属ガラス △Tx アモルファス相形成
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
3−1 Fe43Cr16Mo16C15B10 約63℃ ○
3−2 Fe52Co20B20Si4Nb4 約31℃ ○
3−3 Fe78Si10B12 約 0℃ ×
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
結晶相の形成は、耐食性に悪影響を及ぼすので、望ましくない。また、△Txが30℃を下回ると気孔率も高くなる。よって、金属ガラスとしては、△Txが30℃以上のものが好適である。
溶射粒子が基材表面に衝突した際の状態を調べるために、溶射粒子捕集試験を行った。この試験は、基材表面への溶射開始直後に遮断板により基材表面へのガスフレーム及び溶射粒子を遮断して、スプラットが堆積する前の個々のスプラットの形状や、基材表面の様子を調べるものである。
燃料と酸素の供給速度を下記表5のように変えた以外は、前記試験例1と同じ条件で試験を行った。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
試験 燃料 酸素 基材写真
No. (GPH) (SCFH) SUS304L 寒天ゲル
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
4−1 6.0 2000 図9 図12
4−2 5.5 2000 図10 図13
4−3 4.0 1500 図11 図14
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
試験4−1(燃料6.0GPH/酸素2000SCFH)及び試験4−2(燃料5.5GPH/酸素2000SCFH)では、溶射粒子のスプラットの形状は、円形あるいは楕円形に薄くつぶれたものか、又は中央部に円形あるいは楕円形に薄くつぶれたコアとその周囲に薄く広がるスプラッシュ様の部分とからなるものであった。そして、これらの条件で溶射を行ったところ、このようなスプラットの積層により、緻密で均一なアモルファス金属ガラス溶射被膜が得られた。
これに対して、試験4−3(図14)では溶射粒子の大部分がゲル内部に侵入し、ゲル表面ではほとんど捕集されていない(ゲル表面に黒く見える部分はほとんど認められない)。
従って、試験4−1〜4−2では、ほとんどの溶射粒子が溶融状態あるいは過冷却液体状態で衝突しているのに対し、試験4−3では、ほとんどの溶射粒子が凝固状態で基材表面に衝突しているものと考えられる。
何れの場合においても、図15のように、(a)アモルファス金属ガラス粉末を溶射した場合には完全なアモルファス相の溶射皮膜が得られたのに対し、(b)同じ組成の結晶質粉末を溶射した場合には得られた溶射皮膜は結晶質であった。結晶質皮膜では、アモルファス金属ガラス皮膜のような優れた耐食性は得られない。
このように、本発明の溶射皮膜は、溶射原料粉末が溶融せずに過冷却液体状態で基材に衝突し凝固・積層したものである。
さらに、基材表面温度及び溶射粒子の粒度を変えて溶射粒子捕集試験を行った。試験条件は、次の通り。
(表6)
――――――――――――――――――――――――――――――――――
試験No. 粒度 基材表面温度 基材表面写真
――――――――――――――――――――――――――――――――――
5−1 120μm以下 常温(加温なし) 図16
5−2 120μm以下 200℃ 図17
5−3 45μm以下 常温(加温なし) 図18
5−4 45μm以下 200℃ 図19
――――――――――――――――――――――――――――――――――
試験条件は試験例1と同じ
――――――――――――――――――――――――――――――――――
これは、粒径が小さかったために、ガスフレームで溶射粒子が過冷却液体状態で基材表面に衝突したためと考えられる。
スプラットが薄く広がれば、溶射被膜の緻密性に有利である。また、スプラットが薄く広がればスプラット全体が速やかに冷却されて凝固するので、均一なアモルファス溶射被膜の形成にも有利である。
4 こて先本体
6 下地層(金属ガラス皮膜)
8 表面層
10 クロムメッキ
12 はんだ槽
14 ステンレス鋼
16 金属ガラス皮膜
18 溶融はんだ
30 溶射ガン
32 燃料パイプ
34 酸素パイプ
36 ガスフレーム
38 溶射材料供給パイプ
40 溶射粒子
42 基材
44 溶射皮膜
Claims (6)
- 溶融はんだとの接触面、あるいは溶融はんだとの接触面の下地層として、予め調製されたアモルファス相の金属ガラスを原料としてアモルファス相の金属ガラス溶射皮膜が形成された耐はんだ侵食用部材であって、前記金属ガラス溶射皮膜は、予め調製されたアモルファス相の金属ガラス粒子が過冷却液体状態で基材表面に衝突し、凝固及び積層して形成されたものであり、金属ガラスの過冷却液体温度領域△Txが30℃以上であり、金属ガラス溶射皮膜に皮膜を貫通する連続気孔が存在せず、金属ガラス溶射皮膜の気孔率が2%以下であり、金属ガラスが複数の元素から構成され、構成元素としてFeを43〜52原子%含み、Crを10〜40原子%含み、さらにMo、C、及びBを含むFe−Cr系金属ガラスであることを特徴とする耐はんだ侵食用部材。
- 請求項1記載の部材において、金属ガラス溶射皮膜の厚みが0.01mm以上であることを特徴とする耐はんだ侵食用部材。
- 請求項1又は2記載の部材において、金属ガラス溶射皮膜が高速フレーム溶射によって形成されたことを特徴とする耐はんだ侵食用部材。
- 請求項1〜3の何れかに記載の部材において、はんだが鉛フリーはんだであることを特徴とする耐はんだ侵食用部材。
- 請求項1〜4の何れかに記載の耐はんだ侵食用部材からなる、はんだごてチップ。
- 請求項1〜4の何れかに記載の耐はんだ侵食用部材からなる、はんだ槽。
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