JP2004141914A - はんだ槽 - Google Patents
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Abstract
【課題】鉛フリーはんだを使用しても腐食するおそれがなく、かつ、滞留に起因する偏析が生じて、はんだ品質の低下を招くというおそれもないはんだ槽を提供しようとするものである。
【解決手段】溶融状態の鉛フリーはんだSを貯留するはんだ槽1の表面を窒化処理により形成された硬化層でコーティングした。また、内部に隅角部が形成されないように、隣り合った面を緩やかなアール部rで連続させた。さらに、貯留された溶融はんだSを加熱するシーズヒーター3をはんだ槽1の外側に熱伝導剤4を介して一体的に接合した。
【選択図】 図2
【解決手段】溶融状態の鉛フリーはんだSを貯留するはんだ槽1の表面を窒化処理により形成された硬化層でコーティングした。また、内部に隅角部が形成されないように、隣り合った面を緩やかなアール部rで連続させた。さらに、貯留された溶融はんだSを加熱するシーズヒーター3をはんだ槽1の外側に熱伝導剤4を介して一体的に接合した。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、はんだ付装置に用いられるはんだ槽であって、詳しくは、腐食性が高く、温度管理も難しい鉛フリーはんだの収容に適したはんだ槽に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のはんだ槽は、図4並びに図5に示すように、ステンレス鋼で上面が開放された箱形に形成され、内部に貯留された溶融はんだSに浸漬されるように加熱用のシーズヒーター13を、その内壁面に沿わせて複数、設けていた。
【0003】
そして、はんだ槽11内に設けられた噴流ダクト12から溶融状態のはんだSを噴流させ、このはんだSに接触するように、プリント基板などの対象物(図示せず)を搬送することにより、そのはんだ付けを行うようにしていた。
【0004】
図6は、このはんだ槽1内の各部の溶融はんだSの温度を、250℃の設定において、液面下15mmの位置で測定した温度分布図である。図示したように、従来のはんだ槽1では、槽内の溶融はんだSの温度に最大18℃のばらつきがみられた。
【0005】
ここにおいて、従来は、はんだ槽に収容されるはんだとして、鉛/錫からなる共晶はんだが使用されていた。しかしながら、近年、環境問題の観点から徐々に鉛を使用し難くなってきており、当業界においても、鉛を使用しない鉛フリーはんだの使用が増加しつつある。しかし、この鉛フリーはんだは、温度むらによる偏析(部分的結晶の析出)が生じ易く、はんだ品質の低下を招くおそれがあり、また、腐食性も高いという特徴があり、上述したはんだ槽をそのまま用いることはできなかった。
【0006】
そこで、この鉛フリーはんだに対応するように、はんだ槽を内面側がチタン層で外面側がステンレス層からなるクラッド材で形成したものや、あるいはステンレスで形成されたはんだ槽の内面にセラミックス材を塗布するなどしてセラミックス層を形成したものがあった。(例えば、特許文献1)
【0007】
【特許文献1】
特開2002−28778号公報(第5−6頁、第1図、第5図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来のはんだ槽のうち、図4並びに図5に示した前者のものは、はんだ槽の隅角部に溶融はんだが滞留し易く、槽内の溶融はんだの温度分布が不均一になるため、はんだ成分の偏析(部分的結晶の析出)が生じるおそれがあった。特に、鉛フリーはんだを使用した場合には、使用温度(240℃)と溶解温度(216℃)との差が24℃で、従来の鉛/錫の共晶はんだにおける同様の温度差の57℃に比し、半分以下となるため、一層、この傾向が顕著に現れるという問題点があった。
【0009】
そして、このようにはんだ成分の偏析が生じると、はんだ品質が低下し、はんだ付品質にも悪影響を及ぼすおそれがあった。また、これを防止するためには頻繁にメンテナンスを行う必要があり、煩わしく、かつ、装置の稼働率も低下するという問題点があった。
【0010】
さらにまた、このはんだ槽は、ステンレスで形成されていたので、浸食性の強い鉛フリーはんだを収容すると、その表面が浸食され、寿命が著しく短くなるという問題点もあった。
【0011】
また、後者のようにはんだ槽を内面がチタンからなるクラッド材で形成したり、内面にセラミックス層を形成したものは、表面の耐腐食性が向上するので、鉛フリーはんだを収容しても、はんだ槽が浸食され、傷むおそれは少ないが、溶融はんだの滞留により偏析が生じる点は、依然として解決されておらず、このことに起因するはんだ品質の低下や、装置稼働率の低下を招くという問題点があった。
【0012】
また、内面がチタンで構成されたクラッド材は、高価で加工も困難であるという問題点も有していた。
【0013】
本発明は、上記従来のはんだ槽が有していた問題点の解決を課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明のうち、請求項1記載の発明は、はんだ槽を、ステンレス鋼または他の金属鋼で上面が開放された箱形に形成し、かつ、少なくともその内面側を窒化処理で形成された硬化層でコーティングしたことを特徴とする。
【0015】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に、内部に隅角部が形成されないように隣り合った面を緩やかなアール部で連続したものとし、かつ、加熱用のシーズヒーターが外部に添設した構成を加え、このことで、鉛フリーはんだの滞留による偏析が生じないようにしたことを特徴とする。
【0016】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の構成に、シーズヒーターを熱伝導剤を介してはんだ槽の外部に接合した構成を加えたことを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示した実施の形態に基づき詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明のはんだ槽1の実施形態を示した簡略平面図、図2は、その縦断側面図である。図示したように、このはんだ槽1は、従来のものと同様に、上面が開放された箱状にステンレスなどの金属鋼で形成され、その内部に、溶融状態のはんだSを噴流させて、このはんだSをその上側を搬送される対象物(図示せず)のはんだ付面に接触させるための噴流ノズル2を設けている。
【0019】
ここにおいて、本発明では、はんだ槽1を構成した金属鋼は、少なくともその内側の表面が窒化処理され、金属元素が窒素と反応して生成される硬化層でコーティングされている。また、このはんだ槽1内に収容された溶融はんだに浸漬される噴流ノズル2や圧送ポンプ(図示せず)の表面も、同様に窒化処理による硬化層でコーティングされている。
【0020】
なお、ここで言う窒化処理とは、加工対象となる金属母材を真空炉内に入れ、真空引きの後、窒素と微量な酸素、および必要に応じてアンモニアなどのガスを添加し、所定の時間(例えば3〜5時間)、所定の温度(例えば480℃〜550℃)に加熱保持することにより、窒素を母材に拡散させ、母材に含まれる合金元素と反応させ、硬化層を生成させるものである。例えば、母材がステンレス鋼の場合は、表面にチッ化クロムの硬化層が生成される。
【0021】
また、上記のはんだ槽1は、その内部に隅角部が形成されないように、四方側面1a,1b,1c,1dの隣り合った面同士、及び底面1eと側面1a,1b,1c,1dの連続した個所を面取りし、隣り合った面同士が緩やかなアール部rで連続するようにしている。
【0022】
さらにまた、本発明のはんだ槽1では、槽内に貯留されたはんだSを溶融状態に保つための加熱手段であるシーズヒーター3を、はんだ槽1の前後側面1a,1bの外部に、それぞれ複数、列状に添設している。このシーズヒーター3は、熱伝導剤4を介してはんだ槽1の側面に一体的に接合され、熱を効率的に金属製のはんだ槽1に伝導し、このはんだ槽1からその内部に収容された溶融はんだSに熱を伝えるようになっている。
【0023】
なお、このシーズヒーター3は、図示したような円筒形のものであっても良いが、平板状あるいは断面三角形状のものであっても良く、このような形状とすれば、はんだ槽1に接触させる面積を大きくして効率良く熱を伝えることができるので、より望ましい。
【0024】
本発明のはんだ槽1は、上記の構成を有している。従って、はんだ槽1内には、溶融はんだSの対流を妨げる障害物となるシーズヒーター3がなく、かつ内部の隅角部に相当する個所が緩やかなアール部rとなるように形成されているので、溶融はんだSの滞留が生じ難くなっている。
【0025】
図3は、本発明のはんだ槽1内の溶融はんだSの温度を、250℃の設定条件において、液面下15mmの位置の各部で測定した温度分布図である。なお、噴流ノズル2が設けられている個所では、噴流した溶融はんだの下方15mmの位置での温度を測定している。図示したように、このはんだ槽1では、槽内の溶融はんだSの温度のばらつきは、1℃にすぎなかった。
【0026】
また、上記のはんだ槽1に収容されるはんだとしては、従来の鉛/錫からなる共晶はんだに代え、鉛を使用しない鉛フリーはんだの使用が可能である。この鉛フリーはんだは、使用温度(240℃)と溶解温度(216℃)との差が24℃であり、従来のものの同様の温度差(57℃)に比し、半分以下になっている。このことは、即ち、鉛フリーはんだを使用する場合は、適正な温度範囲がそれだけ狭く、厳密な温度制御が必要なことを意味している。また、この鉛フリーはんだは、錫の使用量が多く、金属を腐食させる性質が強いものである。
【0027】
本発明のはんだ槽1は、上述したように、はんだ槽1内に溶融はんだSの対流を妨げるシーズヒーター3がなく、かつ、内部の隅角部に相当する個所が緩やかなアール部rとなるように形成されているので、溶融はんだSが効率良く対流し、各部の温度が均一に保たれる。よって、適正な温度レンジの狭い鉛フリーはんだにおいても溶融はんだSの滞留に起因するはんだの偏析(部分的結晶の析出)が生じ難く、はんだ付けに使用されるはんだの品質が高品位に保たれ、はんだ付け品質の低下が防止される。さらに、この溶融はんだと接するはんだ槽1の内表面には、窒化処理による強靱な硬質層が形成されているので、浸食され難く、腐食による劣化も生じ難いものである。
【0028】
なお、図示した実施の形態では、はんだ付装置として噴流ノズル2から溶融はんだSを噴流させるようにした噴流式のものを例示したが、本発明のはんだ槽1の目的とするところは、溶融はんだSに滞留による偏析を生じさせず、また浸食も生じないようにすることにあり、このはんだ槽1はプリント基板などの対象物を浸漬するようにしたディップ式のものであっても良い。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のうち、請求項1記載の発明は、溶融はんだと接するはんだ槽の内面側を窒化処理で形成された硬化層でコーティングしたので、浸食性の強い鉛フリーはんだを用いても浸食され難く、長期にわたって安定かつ安全に初期の機能を果たすことができる。また、鉛フリーはんだを使用できるので、周囲環境への悪影響を排除でき、環境面での改善がはかられることとなる。
【0030】
請求項2記載の発明は、はんだ槽内に溶融はんだが滞留するおそれのある隅角部をなくすと共に、障害物となるシーズヒーターをなくしたので、槽内の溶融はんだの温度が均一に保たれ、溶融はんだの滞留に起因するはんだの偏析(部分的結晶の析出)が生じ難くなる。よって、温度制御に高い精度を要する鉛フリーはんだを用いても、はんだ付け品質の低下を招いたり、メンテナンスの手間を増加させることがない。
【0031】
請求項3記載の発明は、溶融はんだ加熱用のシーズヒーターを熱伝導剤を介してはんだ槽の外部に接合することとしたので、請求項2記載の発明の効果に加え、この種のはんだ槽の熱効率を向上させることができると共に、簡単に製造することもできるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のはんだ槽の実施形態を示した簡略平面図である。
【図2】図1に示したはんだ槽の縦断側面図である。
【図3】図1に示したはんだ槽内の溶融はんだの温度分布図である。
【図4】従来のはんだ槽の簡略平面図である。
【図5】図4に示した従来のはんだ槽の縦断側面図である。
【図6】図4に示した従来のはんだ槽内の溶融はんだの温度分布図である。
【符号の説明】
1 はんだ槽
1a,1b,1c,1d 側面
1e 底面
2 噴流ノズル
3 シーズヒーター
4 熱伝導剤
S 溶融はんだ
r アール部
【発明の属する技術分野】
本発明は、はんだ付装置に用いられるはんだ槽であって、詳しくは、腐食性が高く、温度管理も難しい鉛フリーはんだの収容に適したはんだ槽に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のはんだ槽は、図4並びに図5に示すように、ステンレス鋼で上面が開放された箱形に形成され、内部に貯留された溶融はんだSに浸漬されるように加熱用のシーズヒーター13を、その内壁面に沿わせて複数、設けていた。
【0003】
そして、はんだ槽11内に設けられた噴流ダクト12から溶融状態のはんだSを噴流させ、このはんだSに接触するように、プリント基板などの対象物(図示せず)を搬送することにより、そのはんだ付けを行うようにしていた。
【0004】
図6は、このはんだ槽1内の各部の溶融はんだSの温度を、250℃の設定において、液面下15mmの位置で測定した温度分布図である。図示したように、従来のはんだ槽1では、槽内の溶融はんだSの温度に最大18℃のばらつきがみられた。
【0005】
ここにおいて、従来は、はんだ槽に収容されるはんだとして、鉛/錫からなる共晶はんだが使用されていた。しかしながら、近年、環境問題の観点から徐々に鉛を使用し難くなってきており、当業界においても、鉛を使用しない鉛フリーはんだの使用が増加しつつある。しかし、この鉛フリーはんだは、温度むらによる偏析(部分的結晶の析出)が生じ易く、はんだ品質の低下を招くおそれがあり、また、腐食性も高いという特徴があり、上述したはんだ槽をそのまま用いることはできなかった。
【0006】
そこで、この鉛フリーはんだに対応するように、はんだ槽を内面側がチタン層で外面側がステンレス層からなるクラッド材で形成したものや、あるいはステンレスで形成されたはんだ槽の内面にセラミックス材を塗布するなどしてセラミックス層を形成したものがあった。(例えば、特許文献1)
【0007】
【特許文献1】
特開2002−28778号公報(第5−6頁、第1図、第5図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来のはんだ槽のうち、図4並びに図5に示した前者のものは、はんだ槽の隅角部に溶融はんだが滞留し易く、槽内の溶融はんだの温度分布が不均一になるため、はんだ成分の偏析(部分的結晶の析出)が生じるおそれがあった。特に、鉛フリーはんだを使用した場合には、使用温度(240℃)と溶解温度(216℃)との差が24℃で、従来の鉛/錫の共晶はんだにおける同様の温度差の57℃に比し、半分以下となるため、一層、この傾向が顕著に現れるという問題点があった。
【0009】
そして、このようにはんだ成分の偏析が生じると、はんだ品質が低下し、はんだ付品質にも悪影響を及ぼすおそれがあった。また、これを防止するためには頻繁にメンテナンスを行う必要があり、煩わしく、かつ、装置の稼働率も低下するという問題点があった。
【0010】
さらにまた、このはんだ槽は、ステンレスで形成されていたので、浸食性の強い鉛フリーはんだを収容すると、その表面が浸食され、寿命が著しく短くなるという問題点もあった。
【0011】
また、後者のようにはんだ槽を内面がチタンからなるクラッド材で形成したり、内面にセラミックス層を形成したものは、表面の耐腐食性が向上するので、鉛フリーはんだを収容しても、はんだ槽が浸食され、傷むおそれは少ないが、溶融はんだの滞留により偏析が生じる点は、依然として解決されておらず、このことに起因するはんだ品質の低下や、装置稼働率の低下を招くという問題点があった。
【0012】
また、内面がチタンで構成されたクラッド材は、高価で加工も困難であるという問題点も有していた。
【0013】
本発明は、上記従来のはんだ槽が有していた問題点の解決を課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明のうち、請求項1記載の発明は、はんだ槽を、ステンレス鋼または他の金属鋼で上面が開放された箱形に形成し、かつ、少なくともその内面側を窒化処理で形成された硬化層でコーティングしたことを特徴とする。
【0015】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に、内部に隅角部が形成されないように隣り合った面を緩やかなアール部で連続したものとし、かつ、加熱用のシーズヒーターが外部に添設した構成を加え、このことで、鉛フリーはんだの滞留による偏析が生じないようにしたことを特徴とする。
【0016】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の構成に、シーズヒーターを熱伝導剤を介してはんだ槽の外部に接合した構成を加えたことを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示した実施の形態に基づき詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明のはんだ槽1の実施形態を示した簡略平面図、図2は、その縦断側面図である。図示したように、このはんだ槽1は、従来のものと同様に、上面が開放された箱状にステンレスなどの金属鋼で形成され、その内部に、溶融状態のはんだSを噴流させて、このはんだSをその上側を搬送される対象物(図示せず)のはんだ付面に接触させるための噴流ノズル2を設けている。
【0019】
ここにおいて、本発明では、はんだ槽1を構成した金属鋼は、少なくともその内側の表面が窒化処理され、金属元素が窒素と反応して生成される硬化層でコーティングされている。また、このはんだ槽1内に収容された溶融はんだに浸漬される噴流ノズル2や圧送ポンプ(図示せず)の表面も、同様に窒化処理による硬化層でコーティングされている。
【0020】
なお、ここで言う窒化処理とは、加工対象となる金属母材を真空炉内に入れ、真空引きの後、窒素と微量な酸素、および必要に応じてアンモニアなどのガスを添加し、所定の時間(例えば3〜5時間)、所定の温度(例えば480℃〜550℃)に加熱保持することにより、窒素を母材に拡散させ、母材に含まれる合金元素と反応させ、硬化層を生成させるものである。例えば、母材がステンレス鋼の場合は、表面にチッ化クロムの硬化層が生成される。
【0021】
また、上記のはんだ槽1は、その内部に隅角部が形成されないように、四方側面1a,1b,1c,1dの隣り合った面同士、及び底面1eと側面1a,1b,1c,1dの連続した個所を面取りし、隣り合った面同士が緩やかなアール部rで連続するようにしている。
【0022】
さらにまた、本発明のはんだ槽1では、槽内に貯留されたはんだSを溶融状態に保つための加熱手段であるシーズヒーター3を、はんだ槽1の前後側面1a,1bの外部に、それぞれ複数、列状に添設している。このシーズヒーター3は、熱伝導剤4を介してはんだ槽1の側面に一体的に接合され、熱を効率的に金属製のはんだ槽1に伝導し、このはんだ槽1からその内部に収容された溶融はんだSに熱を伝えるようになっている。
【0023】
なお、このシーズヒーター3は、図示したような円筒形のものであっても良いが、平板状あるいは断面三角形状のものであっても良く、このような形状とすれば、はんだ槽1に接触させる面積を大きくして効率良く熱を伝えることができるので、より望ましい。
【0024】
本発明のはんだ槽1は、上記の構成を有している。従って、はんだ槽1内には、溶融はんだSの対流を妨げる障害物となるシーズヒーター3がなく、かつ内部の隅角部に相当する個所が緩やかなアール部rとなるように形成されているので、溶融はんだSの滞留が生じ難くなっている。
【0025】
図3は、本発明のはんだ槽1内の溶融はんだSの温度を、250℃の設定条件において、液面下15mmの位置の各部で測定した温度分布図である。なお、噴流ノズル2が設けられている個所では、噴流した溶融はんだの下方15mmの位置での温度を測定している。図示したように、このはんだ槽1では、槽内の溶融はんだSの温度のばらつきは、1℃にすぎなかった。
【0026】
また、上記のはんだ槽1に収容されるはんだとしては、従来の鉛/錫からなる共晶はんだに代え、鉛を使用しない鉛フリーはんだの使用が可能である。この鉛フリーはんだは、使用温度(240℃)と溶解温度(216℃)との差が24℃であり、従来のものの同様の温度差(57℃)に比し、半分以下になっている。このことは、即ち、鉛フリーはんだを使用する場合は、適正な温度範囲がそれだけ狭く、厳密な温度制御が必要なことを意味している。また、この鉛フリーはんだは、錫の使用量が多く、金属を腐食させる性質が強いものである。
【0027】
本発明のはんだ槽1は、上述したように、はんだ槽1内に溶融はんだSの対流を妨げるシーズヒーター3がなく、かつ、内部の隅角部に相当する個所が緩やかなアール部rとなるように形成されているので、溶融はんだSが効率良く対流し、各部の温度が均一に保たれる。よって、適正な温度レンジの狭い鉛フリーはんだにおいても溶融はんだSの滞留に起因するはんだの偏析(部分的結晶の析出)が生じ難く、はんだ付けに使用されるはんだの品質が高品位に保たれ、はんだ付け品質の低下が防止される。さらに、この溶融はんだと接するはんだ槽1の内表面には、窒化処理による強靱な硬質層が形成されているので、浸食され難く、腐食による劣化も生じ難いものである。
【0028】
なお、図示した実施の形態では、はんだ付装置として噴流ノズル2から溶融はんだSを噴流させるようにした噴流式のものを例示したが、本発明のはんだ槽1の目的とするところは、溶融はんだSに滞留による偏析を生じさせず、また浸食も生じないようにすることにあり、このはんだ槽1はプリント基板などの対象物を浸漬するようにしたディップ式のものであっても良い。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のうち、請求項1記載の発明は、溶融はんだと接するはんだ槽の内面側を窒化処理で形成された硬化層でコーティングしたので、浸食性の強い鉛フリーはんだを用いても浸食され難く、長期にわたって安定かつ安全に初期の機能を果たすことができる。また、鉛フリーはんだを使用できるので、周囲環境への悪影響を排除でき、環境面での改善がはかられることとなる。
【0030】
請求項2記載の発明は、はんだ槽内に溶融はんだが滞留するおそれのある隅角部をなくすと共に、障害物となるシーズヒーターをなくしたので、槽内の溶融はんだの温度が均一に保たれ、溶融はんだの滞留に起因するはんだの偏析(部分的結晶の析出)が生じ難くなる。よって、温度制御に高い精度を要する鉛フリーはんだを用いても、はんだ付け品質の低下を招いたり、メンテナンスの手間を増加させることがない。
【0031】
請求項3記載の発明は、溶融はんだ加熱用のシーズヒーターを熱伝導剤を介してはんだ槽の外部に接合することとしたので、請求項2記載の発明の効果に加え、この種のはんだ槽の熱効率を向上させることができると共に、簡単に製造することもできるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のはんだ槽の実施形態を示した簡略平面図である。
【図2】図1に示したはんだ槽の縦断側面図である。
【図3】図1に示したはんだ槽内の溶融はんだの温度分布図である。
【図4】従来のはんだ槽の簡略平面図である。
【図5】図4に示した従来のはんだ槽の縦断側面図である。
【図6】図4に示した従来のはんだ槽内の溶融はんだの温度分布図である。
【符号の説明】
1 はんだ槽
1a,1b,1c,1d 側面
1e 底面
2 噴流ノズル
3 シーズヒーター
4 熱伝導剤
S 溶融はんだ
r アール部
Claims (3)
- ステンレス鋼または他の金属鋼で上面が開放された箱形に形成され、かつ、少なくともその内面側が窒化処理により形成された硬化層でコーティングされていることを特徴とするはんだ槽。
- 内部に隅角部が形成されないように隣り合った面が緩やかなアール部で連続したものとされ、かつ、加熱用のシーズヒーターが外部に添設されることにより、鉛フリーはんだの滞留による偏析が生じないようになされたことを特徴とする請求項1記載のはんだ槽。
- シーズヒーターが熱伝導剤を介してはんだ槽の外部に接合されていることを特徴とする請求項2記載のはんだ槽。
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005093113A1 (ja) | 2004-03-25 | 2005-10-06 | Topy Kogyo Kabushiki Kaisha | 金属ガラス積層体、その製造方法及びその利用 |
JP2006097132A (ja) * | 2004-09-02 | 2006-04-13 | Tohoku Univ | 耐はんだ侵食用部材 |
JP2010099676A (ja) * | 2008-10-22 | 2010-05-06 | Tamura Seisakusho Co Ltd | はんだ漏れ検出機能付きはんだ槽 |
JP2013503749A (ja) * | 2009-09-02 | 2013-02-04 | レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード | ウェーブソルダリング装置に希ガスを供給する装置 |
-
2002
- 2002-10-24 JP JP2002309132A patent/JP2004141914A/ja active Pending
Cited By (5)
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