JP5007975B2 - 居眠り検知装置 - Google Patents

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本発明は、居眠りを検知するための技術に関する。
従来より、生体情報をモニタすることによって居眠りを検知する手法が数多く提案されている。
特許文献1では、ハンドルに取り付けた電極で運転者の心拍を計測し、居眠り検知を行う装置が提案されている。また特許文献2では、シートに取り付けた心拍センサで運転者の心拍をモニタする装置が提案されている。また特許文献3、4では、まばたきの頻度や時間の長さから居眠りの兆候を判定する手法が提案されている。
また非特許文献1では、12例を対象とした実験に基づいて、脳波、まばたき時間、まばたき回数および心拍数による運転時の眠気予測方法を提案している。また非特許文献2では、睡眠評価に国際基準を使用し、18例の被験者を対象として、指尖脈波傾き時系列、心拍、呼吸、体表面温度の同時記録から、入眠予兆(睡眠第一段階の5〜10分前)が検出できることが報告されている。
国際公開第2004/089209号パンフレット 特開平5−330360号公報 特表2005−525142号公報 特開平9−39603号公報 沼田仲穂、北島洋樹、五井美博、他、「自動車運転時の眠気の予測手法についての研究」、日本機械学会論文集、63、pp.101−108、1997年 藤田悦則、小倉由美、落合直樹、他、「指尖容積脈波情報を用いた入眠予兆現象計測法の開発」、人間工学、41(4)、pp.203−212、2005年
しかしながら、上記従来技術には次に述べるような課題がある。
まず、特許文献1〜4のような装置では、眠気および睡眠に関する客観的な評価が無く、まばたきや心拍などの生体情報と睡眠との関連性について医学的検証が十分でない。よって、居眠り検知の精度および信頼性に疑問が残る。これに対し、非特許文献1、2の研究では、医学的あるいは国際的に認められた評価手法を用いて眠気や睡眠を評価しているものの、車両に脳波測定装置を搭載して運転者の脳波をモニタしたり(非特許文献1)、車両内でサーモグラフィによる体表面温度の測定を行うこと(非特許文献2)は、現在の技術では実用化が困難である。
また、危険回避や事故防止を目的とした場合、運転者の「入眠」あるいは「睡眠状態」を検知するだけでは時期的に遅すぎる。入眠に至る前の現象すなわち「入眠予兆」をいち早く捉えて、運転者への警告や自動車の制御等を行うことが望ましい。さらに最近の研究では、入眠より前にマイクロスリープ(microsleep)とよばれる現象が現れるケースがあることも報告されており、危険回避や事故防止の観点からは、このようなマイクロスリープも検知可能な手法の実現が望まれる。しかし従来は、入眠予兆を精度よく検知可能な現実的な手法は存在しなかった。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、入眠予兆を精度良く検知可能な技術を提供することにある。
まばたき時間の監視は比較的容易であり、また入眠予兆の簡易的な判定には向いているが、個人差が大きく精度が低いという不利がある。一方、心拍変動解析は、自律神経活動の評価が可能であるため、まばたき時間を使うよりも高精度な居眠り判定を期待できる。しかし、心拍変動解析では、一般に5分間以上のR−R間隔時系列データを観察する必要があるとされており、その時間応答性の悪さから入眠予兆の判定には向いていなかった。
そこで、本発明者らは、まばたき時間と心拍変動の2つの生体情報を同時に監視することにより入眠予兆を精度よく判定できるのではないかとの仮説を立て、医学的見地に基づく実験を行った。その結果、最初にまばたき時間の延長が認められ、それに続いて心拍変動のHF成分の上昇が始まり、その後入眠し睡眠状態になる、との知見を得るに至った。本発明の構成はかかる知見に基づくものである。
具体的には、本発明に係る居眠り検知装置は、対象者のまばたき時間を計測する第1計測手段と、前記対象者の心拍変動を計測する第2計測手段と、まばたき時間の基準値である第1基準値、および、心拍変動のHF成分の基準値である第2基準値を記憶する記憶手段と、前記第1計測手段で計測されるまばたき時間と前記第1基準値との比較によって、前記対象者のまばたき時間の延長を監視する第1監視手段と、前記第2計測手段で計測される心拍変動のHF成分(高周波成分)と前記第2基準値との比較によって、前記対象者の心拍変動のHF成分の上昇を監視する第2監視手段と、まばたき時間の延長が現れている間に心拍変動のHF成分の上昇の開始が認められた場合に、入眠予兆と判定する判定手段と、を備える。
この構成により、入眠に至る前の入眠予兆の段階を高精度に検知することができる。そして、入眠予兆を検知した時点で、警告を出力したり、停止信号を出力したりすれば、居眠りの防止や危険回避が確実になる。
前記第1基準値が、前記第1計測手段で計測された前記対象者のまばたき時間の計測値に応じて更新されることが好ましい。また、前記第2基準値が、前記第2計測手段で計測された前記対象者の心拍変動の計測値に応じて更新されることも好ましい。
まばたき時間には個人差がある。また、同一人でも生活条件により日差変動もある。心拍変動は年齢、生活条件および心疾患など基礎疾患の有無により異なることは従来の報告から明らかにされている。よって、画一的な基準値を使用すると判定精度は低下する可能性が高い。そこで、上記の構成のように、対象者本人の計測値を用いて基準値を随時更新するようにすれば、精度のよい判定が実現できる。
前記判定手段は、入眠予兆と判定した後、心拍変動のHF成分と前記第2基準値との差が所定値に達した場合に、入眠と判定し、さらにその後、入眠(睡眠)の状態が所定期間続いた場合に、持続的睡眠と判定することが好ましい。さらに、入眠予兆、入眠、持続的睡眠の各段階で、警告の出力などを行うことが好ましい。
前記第1計測手段が、非接触で対象者のまばたき時間を計測可能であるとよい。たとえば、対象者をカメラで撮影することにより得られる画像を用いてまばたき時間を計測するとよい。さらに、その画像を用いて、頭部の傾げ(ふらつき)や眼球の動きなどの情報を得て、居眠り判定に利用することも好ましい。
前記第2計測手段も、非接触で対象者の心拍変動を計測可能であるとよい。たとえば、マイクロ波を利用して対象者の心拍を非接触で計測する手法などが考えられる。
ただし、本発明は、接触式の計測系でまばたき時間や心拍変動を計測する構成を排除するものではない。対象者に多大な負荷や違和感を与えないのであれば、接触式の計測系を利用してもよい。
本発明は、上記手段の少なくとも一部を有する居眠り検知装置として捉えることができる。また、本発明は、上記処理の少なくとも一部を含む居眠り検知方法、または、かかる方法を実現するためのプログラムとして捉えることもできる。上記手段および処理の各々は可能な限り互いに組み合わせて本発明を構成することができる。
たとえば、本発明の一態様としての居眠り検知方法は、対象者のまばたき時間を計測する工程と、前記対象者の心拍変動を計測する工程と、計測されたまばたき時間と第1基準値との比較によって、前記対象者のまばたき時間の延長を監視する工程と、計測された心拍変動のHF成分と第2基準値との比較によって、前記対象者の心拍変動のHF成分の上昇を監視する工程と、まばたき時間の延長が現れている間に心拍変動のHF成分の上昇の開始が認められた場合に、入眠予兆と判定する工程と、を含むものである。
本発明によれば、入眠予兆を精度良く検知可能となる。
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。なお、以下の実施形態では本発明を車両の居眠り運転防止装置に適用する構成を例示するが、本発明の適用範囲はこれに限られない。たとえば、電車、飛行機、船舶、重機などの操縦、あるいは、工場での作業など、居眠りが危険や事故を誘発する可能性のある場面であれば、本発明を好ましく適用可能である。
<装置構成>
図1は、本発明の実施形態に係る居眠り検知装置の構成を示すブロック図である。
この居眠り検知装置1は、車両に搭載される装置であり、運転者(対象者)の居眠りを検知し防止するためのものである。居眠り検知装置1は、主な構成として、装置本体10、カメラ20、心拍センサ30を備えている。
装置本体10は、CPU(中央演算処理装置)11、記憶装置12、カメラ20とのI/F13、心拍センサ30とのI/F14、警報装置15などを備える情報処理装置である。記憶装置12は、CPU11で実行される各種プログラムや、居眠り検知処理で利用される基準値などの各種パラメータなどを記憶している。居眠り検知装置1の機能は、この記憶装置12に格納されているプログラムがCPU11によって実行され、必要に応じてカメラ20、心拍センサ30、警報装置15を制御することで実現されるものである。なお、車両に搭載されているECUやカーナビゲーションシステムなどの情報処理装置を、居眠り検知装置の装置本体として利用しても構わない。
カメラ20は、運転者の映像を取り込むための撮像装置である。カメラ20で取り込まれた画像は、装置本体10において、まばたき時間の計測や頭部の傾げの検出に利用される。よって、カメラ20は、運転者の頭部および顔を撮影可能な位置、たとえば、運転席前方のインパネやハンドルなどに設置される。カメラ20としては、CCDやCMOSなど撮像素子を利用したデジタルカメラが好適である。
心拍センサ30は、運転者の心拍変動を計測するための計測装置である。この心拍センサ30は、マイクロ波を利用して運転者の心拍を非接触で計測する方式のセンサである。心拍センサ30の出力信号は装置本体10に取り込まれ、心拍変動解析に供される。
このように本実施形態では、カメラやマイクロ波センサなどの非接触式のセンサを用いているため、運転者に負荷や違和感を与えることなく、居眠り検知に用いる生体情報(まばたき、心拍変動)を得ることができる。よって、車両への実装が容易かつ現実的である。ただし、運転者に多大な負荷や違和感を与えないのであれば、接触式のセンサを利用しても構わない。たとえば、ハンドル、シート、ヘッドレスト、シートベルトなど、元々運転者との接触がある部材に接触式の心拍センサを設ければ、負荷や違和感を与えることなく心拍変動を計測することが可能である。
なお、本実施形態においては、装置本体10の記憶装置12が本発明の記憶手段に対応し、カメラ20が本発明の第1計測手段に対応し、心拍センサ30が本発明の第2計測手段に対応している。
<居眠り検知処理>
図2は、運転者の状態とまばたき時間および心拍変動のHF成分の変化との関係を模式的に示すグラフである。グラフの横軸は時間を示しており、縦軸はまばたき時間と心拍変動のHF成分のレベル(HF値)を示している。破線がまばたき時間の変化であり、実線が心拍変動のHF成分の変化である。なお図2のグラフに示す関係は、本発明者らの実験により得られたデータを基礎としている。この実験の内容については後で詳しく述べる。
図2のグラフから分かるように、運転者が覚醒状態(かつ安静状態)にあるときは、まばたき時間および心拍変動のHF成分は両者ともに低いレベルにある。一方、運転者が睡眠状態にあるときは、まばたきは消失しており、心拍変動のHF成分は高いレベルにある。覚醒状態から睡眠状態への移行期間を見ると、最初にまばたき時間の延長が現れており、それに続いて心拍変動のHF成分の上昇が始まり、その後入眠し、睡眠状態に至ることがわかる。なお「入眠」とは、睡眠の開始時点のことをいう。本実施形態の居眠り検知装置1は、図2に示す「入眠予兆」、「入眠」、「睡眠状態(持続的睡眠)」の3つの段階の検知を行う。
では、図3のフローチャートを参照して、居眠り検知装置1の動作を説明する。ここで述べる居眠り検知処理は、居眠り検知装置1のCPU11によって実行されるものである。
(ステップS1)
処理がスタートすると、カメラ20および心拍センサ30が計測を開始する。所定時間ごと(たとえば数ミリ秒ごと)に運転者の画像と心拍信号が装置本体10に取り込まれる。CPU11は、順次取り込まれる時系列画像を解析することによって、運転者のまばたき時間を算出する。まばたき時間の算出には、公知の画像処理手法を利用可能である。たとえば、画像処理によって眼、まぶた、瞳、白眼などを検出することで開眼状態か閉眼状態かを判別し、閉眼状態の画像が何枚連続するかでまばたき時間を求める手法などがある。また、CPU11は、順次取り込まれる心拍信号を解析することによって、運転者の心拍変動のHF成分のレベルを算出する。心拍変動のHF成分の評価手法は公知のため、ここでは説明を割愛する。
まばたき時間および心拍変動のHF成分の算出結果(計測値)は、所定時間(たとえば1秒)ごとに得られる。この定期的に計測される計測値を用いて、ステップS2以降の処
理が行われる。
(ステップS2)
ステップS2では、CPU11が、基準値の更新処理を実行する。基準値とは、図2に示すように、運転者の安静覚醒状態におけるまばたき時間および心拍変動のHF成分の値(ベースライン)である。
まばたき時間には個人差がある。また、同一人でも生活条件により日差変動もある。心拍変動は年齢、生活条件および心疾患など基礎疾患の有無により異なることは従来の報告から明らかにされている。よって、画一的な基準値を使用すると判定精度は低下する可能性が高い。特に本実施形態では、入眠直前に現れる入眠予兆を精度良く検知することを目的としているため、判定精度を低下させる要因は極力排除することが望まれる。そこで、本実施形態では、居眠り判定に入る前のイニシャライズ処理として、基準値の更新を行う。
具体的には、CPU11は、所定のイニシャライズ期間のあいだに得られたまばたき時間の計測値を平均することで、当該運転者のまばたき時間の基準値(第1基準値)を算出する。同様に、イニシャライズ期間に得られたHF成分の計測値を平均することで、HF成分の基準値(第2基準値)を得る。ここで算出された基準値は記憶装置12に格納され、ステップS3以降の処理に供される。
このように運転者本人の計測値を用いて基準値を随時更新することで、個人差や日差変動にかかわらず精度のよい判定が可能となる。なお、イニシャライズ期間は任意に設定可能である(たとえば数分程度に設定すればよい)。また、本実施形態では計測値の平均を基準値としているが、中間値や最頻値など他の統計値を用いてもよい。
(ステップS3)
基準値の更新処理が終わったら、CPU11は、「入眠予兆」を検知するモードに入る。まず、CPU11は、まばたき時間の計測値と基準値との比較によって、運転者のまばたき時間の延長を監視する。このステップS3の機能が、本発明の第1監視手段に対応している。
たとえば、CPU11は、計測値が得られるたびにまばたき時間の増加率を計算し、その増加率が所定のしきい値を超えた場合に「延長」と判断する。まばたき時間の延長が認められたら、次のステップS4に進む。
(ステップS4)
ステップS4では、CPU11が、心拍変動のHF成分の計測値と基準値との比較によって、運転者の心拍変動のHF成分の上昇を監視する。このステップS4の機能が、本発明の第2監視手段に対応している。
たとえば、CPU11は、HF成分の計測値が得られるたびに基準値との差を求め、その差が所定のしきい値を超えたら、HF成分が上昇を開始したと判断する。なお、ステップS4の監視動作中に、まばたき時間の長さが基準値レベルに戻った場合には、ステップS3の監視動作に戻る。
(ステップS5)
まばたき時間の延長が現れている間に(ステップS3)心拍変動のHF成分の上昇の開始が認められた(ステップS4)という条件が満たされた時、CPU11は、運転者に「入眠予兆」が現れたと判定する。すなわち、図2の点Aの時点を、「入眠予兆」として検
知するのである。本発明者らの実験では、上記条件が揃う点Aの時点は、実際の入眠の時点よりも数秒から数十秒ほど先行することが確認されている。また、後述するようにマイクロスリープ現象が発現する場合も、まばたき時間の延長とHF成分の上昇がみられることから、上記判定条件を使えばマイクロスリープ現象も検知することができる。
(ステップS6)
「入眠予兆」と判定した場合、CPU11は、警報装置15を制御して、第一段階の警告を出力する。入眠前にいち早く警告を発することで、運転者の覚醒を促すことができるので、事故や危険を未然に回避することができる。
(ステップS7)
第一段階の「入眠予兆」が検知された後、CPU11は、第二段階の「入眠」を検知するモードに入る。図2に示すように、本発明者らの実験によると、入眠の時点では心拍変動のHF成分は上昇の途中にある。この状態を捉えるべく、本実施形態では、HF成分の上昇勾配を監視し、その勾配が所定のしきい値に達した時点で、運転者が「入眠」したと判定する。
なお、入眠後は閉眼している時間が長くなり、まばたきの頻度が低下するので、HF成分の上昇勾配とともにまばたきの頻度を監視することで、入眠判定の精度を高めてもよい。さらに、入眠後は頭部の傾げも発生しはじめるので、画像における頭部の位置や傾きなどから頭部の傾げを評価し、その情報を入眠判定に利用してもよい。
ところで、ステップS7の入眠検知モードにおいて、HF成分の低下やまばたき時間の短縮が認められた場合には、運転者が覚醒状態になったとみなし、再びステップS3の入眠予兆検知モードに戻るとよい。
(ステップS8)
ステップS7で「入眠」と判定した場合、CPU11は、警報装置15を制御して、第二段階の警告を出力する。このとき、第一段階のときよりも大きな音声で警告を出力し、確実に運転者の覚醒を促すことが好ましい。
(ステップS9)
第二段階の「入眠」が検出された後、CPU11は、第三段階の「持続的睡眠」を検知するモードに入る。図2に示すように、心拍変動のHF成分は、入眠後しばらく上昇を続けた後、あるレベルで安定する。そこで、本実施形態では、HF成分の計測値と基準値との差分(もしくは上昇率)を監視し、その差分が所定のしきい値を超えている状態が10分以上続いた場合に、運転者が「持続的睡眠」に入ったと判定する。持続的な睡眠状態に入った後は、まばたきが完全に消失するので、その情報を持続的睡眠の判定に利用することも好ましい。なお、このモードにおいてHF成分の低下が認められた場合も、運転者が覚醒状態に復帰したとみなし、ステップS3の入眠予兆検知モードあるいはステップS7の入眠検知モードに戻るとよい。
(ステップS10)
ステップS9で「持続的睡眠」と判定した場合には、CPU11は、警報装置15を制御して第三段階の警告を出力する。
なお、ステップS6、S8、S10において、警告を出力するだけでなく、CPU11がECUに信号を送出し車両の動作を制御するようにしてもよい。たとえば、危険回避の目的で、車両のクラクションを鳴らしたり、ハンドルをロックしたり、エンジンの回転数を下げたり、速度を落としたりすることが想定される。また、上記フローではステップS
3、S4を順番に実行しているが、マルチタスク処理によりまばたき時間の監視と心拍変動のHF成分の監視を並列に実行してもよい。
以上述べた居眠り検知装置1によると、「入眠予兆」、「入眠」、「持続的睡眠」の3つの段階を精度よく検知することができる。特に、従来は検知困難であった入眠予兆およびマイクロスリープについても精度良く検知可能であるという利点をもつ。また、非接触式のセンサを用いているため、車両への実装が容易かつ現実的であるという点でも優れている。しかも、次に述べるように、各段階における判定ロジックは医学的な実験を基礎とするものであり、高い信頼性を有している。
<実験の説明>
以下、本発明者らが行った実験の概要を説明する。なお実験の対象は健常大学生25例であった。
(1)実験環境
実験は、シールドルーム内の暗室にて行った。被実験者の体位は運転中とあわせ、座位とした。検査前、喫煙および過度な飲酒および運動は禁止した。シールドルーム内の暗室内で20分以上睡眠が得られない場合は検査を中止した。一回目の検査では環境に慣れていないため、2回目以降からのデータを使用した。
(2)睡眠、まばたきおよび心拍変動解析
終夜睡眠ポリグラフィ(Polysomnography:PSG)を用い睡眠を評価した。脳波電極
装着(C4-A1,C3-A2,O2-A1,O1-A2)および睡眠判定は国際基準に従った。このシステムか
ら得られる情報は、睡眠ステージ、心電図R−R間隔、脳波、頤筋電図、眼球運動である。
まばたき情報の測定には、AntiSleep(SmartEye社製)を使用した。AntiSleepから得られる情報は、頭部座標、頭部回転、眼球座標、視線方向およびまぶた間隙である。
心電図R−R間隔の心拍変動の周波数解析には、MemCalc/Winを使用した。Low frequency(LF)およびHigh frequency(HF)成分は、各々心電図R−R間隔時系列データのパワースペクトルにおける0.04Hz-0.15Hz、0.15Hz-0.4Hz帯域の周波数積分値として算出
されている。
本実験では、AntiSleepおよびPSGの同時計測を行うことにより、入眠時期周辺におけるAntiSleepから得られるまばたき情報および心拍変動にどのような特徴が認められるか検
討した。
二群間の検定にはPaired t-testを用い、P<0.05を有意とした。
(3)PSGによる取得データの例
図4(a)は、PSGにより取得された脳波、眼球運動、心電図のデータの一例である。PSGでは、30秒区間のデータを1単位(epoch)として睡眠段階(睡眠ステージ)
の判定を行う(20秒区間で判定されることもある。)。脳波深度の分類には、Rechtschaffen&Kalesの分類が広く用いられている。睡眠段階1−4をNREM睡眠と総称する。
睡眠段階3、4はまとめて徐波睡眠(slow wave sleep:SWS)と呼ばれる。
・覚醒(Stage W):8−12Hzのα波が50%以上を占める。急速な眼球運動がみ
られ、筋電図は相対的に高電位。
・睡眠段階1(Stage I):α波振幅低下、8−12Hzのα波が50%未満。低電位
でさまざまな周波数の脳波がみられる。緩徐な眼球運動がみられる(slow eye movements)。
・睡眠段階2(Stage II):脳波上、紡錘波(spindles)が中心、頭頂部に出現。K複合(Kcomplex)の出現。眼球運動はほとんど消失。
・睡眠段階3(Stage III):脳波上、2Hz以下で振幅が75μV以上のδ波が1epochの20−50%を占める。
・睡眠段階4(Stage IV):脳波上、2Hz以下で振幅が75μV以上のδ波が1epochの50%以上を占める。
・REM睡眠(Stage REM):比較的低電位でさまざまな周波数の脳波がみられる。覚
醒時より1−2Hz遅いα波が出現することもある。特徴的な急速眼球運動がみられ、筋電図は一夜を通して最も低電位。
(4)睡眠状態および覚醒状態での心拍変動解析結果
図5は、睡眠状態および覚醒状態における心拍変動周波数解析結果を示す。本症例では、LFが覚醒状態において上昇した。また、覚醒状態で、交感神経活動を反映するLF/HFの上昇が認められた。また、睡眠状態で、副交感神経活動を反映するHFの上昇が認められた。
(5)マイクロスリープ状態および覚醒状態での心拍変動解析結果
本実験では、マイクロスリープ(microsleep)状態と覚醒状態での心拍変動解析も行った。図4(a)は睡眠段階1を示し、図4(b)はマイクロスリープ状態における脳波、眼球運動、心電図R−R間隔のデータを示すものである。マイクロスリープは、「Manual
of Standardized Terminology, Techniques and Scoring System for Sleep Stage of Human Subjects」、「Sleep Disorders Atlas Task Force of the American Sleep Disorders Association. EEG arousals: scoring rules and examples」、および、「Blaivas AJ, et al. Quantifying microsleep to help assess subjective sleepiness. Sleep Medicine 2007;8:156~159」に従い、1epochの3秒以上15秒未満の睡眠と定義した。
図6に示すように、マイクロスリープ状態でも睡眠状態と同様に、覚醒状態と比較してLF/HF値が低値である。また、マイクロスリープ状態でもわずかであるがHFの上昇が認められる。
(6)まばたき情報の解析
AntiSleepから得られたまぶた間隙(単位はメートル)から、まばたき時間(閉眼時刻
から開眼時刻までの時間)を計算した。そして、覚醒状態でのまばたき時間と入眠10秒前のまばたき時間を比較した。図7に示すように、まばたき時間は覚醒状態に比べて入眠10秒前に有意に延長した。
(7)まばたき時間と心拍変動解析指標の統合
図8は、まばたき時間と心拍変動のHF成分(5分間値)の経時変化を示している。この症例では、入眠時期(390秒)に先行してまばたき時間の延長が認められ、その後HF値の上昇が認められた。また、他の症例においても、入眠時期(覚醒から睡眠への移行期)にまばたき時間の延長とHF値の上昇が認められ、まばたき時間の延長はHF値の上昇に先行した。本実験の結果を統合し、一般化したものが、図2のグラフである。
図1は、居眠り検知装置の構成を示すブロック図である。 図2は、運転者の状態と、まばたき時間および心拍変動のHF成分の変化との関係を、模式的に示すグラフである。 図3は、居眠り検知処理の流れを示すフローチャートである。 図4は、PSGにより取得された脳波と眼球運動のデータの一例である。 図5は、睡眠状態および覚醒状態における心拍変動周波数解析結果を示す。 図6は、マイクロスリープ状態および覚醒状態における心拍変動周波数解析結果を示す。 図7は、覚醒状態と入眠10秒前のまばたき時間の比較を示す。 図8は、まばたき時間と心拍変動のHF成分(5分間値)の経時変化を示す。
符号の説明
1 居眠り検知装置
10 装置本体
11 CPU
12 記憶装置
13 カメラとのI/F
14 心拍センサとのI/F
15 警報装置
20 カメラ
30 心拍センサ

Claims (3)

  1. 対象者のまばたき時間を計測する第1計測手段と、
    前記対象者の心拍変動を計測する第2計測手段と、
    まばたき時間の基準値である第1基準値、および、心拍変動のHF成分の基準値である第2基準値を記憶する記憶手段と、
    前記第1計測手段で計測されるまばたき時間と前記第1基準値との比較によって、前記対象者のまばたき時間の延長を監視する第1監視手段と、
    前記第2計測手段で計測される心拍変動のHF成分と前記第2基準値との比較によって、前記対象者の心拍変動のHF成分の上昇を監視する第2監視手段と、
    まばたき時間の延長が現れている間に心拍変動のHF成分の上昇の開始が認められた場合に、入眠予兆と判定する判定手段と、
    を備えることを特徴とする居眠り検知装置。
  2. 前記第1基準値が、前記第1計測手段で計測された前記対象者のまばたき時間の計測値に応じて更新される
    ことを特徴とする請求項1に記載の居眠り検知装置。
  3. 前記第2基準値が、前記第2計測手段で計測された前記対象者の心拍変動の計測値に応じて更新される
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の居眠り検知装置。
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