JP4867215B2 - 生理・心理状態判定装置、生理・心理状態判定方法、リファレンスデータ生成装置、及びリファレンスデータ生成方法。 - Google Patents

生理・心理状態判定装置、生理・心理状態判定方法、リファレンスデータ生成装置、及びリファレンスデータ生成方法。 Download PDF

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本発明は、被験者の生理状態又は心理状態を検出する生理・心理状態検出装置、及び生理・心理状態検出方法に関する。
車両の運転者の生理状態・心理状態を判定する装置が開発されている(特許文献1,2)。例えば、車両の運転者の覚醒度を判定して、走行中の居眠りを未然に防止する試みがなされている。ここで、覚醒度の判定方法として、被験者の脳波、心拍、呼吸などの生理指標を所定時間ごとに計測して、計測された生理指標から特徴量を算出し、その特徴量から覚醒度を判定する手法が提案されている。
特開平6−255518号公報 特開平7−275219号公報
しかしながら、従来技術に係る装置では、被験者の生理状態が平常時に比べて大きく変化しないと、被験者の生理状態又は心理状態の変化を検出することができない、という問題がある。例えば、居眠り検出用の装置では、眠気がかなり強くないと、運転者の居眠り状態を検出できない。
そこで、本発明の目的は、被験者の生理状態・心理状態の変化を感度良く検出可能な装置及び方法を提供することである。
上述した目的を達成するために、本発明に係る生理・心理状態検出装置は、被験者の生理指標を計測する生理指標計測手段と、生理指標計測手段により計測された生理指標から、生理指標のゆらぎを抽出するゆらぎ抽出手段と、ゆらぎ抽出手段により抽出された生理指標のゆらぎから、ゆらぎの特徴的変化を抽出するゆらぎ特徴抽出手段と、ゆらぎ特徴抽出手段により抽出されたゆらぎの特徴的変化から、発生頻度が所定閾値を越えた特徴的変化を検出する有意特徴検出手段と、を備え、有意特徴検出手段の検出結果に基づいて、被験者の生理・心理状態の変化を検出することを特徴とする。
この構成によれば、被験者の生理・心理状態の変化を感度良く検出することができる。即ち、被験者の生理・心理状態に微小変化が生じた場合には、ゆらぎの特徴的変化の発生頻度が高くなる。よって、発生頻度が所定閾値を越えたゆらぎの特徴的変化を検出することで、被験者の生理・心理状態の変化を感度良く検出することができる。
上述した生理・心理状態検出装置は、生理指標計測手段により計測された生理指標に基づいて、閾値を設定する閾値設定手段を、さらに備え、有意特徴検出手段は、発生頻度が、閾値設定手段により設定された閾値を越えた特徴的変化を検出することが好ましい。
この構成によれば、生理指標計測手段により計測された生理指標に基づいて閾値が設定される。よって、被験者の個人差や日々の体調変化などを考慮した閾値が設定されるため、被験者の生理・心理状態の変化を感度良く検出することができる。
上述した目的を達成するために、本発明に係る生理・心理状態検出方法は、被験者の生理指標を計測する生理指標計測ステップと、計測された生理指標から、生理指標のゆらぎを抽出するゆらぎ抽出ステップと、抽出された生理指標のゆらぎから、ゆらぎの特徴的変化を抽出するゆらぎ特徴抽出ステップと、抽出されたゆらぎの特徴的変化から、発生頻度が所定閾値を越えた特徴的変化を検出する有意特徴検出ステップと、を含む。
また、本発明に係るリファレンスデータ生成装置は、生理・心理状態の検出に用いるリファレンスデータを生成するためのリファレンスデータ生成装置であって、被験者の生理指標を計測する生理指標計測手段と、被験者のストレス指標を計測するストレス指標計測手段と、ストレス指標計測手段により計測されたストレス指標に基づいて、被験者のストレス状態を判定するストレス状態判定手段と、ストレス状態判定手段により被験者がストレス状態に無いと判定された場合に、生理指標計測手段により計測された生理指標を取り込んで、リファレンスデータを計算するリファレンスデータ計算手段と、を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、被験者のストレスが小さいときに計測された生理指標に基づいてリファレンスデータを計算するため、生理・心理状態を良好に検出可能なリファレンスデータを得ることができる。
また、本発明に係るリファレンスデータ生成方法は、生理・心理状態の検出に用いるリファレンスデータを生成するためのリファレンスデータ生成方法であって、被験者の生理指標を計測する生理指標計測ステップと、被験者のストレス指標を計測するストレス指標計測ステップと、計測されたストレス指標に基づいて、被験者のストレス状態を判定するストレス状態判定ステップと、被験者がストレス状態に無いと判定された場合に、計測された生理指標を取り込んで、リファレンスデータを計算するリファレンスデータ計算ステップと、を含む。
本発明によれば、被験者の生理状態・心理状態の変化を感度良く検出することができる。
[1]生理・心理状態検出装置
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る生理・心理状態検出装置ついて説明する。本実施形態では、生理・心理状態検出装置は、車両に搭載されており、運転者の居眠り状態、ストレス負荷状態、疲労状態などの生理・心理状態を判定するために用いられる。
図1には、本実施の形態に係る生理・心理状態検出装置1の構成が示されている。生理・心理状態検出装置1は、生理指標計測部10、及びECU[Electronic Control Unit]を備えており、ECU内に、生理指標名入力部12、検出対象状態名入力部14、ゆらぎ処理情報データベース16、ゆらぎ抽出部18、ゆらぎ特徴抽出部20、閾値設定部22、有意特徴検出部24、状態出力部26、及び4つのバッファー28,30,32,34が構成される。
生理指標計測部10は、被験者の生理データを逐次計測して、生理指標の時系列データを出力する。生理指標計測部10としては、例えば、脳波センサ、心電センサ、脈波センサ、呼吸センサなどがある。但し、生理指標計測部10は、これらに限られるものではなく、居眠り状態、ストレス負荷状態、疲労状態などの検出対象状態に応じて、計測する生理指標に変化が生じるものであればよい。なお、生理指標計測部10により計測された生理指標の時系列データは、バッファーI28に一時的に格納される。
ECUは、生理・心理状態検出装置1の制御装置であり、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]などからなる。ECUでは、生理・心理状態検出装置1が起動されると、ROMに記憶されている専用のアプリケーションプログラムがRAMにロードされ、CPUによってそのプログラムに記述された各処理が実行される。これにより、ECUの各機能が構成される。
生理指標名入力部12は、計測している生理指標を特定する情報(以下、生理指標名と呼ぶ)を取り込んで、ゆらぎ処理情報データベース16及び閾値設定部22に、その生理指標名を出力する。ここで、生理指標名の入力方法は問わない。例えば、外部の装置からの入力により生理指標名を取り込んだり、運転者による入力操作により生理指標名を取り込めばよい。また、生理指標計測部10からECUに計測信号が到来した場合に、生理指標計測部10により計測される生理指標名を取り込むようにしてもよい。
検出対象状態名入力部14は、検出する状態を特定する情報(以下、検出対象状態名と呼ぶ)を取り込んで、ゆらぎ処理情報データベース16及び閾値設定部22に、その検出対象状態名を出力する。検出対象状態とは、例えば、運転者の居眠り状態、ストレス負荷状態、疲労状態などである。ここで、検出対象状態名の入力方法は問わない。例えば、外部の装置からの入力により検出対象状態名を取り込んだり、運転者による入力操作により、検出対象状態名を取り込めばよい。
ゆらぎ処理情報データベース16は、生理指標の計測値から検出対象状態を検出するために用いるリファレンスデータを格納している。ゆらぎ処理情報データベース16は、生理指標名および検出対象状態名を取り込むと、生理指標名および検出対象状態名に対応するリファレンスデータを、ゆらぎ抽出部18及びゆらぎ特徴抽出部20に出力する。リファレンスデータとは、例えば、下記の1〜7に示すような一組の情報である。
リファレンスデータ
1.推定に用いる生理指標名 1個以上
2.サンプリングレート 複数個(生理指標により選定)
3.バンドパス帯域周波数 複数個(生理指標により選定)
4.解析単位区間幅 複数個(生理指標により選定)
5.周波数帯 複数個(生理指標により選定)
6.閾値処理用数式 複数個(生理指標により選定)
7.特定区間長 複数個(生理指標、推定対象により選定)、など
ゆらぎ抽出部18は、バッファーI28から生理指標の時系列データを取り込み、さらに、ゆらぎ処理情報データベース16からリファレンスデータを取り込むと、生理指標の時系列データからゆらぎを抽出する処理を行い、抽出されたゆらぎの時系列データを出力する。ゆらぎ抽出部18から出力されたゆらぎの時系列データは、バッファーII30に一時的に格納される。
生理指標計測部10が心拍センサであり、ゆらぎ抽出部18が心拍ゆらぎを抽出する場合を一例として、ゆらぎ抽出部18の処理を説明する。先ず、ゆらぎ抽出部18は、心拍の時系列データをバンドパスフィルタで処理することで、心拍の時系列データから通過帯域0.1Hz〜30Hzの成分を取り出す。この処理の結果が、図2に示される。なお、通過帯域の情報は、リファレンスデータに含まれている。
次に、ゆらぎ抽出部18は、図2に示すように、心拍の時系列データから、心拍タイミング検出用の閾値TH以上となっている波形部分を切り出す。そして、ゆらぎ抽出部18は、図3に示すように、切り出された波形部分が最大となるタイミングを1とし、他のタイミングを0として2値化する。これにより、図4に示すように、一連の心拍タイミングが求められる。なお、閾値THの情報は、リファレンスデータに含まれている。
次に、ゆらぎ抽出部18は、図5に示すように、各心拍タイミングt1から次の心拍タイミングt2までの時間(秒)を求め、求められた時間(t2−t1)を各心拍タイミングt1に付与することで、心拍周期の情報を得る。さらに、ゆらぎ抽出部18は、図6に示すように、心拍周期の情報を補完することで、心拍周期の曲線Cを求めて心拍周期の時系列データを得る。なお、ゆらぎ抽出部18は、図7に示すように、心拍周期の時系列データに代えて、心拍周波数の時系列データを求めてもよい。
次に、ゆらぎ抽出部18は、図8に示すように、任意のタイムスタンプである基準時間Tより前の解析単位区間幅Tterm(秒)における心拍周期の時系列データに対して、高速フーリエ変換(FFT)処理を行う。ここで、解析単位区間幅Ttermは、リファレンスデータに含まれる値である。次に、ゆらぎ抽出部18は、図9に示すように、FFT処理により解析単位区間ごとに得られたパワースペクトルにおいて、リファレンスデータにて指定される各周波数帯帯域ごとに、振幅スペクトルを積分する。ここでは、第一の周波数帯帯域(0.1Hz付近)、及び第二の周波数帯帯域(0.3Hz付近)について振幅スペクトルを積分している。なお、リファレンスデータにて指定される各周波数帯帯域は、計測される生理指標のゆらぎが強く現れる周波数帯帯域とすればよい。
ゆらぎ抽出部18は、一定時間が経過して基準時間になるごとに、解析単位区間幅Ttermにおける心拍周期の時系列データに対して、FFT処理を行って、パワースペクトルを積分する処理を繰り返す。これにより、図10に示すように、各周波数帯帯域ごとに振幅スペクトルパワーの時系列データが算出される。この振幅スペクトルパワーの時系列データが、心拍ゆらぎの時系列データである。
ゆらぎ特徴抽出部20は、バッファーII30からゆらぎの時系列データを取り込み、さらに、ゆらぎ処理情報データベース16からリファレンスデータを取り込むと、ゆらぎの時系列データからゆらぎの特徴的変化を検出する。そして、ゆらぎ特徴抽出部20は、ゆらぎの特徴的変化の発生頻度を算出し、発生頻度の時系列データを出力する。ゆらぎ特徴抽出部20から出力された発生頻度の時系列データは、バッファーIII32に一時的に格納される。
ゆらぎ抽出部18の説明に引き続いて、生理指標計測部10が心拍センサである場合を一例として、ゆらぎ特徴抽出部20の処理を説明する。先ず、ゆらぎ特徴抽出部20は、心拍ゆらぎの時系列データに対して微分を行う。この結果を、図11に示す。なお、心拍ゆらぎに対しては微分が行われるが、生理指標によっては微分を行わない方が好適な場合もある。次に、ゆらぎ特徴抽出部20は、図12に示すように、現在時刻tからt秒前の時刻を終端とする解析区間幅Aを定める。そして、ゆらぎ特徴抽出部20は、区間Aでの心拍ゆらぎ微分値の時系列データの平均値meanと標準偏差sdを計算し、次の数式(1)により閾値TH(t)を求める。
TH(t) = mean(t)+3×sd(t) ・・・(1)
図13には、図11のチャートに追加して、閾値THが示されている。平均値meanから標準偏差sdの3倍離れた値を閾値THに設定することで、心拍ゆらぎ微分値が閾値THを越えることは99%あり得ないこととなり、統計的に有意差のある心拍ゆらぎの特徴的変化を検出することができる。
ゆらぎ特徴抽出部20は、各時刻ごとに心拍ゆらぎの微分値が閾値THを越えたか否かを判定する。ここで、ゆらぎ特徴抽出部20は、現在時刻tから過去に遡って一定時間に、心拍ゆらぎの微分値が閾値THを越えていない場合には、次の時刻t0+1において閾値THを更新する。一方、現在時刻tから過去に遡って一定時間に、心拍ゆらぎの微分値が閾値THを越えている場合には、次の時刻t0+1において閾値THを更新せずに、次の時刻t0+1において閾値THとして、現在時刻tの閾値THをそのまま利用する。これにより、閾値越えした心拍ゆらぎの微分値を閾値設定に用いることを防止して、被験者の生理・心理状態の変化を精度良く検出することを可能にしている。
図14には、ゆらぎ特徴抽出部20による閾値TH越えの判定結果が示されている。ここで、ゆらぎ特徴抽出部20は、各周波数帯についての閾値越えの有無を総合的に考察して、心拍ゆらぎの微分値の閾値越えの有無を判断している。本実施形態では、2つの周波数帯の心拍ゆらぎの微分値が同時刻に閾値越えしている場合、その時刻について閾値越え有り(1)とし、一方又は両方の周波数帯の心拍ゆらぎの微分値が同時刻に閾値越えしていない場合、その時刻について閾値越え無し(0)としている。なお、閾値越えの有無を判断する別の方法としては、少なくとも1つの周波数帯の心拍ゆらぎの微分値が閾値越えしている場合、その時刻について閾値越え有り(1)とし、全ての周波数帯の心拍ゆらぎの微分値が閾値越えしていない場合、その時刻について閾値越え無し(0)としてもよい。さらに、閾値越えの有無を判断する別の方法としては、複数の周波数帯の心拍ゆらぎの微分値が同時刻に閾値越えしている場合、閾値越えした心拍ゆらぎの微分値の個数を、その時刻の値としてもよい。以上、心拍ゆらぎについて説明したが、生理指標計測部が、心拍だけでなく他の生理指標を計測する場合には、他の生理指標についての閾値越えの有無を考慮して、閾値越えの有無を総合的に判断すればよい。
次に、ゆらぎ特徴抽出部20は、閾値越え密度を算出する。つまり、ゆらぎ特徴抽出部20は、所定の時間間隔ごとに、閾値越えしたゆらぎの特徴的変化をカウントして、図15に示すように閾値越え密度の時系列データを求める。ここで求められる閾値越え密度は、言い換えれば、ゆらぎの特徴的変化の発生頻度である。なお、特徴的変化をカウントする時間幅の値は、リファレンスデータに含まれている。ゆらぎ特徴抽出部20により算出された閾値越え密度の時系列データは、バッファーIII32に格納される。
バッファーIII32に格納された閾値越え密度の時系列データのうち、前半の特定区間Aの時系列データは、閾値設定用の時系列データとして閾値設定部22に転送される。一方、後半の特定区間Bの時系列データは、統計的に有意差のある特徴的変化を検出するための時系列データとして、バッファーIV34に転送される。バッファーIV34に転送された時系列データは、その後、有意特徴検出部24に転送される。ここで、時系列データの転送は、有意特徴検出部24がバッファーIII32及びバッファーIV34に転送指令を与えるたびに行われる。なお、特定区間A,Bの時間幅の値は、リファレンスデータに含まれている。
閾値設定部22は、生理指標名、検出対象状態名、閾値越え密度の時系列データ、及びリファレンスデータを取り込んで、統計的に有意差のあるゆらぎの特徴的変化を検出するための閾値THを算出し、出力する。ここで、閾値設定部22は、図16に示すように、バッファーIII32に格納された閾値越え密度の時系列データから、特定区間Aの閾値越え密度の時系列データを取り込んで、A区間内で閾値越え密度最大値MMを求めた後、次の数式(2)に基づいて閾値THを算出する。
TH = MM + scale×param ・・・(2)
但し、
scale:任意の実数
param:任意の変数(例1:MM、例2:A区間内における閾値越え密度の標準偏差)
scale及びparamの値は、統計的に有意差のあるゆらぎの特徴的変化が検出されるように調整すればよい。
上述した閾値の設定処理では、生理指標計測部10により計測された生理指標に基づいて閾値THが設定されるため、被験者の生理・心理状態の変化を感度良く検出することができる。即ち、生理指標計測部10により計測された生理指標は、生理指標計測部10による計測開始から現在時刻までのいずれかの時間帯に計測されたものである。より詳しく説明すると、生理指標計測部10の計測開始の時刻とは、生理指標計測部10が現在行っている計測を開始した時刻のことであり、これ以降に計測された生理指標を閾値TH設定に用いることにより、被験者の個人差や日々の体調変化などを考慮した閾値THを設定でき、これにより被験者の生理・心理状態の変化を感度良く検出することができる。一方、生理指標計測部10の現在時刻とは、生理指標計測部10が計測を行っている現在の時刻のことであり、本実施形態ではA区間が終了する時刻のことである。
有意特徴検出部24は、バッファーIV34から特定区間A以外の閾値越え密度の時系列データを取り込み、さらに、閾値設定部22から閾値THを取り込むと、閾値越え密度の時系列データにおいて閾値THを越えているデータを、統計的に有意差のあるゆらぎの特徴的変化として検出する(図16参照)。そして、有意特徴検出部24は、統計的に有意差のあるゆらぎの特徴的変化の有無を示す時系列データ(以下、有意特徴の時系列データと呼ぶ)を出力する。本実施形態では、上述したように発生頻度が所定閾値を越えたゆらぎの特徴的変化を検出することで、被験者の生理・心理状態の変化を感度良く検出することができる。
状態出力部26は、有意特徴の時系列データを取り込んで、ゆらぎの特徴的変化が有る場合には、被験者の生理・心理状態の変化に対応した処理を行う。ここで、運転者の覚醒度の低下に対応して、例えば、下記の1〜5の処理を行うことができる。なお、以下の処理は、運転者に限らず、助手席に座っている人、運送会社のトラック運行管理者などに対して行ってもよい。
1.音で伝える(例:ブザー、オーディオ、ラジオ、クラクション)
2.光で伝える(例:メーター照明、ルーム照明)
3.触覚・温冷覚で伝える(例:シートに埋設した振動装置、エアコン風)
4.匂いで伝える(例:芳香剤の噴射)
5.システムへのコマンド出力
上述した本実施形態の生理・心理状態検出装置1によれば、生理状態又は心理状態の変化に応じた生理指標のゆらぎの変化を検出することで、生理状態又は心理状態が平常時から変化し始めるタイミングを検出することができる。このように生理状態又は心理状態の変化を早期に検出することで、生理状態又は心理状態の変化により危険な運転状態へ突入することを未然に回避することができる。例えば、運転者の覚醒度の低下を早期に検出することにより、居眠り運転を回避することができる。また、生理状態又は心理状態の変化に早期に対応することにより、状況を回復するための処理を軽度で済ませることができる。例えば、運転者の覚醒度の低下を早期に検出することにより、車両を安全に駐車できる領域まで移動させるための移動時間を十分に確保することができる。
次に、図17〜図20を参照して、生理・心理状態検出装置1による処理の流れについて説明する。図17〜図20の処理は、CPUがプログラムを実行することにより実現される。
先ず、図17の処理について説明する。CPUは、検出対象状態名を取り込む(S101)。ここで、検出対象状態名が取り込まれているか否かを判定し(S102)、取り込まれていないと判定された場合には、再び検出対象状態名の取り込みを試みる。
次に、CPUは、計測する生理指標名を取り込む(S103)。ここで、生理指標名が取り込まれているか否かを判定し(S104)、取り込まれていないと判定された場合には、再び生理指標名の取り込みを試みる。また、対象状態の検出に必要な生理指標が取り込まれているか否かを判定し(S105)、取り込まれていないと判定された場合には、再び生理指標名の取り込みを試みる。
次に、CPUは、ゆらぎ処理情報データベース16に対して、リファレンスデータをゆらぎ抽出部18及びゆらぎ特徴抽出部20へ転送させるための指令を与える(S106)。次に、CPUは、計測された生理指標の時系列データを取り込み(S107)、その時系列データをバッファーI28に一時的に格納する(S108)。そして、CPUは、「1」の処理、即ち、図18のフローチャートの処理に進む。
次に、図18の処理について説明する。図18の処理は、ゆらぎ抽出部18により行われる処理である。CPUは、プログラムが起動してから最初の処理であるか否かを判定して(S201)、最初の処理である場合には、バッファーI28において先頭アドレスから解析区間指示値アドレスまでの時系列データを取得し(S202)、一方、最初の処理でない場合には、バッファーI28において読み出し先頭位置アドレスから解析区間指示値アドレスまでの時系列データを取得する(S203)。
次に、CPUは、生理指標の時系列データに対してバンドパスフィルタリング処理を行ってから、閾値を越えた時系列データを切り出す(S204)。次に、CPUは、切り出された時系列データを2値化してから、2値化データを利用して区間幅(周期)を求める(S205,S206)。次に、CPUは、区間幅を補間して周期の時系列データを求める(S207)。次に、CPUは、周期の時系列データをFFT処理し、その結果に対して複数の周波数帯帯域を指定し、各帯域ごとに振幅スペクトルを積分する(S208,S209,S210)。次に、CPUは、バッファーI28に格納された時系列データが全て処理されていない場合には、バッファーI28の読み出し先頭位置アドレスを更新して(S211)、「3」に進んでステップ108の処理を行う。一方、CPUは、バッファーI28に格納された時系列データが全て処理されている場合には、「2」に進んで図19のフローチャートの処理に進む。
次に、図19の処理について説明する。図19の処理は、ゆらぎ特徴抽出部20により行われる処理である。CPUは、ゆらぎの時系列データを、バッファーII30に一時的に保持させる(S301)。次に、CPUは、プログラムが起動してから最初の処理であるか否かを判定して(S302)、最初の処理である場合には、バッファーII30において先頭アドレスから解析区間指示値アドレスまでの時系列データを取得し(S303)、一方、最初の処理でない場合には、バッファーII30において読み出し先頭位置アドレスから解析区間指示値アドレスまでの時系列データを取得する(S304)
次に、CPUは、抽出処理参照情報に追加処理を指示する情報が含まれるか否かを判定する(S305)。ここで、追加処理を指示する情報が含まれている場合には、CPUは、ゆらぎ特徴を抽出するために好適な追加処理を行う(S306)。例えば、心拍ゆらぎの時系列データに対して、微分処理を行う。次に、CPUは、ゆらぎ時系列データを閾値THと比較して、閾値越え密度の時系列データを求める(S307,S308)。次に、CPUは、バッファーII30の読み出し先頭位置アドレスを更新する(S309)。そして、CPUは、「4」の処理に進んで、図20のフローチャートの処理を行う。
次に、図20の処理について説明する。図20の処理は、閾値設定部22、及び有意特徴抽出部24、状態出力部26により行われる処理である。CPUは、閾値越え密度の時系列データを、バッファーIII32に一時的に保持させる(S401)。次に、CPUは、プログラムが起動してから最初の処理であるか否かを判定する(S402)。
ここで、最初の処理であると判定された場合には、CPUは、バッファーIII32において特定区間Aの時系列データ、即ち、先頭アドレスから特定区間Aの終端値アドレスまでの時系列データを、閾値設定部22に転送する(S403)。そして、CPUは、バッファーIII32において特定区間Bの時系列データ、即ち、特定区間Aの終端値アドレスから、次の読み出し先頭アドレスまでの時系列データを、バッファーIV34に転送する(S404)。
一方、最初の処理でないと判定された場合には、CPUは、バッファーIII32において特定区間Aの時系列データ、即ち、読み出し先頭アドレスから特定区間Aの終端値アドレスまでの時系列データを、閾値設定部22に転送する(S405)。そして、CPUは、バッファーIII32において特定区間Bの時系列データ、即ち、特定区間Aの終端値アドレスから、次の読み出し先頭アドレスまでの時系列データを、バッファーIV34に転送する(S406)。
次に、CPUは、閾値THを設定する処理を行ってから(S407)、バッファーIV34の時系列データを有意特徴検出部24に転送する(S408)。そして、CPUは、ゆらぎの時系列データにおいて閾値THを越える部分を抽出する(S409)。次に、CPUは、バッファーIII32の読み出し先頭位置を更新し(S410)、対象状態に対応した状態出力処理を行ってから、処理を終了する(S411,S412)。一方、CPUは、処理を終了しない場合には、「0」の処理に進んで、ステップ107の処理を行う。
第1の検出例.
次に、生理・心理状態検出装置1の第1の検出例について説明する。本検出例に係る生理・心理状態検出装置1は、被験者の心電図から心拍ゆらぎを抽出し、心拍ゆらぎに基づいて居眠りを検出するものである。
本検出例では、検出対象状態名入力部14に「居眠り」が入力され、生理指標名入力部12に「心電図」が入力される。また、ゆらぎ処理情報データベース16より、リファレンスデータとして以下の情報が、ゆらぎ抽出部18に送られる。
1.推定に用いる生理指標名 心拍
2.サンプリングレート 5msec
3.バンドパス帯域周波数 0.1〜30Hz
4.解析単位区間幅 数分オーダーの値
5.周波数帯 周波数帯1 0.1Hz付近
周波数態2 0.3Hz付近
また、ゆらぎ処理情報データベース16より、リファレンスデータとして以下の情報が、ゆらぎ特徴抽出部20に送られる。
6.閾値処理用数式 上記の数式(1)
7.閾値越え数カウント区間長
8・閾値設定用の特定区間長
9.追加処理 微分(閾値処理前の実施)
図21には、ゆらぎ抽出部18にて検出された心拍ゆらぎの時系列データが示されている。図22には、ゆらぎ特徴抽出部20にて検出された心拍ゆらぎの閾値越え密度の時系列データが示されている。ここで、区間Aの時系列データは、閾値設定部22へ出力され、閾値THを設定するために利用される。また、区間Bの時系列データは、有意特徴検出部24へ出力される。図23には、閾値越え密度の時系列データにおいて、区間Bに閾値THが設定された状態が示されている。有意特徴検出部24により、閾値THを越えた時系列データが検出される。
上述した生理・心理状態検出装置1の機能評価試験として、覚醒低下検出試験を行った。その試験方法及び試験結果を説明する。試験は次の手順で行う。1.生理指標の計測と同時に被験者の顔画像時系列を取得しておく。2.顔画像時系列を下記のレベル1〜レベル6を基準として評価し、被験者の眠気を6段階レベル分けする(官能評価)。3.同時に、生理・心理状態検出装置1により運転者の眠気についてレベル5を検出目標として検出を行う。なお、評価の公正を期するため、評価者に対し被験者の生理計測データに関する情報は事前に一切与えなかった。
レベル1 : 眠っている状態
レベル2 : 非常に眠そう(瞼を閉じる、頭が前に傾く、頭が後ろに倒れる)
レベル3 : かなり眠そう(意識的と思われる瞬きがある、頭を振る・肩の上下動などの無用な身体全体の動きがある、あくびは頻発し深呼吸も見られる、瞬きも視線の動きも遅い)
レベル4 : 眠そう(瞬きはゆっくりと頻発、口の動きがある、座り直し有り、顔に手をやる)
レベル5 : やや眠そう(唇が開いている、視線移動の動きが遅い)
レベル6 : 全く眠くなさそう(視線の移動が速く頻繁である、瞬きは2秒に2回位の安定した周期、動きが活発で身体の動きを伴う)
(出典:「人間感覚計測マニュアル、第一編」、P146、人間生活工学研究センター)
図24には、覚醒度低下検出試験の試験結果が示されている。試験結果では、顔画像による眠気評価がレベル5以下となっているときに、閾値越え密度が閾値THを越えており、生理・心理状態検出装置1は検出目標を達成している。即ち、生理・心理状態検出装置1により、全く眠くなさそうな状態からやや眠そうな状態に変化したことの検出に成功している。
第2の検出例.
次に、生理・心理状態検出装置1の第2の検出例について説明する。本検出例に係る生理・心理状態検出装置1は、被験者の脳波から脳波ゆらぎを抽出し、脳波ゆらぎに基づいて居眠りを検出するものである。
本検出例では、検出対象状態名入力部14に「居眠り」が入力され、生理指標名入力部12に「脳波」が入力される。また、ゆらぎ処理情報データベース16より、リファレンスデータとして以下の情報が、ゆらぎ抽出部18に送られる。
1.推定に用いる生理指標名 脳波
2.サンプリングレート 1msec
3.バンドパス帯域周波数 0.1〜30Hz
4.解析単位区間幅 数分オーダーの値
5.周波数帯 周波数帯1 20Hz付近
周波数態2 10Hz付近
また、ゆらぎ処理情報データベース16より、リファレンスデータとして以下の情報が、ゆらぎ特徴抽出部20に送られる。
6.閾値処理用数式 上記の数式(1)
7.閾値越え数カウント区間長
8・閾値設定用の特定区間長
9.追加処理 なし
図25には、覚醒度低下検出試験の試験結果が示されている。試験結果では、顔画像による眠気評価がレベル5以下となっているときに、閾値越え密度が閾値THを越えており、生理・心理状態検出装置1は検出目標を達成している。即ち、生理・心理状態検出装置1により、全く眠くなさそうな状態からやや眠そうな状態に変化したことの検出に成功している。
第3の検出例.
次に、生理・心理状態検出装置1の第3の検出例について説明する。本検出例に係る生理・心理状態検出装置1は、被験者の脳波及び心電図からそれぞれ脳波ゆらぎ及び心拍ゆらぎを抽出し、脳波ゆらぎ及び心拍ゆらぎに基づいて居眠りを検出するものである。
本検出例では、検出対象状態名入力部14に「居眠り」が入力され、生理指標名入力部12に「脳波」及び「心拍」が入力される。なお、本検出例のように複数の生理指標を計測する場合には、ゆらぎ特徴抽出部20において、各生理指標に関する閾値越え密度を求めてから、それらの閾値越え密度を加算して統合する。そして、有意特徴検出部24において、統合された閾値越え密度が閾値THを越えた場合に、被験者の生理・心理状態が変化したことを検出する。
また、ゆらぎ処理情報データベース16より、リファレンスデータとして以下の情報が、ゆらぎ抽出部18に送られる。
1.推定に用いる生理指標名 脳波、心拍
2.サンプリングレート 1msec
3.バンドパス帯域周波数 0.1〜30Hz
4.解析単位区間幅 数分オーダーの値
5.周波数帯 周波数帯1、20Hz付近(脳波)
周波数態2、10Hz付近(脳波)
周波数態3、0.1Hz付近(心拍)
周波数態4、0.3Hz付近(心拍)
また、ゆらぎ処理情報データベース16より、リファレンスデータとして以下の情報が、ゆらぎ特徴抽出部20に送られる。
6.閾値処理用数式 上記の数式(1)
7.閾値越え数カウント区間長
8・閾値設定用の特定区間長
9.追加処理 なし
図26には、覚醒度低下検出試験の試験結果が示されている。試験結果では、顔画像による眠気評価がレベル5以下となっているときに、閾値越え密度が閾値THを越えており、生理・心理状態検出装置1は検出目標を達成している。即ち、生理・心理状態検出装置1により、全く眠くなさそうな状態からやや眠そうな状態に変化したことの検出に成功している。
[2]リファレンスデータ生成装置
次に、リファレンスデータ生成装置について説明する。リファレンスデータ生成装置は、上述した生理・心理状態検出装置1のゆらぎ処理情報データベース16に格納されるリファレンスデータを生成するものである。なお、以下の説明では、覚醒度の低下を検出するためのリファレンスデータの生成するリファレンスデータ生成装置を一例として説明するが、リファレンスデータ生成装置は他の生理・心理状態を検出するものでもよい。
覚醒度の低下検出では、覚醒度が明らかに高い時に計測された生理指標の値を基準として、現在時刻における生理指標の計測データがその基準から大きく外れた場合に、被験者の覚醒度が低いことを判断するのが一般的である。ここで、覚醒度が高いときの生理指標の計測データの提供手法としては、運転開始直後などの覚醒度が明らかに高いと予想される時間のデータを提供する方法が考えられる。しかしながら、このような方法で覚醒度が明らかに高い時間を特定した場合には、運転開始からどの時刻までが覚醒度が高い時間であるかを判別するのが難しく、高覚醒状態の確実な判別が困難となっている。
ところで、運転中の運転者の覚醒度が低下し始めた時には、運転者が安全運転を維持するために眠気と闘う状態が見られる。ここで、運転者が眠気と闘う状態は、一種のストレス負荷状態である。逆に言えば、運転開始直後から運転者がストレス負荷状態とならない限り、運転者の覚醒度は高いと言える。よって、運転者の覚醒度が高い状態を確実に検出する方法の一つとして、運転者がストレスを受けていない状態を検出する方法が考えられる。以下に説明するリファレンスデータ生成装置は、この方法を用いて運転者の覚醒度が高い状態を検出するものである。
図27には、リファレンスデータ生成装置4の構成が示されている。リファレンスデータ生成装置4は、ストレス指標計測部40、生理指標計測部10、及びECUを備えており、ECU内に、ストレス状態判定部42、リファレンスデータ計算部48、バッファー44、及びゆらぎ処理情報データベース16が構成されている。
ストレス指標計測部40は、運転者のストレスと関係がある指標を計測するセンサである。ストレス指標計測部40として各種センサを用いることができ、例えば、(1)車両加速度、アクセルペダル操作などの車両操作などを計測するセンサ、(2)視線軌跡、声色、顔表情、生理指標などを計測するセンサを用いることができる。
ストレス状態判定部42は、ストレス指標を取り込んで、運転者が眠気と闘ってストレスを感じている状態であるか否かを判断し、その判断結果を出力する。ここで、ストレス状態判定部42は、取り込んだストレス指標が、運転者が眠気と闘ってストレスを感じているときに表れる特有な値となっているか否かを判定する。例えば、ストレス指標がアクセルペダルの踏み込み速度である場合には、アクセルペダルの踏み込み速度がストレス状態判定用の閾値以上となると、ストレス状態判定部42は、運転者が眠気と闘っておりストレス状態にあることを判定する。また、ストレス指標が運転者の視線である場合には、運転者の視線がストレス状態判定用の閾値以上となると、ストレス状態判定部42は、運転者が眠気と闘っておりストレス状態にあることを判定する。また、ストレス指標が他の種類の計測値である場合も、同様に運転者のストレス状態を判定する。
また、ストレス状態判定部42に、車両の運転状況を認識する計測手段を設け、車両の運転状況が良好であることが認識された場合にのみ、上述した眠気によるストレス状態を判定する処理を行ってもよい。即ち、運転状況が良好でない場合には運転者はその良好でない運転状況に対応するためにストレスを受けてしまうため、運転状況が良好であることが認識された場合にのみストレス状態を判定する処理を行うことで、ストレス状態判定部42が、眠気と闘うためでなく運転状況により運転者が受けるストレスを検出してしまうことを防止することができる。これにより、運転者が眠気と闘ってストレス状態になっている状況をより確実に検出することができる。
(1)ここで、運転状況を認識する計測手段の一例は、ナビゲーション装置である。ストレス状態判定部42は、ナビゲーション装置から現在の車両位置の道路形状の情報を取得して、道路形状が直線である場合には車両の運転状況が良好であることを判定し、道路形状が曲がっている場合には車両の運転状況が良好でないことを判定する。(2)また、運転状況を認識する計測手段の一例は、車載カメラである。ストレス状態判定部42は、対向車が検出されない場合に車両の運転状況が良好であることを判定し、対向車が検出された場合に車両の運転状況が良好でないことを判定する。(3)また、運転状況を認識する計測手段の一例は、車内のマイクロフォンである。ストレス状態判定部42は、同乗者の発話が検出されない場合に車両の運転状況が良好であることを判定し、同乗者の発話が検出された場合に車両の運転状況が良好でないことを判定する。
生理指標計測部10は、上述した生理・心理状態検出装置1の一部構成を利用している。生理指標計測部10は、運転開始時から被験者の生理指標を計測して出力し、ストレス状態判定部42からストレス無しとの判断結果を取り込んでいる限り、被験者の生理指標を計測して出力する。ここで、生理指標計測部10から出力された生理指標の時系列データは、バッファー44に一時的に格納される。一方、生理指標計測部10は、ストレス状態判定部42からストレス有りとの判断結果を取り込んだときには、被験者の生理指標の出力を停止して、生理指標の計測を終了する。なお、生理指標計測部10としては、例えば、脳波センサ、心電センサ、脈波センサ、呼吸センサなどを用いることができる。但し、生理指標計測部10は、これらに限られるものではなく、居眠り状態、ストレス負荷状態、疲労状態などの検出対象状態に応じてゆらぎを生じる生理指標を計測するものであればよい。
計測終了判定部46は、リファレンスデータを生成するためのデータ計測の終了判断を行う。具体的には、計測終了判定部46は、以下の条件1,2の少なくとも一方を満たした場合に、リファレンスデータを生成するための生理指標の計測終了を指示する指令を、生理指標計測部10に出力する。
(条件1)車両の運転開始から予め設定された時間を経過した場合
(条件2)バッファー44内のデータ量が、予め設定された基準データ量に達した場合
なお、条件1の設定時間は、メーカー設定も可能であるが、ユーザーが任意に設定することも可能である。また、条件2の基準データ量は、リファレンスデータ計算の際の諸条件より決定される。諸条件の一例として、周波数帯がある。サンプリング定理に基づいて、周波数帯に応じて解析区間長が一意に定まるからである。また、諸条件の別の一例として、バッファ内データの連続時間幅がある。運転中の急なストレスでバッファー44への格納が中断される可能性があるからである。
リファレンスデータ計算部48は、生理指標の時系列データを取り込んで、生理・心理状態の検出処理で利用するリファレンスデータを計算して出力する。ここで、リファレンスデータは、生理・心理状態検出装置1のゆらぎ抽出部18、ゆらぎ特徴抽出部20、及び閾値設定部22と同様な処理を行うことにより計算される。計算されたリファレンスデータは、ゆらぎ処理情報データベース16に格納される。既述のとおり、生理・心理状態検出装置1は、ゆらぎ処理情報データベース16に格納されたリファレンスデータを利用して、被験者の生理・心理状態を検出する処理を行う。
図28には、リファレンスデータ生成装置4が行う処理のフローチャートが示されている。ECUは、車両の運転が開始されると、ストレス指標を計測し始め、ストレス状態であるか否かを判定する(S801,S802)。ここで、ECUは、ストレス状態であると判定した場合には、ストレス指標の計測を繰り返す(S801)。一方、ECUは、ストレス状態でないと判定した場合には、生理指標を計測して、その計測値をバッファー44に一時的に記憶する(S803,S804)。
次に、ECUは、ストレス状態判定部42の判断結果、及び計測終了判定部46の判定結果に基づいて、生理指標の計測を終了すべきか否かを判定する(S805)。ここで、ECUは、計測を終了すべきでないと判定した場合には、ストレス指標の計測を繰り返す(S801)。一方、ECUは、計測を終了すべきと判定した場合には、リファレンスデータを計算し、ゆらぎ処理情報データベース16に記憶する(S806,S807)。
上述したリファレンスデータ生成装置4によれば、運転開始直後から運転者がストレスを受けない時間帯に生理指標を計測することで、運転者の覚醒度が高い状態の生理指標を取得することができる。よって、生理・心理状態を検出するために良好なリファレンスデータを得ることができる。
生理・心理状態検出装置の概略構成図である。 生理指標計測部により計測される心電図である。 心電図の2値化処理を説明するための模式図である。 2値化処理後の心電図である。 心拍周期の算出処理を説明するための模式図である。 心拍周期の補間処理を説明するための模式図である。 心拍数の経時変化を示すチャートである。 心拍周期のFFT処理を説明するための模式図である。 パワースペクトルの積分を説明するための模式図である。 振幅スペクトルパワーの経時変化を示すチャートである。 図10のチャートを時間微分して得られるチャートである。 閾値THを算出する処理を説明するための模式図である。 図11のチャートに閾値THを追加して示したチャートである。 閾値越えタイミングを示すチャートである。 閾値越え密度の経時変化を示すチャートである。 図15のチャートに閾値THを追加して示したチャートである。 生理・心理状態検出装置による処理を示す第一のフローチャートである。 生理・心理状態検出装置による処理を示す第二のフローチャートである。 生理・心理状態検出装置による処理を示す第三のフローチャートである。 生理・心理状態検出装置による処理を示す第四のフローチャートである。 検出例1において、振幅スペクトルパワーの経時変化を示すチャートである。 検出例1において、閾値越え密度の経時変化を示すチャートである。 検出例1において、図15のチャートに閾値THを追加して示したチャートである。 検出例1における覚醒低下検出試験の結果を示すチャートである。 検出例2における覚醒低下検出試験の結果を示すチャートである。 検出例3における覚醒低下検出試験の結果を示すチャートである。 リファレンスデータ生成装置の概略構成図である。 リファレンスデータ生成装置の処理を示すフローチャートである。
符号の説明
1…生理・心理状態検出装置、4…リファレンスデータ生成装置、10…生理指標計測部、12…生理指標名入力部、14…検出対象状態名入力部、16…ゆらぎ処理情報データベース、18…ゆらぎ抽出部、20…ゆらぎ特徴抽出部、22…閾値設定部、24…有意特徴検出部、26…状態出力部、28,30,32,34…バッファー、40…ストレス指標計測部、42…ストレス状態判定部、44…バッファー、46…計測終了判定部、48…リファレンスデータ計算部。

Claims (5)

  1. 被験者の生理指標を計測する生理指標計測手段と、
    前記生理指標計測手段により計測された生理指標から、生理指標のゆらぎを抽出するゆらぎ抽出手段と、
    前記ゆらぎ抽出手段により抽出された生理指標のゆらぎから、ゆらぎの特徴的変化を抽出するゆらぎ特徴抽出手段と、
    前記ゆらぎ特徴抽出手段により抽出されたゆらぎの特徴的変化から、発生頻度が所定閾値を越えた特徴的変化を検出する有意特徴検出手段と、
    前記有意特徴検出手段の検出結果に基づいて、被験者の生理・心理状態の変化を検出する生理・心理状態検出手段と、
    を備え、
    前記ゆらぎ抽出手段は、前記生理指標計測手段により計測された生理指標が予め設定された閾値以上となる一連のタイミングを求め、タイミング間の時間に基づき生理指標の周期または周波数の時系列データを求め、当該生理指標の周期または周波数の時系列データに対してフーリエ変換を行って得たスペクトルにおいて生理指標のゆらぎが強く現れる帯域を積分して積分値を求め、当該積分値の時系列データを生理指標のゆらぎとするものであり、
    前記ゆらぎ特徴抽出手段は、前記ゆらぎ抽出手段からゆらぎの時系列データを取得し、当該ゆらぎの時系列データまたはゆらぎの微分値の時系列データをその平均値および標準偏差から求めた閾値と比較し、当該閾値を越える前記ゆらぎの時系列データまたは前記ゆらぎの微分値の時系列データから所定の時間間隔ごとの閾値越え密度の時系列データを求めるものであり、
    前記ゆらぎ特徴抽出手段から閾値越え密度の時系列データを取得し、当該閾値越え密度の時系列データに基づいて、統計的に有意差のあるゆらぎの特徴的変化を検出可能な閾値を設定する閾値設定手段を、さらに備え、
    前記有意特徴検出手段は、前記ゆらぎ特徴抽出手段から閾値越え密度の時系列データを取得し、当該閾値越え密度の時系列データが、前記閾値設定手段により設定された閾値を越えた特徴的変化を検出し、統計的に有意差のあるゆらぎの特徴的変化の有無を示す時系列データを求めることを特徴とする生理・心理状態検出装置。
  2. 前記ゆらぎ抽出手段は、前記スペクトルにおいて生理指標のゆらぎが強く現れる複数の帯域のそれぞれを積分して複数の積分値を求め、当該複数の積分値の時系列データのそれぞれを生理指標のゆらぎとするものであり、
    前記ゆらぎ特徴抽出手段は、前記ゆらぎ抽出手段から前記複数の帯域に対応するゆらぎの時系列データを取得し、各帯域に対応する当該ゆらぎの時系列データまたはゆらぎの微分値の時系列データをその平均値および標準偏差から求めた閾値と比較し、前記複数の帯域のそれぞれについて所定の時間間隔ごとの閾値越え密度の時系列データを求めることを特徴とする請求項に記載の生理・心理状態検出装置。
  3. 前記ゆらぎ特徴抽出手段は、全ての帯域に対応する前記ゆらぎの時系列データまたはゆらぎの微分値の時系列データがその平均値および標準偏差から求めた閾値を越えた場合に、その時刻について閾値越え有りとすることを特徴とする請求項に記載の生理・心理状態検出装置。
  4. 前記ゆらぎ特徴抽出手段は、少なくとも1つの帯域に対応する前記ゆらぎの時系列データまたはゆらぎの微分値の時系列データがその平均値および標準偏差から求めた閾値を越えた場合に、その時刻について閾値越え有りとすることを特徴とする請求項に記載の生理・心理状態検出装置。
  5. 前記ゆらぎ特徴抽出手段は、前記ゆらぎの時系列データまたはゆらぎの微分値の時系列データがその平均値および標準偏差から求めた閾値を越えた場合に、閾値を越えた帯域の個数をその時刻の値とすることを特徴とする請求項に記載の生理・心理状態検出装置。
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