JP5007661B2 - 車両の駆動力制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、駆動源と駆動輪との間の駆動伝達経路上に摩擦要素を備えた車両の駆動力制御装置の技術分野に属する。
従来、エンジンと駆動輪との間の駆動伝達経路上に摩擦要素としてクラッチを備える車両の駆動力制御装置では、クラッチ締結時にクラッチの発熱量が所定値を超えた場合、発熱量が大きいほどエンジントルクを低下させることで、クラッチ摩擦面の発熱を抑制する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−90308号公報
しかしながら、上記従来技術にあっては、クラッチの発熱量に応じてエンジントルクを低下させているものの、クラッチの締結容量を不変としているため、クラッチの過熱を効果的に抑制することができず、耐久性に劣るという問題があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、摩擦要素の過熱を効果的に抑制でき、耐久性を高めることができる車両の駆動力制御装置を提供することにある。
上述の目的を達成するため、本発明の車両の駆動力制御装置では、運転者がアクセル操作をしながら所定車速以下の状態を保っている場合、摩擦要素の温度が高いほど原動機の出力トルクの上限値と摩擦要素の締結容量の上限値とを低下させる過熱保護制御を実行する過熱保護制御手段を設け、過熱保護制御手段は、摩擦要素の温度が第1過熱判定値以上である場合、出力トルクの上限値を第1制限値に制限すると共に、締結容量の上限値を第1制限値に応じた値とする第1過熱保護処理を実行し、摩擦要素の温度が第1過熱判定値よりも低い制限解除判定値よりも低く、かつ、アクセル操作の無い状態が解除判定時間継続した場合、過熱保護処理を終了する

本発明では、摩擦要素の温度が高いほど原動機の出力トルクの上限値と摩擦要素の締結容量の上限値とを低下させるため、摩擦要素の温度が上昇しても摩擦要素の耐久性を損なわずにストール停止中の停止時間をより長くできる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
図1は、実施例1のツインクラッチ式マニュアルトランスミッションを示す骨子図である。
車両の駆動源であるエンジン1の出力軸(クランクシャフト2)を、クラッチハウジング3内における奇数変速段(第1速、第3速、第5速、後退)用の自動湿式回転クラッチ(締結要素)C1、および、偶数変速段(第2速、第4速、第6速)用の自動湿式回転クラッチ(締結要素)C2を介して、ツインクラッチ式マニュアルトランスミッション内における奇数変速段(第1速、第3速、第5速、後退)用の第1入力軸4、および、ツインクラッチ式マニュアルトランスミッション内における偶数変速段(第2速、第4速、第6速)用の第2入力軸5に結合し、ツインクラッチ式マニュアルトランスミッションの出力軸6を、図示せざるプロペラシャフトやディファレンシャルギヤ装置を介して左右駆動輪に結合する。
図1に基づきツインクラッチ式マニュアルトランスミッションを詳述するに、7は、クラッチハウジング3に連なる変速機ケースを示し、クラッチハウジング3内には上記奇数変速段用自動湿式回転クラッチC1および偶数変速段用自動湿式回転クラッチC2の他に、これらクラッチC1,C2およびエンジンクランクシャフト2間を緩衝下に駆動結合するトーショナルダンパ8、および、このトーショナルダンパ8を介して常時エンジン駆動されるオイルポンプ9を内蔵させる。
なお奇数変速段クラッチC1および偶数変速段クラッチC2はそれぞれ、常態で解放しているノーマルオープン型クラッチとする。
ツインクラッチ式マニュアルトランスミッションは、オイルポンプ9からの作動油を媒体として、後述するクラッチC1,C2の締結・解放制御を含む変速段選択制御(自動変速)を実行する。
変速機ケース7内には以下の歯車変速機構を収納する。
前記のごとく奇数変速段クラッチC1および偶数変速段クラッチC2を介してトーショナルダンパ8からのエンジン回転を選択的に入力される第1入力軸4および第2入力軸5のうち第2入力軸5は中空とし、これを第1入力軸4上に嵌合するが、内側の第1入力軸4および外側の第2入力軸5を相互に同心状態で回転自在とする。
上記のごとく相互に回転自在に嵌合した第1入力軸4および第2入力軸5のエンジン側前端をクラッチC1,C2に結合する。
第1入力軸4を第2入力軸5の後端から突出させ、この突出した第1入力軸4の後端部4aに同軸に突き合わせて前記の変速機出力軸6を相対回転可能に設け、この出力軸6を変速機ケース7の後端から突出させる。
第1入力軸4、第2入力軸5、および出力軸6に平行に配してカウンターシャフト10を設け、これを変速機ケース7に回転自在に支持する。
カウンターシャフト10の後端にはカウンターギヤ11を一体回転可能に設け、これと同じ軸直角面内に配して出力軸6に出力歯車12を設け、これらカウンターギヤ11および出力歯車12を相互に噛合させてカウンターシャフト10を出力軸6に駆動結合する。
ここでカウンターギヤ11は、そのピッチ円直径を出力歯車12のピッチ円直径よりも小さくし、これらカウンターギヤ11および出力歯車12により減速歯車組を構成する。
第1入力軸4の後端部4aとカウンターシャフト10との間に奇数変速段(第1速、第3速)グループの歯車組G1,G3、および後退変速段の歯車組GRを設け、これらをエンジン1に近いフロント側から、第1速歯車組G1、後退歯車組GR、および第3速歯車組G3の順に配置する。
第1速歯車組G1および後退歯車組GRは第2入力軸5の後端と変速機ケース中間壁7aとの間に位置させるが、後退歯車組GRを変速機ケース中間壁7aの直近に位置させる。
第3速歯車組G3は、変速機ケース中間壁7aを挟んで第1速歯車組G1および後退歯車組GRの反対側に配置するが、変速機ケース中間壁7aの直近に、つまり、第1入力軸4(後端部4a)の最後部に位置させる。
第1速歯車組G1は、第1入力軸4の後端部4aに一体成形した第1速入力歯車13と、カウンターシャフト10上に回転自在に設けた第1速出力歯車14とを相互に噛合させて構成する。
後退歯車組GRは、第1入力軸4の後端部4aに一体成形した後退入力歯車15と、カウンターシャフト10上に回転自在に設けた後退出力歯車16と、これら歯車15,16に噛合してこれら歯車15,16間を逆転下に駆動結合するリバースアイドラギヤ17とで構成し、リバースアイドラギヤ17を、変速機ケース中間壁7aに植設したリバースアイドラ軸18により回転自在に支持する。
第3速歯車組G3は、第1入力軸4の後端部4aに回転自在に設けた第3速入力歯車19と、カウンターシャフト10に駆動結合して設けた第3速出力歯車20とを相互に噛合させて構成する。
カウンターシャフト10には更に、第1速出力歯車14および後退出力歯車16間に配して1速−後退用同期噛合機構(シンクロメッシュ機構)21を設け、そのカップリングスリーブ21aを図示の中立位置から右行させてクラッチギヤ21bに噛合させるとき、第1速出力歯車14がカウンターシャフト10に駆動結合されて後述するごとく第1速を選択可能なものとし、カップリングスリーブ21aを図示の中立位置から左行させてクラッチギヤ21cに噛合させるとき、後退出力歯車16がカウンターシャフト10に駆動結合されて後述するごとく後退を選択可能なものとする。
第1入力軸4の後端部4aには更に、第3速入力歯車19および出力歯車12間に配して3速−5速用同期噛合機構(シンクロメッシュ機構)22を設け、そのカップリングスリーブ22aを図示の中立位置から右行させてクラッチギヤ22bに噛合させるとき、第3速入力歯車19が第1入力軸4に駆動結合されて後述するごとく第3速を選択可能なものとし、カップリングスリーブ22aを図示の中立位置から左行させてクラッチギヤ22cに噛合させるとき、第1入力軸4(その後端部4a)が出力歯車12(出力軸6)に直結されて後述するごとく第5速を選択可能なものとする。
中空の第2入力軸5とカウンターシャフト10との間には、偶数変速段(第2速、第4速、第6速)グループの歯車組、つまり、エンジンに近いフロント側から順次、第6速歯車組G6、第2速歯車組G2、および第4速歯車組G4を配して設ける。
第6速歯車組G6は変速機ケース7の前壁7bに沿うよう第2入力軸5の前端に配置し、第4速歯車組G4は第2入力軸5の後端に配置し、第2速歯車組G2は第2入力軸5の両端間中央部に配置する。
第6速歯車組G6は、第2入力軸5の外周に一体成形した第6速入力歯車23と、カウンターシャフト10上に回転自在に設けた第6速出力歯車24とを相互に噛合させて構成する。
第2速歯車組G2は、第2入力軸5の外周に一体成形した第2速入力歯車25と、カウンターシャフト10上に回転自在に設けた第2速出力歯車26とを相互に噛合させて構成する。
第4速歯車組G4は、第2入力軸5の外周に一体成形した第4速入力歯車27と、カウンターシャフト10上に回転自在に設けた第4速出力歯車28とを相互に噛合させて構成する。
カウンターシャフト10には更に、第6速出力歯車24および第2速出力歯車26間に配して6速専用の同期噛合機構(シンクロメッシュ機構)29を設け、そのカップリングスリーブ29aを図示の中立位置から右行させてクラッチギヤ29bに噛合させるとき、第6速出力歯車24がカウンターシャフト10に駆動結合されて後述するごとく第6速を選択可能なものとする。
またカウンターシャフト10には、第2速出力歯車26および第4速出力歯車28間に配して2速−4速用同期噛合機構(シンクロメッシュ機構)30を設け、そのカップリングスリーブ30aを図示の中立位置から右行させてクラッチギヤ30bに噛合させるとき、第2速出力歯車26がカウンターシャフト10に駆動結合されて後述するごとく第2速を選択可能なものとし、カップリングスリーブ30aを図示の中立位置から左行させてクラッチギヤ30cに噛合させるとき、第4速出力歯車28がカウンターシャフト10に駆動結合されて後述するごとく第4速を選択可能なものとする。
上記の実施例になるツインクラッチ式マニュアルトランスミッションの作用を次に説明する。
動力伝達を希望しない中立(N)レンジや駐車(P)レンジのような非走行レンジにおいては、ノーマルオープン型クラッチ(自動湿式回転クラッチ)C1,C2の双方を非制御状態にして解放しておき、また、同期噛合機構21,22,29,30のカップリングスリーブ21a,22a,29a,30aを全て図示の中立位置にして、ツインクラッチ式マニュアルトランスミッションを動力伝達が行われない中立状態にする。
前進動力伝達を希望するDレンジや、後退動力伝達を希望するRレンジのような走行レンジにおいては、オイルポンプ9からの作動油を媒体として以下のごとくに同期噛合機構21,22,29,30のカップリングスリーブ21a,22a,29a,30aおよびクラッチC1,C2を制御することにより各前進変速段や、後退変速段を選択することができる。
Dレンジのような前進走行レンジで第1速を希望する場合、同期噛合機構21のカップリングスリーブ21aを右行させて歯車14をカウンターシャフト10に駆動結合し、これによる奇数変速段の図2(a)に示す第1速へのプリシフト後、同じく図2(a)に示すように非走行レンジで解放状態だった自動湿式回転クラッチC1を締結する。
これによりクラッチC1からのエンジン回転が第1入力軸4、第1速歯車組G1、カウンターシャフト10、および出力歯車組11,12を経て出力軸6より軸線方向に出力され、第1速での動力伝達を行うことができる。
なお、上記第1速の選択が発進用のものである時は、それ用にクラッチC1の締結進行制御を行って発進ショックのない滑らかな前発進を行わせること、勿論である。
第1速から第2速へのアップシフトに際しては、非走行レンジで解放状態だったクラッチC2を引き続き解放させておき、同期噛合機構30のカップリングスリーブ30aを右行させて歯車26をカウンターシャフト10に駆動結合し、これによる偶数変速段グループの図2(a)に示す第2速へのプリシフト後、同じく図2(a)に示すようにクラッチC1を解放すると共にクラッチC2を締結すること(クラッチの掛け替え)により第1速から第2速へのアップシフトを行わせる。
これによりクラッチC2からのエンジン回転が第2入力軸5、第2速歯車組G2、カウンターシャフト10、および出力歯車組11,12を経て出力軸6より軸線方向に出力され、第2速での動力伝達を行うことができる。
第2速から第3速へのアップシフトに際しては、同期噛合機構21のカップリングスリーブ21aを中立位置に戻して歯車14をカウンターシャフト10から切り離すと共に、同期噛合機構22のカップリングスリーブ22aを右行させて歯車19を第1入力軸4に駆動結合し、これによる図2(a)に示す奇数変速段グループの1→3プリシフト後、同じく図2(a)に示すごとくクラッチC2を解放すると共にクラッチC1を締結すること(クラッチの掛け替え)により第2速から第3速へのアップシフトを行わせる。
これによりクラッチC1からのエンジン回転が第1入力軸4、第3速歯車組G3、カウンターシャフト10、および出力歯車組11,12を経て出力軸6より軸線方向に出力され、第3速での動力伝達を行うことができる。
第3速から第4速へのアップシフトに際しては、同期噛合機構30のカップリングスリーブ30aを中立位置に戻して歯車26をカウンターシャフト10から切り離すと共に、同期噛合機構30のカップリングスリーブ30aを左行させて歯車28をカウンターシャフト10に駆動結合し、これによる図2(a)に示す偶数変速段グループの2→4プリシフト後、同じく図2(a)に示すごとくクラッチC1を解放すると共にクラッチC2を締結すること(クラッチの掛け替え)により第3速から第4速へのアップシフトを行わせる。
これによりクラッチC2からのエンジン回転が第2入力軸5、第4速歯車組G4、カウンターシャフト10、および出力歯車組11,12を経て出力軸6より軸線方向に出力され、第4速での動力伝達を行うことができる。
第4速から第5速へのアップシフトに際しては、同期噛合機構22のカップリングスリーブ22aを中立位置に戻して歯車19を第1入力軸4から切り離すと共に、同期噛合機構22のカップリングスリーブ22aを左行させて第1入力軸4を出力軸6に直結し、これによる図2(a)に示す奇数変速段グループの3→5プリシフト後、同じく図2(a)に示すごとくクラッチC2を解放すると共にクラッチC1を締結すること(クラッチの掛け替え)により第4速から第5速へのアップシフトを行わせる。
これによりクラッチC1からのエンジン回転が第1入力軸4、およびカップリングスリーブ29aを経て出力軸6より軸線方向に出力され、第5速(変速比1:1)での動力伝達を行うことができる。
第5速から第6速へのアップシフトに際しては、同期噛合機構30のカップリングスリーブ30aを中立位置に戻して歯車28をカウンターシャフト10から切り離すと共に、同期噛合機構37のカップリングスリーブ37aを左行させて歯車31をカウンターシャフト10に駆動結合し、これによる図2(a)に示す偶数変速段グループの4→6プリシフト後、同じく図2(a)に示すごとくクラッチC1を解放すると共にクラッチC2を締結すること(クラッチの掛け替え)により第5速から第6速へのアップシフトを行わせる。
これによりクラッチC2からのエンジン回転が第2入力軸5、第6速歯車組G6、カウンターシャフト10、および出力歯車組11,12を経て出力軸6より軸線方向に出力され、第6速での動力伝達を行うことができる。
なお、第6速から順次第1速へとダウンシフトさせるに際しても、上記アップシフトと逆の制御を行うことにより、図2(b)に示す前述したと逆方向のプリシフトおよびクラッチC1,C2の締結・解放制御を介して所定のダウンシフトを行わせることができる。
後退走行を希望して非走行レンジからRレンジに切り替えた場合においては、同期噛合機構21のカップリングスリーブ21aを中立位置から左行させて歯車16をカウンターシャフト10に駆動結合し、これによる図2(a),(b)に示す奇数変速段グループの後退変速段へのプリシフト後、非走行レンジで解放状態であった湿式回転クラッチC1を締結する。
これによりクラッチC1からのエンジン回転が第1入力軸4、後退歯車組GR、カウンターシャフト10、および出力歯車組11,12を経て出力軸6より軸線方向に出力され、この際、後退歯車組GRにより回転方向を逆にされることから、後退変速段での動力伝達を行うことができる。
なお、後退変速段での発進時は、それ用にクラッチC1の締結進行制御を行って、発進ショックのない滑らかな後発進を行わせること、勿論である。
図3は、実施例1のツインクラッチ式マニュアルトランスミッションの制御系を示すブロック図である。
エンジンコントローラ40は、車速センサ41からの車速(車体速)、アクセル開度センサ42からのアクセル開度、エンジン回転数センサ43からのエンジン回転数に基づいて、エンジン1の回転数(エンジン回転数)およびトルク(エンジントルク)を制御する。
MTコントローラ50は、エンジンコントローラ40からの車速、アクセル開度およびエンジン回転数と、レンジ位置センサ44からのレンジ位置と、第1入力軸回転数センサ45からの第1入力軸4の回転数と、第2入力軸回転数センサ46からの第2入力軸5の回転数とに基づいて、変速マップ等から所定の変速段を選択し、各同期噛合機構21,22,29,30を制御すると共に、各クラッチC1,C2のトルク容量(締結容量)を制御する。
ここで、MTコントローラ50は、エンジントルク(アクセル操作量)が大きいほどクラッチ容量を大きくする。例えば、アクセル開度に比例してクラッチC1,C2のクラッチ容量を設定する。理由は、クラッチ容量をエンジントルクに対応させることで、エンジントルクと路面から駆動輪に作用する反力トルクとをバランスさせ、エンジン回転の吹き上がりやエンジンストールを防止するためである。
次に、本発明に係るクラッチC1,C2の過熱保護制御を説明する。
MTコントローラ50は、クラッチC1,C2のうち締結しているクラッチの温度を推定し、推定温度に応じてエンジン1のトルク制限を行い、同時にクラッチ容量を制限することで、クラッチの発熱を抑制する過熱保護制御を実行する。
図4は、MTコントローラ50の過熱保護制御ブロック図であり、MTコントローラ50は、アクセル操作判断部(アクセル操作判断手段)50aと、停車判断部(停車判断手段)50bと、クラッチ温度検出部(摩擦要素温度検出手段)50cと、過熱保護部(過熱保護制御手段)50dと、を備えている。
アクセル操作判断部50aは、アクセル開度から運転者のアクセル操作の有無を判断する。具体的には、アクセル開度が所定開度よりも小さい場合に、アクセル操作無しと判断する。ここで、「所定開度」は、運転者がアクセルを踏んでいないと確実に判定できる微小なアクセル開度とする。
停車判断部50bは、車速から車両の停止状態を判断する。具体的には、車速が所定車速よりも低い場合、車両が停止状態であると判断する。ここで、「所定車速」とは、車両停車または極低速走行していると判断できる速度(例えば、5km/h以下)とする。
クラッチ温度検出部50cは、クラッチC1,C2のうち締結しているクラッチの温度を推定する。クラッチの温度は、クラッチの入出力軸回転数差とクラッチ容量とにそれぞれ比例するため、実施例1のマニュアルトランスミッションでは、車両が走行している場合、エンジン回転数と第1または第2入力軸回転数との回転数差と、クラッチ容量とに基づいて、推定温度を算出する。
ここで、クラッチの過熱は、例えば、登坂路においてアクセル操作のみで車両を停止または極低速走行させる、いわゆるストール停車状態にも起こり得る。このストール停車状態では、クランクシャフト2はエンジン回転に連動して回転しているものの、マニュアルトランスミッションの出力軸6は停止しているため、発進時に締結されるクラッチC1は滑り締結により過熱する。
このとき、第1入力軸4は回転していないため、上記走行時におけるクラッチC1の温度推定方法では、クラッチC1の温度を正確に推定することができない。そこで、実施例1では、ストール停車状態のとき、アクセル操作の継続時間、すなわちストール停車状態の継続時間に基づいて、クラッチC1の温度を推定する。ここで、ストール停車状態の継続時間とクラッチC1の温度との関係は、あらかじめ実験等により求めることができるため、ストール停車状態の継続時間を計測することで、クラッチC1の温度は推定可能である。
過熱保護部50dは、アクセル操作の有無とクラッチ温度とに基づき、エンジンコントローラ40に対し、エンジントルク制限要求を出力すると同時に、エンジントルクの制限値に応じてクラッチ容量を制限する過熱保護制御を実行する。また、図外のインストルメントパネルに配置した警告ランプ47を点灯(または点滅)させることで、運転者にクラッチが過熱状態である旨の警告を行う。ここで、警告ランプ47の点灯に代えて、音声等による警告を用いてもよいし、警告ランプ47と音声とを併用してもよい。
過熱保護制御では、推定温度に対して解除温度(制限解除温度)、警告温度(第3過熱判定値)、トルクダウン開始温度(第1過熱判定値)、クラッチ解放温度(第2過熱判定値)からなる各判定温度を設定し、クラッチの温度とアクセル開度に応じて、警告ランプ47の点灯、エンジントルクの制限およびクラッチ容量の制限(クラッチ解放を含む)を行う。
ここで、「解除温度」は、クラッチの耐久性に影響を与えない温度とする。
「警告温度」は、クラッチに異常が生じていない状態で想定される温度の上限値に対し、推定温度算出時における推定誤差分を考慮した値を加算した温度とする。
「トルクダウン温度」は、クラッチの温度がこの温度以上である状態が継続した場合、クラッチに異常が発生している可能性が高いと判断できる温度とする。
「クラッチ解放温度」は、クラッチの温度がこの温度以上である状態が継続した場合、クラッチが破損する可能性のある温度とする。
したがって、各判定値の関係は、解除温度<警告温度<トルクダウン温度<クラッチ解放温度となる。
以下、過熱保護部50dで行われる各過熱保護処理について詳細に説明する。
(1) 警告処理
推定温度が警告温度以上である状態が所定の警告判定時間継続した場合、または、ストール停車状態が第1判定時間継続した場合、警告ランプ47を点灯させ、運転者にクラッチが過熱状態である旨を警告する警告処理を実施する。ここで、「第1判定時間」は、ストール停車状態がこの時間継続した場合、クラッチの温度が警告温度に達すると予測される時間である。
この警告処理は、推定温度が解除温度を下回り、かつアクセル操作の無い状態が解除判定時間継続した場合、または推定温度が解除温度を下回り、かつ後述する各過熱保護処理が実行されていない場合に終了する。ここで、「解除判定時間」は、アクセル操作がなされていないことを確実に判定するために設定している。
(2) 第1過熱保護処理
推定温度がトルクダウン開始温度以上である状態が所定の第1クラッチ過熱判定時間継続した場合、またはストール停車状態が第2判定時間継続した場合、エンジントルクの上限値を第1制限値に制限すると共に、クラッチ容量を第1制限値に応じた値に制限する。現在のアクセル開度と車速に応じたエンジントルクが第1制限値よりも大きい場合、現在値から第1制限値まで運転者に違和感を与えない程度の所定の変化率でエンジントルクを減少させる。
ここで、「第1制限値」は、急勾配で車両を発進させることができるエンジントルクとする。また、「第2判定時間」は、ストール停車状態がこの時間継続した場合、クラッチの温度がトルクダウン開始温度に達すると予測される時間である。
この第1過熱保護処理は、推定温度が解除温度を下回り、かつ、アクセル操作の無い状態が解除判定時間継続した場合に終了する。
(3) 第2過熱保護処理
第1過熱保護処理の実行中であって、推定温度がトルクダウン開始温度以上である状態が第2クラッチ過熱判定時間(第1過熱判定時間)継続した場合、またはストール停車状態が第3判定時間継続した場合、エンジントルクの上限値を第1制限値よりも低い第2制限値に制限すると共に、クラッチ容量を第2制限値に応じた値に制限する。現在のアクセル開度と車速に応じたエンジントルクが第2制限値よりも大きい場合、現在値から第2制限値まで運転者に違和感を与えない程度の所定の変化率でエンジントルクを減少させる。
ここで、「第2制限値」は、緩勾配で車両を発進させることができるエンジントルクとする。また、「第3判定時間」は、ストール停車状態がこの時間継続した場合、クラッチの温度がトルクダウン開始温度に達してから第2クラッチ過熱判定時間が経過したと予測される時間である。
この第2過熱保護処理は、推定温度が解除温度を下回り、かつ、アクセル操作の無い状態が解除判定時間継続した場合に終了する。
(4) 第3過熱保護処理
推定温度がクラッチ解放温度以上である状態が第3クラッチ過熱判定時間継続した場合、ストール停車状態が第4判定時間継続した場合、または第2過熱保護処理の実行中であって、推定温度がトルクダウン開始温度以上である状態が第4クラッチ過熱判定時間(第2過熱判定時間)継続した場合、エンジントルクの上限値を第2制限値よりも低い第3制限値に制限すると共に、クラッチを解放する。現在のアクセル開度と車速に応じたエンジントルクが第3制限値よりも大きい場合、現在値から第3制限値まで、第1および第2過熱保護処理時における変化率よりも小さい変化率(例えば、半分程度)でエンジントルクを減少させる。このとき、推定温度が高いほど変化率を大きくする。
ここで、「第3制限値」は、アイドル回転が維持できる程度に小さなエンジントルクであり、例えば、ゼロとしてもよい。また、「第4判定時間」は、ストール停車状態がこの時間継続した場合、クラッチの温度がクラッチ解放温度に達すると予測される時間である。
この第3過熱保護処理は、推定温度が解除温度を下回り、かつ、アクセル操作の無い状態が解除判定時間継続した場合に終了する。
次に、図5〜図11のタイムチャートを用いて実施例1の過熱保護制御の作用を説明する。なお、図5〜図10は走行時(急発進等)にクラッチが過熱した場合、図11はストール停車状態でクラッチが過熱した場合を示している。
[運転者へのクラッチ過熱警告作用]
図5は、実施例1の警告処理実行時の警告作用を示すタイムチャートである。
時点t1では、推定温度が警告温度となり、時点t2では、推定温度が警告温度以上である状態が警告判定時間継続したため、警告ランプ47を点灯させ、運転者にクラッチが過熱状態である旨の警告を行う。これにより、クラッチの熱負荷が高い状態であることを認識させ、回避動作(アクセル操作量の減少)を促すことで、クラッチの過熱を最小限に抑え、耐久性の低下を防止することができる。また、クラッチ過熱を招く運転状態、すなわち回避すべき運転状態を、運転者に学習させることができる。
時刻t3では、推定温度が解除温度を下回ったため、警告ランプ47の点灯を終了する。
[トルクダウン作用]
図6は、実施例1の第1過熱保護処理実行時のトルクダウン作用を示すタイムチャートである。
時点t1から時点t2の区間は、図5の時点t1から時点t2の区間と同様であるため、説明を省略する。
時点t3では、推定温度がトルクダウン開始温度となり、時点t4では、推定温度がトルクダウン開始温度以上である状態が第1クラッチ過熱判定時間継続したため、第1過熱保護処理を開始する。
時点t4から時点t5の区間では、所定の変化率でエンジントルクの上限値を減少させることで、クラッチ容量の上限値も同時に減少させ、時点t5では、エンジントルクの上限値を第1制限値、クラッチ容量を第1制限値に応じた値とする。
例えば、クラッチトルクのみを制限した場合、エンジン回転が吹き上がることでクラッチ入出力軸の差回転が大きくなり、過熱が悪化するおそれがある。一方、エンジントルクのみを制限した場合、エンジン負荷が大きくなるため、エンジンストールが発生するおそれがある。
これに対し、実施例1の過熱保護処理では、エンジントルクの上限値とクラッチ容量の上限値を同時に減少させているため、クラッチの過熱をより効果的に抑制することができる。
ここで、第1制限値は、急勾配の登坂路において発進可能なエンジントルクであるため、エンジントルクは制限されているものの、運転者の所望する走行性能を維持できる。また、エンジントルクを減少させる際、運転者に違和感を与えない程度の変化率で減少させるため、運転者に駆動力減少に伴う違和感を与えることなく、クラッチの過熱を抑制することができる。
時点t6では、推定温度が解除温度となり、時点t7では、運転者がアクセルペダルから足を離したため、これに応じてエンジントルクとクラッチ容量は共に減少していく。時点t8では、アクセル開度が所定開度以下となり、時点t9では、アクセル開度が所定開度以下となってから解除判定時間が経過したため、警告処理および第1過熱保護処理を終了する。
運転者のアクセル操作の解除を確認してから警告を終了する構成としているため、運転者に対しアクセル操作の解除を促すことができる。
また、アクセル操作の解除を確認してから駆動力制限を解除している。これは、アクセル操作中に駆動力制限を解除すると、車両が急加速するおそれがあるためである。運転者がアクセルペダルを踏み込まないことを確認した後に駆動力制限を解除することで、当該解除に伴う急加速を防止することができる。
[第2過熱保護作用]
図7は、実施例1の第2過熱保護処理実行時のトルクダウン作用を示すタイムチャートである。
時点t1から時点t5の区間は、図6の時点t1から時点t5の区間と同様であるため説明を省略する。
時点t6では、第1過熱保護処理実行中に推定温度がトルクダウン開始温度以上である状態が第2クラッチ過熱判定時間継続したため、第1過熱保護処理から第2過熱保護処理に移行する。
時点t6から時点t7の区間では、所定の変化率でエンジントルクの上限値を減少させることで、クラッチ容量の上限値も同時に減少させ、時点t7では、エンジントルクの上限値を第2制限値、クラッチ容量を第2制限値に応じた値とする。ここで、第2制限値は、緩勾配の登坂路において発進可能なエンジントルクであるため、エンジントルクを制限した場合であっても、最低限度の走行性能を確保することができる。また、エンジントルクを減少させる際、運転者に違和感を与えない程度の変化率で減少させるため、運転者に駆動力減少に伴う違和感を与えることなく、クラッチの過熱を抑制することができる。
時点t8では、推定温度が解除温度となり、時点t9では、アクセル開度が所定開度以下となる。そして、時点t10では、アクセル開度が所定開度以下となってから解除判定時間が経過したため、警告処理および第2過熱保護処理を終了する。
[クラッチ解放作用]
図8〜図10は、実施例1の第3過熱保護処理実行時のトルクダウン作用を示すタイムチャートであり、図8は第1過熱保護処理から直接第3過熱保護処理へ移行するケースを示し、図9,図10は第1過熱保護処理→第2過熱保護処理→第3過熱保護処理へと順次移行するケースを示している。なお、図9と図10の両ケースでは、第3過熱保護処理の開始条件が異なっている。
まず、図8のタイムチャートを説明する。
時点t1から時点t5の区間は、図7の時点t1から時点t5の区間と同様であるため説明を省略する。
時点t6では、推定温度がクラッチ解放温度となり、時点t7では、推定温度がクラッチ解放温度以上である状態が第3クラッチ過熱判定時間継続したため、第1過熱保護処理から第3過熱保護処理に移行する。
時点t7から時点t8の区間では、第1過熱保護処理および第2過熱保護処理の際のエンジントルクおよびクラッチ容量の変化率よりも小さな変化率でエンジントルクおよびクラッチ容量の上限値を徐々に減少させる。これにより、運転者に与える違和感を小さく抑えることができる。
時点t8では、エンジントルクがゼロ、クラッチが解放状態となる。これにより、クラッチの温度を確実に下げて破損を防止することができる。
ここで、車両が登坂路を走行している場合には、クラッチの解放に伴い車両のずり下がりが生じるおそれがある。これに対し、実施例1では、推定温度が高いほどエンジントルクおよびクラッチ容量の減少率を大きくすることで、クラッチの温度が高い場合にはより早期にクラッチを解放してクラッチの破損を防ぐ一方、クラッチの温度が低い場合にはゆっくりとクラッチを解放して出来るだけ車両のずり下がりが発生しないよう配慮している。
時点t9では、推定温度が解除温度となり、時点t10では、アクセル開度が所定開度以下となる。時点t11では、アクセル開度が所定開度以下となってから解除判定時間が経過したため、警告処理および第3過熱保護処理を終了する。
続いて、図9のタイムチャートを説明する。
時点t1から時点t6の区間は、図7の時点t1から時点t6の区間と同様であるため説明を省略する。
時点t7では、推定温度がクラッチ解放温度以上となり、時点t8では、推定温度がクラッチ解放温度以上である状態が第3クラッチ過熱判定時間継続したため、第2過熱保護処理から第3過熱保護処理に移行する。
時点t9では、エンジントルクがゼロ、クラッチが解放状態となる。これにより、クラッチの温度を確実に下げて破損を防止することができる。
時点t10では、アクセル開度が所定開度以下となり、時点t11では、推定温度が解除温度となる。そして、時点t12では、推定温度が解除温度以下となってから解除判定時間が経過したため、警告処理および第3過熱保護処理を終了する。
次に、図10のタイムチャートを説明する。
時点t1から時点t7の区間は、図7の時点t1から時点t7の区間と同様であるため説明を省略する。
時点t8では、第2過熱保護処理実行中に推定温度がトルクダウン開始温度以上である状態が第4クラッチ過熱判定時間継続したため、第2過熱保護処理から第3過熱保護処理に移行する。
時点t9では、エンジントルクがゼロ、クラッチが解放状態となる。これにより、クラッチの温度を確実に下げて破損を防止することができる。
時点t10では、アクセル開度が所定開度以下となり、時点t11では、推定温度が解除温度となる。そして、時点t12では、推定温度が解除温度以下となってから解除判定時間が経過したため、警告処理および第3過熱保護処理を終了する。
[ストール停車状態でのクラッチ保護作用]
図11は、実施例1のストール停車状態でのクラッチ保護作用を示すタイムチャートである。
時点t1では、アクセル操作量が所定値以上の状態で車両が停止するストール停車状態となり、時点t2では、ストール停車状態が第1判定時間継続したため、クラッチの温度が警告温度以上であると判断し、警告ランプ47を点灯させ、運転者にクラッチ過熱の警告がなされる。
このため、運転者にクラッチの熱負荷が高い状態であることを認識させ、回避動作(アクセル操作量の減少)を促すことで、クラッチの過熱を最小限に抑え、耐久性の低下を防止することができる。また、クラッチ過熱を招く運転状態、すなわち、回避すべき運転状態を、運転者に学習させることができる。
時点t3では、ストール停車状態が第2判定時間継続したため、クラッチの温度がトルクダウン開始温度以上であると判断し、第1過熱保護処理を開始する。時点t3から時点t4の区間では、所定の変化率でエンジントルクの上限値を減少させることで、クラッチ容量の上限値も同時に減少させ、時点t4では、エンジントルクの上限値を第1制限値、クラッチ容量を第1制限値に応じた値とする。
このため、運転者に駆動力減少に伴う違和感を与えることなく、クラッチの過熱を抑制することができる。
時点t5では、ストール停車状態が第3判定時間継続したため、第1過熱保護処理から第2過熱保護処理に移行する。時点t5から時点t6の区間では、所定の変化率でエンジントルクおよびクラッチ容量を減少させ、時点t6では、エンジントルクの上限値を第2制限値、クラッチ容量を第2制限値に応じた値とする。
このため、最低限度の走行性能を確保し、運転者に駆動力減少に伴う違和感を与えることなく、クラッチの過熱を抑制することができる。
時点t7では、ストール停車状態が第4判定時間継続したため、クラッチの温度がクラッチ解放温度以上であると判断し、第2過熱保護処理から第3過熱保護処理に移行する。時点t7から時点t8の区間では、第1過熱保護処理および第2過熱保護処理の際のエンジントルクおよびクラッチ容量の変化率よりも小さな変化率でエンジントルクの上限値を減少させ、これに応じてクラッチ容量の上限値も減少させる。時点t8では、エンジントルクがゼロ、クラッチが解放状態となる。
このため、クラッチの温度を確実に下げて破損を防止することができる。
時点t9では、車両の駆動力がゼロとなることで車両が登坂路をずり下がるため、車速が所定値以上となり、時点t10では、アクセル開度が所定値以下となるため、警告処理および第3過熱保護処理を終了する。
次に、効果を説明する。
実施例1の車両の駆動力制御装置にあっては、以下に列挙する効果が得られる。
(1) クラッチの推定温度に応じて、エンジントルクの上限値を制限すると共に、当該出力トルクの制限量に比例してクラッチ容量の上限値を制限する過熱保護制御を実行する過熱保護部50dを設けた。これにより、クラッチの過熱を効果的に抑制でき、耐久性を高めることができる。
(2) クラッチ温度検出部50cは、車両停車時、アクセル操作の継続時間に基づいて、クラッチの温度を推定するため、クラッチの入出力回転数差が計測不能な場合であっても、クラッチの温度を精度良く推定することができる。
(3) 過熱保護部50dは、推定温度がトルクダウン開始温度以上である場合、エンジントルクの上限値を第1制限値に制限すると共に、クラッチ容量の上限値を第1制限値に応じた値とする第1過熱保護処理を実行する。これにより、運転者の所望する走行性能を維持しつつ、かつ運転者に違和感を与えることなくクラッチの過熱を抑制することができる。
(4) 過熱保護部50dは、第1過熱保護処理中であって、推定温度がトルクダウン開始温度以上である状態が第1クラッチ過熱判定時間継続した場合、エンジントルクを第2制限値に制限すると共に、クラッチ容量の上限値を第2制限値に応じた値とする第2過熱保護処理を実行する。これにより、運転者に与える違和感を抑制しつつ、クラッチの長期耐久性に影響を及ぼす一定以上の熱負荷が継続して付与されるのを抑制することができる。
(5) 過熱保護部50dは、第2過熱保護処理中であって、推定温度がトルクダウン開始温度よりも高い状態が第2クラッチ過熱判定時間継続した場合、エンジントルクをゼロにすると共に、クラッチを解放する第3過熱保護処理を実行するため、クラッチの温度を確実に下げて破損を防止することができる。
(6) 過熱保護部50dは、推定温度がクラッチ解放温度以上である場合、エンジントルクをゼロにすると共に、クラッチを解放する第3過熱保護処理を実行するため、クラッチの温度を確実に下げて破損を防止することができる。
(7) 過熱保護部50dは、第3過熱保護処理時、推定温度が高いほどエンジントルクの減少速度を高くするため、クラッチの温度に応じて、クラッチの破損防止と、車両のずり下がり防止との両立を図ることができる。
(8) 過熱保護部50dは、推定温度が解除温度よりも低く、かつ、アクセル操作の無い状態が解除判定時間継続した場合、過熱保護処理を終了するため、運転者のアクセル操作により車両が急加速または急発進するのを防止することができる。
(9) 過熱保護部50dは、推定が警告温度以上である場合、警告ランプ47に対しクラッチの過熱を警告する指令を出力する警告処理を実行するため、早い段階で運転者に回避動作(アクセル操作量の減少)を促し、クラッチの過熱を最小限に抑えることができる。また、クラッチ過熱を招く運転状態、すなわち回避すべき運転状態を、運転者に学習させることができる。
(10) 過熱保護部50dは、推定温度が制限解除判定値よりも低く、かつ、アクセル操作の無い状態が解除判定時間継続した場合または過熱保護処理が終了している場合、警告処理を終了するため、急なアクセル操作により車両が急加速または急発進するのを防止することができる。
(他の実施例)
以上、本発明を実施するための最良の形態を、図面に基づく実施例1により説明したが、本発明の具体的な構成は、実施例1に示したものに限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない程度の設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、実施例1では、変速機としてツインクラッチ式マニュアルトランスミッションを備えた車両について説明したが、原動機と駆動輪との間の駆動伝達経路上に摩擦要素を備えた車両、特に発進時に締結される締結要素を備えた車両であれば、本発明を適用することで、実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
実施例1のツインクラッチ式マニュアルトランスミッションを示す骨子図である。 図1に示すツインクラッチ式マニュアルトランスミッションにおけるクラッチの締結と選択変速段との関係、および変速段の切り替えに伴って発生するプリシフトの種類を示す論理図で、(a)はアップシフト時の論理図、(b)はダウンシフト時の論理図である。 実施例1のツインクラッチ式マニュアルトランスミッションの制御系を示すブロック図である。 MTコントローラ50の過熱保護制御ブロック図である。 実施例1の警告処理実行時の警告作用を示すタイムチャートである。 実施例1の第1過熱保護処理実行時のトルクダウン作用を示すタイムチャートである。 実施例1の第2過熱保護処理実行時のトルクダウン作用を示すタイムチャートである。 実施例1の第3過熱保護処理実行時のトルクダウン作用を示すタイムチャートである。 実施例1の第3過熱保護処理実行時のトルクダウン作用を示すタイムチャートである。 実施例1の第3過熱保護処理実行時のトルクダウン作用を示すタイムチャートである。 実施例1のストール停車状態でのクラッチ保護作用を示すタイムチャートである。
符号の説明
1 エンジン
2 クランクシャフト
C1 奇数変速段クラッチ
C2 偶数変速段クラッチ
3 クラッチハウジング
4 第1入力軸
5 第2入力軸
6 出力軸
7 変速機ケース
8 トーショナルダンパ
9 オイルポンプ
10 カウンターシャフト
11 カウンターギヤ
12 出力歯車
G1 第1速歯車組
G2 第2速歯車組
G3 第3速歯車組
G4 第4速歯車組
G6 第6速歯車組
GR 後退歯車組
21 1速―後退用同期噛合機構
22 3速−5速用同期噛合機構
29 6速用同期噛合機構
30 2速−4速同期噛合機構
40 エンジンコントローラ
41 車速センサ
42 アクセル開度センサ
43 エンジン回転数センサ
44 レンジ位置センサ
45 第1入力軸回転数センサ
46 第2入力軸回転数センサ
47 警告ランプ
50 MTコントローラ
50a アクセル操作判断部
50b 停車判断部
50c クラッチ温度検出部
50d 過熱保護部

Claims (9)

  1. 車両の原動機と駆動輪との間の駆動伝達経路上に摩擦要素を備えた車両の駆動力制御装置において、
    運転者のアクセル操作の有無を判断するアクセル操作判断手段と、
    運転者がアクセル操作をしながら所定車速以下の状態を保っている場合、前記摩擦要素の温度が高いほど前記原動機の出力トルクの上限値と前記摩擦要素の締結容量の上限値とを低下させる過熱保護制御を実行する過熱保護制御手段と、
    を設け
    前記過熱保護制御手段は、
    前記摩擦要素の温度が第1過熱判定値以上である場合、前記出力トルクの上限値を第1制限値に制限すると共に、前記締結容量の上限値を前記第1制限値に応じた値とする第1過熱保護処理を実行し、
    前記摩擦要素の温度が前記第1過熱判定値よりも低い制限解除判定値よりも低く、かつ、アクセル操作の無い状態が解除判定時間継続した場合、前記過熱保護処理を終了することを特徴とする車両の駆動力制御装置。
  2. 請求項1に記載の車両の駆動力制御装置において、
    前記過熱保護制御手段は、前記原動機の出力トルクの制限量に比例して前記摩擦要素の締結容量の上限値を制限することを特徴とする車両の駆動力制御装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の車両の駆動力制御装置において、
    運転者のアクセル操作の有無を判断するアクセル操作判断手段と、
    車両の停車を判断する停車判断手段と、
    車両停車時、アクセル操作の継続時間に基づいて、前記摩擦要素の温度を推定する摩擦要素温度検出手段と、
    を設けたことを特徴とする車両の駆動力制御装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の車両の駆動力制御装置において、
    前記過熱保護制御手段は、前記第1過熱保護処理中であって、前記摩擦要素の温度が前記第1過熱判定値以上である状態が第1過熱判定時間継続した場合、前記出力トルクを前記第1制限値よりも低い第2制限値に制限すると共に、前記締結容量の上限値を前記第2制限値に応じた値とする第2過熱保護処理を実行することを特徴とする車両の駆動力制御装置。
  5. 請求項4に記載の車両の駆動力制御装置において、
    前記過熱保護制御手段は、前記第2過熱保護処理中であって、前記摩擦要素の温度が前記第1過熱判定値よりも高い状態が第2過熱判定時間継続した場合、前記出力トルクを前記第2制限値よりも低い第3制限値に制限すると共に、前記摩擦要素を解放する第3過熱保護処理を実行することを特徴とする車両の駆動力制御装置。
  6. 請求項4または請求項5に記載の車両の駆動力制御装置において、
    前記過熱保護制御手段は、前記摩擦要素の温度が前記第1過熱判定値よりも高い第2過熱判定値以上である場合、前記出力トルクを前記第2制限値よりも低い第3制限値に制限すると共に、前記摩擦要素を解放する第3過熱保護処理を実行することを特徴とする車両の駆動力制御装置。
  7. 請求項5または請求項6に記載の車両の駆動力制御装置において、
    前記過熱保護制御手段は、前記第3過熱保護処理時、前記摩擦要素の温度が高いほど前記出力トルクの減少速度を高くすることを特徴とする車両の駆動力制御装置。
  8. 請求項ないし請求項7のいずれか1項に記載の車両の駆動力制御装置において、
    運転者に前記摩擦要素の過熱を警告する警告手段を設け、
    前記過熱保護制御手段は、前記摩擦要素の温度が前記第1過熱判定値よりも低い第3過熱判定値以上である場合、前記警告手段に対し前記摩擦要素の過熱を警告する指令を出力する警告処理を実行することを特徴とする車両の駆動力制御装置。
  9. 請求項に記載の車両の駆動力制御装置において、
    前記過熱保護制御手段は、前記摩擦要素の温度が前記第1過熱判定値よりも低い制限解除判定値よりも低く、かつ、アクセル操作の無い状態が解除判定時間継続した場合または前記過熱保護処理が終了している場合、前記警告処理を終了することを特徴とする車両の駆動力制御装置。
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