JP4946827B2 - 車両の発進摩擦要素制御装置 - Google Patents
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Description
なお奇数変速段クラッチC1および偶数変速段クラッチC2はそれぞれ、常態で解放しているノーマルオープン型クラッチとする。
前記のごとく奇数変速段クラッチC1および偶数変速段クラッチC2を介してトーショナルダンパ8からのエンジン回転を選択的に入力される第1入力軸4および第2入力軸5のうち第2入力軸5は中空とし、これを第1入力軸4上に嵌合するが、内側の第1入力軸4および外側の第2入力軸5を相互に同心状態で回転自在とする。
第1入力軸4を第2入力軸5の後端から突出させ、この突出した第1入力軸4の後端部4aに同軸に突き合わせて前記の変速機出力軸6を相対回転可能に設け、この出力軸6を変速機ケース7の後端から突出させる。
第1入力軸4、第2入力軸5、および出力軸6に平行に配してカウンターシャフト10を設け、これを変速機ケース7に回転自在に支持する。
ここでカウンターギヤ11は、そのピッチ円直径を出力歯車12のピッチ円直径よりも小さくし、これらカウンターギヤ11および出力歯車12により減速歯車組を構成する。
第1速歯車組G1および後退歯車組GRは第2入力軸5の後端と変速機ケース中間壁7aとの間に位置させるが、後退歯車組GRを変速機ケース中間壁7aの直近に位置させる。
第3速歯車組G3は、変速機ケース中間壁7aを挟んで第1速歯車組G1および後退歯車組GRの反対側に配置するが、変速機ケース中間壁7aの直近に、つまり、第1入力軸4(後端部4a)の最後部に位置させる。
後退歯車組GRは、第1入力軸4の後端部4aに一体成形した後退入力歯車15と、カウンターシャフト10上に回転自在に設けた後退出力歯車16と、これら歯車15,16に噛合してこれら歯車15,16間を逆転下に駆動結合するリバースアイドラギヤ17とで構成し、リバースアイドラギヤ17を、変速機ケース中間壁7aに植設したリバースアイドラ軸18により回転自在に支持する。
第3速歯車組G3は、第1入力軸4の後端部4aに回転自在に設けた第3速入力歯車19と、カウンターシャフト10に駆動結合して設けた第3速出力歯車20とを相互に噛合させて構成する。
第6速歯車組G6は変速機ケース7の前壁7bに沿うよう第2入力軸5の前端に配置し、第4速歯車組G4は第2入力軸5の後端に配置し、第2速歯車組G2は第2入力軸5の両端間中央部に配置する。
第2速歯車組G2は、第2入力軸5の外周に一体成形した第2速入力歯車25と、カウンターシャフト10上に回転自在に設けた第2速出力歯車26とを相互に噛合させて構成する。
第4速歯車組G4は、第2入力軸5の外周に一体成形した第4速入力歯車27と、カウンターシャフト10上に回転自在に設けた第4速出力歯車28とを相互に噛合させて構成する。
またカウンターシャフト10には、第2速出力歯車26および第4速出力歯車28間に配して2速−4速用同期噛合機構(シンクロメッシュ機構)30を設け、そのカップリングスリーブ30aを図示の中立位置から右行させてクラッチギヤ30bに噛合させるとき、第2速出力歯車26がカウンターシャフト10に駆動結合されて後述するごとく第2速を選択可能なものとし、カップリングスリーブ30aを図示の中立位置から左行させてクラッチギヤ30cに噛合させるとき、第4速出力歯車28がカウンターシャフト10に駆動結合されて後述するごとく第4速を選択可能なものとする。
動力伝達を希望しない中立(N)レンジや駐車(P)レンジのような非走行レンジにおいては、ノーマルオープン型クラッチ(自動湿式回転クラッチ)C1,C2の双方を非制御状態にして解放しておき、また、同期噛合機構21,22,29,30のカップリングスリーブ21a,22a,29a,30aを全て図示の中立位置にして、ツインクラッチ式マニュアルトランスミッションを動力伝達が行われない中立状態にする。
これによりクラッチC1からのエンジン回転が第1入力軸4、第1速歯車組G1、カウンターシャフト10、および出力歯車組11,12を経て出力軸6より軸線方向に出力され、第1速での動力伝達を行うことができる。
なお、上記第1速の選択が発進用のものである時は、それ用にクラッチC1の締結進行制御を行って発進ショックのない滑らかな前発進を行わせること、勿論である。
これによりクラッチC2からのエンジン回転が第2入力軸5、第2速歯車組G2、カウンターシャフト10、および出力歯車組11,12を経て出力軸6より軸線方向に出力され、第2速での動力伝達を行うことができる。
これによりクラッチC1からのエンジン回転が第1入力軸4、第3速歯車組G3、カウンターシャフト10、および出力歯車組11,12を経て出力軸6より軸線方向に出力され、第3速での動力伝達を行うことができる。
これによりクラッチC2からのエンジン回転が第2入力軸5、第4速歯車組G4、カウンターシャフト10、および出力歯車組11,12を経て出力軸6より軸線方向に出力され、第4速での動力伝達を行うことができる。
これによりクラッチC1からのエンジン回転が第1入力軸4、およびカップリングスリーブ29aを経て出力軸6より軸線方向に出力され、第5速(変速比1:1)での動力伝達を行うことができる。
これによりクラッチC2からのエンジン回転が第2入力軸5、第6速歯車組G6、カウンターシャフト10、および出力歯車組11,12を経て出力軸6より軸線方向に出力され、第6速での動力伝達を行うことができる。
これによりクラッチC1からのエンジン回転が第1入力軸4、後退歯車組GR、カウンターシャフト10、および出力歯車組11,12を経て出力軸6より軸線方向に出力され、この際、後退歯車組GRにより回転方向を逆にされることから、後退変速段での動力伝達を行うことができる。
なお、後退変速段での発進時は、それ用にクラッチC1の締結進行制御を行って、発進ショックのない滑らかな後発進を行わせること、勿論である。
エンジンコントローラ40は、車速センサ41からの車速(車体速)、アクセル開度センサ42からのアクセル開度、エンジン回転数センサ43からのエンジン回転数に基づいて、燃料噴射量および吸入空気量を調整し、エンジントルクを制御する。
クラッチトルク=トルク容量係数×(エンジン回転数×オフセット値)2 …(1)
「トルク容量係数」は、クラッチの速度比(出力回転数/入力回転数)に基づいて設定する。速度比は、例えば、1.0よりも小さい所定比から1.0まで徐々に減少し、1.0で極小値を取り、1.0を超えると所定の速度比まで徐々に増加し、一定の値となるように設定している。
なお、トルク容量係数は、エンジン回転の吹け上がりを防止するために、アクセル開度が高いほど小さくなるように設定してもよい。
「オフセット値」は、アクセル開度に応じて設定し、アクセル開度が所定値(例えば、開度2/8)までは所定値から徐々に減少し、開度2/8を超えるとゼロとなるように設定している。これにより、アイドル回転時等、エンジン回転数が低い場合には、クラッチトルクを小さくすることで、エンジンストールの発生を抑制している。
なお、ストール状態では、クランクシャフト2はエンジン回転に連動して回転しているものの、マニュアルトランスミッションの出力軸6は停止しているため、ストール状態の継続時間に基づいて、クラッチC1の温度を推定してもよい。ストール状態の継続時間とクラッチC1の温度との関係は、あらかじめ実験等により求めることができるため、ストール状態の継続時間を計測することで、クラッチC1の温度は推定可能である。
トルク容量係数の上限値は、例えば、ストール状態でクラッチC1の温度が許容温度以下となる値とする。また、エンジントルクの上限値は、クラッチ容量の低下に伴うエンジン回転の吹け上がりを抑制すべく、制限されたクラッチ容量に応じた値とする。
図5は、エンジン特性とクラッチ容量特性との関係を示す図であり、横軸をエンジン回転数、縦軸をエンジントルクとしたとき、エンジン回転数とエンジントルクとの関係は、アクセル開度(APO)に応じて、図5に示すような横方向に延びる特性となる。図中の「ストールポイント」とは、ストール状態において、エンジントルクとクラッチトルク(クラッチ容量特性線上)とが釣り合う点であり、アクセル開度が一定でエンジントルクとクラッチトルクとが釣り合っている場合、エンジン回転数は一定値を維持する。
時点t1では、車速ゼロ、ブレーキON、アクセルONの状態が所定時間継続したため、ストール状態と判定し、過熱保護制御を開始する。時点t1から時点t2までの区間では、クラッチ容量係数の制限により、クラッチ容量を通常発進容量(通常設定値)に対し通常ストール時発進容量まで制限する。同時に、エンジントルクをアクセル開度相当トルクに対し通常ストール時上限トルクまで制限する。これにより、エンジン回転数を一定に維持した状態で、クラッチC1の過熱を抑制することができる。
時点t1では、車速ゼロ、ブレーキON、アクセルONとなり、時点t2では、時点t1から所定のディレイ時間(判定時間)が経過したため、ストール状態と判定し、過熱保護制御を開始する。
実施例1の車両の発進摩擦要素制御装置にあっては、以下に列挙する効果が得られる。
以上、本発明を実施するための最良の形態を、図面に基づく実施例1により説明したが、本発明の具体的な構成は、実施例1に示したものに限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない程度の設計変更等があっても本発明に含まれる。
2 クランクシャフト
C1 奇数変速段クラッチ(発進摩擦要素)
C2 偶数変速段クラッチ
3 クラッチハウジング
4 第1入力軸
5 第2入力軸
6 出力軸
7 変速機ケース
8 トーショナルダンパ
9 オイルポンプ
10 カウンターシャフト
11 カウンターギヤ
12 出力歯車
G1 第1速歯車組
G2 第2速歯車組
G3 第3速歯車組
G4 第4速歯車組
G6 第6速歯車組
GR 後退歯車組
21 1速―後退用同期噛合機構
22 3速−5速用同期噛合機構
29 6速用同期噛合機構
30 2速−4速同期噛合機構
40 エンジンコントローラ
41 車速センサ
42 アクセル開度センサ
43 エンジン回転数センサ
44 レンジ位置センサ
45 第1入力軸回転数センサ
46 第2入力軸回転数センサ
47a,47b 第1ブレーキスイッチ
50 MTコントローラ
50a ストール判定部
50b クラッチ温度検出部(温度検出手段)
50c クラッチ制御部(締結容量制御手段)
50d 過熱保護制御部(過熱保護制御手段)
Claims (5)
- 車両のエンジンと駆動輪との間に配置された発進摩擦要素と、
前記発進摩擦要素の速度比に応じて前記発進摩擦要素のトルク容量係数を設定し、前記トルク容量係数およびエンジン回転数に基づいて前記発進摩擦要素の締結容量を制御する締結容量制御手段と、
を有する車両の発進摩擦要素制御装置において、
ストール状態で、前記トルク容量係数を前記速度比に応じた通常設定値よりも小さく制限する過熱保護制御を実行する過熱保護制御手段を設け、
前記過熱保護制御手段は、前記過熱保護制御時、前記エンジン回転数が前記アクセル開度に応じた目標値を維持するように、前記トルク容量係数の制限に応じてエンジントルクを制限することを特徴とする車両の発進摩擦要素制御装置。 - 請求項1に記載の車両の発進摩擦要素制御装置において、
前記過熱保護制御手段は、前記過熱保護制御中に前記ストール状態が解除された場合、前記トルク容量係数を徐々に前記通常設定値へと復帰させると共に、前記エンジントルクを前記アクセル開度に応じた値へと徐々に復帰させることを特徴とする車両の発進摩擦要素制御装置。 - 請求項2に記載の車両の発進摩擦要素制御装置において、
前記過熱保護制御手段は、前記エンジン回転数が前記アクセル開度に応じた目標値を維持するように、前記トルク容量係数および前記エンジントルクの復帰勾配を設定することを特徴とする車両の発進摩擦要素制御装置。 - 請求項2または請求項3に記載の車両の発進摩擦要素制御装置において、
前記過熱保護制御手段は、前記エンジントルクの前記アクセル開度に応じた値への復帰開始から所定の遅れ時間が経過した後、前記トルク容量係数の前記通常設定値への復帰を開始することを特徴とする車両の発進摩擦要素制御装置。 - 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の車両の発進摩擦要素制御装置において、
前記発進摩擦要素の温度を検出する温度検出手段を設け、
前記過熱保護制御手段は、前記過熱保護制御中に前記発進摩擦要素の温度が許容温度よりも高い過熱判定温度以上となった場合、前記過熱保護制御を終了し、前記エンジントルクを制限することを特徴とする車両の発進摩擦要素制御装置。
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